特許第6065532号(P6065532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065532
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】ブロワの送風管
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/46 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   F04D29/46 H
   F04D29/46 J
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-249403(P2012-249403)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-98320(P2014-98320A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(72)【発明者】
【氏名】横山 仁一
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−130705(JP,U)
【文献】 実開平02−029603(JP,U)
【文献】 実開昭62−034198(JP,U)
【文献】 実開昭56−037905(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源により回転駆動されるファンを収容するとともに管状に形成される空気出口部が設けられたブロワ本体に装着されるブロワの送風管であって、
前記空気出口部に連通する第1の送風通路を形成する第1の送風管部材と、
前記空気出口部に連通するとともに前記第1の送風通路に沿って設けられる第2の送風通路を内周面と前記第1の送風管部材の外周面との間に形成する第2の送風管部材と、
前記第2の送風通路への前記ブロワ本体からの送風量を変化させる風量調整機構とを有し、
前記第1の送風管材は、先端側に向けて径が小さくなるテーパ部と、半径方向で前記テーパ部の先端側に偏って設けられた通気孔と、を備え、
前記風量調整機構は、前記通気孔の開度を、前記テーパ部に対応する前記第2の送風管部材の傾斜させた面に設けられた開閉部材により変化させ、前記テーパ部に沿って流れて前記通気孔を通過して前記第2の送風通路に導かれた空気は、前記第1の送風管部材の外周面を流れて前記第1の送風通路を流れる空気とともに噴出されることを特徴とするブロワの送風管。
【請求項2】
前記通気孔は、前記テーパ部の周方向に略等間隔に複数形成され、前記テーパ部の先端側に向けて幅が狭くなる略台形の形状とされることを特徴とする請求項1記載のブロワの送風管。
【請求項3】
前記第2の送風管部材を前記第1の送風管部材に対して回動自在に前記ブロワ本体に装着し、前記第2の送風管部材に設けられた開閉部材に、前記第2の送風管部材の回動によって前記通気孔の開度を変化させる連通孔を設けることを特徴とする請求項1または2記載のブロワの送風管。
【請求項4】
前記第2の送風管部材を前記第1の送風管部材に沿って軸方向に移動自在に前記ブロワ本体に装着し、前記第2の送風管部材に設けられた開閉部材と前記通気孔との間隔を変化させて前記通気孔の開度を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロワの送風管。
【請求項5】
前記第2の送風管部材の先端部に送風口に向けて小径となったテーパ形状の絞り部を設け、前記第2の送風通路から噴出した空気を、前記第1の送風通路から噴出した空気に向けて付勢することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のブロワの送風管。
【請求項6】
前記第1の送風管部材の先端を前記第2の送風管部材の先端よりも突出させることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のブロワの送風管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロワの空気出口部から吐出される送風空気を案内するブロワの送風管に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンや電動モータを駆動源とする携帯型の動力工具には、作業対象物に空気を吹き付けるようにしたブロワつまり送風機があり、ブロワは、例えば落葉を作業対象物としてこれの吹き集め等の清掃作業を行うために使用される。ブロワは動力源と動力源により回転駆動されるファンとが組み込まれたブロワケースつまりブロワ本体を有し、ブロワ本体の空気出口部には、空気を作業対象物に向けて案内するための送風管が装着される。
