特許第6066063号(P6066063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066063
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】トンネル仕切り体の撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E21F 17/00 20060101AFI20170116BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   E21F17/00
   E21D11/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-19777(P2013-19777)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-148882(P2014-148882A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】591135440
【氏名又は名称】日本通運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】福本 勝司
(72)【発明者】
【氏名】塙 守幸
(72)【発明者】
【氏名】辻 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】黒川 修治
(72)【発明者】
【氏名】庄司 尚矢
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 方哉
(72)【発明者】
【氏名】岡 重洋
(72)【発明者】
【氏名】中西 隆司
(72)【発明者】
【氏名】西浦 秀明
(72)【発明者】
【氏名】泉水 大輔
(72)【発明者】
【氏名】阪本 公明
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮
(72)【発明者】
【氏名】丈達 康太
(72)【発明者】
【氏名】中野 進
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−23937(JP,A)
【文献】 特開平8−86200(JP,A)
【文献】 特開平4−161669(JP,A)
【文献】 car.watch.impress,NEXCO中日本、笹子トンネル工事現場を公開,car.watch.impress ニュース,car.watch.impress,2013年 1月15日,http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/581800.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 1/00〜 17/18
E21D 11/00〜 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内部空間を上下に仕切る天井と該天井の上方に拡がる頂部空間をトンネル軸に直交する鉛直断面において左右に仕切る隔壁とからなるトンネル仕切り体を前記トンネルから撤去するトンネル仕切り体の撤去方法において、
前記トンネル仕切り体のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を搬送台車で予め受け替え、
前記撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体を該トンネル仕切り体に属する天井の水平姿勢が保持され隔壁の起立姿勢が保持されるように前記トンネルの内面から切り離して撤去対象仕切り体として前記搬送台車に載置し、
前記搬送台車を前記トンネル内であって前記撤去対象区間から離間した位置に設けられ前記トンネルの内面近傍に解体用設備が配置された隔壁解体区間に向けて走行させることで、該隔壁解体区間に前記撤去対象仕切り体を移動させ、
前記撤去対象仕切り体を、該撤去対象仕切り体の天井を構成する天井板が水平姿勢を保持され隔壁を構成する隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように前記解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離し、
前記撤去対象天井板が前記搬送台車に載置された状態で該搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、前記受替え工程、前記切り離し工程、前記隔壁解体区間への移動工程及び前記解体分離工程を繰り返した後、前記搬送台車に前記撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該搬送台車を前記トンネルの外に走行させることを特徴とするトンネル仕切り体の撤去方法。
【請求項2】
トンネルの内部空間を上下に仕切る天井と該天井の上方に拡がる頂部空間をトンネル軸に直交する鉛直断面において左右に仕切る隔壁とからなるトンネル仕切り体を前記トンネルから撤去するトンネル仕切り体の撤去方法において、
前記トンネル仕切り体のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を受替え用搬送台車で予め受け替え、
