【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0020】
標準例1、実施例1〜3、比較例1〜5
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.5リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えて混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で170℃で15分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0021】
硬度:JIS 6253に準拠して、20℃で測定した。結果は、標準例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
引張特性:JIS K6251に準拠し、引張試験を行い、引張強さ(TB)、破断時伸び(EB)を測定した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど引張特性に優れることを示す。
接着試験:ASTM-D-2に準拠してコードを引き抜き、その引き抜き時の引抜力とゴム付着量を評価した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほどスチールワイヤとの初期接着力に優れることを示す。
結果を表1に併せて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
*1:NR(TSR20)
*2:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト300、CTAB比表面積=84m
2/g、N
2SA=76m
2/g、DBP吸油量=74cm
3/100g)
*3:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*4:老化防止剤(フレキシス社製サントフレックス6PPD)
*5:ステアリン酸コバルト(DIC(株)製)
*6:レゾルシン樹脂(田岡化学工業(株)製スミカノール620)
*7:HMMM(CYTEC INDUSTRIES製CYREZ 964RPC、ヘキサメトキシメチロールメラミン)
*8:サリチル酸(吉富製薬(株)製)
*9:トリメリト酸(DIC(株)製モノサイザーW−700)
*10:プロピオン酸(東京化成株式会社)
*11:硫黄(四国化成工業製ミュークロンOT−20)
*12:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーDZ)
【0024】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜3で調製されたタイヤ用ゴム組成物は、NRを含むジエン系ゴムに、特定の複数種類の芳香族化合物を併用し、これを特定量で配合しているので、従来の代表的な標準例1に対し、金属コードとの優れた接着性および高い硬度および引張特性が達成されている。
これに対し、比較例1は、分子中に1個以上のカルボキシル基および水酸基を有する芳香族化合物(1)のみを配合した例であるので、実施例1と比較すると、金属コードとの接着性および引張特性がいずれも劣る結果となった。
比較例2は、分子中に3個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物(2)のみを配合した例であるので、実施例1と比較すると、金属コードとの接着性および引張特性がいずれも劣る結果となった。
比較例3は、芳香族化合物(1)および(2)の合計の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、金属コードとの接着性、硬度および引張特性がいずれも改善されなかった。
比較例4は、芳香族化合物(1)および(2)の合計の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、金属コードとの接着性および引張特性が共に改善されなかった。
比較例5は、トリメリト酸の替わりにプロピオン酸を使用した例であるので、金属コードとの接着性および引張特性が共に改善されなかった。
【0025】
標準例2、実施例4〜8、比較例6〜9
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.5リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えて混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で170℃で15分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0026】
硬度:JIS 6253に準拠して、20℃で測定した。結果は、標準例2の値を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
引張試験(100%モジュラス(M100)、300%モジュラス(M300):JIS K6251に準拠して測定した。結果は、標準例2の値を100として指数表示した。指数が大きいほど引張強度が高いことを示す。
発熱性:(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪=10%、振幅=±2%、周波数=20Hzの条件下でtanδ(60℃)を測定し、この値をもって発熱性を評価した。結果は標準例2の値を100として指数表示した。指数が大きいほど、低発熱性であることを示す。
接着力:JIS L1017に準拠し、未加硫ゴム組成物に処理コードを埋設し、170℃×10分加硫した後に、ゴムからコードを引き抜く接着力を測定した。結果は、標準例2の値を100として指数で示した。指数が大きいほどスチールワイヤとの接着力に優れることを示す。
結果を表2に併せて示す。
【0027】
【表2】
【0028】
*1:NR(TSR20)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製NIPOL 1502)
*3:BR(日本ゼオン(株)製NIPOL BR 1220)
*4:カーボンブラック(THAIBLACK N660)
*5:ステアリン酸コバルト(DIC(株)製)
*6:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*7:老化防止剤(フレキシス社製サントフレックス6PPD)
*8:プロピオン酸(東京化成株式会社)
*9:サリチル酸(吉富製薬(株)製)
*10:トリメリト酸(DIC(株)製モノサイザーW−700)
*11:硫黄(四国化成工業製ミュークロンOT−20)
*12:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーDZ)
【0029】
上記の表2から明らかなように、実施例4〜8で調製されたタイヤ用ゴム組成物は、NRを含むジエン系ゴムに、特定の複数種類の芳香族化合物を併用し、これを特定量で配合しているので、従来の代表的な標準例2に対し、金属コードとの優れた接着性および高い硬度および引張特性が達成されている。また、発熱性を損なうこともない。
これに対し、比較例6は、芳香族化合物(1)および(2)の合計の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、金属コードとの接着性、硬度および引張特性がいずれも改善されなかった。
比較例7は、芳香族化合物(1)および(2)の合計の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、引張特性が改善されなかった。
比較例8は、サリチル酸の替わりにプロピオン酸を使用した例であるので、金属コードとの接着性および引張特性が共に改善されなかった。
比較例9は、分子中に1個以上のカルボキシル基および水酸基を有する芳香族化合物(1)のみを配合した例であるので、実施例4と比較すると、硬度および引張特性がいずれも劣る結果となった。