特許第6065596号(P6065596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6065596感放射線性着色組成物、着色硬化膜及び表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065596
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】感放射線性着色組成物、着色硬化膜及び表示素子
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/031 20060101AFI20170116BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20170116BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20170116BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20170116BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170116BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   G03F7/031
   G03F7/004 505
   G03F7/027 515
   G03F7/038 501
   G02B5/20 101
   H05B33/14 A
   H05B33/12 E
【請求項の数】6
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2013-5795(P2013-5795)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2014-137466(P2014-137466A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】龍 恭一郎
(72)【発明者】
【氏名】綾部 真嗣
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−209623(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/050738(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/165207(WO,A1)
【文献】 特開2010−156879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/06;7/075−7/115;
7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)重合性化合物及び(D)光重合開始剤を含有する感放射線性着色組成物であって、
前記(D)光重合開始剤が、下記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するものである、感放射線性着色組成物〔但し、(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)重合性化合物及び(D)光重合開始剤の組み合わせが下記の(i)又は(ii)である場合を除く
(i)(A)着色剤がカーボンブラックであり、(B)バインダー樹脂がカルド樹脂であり、(C)重合性化合物がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、(D)光重合開始剤が下記の化合物群αから選択されるいずれか一のフルオレン系化合物である場合
(ii)(A)着色剤がカーボンブラック又はPigment Red177であり、(B)バインダー樹脂がメタアクリル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル及びアクリル酸ジシクロペンタニルをそれぞれ20:20:40:20のモル比で添加し重合してなるアクリルポリマーであり、(C)重合性化合物がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、(D)光重合開始剤が下記の化合物9である場合〕
【化1】
〔式(1)において、
1及びR2は、相互に独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基を示すか、又はR1とR2とが互いに結合してフルオレン基を示し、
3及びR4は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基、または炭素数4〜20の複素環基を示し、
Xは、直接結合またはカルボニル基を示す。〕
【化2】
〔式(2)において、
1、R2、R3及びR4は、式(1)におけるR1、R2、R3及びR4と同義であり、
5は、−R6 、−OR6、−SR6、−COR6、−CONR66、−NR6COR6、−OCOR6、−COOR6、−SCOR6、−OCSR6、−COSR6、−CSOR6、−CN、ハロゲン、水酸基を示し、
6は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基、または炭素数4〜20の複素環基を示し、
Xは、直接結合またはカルボニル基を示し、
aは0〜4の整数を示す。〕
【化3】
【化4】
【請求項2】
更に分散剤を含有する、請求項1に記載の感放射線性着色組成物。
【請求項3】
前記(B)バインダー樹脂が、側鎖に重合性不飽和結合とカルボキシ基とを有するものである、請求項1又は2に記載の感放射線性着色組成物。
【請求項4】
前記(B)バインダー樹脂が、2以上のオキシラニル基を有する樹脂に不飽和カルボン酸を反応させて得られる反応生成物に対して、更に多塩基酸無水物を反応させることにより得られる樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線性着色組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに1項に記載の感放射線性着色組成物を用いて形成された着色硬化膜。
【請求項6】
請求項5に記載の着色硬化膜を具備する表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性着色組成物、着色硬化膜及び表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられる着色硬化膜の形成に用いられる感放射線性着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色硬化膜、並びに当該着色硬化膜を具備する表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上に、顔料分散型の着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(例えば、特許文献1〜2参照。)が知られている。また、カーボンブラックを分散させた光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(例えば、特許文献3参照。)も知られている。さらに、顔料分散型の着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(例えば、特許文献4参照。)も知られている。
【0003】
表示素子に対しては、近年さらなる大画面化、高輝度化、薄型化等が求められている。このため、表示素子を構成する画素やブラックマトリックス等を形成するために用いられる着色樹脂組成物に対しても、工程時間の短縮及びコスト削減の観点も勘案して、高感度化、高輝度化、高解像度化等が求められる。
また、カラーフィルタの製造においては、一般に200℃を超える高温工程を経ることから、カラーフィルタには高い耐熱性が求められる。このように、着色樹脂組成物には複数の特性を高い水準で両立することが要求される。
【0004】
このような中、感放射線性樹脂組成物の高感度化に対する対応として、オキシムエステル系光重合開始剤の使用が検討されている(例えば、特許文献5〜7参照)。しかしながら、かかる光重合開始剤によっても、感度、輝度、解像度、耐熱性等の複数の特性を高い水準で両立することは困難であった。また、このような従来の光重合開始剤を用いて硬化膜を形成すると硬化膜がやや黄変することがあるため、表示素子によっては適用が困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【特許文献5】特開2005−62494号公報
【特許文献6】特開2005−215378号公報
【特許文献7】特開2006−36750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、感度、輝度、解像度、耐熱性等の複数の特性を高い水準で両立できる着色硬化膜の形成に好適な着色組成物を提供することにある。さらに、本発明の課題は、当該着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を具備する表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有する光重合開始剤を用いることによって、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)重合性化合物及び(D)光重合開始剤を含有する感放射線性着色組成物であって、前記(D)光重合開始剤が、下記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種(以下、「特定化合物」とも称する。)を含有するものである、感放射線性着色組成物(以下、単に「着色組成物」とも称する。)を提供するものである。
【0009】
【化1】

【0010】
〔式(1)において、
及びRは、相互に独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基を示すか、又はRとRとが互いに結合してフルオレン基を示し、
及びRは、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基、または炭素数4〜20の複素環基を示し、
Xは、直接結合またはカルボニル基を示す。〕
【0011】
【化2】

