特許第6066040号(P6066040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6066040超音速航空機用排気ノズルの低騒音化方法およびその機能を備えた装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066040
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】超音速航空機用排気ノズルの低騒音化方法およびその機能を備えた装置
(51)【国際特許分類】
   F02K 1/09 20060101AFI20170116BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20170116BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20170116BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20170116BHJP
   F02K 1/06 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   F02K1/09
   F02C7/00 B
   F02C7/00 F
   F01D25/30 B
   F01D25/30 D
   F01D25/00 S
   F02K1/06
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-146339(P2012-146339)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-9613(P2014-9613A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 純一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 安
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−307156(JP,A)
【文献】 特開2001−271710(JP,A)
【文献】 特開平06−173768(JP,A)
【文献】 特開平05−133272(JP,A)
【文献】 特開2012−067738(JP,A)
【文献】 特開2003−227410(JP,A)
【文献】 特開平06−010764(JP,A)
【文献】 特開2000−087803(JP,A)
【文献】 特開2013−019330(JP,A)
【文献】 特開2003−056405(JP,A)
【文献】 特開2008−101616(JP,A)
【文献】 特開平07−208263(JP,A)
【文献】 特開2007−187161(JP,A)
【文献】 特開2012−117806(JP,A)
【文献】 特開2008−069774(JP,A)
【文献】 特開平07−208262(JP,A)
【文献】 特開2007−218255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D13/00−15/12
23/00−25/36
F02C1/00−9/58
F02K1/00−99/00
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの後方に連結され、徐々に細く絞られその下流側が徐々に広がった断面積分布となる形状の排気ノズルにおいて、離陸時にはノズル内面放射方向に中央部で深くなる複数の溝を流れ方向に形成することによりノズル先端領域に縦渦を誘起できる形状とし、巡航時には前記溝が塞がれて形状が可変する機能によって、超音速航空機用排気ノズルの離陸時の低騒音性と巡航時の高い推進性能を確保する方法。
【請求項2】
エンジンの後方に連結され、徐々に細く絞られその下流側が徐々に広がった断面積分布となる形状の排気ノズルであって、離陸時にはノズル先端領域に縦渦を誘起するために内壁面放射方向に中央部で深くなる複数の放射状の溝部が流れ方向に形成される形状、巡航時には前記溝部が塞がれて形状が可変する機構を備え、離陸時の低騒音性と巡航時の高い推進性能を確保することを特徴とする超音速航空機用排気ノズル。
【請求項3】
前記の形状が可変する機構は放射方向の溝部と内壁面の他の部分と同じ径寸法の土手部を備えた部材が回動することにより、切換えがなされるものである請求項2に記載の超音速航空機用排気ノズル。
【請求項4】
前記の形状が可変する機構は放射方向の溝底部が内壁面の他の部分と同じ径寸法となるように径方向に進退自在であることにより、切換えがなされるものである請求項2に記載の超音速航空機用排気ノズル。
【請求項5】
