(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高電位側電源と出力ノードとの間に直列に接続され、前記高電位側電源の側に接続される第1PMOSトランジスタと前記出力ノード側に接続される第2PMOSトランジスタと、
低電位側電源と前記出力ノードとの間に直列に接続され、前記低電位側電源の側に接続される第1NMOSトランジスタと前記出力ノード側に接続される第2NMOSトランジスタと、
前記第2PMOSトランジスタのゲート端子に接続される第1バイアスノードに第1バイアス電圧を出力し、前記第2NMOSトランジスタのゲート端子に接続される第2バイアスノードに第2バイアス電圧を出力するバイアス電圧生成回路と、
前記第1バイアスノードに接続され、前記第1バイアス電圧の変動を抑制する第1バイアス電圧安定回路と、
前記第2バイアスノードに接続され、前記第2バイアス電圧の変動を抑制する第2バイアス電圧安定回路と、
前記第1バイアス電圧および前記第2バイアス電圧を変動させる信号変化を検出して、前記第1バイアス電圧安定回路および前記第2バイアス電圧安定回路の動作を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする出力回路。
カスコード接続した2個のPMOSトランジスタおよび2個のNMOSトランジスタのうちの1個のPMOSトランジスタのゲートに第1バイアス電圧を印加し、1個のNMOSトランジスタのゲートに第2バイアス電圧を印加し、他の1個のPMOSトランジスタおよび1個のNMOSトランジスタのゲートに出力信号を印加して、トランジスタの耐圧以上の振幅の信号を出力する電圧信号出力方法であって、
前記第1バイアス電圧および前記第2バイアス電圧を変動させる信号変化を検出して、第1制御信号および第2制御信号を生成し、
前記第1バイアス電圧を供給する第1バイアスノードおよび前記第2バイアス電圧を供給する第2バイアスノードと、高電位側電源および低電位側電源との間のインピーダンスを低下させる第1バイアス電圧安定回路および第2バイアス電圧安定回路を、前記第1制御信号および前記第2制御信号に応じて一時的にアクティブにする、ことを特徴とする電圧信号出力方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の出力回路を説明する前に、低耐圧のトランジスタで形成され、高電圧の信号を出力する一般的な出力回路について説明する。
図1は、一般的な出力回路の構成を示す図である。
【0014】
図1の回路は、各トランジスタの耐圧は、電源電圧VDD(例えば、10V)の半分=VDD/2+α(例えば5.5V)が限界で、ドレイン−ソース間にVDD相当の電圧が印加されると破壊されるという前提とする。ここで、出力回路を、VDDとGND(0V)の間にPMOSトランジスタ(以下、PTr)およびNMOSトランジスタ(以下、NTr)を直列に接続した一般的なインバータで構成する場合を考える。この場合、低(L)レベル(GND)出力時にはPTrに、高(H)(VDD)出力時はNTrに、VDD相当の電圧が掛かり、各素子が破壊されることになる。
【0015】
そこで、出力回路を、
図1に示すように形成する。出力回路は、出力部1を有する。出力部1は、高電位側電源端子2と低電位側電源端子3の間に直列に接続された2個のPTr1およびPTr2と、2個のNTr1およびNTr2と、を有する。ここでは、高電位側電源端子2の電圧をVDDとし、低電位側電源端子3の電圧を0V(GND)とする。各トランジスタのチャネルの基板はソースに接続されている。PTr2とNTr2の接続ノードNoutが出力端子(ノード)outに接続される。なお、出力端子outは、バス端子であってもよい。出力端子がバス端子である場合も、出力回路からの出力は行われるので、ここでは出力端子(ノード)と称した場合には、バス端子(ノード)も含むものとする。
【0016】
