(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部(50)は、前記壁気流モードへの移行後、前記壁気流モードの継続時間が第2所定時間を経過するまでに前記温度差の絶対値が第3閾値を超えたとき、次回の前記壁気流モードへの移行を遅延させる、
請求項5に記載の空調室内機(10)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0028】
(1)空調機1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空調機1の構成図である。
図1において、空調機1は、冷房運転及び暖房運転が可能な空調機であり、空調室内機10と、空調室外機70と、空調室外機70と空調室内機10とを接続するための液冷媒連絡配管7、及びガス冷媒連絡配管9とを備えている。
【0029】
(1−1)空調室外機70
図1において、空調室外機70は、主に、圧縮機73、四路切換弁75、室外熱交換器77、膨張弁79、及びアキュムレータ71を有している。さらに、空調室外機70は室外ファン78も有している。
【0030】
(1−1−1)圧縮機73、四路切換弁75およびアキュムレータ71
圧縮機73は、インバータによって運転容量を可変に調節し、ガス冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機73の吸込口手前には、アキュムレータ71が配置されており、圧縮機73に液冷媒が直に吸い込まれないようになっている。
【0031】
四路切換弁75は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える。冷房運転時、四路切換弁75は、圧縮機73の吐出側と室外熱交換器77のガス側とを接続するとともに圧縮機73の吸入側と室内熱交換器13のガス側とを接続する。つまり、
図1の四路切換弁75内の実線で示された状態である。
【0032】
また、暖房運転時、四路切換弁75は、圧縮機73の吐出側と室内熱交換器13のガス側とを接続するとともに圧縮機73の吸入側と室外熱交換器77のガス側とを接続する。つまり、
図1の四路切換弁75内の点線で示された状態である。
【0033】
(1−1−2)室外熱交換器77および室外ファン78
室外熱交換器77は、室外空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮又は蒸発させることができる。なお、室外ファン78が、この室外熱交換器77に対面するように配置されており、回転することによって室外空気を取り込んで室外熱交換器77に送風し、冷媒と室外空気との熱交換を促進する。
【0034】
(1−1−3)膨張弁79
膨張弁79は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、室外熱交換器77と室内熱交換器13の間の配管に接続され、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有している。
【0035】
(1−2)空調室内機10
図2は空調機1の空調室内機10の斜視図であり、
図3は
図2における空調室内機10の断面図である。
図1、
図2及び
図3において、空調室内機10には、本体ケーシング11、室内熱交換器13、室内ファン14、及びフレーム17が搭載されている。
【0036】
(1−2−1)本体ケーシング11
本体ケーシング11は、内部に室内熱交換器13、室内ファン14、フレーム17、及び制御部50を収納している。
【0037】
本体ケーシング11の下部には、吹出口15が設けられている。吹出口15には、吹出口15から吹き出される吹出空気の方向を変更する、風向切換手段としての後フラップ40が回動自在に取り付けられている。後フラップ40は、モータ(図示せず)によって駆動し、吹出空気の方向を変更するだけでなく、吹出口15を開閉することもできる。後フラップ40は、傾斜角が異なる複数の姿勢をとることが可能である。
【0038】
また、吹出口15の近傍には、風向切換手段としての前フラップ31が設けられている。前フラップ31は、モータ(図示せず)によって前後方向に傾斜した姿勢をとることが可能であり、運転停止時には前面パネル11bの下端と吹出口15との間の傾斜下面部11dに設けられた収容部130に収容される。前フラップ31は、傾斜角が異なる複数の姿勢をとることが可能である。前フラップ31よりも吹出空気の流れの上流側には、風向切換手段としてのサブ前フラップ32が回動可能に配置されている。
【0039】
(1−2−2)室内熱交換器13及び室内ファン14
室内熱交換器13は、クロスフィン型熱交換器であり、室内空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を蒸発又は凝縮させ、室内の空気を冷却又は加熱することができる。また、室内熱交換器13は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字状の形状を成し、その下方に室内ファン14が位置する。室内ファン14は、クロスフローファンであり、室内から取り込んだ空気を、室内熱交換器13に当てて通過させた後、室内に吹き出す。室内熱交換器13及び室内ファン14は、フレーム17に取り付けられている。