【0003】
ブロワによる落葉の清掃作業には、その作業の性格上、大量の落葉を吹き集める作業等に代表される風量重視の作業と、地面に張り付いた濡れ落ち葉の引き剥がし作業等に代表される風速重視の作業とがある。従来の携帯型のブロワには、風量重視の作業と風速重視の作業に応じて、送風管を交換するようにしたタイプがある。また、作業対象物に吹き付けられる空気の風量、風向および風圧を調節する加圧風調節機構を送風管の先端部に設けたタイプのブロワが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−34198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されるように、送風管の先端部に加圧風調節機構を組み込むようにすると、送風管の構造が複雑になるだけでなく、ブロワ本体から離れた位置の加圧風調節機構を作業者が手動操作しなければならないので、風量を変化させるときに作業を中断して加圧風調節機構を操作する必要があり、作業能率が悪いという問題点がある。
【0006】
一方、作業対象物に応じて送風管を交換するタイプにおいても、作業中に送風管を交換するために送風管を着脱する作業が必要であり、作業能率の低下を招くだけでなく、交換用の送風管を紛失させる要因となっている。
【0007】
本発明の目的は、ブロワの作業能率を向上させることができるブロワの送風管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブロワ送風管は、動力源により回転駆動されるファンを収容するとともに管状に形成される空気出口部が設けられたブロワ本体に装着されるブロワの送風管であって、前記空気出口部に連通する第1の送風通路を形成する第1の送風管部材と、前記空気出口部に連通するとともに前記第1の送風通路に沿って設けられる第2の送風通路を内周面と前記第1の送風管部材の外周面との間に形成する第2の送風管部材と、前記第2の送風通路への前記ブロワ本体からの送風量を変化させる風量調整機構とを有し、前記第1の送風管材は、先端側に向けて径が小さくなるテーパ部と、半径方向で前記テーパ部の先端側に偏って設けられた通気孔と、を備え、前記風量調整機構は、前記通気孔の開度を、前記テーパ部に対応する前記第2の送風管部材の傾斜させた面に設けられた開閉部材により変化させ、前記テーパ部に沿って流れて前記通気孔を通過して前記第2の送風通路に導かれた空気は、前記第1の送風管部材の外周面を流れて前記第1の送風通路を流れる空気とともに噴出されることを特徴とする。
【0009】
本発明のブロワの送風管は、前記通気孔は、前記テーパ部の周方向に略等間隔に複数形成され、前記テーパ部の先端側に向けて幅が狭くなる略台形の形状とされることを特徴とする。本発明のブロワの送風管は、前記第2の送風管部材を前記第1の送風管部材に対して回動自在に前記ブロワ本体に装着し、前記第2の送風管部材に設けられた開閉部材に、前記第2の送風管部材の回動によって前記通気孔の開度を変化させる連通孔を設けることを特徴とする。本発明のブロワの送風管は、前記第2の送風管部材を前記第1の送風管部材に沿って軸方向に移動自在に前記ブロワ本体に装着し、前記第2の送風管部材に設けられた開閉部材と前記通気孔との間隔を変化させて前記通気孔の開度を変化させることを特徴とする。
【0010】
本発明のブロワの送風管は、前記第2の送風管部材の先端部に送風口に向けて小径となったテーパ形状の絞り部を設け、前記第2の送風通路から噴出した空気を、前記第1の送風通路から噴出した空気に向けて付勢することを特徴とする。本発明のブロワの送風管は、前記第1の送風管部材の先端を前記第2の送風管部材の先端よりも突出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
送風管は、第1の送風通路とこの第1の送風通路に沿って設けられる第2の送風通路とを有し、前記第1の送風通路と前記第2の送風通路のいずれか一方へのブロワ本体からの送風量を風量調整機構により変化させるようにしているので、風量調整機構により、一方の送風通路の送風口から空気を噴出させる状態と、両方の送風通路の送風口から空気を噴出させる状態とに作業を中断することなく切り換えることができる。風量調整機構をブロワ本体の空気出口部に近い位置で操作することができるので、風量調整操作を容易に行うことができる。このように、ブロワの風量調整操作を容易に行うことができるので、ブロワの作業性を向上させることができる。
【0012】