PTr1のゲートは、バッファ(インバータ)4の出力ノードN3に接続され、NTr1のゲートは、バッファ5の出力ノードN4に接続される。バッファ4は、出力ノードN3に出力する信号の電圧が、VDD/2〜VDD間で変化するように制御し、バッファ5は、出力ノードN4に出力する信号の電圧が、GND〜VDD/2間で変化するように制御する。言い換えれば、N3およびN4の信号は、VDD/2およびGNDを電源電圧とする回路で生成された出力信号を、GNDとVDD間の信号にレベル変換した信号である。
【0017】
PTr2のゲートおよびNTr2のゲートは、バイアス電圧生成回路6の出力バイアスノードN5およびN6に接続される。N5の電圧はVbiasp=VDD/2−Vth、N6の電圧はVbiasn=VDD/2+Vthである。例えば、Vth=0.3Vであり、VDD/2=5.0Vとすると、Vbiasp=4.7V、Vbiasn=5.3Vであり、PTr2およびNTr2は、常時オンとなる。これにより、PTr2は、ノードN1の電位を、VbiaspからVth分だけ高くしたVDD/2に固定する。また、NTr2は、ノードN2の電位を、VbiasnからVth分だけ低くしたVDD/2に固定する。
【0018】
Nout=0V出力時には、PTr1のソース−ドレイン間には、VDD−VDD/2=VDD/2の電圧が、PTr2のソース−ドレイン間には、VDD/2−0V=VDD/2の電圧が印加され、どちらも耐圧以下である。また、NTr1およびNtr2のソース−ドレイン間は、0Vである。Nout=VDD出力時には、NTr1のソース−ドレイン間には、VDD/2−0V=VDD/2の電圧が、NTr2のソース−ドレイン間には、VDD−VDD/2=VDD/2の電圧が印加され、どちらも耐圧以下である。また、PTr1およびPtr2のソース−ドレイン間は、0Vである。
【0019】
以上の通り、Noutに0〜VDDで変化する信号を出力しても、出力部1のPTr1およびPTr2と、NTr1およびNTr2が、耐圧不足となることを防止できる。
なお、バイアス電圧生成回路6の出力するバイアス電圧の設定については、トランジスタの耐圧に応じて適宜設定すればよい。
【0020】
図1の出力回路は、高周波動作を行う場合、出力端子outから見えるPTr2およびNTr2の素子サイズを大きくとることが望ましい。そのため、このトランジスタのゲート−ドレイン間容量も連動して大きくなり、その容量を介してノードNoutのAC変動分がバイアス電圧の出力バイアスノードN5およびN6へ無視できない大きさで伝わる。これによりN5およびN6の電圧が変動し、この変動が大きいと、ノードN1およびN2の電位も変動し、トランジスタに印加される電圧が耐圧以下であることを保障できなくなる。
【0021】
そこで、
図1の回路では、出力バイアスノードN5およびN6とGNDの間にバイパス容量C1およびC2を接続した。バイパス容量C1およびC2を設けることにより、出力バイアスノードN5およびN6に生じる雑音の振幅を低減する。
【0022】
バイパス容量C1およびC2は、容量値が大きいほど雑音の振幅を低減するが、一般的にLSI内に設ける容量の容量値を大きくするとそのサイズも大きくなるため、サイズインパクトが課題となる。
【0023】
図2は、
図1に示したバイアス電圧生成回路6の回路構成を示す図である。
バイアス電圧生成回路6は、分圧回路7と、バイアス電圧出力回路8と、を有する。分圧回路7は、高電位側電源端子2と低電位側電源端子3との間直列に接続された抵抗R1、NTr3、PTr3、NTr4、PTr4および抵抗R2を有する。R1とNTr3の接続ノードがノードN8、PTr3とNTr4の接続ノードがノードN7、PTr4と抵抗R2の接続ノードがノードN9である。ここでは抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値が等しく、PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの閾値は共にVthであるとする。分圧回路7は、ノードN7から中心分電圧VDD/2を、ノードN8から第1分電圧VDD/2+2Vthを、ノードN9から第2分電圧VDD/2−2Vthを出力する。