【0040】
(1−3)制御部50
図4は、空調機1の制御ブロック図である。
図1及び
図4において、制御部50は、空調室内機10内に内蔵されている室内側制御部50aと空調室外機70内に内蔵されている室外側制御部50bとを有している。室内側制御部50aとリモコン52との間では赤外線信号の送受信が行われる。室内側制御部50aと室外側制御部50bとの間では信号の送受信がワイヤを介して行われる。
【0041】
室内側制御部50aは、リモコン52からの指令信号に基づいて、前フラップ駆動モータ315、サブ前フラップ駆動モータ325、後フラップ駆動モータ405、及び室内ファン14を駆動する。
【0042】
また、室外側制御部50bは、リモコン52から指令を受けた室内側制御部50aからの指令信号に基づき、圧縮機73の運転周波数、四路切換弁75の切換動作、膨張弁79の開度、および室外ファン78の回転を制御する。
【0043】
(1−4)リモコン52
リモートコントロールユニット(これ以後、リモコン52とよぶ)は、ユーザーの操作に応じて、空調室内機10及び空調室外機70に内蔵されている制御部と交信して空調機を制御する。
【0044】
リモコン52には、運転スイッチ522、運転切換スイッチ524、温度設定スイッチ526、入りタイマースイッチ528、無感気流運転入/切スイッチ530及び風向調整スイッチ532が設けられている。
【0045】
なお、風向調整スイッチ532、前フラップ31、サブ前フラップ32、後フラップ40、前フラップ駆動モータ315、サブ前フラップ駆動モータ325、及び後フラップ駆動モータ405を総称して風向切換手段とよぶ。
【0046】
運転スイッチ522は、操作される毎に空調機1の運転と停止とを交互に切り換える。運転切換スイッチ524は、操作される毎に運転を自動→冷房→除湿冷房→除湿→暖房→加湿暖房の順に切り換える。温度設定スイッチ526は、上押操作される毎に設定温度が上昇し、下押操作される毎に設定温度が降下する。入りタイマースイッチ528は、操作される毎に1時間後、2時間後・・・6時間後のように順次に入り時刻が変更される。
【0047】
無感気流運転入/切スイッチ530は、無感気流運転の開始条件の一つである無感気流運転をオンにするときに操作される。
【0048】
風向調整スイッチ532は、操作される毎に前フラップ31及び後フラップ40の上下遥動と任意位置固定とを交互に切り換える。
【0049】
(2)風向切換手段の詳細
(2−1)垂直風向調整板20
垂直風向調整板20は、吹出口15の長手方向(
図3の紙面に垂直な方向)に沿って配置された複数の羽根片201を有している。垂直風向調整板20は、吹出流路18において、後フラップ40よりも室内ファン14に近い位置に配置されている。複数枚の羽根片201は、吹出口15の長手方向に沿って水平往復移動することによって、その長手方向に対して垂直な状態を中心に左右に揺動する。
【0050】
(2−2)前フラップ31
図5は、
図3における前フラップ31及び後フラップ40の拡大断面図である。また、
図6は、運転停止時の空調室内機の断面図である。
図5及び
図6において、前フラップ31は、空調運転が停止している間は収容部130に収容されている。
【0051】
前フラップ31は回動することによって収容部130から離れる。前フラップ31の回動軸は、吹出口形成壁16の上隔壁161の前リブ15aの下方に設定されており、前フラップ31の後端と回動軸とは所定の間隔を保って連結されている。それゆえ、前フラップ31が回動して収容部130から離れるほど、前フラップ31の後端の高さ位置は低くなるように回転する。
【0052】
前フラップ31は、
図6正面視反時計方向に回動することによって、前フラップ31の前端および後端ともに円弧を描きながら収容部130から離れる。また、前フラップ31は、
図3正面視時計方向に回動することによって、前フラップ31は収容部130に近づき、最終的に収容部130に収容される。
【0053】
前フラップ31の運転状態の姿勢としては、収容部130に収容された姿勢(
図6参照)、回転して前方上向きに傾斜した姿勢、さらに回転してほぼ水平な姿勢、さらに回転して前方下向きに傾斜した姿勢、さらに回転して後方下向きに傾斜した姿勢(
図3及び
図5参照)がある。
【0054】
前フラップ31は、収容部130に収容された姿勢のときに外側の面を成す第1面31aと、内側の面を成す第2面31bとを有している。第1面31a及び第2面31bは、前フラップ31が
図3及び
図5の後方下向きに傾斜した姿勢をとったときには、それぞれ後面及び前面を成す。
【0055】
第1面31aには、
図5に示すように前フラップ31の厚み方向に寸法が小さくなる窪み部311が設けられている。窪み部311は、前フラップ31の中央から視て回動軸寄りに位置している。
【0056】
(2−3)サブ前フラップ32
サブ前フラップ32は、前フラップ31よりも吹出空気の流れの上流側に位置する板状の部材である。サブ前フラップ32は前フラップ31よりも小さいが、サブ前フラップ32は吹出流路18を通った空気を前フラップ31の第1面31aへ導くに十分な大きさに設定されている。