前記撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体を該トンネル仕切り体に属する天井の水平姿勢が保持され隔壁の起立姿勢が保持されるように前記トンネルの内面から切り離して撤去対象仕切り体として前記受替え用搬送台車に載置し、
前記受替え用搬送台車を前記トンネル内であって前記撤去対象区間から離間した位置に設けられ前記トンネルの内面近傍に解体用設備が配置された隔壁解体区間に向けて走行させることで、該隔壁解体区間に前記撤去対象仕切り体を移動させ、
前記撤去対象仕切り体を、該撤去対象仕切り体の天井を構成する天井板が水平姿勢を保持され隔壁を構成する隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように前記解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離し、
前記撤去対象天井板が前記受替え用搬送台車に載置された状態で該受替え用搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、前記受替え工程、前記隔壁解体区間への移動工程及び前記解体分離工程を繰り返した後、前記受替え用搬送台車に前記撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該撤去対象天井板を前記受替え用搬送台車から運搬用搬送台車に所定の積替え地点で積み替え、
前記運搬用搬送台車に載置する形で前記撤去対象天井板を前記トンネルの外に搬出することを特徴とするトンネル仕切り体の撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として横流換気方式に用いられているトンネル仕切り体を撤去する際に適用されるトンネル仕切り体の撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルにおいては、トンネル内を走行する自動車からの排気ガスでトンネル内の空気が汚染されることがないよう、必要に応じて換気システムを導入する必要があり、総延長が長い道路トンネルでは、機械による強制換気が不可欠となる。
【0003】
道路トンネルの機械換気には、トンネルの頂部内面から吊持されたジェットファンや立坑内の換気設備を用いることでトンネル軸方向に沿った換気を行う縦流換気方式や、トンネル内に配置された送排気ダクトを用いることでトンネル軸に直交する方向に沿った送排気を行う横流換気方式、あるいはそれらを組み合わせた換気方式がある。
【0004】
これらのうち、横流換気方式は、トンネル軸方向から見たときに全体が逆T字状断面となるように、トンネル内空間を天井で上下に仕切るとともに天井の上方に拡がる頂部空間をさらに隔壁で左右に仕切って該隔壁の一方の側を送気ダクト、他方の側を排気ダクトとしたものであり、トンネル軸方向に沿って送排気ダクトを設置しなければならない分、コスト高となるものの、交通量が多い場合には、十分かつ安定した換気性能を確保することが可能であるため、特に長大トンネルでは、数多く採用されてきた。
【0005】
一方、昨今の自動車排出ガス規制により、自動車の排出ガスに含まれる一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素類、黒煙といった大気汚染物質の濃度は著しく減少しており、道路トンネルの換気システムも、以前ほど高い換気性能を確保する必要性は乏しくなっている。
【0006】
かかる状況下、横流換気方式を縦流換気方式その他の換気方式に変更する計画が検討され始めている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】中日本高速道路株式会社、[平成25年1月18日検索]、インターネット<URL :http://www.c-nexco.co.jp/images/urgency/64/bf62958e77a276e10a2feb9b50786911.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トンネル換気方式を横流換気方式から他の換気方式に変更するにあたっては、上述したトンネル仕切り体を予め撤去しなければならないが、該トンネル仕切り体は、プレキャストコンクリートで形成された矩形の天井板をトンネル軸に直交する方向に沿って2枚が隣り合うようにかつトンネル軸方向に沿って連続するように水平配置し、それらの対向縁部をトンネルの頂部に取り付けられた吊り金具の下端に連結するとともに、反対側縁部をトンネルの対向側壁に連結することで天井を構成してあるとともに、同じくプレキャストコンクリートで形成された矩形の隔壁板を、吊り金具が配置された鉛直面に沿ってトンネル軸線方向に連続配置することで隔壁を構成してあり、これら天井板や隔壁板は、幅や高さが5m、奥行が1m、質量が1tを超える規模であって、上記の例では、1kmあたり枚数にして計3,000枚、質量にして3,000tにも上る。
【0009】
そのため、ニブラ等の解体破砕機を用いた撤去方法では撤去作業に膨大な時間を要し、その結果、道路トンネルとしての供用停止期間が長期に及び、道路交通への影響が甚大となる。
【0010】
そこで、トンネル仕切り体を逆T字状断面のままトンネル内面から切り離して自走式多軸台車に載置し、これをトンネル外に搬出する撤去工法が計画されており、かかる工法によれば、トンネル仕切り体を数十mにわたって一度にトンネルから撤去することが可能であって、解体破砕機を用いた旧来の撤去方法に比べれば、撤去に要する時間を大幅に短縮することができる(非特許文献1)。