【0024】
バイアス電圧出力回路8は、第1バイアス電圧を出力する第1バイアス電圧出力回路と、第2バイアス電圧を出力する第2バイアス電圧出力回路と、を有する。第1バイアス電圧出力回路は、第1高電位側電源端子2と低電位側電源端子3との間直列に接続されたNTr5およびPTr5を有する。NTr5のゲート端子は、分圧回路7のノードN7に接続され、中心分電圧VDD/2が印加される。PTr5のゲート端子は、分圧回路7のノードN9に接続され、第2分電圧VDD/2−2Vthが印加される。NTr5とPTr5の接続ノードは、出力バイアスノードN5に接続され、第1バイアス電圧VDD/2−Vthを出力する。
【0025】
第2バイアス電圧出力回路は、第1高電位側電源端子2と低電位側電源端子3との間に直列に接続されたNTr6およびPTr6を有する。NTr6のゲート端子は、分圧回路7のノードN8に接続され、第1分電圧VDD/2+2Vthが印加される。PTr6のゲート端子は、ノードN7に接続され、中心分電圧VDD/2が印加される。NTr6とPTr6の接続ノードは、出力バイアスノードN6に接続され、第2バイアス電圧VDD/2+Vthを出力する。
【0026】
図2に示したバイアス電圧生成回路6の第1および第2バイアス電圧出力回路は、ドレイン接地のトランジスタを介してバイアス電圧を出力するため、出力バイアスノードの電圧変動に対して、自ら定常状態に復帰するように動作する。例えば、出力バイアスノードN5が正(+)の方向に変動した場合、PTr5は一時的にゲート―ソース間電圧Vgsが増大し、定常状態よりドレイン−ソース間電流Idsが増加する。この電流増加が+に傾いたバイアスノードを定常状態に戻そうとする働きをするため、変動から復帰する動作となる。なお、負(−)方向の変化に対しては逆の動作となり、同様に変動を元に戻そうとする。このように、バイアス電圧出力回路は、変動したバイアス電圧を元のレベルに復帰させるように動作し、バイアス電圧の変動を抑制する。
【0027】
この復帰する方向に働く力(駆動力)は出力トランジスタのW/L比(W:ゲート幅、L:ゲート長)に依存しており、W/Lが大きい程、変動に対する復帰力が強くなるが、逆に定常電流が増大するという問題が生じる。以下、説明の簡略化のため、復帰力が強い=W/Lが大きい状態をバイアスノードインピーダンスが低い、復帰力が弱い=W/Lが小さい状態を同インピーダンスが高いと表現する。
【0028】
上記の復帰動作は、バイアスノードが変動することそのものがトリガとなる。そのため、復帰力が強い場合は電圧変動中に復帰動作が作用し、変動の絶対値を小さくするが、復帰力が弱いと変動が終息した後に復帰動作をすることになり、変動の絶対値を低減する点では、何の対策もしていない状態と変わらない結果となる。
【0029】
図3は、出力ノードからのノイズ等によりバイアスノードの電圧が変動した場合の、復帰力の違いによる変動の絶対値の低減を説明する図である。
図3において、破線Pはバイアス電圧出力回路の復帰力(駆動力)が強い場合のバイアスノードの電圧変動を、実線Qは復帰力(駆動力)が弱い場合のバイアスノードの電圧変動を、示す。
【0030】
素子耐圧を守る上でバイアスノード変動の絶対値は極力抑えるべきであり、復帰力(駆動力)は強いことが望ましい。
【0031】
前述のように、
図1の出力回路は、高周波動作を行う場合、出力端子outから見えるPTr2およびNTr2の素子サイズを大きくとることが望ましい。しかし、そのために、トランジスタのゲート−ドレイン間容量も連動して大きくなり、その容量を介してノードNoutのAC変動分がバイアス電圧の出力バイアスノードN5およびN6へ無視できない大きさで伝わる。これによりN5およびN6の電圧が変動し、この変動が大きいと、ノードN1およびN2の電位も変動し、トランジスタに印加される電圧が耐圧以下であることを保障できなくなる。
【0032】
