特許第6065516号(P6065516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065516
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   G06K7/10 384
   G06K7/10 424
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-232765(P2012-232765)
(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-85750(P2014-85750A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史朗
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−301332(JP,A)
【文献】 特開2001−060244(JP,A)
【文献】 特開2008−123465(JP,A)
【文献】 特開2004−213157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00−7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを撮像する受光センサと、
前記受光センサでの露光時間を変化させる露光時間制御手段と、
所定の設定時期に前記露光時間制御手段によって前記受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの前記受光センサでの各受光結果に基づいて、前記受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定する露光時間変化幅決定手段と、
を備え、
所定の読取時期において、前記露光時間制御手段は、前記露光時間変化幅決定手段よって決定された前記露光時間の変化可能幅の範囲内で前記露光時間が変化可能となり、
前記受光センサから出力される信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路での増幅率を変化させる増幅率制御手段とを備え、
前記露光時間変化幅決定手段は、前記設定時期に前記増幅率制御手段によって前記増幅回路の増幅率を複数段階に変化させ且つ前記露光時間制御手段によって前記受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの各増幅率と各露光時間との組み合わせにおける前記受光センサで得られた各受光結果に基づいて、前記受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定し、
前記増幅率制御手段によって変化可能となる増幅率の変化可能範囲が予め定められており、
前記露光時間変化幅決定手段は、前記設定時期に前記増幅率制御手段によって前記増幅回路の増幅率を前記変化可能範囲の最大値から最小値まで複数段階に変化させ且つ前記露光時間制御手段によって前記受光センサでの露光時間を複数段階に変化させた場合において、前記変化可能範囲のいずれの増幅率の場合でも、前記受光センサで得られた所定画素の輝度値が所定閾値未満となるときの前記受光センサでの露光時間の範囲を前記露光時間の変化可能幅とすることを特徴とする情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードやQRコード(登録商標)等の情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置が提供されている。情報コード読取装置は、例えば、当該読取装置のケースに設けられた読取口から照明光を情報コードに対して照射し、情報コードから反射される光を、読取口からケース内部に導き、レンズでCCD等の受光センサに結像させ、その像の明暗の分布から光学情報が表している情報を解読するようにしている。例えば、このような情報コード読取装置に関する技術として、下記特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の光源と、画像を取り込む画像取得手段と、画像から情報コードを検出する情報コード検出手段と、検出された情報コードを解読する解読手段とを備えた光学情報読取装置が記載されている。この光学情報読取装置では、画像を複数個の画像ブロックBLに区画し、該複数個の画像ブロック中で過大な露光の有った画像ブロックを検出することで、鏡面反射MRの生じた画像ブロック(領域)を特定するようにしている。そして、鏡面反射MRが生じているとして特定した画像ブロックを照明している照明器を探し出し、当該照明器を消灯することで、鏡面反射の影響を抑えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−317059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、情報コード読取装置では、受光センサの露光時間を段階的に調整することで、読み取りに必要な受光センサ出力電圧が得られるようにしている。例えば、露光時間を露光時間1→露光時間2→露光時間3→露光時間4と徐々に長くし、読取条件(例えば、信号の増幅率)等を変えながらデコードを繰り返し、露光時間4でデコードが出来ないときには、露光時間1に戻るという処理を行っている。