【0011】
しかしながら、トンネル仕切り体は上述したように逆T字状断面のまま、すなわち隔壁が起立した状態であって、通常の搬送速度では搬送物であるトンネル仕切り体が不安定となるため、トンネル坑外に設けられた解体ヤードまで微速走行を余儀なくされる。
【0012】
加えて、既設トンネルの出入り口付近は、山間部ゆえに余裕スペースがあるとは限らず、緊急車両のための走行レーンを確保しておく必要性も考慮すれば、解体ヤードがトンネル出入り口から数km離れてしまう場合も想定されるところ、かかる状況では、トンネル仕切り体を解体ヤードまで搬送するのに長時間を要することになる。
【0013】
一方、トンネル内は当然ながら空頭が制限されるため、トラッククレーンその他の移動式クレーンを用いた解体をトンネル内で行うことはきわめて困難であるほか、何より移動式クレーンが搬出作業の邪魔になることが懸念され、さりとてトンネル仕切り体をトンネル内面から切り離す際に隔壁を解体しようとする試みは即ち、解体のための作業をトンネル全長にわたって行うことを強いるものであって、撤去コストの増大を招くことにもなりかねない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、トンネル仕切り体を構成する天井や隔壁を迅速かつ安全にかつ経済性に優れた形で撤去可能なトンネル仕切り体の撤去方法を提供することを目的とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法は請求項1に記載したように、トンネルの内部空間を上下に仕切る天井と該天井の上方に拡がる頂部空間をトンネル軸に直交する鉛直断面において左右に仕切る隔壁とからなるトンネル仕切り体を前記トンネルから撤去するトンネル仕切り体の撤去方法において、
前記トンネル仕切り体のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を搬送台車で予め受け替え、
前記撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体を該トンネル仕切り体に属する天井の水平姿勢が保持され隔壁の起立姿勢が保持されるように前記トンネルの内面から切り離して撤去対象仕切り体として前記搬送台車に載置し、
前記搬送台車を前記トンネル内であって前記撤去対象区間から離間した位置に設けられ前記トンネルの内面近傍に解体用設備が配置された隔壁解体区間に向けて走行させることで、該隔壁解体区間に前記撤去対象仕切り体を移動させ、
前記撤去対象仕切り体を、該撤去対象仕切り体の天井を構成する天井板が水平姿勢を保持され隔壁を構成する隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように前記解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離し、
前記撤去対象天井板が前記搬送台車に載置された状態で該搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、前記受替え工程、前記切り離し工程、前記隔壁解体区間への移動工程及び前記解体分離工程を繰り返した後、前記搬送台車に前記撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該搬送台車を前記トンネルの外に走行させるものである。
【0016】
また、本発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法は請求項2に記載したように、トンネルの内部空間を上下に仕切る天井と該天井の上方に拡がる頂部空間をトンネル軸に直交する鉛直断面において左右に仕切る隔壁とからなるトンネル仕切り体を前記トンネルから撤去するトンネル仕切り体の撤去方法において、
前記トンネル仕切り体のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を受替え用搬送台車で予め受け替え、
前記撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体を該トンネル仕切り体に属する天井の水平姿勢が保持され隔壁の起立姿勢が保持されるように前記トンネルの内面から切り離して撤去対象仕切り体として前記受替え用搬送台車に載置し、
前記受替え用搬送台車を前記トンネル内であって前記撤去対象区間から離間した位置に設けられ前記トンネルの内面近傍に解体用設備が配置された隔壁解体区間に向けて走行させることで、該隔壁解体区間に前記撤去対象仕切り体を移動させ、
前記撤去対象仕切り体を、該撤去対象仕切り体の天井を構成する天井板が水平姿勢を保持され隔壁を構成する隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように前記解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離し、
前記撤去対象天井板が前記受替え用搬送台車に載置された状態で該受替え用搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、前記受替え工程、前記隔壁解体区間への移動工程及び前記解体分離工程を繰り返した後、前記受替え用搬送台車に前記撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該撤去対象天井板を前記受替え用搬送台車から運搬用搬送台車に所定の積替え地点で積み替え、
