(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065548
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】貯湯給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
F24H1/18 301Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-260834(P2012-260834)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-105956(P2014-105956A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆起
(72)【発明者】
【氏名】長尾 英也
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0004790(US,A1)
【文献】
特開2013−221720(JP,A)
【文献】
特開2006−158027(JP,A)
【文献】
特開2008−232478(JP,A)
【文献】
特開2012−032117(JP,A)
【文献】
特開2012−230461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18 − 1/20
F24H 4/00 − 4/06
F24D 17/00 − 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯槽と、前記貯湯槽内の湯水を沸き上げ運転の実行により所定の設定温度まで沸き上げて貯湯として蓄熱するための熱源装置と、前記貯湯槽内の貯湯に水を所定の混合比で混水して給湯設定温度に温調するための混合手段とを備えた貯湯給湯システムにおいて、
商用電力に関する情報を取得するための電源情報取得制御部と、この電源情報取得制御部で取得された計画停電に係る情報に基づいて前記混合手段を給湯設定温度に温調可能な混合比になるよう前記計画停電の開始時間前に変更作動させる電源状況対応制御部とを備えている、
ことを特徴とする貯湯給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯槽を備えた貯湯給湯システムに関し、特に商用電力に関する情報、例えば計画停電や電力需給予測等の情報に基づき沸き上げ量等を事前に変更調整し得るようにする技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から取り込んだ情報に基づき運転制御に活用するようにした貯湯給湯システムが提案されている。例えば、特許文献1には、地域の断水情報に基づき沸き上げ動作を停止する一方、断水中の給湯には貯湯タンク頂部の安全弁を開放して内部に空気を入れることにより貯湯タンク底部の低温水を給湯に使用する、ことが記載されている。又、特許文献2には、気象情報に基づき結露防止制御等を実行する、ことが記載されている。さらに、特許文献3には、リモコンに運転日時等を入力設定してヒートポンプを予約運転する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−232344号公報
【特許文献2】特開2004−28459号公報
【特許文献3】特開2006−183939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、電力の供給量と使用量とがアンバランスな傾向に陥り、電力使用量に比して電力供給量が乏しい状況に陥る懸念もある。対策の一環として、事前に計画・報知した上で所定時間帯に停電を生じさせるという計画停電も実行され得るような電力状況も生じている。ヒートポンプを作動させることにより貯湯槽内の湯水を沸き上げて貯湯するという貯湯給湯システムにおいては、停電が生じるとヒートポンプを作動させることはできず、沸き上げ運転を行うことが不能となってしまうことになる。このため、貯湯槽内の貯湯の残量が低下したり湯切れが生じたりする事態も生じ得る。又、計画停電のみならず、電力需給が逼迫している時間帯には、電力使用超過に起因して電力システムがダウンして不意の停電が生じるおそれもある。従って、このような電力需給が逼迫している時間帯には、なるべく電力使用を控えて節電に協力することも望まれるところである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、商用電力に関する情報に基づき、