しかしながら、例えば、周囲環境などによっては、明らかに露光時間を制限するべき場合(周囲照度がきわめて大きい場合等)もあり、一律に露光時間を全範囲で変化させていると、読み取り可能な露光時間に移行するまでに時間がかかり、読み取りフィーリングの悪化にもつながっている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、種々の周囲照度環境下においてより短時間で良好に情報コードを読み取ることができる情報コード読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、情報コードを撮像する受光センサと、前記受光センサから出力される信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路での増幅率を変化させる増幅率制御手段と、前記受光センサでの露光時間を変化させる露光時間制御手段と、所定の設定時期に前記露光時間制御手段によって前記受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの前記受光センサでの各受光結果に基づいて、前記受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定する露光時間変化幅決定手段と、を備え、所定の読取時期において、前記露光時間制御手段は、前記露光時間変化幅決定手段よって決定された前記露光時間の変化可能幅の範囲内で前記露光時間が変化可能となり、前記受光センサから出力される信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路での増幅率を変化させる増幅率制御手段とを備え、前記露光時間変化幅決定手段は、前記設定時期に前記増幅率制御手段によって前記増幅回路の増幅率を複数段階に変化させ且つ前記露光時間制御手段によって前記受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの各増幅率と各露光時間との組み合わせにおける前記受光センサで得られた各受光結果に基づいて、前記受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定し、前記増幅率制御手段によって変化可能となる増幅率の変化可能範囲が予め定められており、前記露光時間変化幅決定手段は、前記設定時期に前記増幅率制御手段によって前記増幅回路の増幅率を前記変化可能範囲の最大値から最小値まで複数段階に変化させ且つ前記露光時間制御手段によって前記受光センサでの露光時間を複数段階に変化させた場合において、前記変化可能範囲のいずれの増幅率の場合でも、前記受光センサで得られた所定画素の輝度値が所定閾値未満となるときの前記受光センサでの露光時間の範囲を前記露光時間の変化可能幅とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、情報コードを撮像する受光センサと、受光センサでの露光時間を変化させる露光時間制御手段と、所定の設定時期に露光時間制御手段によって受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの受光センサでの各受光結果に基づいて、受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定する露光時間変化幅決定手段とを備えている。そして、所定の読取時期において、露光時間制御手段は、露光時間変化幅決定手段よって決定された露光時間の変化可能幅の範囲内で露光時間が変化可能となっている。これにより、設定時期での具体的な環境に基づいて露光時間の変化可能幅を設定できる。従って、環境に合わない範囲で露光時間が制御されることがなく、不適切な露光時間幅に起因する処理遅延やデコード不良を抑制することができ、読み取り性能を向上させることができる。
【0009】
さらに、受光センサから出力される信号を増幅する増幅回路と、増幅回路での増幅率を変化させる増幅率制御手段とが設けられ、露光時間変化幅決定手段は、設定時期に増幅率制御手段によって増幅回路の増幅率を複数段階に変化させ且つ露光時間制御手段によって受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの各増幅率と各露光時間との組み合わせにおける受光センサで得られた各受光結果に基づいて、受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定するようにしている。このように、露光時間と増幅率を実際に変化させ、それらの組合せでの具体的な受光結果に基づいて露光時間の変化幅を決定すれば、より増幅率をも加味した適切な設定が可能となる。
【0010】
特に、増幅率制御手段によって変化可能となる増幅率の変化可能範囲が予め定められている。そして、露光時間変化幅決定手段は、設定時期に増幅率制御手段によって増幅回路の増幅率を変化可能範囲の最大値から最小値まで複数段階に変化させ且つ露光時間制御手段によって受光センサでの露光時間を複数段階に変化させた場合において、変化可能範囲のいずれの増幅率の場合でも、受光センサで得られた所定画素の輝度値が所定閾値未満となるときの受光センサでの露光時間の範囲を露光時間の変化可能幅としている。この構成によれば、増幅率が変化可能範囲で変化しても輝度値が所定閾値に達し難い適切な露光時間の変化可能幅を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、情報コード読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る情報コード読取装置で行われる読取処理の流れを説明する説明図である。
