特許第6065522号(P6065522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065522
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】リモコン装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20170116BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20170116BHJP
   F24H 1/00 20060101ALN20170116BHJP
【FI】
   H04Q9/00 371Z
   H05K7/00 K
   !F24H1/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-240264(P2012-240264)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-90366(P2014-90366A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
(72)【発明者】
【氏名】清原 稔夫
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−86291(JP,U)
【文献】 特開平6−150765(JP,A)
【文献】 特表平11−509961(JP,A)
【文献】 米国特許第6107938(US,A)
【文献】 米国特許第6396380(US,B1)
【文献】 特開2012−205414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q9/00
H05K7/00
F24H1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側が開口された本体ケース内に電装基板が収容されているリモコン本体と、このリモコン本体を壁面に取り付けるための基台金具とで構成され、
前記電装基板の背面側に通信線を接続するための端子台が備えられるとともに、前記基台金具に前記通信線を外部に引き出すための貫通孔が形成されているリモコン装置において、
前記基台金具は、所定形状に加工された一枚の金属製の板材で形成され、前記電装基板と略平行な面内に設けられるとともに、前記壁面に固定された基台金具に前記リモコン本体を取り付けた状態で、前記電装基板の端子台と対面する位置に前記貫通孔が形成されており、
前記端子台は、Y字端子の接続が可能なねじアップ式の端子台で構成されるとともに、前記通信線には2芯の通信ケーブルが用いられ、各芯線に対応して前記端子台が2個設けられ、これら2個の端子台の間を遮る絶縁性の接触防止壁が備えられており、
前記端子台は、前記接触防止壁に沿う方向のうち、前記通信線を前記端子台に接続したときに、当該通信線の金属部分が前記基台金具と電気的に接触するおそれのない側が前記通信線の導入側と規定され、この導入側と規定された側とは反対側の端部が前記基台金具の貫通孔の周縁部に近接して配設されるとともに、この反対側の端部の近傍における前記基台金具と前記電装基板の間隔を前記通信線の直径よりも狭くする間隔調整部が備えられていることを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記間隔調整部は、前記基台金具の貫通孔の周縁部の一部を前記電装基板側に曲折することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はリモコン装置に関し、より詳細には、壁面設置タイプの有線式リモコン装置における通信線の施工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置などの被操作機器の遠隔操作に用いるリモコン装置には、被操作機器とリモコン装置とが通信線によって有線接続されるリモコン装置が提供されている。そして、この種の有線式のリモコン装置には壁面に設置するタイプのものがあり、このような壁面設置型のリモコン装置では、壁面に固定された基台金具に、電装基板などが収容されたリモコン本体が着脱自在に取り付けられている。
【0003】
ところで、このような壁面設置型の有線式のリモコン装置では、リモコン装置に接続する通信線はリモコン装置の背面側から接続するように構成されている。図5はこのようなリモコン装置における通信線の接続例を示している。
【0004】
この図5において、aはリモコン本体を壁面に取り付けるための基台金具、bはリモコン本体のケースに収容される電装基板、cは電装基板bに備えられた端子台dに接続する通信線cを示しており、図示されるように、この種のリモコン装置では、通信線cを接続する端子台dが電装基板bの背面側に基台金具aに面して配設される。そして、この基台金具aには通信線cを外部に引き出すための貫通孔eが形成されており、この貫通孔eを通して通信線cが電装基板上の端子台dに接続されるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3517321号公報の図4および図5参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の構成には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0007】