前記運搬用搬送台車に載置する形で前記撤去対象天井板を前記トンネルの外に搬出するものである。
【0017】
[第1の発明]
第1の発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法においては、トンネルの内部空間に設置されたトンネル仕切り体を撤去するにあたり、まず、トンネル仕切り体のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を搬送台車で予め受け替える。
【0018】
受替えにあたっては、必要に応じて搬送台車に備えられた昇降機構を駆動させて該搬送台車に設けられた載置台の上面を天井板の下面に当接させ、あるいは載置台と天井板との間にスペーサーを介在させるようにすればよい。
【0019】
次に、撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体を該トンネル仕切り体に属する天井の水平姿勢が保持され隔壁の起立姿勢が保持されるように、トンネルの内面から切り離して撤去対象仕切り体として搬送台車に載置する。
【0020】
トンネル仕切り体をトンネル内面から切り離す際には、切り離し後に隔壁が倒れないよう、必要に応じて隔壁の両側面にステーを張るなどの措置を予め講じる。
【0021】
次に、搬送台車を隔壁解体区間に向けて走行させることで、該隔壁解体区間に撤去対象仕切り体を移動させる。
【0022】
次に、撤去対象仕切り体を、該撤去対象仕切り体の天井を構成する天井板が水平姿勢を保持され隔壁を構成する隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように、上述した解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離する。
【0023】
次に、上述した解体分離工程の後、トンネルの外にすぐに搬出するのではなく、撤去対象天井板が搬送台車に載置された状態で該搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返した後、搬送台車に撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該搬送台車をトンネルの外に走行させる。
【0024】
このように、本発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、撤去対象区間とは別に隔壁解体区間を同一トンネル内に設けて該隔壁解体区間に撤去対象仕切り体を移動させるとともに、撤去対象仕切り体を、隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように隔壁解体区間に設けられた解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離するようにしたので、トンネル外に解体ヤードを設けずとも、さらには該解体ヤードまで微速走行を余儀なくされることなく、トンネル仕切り体を天井板と隔壁板に分離し、これらをトンネル外に速やかに搬出することが可能となる。
【0025】
加えて、解体用設備は、隔壁解体区間に設置しておけば足りるので、設備負担もわずかで済む。
【0026】
また、撤去対象天井板が搬送台車に載置された状態で該搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返すようにしたので、より多くの撤去対象天井板をまとめてトンネル外に搬出することが可能となり、撤去効率が向上する。
【0027】
上述した構成において、最初の撤去対象区間に係る撤去対象天井板とその上に同じく最初の撤去対象区間に係る撤去対象隔壁板が積載された状態で2番目の撤去対象区間に戻し、該撤去対象区間で2番目の撤去対象仕切り体を受替え載置してから隔壁解体区間に移動させて解体し、次いで、分離された2番目の撤去対象天井板及び撤去対象隔壁板を、撤去対象天井板の上に撤去対象隔壁板が積載される形で、最初の撤去対象天井板とその上に積載された撤去対象隔壁板に段重ねし、以下、同様にして撤去対象隔壁板を間に挟み込みながら撤去対象天井板を搬送台車に複数段に載置する手順を適当な回数だけ繰り返した後、トンネル外に搬出する構成が典型例となるが、撤去対象天井板は左右2枚で一組であり、水平姿勢での配置幅が例えば10mとなるのに対し、撤去対象隔壁板は一枚構成であって水平姿勢での配置幅が例えば5mとなるため、撤去対象隔壁板を挟み込みながら撤去対象天井板を積み上げる手順だと、搬送上の安定性を確保するのに手間を要する場合が考えられる。
【0028】
その場合には、撤去対象隔壁板を別の場所に仮置きし、撤去対象天井板だけを複数段にわたって搬送台車に載置するようにすればよい。
【0029】
[第2の発明]
第2の発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法においては、トンネルの内部空間に設置されたトンネル仕切り体を撤去するにあたり、まず、トンネル仕切り体のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を受替え用搬送台車で予め受け替える。
【0030】