【0057】
サブ前フラップ32は、使用されないときには吹出口形成壁16の上隔壁161に設けられた収容部16aに収容されている。サブ前フラップ32は、収容部16aに収容された姿勢のときに下側の面を成す第1面32aと、上側の面を成す第2面32bとを有している。第1面32a及び第2面32bは、サブ前フラップ32が
図3及び
図5の姿勢をとったときには、それぞれ後面及び前面を成す。
【0058】
収容部16aは、吹出口形成壁16の上隔壁161を厚み方向に窪ませることによって形成される。収容部16aの深さは、サブ前フラップ32を収容した際にサブ前フラップ32の第1面32aが上隔壁161の面よりも流路側へ突出しないように設定されている。
【0059】
また、サブ前フラップ32は、使用されるとき、回動によって収容部16aから移動して上隔壁161の面よりも流路側へ突出する。サブ前フラップ32の回動軸は、収容部16aの上流側端部の下方に設定されている。
【0060】
例えば、
図5に示すように前フラップ31が後方下向きに傾斜した姿勢をとったときには、サブ前フラップ32は自己の先端が前フラップ31の窪み部311に入り込むように回動する。このとき、サブ前フラップ32全体が収容部16aから離れると上隔壁161とサブ前フラップ32との隙間から吹出空気がバイパスするので、それを防止するためにサブ前フラップ32の後端が収容部16aに残り、上隔壁161とサブ前フラップ32との隙間の拡大を抑制している。
【0061】
この後、サブ前フラップ32の第1面32aと前フラップ31の第1面31aとが気流ガイド面30aを成し、後フラップ40と共に側壁の下部に向かう気流を生成する。
【0062】
(2−4)後フラップ40
後フラップ40は、
図6に示すように吹出口15を塞ぐことができる程度の面積を有している。後フラップ40は、吹出口15を閉じた姿勢のときに外側の面を成す第1面40aと、内側の面を成す第2面40bとを有している。第1面32a及び第2面32bは、後フラップ40が
図3及び
図5の後方下向きに傾斜した姿勢をとったときには、それぞれ後面及び前面を成す。
【0063】
第1面40aは、意匠性を重視して外側に凸のなだらかな円弧曲面に仕上げられている。これに対し、第2面40bは、平面40baと湾曲面40bbとを含んでおり、
図5に示すように、後フラップ40の上端から下端に向かって平面40ba及び湾曲面40bbの順に配置されている。また、
図5において湾曲面40bbは、半径200mm以上の前側に膨らむ湾曲面である。
【0064】
後フラップ40の回動軸は、吹出口形成壁16の下隔壁162の後リブ15bに隣接する位置に設定されている。後フラップ40が、回動軸回りに
図6正面視反時計方向に回動することによって、後フラップ40が吹出口15の前端から遠ざかるように動作して吹出口15を開ける。逆に、後フラップ40が、回動軸回りに
図3正面視時計方向に回動することによって、後フラップ40が吹出口15の前端へ近づくように動作して吹出口15を閉じる。
【0065】
後フラップ40が吹出口15を開けている状態において、吹出口15から吹き出された吹出空気は、後フラップ40の第2面40bに概ね沿って流れる。
【0066】
(3)吹出空気の方向制御
本実施形態の空調室内機は、吹出空気の方向を制御する手段として、風向モードごとに前フラップ31、サブ前フラップ32及び後フラップ40の姿勢を変えて吹出空気の方向を調整している。以下、各風向モードについて図面を参照しながら説明する。なお、各風向モードは、自動的に変更されるように制御されることも、ユーザーによってリモコン等を介して選択されることもできる。
【0067】
(3−1)後方下向き気流モード
後方下向き気流モードは、吹出空気を空調室内機10が設置されている側壁の下部に向けるモードである。後方下向き気流モードでは、吹出空気は、側壁の下部から床面に至り、床面に沿いながら対向する側壁に向かって流れる。
【0068】
後方下向き気流モードでは、前フラップ31、サブ前フラップ32及び後フラップ40は
図2、
図3及び
図5に示した姿勢をとる。
図5で言えば、サブ前フラップ32は自己の下端を上端より前側に位置させて垂直面に対して角度α(0〜10°)だけ傾斜させる。
【0069】
また、前フラップ31は自己の下端を上端よりも側壁側に位置させて垂直面に対して角度β(0〜20°)だけ傾斜する。これによって、サブ前フラップ32の第1面32aと前フラップ31の第1面31aとが前側に膨出する凸形状の気流ガイド面30aを形成する。
【0070】
このときの前フラップ31の下端は、[吹出口15の後端位置から鉛直下方に突出する後リブ15b]の先端の高さ位置よりも下方に位置する。後リブ15bの先端は、吹出口15の最下端である。
【0071】
一方、後フラップ40は自己の下端を上端よりも側壁側に位置させて第2面40bを垂直面に対して傾斜させる。具体的には
図3に示すように、後リブ15bの先端に後フラップ40の第1面40aが接触、若しくは近接するまで後フラップ40が傾斜する。
【0072】