計画停電中に給湯使用が生じた場合でも、ほぼ給湯設定温度での給湯を行い得る貯湯給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本願発明では、貯湯槽と、前記貯湯槽内の湯水を沸き上げ運転の実行により所定の設定温度まで沸き上げて貯湯として蓄熱するための熱源装置と、前記貯湯槽内の貯湯に水を所定の混合比で混水して給湯設定温度に温調するための混合手段とを備えた貯湯給湯システムを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、商用電力に関する情報を取得するための電源情報取得制御部と、この電源情報取得制御部で取得された計画停電に係る情報に基づいて前記混合手段を給湯設定温度に温調可能な混合比になるよう前記計画停電の開始時間前に変更作動させる電源状況対応制御部とを備えることとした(請求項
1)。
【0011】
この発明の場合、給湯使用が終了してから停電になれば、本来であれば、混合手段の混合比は混水量がより多くなり、給湯使用があれば給湯設定温度とはかけ離れた冷たい温水が給湯されてしまうところ、計画停電の開始時間前に混合比が給湯設定温度に対応したものに変更作動されるため、計画停電中に給湯使用が生じた場合でも、ほぼ給湯設定温度での給湯が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、請求項1の貯湯給湯システムによれば、給湯使用が終了してから停電になれば、本来であれば、混合手段の混合比は混水量がより多くなり、給湯使用があれば給湯設定温度とはかけ離れた冷たい温水が給湯されてしまうところ、計画停電の開始時間前に混合比が給湯設定温度に対応したものに変更作動されるため、計画停電中に給湯使用が生じた場合でも、ほぼ給湯設定温度での給湯を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る貯湯給湯システムの全体模式図である。
【
図2】
図1の貯湯給湯システムをより詳細に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る貯湯給湯システムを示す。この貯湯給湯システムは、貯湯槽を内蔵する貯湯給湯部1と、熱源装置としてのヒートポンプ作動系2とを備え、これらがコントローラ10により作動制御されて、ヒートポンプ作動系2による沸き上げ、給湯栓6等への給湯や、浴槽9への注湯及び追い焚き等の運転が行われるようになっている。又、コントローラ10はネットワーク11と接続され、このネットワーク11を介して所定のサーバー12から各種情報を取得し得るようになっている。
【0018】
図2は貯湯給湯部1の詳細図である。同図中の符号3は貯湯槽、4は外部から水道水等を貯湯槽3等に給水するための給水回路、5は貯湯槽3からの貯湯を用いて給湯栓6等に給湯する給湯回路、7は給湯回路5からの湯を追い焚き用の加熱源とする風呂追い焚き回路、8は給湯回路5から浴槽9に注湯することにより浴槽9に湯張りするための注湯回路である。
【0019】
ヒートポンプ作動系2は、主熱源としてのヒートポンプ21の排熱との熱交換加熱により貯湯槽3内の湯水を所定の沸き上げ設定温度まで沸き上げて貯湯槽3に蓄熱するためのものである。このヒートポンプ作動系2は、前記のヒートポンプ21と、沸き上げ循環ポンプ22と、入側温度センサ23と、出側温度センサ24とからなる。ヒートポンプ21は、圧縮機25と、凝縮熱交換器26と、膨張弁27と、蒸発器28とを冷媒循環配管29で順に接続したものである。そして、沸き上げ運転制御の開始により、凝縮用熱交換器26において高温状態の冷媒と、沸き上げ循環ポンプ22により貯湯槽3の底部から供給された水とを熱交換させることで水が熱交換加熱され、熱交換加熱により沸き上げられた湯が沸き上げ循環路20を通して貯湯槽3の頂部に戻されて貯湯槽3内で温度成層を形成して蓄熱されることになる。この際、入側温度センサ23により貯湯槽3の底部からの湯水温度と、出側温度センサ24による熱交換加熱後の湯水温度との差温の情報、ヒートポンプ21側の冷媒温度や、ヒートポンプ21側への湯水の通過流量の調整等に基づき、貯湯槽3の頂部に戻される熱交換加熱後の湯水温度が所定の沸き上げ設定温度になるよう、コントローラ10により沸き上げ運転制御されることになる。