図3図3は、第1実施形態に係る情報コード読取装置で行われる露光制御処理の流れを説明する説明図である。
図4図4は、第1実施形態に係る情報コード読取装置で行われる露光制御可変範囲設定処理の流れを説明する説明図である。
図5図5は、輝度値を取得する様子を説明する説明図である。
図6図6は、露光時間変化幅を決定する様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報コード読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、情報コード読取装置10の電気的構成について図2を参照して説明する。
この情報コード読取装置10は、ケース(図示略)の内部に回路部20が収容されてなるものであり、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系や、メモリ35、制御回路40、スイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系などによって構成されている。
【0013】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、情報コードCが表示された対象物Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0014】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、CCDエリアセンサとして構成されるものであり、情報コードCまたは対象物Rに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0015】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本第1実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0016】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、スイッチ42、発光部43、ブザー44、表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。
【0017】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。また、メモリ35は、複数の記憶領域を備えており、各撮像タイミングで生成された各画像データを複数の記憶領域にそれぞれ記憶可能となっている。
【0018】
制御回路40は、情報コード読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有するとともに、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。そして、制御回路40は、増幅回路31での増幅率を変化させると共に、受光センサ28での露光時間を変化させるようになっている。なお、制御回路40は、「増幅率制御手段」、「露光時間制御手段」の一例に相当する。
【0019】
また、本実施形態では、制御回路40に対し、スイッチ42、発光部43、ブザー44、表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。これにより、制御回路40は、例えば、スイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、表示器46の表示制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。
【0020】
次に、上述のように構成される情報コード読取装置10において、情報コードCを読み取る場合に制御回路40により実施される読取処理及び、露光制御処理、露光制御可変範囲設定処理について説明する。
【0021】
図2に示すように、読取処理を行うにあたって、まずステップS1にて露光制御可変範囲設定処理が実施される。この露光制御可変範囲設定処理では、所定の設定時期に受光センサ28での露光時間を複数段階に変化させたときの受光センサ28での各受光結果に基づいて、受光センサ28での露光時間の変化可能幅を決定するようにしている。なお、この所定の設定時期とは、例えば、情報コード読取装置10の電源がオンされた後の所定期間、又は所定間隔毎、若しくは情報コードCのデコードが一定時間行われていない時などである。また、この処理を行う制御回路40は、「露光時間変化幅決定手段」の一例に相当する。
【0022】
例えば、図5に示すように、受光センサ28で撮像された画像において、輝度測定点Pを指定し、走査線SLに沿って、各輝度測定点Pでの輝度値の飽和がどの露光条件で発生するかを測定する。この輝度測定点Pは、受光センサ28を構成する複数行複数列の画素(受光素子)において予め定められた所定数の画素であり、本実施形態では、このような輝度測定点P(規定位置の所定数の画素)を受光センサ28の受光領域において分散させて設定している。なお、図6は、この輝度測定結果の一例を示しており、このように得られたデータから露光時間の変化可能幅を決定するようにしている。
【0023】