すなわち、この種のリモコン装置の端子台dは、通信線cに備えられる接続端子fを端子台dに導入・接続する側があらかじめ規定されているが、施工者が誤ってこの導入側とは異なる側から通信線cの接続端子fを端子台dに接続することがある。特に、通信線cに備えられる接続端子fが図示のようなY字端子である場合、規定された導入側とは反対の側から接続端子fが取り付けられることがあった(図5の接続端子fa参照)。
【0008】
そして、このように誤った側から接続端子fが接続されると、当該接続端子fと基台金具aとが電気的に接触する可能性があり、このような接触によって電装基板bに備えられた電子部品gが破損するおそれがあった。特に、給湯装置のリモコン装置においては、給湯装置との通信線cが電源線を兼ねる2芯の通信線で構成される(電源重畳通信方式が採用される)ことから、通信線cの接続端子fが基台金具aと接触するのは好ましくない。なお、図5のhは、接続端子fと通信線cの接続部分を被覆する絶縁性カバーを示しているが、このカバーhを備えていない、あるいは、このカバーhが破損している場合には、接続端子f(または接続端子fと通信線cとの接続部分(かしめ部分)と基台金具aとが接触する可能性が高まっていた。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、通信線を接続する端子台に逆方向から通信線が接続されるのを防止する構造を備えたリモコン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るリモコン装置は、背面側が開口された本体ケース内に電装基板が収容されているリモコン本体と、このリモコン本体を壁面に取り付けるための基台金具とで構成され、上記電装基板の背面側に通信線を接続するための端子台が備えられるとともに、上記基台金具に上記通信線を外部に引き出すための貫通孔が形成されているリモコン装置において、上記基台金具は、所定形状に加工された一枚の金属製の板材で形成され、上記電装基板と略平行な面内に設けられるとともに、上記壁面に固定された基台金具に上記リモコン本体を取り付けた状態で、上記電装基板の端子台と対面する位置に上記貫通孔が形成されており、上記端子台は、Y字端子の接続が可能なねじアップ式の端子台で構成されるとともに、上記通信線には2芯の通信ケーブルが用いられ、各芯線に対応して上記端子台が2個設けられ、これら2個の端子台の間を遮る絶縁性の接触防止壁が備えられており、上記端子台は、上記接触防止壁に沿う方向のうち、上記通信線を上記端子台に接続したときに、当該通信線の金属部分が上記基台金具と電気的に接触するおそれのない側が上記通信線の導入側と規定され、この導入側と規定された側とは反対側の端部が上記基台金具の貫通孔の周縁部に近接して配設されるとともに、この反対側の端部の近傍における上記基台金具と上記電装基板の間隔を上記通信線の直径よりも狭くする間隔調整部が備えられていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明に係るリモコン装置では、端子台において通信線導入側として規定された側とは反対側の端部が基台金具の貫通孔の周縁部に近接して配設されることから、この規定された側の反対側から通信線を端子台に接続すると、当該通信線の基端側(被操作機器側)が基台金具の貫通孔の周縁部に重なるように配設されることになる。
【0012】
そして、端子台の通信線導入側とは反対側の端部近傍の基台金具と電装基板の間隔(両者の隙間)が間隔調整部によって通信線の直径よりも狭く設定されているので、通信線導入側とは反対側から端子台に通信線を接続した状態でリモコン本体を基台金具に取り付けようとすると、基台金具と電装基板との間に介在する通信線が両者の間に挟まって、リモコン本体の取り付けを阻害するように作用し、リモコン本体を基台金具に取り付けることができなくなる。
【0013】
つまり、本発明に係るリモコン装置では、規定された側から通信線を端子台に接続しなければリモコン本体を基台金具に正常に取り付けることができないので、施工者に正しい側からの通信線の接続が促され、通信線の反対側からの接続が解消される。
【0014】
そして、本発明はその好適な実施態様として、上記間隔調整部は、上記基台金具の貫通孔の周縁部の一部を上記電装基板側に曲折することによって形成されることを特徴とする。
【0015】
すなわち、この実施態様のリモコン装置では、基台金具と電装基板の間隔を設定する間隔調整部が、基台金具の貫通孔の周縁部の一部を曲折するだけで形成されるので、間隔調整部の付加に伴って追加される工程は容易かつ簡単なものとなり、本発明を適用したリモコン装置を安価に提供することことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、端子台の通信線導入側とは反対側の端部が基台金具の貫通孔の周縁部に近接して配設されるとともに、端子台の通信線導入側とは反対側の端部近傍の基台金具と電装基板の間隔が通信線の直径よりも狭く設定されることから、通信線導入側とは反対の側から端子台に通信線を接続した状態ではリモコン本体を基台金具に取り付けることができないので、端子台に反対側から通信線が接続される誤施工が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るリモコン装置における通信線接続用の端子台付近の構造の一例を示す部分拡大斜視図である。
