(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065617
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】ネイル施術用補助具
(51)【国際特許分類】
A45D 29/22 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
A45D29/22
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-16601(P2013-16601)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-147442(P2014-147442A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】吉川 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】花畑 暢夫
(72)【発明者】
【氏名】青山 華子
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4585017(US,A)
【文献】
特開2008−587(JP,A)
【文献】
実開昭57−10823(JP,U)
【文献】
実開昭59−117409(JP,U)
【文献】
米国特許第2506254(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の手の平を固定する基台と、
前記被施術者の手の平を載置する手の平固定部と、
該手の平固定部から延長され前記被施術者の人差し指、中指、薬指、小指を載置する指載置部と、
該指載置部に固定された前記被施術者の各指の間隔を維持する指間隔維持部と、
を備えて構成すると共に、
前記指載置部に載置された人差し指から小指の付け根部分を前記基台に固定する第1のバンドと、
前記手の平固定部に載置された手の平を前記基台に固定する第2のバンドと、
を備え、
前記被施術者の親指を、前記人差し指から小指の付け根部分を固定している前記第1のバンドの上面側に載置させ、該親指を前記第2のバンドで覆って固定する、
ことを特徴とするネイル施術用補助具。
【請求項2】
前記基台を不織布あるいはゴム板で形成し、前記第1および第2のバンドを前記基台と一体物として構成した、
ことを特徴とする請求項1記載のネイル施術用補助具。
【請求項3】
前記基台は、前記手の平固定部より延長されて前記被施術者の手首を載置する手首固定部を備え、
該手首固定部に前記被施術者の手首を第3のバンドで固定する、
ことを特徴とする請求項1記載のネイル施術用補助具。
【請求項4】
前記基台を不織布あるいはゴム板で形成し、前記第1〜第3のバンドを前記基台と一体物として構成した、
ことを特徴とする請求項3記載のネイル施術用補助具。
【請求項5】
被施術者の手の平を固定する基台と、
該基台に手の平を固定した状態において前記被施術者の親指から小指の5本の指の間を一定の間隔で維持する指間隔維持部材と、
指先の爪部を露出させる手袋と、
を備え、
前記基台は、
前記被施術者の手の平から指先までを載置する大きさに形成され、前記手の平を載置する部分に第1の結合部材が取付けられており、
前記手袋は、
手の平側に第2の結合部材を備え、前記第1の結合部材に前記第2の結合部材を結合させて前記基台に取付けられており、
前記指間隔維持部材は、
前記手袋の各指の付け根部分に取付けられている、
ことを特徴とするネイル施術用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪にマニキュアやネイルケア等を施す時に被施術者に負担を掛けることがなく、また、施術者も被施術者の指を補助具によって仮固定することで施術を行い易いネイル施術用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における爪にマニキュアを施したりネイルケアを行う時に使用する補助具として、例えば、特開2001−224425号公報(特許文献1)や、特開2008−93371号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
【0003】
前記特許文献1は、手の平を載せるマニキュア台の手首側から指先側に向かって徐々に高くしたマニキュア台で形成され、被施術者は手の平を載せることで指先が持ち上がった状態となることから、マニキュアやネイルケアを行う施術者が作業し易くなり、かつ、被施術者にとっては手や腕にかかる負担を軽減できるものである。
【0004】
また、前記特許文献2は、手の平を載置する載置面と、該載置面の先端側に人差し指、中指、薬指、小指の間隔を広げるための隆起部と、該隆起部で指の間隔が広げられた各指がグリップできるように形成された窪みが形成されている指先側端部とで形成された載置台であって、手の平を載置面に載せ、指先を指先側端部で各指の間を広げて状態で載置台を握って施術するものである。そして、台は左右方向にシーソー運動することで施術が行い易くなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−224425号公報
【特許文献2】特開2008−93371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記した先行技術におけるマニキュア台や載置台にあっては、何れも手の平を載せるものであるため、施術中において手の平が長時間の施術において動く可能性があり、従って、手の平が動くと指先が動いてマニキュアの施術において塗布した爪の乾燥中に隣あった指先が不用意に接触して修復しなければならないといった問題が発生した。