具体的に、増幅回路31の増幅率を複数段階に変化させ且つ受光センサ28での露光時間を複数段階に変化させたときの各増幅率と各露光時間との組み合わせにおける受光センサ28で得られた各受光結果に基づいて、受光センサ28での露光時間の変化可能幅を決定する。より具体的には、制御回路40によって変化可能となる増幅率の変化可能範囲が予め定められており、増幅回路31の増幅率を変化可能範囲(図6の例では、0dB〜5dB)の最小値(図6では0dB)から最大値(図6では5dB)まで複数段階に変化させる。そして、受光センサ28での露光時間を複数段階(図6では、0dB〜18dBにおいて4段階)に変化させた場合において、変化可能範囲のいずれの増幅率の場合でも、受光センサ28で得られた所定画素の輝度値が所定閾値未満(本実施形態では、所定閾値を250とする)となるときの受光センサ28での露光時間の範囲を露光時間の変化可能幅とするようにしている。
【0024】
まず、図4のステップS21において、露光ゲインを最小に設定する。ここで、露光ゲインとは、受光センサ28での露光時間(シャッタ時間)のゲインと増幅回路31(増幅器)のゲインを加算した値であり、本実施形態では、0dB〜23dBの範囲で変化させることができるようになっている。具体的には、増幅回路31のゲインは、0〜5[db]の範囲で6段階に変化させることができる、受光センサ28での露光時間(シャッタ時間)のゲインは0〜18dBの範囲で4段階に変化させることができる。従って、露光ゲインは、0〜23dBの範囲で24段階に変化させることができる。
【0025】
次に、ステップS22にて、現在設定されている露光ゲイン(即ち、現在設定されている受光センサ28の露光時間及び増幅回路31の増幅率であり、初回では、S21で設定された最小ゲイン)で受光センサ28で撮像された画像を取り込み、続くステップS23にて各輝度測定点P(規定された所定画素)のうちから、例えば最大の輝度値のデータを輝度情報保存値としてメモリ35に保存する。なお、この代表例では、S22で取得し画像における各輝度測定点P(規定された所定画素)の最大輝度を輝度情報保存値としているが、輝度情報保存値は、各輝度測定点Pの輝度値を平均した値を用いてもよい。
【0026】
そして、現在設定されている露光ゲイン(即ち、受光センサの露光時間と増幅回路の増幅率の組み合わせ)で輝度情報保存値が得られた場合には、S24において現在設定されている露光ゲインが最大値(即ち、最大の露光時間と最大の増幅率の組み合わせであり、図6の例では、23dB)であるか否かを判断し、最大でなければS27にて露光ゲインを加算し、新たな露光ゲインでS22の処理(画像取込処理)を行う。このように、露光ゲイン(合計ゲイン)を順次大きくして輝度情報保存値を取得し、ステップS24にて露光ゲイン(合計ゲイン)が最大と判断されるまでS22、S23の処理を繰り返すことになる。
【0027】
例えば、シャッタ時間ゲイン(露光時間)が0dBであり、増幅器ゲイン(増幅率)が0dBの組合せでS23の処理が終了した場合には、S24にてNoに進み、S27では、露光ゲインを1dBにする組合せ(シャッタ時間ゲイン(露光時間)が0dBであり、増幅器ゲイン(増幅率)が1dBの組合せ)に設定し、この設定でS22の処理を行う。一方、シャッタ時間ゲイン(露光時間)が18dBであり、増幅器ゲイン(増幅率)が5dBである最大レベルの組合せでS23の処理が終了した場合には、S24にてYesに進むことになる。
【0028】
そして、ステップS24にて、露光ゲインが最大と判定されると、続くステップS25にて、輝度情報の飽和範囲の判定がなされる。このステップS25では、輝度情報を256階調とした場合、例えば、得られた輝度情報保存値が、0(閾値下限)を超え、250(閾値上限)未満であるか否かが判定される。そして、0<輝度情報保存値<250であれば飽和していないと判定し、そのシャッタ時間ゲインの範囲(露光時間の範囲)を露光制御可変範囲(露光時間変化幅)として決定する(ステップS26)。
【0029】
図6では、図4の処理によって得られた2種類のデータ(輝度情報保存値(例1)と輝度情報保存値(例2))を示している。この2種類のデータは、異なる2つの環境で、図4の処理を行った場合の各例であり、シャッタ時間ゲイン(露光時間に相当)を0、6、12、18[db]と変化させると共に、この各シャッタ時間ゲインで増幅器のゲインを0、1、2、3、4、5[db]と変化させたときにS23で得られた各値を示すものである。このようなデータにおいて、例1の場合には、輝度情報保存値が0を超え、250未満となる範囲は、合計ゲインが0dB〜11dBの範囲であり、増幅率を最大値から最小値まで変化させても所定の閾値(例えば250)に達しないシャッタ時間ゲイン(露光時間)の範囲は、0dBと6dBなので、これらの範囲(二段階)が露光制御可変範囲として設定される。また、例2の場合には、輝度情報保存値が0を超え、250未満となる範囲は、合計ゲインが0dB〜17dBの範囲であり、増幅率を最大値から最小値まで変化させても所定の閾値(例えば250)に達しないシャッタ時間ゲイン(露光時間)の範囲は、0dB、6dB、12dBなので、これらの範囲(三段階)が露光制御可変範囲として設定される。
【0030】
図2のステップS1にて、上述のように露光制御可変範囲が設定されると、続くステップS2にて、計時処理が開始され、情報コードCのデコードが行われていない期間を測定するようになっている。なお、S1の後、所定のトリガ操作がなされた場合にS2以降の処理を行うようにしてもよい。
【0031】