【0020】
貯湯槽3は例えばステンレス製等の圧力容器により密閉式に構成され、その底部に連通接続された後述の主給水路41から給水を受けて常に充満状態にされ、その水(低温水)がヒートポンプ作動系2により所定の沸き上げ設定温度を目標にして熱交換加熱されて貯湯されるようになっている。つまり、貯湯槽3内の湯水が消費されれば、その消費された分だけ水道水等の給水圧に基づいて主給水路41から貯湯槽3に給水し得るようになっている。貯湯槽3には、頂部から底部にわたる上下方向各位置での内部の貯湯温度を検出するために、貯湯温度センサ31,32,33,34,35が上下方向の所定の各位置に設置されている。
【0021】
給水回路4は、主給水路41の上流端が逆止弁42や減圧弁43を介して外部の水道管等に接続され、下流端が貯湯槽3の底部に接続されている。主給水路41の上流側から分岐した混水用給水路44が給湯回路5の後述の混合弁54に対し給水可能に接続されている。
図1の符号45は給水回路4により給水される水の温度を検出する入水温度センサである。
【0022】
給湯回路5は、給湯栓6の開操作によって、貯湯槽3の頂部から取り出された湯を、主給湯路51を通して給湯栓6に給湯するようになっている。主給湯路51には、貯湯槽3の頂部近傍の貯湯温度を検出するための頂部温度センサ52、機器異常の発生等に起因する高温水の給湯や逆流の発生を阻止して系外に排出させるための安全弁53、混水用給水路44からの給水を混合させて所定の給湯設定温度に温調するための混合弁54、給湯流量センサ55、最終的に給湯される湯の温度を検出する給湯温度センサ56、及び、流量調整用の比例弁57が、上流側からこの順に介装されている。又、主給湯路51の頂部温度センサ52よりも下流側位置の分岐点58から、外部熱負荷回路の一つである風呂追い焚き回路7の熱源供給路75の上流端が分岐されている。ここで、混合手段としての混合弁54は、弁開度の比率を変更することにより、貯湯槽3からの湯と、混水用給水路44からの水とを所定の混合比で混合するものであり、給湯使用中の混水制御状態では給湯設定温度に応じた所定の弁開度となる弁位置に駆動される一方、給湯使用が終了すれば安全のために水側をより大きく開けた弁位置(待機位置)に駆動されるようになっている。
【0023】
風呂追い焚き回路7は、追い焚きポンプ71を作動させることにより浴槽9内の湯水を追い焚き循環路72を通して液−液熱交換器73との間で循環させ、この液−液熱交換器73での熱交換により追い焚き加熱するようになっている。液−液熱交換器73の熱源側には、熱源ポンプ74の作動により貯湯槽3の頂部からの湯が分岐点58及び熱源供給路75を通して加熱源として循環供給され、液−液熱交換器73での熱交換により温度低下した湯が貯湯槽3の底部に戻されることになる。
【0024】
注湯回路8は、給湯回路5の混合弁54にて温調された後の湯を、分岐点81から分岐された注湯路82を通して追い焚き循環路72に供給し、続いて追い焚き循環路72を通して浴槽9に注湯することにより、浴槽9に対し湯張りするようになっている。注湯路82には、注湯流量センサ83、注湯弁84、逆止弁85や注湯温度センサ86等が介装されている。
【0025】
以上の貯湯給湯システムは、リモコン100(
図3参照)からの入力設定信号や操作信号の出力や、種々の温度センサ等からの検出信号の出力を受けて、コントローラ(運転制御手段)10により作動制御されるようになっている。コントローラ10は、そのような作動制御のために、給湯運転制御部、湯張り運転制御部や、追い焚き運転制御部に加え、
図3に示すように熱使用実績学習処理部101、沸き上げ運転制御部102、電源情報取得制御部103及び電源状況対応制御部104等を備えている。
【0026】