【0012】
〔式(2)において、
、R、R及びRは、式(1)におけるR、R、R及びRと同義であり、
は、−R 、−OR、−SR、−COR、−CONR、−NRCOR、−OCOR、−COOR、−SCOR、−OCSR、−COSR、−CSOR、−CN、ハロゲン、水酸基を示し、
は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基、または炭素数4〜20の複素環基を示し、
Xは、直接結合またはカルボニル基を示し、
aは0〜4の整数を示す。〕
【0013】
また、本発明は、上記着色組成物を用いて形成された着色硬化膜、及び該着色硬化膜を具備する表示素子を提供するものである。ここで、「着色硬化膜」とは、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の着色組成物を用いれば、感度、輝度、解像度、耐熱性等の複数の特性を高い水準で両立する着色硬化膜を形成することができる。
しがたって、本発明の着色組成物は、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等の表示素子、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子の作製に極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Type 1の光源のスペクトル分布図。
図2】Type 2の光源のスペクトル分布図。
図3】Type 3の光源のスペクトル分布図。
図4】Type 4の光源のスペクトル分布図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0017】
−(A)着色剤−
本発明における(A)着色剤としては特に限定されることなく使用することが可能であり、カラーフィルタ等の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には着色剤として顔料、染料及び天然色素を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の着色組成物をカラーフィルタを構成する各色画素の形成に用いる場合、輝度、コントラスト及び色純度の高い画素を得るという点から、着色剤としては、顔料及び染料よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に有機顔料、無機顔料及び有機染料よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0018】
前記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0019】
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料。
【0020】
本発明においては、可溶性である染料を沈殿剤により不溶性の顔料とした「レーキ顔料」も有機顔料として好ましく用いることができる。レーキ化するための沈殿剤としては、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、タンニン酸、カタノール、タモール、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。イソポリ酸としては、例えば、イソポリタングステン酸、イソポリバナジン酸、イソポリモリブデン酸等が挙げられ、またヘテロポリ酸としては、例えば、フォスフォタングステン酸、フォスフォモリブデン酸、フォスフォタングステン・モリブデン酸、シリコタングステンモリブデン酸、シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸等を挙げることができる。これらのうち、イソポリ酸、ヘテロポリ酸を沈殿剤としてレーキ化されたレーキ顔料が好ましく、特にヘテロポリ酸を沈殿剤としてレーキ化されたレーキ顔料が好ましい。イソポリ酸、ヘテロポリ酸を沈殿剤としてレーキ化されたレーキ顔料は、例えば、特開2011−186043号公報に記載の方法により製造することができる。
【0021】
本発明において、レーキ顔料としては特に限定されるものではないが、例えば、キサンテン系レーキ顔料、トリアリールメタン系レーキ顔料、アゾ系レーキ顔料、フタロシアニン系レーキ顔料の他、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、2種以上を併用する場合、任意に組み合わせることもできる。
【0022】
前記有機染料としては、酸性染料、塩基性染料及び非イオン性染料のいずれも好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、2種以上を併用する場合、任意に組み合わせることもできる。ここで、本明細書において酸性染料とは、アニオン部が発色団となるイオン性染料を意味し、分子内塩を形成しているイオン性染料も酸性染料に包含されるものとする。また、本明細書において塩基性染料とは、カチオン部が発色団となるイオン性染料をいう。「非イオン性染料」とは、前述の酸性染料及び塩基性染料のいずれにも該当しない染料である。
【0023】
酸性染料としては、例えば、アゾ系酸性染料、トリアリールメタン系酸性染料、アントラキノン系酸性染料、キサンテン系酸性染料、キノリン系酸性染料、ニトロ系酸性染料、シアニン系酸性染料を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、2種以上を併用する場合、任意に組み合わせることもできる。
【0024】
このような酸性染料としては、例えば、
C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7、C.I.ダイレクトグリーン28等のアゾ系酸性染料;
C.I.アシッドブルー9等のトリアリールメタン系酸性染料;
C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49等のアントラキノン系酸性染料;
C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388の他、特開2010−32999号公報の合成例1〜3、特開2011−138094号公報に開示されているキサンテン系酸性染料;
C.I.アシッドイエロー3等のキノリン系酸性染料;
C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3等のニトロ系酸性染料;
C.I.リアクティブイエロー1等のシアニン系酸性染料を挙げることができる。
【0025】
塩基性染料としては、例えば、アゾ系塩基性染料、トリアリールメタン系塩基性染料、キサンテン系塩基性染料、キノンイミン系塩基性染料、シアニン系塩基性染料等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、2種以上を併用する場合、任意に組み合わせることもできる。
【0026】
このような塩基性染料としては、例えば、
C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18の他、特開2011−145540号公報に記載のアゾ系塩基性染料;
C.I.ベーシックブルー7の他、国際公開第10/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報に記載のトリアリールメタン系塩基性染料;
C.I.ベーシックバイオレット11等のキサンテン系塩基性染料;
C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等のキノンイミン系塩基性染料;
C.I.ベーシックレッド12、C.I.ベーシックレッド13、C.I.ベーシックレッド14、C.I.ベーシックバイオレット7、C.I.ベーシックバイオレット16、C.I.ベーシックイエロー1、C.I.ベーシックイエロー11、C.I.ベーシックイエロー13、C.I.ベーシックイエロー21、C.I.ベーシックイエロー28、C.I.ベーシックイエロー51等のシアニン系塩基性染料;
その他、特表2007−503477号公報に記載の各種塩基性染料を挙げることができる。
【0027】
非イオン性染料としては、例えば、アゾ系非イオン性染料、アントラキノン系非イオン性染料、フタロシアニン系非イオン性染料、キノリン系非イオン性染料、ニトロ系非イオン性染料、メチン系非イオン性染料等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、2種以上を併用する場合、任意に組み合わせることもできる。
【0028】
本発明においては、これらの染料を適宜選択して使用することができるが、中でも、酸性染料、塩基性染料が好ましい。また、発色団の構造面からは、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、シアニン系染料が好ましい。これらの中でも、特にキサンテン系酸性染料、トリアリールメタン系酸性染料、トリアリールメタン系塩基性染料、シアニン系塩基性染料が好ましい。
【0029】
本発明の着色組成物をブラックマトリックスやブラックスペーサー等の形成に用いる感放射線性黒色組成物とする場合、着色剤としては、黒色着色剤を含む着色剤、並びに赤色顔料及び青色顔料を含む着色剤が好ましい。
黒色着色剤としては、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7、カーボンブラック、チタンブラック、ペリレン系黒色顔料等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、カーボンブラック、ペリレン系黒色顔料が、遮光性、耐熱性の高い硬化膜を形成できるため好ましく、特にカーボンブラックが好ましい。
また、赤色顔料及び青色顔料を含む着色剤の中では、赤色顔料、青色顔料及び黄色顔料を含む着色剤、並びに赤色顔料、青色顔料及び緑色顔料を含む着色剤が更に好ましい。
【0030】
前記カーボンブラックの一次粒子径は、20〜60nmであることが好ましく、30〜45nmであることがより好ましい。このような態様とすることにより、高感度かつ分散性の良好な感放射線性着色組成物を得ることができ、均一なOD値(光学濃度)を示す硬化膜を形成することができる。なお、本発明におけるOD値は、後述の方法により定義されるものとする。
【0031】
カーボンブラックの分散粒子径は、100〜250nmであることが好ましく、150〜200nmであることがより好ましく、170nm〜200nmであることが更に好ましい。このような態様とすることにより、高感度かつ分散性の良好な感放射線性着色組成物を得ることができ、均一なOD値を示す硬化膜を形成することができる。
【0032】
本発明において、着色剤として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0033】
本発明において、着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を、分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0034】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)等を挙げることができる。