前記複数の放射状の溝部の底は流れ方向に段部を生じないようになだらかな傾斜形状とされている請求項3または4に記載の超音速航空機用排気ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音速航空機に用いることができる、排気ノズルの騒音低減の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧の流体をノズル端又はパイプ端から放出するとこれら端部に高速流体が形成される。高速流体は周囲の流体との間の速度勾配から混合を起しながら拡散し、混合過程で騒音が発生する。ガスタービンエンジンの排気部分で典型的なこのジェット騒音は広い周波数帯域にわたり高いエネルギーを有しており、航空機用ジェットエンジンの場合には空港周辺環境や航空機利用者が、騒音暴露による受容し難い影響を被る。
【0003】
超音速航空機では、離陸、巡航時ともに効率的に推力を得るため、可変機構を有する排気ノズルが用いられる。この種の可変排気ノズルとして、例えば非特許文献1には図7に示されるように、A:先細末広ノズル形式、B:プラグノズル形式、C:非軸対称ノズル形式のものが開示されている。Aはノズル先端部が開いたり閉じたりする機構を備え、先端部の断面積を可変としている。Bはノズル先端部の軸心部分が径方向に膨らんだり萎んだりする機構を備え、先端部の断面積を可変としている。Cは固定壁と可動壁を組み合わせ可動壁をフラッパ形態で径方向に変位させることで先端部の断面積を可変としている。これらのものは推進性能向上と可変機構による重量増加の収支が設計の上で重要となる。一方、空港騒音低減の観点から、排気騒音の基準を満たすことが必須である。代表的な基準として国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization:ICAO)が示す基準があり(非特許文献2)、超音速航空機用ノズルに、従来用いられる低騒音化装置を付加すると、騒音低減効果、推力の減少、重量の増加の間でトレードオフの関係になる。このため、単純、軽量かつ超音速航空機に適した可変排気ノズルの騒音低減技術が求められているところである。
【0004】
従来技術としてはミキサエジェクタ型可変ノズルが多く研究されているが、複雑な機構を有し、重量が増す点に大きな課題がある。特許文献1に示されたものは、ミキシング効率が高いローブ形ミキサを格納可能に備え、離陸時の騒音低減形態から亜音速時を経て超音速巡航形態まで円滑に移行できる、超音速輸送機用低騒音排気ノズルを提供することを目的としたもので、そのための構成として、円形から矩形に変化する断面形状を有するトランジションダクトと、コアエンジンの後方両側に延びた側壁と、第1水平軸まわりに揺動可能な一対の第1フラップAと、第2水平軸まわりに揺動可能な一対の第2フラップBと、第1フラップAの下流端の第3水平軸に枢着され直線状水平に展開した一対のローブ形ミキサMと、第4水平軸まわりに揺動可能な一対の第3フラップCとを備える。ミキサMは第5水平軸を有し、この第5水平軸はリンクを介して第4水平軸に連結されており、第4水平軸は側壁に設けられたガイドに沿って移動可能に設けられている。このように、構成は複雑となっており、その機構を備えることにより、重量も増すものとなっている。
【0005】
また、特許文献2に示された「二重ターボファン・エンジン」は、可変サイクル・性能および効率、ならびに騒音減衰の改良された超音速航空機ターボファン・エンジンを提供することを目的としたもので、ターボファン・エンジンは、タービンにそれぞれ独立して連結された第1、第2ファンを含む。第1バイパス管路は、コアエンジンを包囲して、第2ファンと連通するように配置されている。第2バイパス管路は、第1バイパス管路を包囲して、第1ファンと連通している。第1排気ノズルは、コアエンジンと第1バイパス管路の両方に連結されている。また、第2排気ノズルは、第2バイパス管路に連結された構成が採用されている。そして、第1排気ノズルおよび第2排気ノズルは、可変断面積が操作されるように構成されており、2つのノズルは、ディジタルコンピュータの形態のエンジン制御器に好適に連結された相応するアクチュエータを有し、このエンジン制御器は、航空機のその運転サイクルおよび飛行エンベロープの間、エンジンの効率的運転の必要に応じてその放出流量範囲を好適に調整するようになっている。しかし、この構成も単純、軽量かつ超音速航空機に適した可変排気ノズルという要件を満足させるものとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−208262号公報 「超音速航空機用排気ノズル」 平成7年8月8日公開
【特許文献2】特開2007−218255号公報 「二重ターボファン・エンジン」平成19年8月30日発行
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gordon C. Oates,”Aircraft Propulsion Systems Technology and Design” ,301-303頁