受替えにあたっては、必要に応じて受替え用搬送台車に備えられた昇降機構を駆動させて該受替え用搬送台車に設けられた載置台の上面を天井板の下面に当接させ、あるいは載置台と天井板との間にスペーサーを介在させるようにすればよい。
【0031】
次に、撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体を該トンネル仕切り体に属する天井の水平姿勢が保持され隔壁の起立姿勢が保持されるように、トンネルの内面から切り離して撤去対象仕切り体として受替え用搬送台車に載置する。
【0032】
トンネル仕切り体をトンネル内面から切り離す際には、切り離し後に隔壁が倒れないよう、必要に応じて隔壁の両側面にステーを張るなどの措置を予め講じる。
【0033】
次に、受替え用搬送台車を隔壁解体区間に向けて走行させることで、該隔壁解体区間に撤去対象仕切り体を移動させる。
【0034】
次に、撤去対象仕切り体を、該撤去対象仕切り体の天井を構成する天井板が水平姿勢を保持され隔壁を構成する隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように、上述した解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離する。
【0035】
次に、上述した解体分離工程の後、トンネルの外にすぐに搬出するのではなく、撤去対象天井板が受替え用搬送台車に載置された状態で該受替え用搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返した後、受替え用搬送台車に撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該撤去対象天井板を受替え用搬送台車から運搬用搬送台車に所定の積替え地点で積み替える。
【0036】
撤去対象天井板を受替え用搬送台車から運搬用搬送台車に積み替えるにあたっては例えば、受替え用搬送台車と運搬用搬送台車との載荷台の高さを揃えた上で、運搬用搬送台車に設置されたウィンチを作動させることにより、受替え用搬送台車に載置されている撤去対象天井板を運搬用搬送台車の上に牽引する構成を採用することが可能である。
【0037】
次に、運搬用搬送台車に撤去対象天井板が複数段にわたって載置された状態で該運搬用搬送台車をトンネルの外に走行させる。
【0038】
このように、本発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、撤去対象区間とは別に隔壁解体区間を同一トンネル内に設けて該隔壁解体区間に撤去対象仕切り体を移動させるとともに、撤去対象仕切り体を、隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように隔壁解体区間に設けられた解体用設備で解体して撤去対象天井板と撤去対象隔壁板に分離するようにしたので、トンネル外に解体ヤードを設けずとも、さらには該解体ヤードまで微速走行を余儀なくされることなく、トンネル仕切り体を天井板と隔壁板に分離し、これらをトンネル外に速やかに搬出することが可能となる。
【0039】
加えて、解体用設備は、隔壁解体区間に設置しておけば足りるので、設備負担もわずかで済む。
【0040】
また、撤去対象天井板が受替え用搬送台車に載置された状態で該受替え用搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返すようにしたので、より多くの撤去対象天井板をまとめてトンネル外に搬出することが可能となり、撤去効率が向上する。
【0041】
また、撤去対象仕切り体の受替えは受替え用搬送台車で行い、解体された撤去対象天井板や撤去対象隔壁板の搬出は運搬用搬送台車で行うようにしたので、搬出作業の完了を待たずに、あるいは別の受替え用搬送台車をトンネル内に進入させることなく、積替え後の受替え用搬送台車を利用してあらたな撤去対象区間に対する撤去対象仕切り体の解体分離を行うことが可能となり、かくして解体分離と搬出とが分業され、全体の撤去工程をさらに短縮することができる。
【0042】
上述した構成においては、最初の撤去対象区間に係る撤去対象天井板とその上に同じく最初の撤去対象区間に係る撤去対象隔壁板が受替え用搬送台車に積載された状態で該受替え用搬送台車を2番目の撤去対象区間に戻し、該撤去対象区間で2番目の撤去対象仕切り体を受替え載置してから隔壁解体区間に移動させて解体し、次いで、分離された2番目の撤去対象天井板及び撤去対象隔壁板を、撤去対象天井板の上に撤去対象隔壁板が積載される形で、最初の撤去対象天井板とその上に積載された撤去対象隔壁板に段重ねし、以下、同様にして撤去対象隔壁板を間に挟み込みながら撤去対象天井板を受替え用搬送台車に複数段に載置する手順を適当な回数だけ繰り返した後、運搬用搬送台車に積み替える構成が典型例となるが、撤去対象天井板は左右2枚で一組であり、水平姿勢での配置幅が例えば10mとなるのに対し、撤去対象隔壁板は一枚構成であって水平姿勢での配置幅が例えば5mとなるため、撤去対象隔壁板を挟み込みながら撤去対象天井板を積み上げる手順だと、積替え時あるいは搬送時の安定性を確保するのに手間を要する場合が考えられる。
【0043】
その場合には、撤去対象隔壁板を別の場所に仮置きし、撤去対象天井板だけを複数段にわたって受替え用搬送台車に載置するとともに、これを運搬用搬送台車に積み替えるようにすればよい。
【0044】
[第1の発明及び第2の発明に共通する構成についての説明]