【0035】
その他、特開2009-294665号公報、特開2009-222761号公報、特開2009-222762号公報、特開2006-058601号公報、特開2008-298967号公報、特開2003-315998号公報、特開2006-259351号公報、特開2008-039952号公報、特開2009-237466号公報、特開平10-300919号公報、特開平10-213898号公報等に記載の分散剤を用いることもできる。
【0036】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0037】
(A)着色剤の含有割合は、耐熱性、及び輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。なお本発明の着色組成物は、着色剤濃度が高い場合であっても現像性に優れ、着色硬化膜を高い製品歩留まりで形成することができるという効果を有するが、例えば、その着色剤濃度を固形分中に30質量%以上、更に35質量%以上、特に40質量%以上とすることが可能である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0038】
−(B)バインダー樹脂−
本発明におけるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0039】
不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸の如き不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕の如き2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの如き両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0041】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0042】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0043】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0044】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0045】
また、本発明においては、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合とカルボキシ基とを有する樹脂を、バインダー樹脂として使用することもできる。このような態様は、感度の高い着色組成物を得ることができ、また塗膜の硬化性を高めることができるという点で好ましい。
【0046】
このような側鎖に重合性不飽和結合とカルボキシ基とを有するバインダー樹脂としては、例えば、
(b3)水酸基を有する重合性不飽和化合物及び(b5)不飽和カルボン酸を含有してなる単量体の共重合体(以下、「前駆共重合体(1)」ということがある。)に、(b4)不飽和イソシアネート化合物を反応させて得られる樹脂(以下、「樹脂(B1)」とも称する。)、
(b5)不飽和カルボン酸を含有してなる単量体の共重合体(以下、「前駆共重合体(2)」ということがある。)に、(b6)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物を反応させて得られる樹脂(以下、「樹脂(B2)」とも称する。)、
(b6)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物を含有してなる単量体の共重合体(以下、「前駆共重合体(3)」ということがある。)に、(b5)不飽和カルボン酸を反応させて得られる樹脂(以下、「前駆共重合体(4)」ということがある。)に対して、更に(b9)多塩基酸無水物を反応させることにより得られる樹脂(以下、「樹脂(B3)」とも称する。)、並びに
(b8)2以上のオキシラニル基を有する化合物に(b5)不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に対して、更に(b9)多塩基酸無水物を反応させることにより得られる樹脂(以下、「樹脂(B4)」とも称する。)
よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0047】
以下、(b3)水酸基を有する重合性不飽和化合物、(b4)不飽和イソシアネート化合物、(b5)不飽和カルボン酸及び(b6)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物を、それぞれ「化合物(b3)」、「化合物(b4)」、「化合物(b5)」、「化合物(b6)」ということがある。また、上記化合物(b3)〜(b6)以外の重合性不飽和化合物を以下、「化合物(b7)」ということがある。
また、(b8)2以上のオキシラニル基を有する化合物及び(b9)多塩基酸無水物を、それぞれ「化合物(b8)」、「化合物(b9)」ということがある。
【0048】
上記化合物(b3)としては、水酸基を有する重合性不飽和化合物であれば特に制限無く使用することができ、例えば特開2000-105456号公報、特開2004-341278号公報、特開2007-204657号公報、特開2011-033952号公報等に記載されているものを挙げることができる。中でも、共重合反応性及び化合物(b4)との反応性の点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル等の(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−エチルエステル等の(メタ)アクリル酸(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−アルキルエステル;(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシメチル−アダマンタン−1−イルメチルエステル等の脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル等の(メタ)アクリル酸ポリヒドロキシアルキルエステルが好ましい。
化合物(b3)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
上記化合物(b4)は、エチレン性不飽和結合とイソシアナト基を有する化合物であるが、化合物(b3)との反応性の点から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、(メタ)メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル、1,1−〔ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル〕エチルイソシアネートが好ましい。
なお、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、商品名でカレンズAOI(昭和電工株式会社製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、商品名でカレンズMOI(昭和電工株式会社製)、メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチルの市販品としては、商品名でカレンズMOI―EG(昭和電工株式会社製)、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートの市販品としては、商品名でカレンズBEI(昭和電工株式会社製)を挙げることができる。
化合物(b4)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0050】
また、化合物(b5)としては、前記不飽和単量体(b1)と同様のものを挙げることができる。
【0051】
これらの化合物(b5)のうち、反応性及び入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
化合物(b5)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
また、化合物(b6)としては、例えば、特開2006-016545号公報の段落〔0042〕に記載されているものを挙げることができる。中でも、前駆共重合体(3)の合成に供する場合、及び樹脂(B2)の合成に供する場合のいずれにおいても、オキシラニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸4−グリシジルオキシブチル又は(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルが、所望の効果が得られやすいという点から好ましい。
化合物(b6)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
化合物(b7)は、前駆共重合体(1)〜(3)において共重合することができる上記化合物(b3)〜(b6)以外の重合性不飽和化合物であって、例えば、特開2007-241247号公報の段落〔0039〕〜〔0042〕に記載されているものを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも化合物(b7)としては、共重合反応性の観点から、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;スチレン、α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物;アセナフチレン;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アリールエステル;アリル(メタ)アクリレート;、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートの如き脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;2−エチルヘキシルエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如きアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0054】
樹脂(B4)の合成に供する化合物(b8)としては、前駆共重合体(3)、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物等を挙げることができる。中でも、黒色の感放射線性着色組成物に用いる場合、耐熱性の点から、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物が好ましい。
【0055】
なお、上記フルオレン骨格を有するエポキシ化合物として、下記式(3)で表されるエポキシ化合物を用いることもできる。
【0056】
【化3】