図2】同リモコン装置の概略構成を模式的に示した縦断面図である。
図3】同リモコン装置の他の実施形態を模式的に示した縦断面図である。
図4】同リモコン装置の他の実施形態におけるリモコン本体の構造を模式的に示した横断面図である。
図5】従来のリモコン装置における端子台への通信線の誤接続の一例をリモコン装置の背面側から示した部分拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は本発明に係るリモコン装置における通信線接続用の端子台付近の構造を示しており、また、図2は同リモコン装置の概略構成を模式的に示している。
【0021】
これらの図に示すリモコン装置1は、図示しない給湯装置を有線方式で遠隔操作するための操作装置であって、リモコン本体2と、リモコン本体2を壁面Wに取り付けるための基台金具3とで構成されている。
【0022】
リモコン本体2は、リモコン装置1が操作装置として機能するための電子部品等を収容してなるリモコン装置1の本体部分であって、背面が開口された略矩形箱型の本体ケース4と、この本体ケース4内に収容される電装基板5とを主要部として構成されている。
【0023】
ここで、本体ケース4の詳細な説明は省略するが、この本体ケース4はABS樹脂などの合成樹脂等で形成されており、その正面には後述する電装基板5に備えられる電子部品と連係する各種操作スイッチや表示用のディスプレイなどが配設されるようになっている(なお、操作スイッチやディスプレイなどの図示は省略する)。
【0024】
本実施形態に示すリモコン装置1における本体ケース4は、図2に示すように、その背面側を全面的に開口させた構成を採用している。すなわち、本実施形態に示す本体ケース4は背面側に設けられる底板部を省略した構造となっており、本体ケース4が直接基台金具3に取り付けられるように構成することで、リモコン装置1の厚みを薄くしている。なお、本体ケース4の背面側に底板部を備える構成を採用することも可能であるが、その場合でも底板部には後述する通信線6を挿通するための開口が形成される。つまり、本体ケース4の背面側が開口される点では底板部を備える構成と底板部を備えない構成とで相違はない。
【0025】
電装基板5は、リモコン装置1が操作装置として機能するために必要な各種電子部品を実装する基板であって、この電装基板5は本体ケース4内に収容された状態で本体ケース4に取付固定される。そして、この電装基板5の正面側、つまり、本体ケース4側には操作スイッチの接点や表示部のディスプレイなどが配設され、その背面側、すなわち、基台金具3側には給湯装置との通信線6を接続するための端子台7などの各種電子部品が実装されている。
【0026】
端子台7は、リモコン装置1の外部から引き込まれる通信線6を電装基板5に電気的に接続するための接続部であって、本実施形態では、この端子台7としてY字端子の接続が可能なねじアップ式の端子台が用いられている。なお、図1の符号8は、ねじアップ式のねじ、つまり、端子台7にY字端子などの接続端子9を接続・固定するためのねじを示している。
【0027】
ここで、端子台7に関連して通信線6について説明する。本実施形態に示すリモコン装置1は、通信線6を介して給湯装置から電源供給を受けるように構成されている。そのため、この通信線6には2芯の通信ケーブルが使用されており、2芯の各芯線6a,6bに対応して端子台7も1対(2個)設けられている。そして、通信線6においてリモコン装置1に接続される側(通信線6の先端側)の端部は、各芯線6a,6bごとに分離され、分離された各芯線6a,6bの先端に端子台7と接続するための接続端子9がそれぞれ備えられている。なお、図示例では、この接続端子9としてY字端子を用いた場合を示しており、Y字端子と通信線6との接続部分には、当該接続部分を被覆・絶縁する絶縁性カバー10がそれぞれ装着されている。
【0028】
そして、これら1対の端子台7の電装基板5における配設位置ならびに端子台7における通信線6の導入側(接続端子9が挿入される側)は、後述する基台金具3に形成される貫通孔3aの位置との関係で決められている。
【0029】
すなわち、各端子台7は、通信線6の接続端子9を接続した状態で当該通信線6の基端側を基台金具3の貫通孔3aから外部に引出し可能な位置に配設される。また、端子台7における通信線6の導入側は、通信線6を端子台7に接続したときに、当該通信線6の金属部分(具体的には、接続端子9の金属部や通信線6との接続部分(かしめ部分)など)が基台金具3や電装基板5に配置された電子部品等と電気的に接触するおそれのない側が通信線6の導入側として規定される。つまり、端子台7における通信線6の導入側は、電装基板5における電子部品等の配置などに応じてあらかじめ所定の一側(図1に示す例では芯線6aが接続されている紙面において左側)に規定されている。なお、図1において、芯線6bは、通信線6の導入側とは反対側から通信線6を接続した状態(通信線6の逆挿状態)を図示している。