本実施形態では、後フラップ40と後リブ15bとの隙間が一定値(5mm)以下になっているので、その隙間を空気が流れるときの通風抵抗が増大しており、吹出空気はその隙間を避けてもっと広い通路である気流ガイド面30aと第2面40bとで挟まれた風路空間に流れる。
【0073】
したがって、吹出空気は、気流ガイド面30aと第2面40bとで挟まれた風路空間を通過する。その際、サブ前フラップ32に案内された吹出空気がそれよりも大きい前フラップ31に沿う。前フラップ31は自己の下端を上端よりも側壁側に位置させ垂直面に対して傾斜しているので、吹出空気を水平よりも90°以上下向きの側壁下部へ導くことができる。
【0074】
また、気流ガイド面30aと第2面40bとで挟まれた風路空間を通過する吹出空気は、後リブ15bの先端(吹出口15の最下端)の高さ位置より下方に到達するまで、前方への拡散を前フラップ31に阻止された状態で当該風路空間に沿って進む。吹出空気は、当該風路空間を離れる際には後フラップ40の第2面40bに沿った気流となっているので、側壁の下部に向かう気流が十分に生成される。
【0075】
さらに、吹出空気は後フラップ40の第2面40bの平面40ba及び湾曲面40bbの順に沿って流れる。湾曲面40bbは、コアンダ効果を発揮し易いように半径200mm以上に設定されているので、吹出空気は平面40baに沿った下向き気流になった後にコアンダ効果によって湾曲面40bbに引き寄せられて側壁の下部に向かう気流となる。
【0076】
以上にように、前フラップ31及びサブ前フラップ32による前フラップ群30と後フラップ40とが相互に作用することによって、側壁の下部に向かう後方下向き気流が容易に生成される。
【0077】
(3−2)前方下向き気流モード
前方下向き気流モードでは、サブ前フラップ32を利用するモードと利用しないモードのいずれかが自動的に又はユーザーにより選択される。
【0078】
(3−2−1)サブ前フラップ32を利用するモード
図7は、サブ前フラップ32を利用する前方下向き気流モード時の空調室内機10の断面図である。また
図8は、
図7における前フラップ31、サブ前フラップ32及び後フラップ40の拡大断面図である。
【0079】
図7及び
図8において、先ず、前フラップ31が回動して、前フラップ31の第1面31aが水平よりも所定角度x1だけ下向きに傾斜する姿勢をとる。なお、第1面31aが円弧面のため角度の基準がとり難い場合には、
図8に示すよう、第1面31aの両端を結ぶ線を角度の基準としてもよい。
【0080】
また、サブ前フラップ32も回動して、サブ前フラップ32の第1面32aが水平よりも所定角度y1だけ下向きに傾斜する姿勢をとる。このとき、サブ前フラップ32全体が収容部16aから離れると上隔壁161とサブ前フラップ32との隙間から吹出空気がバイパスするので、それを防止するためにサブ前フラップ32の後端が収容部16aに残り、上隔壁161とサブ前フラップ32との隙間の拡大を抑制している。
【0081】
さらに、後フラップ40も回動して、後フラップ40の第2面40bの平面40baが水平よりも所定角度z1だけ下向きに傾斜する姿勢をとる。
【0082】
図8に示すように、前フラップ31及びサブ前フラップ32を水平方向前方から視たとき、サブ前フラップ32の前端部は、前フラップ31よりも吹出空気の流れの上流側で且つ前フラップ31の後端面より鉛直下方で、前フラップ31の後端部と寸法Lだけ重なっている。
【0083】
前フラップ31、サブ前フラップ32及び両者の隙間の位置関係は、吹出空気の流れの上流側から視て、サブ前フラップ32、当該隙間、前フラップ31の順で並ぶ関係となり、当該隙間がその上流側のサブ前フラップ32によって隠れるので、吹出流路18を通過してサブ前フラップ32の第1面32aに案内された空気は、勢い、当該隙間に回らずに前フラップ31の第1面31aに流れる。その結果、当該隙間があったとしても空調空気がその隙間へバイパスすることは防止される。
【0084】
上記のように、サブ前フラップ32を利用する前方下向き気流モードでは、サブ前フラップ32が上隔壁161と前フラップ31との隙間を通る気流を阻む姿勢を採り、前フラップ31の上端を境に吹出空気が前フラップ31の両面に沿って流れることを防止するので、前フラップ31の上端が通風抵抗にならない。その結果、室内ファン14の消費電力上昇、省エネ性能の低下が防止される。
【0085】
また、サブ前フラップ32を利用する前方下向き気流モードは、特に冷房運転における前方下向きの吹出空気を発生させる際に有用である。なぜなら、冷却された空気が前フラップ31の第2面31b側へ流れないので、結露防止という効果を奏するからである。
【0086】
本実施形態では、冷房運転において、上向きの気流を発生させる場合を除き、サブ前フラップ32を使用している。
【0087】
(3−2−2)サブ前フラップ32を利用しないモード
図9は、サブ前フラップ32を利用しない前方下向き気流モード時の空調室内機10の断面図である。
図9において、サブ前フラップ32は収容部16aに収容されており、サブ前フラップ32の第1面32aは、隣接する上隔壁161の延長面上に沿っており、上隔壁161に沿った空気の流れを妨げない。
【0088】