上記のバイアスノードの電圧変動対策を、バイアス電圧生成回路に含まれるバイアス電圧出力回路で行う場合、先述の通り、バイアスノードのインピーダンスを下げ、定常電流を犠牲にして、電圧変動を迅速に収束させることになる。しかし、高速動作時は信号のスルーレートが急峻となるため、バイアスノードの揺れも変動が急峻となり、バイアスノードの電圧変動中に復帰力が働くぐらい迅速に復帰動作させなくては素子耐圧を守ることができない。すなわち、高速動作時はそれに見合うだけバイアスノードインピーダンスを低くする必要がある。この場合、バイアスノードインピーダンス低下に伴って定常電流が増大するので、定常電流を抑制することが望ましい。
【0033】
図4は、第1実施形態の出力回路の構成を示す図である。
第1実施形態の出力回路を形成する各トランジスタの耐圧は、電源電圧VDD(例えば、10V)の半分=VDD/2+α(例えば5.5V)が限界で、ドレイン−ソース間にVDD相当の電圧が印加されると破壊されるという前提とする。
【0034】
第1実施形態の出力回路は、端子BUSの電圧変動の検出に、I/O端子BUSのリエントリ入力を用いる。
第1実施形態の出力回路は、出力部1と、バッファ4および5と、分圧回路7と、第1バイアス電圧出力回路8Aと、第2バイアス電圧出力回路8Bと、を有する。第1実施形態の出力回路は、さらに、第1バイアス電圧安定回路11Aと、第2バイアス電圧安定回路11Bと、リエントリ入力回路12と、制御回路13と、を有する。分圧回路7、第1バイアス電圧出力回路8Aおよび第2バイアス電圧出力回路8Bは、バイアス電圧生成回路6を形成する。
【0035】
出力部1、バッファ4および5は、
図1に示した出力回路のものと同じであり、出力部1のPTr2とNTr2の接続ノードがI/Oバス端子BUSに接続される。分圧回路7は、
図2に示したものと同じである。出力部1、バッファ4および5、および分圧回路7についての説明は省略する。
【0036】
第1バイアス電圧出力回路8Aおよび第2バイアス電圧出力回路8Bは、アイドル状態でもバイアスノードN5およびN6を所望の電圧に維持する。第1バイアス電圧出力回路8Aおよび第2バイアス電圧出力回路8Bは、
図2のバイアス電圧出力回路8に含まれる第1バイアス電圧出力回路および第2バイアス電圧出力回路と同じものであるが、W/L比を小さくして定常電流を低くしていることが異なる。第1バイアス電圧出力回路8Aおよび第2バイアス電圧出力回路8Bの具体的な回路構成についての説明は省略する。
【0037】
第1バイアス電圧安定回路11Aは、PMOSトランジスタPTr11と、NMOSトランジスタNTr11と、PMOSトランジスタPTr12と、NMOSトランジスタNTr12と、を有する。PTr11およびNTr11は、高電位側電源(VDD)とバイアスノードN5に接続される端子との間に直列に接続され、VDDに接続されるのがPTr11であり、バイアスノードN5に接続される端子に接続されるのがNTr11である。NTr12およびPTr12は、低電位側電源(GND)とバイアスノードN5に接続される端子との間に直列に接続され、GNDに接続されるのがNTr12であり、バイアスノードN5に接続される端子に接続されるのがPTr12である。PTr11のゲートには制御回路13から第1制御信号が印加され、NTr11のゲートには分圧回路7から中心分電圧が印加される。NTr12のゲートには、制御回路13からの第2制御信号が印加され、PTr12のゲートには、分圧回路7から第3分電圧が印加される。
【0038】
第2バイアス電圧安定回路11Bは、PMOSトランジスタPTr13と、NMOSトランジスタNTr13と、PMOSトランジスタPTr14と、NMOSトランジスタNTr14と、を有する。PTr13およびNTr13は、VDDとバイアスノードN6に接続される端子との間に直列に接続され、VDDに接続されるのがPTr13であり、バイアスノードN6に接続される端子に接続されるのがNTr13である。NTr14およびPTr14は、GNDとバイアスノードN6に接続される端子との間に直列に接続され、GNDに接続されるのがNTr14であり、バイアスノードN6に接続される端子に接続されるのがPTr14である。PTr13のゲートには制御回路13から第1制御信号が印加され、NTr13のゲートには分圧回路7から第1分電圧が印加される。NTr14のゲートには、制御回路13からの第2制御信号が印加され、PTr14のゲートには、分圧回路7から中心分電圧が印加される。