熱使用実績学習処理部101は、コントローラ10に内蔵のカレンダ機能や電子時計を利用して1日毎に、給湯使用、湯張り使用及び追い焚き使用によって貯湯槽3内の蓄熱を消費した熱量(熱使用実績)の記録を、所定の時間帯毎(例えば1時間毎)に、かつ、給湯負荷、湯張り負荷あるいは追い焚き負荷の熱負荷毎に図示省略の記憶部に記憶するものである。例えば、給湯負荷の熱使用実績は、給湯運転が行われれば、その給湯使用時の給湯温度センサ56により検出される給湯温度と、給湯流量センサ55により検出される給湯流量との積分によって、給湯使用で消費された熱量(熱使用実績)が得られるとともに、内蔵の電子時計に基づいて給湯使用が生じた時刻情報が得られる。そして、記憶された1日毎の熱使用実績は所定のルールに従って学習・更新され、以後の予測処理に利用される。すなわち、取得された熱使用実績に基づいて、翌日以降の給湯負荷、湯張り負荷あるいは追い焚き負荷の熱負荷毎の発生時間帯と使用熱量とからなる予測データを設定する。
【0027】
沸き上げ運転制御部102は、深夜電力として安価に設定されている時間帯(例えば午後11時〜午前7時)に沸き上げ運転することにより貯湯槽3内に翌日分の給湯負荷(湯張り負荷を含む)に係る予測分について蓄熱(夜蓄)するための夜蓄運転制御や、昼間に沸き上げ運転することにより貯湯槽3内に追い焚き負荷に係る予測分について事前に蓄熱(昼蓄)するための昼蓄運転制御を実行するようになっている。
【0028】
電源情報取得制御部103は、ネットワーク11を介してサーバー12から商用電力に関する情報を取得し得るようになっている。商用電力に関する情報としては、電力会社から報知される計画停電に係る情報(日付・時間帯)や、翌日等の電力需給予測(電力供給量と使用量との対比予測)に係る情報等である。かかる商用電力に関する情報をネットワーク11にアップするサーバー12としては、例えば電力会社や、電力情報を提供するサービス会社等のサーバーである。ネットワーク11を介して情報を取得するためのハードは周知のものでよく、かかる情報を取得するタイミングとしては例えば夜蓄運転制御の開始前等の所定のタイミングに1回/1日実行するなどでよい。又、情報の取得動作は、電源情報取得制御部103の自動制御によりサーバー12と通信接続するようにしたり、あるいは、サーバー12側から自動送信される信号に基づき通信接続するようにしたり、通常行われる自動接続処理により行うようにすればよい。ここで、通信接続は有線であっても、又は、無線であっても、いずれでもよい。
【0029】
電源状況対応制御部104は、電源情報取得制御部103により取得される商用電力に関する情報に基づき、沸き上げ運転制御部102による沸き上げ運転(夜蓄・昼蓄)における制御値(例えば目標沸き上げ量又は目標沸き上げ温度)に変更を加えたり、給湯使用のために混合弁54の弁位置を所定位置まで事前に駆動させておいたり、あるいは、ヒートポンプ作動系2の作動を強制変更したり、するようになっている。電源情報取得制御部103により翌日の計画停電に係る情報(時間帯;例えば午後3時から5時)が取得されれば、その計画停電が実施される予定の時間帯において実行される筈の沸き上げ運転分を、計画停電が実施される前の時間帯に繰り上げて実行させるようにする。つまり、計画停電が実施される前の時間帯の沸き上げ運転における沸き上げ量を、その分だけ増加させるのである。その際に、停電が実際には長引くなどの事態発生を考慮して、その増加分として所定量(例えば10〜20%)だけ割り増しして沸き上げるようにしてもよい。例えば、計画停電の時間帯に所定温度の100Lの沸き上げ量が予定されていれば、20%割り増しした120Lの沸き上げ量を計画停電の時間帯より前の時間帯の沸き上げ分として増加させる。あるいは、計画停電の時間帯にはヒートポンプ作動系2を作動させようとしても停電により作動し得ないため、熱使用実績学習処理部101の学習による予測データを超えて湯の消費が実際には生じて湯が不足するなどの事態発生を想定して、その計画停電の時間帯に使用されると予測されている沸き上げ量をさらに所定量増加して、夜蓄運転により事前に沸き上げて貯湯しておくようにしてもよい。以上により、貯湯槽3内の湯の残量低下や、湯切れの発生を確実に回避することができる。なお、貯湯槽3内の蓄熱量に係る制御値を変更すればよいため、沸き上げ量の代わりに目標の沸き上げ温度に変更を加えたり、沸き上げ量及び沸き上げ温度の双方に変更を加えたり、するようにしてもよい。
【0030】