【0007】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、被施術者の手の平側を基台に固定すると共に指の間を一定間隔で広げた状態でマニキュア等の施術を行うようにしたので、前記施術時に隣接する指が邪魔になることがなく、また、マニキュア乾燥中に他の指が触れることによる修復を行うこともなく、従って、施術時間の短縮と施術を正確に行うことができるネイル施術用補助具を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のネイル施術用補助具は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、被施術者の手の平
を固定する基台と、
前記被施術者の手の平を載置する手の平固定部と、該手の平固定部から延長され前記被施術者の人差し指、中指、薬指、小指を載置する指載置部と、該指載置部に固定された前記被施術者の各指の間隔を維持する指間隔維持部とを備えて構成すると共に、前記指載置部に載置された人差し指から小指の付け根部分を前記基台に固定する第1のバンドと、前記手の平固定部に載置された手の平を前記基台に固定する第2のバンドとを備え、前記被施術者の親指を、前記人差し指から小指の付け根部分を固定している前記第1のバンドの上面側に載置させ、該親指を前記第2のバンドで覆って固定することを特徴とする。
【0009】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記基台
を不織布あるいはゴム板で形成し、前記第1および第2のバンドを前記基台と一体物として構成したことを特徴とする。
【0011】
前記請求項
3の手段は、前記した請求項
1において、前記基台
は、前記手の平固定部より延長
されて前記被施術者の手首を載置する手首固定部を備え、該手首固定部に
前記被施術者の手首を第3のバンドで固定
することを特徴とする。
【0012】
請求項
4の手段は、前記した請求項
1において、前記基台を不織布
あるいはゴム板で形成し、前記第1〜第3のバンドを
前記基台
と一体物として構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項
5の手段は、
被施術者の手の平を固定する基台と、該基台に手の平を固定した状態において前記被施術者の親指から小指の5本の指の間を一定の間隔で維持する指間隔維持部材と、指先の爪部を露出させる手袋とを備え、前記基台は
、前記被施術者の手の平から指先までを載置する大きさに形成され、前記手の平を載置する部分に
第1の結合部材が取付けられており、
前記手袋は、手の平側に
第2の結合部材を
備え、前記第1の結合部材に前記第2の結合部材を結合させて前記基台に取付けられており、前記指間隔維持部材は、前記手袋の各指の付け根部分
に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
被施術者の手の平側を基台に仮固定し、かつ、少なくとも人差し指、中指、薬指、小指の間を一定の間隔で維持するようにしたので、施術者がマニキュアによる施術を行う場合に、指と指との間隔が一定に維持されるので、マニキュア施術が簡単に行え、また、マニキュアを塗布した後の乾燥中に被施術者の他の指が触れることがないので修復する手間が掛からない。
【0015】
また、被施術者の手の平と各指の間を維持した状態で基台に固定することで、関節抱縮症のような障害等により指が伸ばしにくい人に対しても手の平と指が固定されているので、健常者と同じように施術者に面倒を掛けることなく施術を受けることができる。
【0016】
さらに、被施術者が手袋を装着して手の平部分を基台に載置すると結合部材によって手袋が固定され、かつ、手袋を装着した状態であることから指の間隔が一定に維持されるので、施術が簡単、かつ、安全に行え、また、気温が低い場所での施術でも手が冷えるのを防止できる。
【0017】
また、手の平が基台に固定され、かつ、指の間隔を一定状態に維持することで、マニキュア塗布後にマニキュアを早く乾燥するためのUVライト装置に指先を挿入する際に、指先が装置内の内壁に接触して修復する可能性が低く、また、指先が不用意に内側に曲がって適切な照射が行われないといった問題も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施例である指の間隔を維持できない人が使用するのに適したネイル施術用補助具の斜視図である。
【
図2】
図1の補助具に被施術者の手を装着した斜視図である。
【
図3】第2の実施例であるネイル施術用補助具の斜視図である。
【
図4】
図3の補助具に被施術者の手を装着した斜視図である。
【
図5】第3の実施例であるネイル施術用補助具の斜視図である。
【
図6】
図5の補助具に被施術者の手を装着した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施例を
図1、
図2と共に説明する。
1は合成樹脂板やゴム板等で形成した基台にして、被施術者の手首から手の平を載置する手の平固定部1aと、該手の平固定部から延長され親指、人差し指、中指、薬指、小指を載置する指載置部1bとより構成されている。
【0020】
前記基台1に被施術者の手首と手の平を手の平固定部1aに載置した状態において第1のバンド1cによって手首と手の平に巻付け、該第1のバンド1cの両端に取付けられている図示しない面ファスナーやホックボタン等の結合部材を結合することで手首と手の平を固定する。また、前記手の平固定部1aに手首と手の平を固定した状態において被施術者の指を指載置部1bに載置した状態において各指を第2のバンド1dによって巻付け、該第2のバンド1dの両端に取付けられている図示しない面ファスナーやホックボタン等結合部材を結合することで各指を固定する。
【0021】