【0039】
第1バイアス電圧安定回路11Aを形成するPTr11、NTr11、PTr12およびNTr12は、W/L比を大きくし、駆動力を大きくしている。同様に、第2バイアス電圧安定回路11Bを形成するPTr13、NTr13、PTr14およびNTr14は、W/L比を大きくし、駆動力を大きくしている。
【0040】
第1バイアス電圧安定回路11Aでは、PTr11がオンしている時には、NTr11のソースがノードN5に接続されるので、ノードN5の電圧が低下するとVDDからノードN5に電源供給が行われ、ノードN5の電圧低下を抑制する。同様に、NTr12がオンしている時には、PTr12のソースがノードN5に接続されるので、ノードN5の電圧が上昇するとGNDからノードN5に電源供給が行われ、ノードN5の電圧上昇を抑制する。上記のように、PTr11、NTr11、PTr12およびNTr12のW/L比は大きいので、第1バイアス電圧安定回路11Aの復帰力(駆動力)は強く、ノードN5の電圧変動を強力に抑制する。なお、PTr11またはNTr12がオフしている時には、第1バイアス電圧安定回路11Aでは定常電流は流れない。このように、第1バイアス電圧安定回路11Aは、第1および第2制御信号に応じてPTr11およびNTr12がスイッチとして働き、第1および第2制御信号がアクティブの時に動作状態になり、それ以外の時には動作を停止する。
【0041】
同様に、第2バイアス電圧安定回路11Bでは、PTr13およびNTr14はスイッチとして働く。PTr13がオンしている時には、NTr13のソースがノードN6に接続されるので、ノードN6の電圧が低下するとVDDからノードN6に電源供給が行われ、ノードN6の電圧低下を抑制する。同様に、NTr14がオンしている時には、PTr14のソースがノードN6に接続されるので、ノードN6の電圧が上昇するとGNDからノードN6に電源供給が行われ、ノードN6の電圧上昇を抑制する。上記のように、PTr13、NTr13、PTr14およびNTr14のW/L比は大きいので、第2バイアス電圧安定回路11Bの復帰力(駆動力)は強く、ノードN6の電圧変動を強力に抑制する。なお、PTr11またはNTr12がオフしている時には第2バイアス電圧安定回路11Bでは定常電流は流れない。このように、第2バイアス電圧安定回路11Bは、第1および第2制御信号に応じてPTr13およびNTr14がスイッチとして働き、第1および第2制御信号がアクティブの時に動作状態になり、それ以外の時には動作を停止する。
【0042】
リエントリ入力回路12は、2つのI/Oバス端子BUSを入力とする第1および第2リエントリ部を有する。第1リエントリ部は、降圧用PMOSトランジスタPTr21と、VDD/2〜VDD間の電源で動作し、閾値電圧が高く設定されたインバータ14と、を有する。PTr21は、ゲートにVDD/2−Vthが印加され、ソースがI/Oバス端子BUSに接続され、ドレインがインバータ14の入力に接続される。第2リエントリ部は、降圧用NMOSトランジスタNTr21と、GND〜VDD/2間の電源で動作し、閾値電圧が低く設定されたインバータ15と、を有する。NTr21は、ゲートにVDD/2+Vthが印加され、ソースがI/Oバス端子BUSに接続され、ドレインがインバータ15の入力に接続される。
【0043】
制御回路13は、第1制御部と、第2制御部と、を有する。第1制御部は、VDD/2〜VDD間の電源で動作する3個のバッファを含むバッファ列およびXNORゲート16を有する。バッファ列は、インバータ14の出力を遅延する。XNORゲート16は、インバータ14の出力と遅延されたインバータ14の出力の排他的論理和の否定を生成し、ノードN25に第1制御信号として出力する。第1エントリ部および第1制御部により生成される第1制御信号は、I/Oバス端子BUSにおけるリエントリ信号が変化した瞬間から、一定時間アクティブ(Lレベル)になる信号である。なお、バッファ列の出力は、リエントリコア出力端子X1に第1リエントリ信号として出力される。