【0057】
樹脂(B4)の製造に供する化合物(b9)としては、例えば、特開2004-361455号公報の段落〔0016〕に記載されているものを挙げることができる。中でも、二塩基酸の無水物、四塩基酸以上の多塩基酸の二無水物が好ましく、二塩基酸の無水物としては無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ハイミック酸無水物、フタル酸無水物がより好ましく、四塩基酸以上の多塩基酸の二無水物としては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物がより好ましい。
化合物(b9)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
樹脂(B1)〜(B4)は公知の方法により合成することができる。
樹脂(B1)としては、特開平6−230212号公報、特開2004−070160号公報等、樹脂(B2)としては、特開平5−19467号公報、特開平7−325400号公報、特開平9−106071号公報、特開平11−326624号公報、特開2002−012607号公報、特開2004−219979号公報、特開2004−219980号公報等、樹脂(B3)としては、特開平6−258830号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているものを例示することができる。
また樹脂(B4)としては、特開平6-093082号公報、特開平7-207211号公報、特開平11-084126号公報、特開2008-292677号公報、特開平7-098409号公報、特開2006-312704号公報、特開2005-316449号公報、特開2006-003860号公報、特開平11−140144号公報等に開示されている樹脂を例示することができる。
【0059】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、耐熱性、被膜特性、電気特性、パターン形状、解像度を良好にすることができる。
【0060】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0061】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部、より好ましくは50〜350質量部、更に好ましくは100〜250質量部である。このような態様とすることで、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性、色度特性を良好にすることができる。
【0063】
−(C)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0064】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0065】
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0066】
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0067】
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0068】
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
本発明における(C)重合性化合物の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、更に20〜700質量部、更に100〜500質量部、特に200〜400質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、アルカリ現像性を良好にすることができる。
【0070】
−(D)光重合開始剤−
(D)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記側鎖に重合性不飽和結合とカルボキシ基とを有するバインダー樹脂、(C)重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。本発明の着色組成物は、光重合開始剤として前記特定化合物を含む。これにより、感度、輝度、解像度、耐熱性等に優れた着色硬化膜を形成することが可能となる。
【0071】
上記R及びRで表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0072】
上記R及びRで表される炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
また、炭素数6〜30のアリール基としては。フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基などが挙げられる。フェニル基の場合、互いに結合してフルオレン基を形成しても良い。
炭素数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
【0073】
上記R、R及びRで表される炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基はR及びRの場合と同じである。
炭素数4〜20の複素環基としては、例えば、2−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、2−テニル基、2−テノイル基、2−ピロリル基、2−ピリジル基、ピペリジノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0074】
上記式(1)及び式(2)において、R及びRは、それぞれ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル、シクロヘキシル基、フェニル基であり、Rがメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基であり、Rが炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、Rがメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はナフチル基であることが好ましい。Xは直接結合が好ましい。
(D)光重合開始剤として上記特定化合物を用いることにより、感放射線性着色組成物の感度を向上することができる。
【0075】
式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物としては、例えば、下記式(D−1)〜(D−12)で表される化合物等が挙げられる。
【0076】
【化4】