【0030】
そして、このような端子台7の配設位置および端子台7における通信線6の導入側の規定に関連して、本実施形態に示すリモコン装置1では、さらに、端子台7に対して通信線6が規定された導入側とは反対側から導入・接続されるのを防止するために、端子台7における通信線6の導入側の端部とは反対側の端部が基台金具3の貫通孔3aの周縁部に近接するように配設されている。つまり、図1に示すように、各端子台7の通信線導入側とは反対側の端部(図1における端子台7の右側の端部)を基台金具3の貫通孔3aの周縁部に接近させて配設している(この点についての詳細は後述する)。
【0031】
また、各端子台7,7の間には、一方の端子台7に接続された接続端子9が隣接する他方の端子台7(または他方の端子台7に接続された接続端子9)と電気的に接触するのを防止するために、両者の間を遮る絶縁性の接触防止壁部11が備えられている。本実施形態では、この接触防止壁部11は、本体ケース4の一部を電装基板5側に向かって起立状に延出形成することによって形成されており、この延出形成された部分は電装基板5に設けられた貫通孔(図示せず)を通って電装基板5の背面側に突出するように構成されている。
【0032】
一方、基台金具3は、リモコン本体2を壁面Wに取り付けるときの土台となる部材であって、この基台金具3は、一枚の金属製の板材を所定の形状に加工(打抜き、切欠き、曲折等)することによって形成されている。
【0033】
具体的には、この基台金具3は、その全体が本体ケース4の内側に入る大きさに構成されており、少なくとも、同金具3を壁面Wに固定するための固定部(たとえば、ビス止め用の貫通孔)と、リモコン本体2を基台金具3に着脱自在に取り付けるための係合部とを有するとともに(固定部、係合部の構造は公知であるので説明は省略する)、壁面Wに固定された基台金具3にリモコン本体2を取り付けたときに、上述した端子台7,7と対面する位置に、通信線6の基端側を壁面W内などリモコン装置1の外部に引き出すための貫通孔3aが形成されている。
【0034】
そして、本実施形態では、この基台金具3の一部を利用して端子台7に対する通信線6の反対側からの導入・接続(逆挿)を防止するように構成されている。すなわち、本実施形態では、この基台金具3の一部を電装基板5側に曲折することによって、端子台7の通信線導入側とは反対側の端部の近傍における基台金具3と電装基板5との間隔が、通信線6の直径よりも狭くなるように構成されている。つまり、本実施形態では、基台金具3の曲折された部位を用いて基台金具3と電装基板5の間隔を通信線の直径よりも狭く設定する間隔調整部12が形成されている。
【0035】
ここで、「通信線の直径」とは、間隔調整部12によって基台金具3と電装基板5の間隔が狭められた位置(図2図3の符号L参照)に介在することになる通信線の直径の意味であって、間隔調整部12の位置に通信線6の本体部分が介在する場合には当該通信線6本体部分の直径を、また、間隔調整部12の位置に通信線6の絶縁性カバー10が介在する場合は絶縁性カバー10の高さ、つまり、絶縁性カバー10を含んだ通信線6の直径を、さらに、間隔調整部12の位置に通信線6の芯線6a,6bが介在する場合は芯線6a,6bの直径、つまり、芯線6a,6bごとに分離された状態の通信線、さらに、間隔調整部12の位置に通信線6と接続端子9の接続部分(かしめ部分)が介在する場合には当該かしめ部分の高さ、つまり接続端子9を含む通信線6の直径をそれぞれ意味している。
【0036】
本実施形態での間隔調整部12は、基台金具3の貫通孔3aの周縁部において、上記端子台7と隣接する部分を電装基板5側に向けて曲折するとともに、この曲折された部分の先端面と電装基板5の背面側の表面との距離(つまり、基台金具3と電装基板5の隙間L(図2参照))が、上記通信線6の直径よりも狭くなる(小さくなる)ように設定している。
【0037】
そのため、本実施形態に示すリモコン装置1では、端子台7に対して通信線6の導入側として規定された側(通信線導入側)とは反対側から通信線6が接続されると(図1における芯線6bの接続状況参照)、この状態でリモコン本体2を基台金具3に取り付けようとしても、基台金具3と電装基板5との間に介在する通信線6(図示例では芯線6b)が間隔調整部12によって狭められた両者の間に挟まって、基台金具3へのリモコン本体2の取り付けが阻害される。
【0038】
つまり、本実施形態に示すリモコン装置1では、端子台7に正しい向きで通信線6を導入・接続した場合にはリモコン本体1の基台金具3への取り付けが可能であるが、規定された側とは反対の側から通信線6が導入・接続されている場合には、リモコン本体2の基台金具3への取り付けが正しく行われないようになっており、施工者に端子台7への通信線6の正しい施工が促されるようになっている。そのため、本実施形態に示すリモコン装置1では、端子台7に反対側から通信線6が導入・接続される誤施工が解消される。
【0039】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を図3に基づいて説明する。