【0044】
第2制御部は、GND〜VDD/2間の電源で動作する3個のバッファを含むバッファ列およびXORゲート17と、を有する。バッファ列は、インバータ15の出力を遅延する。XORゲート17は、インバータ15の出力と遅延されたインバータ15の出力の排他的論理和を生成し、ノードN26に第2制御信号として出力する。第2エントリ部および第2制御部により生成される第2制御信号は、I/Oバス端子BUSにおけるリエントリ信号が変化した瞬間から、一定時間アクティブ(Hレベル)になる信号である。バッファ列の出力は、リエントリコア出力端子X2に第2リエントリ信号として出力される。
【0045】
したがって、第1バイアス電圧安定回路11Aおよび第2バイアス電圧安定回路11Bは、第1および第2制御信号を受けて、I/Oバス端子BUSにおける電圧が変化した瞬間から一定時間動作状態になる。
【0046】
図5は、
図4に示した第1実施形態の出力回路において、I/Oバス端子BUSの信号(電圧)が低レベル(GND)と高レベル(VDD)の間で変化した場合の、各部の電圧変化を示すタイムチャートである。
図5において、横軸は時間を、縦軸は電圧(V)を示す。
図5の(A)は端子BUSの信号を示す。
図5の(B)は、実線がN21の信号を、破線がN22の信号を示す。
図5の(C)は、実線がN23の信号を、破線がN24の信号を示す。
図5の(D)は、実線がN25の信号を、破線がN26の信号を示す。
図5の(E)は、実線が第1実施形態の出力回路におけるN5の電圧変動を、破線が
図1および
図2の出力回路におけるN5の電圧変動を示す。
【0047】
以下、
図5におけるI/Oバス端子BUSにおける立ち上がり信号を例として、
図4の回路の動作および望ましい閾値を説明する。
図5の(A)のように、入力もしくは出力動作時、端子BUSが0V〜VDD間で遷移し、そのAC変動成分は、出力回路上のPTr2、NTr2のゲート−ドレイン間容量を介して、バイアスノードN5およびN6への正(+)方向の変動として伝わる。
【0048】
一方、端子BUSの信号は、リエントリ入力回路12に伝わり、降圧素子PTr21を通じてVDD/2〜VDD間の電圧信号としてノードN21に、降圧素子NTr21を通してGND〜VDD/2間の電圧信号としてノードN22に出力される。ノードN21の信号は、同電位にて動作するリエントリ入力初段インバータ14のゲートに、ノードN22の信号は、同電位にて動作するリエントリ入力初段インバータ15のゲートに、それぞれ入力する。
図5の(B)はこれらの信号を示す。インバータ14および15は、それぞれの入力信号を反転して出力する。
【0049】
この時、
図5の(C)に示すように、端子BUSの信号はGNDからVDDへ遷移しているため、GNDに近い電源電圧で動作するインバータ15は、インバータ14に先駆けて端子BUSの信号の変動に反応する。これにより、GND〜VDD/2電源の信号経路に関わる第2制御部の制御処理を速めることになる。この応答速度は、インバータ15の閾値電圧を低く設定することで、さらに速めることができる。なお、端子BUSでの立下り信号に関しては、VDDに近い電圧で動作するインバータ14について同様のことがいえる。この場合は、インバータ14の閾値電圧を高めに設定することで、後の第1制御部の応答速度がより早くなる。
【0050】
XNOR16は、インバータ14の出力信号(N23の信号)と、それを一定時間の遅延させた遅延信号の排他的論理和の否定をN25に出力する。XOR17は、インバータ15の出力信号(N24の信号)と、それを一定時間の遅延させた遅延信号の排他的論理和をN26に出力する。
図5の(D)は、N25の第1制御信号、およびN26の第2制御信号を示す。第1および第2制御信号は、第1バイアス電圧安定回路11Aおよび第2バイアス電圧安定回路11Bの動作制御信号であり、PTr11およびPTr13、およびNTr12およびNTr14のゲートに供給される。