【0077】
【化5】

【0078】
【化6】

【0079】
【化7】

【0080】
本発明の感放射線性着色組成物には、前記特定化合物以外の光重合開始剤(以下、「他の光重合開始剤」とも称する。)を併用することができる。このような他の光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物(但し、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を除く。)、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0081】
本発明において、他の光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0082】
本発明における好ましい他の光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0083】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0084】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0085】
なお、他の光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0086】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0087】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0088】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0089】
本発明において、特定化合物と他の光重合開始剤を併用する場合、特定化合物の含有割合は、(D)光重合開始剤の合計含有量に対して、0.1〜95質量%が好ましく、特に1〜90質量部が好ましい。このような態様は、本発明の所望の効果が得られやすいという点で好ましい。
また、(D)光重合開始剤の合計含有量は、(C)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、被膜特性を良好にすることができる。
【0090】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(D)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(D)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0091】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0092】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0093】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0094】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0095】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0096】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0097】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0098】
また添加剤として、脂肪族多官能チオール、環状多官能チオール、シロキサン多官能チオール、含フッ素多官能チオール等の多官能チオールを挙げることもできる。本発明において多官能チオールとは、同一分子中に2個以上のスルファニル基を有する化合物を意味する。多官能チオールは硬化性の高い着色組成物が得られるという点で好ましい。
【0099】
上述の脂肪族多官能チオールは、2個以上のスルファニル基を有する鎖状化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、置換基として2個以上のスルファニル基を有する炭化水素類、多価アルコールのポリ(メルカプトアセテート)類、多価アルコールのポリ(3−メルカプトプロピオネート)類、多価アルコールのポリ(2−メルカプトプロピオネート)類、多価アルコールのポリ(3−メルカプトブチレート)類を挙げることができる。これらの具体例としては、特開平10-253816号公報、特開平10-282325号公報、特開2004-083857号公報等に記載されているものを挙げることができる。尚、「鎖状」とは直鎖状及び分岐鎖状の両方を含む概念である。
【0100】
上述の環状多官能チオールは、その分子中に環状構造を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、置換基として2個以上のスルファニル基を有する複素環類、置換基として2個以上のスルファニル基を有する芳香族炭化水素類を挙げることができる。これらの具体例としては、1,4−ベンゼンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンの他、特開平2−153353号公報に記載の2−メルカプト−5−置換チアジアゾール等を挙げることができる。
【0101】
上述のシロキサン多官能チオールは、2個以上のスルファニル基を有するポリシロキサンであれば特に限定されるものではなく、例えば、スルファニル基と加水分解性基を有するシラン化合物を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られるポリシロキサンを挙げることができる。その具体的態様及び製造方法については、例えば、特開2008−242078号公報、特開2011−128239号公報等に記載されている。尚、2個以上のスルファニル基を有するシルセスキオキサンは、荒川化学工業株式会社からコンポセラン(登録商標)SQシリーズとして市販されている。
【0102】
上述の含フッ素多官能チオールは、その分子中にフッ素原子を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と2個以上のスルファニル基を有する化合物を挙げることができる。その具体的態様及び製造方法については、例えば、特開2011−208046号公報等に記載されている。
【0103】
本発明の着色組成物に多官能チオールを含有せしめる場合、多官能チオールの含有量は、(C)重合性化合物に対して通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。このような態様とすることにより、感度の高い着色組成物を得ることができ、また塗膜の硬化性を高めることができる。
【0104】
着色硬化膜及びその形成方法
本発明の着色硬化膜は、本発明の着色組成物を用いて形成されたものであり、具体的には、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【0105】
以下、表示素子や固体撮像素子を構成するカラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、青色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0106】
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0107】
上記ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。黒色の着色剤が分散された本発明の感放射線性着色組成物によりブラックマトリックスを形成する場合、該ブラックマトリックスは膜厚1μm当たりのOD値(光学濃度)が2.3以上であることが好ましく、より好ましくは3.1以上、更に好ましくは3.5以上である。
なお本発明において、遮光性の指標となるOD値は、下記の関係式より求めることができる。
OD値 = log10(I0/I)
ここでI0は入射光強度、Iは透過光強度を意味する。
【0108】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0109】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0110】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0111】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0112】
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0113】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/mが好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0114】
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0115】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0116】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0117】
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0118】
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0119】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。黒色の着色剤が分散された本発明の感放射線性着色組成物によりブラックスペーサーを形成する場合、該ブラックスペーサーは膜厚1μm当たりのOD値(光学濃度)が0.6以上であることが好ましく、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.4以上、特に好ましくは1.8以上である。
【0120】
本発明の感放射線性着色組成物は、上記カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成においても、好適に用いることができる。
このようにして形成された本発明の着色硬化膜を含むカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。なお、後述する表示素子は、本発明の感放射線性着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
【0121】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸価インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極あるいはIZO電極を形成した基板側のどちらに形成されていても良い。
【0122】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0123】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0124】
また、本発明の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明の着色硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0125】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0126】
<バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート28質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(B−1)(固形分濃度=40質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=10500、Mn=5900、Mw/Mn=1.78であった。
【0127】
合成例2
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエテールアセテート194.4質量部を仕込んで窒素置換した。90℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部、メタクリル酸60質量部、メタクリル酸メチル30質量部、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)30質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテル45.6質量部及び2,2'−アゾビスブチロニトリル10.8質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(1)溶液を得た。得られた樹脂(1)は、Mw=8300、Mn=4500、Mw/Mn=1.84であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(1)溶液374.0質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド1.91質量部、4−メトキシフェノール0.43質量部を仕込んで空気バブリングした。110℃に加熱して、同温度でメタクリル酸グリシジル56.1質量部(メタクリル酸のモル数に対して68モル%)を15分かけて滴下し、この温度を保持して5時間付加反応を行なった。次に、この溶液を室温まで冷却し、不揮発分が40質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えることにより、バインダー樹脂溶液(B−2)(固形分濃度=40質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=12200、Mn=6000、Mw/Mn=2.03であり、ヨウ素価は43.5g/100gであった。
【0128】
合成例3
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1216質量部を仕込んで窒素置換した。90℃に加熱して、同温度で、シクロヘキサノン160質量部、メタクリル酸ブチル160質量部、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亜合成株式会社製、M−120)160質量部及びメタクリル酸グリシジル480質量部の混合溶液、並びにシクロヘキサノン224質量部及び2,2'−アゾビスブチロニトリル56質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(2)溶液を得た。得られた樹脂(2)は、Mw=7200、Mn=4000、Mw/Mn=1.80であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(2)溶液を921質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド6.15質量部、4−メトキシフェノール1.04質量部を仕込んで空気バブリングした。110℃に加熱して、同温度でメタクリル酸109.2質量部(メタクリル酸グリシジルのモル数に対して1.0当量)を15分かけて滴下し、樹脂(3)溶液を得た。得られた樹脂(3)は、Mw=9600、Mn=5500、Mw/Mn=1.75であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(3)溶液を414.9質量部、テトラヒドロ無水フタル酸10.32質量部(メタクリル酸のモル数に対して0.13当量)を仕込んで空気バブリング条件下、100℃にて6時間加熱攪拌し、付加反応を行なうことにより、バインダー樹脂溶液(B−3)(固形分濃度=45質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=11300、Mn=6300、Mw/Mn=1.79であり、ヨウ素価は53.6g/100gであった。
【0129】
合成例4
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート144質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48質量部、メタクリル酸28.8質量部、メタクリル酸ブチル18質量部、メタクリル酸メチル18質量部、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亜合成株式会社製、M−120)18質量部及びグリセロールメタクリレート37.2質量部(0.232モル)の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48質量部及び2,2'−アゾビスブチロニトリル8.4質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(4)溶液(固形分濃度=33%)を得た。得られた樹脂(4)は、Mw=10700、Mn=5600、Mw/Mn=1.91であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(4)溶液の全量を入れて溶液の温度を90℃に昇温させたのち、2−イソシアヌルエチルメタクリレート(昭和電工株式会社製 カレンズMOI)34.3質量部(グリセロールメタクリレートのモル数に対して0.95当量)及び4−メトキシフェノール0.36質量部の混合溶液を空気バブリング条件下、15分かけて滴下し、この温度を保持して1.5時間付加反応を行なうことにより、バインダー樹脂溶液(B−4)(固形分濃度=36%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=12800、Mn=6000、Mw/Mn=2.13であり、ヨウ素価は36.0g/100gであった。
【0130】
合成例5
500mL三口フラスコへプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200g、前記式(3)で表されるビスフェノールフルオレンエポキシ化合物235g(エポキシ当量235g/eq)、テトラメチルアンモニウムクロリド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25mL/minの流量にてエアーを吹き込みながら110℃にて加熱溶解させた。酸価を1時間ごとに0.1mol/LのKOH溶液にて滴定を行い、酸価が1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌し、目的とするビスフェノールフルオレンエポキシアクリレートを得た。
このビスフルオレンエポキシアクリレート307gにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400g、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g、臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、100℃にて4時間、加熱撹拌した。その後、テトラヒドロ無水フタル酸38gを加え、末端封止のため100℃にて4時間加熱撹拌することにより、バインダー樹脂溶液(B−5)(固形分濃度=40%)を得た。尚、酸無水物の消失は、IRスペクトルを用いて確認した。得られたバインダー樹脂はMw=8000、Mn=3500、Mw/Mn=2.28であった。
【0131】
<顔料分散液の調製>
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントレッド177を5.20質量部、C.I.ピグメントレッド254を7.80質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を11.5質量部(固形分濃度=40質量%)、バインダー樹脂溶液(B−1)を11.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート63.0質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色の顔料分散液(r−1)を調製した。
【0132】
調製例2
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を9.10質量部、C.I.ピグメントイエロー138を3.90質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を10.74質量部(固形分濃度=40質量%)、分散助剤0.20質量部(キノフタロン系顔料誘導体)、バインダー樹脂溶液(B−1)を13.33質量部(固形分濃度=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61.0質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.73質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して緑色の顔料分散液(g−1)を調製した。
【0133】
調製例3
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を12.0質量部、分散剤としてBYK167(ビックケミー(BYK)社製)を9.23質量部(固形分濃度=52質量%)、バインダー樹脂溶液(B−1)を12.5質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート66.27質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して青色の顔料分散液(b−1)を調製した。
【0134】
調製例4
着色剤としてカーボンブラック20質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を10.0質量部(固形分濃度=40質量%)、バインダー樹脂溶液(B−1)を7.5質量部、溶媒としてメトキシブチルアセテート62.5質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して黒色の顔料分散液(Bk−1)を調製した。
【0135】
調製例5
ペリレンブラック12.0質量部、分散剤としてSOLSPERSE76500(ルーブリゾール株式会社製)12.3質量部、(固形分濃度=50質量%)、バインダー樹脂溶液(B−1)溶液を7.5質量部、溶媒としてメトキシブチルアセテート65.8質量部及び酢酸ブチル2.4質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して黒色の顔料分散液(Bk−2)を調製した。
【0136】
調製例6
ピグメントレッド177を10.22質量部、ピグメントイエロー138を1.45質量部、ピグメントブルー15:6を3.14質量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー(BYK)社製)を6.67質量部(固形分濃度=60質量%)、バインダー樹脂溶液(B−1)を10.0質量部、溶媒としてメトキシブチルアセテート52.52質量部及びエトキシプロパノール16.0質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して黒色の顔料分散液(Bk−3)を調製した。
【0137】
<染料溶液の調製>
調製例1
下記式(α)で表される酸性染料20gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート180gに溶解して、染料溶液(b−2)を得た。
【0138】
【化8】
【0139】
調製例2
下記式(β)で表される酸性染料20gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート180gに溶解して、染料溶液(b−3)を得た。
【0140】
【化9】