又、計画停電に係る情報が取得された場合には、電源状況対応制御部104は、その計画停電の実施時間帯における給湯使用のために、混合弁54を所定の弁位置まで駆動させる制御をも併せて行うようになっている。すなわち、本来であれば、給湯使用が終了してから停電になれば、混合弁54の弁は待機位置に待避した状態に維持されてしまい、計画停電中に給湯栓6が開かれれば、混水用給水路44からの混水量がより多くなって給湯設定温度とはかけ離れた冷たい温水が給湯されてしまうところ、計画停電に入る直前に混合弁54を所定位置まで駆動させることで、給湯使用が生じた場合でも、ほぼ給湯設定温度での給湯が可能になるようにしている。具体的には、計画停電に入る直前に給湯使用があれば、その時に給湯設定温度になるように制御された混合弁54の弁位置を記憶し、計画停電に入るまでの間にリモコン100に給湯設定温度の変更設定入力のないことを条件に、計画停電に入る際(開始時間前)にこの記憶された弁位置まで混合弁54を駆動し、この弁位置に保持させるようにする。これにより、計画停電期間中に給湯使用が生じたとしても、ほぼ給湯設定温度での給湯を行うことができる。ここで、前記の如く計画停電に入るまでの間にリモコン100に給湯設定温度の変更設定入力があった場合には、その変更設定後の給湯設定温度と、入水温度センサ45及び頂部温度センサ52からの各検出温度との対比により混合比を演算し、計画停電に入る際に、演算された混合比になる弁位置にまで混合弁54を駆動し、この弁位置に保持させるようにすればよい。この際、演算に基づき弁位置を求める手法に代えて、検出された入水温度及び頂部温度と弁位置との関係テーブルを予め記憶設定しておき、この関係テーブルから弁位置を割り出すようにしてもよい。
【0031】
さらに、電源情報取得制御部103により翌日の電力需給の逼迫に係る情報、例えばピーク電力使用量になると予測される時間帯(例えば午後1時から3時)が取得されれば、ヒートポンプ作動系2の作動をその時間帯には禁止又は出力制限するようにし、併せて、その時間帯にヒートポンプ作動系2の作動により沸き上げる筈だった分の沸き上げ量を、事前の沸き上げ運転で沸き上げておくように変更する。これにより、ピーク電力使用量の上昇抑制に寄与することができ、使用量の超過によるシステムダウン(停電)発生の回避を図ることができる。
【0032】
ここで、電源情報取得制御部103は、ネットワーク11経由での情報取得の他に、ユーザ等の自らの入力設定に基づく情報取得も可能となっている。すなわち、リモコン100には、自身に内蔵されたカレンダ機能や電子時計、あるいは、コントローラ10に内蔵のカレンダ機能や電子時計を利用して、計画停電の日付・時間帯や、電力需給が逼迫する日付・時間帯を入力設定可能となっており、ユーザ等がリモコン100に計画停電や電力需給に関する情報を入力設定することにより、ネットワーク11経由で取得した場合の前記対応制御と同様の対応制御が電源状況対応制御部104により実行されるようになっている。従って、この点において、リモコン100は電源情報取得制御部103の一部を構成することになる。以上により、商用電力に関する情報をユーザ自らが入力設定した場合でも、外部のネットワーク11経由で取得した場合と同様に対応制御を実行させることができる。もちろん、リモコン100に代えて、同様機能をコントローラ10自体に備えるようにしてもよい。
【0033】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では熱源装置としてヒートポンプ21(ヒートポンプ作動系2)を用いているが、これに限らず、電力を利用して作動させて貯湯槽3内の湯水を沸き上げることができる熱源装置であれば、他のものを代わりに用いて貯湯給湯システムを構成することができる。
【0034】
又、ヒートポンプ21を主熱源として貯湯槽3内の湯水を直接に熱交換加熱した上で貯湯槽3に貯湯するようにしているが、貯湯槽3の内部に設置した貯湯熱交換器に対し、主熱源で加熱した媒体を循環供給することで、貯湯槽3内の湯水を間接的に熱交換加熱することで貯湯槽3内に蓄熱するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
2 ヒートポンプ作動系(熱源装置)
3 貯湯槽
5 給湯回路
21 ヒートポンプ(熱源装置)
54 混合弁(混合手段)
100 リモコン(電源情報取得制御部)
102 沸き上げ運転制御部
103 電源情報取得制御部
104 電源状況対応制御部