【0051】
これに応じて、PTr11およびPTr13、およびNTr12およびNTr14は、端子BUSの変動検出信号(N23およびN24の信号)が反転してから、バッファ列の出力信号が反転するまでの間アクティブとなる。言い換えれば、バッファ列の遅延時間の間アクティブとなる。これにより、バイアスノードN5およびN6の電源VDDおよびGNDとのインピーダンスを一時的に低下させ、変動を瞬時に収束させる。そして一定時間(遅延時間)の後、第1および第2制御信号は再度インアクティブ(オフ)に切り替わる。このため、第1バイアス電圧安定回路11Aおよび第2バイアス電圧安定回路11Bのアクティブ状態で発生する電流を止める動作をすることになる。
【0052】
ここで、上記の通り、端子BUSの変動が立ち上がり信号ならば、GND〜VDD/2の電源電圧で動作する信号経路(第2リエントリ入力部および第2制御部)が変動にいち早く応答する。そのため、第1バイアス電圧安定回路11Aおよび第2バイアス電圧安定回路11Bの制御信号のうち第2制御信号(N26の信号)は、端子BUSの信号の立ち上がり初期から即座に反応してNTr12およびNtr14をオンとする。これに応じて、PTr12およびPTr14によるドレイン接地回路がいち早く動作する状態(アクティブ状態)になる。
図2で説明したように、PTr12およびPTr14によるドレイン接地回路は、バイアスノードN5およびN6の+変動を定常状態に復帰させる力に優れる。そのため、PTr12およびPTr14によるドレイン接地回路は、端子BUSの立ち上がり信号により生じるバイアスノードの+方向の揺れにいち早く対応できる状態となる。
【0053】
一方、第1制御信号(N25の信号)は、VDD/2〜VDD電源電圧で動作する信号経路(第1リエントリ入力部および第1制御部)で生成される。そのため、PTr11およびPTr13は、端子BUSの立ち上がり信号に対してスルーレートに依存して少し遅れてオンにする。しかし、こちらの制御は、NTr11およびNTr13のドレイン接地回路側の制御に関わり、PTr12およびPTr14による+方向の変動からの復帰により生じる揺り戻し対策用にオンとするのみである。そのため、PTr12およびPTr14の制御が、NTr11およびNTr13がアクティブになった後に遅れてアクティブとなっても特に問題は発生しない。
【0054】
以上、一連の動作により、ノードN5およびN6の電源インピーダンスを低減するために、第1バイアス電圧安定回路11Aおよび第2バイアス電圧安定回路11Bを動作状態(オン状態)にしても、一時的に定常電流が増大するのみである。このように、定常電流の増大を最低限に抑制しながら、バイアスノードN5およびN6の電圧変動の迅速な回復が実現される。
【0055】
図1および
図2の出力回路におけるN5の電圧変動は、
図5の(E)の破線で示すようになるが、第1実施形態の出力回路におけるN5の電圧変動は、実線のようになる。これにより、第1実施形態でのバイアスノードにおける電圧変動の抑制効果が確認できる。
【0056】
なお、第1実施形態の出力回路では、リエントリ入力回路12および制御回路13の対か、特に降圧素子PTr21およびNTr21の追加によって端子BUSに寄生容量が付加される。この寄生容量の付加が、高速動作に影響を及ぼす懸念があるが、降圧素子の追加により生じる寄生容量は大きくても数十fF程度に収まり、数百MHz程度のI/O入出力動作上はほぼ影響がない範囲となるため、問題は発生しない。
【0057】
図6は、第2実施形態の出力回路の構成を示す図である。
第2実施形態の出力回路は、出力端子OUTの電圧変動の検出に、出力部1の前段のバッファ4および5の出力を用いる。
【0058】
第2実施形態の出力回路は、第1実施形態の出力回路と類似の構成を有するが、リエントリ入力を、出力部1の前段のバッファ4および5の出力に変更するため、リエントリ入力を設けないことが異なる。