第1の送風通路と第2の送風通路とを内外二重構造の2つの送風管部材により形成すると、第1の送風通路の送風口から噴出された空気に向けて、第2の送風通路の送風口から噴出された空気が付勢されるので、両方の送風口から噴出された空気の拡散が防止されて、作業対象物に集中的に送風することができ、ブロワによる清掃作業等の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態である送風管を有するブロワを示す斜視図である。
図2図1に示された送風管の拡大正面図である。
図3図2の縦断面図である。
図4】(A)は図3の4A−4A線拡大断面図であり、(B)は図3の4B−4B線拡大断面図である。
図5】送風管を図4に示した風速重視位置から中間位置に風量調整した状態を示し、(A)は図4(A)と同一の部分の断面図であり、(B)は図4(B)と同一の部分の断面図である。
図6】送風管を風量重視位置に風量調整した状態を示し、(A)は図4(A)と同一の部分の断面図であり、(B)は図4(B)と同一の部分の断面図である。
図7図2に示した送風管からの送風状態を示す送風管先端部の断面図である。
図8】変形例の送風管の一部を示す断面図である。
図9】他の変形例の送風管を示す断面図である。
図10図9に示す風速重視位置から風量重視位置に風量調整した状態における送風管を示す断面図である。
図11】(A)は図9の11A−11A線断面図であり、(B)は図9の11B−11B線断面図である。
図12】従来の送風管が設けられたブロワを示す斜視図である。
図13図12に示された送風管の拡大正面図である。
図14図13の断面図である。
図15図14に示した送風管からの送風状態を示す送風管先端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、携帯用のブロワ10は、図示しないファンとこれを回転駆動する動力源としてのエンジンが収容されるブロワケースつまりブロワ本体11を有している。エンジンによりファンが駆動されると、ファンにより外部の空気が吸引されて空気流つまり送風空気が生成される。生成された空気流をブロワ本体11から吐出するために、ブロワ本体11には空気出口部12が設けられている。ブロワ本体11には、作業者により把持される操作ハンドル13が設けられており、作業者は操作ハンドル13の部分でブロワ10を持って、作業対象物への送風作業を行う。操作ハンドル13にはエンジン回転数を調整するための操作レバー14が設けられている。
【0015】
空気出口部12に設けられた円筒形状のジョイント部15には、図1および図2に示すように、送風管20が装着されている。送風管20は、図3に示されるように、メイン送風管としての第1の送風管部材21とこれよりも大径のサブ送風管としての第2の送風管部材22とを有しており、両方の送風管部材21,22は同軸に沿った状態となってジョイント部15に装着される。2つの送風管部材21,22は、それぞれ横断面が円形の管ないし筒状の部材により形成されており、両端部は開口されている。
【0016】
第1の送風管部材21は、円柱形状のメイン送風通路つまり第1の送風通路23を有するストレート部24と、このストレート部24にテーパ部25を介して一体となった基端部26とを有し、ストレート部24の先端にはメイン送風口としての第1の送風口27が設けられ、基端部26はブロワ本体11の空気出口部12に連通している。基端部26はジョイント部15の内面に嵌合されており、図3および図4(B)に示されるように、基端部26には径方向外方に突出して爪部28が設けられ、ジョイント部15の内面には爪部28が係合する凹部29が設けられている。爪部28は、図4(B)に示されるように、円周方向に約180度の位相をずらして2つ設けられており、凹部29も爪部28に対応させて2つ設けられている。それぞれの爪部28を凹部29に係合させることにより、第1の送風管部材21はジョイント部15の内面に嵌合して固定される。ストレート部24は基端部26よりも小径となっており、テーパ部25は基端部26からストレート部24に向かうに従って小径となるように傾斜している。
【0017】
第2の送風管部材22は、全体的にほぼ同一径となっており、ジョイント部15の外面に回動自在に嵌合される基端部31を有している。ジョイント部15の外周面には、図3に示されるように、環状の突起部32が設けられ、この突起部32入り込む環状の凹部33が基端部31に設けられている。これにより、第2の送風管部材22に回転力を加えると、第2の送風管部材22は突起部32に案内されて揺動運動つまり一定の回動範囲で回動往復運動する。この回動範囲を規制するために、基端部31の内周面には、図4(B)に示されるように、爪部34が径方向内方に突出して設けられ、この爪部34が入り込む溝部35がジョイント部15の外周面に円周方向に伸びて形成されている。爪部34は円周方向に約180度位相をずらして2つ設けられており、溝部35も爪部34に対応させて2つ設けられている。それぞれの溝部35は第2の送風管部材22の回動角度θに対応した円周方向の長さを有しており、第2の送風管部材22の回動角度θは約45度となっている。それぞれの溝部35の両端にはストッパ面35a,35bが設けられており、第2の送風管部材22は両方のストッパ面35a,35bの間で回動自在となっている。