本実施形態に示すリモコン装置1は、上述した実施形態1に示すリモコン装置1の間隔調整部12の構成を改変している。具体的には、本実施形態では、間隔調整部12を本体ケース4と電装基板5とで構成するようにしている。なお、その他の構成は実施形態1に示すリモコン装置1と同様であるので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図3は本実施形態に係るリモコン装置1の概略構成を示しており、この図3に示すように、本実施形態では、本体ケース4の一部を電装基板5側に起立させて構成するとともに、この起立した部位が電装基板5を貫通して電装基板5の背面側に突出して間隔調整部12を構成するようにしている。
【0041】
すなわち、この図3に示すリモコン装置1では、本体ケース4の電装基板5に対面する面から板状の部材を立ち上げるとともに、電装基板5側はこの板状の部材を挿通する貫通孔を形成している。そして、電装基板5から突出する板状の部位の先端面と基台金具3との間隔Lが通信線6(具体的には、通信線6の各芯線6a,6b)の直径よりも狭くなるようにしている。
【0042】
なお、このように本体ケース4側に間隔調整部12を設ける場合であっても、当該間隔調整部12が形成される位置は、実施形態1と同様に、端子台7の通信線6の導入側とは反対側の端部の近傍に配設され、これにより、この端部近傍における基台金具3と電装基板5との間の間隔Lが通信線6の直径よりも狭くなるように構成される。
【0043】
したがって、この第2の実施形態に示すリモコン装置1においても、端子台7に通信線6が逆挿された状態ではリモコン本体2を基台金具3に取り付けることができず、施工者に端子台7への通信線6の正しい施工が促されるのは実施形態1と同様である。
【0044】
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態を図4に基づいて説明する。
この第3の実施形態に示すリモコン装置1は、端子台7への通信線6の逆挿を防止するにあたり、上述した実施形態1,2に示す間隔調整部12に代えて、端子台7への通信線6の逆挿を直接的に阻害する逆挿規制壁部12′を設けている。なお、その他の構成は実施形態1,2に示すリモコン装置1と同様であるので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図4は、本実施形態に係るリモコン装置1のリモコン本体2の構造の概略構成を示しており、この図に示すように、本実施形態に係るリモコン装置1では、本体ケース4の内壁に端子台7への通信線6の逆挿を防止する逆挿規制壁部12′が備えられている。
【0046】
この逆挿規制壁部12′は、端子台7の配設方向、すなわち、端子台7に対する通信線6の導入・接続方向と直交して設けられる板状の部材で構成されており、この板状の部材が端子台7の通信線導入側とは反対側の端部に近接して配設されることによって、端子台7への通信線6の逆挿が阻害されるようになっている。
【0047】
本実施形態では、この逆挿規制壁部12′は、図4に示すように、本体ケース4の内壁から内側に向かって板状の部位を起立して設けることによって構成されている。そして、その具体的な形状については、たとえば図4に示すように、電装基板5を本体ケース4に収容した状態において、逆挿規制壁部12′が電装基板5の背面側の面からわずかに浮いた状態(具体的には、電装基板5を本体ケース4内に収容するにあたり、この逆挿規制壁部12′を避けて電装基板5を斜め方向からスライドさせて収容可能な程度の隙間ができる状態)で配設されている。そして、本実施形態では、この逆挿規制壁部12′は、図4に示すように、電装基板5を斜め方向からスライドさせて本体ケース4に挿入できるように、スライドさせる入口側が広く、奥側が狭くなるような略テーパ形状に構成され、電装基板5の挿入が容易となるように構成している。
【0048】
このように逆挿規制壁部12′が形成されることにより、本実施形態に示すリモコン装置1においても端子台7への通信線6の逆挿が阻害され、施工者に対して端子台7への通信線6の正しい施工が促される。
【0049】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0050】
たとえば、上述した実施形態では端子台7に接続される接続端子9としてY字端子を用いた場合を示したが、Y字以外の形状の接続端子が用いられていてもよいことは勿論のこと、接続端子9を用いずに通信線6の芯を直接端子台7に接続するような場合であっても本発明は適用可能である。
【0051】
また、上述した実施形態では、端子台7に接続される通信線6が電源線を兼ねる構成を示したが、本発明はこのような電源線を兼ねる通信線に限らず、通信のみを行う通信線や信号線など他の態様の通信線にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 リモコン装置
2 リモコン本体
3 基台金具
4 本体ケース
5 電装基板
6 通信線
6a,6b 通信線の芯線
7 端子台
9 接続端子
10 絶縁性カバー
11 接触防止壁部
12 間隔調整部
12′ 逆挿規制壁部
図1
図2
図3
図4
図5