【0059】
バッファ4の出力は、VDD/2−Vth〜VDDの変動範囲を有し、バッファ5の出力は、GND〜Vth+Vthの変動範囲を有する。そのため、バッファ4の出力は制御回路13の第1制御部の入力として、バッファ5の出力は制御回路13の第2制御部の入力として、そのまま利用する。
【0060】
第2実施形態の出力回路では、第1実施形態と異なり、第1および第2バイアス電圧安定回路11Aおよび11Bは、出力動作時しか動作しないため、出力端子にだけ適用される。しかし、出力端子OUTの電圧変動の直前に、第1および第2バイアス電圧安定回路11Aおよび11Bを動作状態にするので、第1実施形態に比べて応答性を改善できる。また、第1実施形態のようにインバータ14および15を設け、その閾値をその都度用意・調整する手間が省けるという利点がある。
【0061】
上記の点以外、第2実施形態の出力回路の動作は、第1実施形態の出力回路と同じなので、説明は省略する。
【0062】
図7は、第1実施形態の出力回路の変形例の概念を示す図である。
図4に示した第1実施形態の出力回路において、第1および第2バイアス電圧安定回路11Aおよび11BのPTr11、NTr12、PTr13およびNTr14は、スイッチとして作用する。また、NTr11、PTr12、NTr13およびPTr14は、バイアスノードN5およびN6に対し電圧変動が発生した際に、VDD電源から電流を供給、もしくはGNDに電流をシンクする動作をする「電流源」であるといえる。そのため、NTr11、PTr12、NTr13およびPTr14は、
図7に示すように、電流源31〜34で表すことができる。
【0063】
電流源31〜34の動作は、第1実施形態と同様である。端子BUSの立ち上がり変動に対しバイアスノードN5およびN6が+方向に変動した場合は、NTr12およびNTr14が即座に応答し、N5およびN6からGNDに電流を引き抜く(シンクする)電流源32および34を動作状態(アクティブ)にする。これにより、N5およびN6の電圧変動が抑制される。逆に立下り変動に対しては、PTr11およびPTr13が即座に応答し、VDD電源からN5およびN6へ電流を供給する電流源31および33を動作状態(アクティブ)にする。これにより、N5およびN6の電圧変動が抑制される。
【0064】
また、分圧回路7、第1バイアス電圧出力回路8Aおよび第2バイアス電圧出力回路8Bは、バイアス電圧生成回路6として表すことができる。
言い換えれば、第1および第2バイアス電圧安定回路11Aおよび11Bは、それぞれVDD電源から電流を供給、もしくはGNDに電流をシンクする2個の電流源で、第1および第2制御信号により動作状態が制御されるものであれよいといえる。また、バイアス電圧生成回路6は、アイドル状態において、バイアスノードN5およびN6の電圧を維持するのであればどのような構成でもよいといえる。
【0065】
また、
図7は、第1実施形態の出力回路の変形例の概念を示すが、第2実施形態の出力回路についても同様の変形例の概念がある。
【0066】
以上説明したように、第1および第2実施形態、およびその変形例では、出力部の前段のバッファ、もしくは端子からのリエントリ入力直後の信号を用いて、バイアスノードの電圧を変動させる原因となる変動を検出する。検出した変動に応じて、バイアス電圧安定回路を一時的に動作させ、バイアスノードの電圧変動を抑制する。
【0067】
これにより、定常電流の増加を最低限に抑えつつ、バイアスノードの電圧変動の抑制効果を向上する。
さらに、
図1および
図2に示した出力回路では、バイアス電圧生成回路の対策のみでは対応しきれなかった電圧変動を抑制するため、補助的に大面積を要するバイパスコンデンサを使用していた。第1および第2実施形態、およびその変形例においても、バイパスコンデンサは必要に応じて設けられるが、必要な容量値を大幅に削減できる。これにより、回路面積の増大を抑制できる。
【0068】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。