【0018】
図3に示されるように、第2の送風管部材22と第1の送風管部材21のストレート部24との間は、円筒形状のサブ送風通路つまり第2の送風通路36となっている。第2の送風管部材22の先端部には、先端面に向けて小径となるように傾斜したテーパ形状の絞り部37が設けられており、絞り部37の先端はサブ送風口としての第2の送風口38となっている。第1の送風管部材21の先端は、第2の送風管部材22の先端よりも突出し、第2の送風口38は、第1の送風口27よりも後退しており、第2の送風口38は環状の送風口となっている。このように、第1の送風管部材21の外側に配置される第2の送風管部材22は、第1の送風管部材21の全体を覆うことなく、少なくとも一部を覆うように配置される。
【0019】
図3に示されるように、第2の送風管部材22の内面には、第1の送風管部材21のテーパ部25の前面に接触するテーパ形状の開閉部材40が径方向内方に突出して設けられており、この開閉部材40は送風管部材21に傾斜した状態となって一体に設けられている。テーパ部25には、図4(A)において破線で示されるように、円周方向に90度の位相をずらして4つの通気孔41が設けられている。それぞれの通気孔41は円周方向に角度αの範囲に円弧状に伸びており、この角度αは約45度となっている。図4(A)において約45度の位相をずらして開閉部材40には、4つの連通孔42が設けられている。それぞれの連通孔42は円周方向に通気孔41とほぼ同一の角度αの範囲に円弧状に伸びている。ただし、通気孔41と連通孔42の数は、図示する形態に限定されることなく、任意の数とすることができる。
【0020】
このように、連通孔42が設けられた風量調整部材としての開閉部材40と、通気孔41が設けられた第1の送風管部材21のテーパ部25とにより、風量調整機構39が構成される。
【0021】
第1の送風管部材21には、図3に示されるように、ストレート部24と基端部26との間にテーパ部25を設け、通気孔41をテーパ部25に設けるようにしているが、テーパ部25を径方向に伸びた径方向段部とし、その径方向段部に通気孔41を設けるようにしても良い。その場合には、開閉部材40は第2の送風管部材22に径方向に設けられることになる。
【0022】
図4に示されるように、テーパ部25の通気孔41と開閉部材40の連通孔42とが円周方向に離れた状態となるように、第2の送風管部材22の円周方向位置を設定すると、通気孔41が開閉部材40により閉じられるので、送風管20は風速重視位置つまり風速重視モードとなる。この位置においては、爪部34が溝部35の一方のストッパ面35aに当接しているので、図3において矢印Gで示すように、空気出口部12から基端部26内に送風された空気は、第1の送風通路23のみを矢印Mで示すように流れて第1の送風口27から噴出される。このときには、第1の送風通路23が基端部26よりもテーパ部25を介して通路面積が絞られているので、第1の送風通路23を流れる矢印Mで示す空気は、通気抵抗増大により風量は減少するものの風速は増大される。風速が増大することにより、大風速での風速重視の作業を行うことができる。
【0023】
一方、第2の送風管部材22を図4(A)において反時計方向に回動させると、風量調整部材つまり開閉部材40の連通孔42がテーパ部25の通気孔41に徐々に重なり合うことになり、通気孔41の開度が大きくなる。通気孔41と連通孔42をオーバーラップさせて通気孔41の開度を大きくすると、空気出口部12から送風された空気の一部は、図3において破線の矢印Sで示すように第2の送風通路36に流入する空気の量は多くなる。このように、通気孔41が開放されると、第2の送風通路36を流れて第2の送風口38から吐出される空気の流れが発生し、送風管20は風量重視位置つまり風量重視モードとなる。
【0024】
図5(A)は第2の送風管部材22を最大回動範囲の中間位置まで回動した状態を示し、図6(A)は第2の送風管部材22を最大回動範囲にまで回動した状態を示す。第2の送風通路36に流れる空気の量が多くなると、テーパ部25による通路面積の抑制が緩和されて通気抵抗が減少するので、風速は減少するものの送風管20から噴出される合計風量は増大し、大風量での風量重視の作業を行うことができる。図6(A)は通気孔41と連通孔42が一致し、爪部34がストッパ面35bに当接した状態を示し、このときは通気孔41が全開状態となって合計風量が最大値となる。