サブ前フラップ32を利用しない前方下向き気流モードでは、サブ前フラップ32自身は通風抵抗にならない。しかし、サブ前フラップ32が上隔壁161と前フラップ31との隙間を通る気流を阻止できないので、前フラップ31の上端が通風抵抗になることは否めない。
【0089】
(3−3)前方気流モード
前方気流モードでは、吹出空気を前方へ勢い良く送り出すサーキュレーション気流モードと、吹出空気を厚く前方へ送り出す中間気流モードが自動的に又はユーザーにより選択される。
【0090】
(3−3−1)サーキュレーション気流モード
図10は、サーキュレーション気流モード時の空調室内機10の部分断面図である。
図10において、前フラップ31は水平姿勢、或いは前端を水平前方に向ける姿勢をとっている。サブ前フラップ32は、収容部16aに収容されている。後フラップ40は、第2面40bの平面40baが吹出口形成壁16の下隔壁162の終端の接線の延長上に沿う傾斜姿勢をとっている。下隔壁162も下スクロール172の終端の接線の延長上に沿うように傾斜しているので、あたかも下スクロール172、下隔壁162及び平面40baが1つのスクロール壁を形成しているように並び、空気の流れは妨げられることなく後フラップ40の第2面40b上に導かれる。
【0091】
サーキュレーション気流モードでは、前フラップ31の第1面31aと後フラップ40の第2面40bとの間隔が狭いので、吹出空気は絞られて流速が増し、勢い良く前方に送りだされ、空調対象空間の空気を攪拌する。その結果、空調対象空間の空気のよどみを解消することができる。
【0092】
(3−3−2)中間気流モード
図11は、中間気流モード時の空調室内機10の部分断面図である。
図11において、前フラップ31は前端を水平よりも上に向ける姿勢をとっている。サブ前フラップ32は、収容部16aに収容されている。後フラップ40は、第2面40bの平面40baが前方下向きに傾斜する姿勢をとっている。
【0093】
一見、吹出空気は後フラップ40の平面40baに沿って前方下向きに流れるようにも思えるが、吹出口15を出た吹出空気はコアンダ効果によって前フラップ31の第1面31aに引き寄せられて水平及び水平よりもやや上向きの気流となって送り出される。
【0094】
ここで、コアンダ効果とは、気体や液体の流れのそばに壁があると、流れの方向と壁の方向とが異なっていても、壁面に沿った方向に流れようとする現象である(朝倉書店「法則の辞典」)。
【0095】
図11において、前フラップ31の第1面31aにコアンダ効果を生じさせるには、前フラップ31と後フラップ40とが所定の開き角度以下になる必要がある。両者の位置関係については、出願人によって平成23年9月30日に出願された特許文献(特開2013−76530)に開示されているので、ここでは説明を省略する。
【0096】
(4)無感気流運転
空調機1では、低負荷時の暖房運転において、吹出空気を空調室内機10が据え付けられている壁から床面に沿って這うような気流によって室温を維持させる、無感気流運転が行われる。
【0097】
気流の方向だけを対比すれば、(3−1)で説明した後方下向き気流モードと同じであるが、無感気流運転が行われるためには、それに先立って予備運転が行われる。
【0098】
(4−1)予備運転の動作
予備運転とは、無感気流運転に入る前の高負荷時に、室内温度を上げ、床に蓄熱させるための運転である。この予備運転によって後の無感気流運転の時間を長く維持することができる。
【0099】
図12Aは予備運転で実行される第1気流モードを表わす説明図であり、
図12Bは予備運転で実行される第2気流モードを表わす説明図であり、
図12Cは予備運転で実行される第3気流モードを表わす説明図である。
【0100】
先ず、
図12Aにおいて、空調室内機10から温調された空気が部屋200の空間中央に向けて吹き出される。このときの気流方向は、(3−3)で説明した前方気流モードと同じであるが、以後、予備運転における前方気流モードを第1気流モードという。第1気流モードにより部屋200全体が暖められる。
【0101】
次に、
図12Bにおいて、空調室内機10から温調された空気が床220の中央に向けて吹き出される。床面中央に到達した気流は床面に沿って奥側へ流れる。ここで、奥とは、空調室内機10が据え付けられている側壁210と対向する壁230の下方部分を言う。
【0102】
このときの気流方向は、(3−2)で説明した前方下向き気流モードと同じであるが、以後、予備運転における前方下向き気流モードを第2気流モードという。第2気流モードにより、床面の中央から奥側が暖められるので(
図12Bの楕円部分)、床220の温度が未だ低いときに床面に温風が流れて舞い上がり、居住者に不快感を与えるという事態が回避される。
【0103】
そして、
図12Cにおいて、空調室内機10から温調された空気が側壁210の下部に向けて吹き出される。気流は側壁から床面に沿って流れる際に、床220の手前を暖める。ここで、手前とは、空調室内機10の直下の領域を言う。
【0104】
このときの気流方向は、(3−1)で説明した後方下向き気流モードと同じであるが、以後、予備運転における後方下向き気流モードを第3気流モードという。第3気流モードにより、床220の手前が暖められるので(