S2の計時開始処理の後には、続くステップS3にて、受光センサ28にて画像の取り込みが行われる。このS3での画像取り込みは、S1で設定された露光制御可変範囲で行われ、例えば図6の例1の場合には、0dB(第1時間)、6dB(第2時間)の範囲で行われることになる。例えば、読み取り開始直後の露光時間のデフォルト値が最大値であれば、増幅率のデフォルト値が5dBの場合には、まず6dBの露光時間及び5dBの増幅率で画像を取り込む。
【0032】
そして、続くステップS4では、露光制御処理が行われる。この露光制御処理は、図3に示すように、まず、ステップS11にて、ステップS2の計時処理にて測定された時間が一定時間経過しているか否かの判定がなされる。ここで、一定時間経過していなければ(S11でNo)、ステップS5に進み、S3で取り込んだ画像に対してデコード処理がなされることとなる。即ち、一定時間が経過するまではS4で特別な設定変更をせずにS5のデコード処理が行われる。そして、デコードが失敗した場合にはS3に戻り、前回の露光ゲイン(合計ゲイン)から変化させたゲインで画像取り込みを行う。例えば、前回のS3で6dBの露光時間及び5dBの増幅率で画像を取り込んでいる場合、6dBの露光時間及び4dBの増幅率で画像を取り込むといった具合に変更すればよい。そして、S3〜S6の処理が繰り返される間、デコードが失敗する毎に、露光時間(シャッタ時間ゲイン)と増幅率(増幅器ゲイン)の組合せをそれぞれ、(6、3)(6、2)(6、1)(6、0)(0、5)(0、4)と変化させてゆけばよい。一方、S6でデコードが成功したと判断された場合には、S6にてYesに進み、そのデコード結果を出力する。
一方、S11にて直近の計時開始(即ち、現在の計時のトリガ時点)から一定時間経過したと判定されると(ステップS11でYes)、続くステップS12にて露光制御可変範囲設定処理がなされ、図4に示したステップS21からの処理が実行されることとなる(即ち、受光センサの露光制御可変範囲が新たに設定されることになる)。そして、S13では、その新たに設定された露光制御可変範囲内において初期値となる露光時間を設定する。そして、続くステップS14にて、ステップS2から行われていた計時処理のカウントがリセットされ、再度計時処理が開始される。計時処理が再度開始した後にはその時点から一定時間経過するまで(即ち、S11でYesに進むまで)、露光制御可変範囲が再設定されずに設定中の露光制御可変範囲内でS3及びS5の処理が繰り返され、一定時間経過した場合には、S11でYesに進んで新たに露光制御可変範囲が設定されることになる。
【0033】
以上説明したように、本第1実施形態に係る情報コード読取装置10では、情報コードCを撮像する受光センサ28と、受光センサ28での露光時間を変化させる露光時間制御手段(制御回路40)と、所定の設定時期に露光時間制御手段によって受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの受光センサでの各受光結果に基づいて、受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定する露光時間変化幅決定手段(制御回路40)とを備えている。そして、所定の読取時期において、露光時間制御手段は、露光時間変化幅決定手段よって決定された露光時間の変化可能幅の範囲内で露光時間が変化可能となっている。これにより、設定時期での具体的な環境に基づいて露光時間の変化可能幅を設定できる。従って、環境に合わない範囲で露光時間が制御されることがなく、不適切な露光時間幅に起因する処理遅延やデコード不良を抑制することができ、読み取り性能を向上させることができる。
【0034】
また、受光センサ28から出力される信号を増幅する増幅回路31と、増幅回路31での増幅率を変化させる増幅率制御手段(制御回路40)とが設けられ、露光時間変化幅決定手段は、設定時期に増幅率制御手段によって増幅回路の増幅率を複数段階に変化させ且つ露光時間制御手段によって受光センサでの露光時間を複数段階に変化させたときの各増幅率と各露光時間との組み合わせにおける受光センサで得られた各受光結果に基づいて、受光センサでの露光時間の変化可能幅を決定するようにしている。このように、露光時間と増幅率を実際に変化させ、それらの組合せでの具体的な受光結果に基づいて露光時間の変化幅を決定すれば、より増幅率をも加味した適切な設定が可能となる。
【0035】
また、増幅率制御手段によって変化可能となる増幅率の変化可能範囲が予め定められている。そして、露光時間変化幅決定手段は、設定時期に増幅率制御手段によって増幅回路31の増幅率を変化可能範囲の最大値から最小値まで複数段階に変化させ且つ露光時間制御手段によって受光センサ28での露光時間を複数段階に変化させた場合において、変化可能範囲のいずれの増幅率の場合でも、受光センサ28で得られた所定画素の輝度値が所定閾値未満となるときの受光センサ28での露光時間の範囲を露光時間の変化可能幅としている。この構成によれば、増幅率が変化可能範囲で変化しても輝度値が所定閾値に達し難い適切な露光時間の変化可能幅を決定できる。
【符号の説明】
【0036】
10…情報コード読取装置
20…回路部
21…照明光源
27…結像レンズ
28…受光センサ
31…増幅回路
35…メモリ
40…制御回路(増幅率制御手段、露光時間制御手段、露光時間変化幅決定手段)
42…スイッチ
C…情報コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6