【0025】
両方の送風口27,38から空気を噴出させるときには、送風口27から円柱形状となって噴出される内側の空気に、これを囲むように送風口38から円筒形状となって噴出される外側の空気が内側に空気を覆うように付勢されるので、両方の送風口27,38から噴出される空気が整流されて送風空気の拡散が防止される。特に、両方の送風口27,38から空気を噴出させるときには、図7に示すように、絞り部37により第2の送風口38から噴出される空気は内側に巻き込まれる旋回流Vとなるので、送風口27から円柱状となって噴出される空気には、旋回流Vが囲むように付勢され、両方の送風口27,38から噴出空気の拡散が確実に防止され、大風量での風速重視の作業を行う際には作業対象に向けて集中的に空気を吹き付けることができる。
【0026】
テーパ部25の通気孔41の開度を調整する開閉部材40は、第1の送風管部材21の外側に配置された第2の送風管部材22に設けられているので、作業者はブロワ本体11に近い部分に配置された基端部31を操作することにより、第2の送風管部材22を回動操作することができる。これにより、一方の手で操作ハンドル13を把持してブロワ10を把持した状態のもとで、他方の手で第2の送風管部材22を回動操作することができ、作業対象物に対する空気の吹き付け作業を中断することなく、風速重視作業と風量重視作業とに切り換えることができ、作業性が向上する。
【0027】
上述のように、送風管20を有するブロワ10は、作業者が送風管の交換や脱着操作を行うことなく、第2の送風管部材22の回動操作によって通気孔41の開度を無段階に調整することで、作業内容に応じて風量と風速を無段階に調整しながら作業を行うことができる。さらに、図7に示すように、大風量作業時には絞り部37により第2の送風口38から噴出した空気が第1の送風口27から噴出した空気に付勢されて噴出空気の拡散が防止されるので、作業対象物の拡散を抑制することができ、作業能率が飛躍的に向上する。
【0028】
図8は変形例の送風管20の一部を示す断面図である。この送風管20の第1の送風管部材21の構造は、上述した送風管部材21と同様となっており、テーパ部25には図示しない通気孔41が設けられている。第2の送風管部材22には開閉部材40が設けられておらず、第2の送風管部材22はジョイント部15に固定されている。開閉部材40は、第1の送風管部材21の基端部26の内側に回動自在に装着された円筒部材43の先端部に設けられており、この開閉部材40はテーパ部25の内面に接触している。この開閉部材40には、図4(A)に示された開閉部材40と同様に連通孔42が設けられている。円筒部材43の基端部には、操作ノブ44が空気出口部12の径方向外方に突出して設けられており、その操作ノブ44により開閉部材40が約45度の範囲で回動操作される。
【0029】
このように、開閉部材40を第2の送風管部材22から分離させても、上述した場合と同様に、操作ノブ44の操作により風速重視作業と風量重視作業とに切り換えることができる。
【0030】
図9は他の変形例の送風管を示す断面図であり、図10図9に示す風速重視位置から風量重視位置に風量調整した状態における送風管を示す断面図である。図9および図10に示す送風管20における第1の送風管部材21の構造は、図3に示した送風管部材21と同一である。これに対し、第2の送風管部材22はブロワ本体11のジョイント部15に対して軸方向に直線往復移動自在つまり並進移動自在に装着されている。第2の送風管部材22を軸方向に往復動させるために、図9に示されるように、ジョイント部15には軸方向に伸びた溝部45が設けられ、この溝部45に係合する爪部46が第2の送風管部材22の基端部31に設けられている。溝部45は、図11(B)に示されるように、ジョイント部15に円周方向に180度の位相をずらして2つ設けられており、爪部46も溝部45に対応させて第2の送風管部材22の基端部31に2つ設けられている。図9に示されるように、第2の送風管部材22を後退限位置まで移動させると、爪部46が溝部45のストッパ面45aに当接する。一方、第2の送風管部材22を前進限位置まで移動させると、爪部46は溝部45のストッパ面45bに当接する。
【0031】
第2の送風管部材22に設けられた開閉部材40には、図3に示した送風管部材22と相違して、図11(A)に示されるように、上述した連通孔42は設けられていない。これにより、図9に示されるように、開閉部材40を後退限位置まで移動させると、開閉部材40がテーパ部25に接触して通気孔41は閉じられる。一方、図10に示されるように、開閉部材40を前進限位置まで移動させると、開閉部材40とテーパ部25との間の間隔が所定値以上大きくなり、通気孔41は全開状態となる。第2の送風管部材22を、図9図10の間の間隔を調整することにより、通気孔41は全開と全閉の間の任意の開度に調整される。