トンネル仕切り体は、横流換気方式における送排気ダクトの形成を目的とした構造体であって、プレキャストコンクリートで形成された矩形の天井板をトンネル軸に直交する方向に沿って2枚が隣り合うようにかつトンネル軸方向に沿って連続するように水平配置し、それらの対向縁部をトンネルの頂部に取り付けられた吊り金具の下端に連結するとともに、反対側縁部をトンネルの対向側壁に連結することで天井を構成するとともに、同じくプレキャストコンクリートで形成された矩形の隔壁板を、吊り金具が配置された鉛直面に沿ってトンネル軸線方向に連続配置することで隔壁を構成してなるものが主たる対象となるが、本発明のトンネル仕切り体は、天井に対して隔壁が起立したものであれば足り、吊り金具に代えて隔壁で天井を吊持するように構成されたものも含まれるし、トンネル換気用としては用いられていない場合や、トンネル照明設備の設置あるいは電気通信ケーブル等の敷設といったトンネル換気以外を目的としたものであってもかまわない。
【0045】
撤去対象区間は、トンネルからの切離しが一度に可能な長さ範囲として、トンネルの全区間をトンネル軸に沿って区割りして定めることが可能であり、搬送台車あるいは受替え用搬送台車の種類や機能に応じて例えば50m程度に設定することができる。
【0046】
搬送台車や受替え用搬送台車は、走行用の駆動機構を自ら備えたものであるかどうかは問わないが、例えばドーリーと呼ばれる自走式多軸台車を用いることが可能である。
【0047】
隔壁解体区間は、撤去対象区間と同じトンネル内であって、該撤去対象区間から離間した位置に設けられるとともに、トンネルの内面近傍に解体用設備を配置してあり、撤去対象仕切り体を隔壁解体区間に移動させるにあたっては、解体用設備の作業範囲に撤去対象仕切り体を位置決めする。
【0048】
解体用設備は、撤去対象仕切り体を解体したときに、隔壁板が起立姿勢から水平姿勢に移行される形で天井板から分離できるように構成する必要があるが、起立姿勢から水平姿勢への姿勢移行には必ずしも引上げ操作を伴うものではないので、その意味では揚重可能な設備である必要はない。
【0049】
解体用設備は、トンネル内面のうち、異なる角度位置に取り付けられた複数のウィンチで構成することが可能であるし、安全面で問題がないのであれば、頂部近傍のみに取り付けられた単体のウィンチで構成することも可能である。
【0050】
トンネル軸方向に沿った解体用設備の設置範囲、すなわち隔壁解体区間の長さは、撤去対象区間と同等の長さ、例えば50mとすることで、撤去対象仕切り体をまとめて解体することができるが、これを例えば5分の1に分割して10mとした上、撤去対象仕切り体をトンネル軸方向に10mずつずらしては解体する手順を繰り返す構成、さらには、トンネル軸方向に沿った天井板や隔壁板の長さ(奥行き)を基準としてこれを例えば1mとした上、撤去対象仕切り体をトンネル軸方向に1mずつずらしては解体する手順を繰り返す構成が可能であり、いずれを選択するかは、解体に要する時間と解体用設備の設置コストとの兼ね合いで適宜定めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】第1実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法の実施手順を示した図。
図2】引き続き同撤去方法の実施手順を示した図。
図3】同撤去方法が適用されるトンネル1の図であり、(a)はトンネル軸方向から見た鉛直断面図、(b)はA−A線方向から見た矢視図。
図4】トンネル仕切り体4aをトンネル1から切り離し、撤去対象仕切り体34として搬送台車31に載置する様子を示した鉛直断面図。
図5】撤去対象仕切り体34を解体してそれを構成する天井板5及び隔壁板8を撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48に分離する様子を示した鉛直断面図。
図6】撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が搬送台車31に載置された様子を示した鉛直断面図。
図7】撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48を複数段に段重ねされた状態で搬送台車31でトンネル1の外に搬出する様子を示した鉛直断面図。
図8】第2実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法の実施手順を示した図。
図9】引き続き同撤去方法の実施手順を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明に係るトンネル仕切り体の撤去方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
[第1実施形態]
図1及び図2は、第1実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法を示した施工手順図、図3は同撤去方法が適用されるトンネルのトンネル軸方向から見た鉛直断面図及びA−A線方向から見た矢視図である。
【0054】