【0141】
<感放射線性着色組成物の調製及び評価>
実施例1
着色組成物の調製
(A)着色剤として顔料分散液(r−1)1552質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂溶液(B−1)51質量部、(C)重合性化合物としてペンタエリスリトールペンタアクリレート(東亜合成株式会社製、アロニックスM−450)50質量部、(D)光重合開始剤として前記式(D−3)で表される化合物6.85質量部及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、BASF社製)22質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)の5質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液14質量部、並びに溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート635質量部、3−メトキシブチルアセテート500質量部及び3−エトキシプロピオン酸エチル100質量部を混合して、赤色の着色組成物(S−1)を調製した。
【0142】
(1)色度評価
着色組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて回転数を変えて塗布した後、90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を照度35mW、600J/mの露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行った。その後、これらの基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で20分間ポストベークを行うことにより、赤色の硬化膜を作製した。
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.640のときの色度座標値y及び刺激値(Y)を求めた。評価結果を表2に示す。刺激値(Y)が大きいほど、輝度が高いと言える。
【0143】
(2)密着性評価
着色組成物(S−1)を、ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布し、風乾した後、プレベークを行なうことなく、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、5μmから50μmまで5μm刻みに大きさの異なるドットパターンを有するフォトマスクを用いて365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を、照度17mW、600J/mの露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行った。その後、これらの基板を超純水で洗浄し、風乾した。
この基板を光学顕微鏡にて観察し、基板から剥がれることなく解像された最小ドットパターンの大きさを確認した。評価結果を表2に示す。この大きさが小さいほど、密着性が良好であると言える。
【0144】
(3)感度評価
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO膜が形成された直径4インチのソーダガラス基板2枚の上に、着色組成物(S−1)をスピンコーターを用いてそれぞれ塗布した。これらの基板を、プレベークを行なうことなく風乾することにより、膜厚2.5μmの塗膜を形成した基板を2枚作成した。
作成した1枚の基板について、高圧水銀ランプを用い、100μmストライプパターンを有するフォトマスクを介し、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を、照度35mW、600J/mの露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で、未露光部の塗膜が完全に剥離し更に15秒経過するまで吐出することによりシャワー現像を行った。次いで、230℃で20分間ポストベークを行うことにより、基板上にストライプパターンを形成した。
もう1枚の基板について、照度35mW、400J/mの露光量で露光した以外は上記と同様にして、基板上にストライプパターンを形成した。
得られた基板上のストタイプパターンについて光学顕微鏡を用いてパターン幅(μm)を計測した。評価結果を表2に示す。ここで、パターン線幅が広いほど、高感度であるといえる。
また、下記式により、線幅変化量(μm)を算出した。線幅変化量が小さいほど、プロセスマージンが広いため、好ましい。
線幅変化量(μm)=(600J/mで露光した時のパターン幅)−(400J/mで露光した時のパターン幅)
【0145】
実施例2〜8及び比較例1〜2
実施例1において、各成分の種類及び量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、赤色の着色組成物(S−2)〜(S−10)を調製した。次いで、着色組成物(S−1)に代えて着色組成物(S−2)〜(S−10)を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。結果を表2に示す。なお、赤色の着色組成物(S−1)〜(S−10)において、オキシム結合の含有量が等モルとなるように各着色組成物を調製した。
【0146】
【表1】