図12C楕円部分)、手前が暖まっていないときに空調室内機10から真下に吹き出された温風が舞い上がって空調室内機10にサーモオフを招くような事態が回避される。
【0105】
制御部50は、予備運転において、上記第1気流モード、第2気流モード及び第3気流モードを順に実行した後、無感気流運転を開始する。
【0106】
(4−2)無感気流運転の動作
図12Dは無感気流運転で実行される壁気流モードを表わす説明図である。
図12Dにおいて、無感気流運転の壁気流モードでは、気流方向は見た目には第3気流モード(後方下向き気流モード)と同じか、或いはさらに側壁210に向ける気流である。
【0107】
壁気流モードと第3気流モードとの決定的違いは、制御部50が、吹出空気温度抑制制御によって壁気流モード実行時の吹出空気の温度を予備運転における第1気流モード、第2気流モード及び3気流モードのいずれの実行時よりも低くしている点である。
【0108】
即ち、制御部50は、第1気流モードで空調対象空間全体を暖めてユーザーが満足する室温にした後、第2気流モードで床の中央から奥側を暖めて壁気流モードに移行した際の気流舞い上がりを抑制する。さらに、第3気流モードで床手前を暖めて壁気流モードに移行した際の気流の舞い上がりを抑制し、不要なサーモオフを防止している。
【0109】
制御部50が第1気流モード、第2気流モード及び第3気流モードを実行することによって、部屋200が十分に暖められ、床220に蓄熱されるので、空調機1にとっては低負荷状態となる。それゆえ、吹出空気温度抑制制御によって、壁気流モードの壁面から床面に沿って流れる気流の温度を下げても、室内温度は長く維持される。また、壁気流は壁面から床面に沿って這うような気流であり居住者に当たらないので、温度が下がっても居住者に不快感を与え難いというメリットがあり、それゆえ無感気流とも呼ばれる。
【0110】
(4−2−1)予備運転から無感気流運転開始までのフロー
以下、予備運転から無感気流運転までの動作を、フローチャートを参照しながら説明する。
【0111】
図13Aは予備運転から無感気流運転開始までの制御フローチャートであり、
図13Bは無感気流運転開始から終了までの制御フローチャートである。
【0112】
(ステップS1)
先ず
図13Aにおいて、制御部50はステップS1で無感気流運転の開始条件が成立しているか否かを判定し、成立しているときはステップS2へ進み、成立していないときは当該判定を継続する。無感気流運転の開始条件は、以下の通りである。
【0113】
第1条件として、無感気流運転がオンになっている必要がある。「無感気流運転がオンになる」とは、リモコン52上の無感気流運転入/切スイッチ530がオンになることである。
【0114】
第2条件として、外気温度Toutが所定許可温度Tper以上である必要がある。理由は、外気温度が低すぎると無感気流運転を維持できなくなるからである。
【0115】
第3条件として、実運転モードが暖房運転である必要がある。さらに、第4条件として、風向設定が自動になっている必要がある。
【0116】
制御部50は、上記第1条件から第4条件の全てが成立しているときは、無感気流運転の開始条件が成立したと判定しステップS2へ進み、上記第1条件から第4条件の一つでも欠けているときは、無感気流運転の開始条件が成立するまで判定を継続する。
【0117】
(ステップS2)
次に、制御部50はステップS2において、予備運転の第1気流モードの実行を開始してステップS3へ進む。
【0118】
(ステップS3)
次に、制御部50はステップS3において、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値|Tr−Ts|が第1閾値△T1以下であるか否かを判定し、|Tr−Ts|≦△T1のときはステップS4へ進み、|Tr−Ts|≦△T1でないときはステップS2へ戻る。
【0119】
(ステップS4)
次に、制御部50はステップS4において、予備運転の第2気流モードの実行を開始してステップS5へ進む。
【0120】
(ステップS5)
次に、制御部50はステップS5において、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値|Tr−Ts|が第2閾値△T2以下であるか否かを判定し、|Tr−Ts|≦△T2のときはステップS6Aへ進み、|Tr−Ts|≦△T2でないときはステップS6Bへ進む。
【0121】
(ステップS6A)
制御部50はステップS6Aに進んだときは、タイマーを起動して経過時間のカウントを開始してステップS7へ進む。
【0122】
(ステップS6B)
制御部50はステップS6Bに進んだときは、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値|Tr−Ts|が戻り閾値△Tbackを超えているか否かを判定する。戻り閾値△Tbackは、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差が拡大したために再度第1気流モードからやり直すか否かの判断を行うための閾値である。
【0123】