図3でわかるように本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法は、トンネル1の内部空間を上下に仕切る天井2と、該天井の上方に拡がる頂部空間をトンネル軸に直交する鉛直断面において左右に仕切る隔壁3とからなる逆T字状断面のトンネル仕切り体4に適用されるものであって、天井2は、プレキャストコンクリートで形成された矩形の天井板5をトンネル軸に直交する方向に沿って2枚が隣り合うようにかつトンネル軸方向に沿って連続するように水平配置し、それらの対向縁部をトンネル1の頂部に取り付けられた吊り金具6の下端に連結するとともに、反対側縁部をトンネル1の対向側壁7,7にそれぞれ連結して構成してあり、隔壁3は、同じくプレキャストコンクリートで形成された矩形の隔壁板8を、吊り金具6が配置された鉛直面に沿ってトンネル軸線方向に連続配置して構成してある。
【0055】
上述したトンネル仕切り体4を本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法を用いてトンネル1の外に撤去するには、図1(a)に示すようにまず、トンネル仕切り体4のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体4aの荷重を搬送台車31で予め受け替える。
【0056】
撤去対象区間は、トンネル1からのトンネル仕切り体4aの切離しが一度に可能となるよう、搬送台車31に応じて、例えば50m程度に設定することができる。
【0057】
受替えにあたっては図4(a)に示したように、搬送台車31に備えられた昇降機構32を駆動させて該搬送台車に設けられた載置台の上面を天井2の下面に当接させ、あるいは載置台と天井2との間にスペーサーを介在させる。
【0058】
次に、切り離し後に隔壁3が倒れないよう、該隔壁の両側面にステー33を張ってその起立姿勢を仮保持し、次いで、トンネル仕切り体4aとトンネル1の内面との接合箇所を切断した後、搬送台車31の昇降機構32を駆動してその載置台を下降させることにより、図1(b)に示すようにトンネル仕切り体4aをトンネル1の内面から切り離して撤去対象仕切り体34とする。
【0059】
このようにすると、撤去対象仕切り体34は図4(b)に示すように、天井2の水平姿勢が保持され隔壁3の起立姿勢が保持された状態で搬送台車31に載置される。
【0060】
次に、図1(c)に示すように、搬送台車31を走行させることにより、撤去対象仕切り体34を隔壁解体区間に移動させる。
【0061】
隔壁解体区間は、撤去対象区間と同じトンネル1内であって、該撤去対象区間から離間した位置に設けられるとともに、トンネル1の内面近傍に解体用設備41を配置してあり、撤去対象仕切り体34を隔壁解体区間に移動させるにあたっては、解体用設備41の作業範囲に撤去対象仕切り体34が位置決めされるように、搬送台車31を停止させる。
【0062】
図5(a)は、トンネル1の頂部内面及び斜め上方内面にウィンチ42a,42b,42cを取り付けて解体用設備41を構成した様子を示したものである。
【0063】
次に、図1(d)に示すように、解体用設備41を用いて撤去対象仕切り体34を解体し、該撤去対象仕切り体を構成する天井板5及び隔壁板8を、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48に分離する。
【0064】
撤去対象仕切り体34を解体するにあたっては、図5(b)に示すように、撤去対象仕切り体34の天井2を構成する天井板5が、水平姿勢を保持されたまま搬送台車31の上に残置される撤去対象天井板45として、隔壁3を構成する隔壁板8が、起立姿勢から水平姿勢に変化された撤去対象隔壁板48として互いに分離されるように、ウィンチ42a,42b,42cを適宜操作する。
【0065】
解体用設備41は、ウィンチ42a,42b,42cを一組とし、これをトンネル軸方向に沿って複数組設置して構成することが可能であり、一組のウィンチ42a,42b,42cを用いて一枚の隔壁板8を解体する場合であれば、ウィンチの組数に等しい枚数の隔壁板8を同時に解体することができる。
【0066】
図6は、上述した撤去対象区間に係る撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が搬送台車31に載置された様子を示したものである。
【0067】
ここで、本実施形態では、上述した解体分離工程の後、トンネル1の外にすぐに撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48を搬出するのではなく、図2(a)に示すように、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が搬送台車31に載置された状態で、該搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻した上、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返してからトンネル1の外に搬出する。
【0068】
すなわち、あらたな撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体4bの荷重を搬送台車31で予め受け替え、次いで、トンネル仕切り体4bをトンネル1の内面から切り離して撤去対象仕切り体34とした後、該撤去対象仕切り体を図2(b)に示すように搬送台車31に載置して隔壁解体区間まで移動させ、次いで、解体用設備41を用いて撤去対象仕切り体34を解体して撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48に分離し、しかる後、図2(c)に示すように、搬送台車31に撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48が交互に複数段にわたって載置された状態で該搬送台車をトンネル1の外に走行させる。