【0147】
表1において、各成分は以下の通りである。
C−1 :ペンタエリスリトールペンタアクリレート(東亜合成株式会社製、アロニックスM−450)
C−2 :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)
D−1 :前記式(D−3)で表される化合物
D−2 :前記式(D−9)で表される化合物
D−3 :アデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA製)
D−4 :エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)](BASF社製、商品名IRGACURE OXE02)
D−5 :2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、BASF社製)
D−6 :2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名IRGACURE907)
D−7 :2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製)
D−8 :2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール(保土ヶ谷化学製)
D−9 :2−メルカプトベンゾチアゾール(和光純薬工業株式会社製)
E−1 :メガファックF−554(DIC株式会社製)の5質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液

E−2 :シルセスキオキサン多官能チオールの25質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(商品名コンポセラン(登録商標)HBSQ105−9、荒
川化学社製)
E−3 :3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(JNC株式会社製)
F−1 :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
F−2 :3−メトキシブチルアセテート
F−3 :3−エトキシプロピオン酸エチル
F−4 :プロピレングリコールモノメチルエーテル
F−5 :乳酸エチル
【0148】
【表2】

【0149】
実施例9〜16及び比較例3〜4
実施例1において、各成分の種類及び量を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、緑色の着色組成物(S−11)〜(S−20)を調製した。次いで、赤色の着色組成物(S−1)に代えて緑色の着色組成物(S−11)〜(S−20)を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。但し、色度評価に関しては、色度座標値y=0.613のときの色度座標値x及び刺激値(Y)を評価した。結果を表4に示す。なお、緑色の着色組成物(S−11)〜(S−20)において、オキシム結合の含有量が等モルとなるように各着色組成物を調製した。
【0150】
【表3】

【0151】
表3において、各成分の略号は表1と同じである。
【0152】
【表4】

【0153】
実施例17〜23及び比較例5〜7
実施例1において、各成分の種類及び量を表5に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、青色の着色組成物(S−21)〜(S−30)を調製した。次いで、赤色の着色組成物(S−1)に代えて青色の着色組成物(S−21)〜(S−30)を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。但し、色度評価に関しては、色度座標値y=0.046のときの色度座標値x及び刺激値(Y)を評価した。結果を表6に示す。なお、青色の着色組成物(S−21)〜(S−30)において、オキシム結合の含有量が等モルとなるように各着色組成物を調製した。
【0154】
【表5】