制御部50は、|Tr−Ts|>△Tbackであると判定したときはステップS2へ戻り、|Tr−Ts|>△Tbackではないと判定したときはステップS4へ進む。
【0124】
(ステップS7)
次に、制御部50はステップS7において、予備運転の第3気流モードの実行を開始してステップS8へ進む。
【0125】
(ステップS8)
次に、制御部50はステップS8において、タイマーを起動してからの経過時間tが所定時間twを経過したか否かを判定し、t≧twのときはステップS9へ進み、t≧twでないときはステップS7へ戻る。
【0126】
(4−2−2)無感気流運転開始から終了までの動作
(ステップS9)
図13Bにおいて、制御部50はステップS9で壁気流モードを実行する。壁気流モードにおける温度制御は、第1気流モード、第2気流モード及び第3気流モードのときのような|Tr−Ts|に基づく制御ではなく、室内熱交換器13の温度に基づく制御に切り換える。
【0127】
壁気流モードでは、第1気流モード、第2気流モード及び第3気流モードのときよりも吹出空気温度を抑制するので、吹出空気が通過してくる室内熱交換器13の目標温度を制御することで、狙いの温度に対する吹出空気温度の追従性が良くなる。
【0128】
(吹出空気温度抑制制御の説明)
室内熱交換器13の上限温度Tctは、設定温度Ts及び室内温度Trをパラメータとして、「Tct=α(Ts−Tr)+Ts+β」の式から算出される。
【0129】
制御部50は、室内熱交換器13の温度Tcと上限温度Tctとの偏差がγ1以内のときは圧縮機73の垂下制御を行う。また、制御部50は、室内熱交換器13の温度Tcと上限温度Tctとの偏差がγ2を超えたときは圧縮機73の運転周波数を上げる(γ1<γ2)。
【0130】
例えば、Tc上昇時、Tct−γ2≦Tc≦Tct−γ1の範囲内では成り行きとし、Tct−γ1≦Tc≦Tctの範囲内では圧縮機73の垂下制御を行う。
【0131】
また、制御部50は、Tc下降時、Tct−γ1≦Tc≦Tctの範囲内では圧縮機73の垂下制御を行い、Tct−γ2≦Tc≦Tct−γ1の範囲内では成り行きとし、Tc<Tct−γ2の範囲では圧縮機73の運転周波数を上げる。
【0132】
このように室内熱交換器温度Tcの上限温度を制御しつつ吹出空気温度を第1気流モード、第2気流モード及び第3気流モードのときよりも低く維持する制御を吹出空気温度抑制制御という。
【0133】
(ステップS10)
次に、制御部50はステップS10において、予備運転の第1気流モード、第2気流モード及び第3気流モードのいずれかに戻る条件が成立しているか否かを判定し、成立しているときは各モードへ戻り、成立していないときはステップS11へ進む。戻り条件は、以下の通りである。
【0134】
条件Aとして、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値|Tr−Ts|が第1戻り閾値△Tback1を超えていることである。
【0135】
条件Bとして、有効床平均温度Tyukaが[設定温度Ts−定数c]未満であることである。
【0136】
条件Cとして、サーモオフから復帰したとき、条件A及び条件Bのいずれにも該当しないことである。
【0137】
制御部50は、条件Aが成立している判定したときはステップS2へ戻り、条件Bが成立している判定したときはステップS4へ戻り、条件Cが成立している判定したときはステップS6へ戻る。
【0138】
(ステップS11)
次に、制御部50はステップS11において、無感気流運転の終了条件が成立しているか否かを判定し、成立しているときは終了し、成立していないときはステップS9へ戻る。無感気流運転の終了条件は、以下の通りである。
【0139】
第1終了条件として、無感気流運転がオフになっている必要がある。「無感気流運転がオフになる」とは、リモコン52上の無感気流運転入/切スイッチ530がオフになることである。
【0140】
第2終了条件として、外気温度Toutが所定許可温度Tper未満である必要がある。理由は、外気温度が低すぎると無感気流運転を維持できなくなるからである。
【0141】
第3終了条件として、実運転モードが暖房運転でなくなる必要がある。さらに、第4終了条件として、風向設定が自動でなくなる必要がある。
【0142】
制御部50は、上記第1終了条件から第4終了条件の全てが成立しているときは、無感気流運転の終了条件が成立したと判定し、無感気流運転を終了する。
【0143】
なお、負荷によっては壁気流モード移行後、供給能力が足りず、すぐに壁気流モードを止めなければならない可能性がある。そのような事態が発生したときは、次回の壁気流モードへの移行条件を厳しくして移行(例えば、ステップS3及び/又はステップS5)を遅延させることによって、当該事態の発生を回避することができる。
【0144】
以上が、無感気流運転であり、低負荷時に居住者に吹出空気を当てることなく、室温を長く維持しながら、省エネ運転を行うことができる。
【0145】
(5)特徴
(5−1)
空調室内機10では、吹出空気温度を下げることにより、壁気流モードの壁面から床面に沿って流れる気流の温度も下がるので、万が一床面が十分に暖められていない場合であっても、床面に沿って流れる気流の舞い上がりを、従来よりも抑制することができる。なお、壁気流は壁面から床面に沿って這うような気流であり居住者に当たらないので、温度が下がっても居住者に不快感を与え難い。