【非特許文献2】ICAO Annex 16 Volume 1 Chapter3,4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、推進性能を確保した上で装置を大型にしない軽量で単純機構を用いた超音速航空機用の可変排気ノズルの騒音低減方法を提示し、更に、その装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音速航空機用排気ノズルの低騒音化方法は、徐々に細く絞られその下流側が徐々に広がった断面積分布(この断面積分布を本明細書では「先細末広」と略称する。)となる形状の排気ノズルにおいて、離陸時にはノズル内面放射方向に中央部で深くなる複数の溝を流れ方向に形成することによりノズル先端領域に縦渦を誘起できる形状とし、巡航時には前記溝が塞がれて形状が可変する機能によって、超音速航空機用排気ノズルの離陸時の低騒音性と巡航時の高い推進性能を確保するようにした。
【0010】
本発明の低騒音性と推進性能を兼ね備えた超音速航空機用排気ノズルは、徐々に細く絞られその下流側が徐々に広がった断面積分布となる形状の排気ノズルであって、離陸時にはノズル先端領域に縦渦を誘起するために内壁面放射方向に中央部で深くなる複数の放射状の溝部が流れ方向に形成される形状、巡航時には前記溝部が塞がれて形状が可変する機構を備えるものとした。
前記の形状が可変する機構の1形態として、放射方向の溝部と内壁面の他の部分と同じ径寸法の土手部を備えた部材が回動することにより、切換えがなされるものを提示した。
また、前記の形状が可変する機構の他の形態として、放射方向の溝底部が内壁面の他の部分と同じ径寸法となるように径方向に進退自在であることにより、切換えがなされるものを提示した。
上記の形態の更なる形態として、前記複数の放射状の溝部の底は流れ方向に段部を生じないようになだらかな傾斜形状とされているものを提示した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の超音速航空機用排気ノズルの低騒音化方法は、巡航形態におけるノズルの内面形状は従来のノズルとほぼ同様の先細末広の断面積分布となるように形状されるので高い推進性能を確保されると共に、離陸時のノズルの内面形状は複数の放射状の溝部が形成される断面形状とされているのでノズル先端領域に縦渦が誘起され、該縦渦が排気速度の外縁での減速および外気との混合を促進することによって、効果的に低騒音化を図ることができる。
本発明の低騒音性と推進性能を兼ね備えた超音速航空機用排気ノズルは、放射状の溝部と内壁面の他の部分と同じ径寸法の土手部を備えた部材が回動することにより、また、放射状の溝底部が内壁面の他の部分と同じ径寸法となるように径方向に進退自在であることにより、形状が可変する機構であるため、従来装置と装備重量も同程度である。それに加え、特別の低騒音化装置を付加せずとも、静粛性を有するので、低騒音化装置の重量増加分だけ従来装置に比べ優位である。さらに、可変機構の方法も上記の2方式に限定されず自由度があり、より簡素かつ軽量な、低騒音可変排気ノズルの構築が可能である。
また、本発明の低騒音性と推進性能を兼ね備えた超音速航空機用排気ノズルは、前記複数の放射状の溝部の底は流れ方向に段部を生じないようになだらかな傾斜形状とされているものとしたときは流体の流れが滑らかであり、推進力損失を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の可変排気ノズルの断面積分布の与え方を示す図である。
図2】本発明の排気ノズルの離陸時の内面形状と巡航時の内面形状を示す図であり、上は破断斜視図であり下は部分断面図である。
図3】回動することにより排気ノズルの断面積が可変する本発明の1形態を示す図である。
図4】溝底部が径方向に進退自在に変位することにより、排気ノズルの断面積が可変する本発明の1形態を示す図である。
図5】左図は数値解析によってマッハ0.7の流れの場での本発明の排気ノズル周辺のマッハ数分布を側方から可視化した図であり、右図はノズル先端部の断面画像である。
図6】縮尺模型を用いノズル内面を放射状の溝形状にした本発明のノズルと従来装置のノズルと騒音効果を比較した実験結果を示すグラフである。
図7】従来の可変断面積型排気ノズルの形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、可変排気ノズルの低騒音化に伴って生じる、重量の増加を最小にするため、断面積変化機構を工夫することにより、可変装置と騒音低減装置を一体化し、重量の問題を大幅に緩和する方法および装置を提案する。離陸時に推進性能がよい形態は、先細の断面積分布を有するノズルである。一方で超音速巡航時に推進性能がよい形態は、先細末広の断面積分布を有するノズルである。騒音は、外気速度と排気速度の差に依存するので、排気速度の外縁での減速および外気との混合を促進することによって、低騒音化を図ることができる。これには、排気流外縁に縦渦を誘起することが有効であるとの知見を得た。本発明では、離陸時に縦渦を誘起できる断面形状、巡航時に先細末広の断面積分布と可変する機能によって、離陸時の低騒音性と巡航時の高い推進性能を確保する。
【0014】