【0155】
表5において、各成分の略号は、表1と同じである。
【0156】
【表6】

【0157】
表4の色度評価において、実施例9〜16及び比較例3〜4のy値は同一であるが、x値は比較例3〜4のほうが実施例9〜16より高く、刺激値Yは低いことが分かる。よって、光重合開始剤(D−1)又は(D−2)を含まない緑色の着色組成物は、光重合開始剤(D−1)又は(D−2)を含む緑色の着色組成物に比べて黄変の度合いが大きく、輝度も低くなることが分かる。
同様に、表6の色度評価において、実施例17〜23及び比較例5〜7のy値は同一であるが、x値は比較例5〜7のほうが実施例17〜23より高く、刺激値Yは低いことが分かる。よって、光重合開始剤(D−1)又は(D−2)を含まない青色の着色組成物は、光重合開始剤(D−1)又は(D−2)を含む青色の着色組成物に比べて黄変の度合いが大きく、輝度も低くなることが分かる。
【0158】
実施例24
実施例1において、各成分の種類及び量を表7に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、黒色の着色組成物(S−31)を調製した。
【0159】
(4)ブラックスペーサーの形成
無アルカリガラス基板上にスピンナーを用いて、上記で調製した黒色の着色組成物(S−31)を塗布した後、100℃のホットプレート上で3分間プレベークして、膜厚3.5μmの被膜を形成した(塗布法)。
次いで、得られた被膜に、図1に示したType1のスペクトル分布を有する高圧水銀ランプ(Type1の光源)を用い、露光量を変量として、20μm角の残しパターンのフォトマスクを介して露光した。その後、水酸化カリウム0.05質量%水溶液を用いて25℃で現像した後、純水で1分間洗浄し、さらに230℃のオーブン中で30分間加熱(ポストベーク)することにより、ブラックスペーサーを形成した。
【0160】
(5)OD値の測定
上記(4)で形成したブラックスペーサーを用いて、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い透過スペクトルから下記式にてOD値を算出した。結果を表8に示す。
OD=−Log10
但し、Yは全光透過率を示す。
【0161】
(6)感度の評価
下記式で表される残膜率から放射線感度(J/m)を評価した。
残膜率(%)=(ポストベーク後の膜厚/露光後膜厚)×100
この残膜率が90%以上になる最小の露光量を感度とした。結果を表8に示す。感度が600J/m以下の場合、放射線感度が良好と判断した。
【0162】
(7)弾性回復率の評価
前記(6)で調べた感度に相当する露光量にて得られたブラックスペーサーについて、微小圧縮試験機(フィッシャースコープHM2000Xyp、フィッシャーインストルメンツ社)を用い、50μm×50μmの平面圧子により負荷速度及び除荷速度を2.5mN/秒として、50mNまでの荷重を負荷して5秒間保持したのち除荷して、負荷時の荷重−変形量曲線及び徐荷時の荷重−変形量曲線を作成した。このとき、負荷時の荷重50mNでの変形量と未荷重での変形量との差をL1とし、除荷時の荷重50mNでの変形量と未荷重での変形量との差をL2として、下記式により弾性回復率を算出した。
弾性回復率(%)=(L2/L1)×100
なお、変形量L1が0.20μm以上であった場合、柔軟性は良好であるといえ、弾性回復率が65%以上であった場合、弾性回復率は高いといえる。
【0163】
(8)ラビング耐性の評価
前記(6)で調べた感度に相当する露光量にてブラックスペーサーを形成した基板上に、液晶配向剤としてAL3046(商品名、JSR(株)製)を液晶配向膜塗布用印刷機により塗布したのち、180℃で1時間加熱して、膜厚0.05μmの液晶配向剤の塗膜を形成した。
その後、この塗膜に、ポリアミド製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒として、ラビング処理を行った。このとき、パターンの剥がれの有無を評価した。結果を表8に示す。
【0164】
(9)密着性の評価
フォトマスクを使用しなかった以外は前記ブラックスペーサーの形成と同様にして、前記(6)で調べた感度に相当する露光量にて硬化膜を形成した。この硬化膜につき、JIS K−5400(1900)8.5の付着性試験のうち、8.5・2の碁盤目テープ法により評価した。表8に示した値は、100個の碁盤目のうち残った碁盤目の数である。
【0165】
(10)耐熱性の評価
フォトマスクを使用しなかった以外は前記ブラックスペーサーの形成と同様にして、前記(6)で調べた感度に相当する露光量にて硬化膜を形成した。この硬化膜につき、240℃のオーブン中で60分間追加加熱した。追加加熱前後の膜厚を測定して、下記式で表される残膜率を求めることにより耐熱性を評価した。結果を表8に示す。この残膜率が高いほど、耐熱性が良好であると言える。
残膜率(%)=(追加加熱後の膜厚×100/追加加熱前の膜厚)
【0166】
(11)露光波長の変化による感度評価
前記(6)において、Type1の光源に代えて、図2〜4に示したType2、Type3およびType4のそれぞれのスペクトル分布を有する高圧水銀ランプ(Type2ないしType4の光源)をそれぞれ用いたほかは、前記(6)と同様にして感度評価を行った。結果を表9に示す。光源がType1からType2、Type3、Type4となるに連れて、段々と短波長領域の光がカットされる。これらの光源を使用した場合でも、600J/m以下の感度であった場合、感度は良好であるといえる。
【0167】
実施例25〜29及び比較例8〜9
実施例24において、各成分の種類及び量を表7に示すように変更した以外は実施例24と同様にして、黒色の着色組成物(S−32)〜(S−38)を調製した。次いで、黒色の着色組成物(S−31)に代えて黒色の着色組成物(S−32)〜(S−38)を用いた以外は実施例24と同様にして、評価を行った。結果を表8〜9に示す。なお、黒色の着色組成物(S−31)〜(S−38)において、オキシム結合の含有量が等モルとなるように各着色組成物を調製した。
【0168】
【表7】

【0169】
表7において、各成分の略号は、表1と同じである。
【0170】
【表8】

【0171】
【表9】


図1
図2
図3
図4