【0032】
このように、開閉部材40を第2の送風管部材22により軸方向に往復動させて通気孔41の開度を調整する形態においても、図8に示されるように、開閉部材40を第2の送風管部材22から分離させるようにしても良い。その場合には、図8に示した円筒部材43を軸方向に往復動させて、その円筒部材43に開閉部材40を設けることになる。
【0033】
図12は従来の送風管が設けられたブロワを示す斜視図である。図13図12に示された送風管の拡大正面図であり、図14図13の断面図である。図15図14に示した送風管の通気口からの送風状態を示す送風管の先端部の断面図である。
【0034】
従来の送風管50は、ブロワ本体11の空気出口部12に固定される基端側送風管51と、この先端に着脱自在に装着される先端側送風管52とを有しており、二段連結構造となっている。先端側送風管52の先端部は送風口53に向かって径が小さくなったテーパ形状となっており、送風口53の径は、基端側送風管51の送風口54の径よりも小径となっている。風量重視の作業を行う場合には、作業者は先端側送風管52を基端側送風管51から取り外し、送風口53よりも面積の大きい送風口54から空気を噴出させる。一方、風速重視の作業を行う場合には、先端側送風管52を装着して送風口53から空気を噴出させる。このときには、送風口53の面積が送風口54よりも小さいため、風量重視の場合よりも風速が増大する。
【0035】
しかしながら、図12図14に示すように、送風管を二段連結構造とすると、作業中に風量重視の作業と風速重視の作業とに切り換えるには、作業を中断して送風管の着脱作業が必要となり作業能率を高めることができないだけでなく、先端側送風管52を紛失させる要因となる。また、送風通路が1つであるため、図15に示すように、送風口54から噴出された空気は周囲の空気抵抗により拡散されてしまう。このため、落葉等の作業対象物が拡散させてしまう方向に吹き飛ばされてしまい、特に大風量での作業時に作業能率を低下させる要因となる。しかも、先端側送風管52は、ブロワ本体11から離れており、その着脱操作を容易に行うことができなかった。
【0036】
これに対し、上述したそれぞれの形態の送風管20においては、作業者が送風管の交換や脱着操作を行うことなく、第2の送風管部材22の回動操作等によって通気孔41の開度を無段階に調整することで、作業内容に応じて風量と風速を無段階に調整しながら作業を行うことができる。この調整作業は、ブロワ10を把持した状態のもとで、作業対象物に対する空気の吹き付け作業を中断することなく行うことができ、作業性を向上させることができる。さらに、両方の送風口27,38から送風する大風量作業時には、送風口27から噴出される空気を送風口38から噴出される空気が囲むように付勢するので、噴出空気の拡散が防止されて、作業対象物に集中的に空気を吹き付けることができる。これにより、作業対象物の拡散を抑制することができ、作業能率を飛躍的に向上させることができる。
【0037】
上述した実施の形態においては、外側の第2の送風通路36の送風量を変化させるようにしているが、内側の第1の送風通路23の送風量を変化させるようにしても良い。また、上述した実施の形態においては、第1の送風管部材21と第2の送風管部材22とを内外二重管構造として、第1の送風通路23の外側に第2の送風通路36を形成するようにしているが、横断面半円形状の2つの送風管部材を並列に沿った状態に配置するようにしても良い。
【0038】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図1に示されるブロワ本体11には駆動源としてのエンジンが組み込まれているが、駆動源として電動モータが搭載された形態のブロワとしても良い。
【符号の説明】
【0039】
10…ブロワ、11…ブロワ本体、12…空気出口部、13…操作ハンドル、14…操作レバー、15…ジョイント部、20…送風管、21…第1の送風管部材、22…第2の送風管部材、23…第1の送風通路、24…ストレート部、25…テーパ部、26…基端部、27…第1の送風口、28…爪部、29…凹部、31…基端部、32…突起部、33…凹部、34…爪部、35…溝部、36…第2の送風通路、37…絞り部、38…第2の送風口、39…風量調整機構、40…開閉部材、41…通気孔、42…連通孔、43…円筒部材、44…操作ノブ、45…溝部、46…爪部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15