低騒音性が求められる離陸設計点に合わせた断面積形状から高推進性能が求められる巡航設計点に合わせた断面積形状へと変化させる。離陸形態では、先細の断面積もしくは、僅かに末広の断面積分布が望まれ、超音速巡航時には先細末広の断面積が望ましい。図1に本発明の可変排気ノズルの断面分布の与え方を示す。巡航時は破線で示すように高い推進性能を確保するように先細末広形状となるよう断面積が決められる。離陸時は排気流外縁に縦渦を誘起させるようにノズル内面に複数の放射状溝を形成する。そして、ノズルの前後両端部位置は変化させず中央部で断面積が広くなって溝部となる形状とする。図2に本発明の排気ノズル1の離陸時の内面形状(左側)と巡航時の内面形状(右側)を示す図であり、上は破断斜視図であり下は部分断面図である。巡航時の内面形状は従来装置と同様に先細末広形状であって、軸方向のすべての位置で断面は円形形状となっている。この形態は噴出流体の流れは均一で安定しており、高い推進性能を備える。一方、離陸時すなわち、低速であって低騒音が要求される時の内面形状は先細末広形状のノズルの内面周方向に断面図からよく分かるように等間隔の溝構造が形成され、当該溝部Cは前記排気ノズル1両端部では幅が0となるように形成されると共に溝部Cの底面は軸方向に滑らかに傾斜する形状となっている。噴射流体は当該溝部Cをも流路として排出され、流速は周方向に不連続となる。
【0015】
本発明の離陸時の形態において断面形状が凹凸となる溝部Cを形成することにより、その部分から縦渦を誘起することができることが本発明の特徴点である。可変機構により溝部Cを塞ぐことによって、巡航形態では、推力損失の少ない、滑らかな先細末広ノズルとすることができる。この溝部Cを形成する形態とこの溝部Cを塞いだ形態を切換える機構として、回転機構、フラップ機構等を用いる実施形態を提示する。図3に示すのは回転動作によって2形態を切換える機構である。黒く塗りつぶされた部分は溝部Cを塞ぐ部材Eであるが、この部材は離陸時形態では隣接する土手部D内に格納されることにより、溝部Cを形成する。この部材Eが回転して進出すると前記溝部Cが塞がれて巡航時の本来の先細末広形状のノズルとなる。
【0016】
図4に示すのは進退動作によって2形態を切換える機構である。前例と同様に黒く塗りつぶされた部分は溝部Cを塞ぐ部材Eであるが、この部材は離陸時形態では遠心方向に退避してノズル内に格納されることにより、溝部Cを形成する。この部材Eが中心方向に進出すると前記溝部Cが塞がれて巡航時の本来の先細末広形状のノズルとなる。このように、回転機構、フラップ機構等を用いることにより、単純な機構で離陸時と巡航時の2形態を容易に切換えることが可能である。
【0017】
本発明の排気ノズルの低騒音化効果を数値解析データで示す。図5は本発明の離陸時形態の排気ノズル形状について数値解析により、マッハ数分布を可視化した画像である。左図はマッハ0.7の流れの場での本発明の排気ノズル周辺のマッハ数分布を側方から可視化した図であり、右図はノズル先端部の断面画像である。マッハ0.0を黒、マッハ0.7を白として階調表示してある。ノズル圧力比は1.31である。溝部を通って噴射された流体が縦渦を作っているのが右図のノズル先端部の断面画像から確認できる。
【0018】
次ぎに、縮尺模型を用いノズル内面を放射状の溝形状にした本発明のノズルと従来装置のノズルと騒音効果を比較した実験結果を示すグラフを図6に示す。模型を用いた実験により、本発明の実施例と同断面積の先細ノズルとの騒音の比較を行った例を示す。縦軸に音圧レベル(SPL)をとり、横軸に周波数を採っている。音圧レベル(SPL)とは、音圧の大きさを、基準値との比の常用対数によって表現した量(レベル)である。単位はデシベル[dB]が用いられる。可聴域にある音は同じ周波数であれば、音圧が大きいほど大きな音として認識される。ノズル圧力比は1.62、ノズル温度比は1.09、排気出口直径は30.4mm、計測位置はノズル端部から直径の30倍とした。左のグラフは排気口から90°の方向、すなわち、横方法からの測定データであり、右のグラフは排気口から45°の方向からの測定データである。角度45°〜90°の範囲が騒音の大きな領域とされている。測定した周波数は1000Hz〜100000Hzである。
【0019】
本発明の実施例のデータは太字表示であり、同断面積の先細ノズルのデータは細字表示してある。左の排気口から90°の方向の測定データも、右の排気口から45°の方向からの測定データもともに、本発明の実施例のデータは音圧レベルが低くなっていることが確認できる。特に、低周波数側で顕著である。2kHz〜100kHzを積分した周波数領域全体の音圧レベルOASPL(Overall Sound Pressure Level)で比べてみると、左の排気口から90°の方向の測定データでは1.2dB、右の排気口から45°の方向からの測定データでは1.0dBであり、2方向共に同程度の騒音低減効果が見られた。
【符号の説明】
【0020】
1 排気ノズル C 溝部
D 土手部 E 溝部を塞ぐ部材
図1
図6
図7
図2
図3
図4
図5