このように手首と手の平および5本の指を基台1に固定することで、被施術者の指は一定の間隔を隔てて固定されるので、マニキュアやネイルケアを施術者が施術する時に作業が行い易く、また、マニキュアを塗布して乾燥中において被施術者が無意識に指を動かそうとしても第2のバンド1dによって固定されているので、乾燥中に他の指の接触による修復作業を行うという問題は発生しない。
【0022】
また、マニキュアの乾燥を早めるためのUV(紫外線)ライト装置に指先を挿入する場合にも指先が固定されていることから、指先が前記装置の内側に接触することがないので修復を行う必要もなく、かつ、指先が不用意に内側に曲がってUVライトによる適切な照射が行われず時間がかるといった問題も発生しない。
【0023】
さらに、第1の実施例は、各指を基台1に第2のバンド1dによって固定することから、関節抱縮症のような障害等により指が伸ばしにくい人であっても、健常者と同じように施術者に面倒を掛けることなく施術を受けることができる。
【0024】
なお、前記した第1の実施例において基台1として、合成樹脂板を利用した場合には、第1、第2のバンド1c、1dを別部材としなければならないが、基台1を肉厚のゴム板とし、第1、第2のバンド1c、1dをゴム板から厚みの薄いゴム板を延長して形成することで基台1とバンド1c,1dを一体物として形成することも可能である。また、合成樹脂やゴムを例に説明したがUVライト装置に指先を入れてマニキュアの乾燥を早める作業を頻繁に行う場合には、基台1の材質として紫外線に強い材質や表面処理を施すことで耐候性を上げることが望ましい。
【0025】
次に、第2の実施例を
図3、
図4と共に説明する。
本実施例における基台2は肉厚の不織布で形成したものであり、基台2の形状は、被施術者の手の平を載置する手の平固定部2aと、手首を載置する前記手の平固定部2aより延長された手首固定部2bと、前記手の平固定部2aから先端方向に延長され被施術者の人差し指、中指、薬指、小指を載置する指載置部2cと、該指載置部2cに固定された前記各指の間隔を維持するための指間隔維持部2dとより形成されている。
【0026】
また、前記手の平固定部2aに被施術者の手の平を固定するための第1のバンド2eと、人差し指から小指の付け根部分を前記基台2に固定するための第2のバンド2fおよび被施術者の手首を基台2固定するための第3のバンド2gが前記基台2と一体的に形成されている。
【0027】
被施術者の手の平を前記手の平固定部2aに、手首を前記手首固定部2bに載置し、かつ、指を指載置部2cに延ばして小指から人差し指の間を指間隔維持部2dを挟むように載置する。この状態において、第1のバンド2eによって小指から人差し指の付け根を覆った状態で固定する。この時に、親指は第1のバンド2eの上面側に位置させる。次いで、第2のバンド2fの一部が前記第1のバンド2eに重なるように、かつ、親指の上面側を覆うようにして巻付けて固定する。
【0028】
さらに、被施術者の手首を第3のバンド2gで巻き付けて固定することで、前記手首は基台2と一体化される。なお、第1〜第3のバンド2e,2f,2gの両端部分には図示しない面ファスナーやホックボタン等の結合部材が取付けられており、該結合部材を結合することで各指と手首は固定される。
【0029】
このように、人差し指から小指が一定の間隔を維持した状態で固定され、また、親指も固定されることから、前記した第1の実施例と同様に関節抱縮症のような障害等により指が伸ばしにくい人であっても、健常者と同じように施術者に面倒を掛けることなく施術を受けることができる。また、第2の実施例にあっては、被施術者の手首を手首固定部2bに第3のバンド2gで固定することから、手首から指先までが基台2に固定され、より安定状態で施術を受けることができる。
【0030】
前記した第2の実施例では、基台2と第1〜第3のバンド1e,2f,2gとを一体物で構成したが、第1の実施例と同様に基台2と第1〜第3のバンド1e,2f,2gとを別部材で構成してもよい。
【0031】
次に、第3の実施例について
図5、
図6と共に説明する。
本実施例における基台3は合成樹脂板、ゴム板、不織布で形成され、被施術者の手の平から指先までを載置する大きさに形成されている。前記基台3における被施術者の手の平が載置される位置に面ファスナーやホックボタン等の結合部材3aが取付けられている。
【0032】
4は被施術者の施術を行う手に装着する手袋にして、被施術者の指先の爪部が露出するように先端がカットされている。手袋の手の平側には前記基台3の結合部材3aと貼着可能な結合部材4aが取付けられている。また、前記手袋4の各指の付け根部分には指間隔維持部材4bが取付けられている。この指間隔維持部材4bが各指付け根部分に取付けられていることで、被施術者が手袋4を装着すると小指から親指な間隔が一定の間隔になるように維持される。
【0033】
被施術者が手袋4を装着した状態で基台3に載置し、基台3の結合部材3aと手袋4の結合部材4aを結合する。この基台3と手袋4とが一体化すると、指間隔維持部材4bによって指の間隔が固定された指先が基台3の先端近くに配置された状態となる。
【0034】
このように、小指から親指までの各指の間隔が維持された状態で基台3上に配置されるので、施術者による施術が楽に行え、また、マニキュアを塗布した後の乾燥中に被施術者の他の指が触れることがないので修復する手間がなく、さらに、気温が低い場所での施術でも手が冷えるのを防止できる。
【符号の説明】
【0035】
1 基台
1a 手の平固定部
1b 指載置部
1c 第1のバンド
1d 第2のバンド
2 基台
2a 手の平固定部
2b 手首固定部
2c 指載置部
2d 指間隔維持部
2e 第1のバンド
2f 第2のバンド
2g 第3のバンド
3 基台
3a 結合部材
4 手袋
4a 結合部材
4b 指間隔維持部材