【0146】
(5−2)
吹出空気温度抑制制御では、吹出空気が通過してくる室内熱交換器13の目標温度(上限温度Tct)を制御することで、狙いの温度に対する吹出空気温度の追従性が良くなる。
【0147】
(5−3)
予備運転では、先ず第1気流モードで空調対象空間全体を暖め、ユーザーが満足する室温にする。次に、床温が低いことにより壁気流モードに移行した際の気流舞い上がりを抑制するために第2気流モードで床の中央から奥側を暖める。さらに、床手前の温度が低いことによる内機真下での気流舞い上がりによるサーモオフを防止するため、第3気流モードで床手前を暖める。その結果、壁気流モードに移行されても、気流の舞い上がりがさらに抑制され、不要なサーモオフが防止される。
【0148】
(5−4)
空調室内機10では、設定温度Tsと室内温度Trとの温度差に基づいて第1気流モードから順次第3気流モードに移行していくので、室内温度が快適温度となり、空調室内機10直下の床面も温まってから第3気流モードを壁気流モードに移行するので、さらに気流の舞い上がりが抑制される。
【0149】
(6)変形例
上記実施形態では、第1気流モードから第2気流モードへの移行判定、及び第2気流モードから第3気流モードへの移行判定は、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値に基づいて行われているが、これに限定されるものではない。
【0150】
図14は、第1変形例における予備運転から無感気流運転開始までの制御フローチャートである。
図14において、ステップS3´及びステップS5´は
図13AのステップS3及びステップS5の変形であり、その他は
図13A及び
図13Bで説明した通りであるので、ここでは、ステップS3´及びステップS5´について説明する。
【0151】
(ステップS3´)
制御部50はステップS3´において、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値|Tr−Ts|が第1閾値△T1以下であるか否かを判定し、さらに有効床平均温度が[設定温度Ts−Tyuka1]以上であるか否かを判定する。「|Tr−Ts|≦△T1で、且つ、有効床平均温度≧[設定温度Ts−Tyuka1]」であるときはステップS4へ進み、「|Tr−Ts|≦△T1で、且つ、有効床平均温度≧[設定温度Ts−Tyuka1]」でないときはステップS2へ戻る。
【0152】
(ステップS5´)
制御部50はステップS5´において、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差の絶対値|Tr−Ts|が第2閾値△T2以下であるか否かを判定し、さらに有効床平均温度が[設定温度Ts−Tyuka2]以上であるか否かを判定する。「|Tr−Ts|≦△T2で、且つ、有効床平均温度≧[設定温度Ts−Tyuka2]」であるときはステップS6Aへ進み、「|Tr−Ts|≦△T2で、且つ、有効床平均温度≧[設定温度Ts−Tyuka2]」でないときはステップS6Bへ進む。
【0153】
上記のように
図13AのステップS3及びステップS5をステップS3´及びステップS5´へ変更することによって、移行条件が厳しくなるので、結果的に壁気流モードを維持する時間を長くすることができる。
【0154】
(7)補足
ここでは、第1気流モードから壁気流モードへの移行について、ブロック図、グラフを参照しながら補足説明する。
【0155】
図15は、第1気流モードから壁気流モードへ移行する条件を示すブロック図である。
図15に示すように、第1気流モードと第2気流モードとの間は、室内温度・床温度の上昇・低下次第で移行を繰り返す。第2気流モードと第3気流モードへの移行はあるがその逆はない。
【0156】
壁気流モードでは、室内温度が低下すると第1気流モードへ移行し、床温が低下すると第2気流モードへ移行する。
【0157】
サーモオフから復帰したとき、壁気流モードを継続する場合は、第3気流モードへ移行する。
【0158】
図16は、第1気流モードから壁気流モードへの移行と室内温度及び有効床平均温度の変化を示すグラフである。
図16において、第1気流モードから第3気流モードにかけて室内温度及び有効床平均温度がほぼ一定の勾配で上昇し、壁気流モードに移行後は室内温度及び有効床平均温度が一定に維持されていることがわかる。
【0159】
つまり、無感気流運転は、3段階の気流モードによって部屋と床とを暖め、以後、壁気流モードによって壁から床面に沿って這うような気流制御を行うことによって、省エネ効果を発揮する。
【解決手段】空調室内機10では、吹出空気温度を下げることにより、壁気流モードの壁面から床面に沿って流れる気流の温度も下がるので、万が一床面が十分に暖められていない場合であっても、床面に沿って流れる気流の舞い上がりを、従来よりも抑制することができる。なお、壁気流は壁面から床面に沿って這うような気流であり居住者に当たらないので、温度が下がっても居住者に不快感を与え難い。