【0069】
図7(a)は、あらたな撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体4bの荷重を、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が載置された状態の搬送台車31で受け替え、かかる状態でトンネル仕切り体4bをトンネル1から切り離して撤去対象仕切り体34とする様子を示したもの、同図(b)は、最初の撤去対象区間に係る撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が載置された状態で、その上にさらに2番目の撤去対象区間に係る撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が段重ねされた様子を示したものである。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、撤去対象区間とは別に隔壁解体区間を同一のトンネル1内に設けて該隔壁解体区間に撤去対象仕切り体34を移動させるとともに、隔壁解体区間に設けられた解体用設備41で撤去対象仕切り体34を解体してそれを構成する天井板5と隔壁板8を該隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48に分離するようにしたので、トンネル1の外に解体ヤードを設けずとも、さらには該解体ヤードまで微速走行を余儀なくされることなく、トンネル仕切り体34を撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48に分離し、これらをトンネル外に速やかに搬出することが可能となる。
【0071】
また、解体用設備41は、隔壁解体区間に設置しておけば足りるので、設備負担もわずかで済む。
【0072】
また、本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が搬送台車31に載置された状態で該搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返すようにしたので、より多くの撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48をまとめてトンネル1外に搬出することが可能となり、撤去効率が向上する。
【0073】
本実施形態では、解体分離後に一度だけ搬送台車31をあらたな撤去対象区間に戻すようにしたが、搬送台車31の積載可能高さに余裕があるのであれば、搬送台車31をあらたな撤去対象区間に戻してはその上に撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48を段重ねする上述の手順を何度でも繰り返すことができる。
【0074】
また、本実施形態では、撤去対象天井板45の上に撤去対象隔壁板48を積載した状態を段重ねするようにしたが、図7でよくわかるように、撤去対象天井板45,45は左右2枚で一組であって水平姿勢での配置幅が例えば10mとなるのに対し、撤去対象隔壁板48は一枚構成であって水平姿勢での配置幅が例えば5mとなるため、撤去対象隔壁板48を挟み込みながら撤去対象天井板45,45を積み上げる手順だと、搬送上の安定性を確保するのに手間を要する場合が考えられる。
【0075】
その場合には、撤去対象隔壁板48を別の場所に仮置きし、撤去対象天井板45,45だけを複数段にわたって搬送台車31に載置し、撤去対象隔壁板48については別途搬出するようにすればよい。
【0076】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図8及び図9は、第2実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法を示した施工手順図である。同図でわかるように、第2実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法を用いてトンネル仕切り体4をトンネル1の外に撤去するには、図8(a)に示すようにまず、トンネル仕切り体4のうち、トンネル軸方向に沿った撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体の荷重を受替え用搬送台車81で予め受け替え、かかる状態でトンネル仕切り体をトンネル1から切り離すことで、該トンネル仕切り体を撤去対象仕切り体34として受替え用搬送台車81に載置する。
【0078】
ここで、受替え用搬送台車81は、搬送台車31と同様の構成であり、撤去対象仕切り体34の受替え用搬送台車81への載置手順についても、第1実施形態で説明した搬送台車31への載置手順と同様であるので、ここではその説明を省略するが、第2実施形態では、トンネル仕切り体4を解体搬出するにあたり、第1実施形態のように一台の搬送台車31で行うのではなく、受替え用搬送台車81及び運搬用搬送台車82の2台で行う。
【0079】
次に、図8(b)に示すように、受替え用搬送台車81を走行させることにより、撤去対象仕切り体34を隔壁解体区間に移動させ、次いで、解体用設備41を用いて撤去対象仕切り体34を解体するとともに、該撤去対象仕切り体を構成する天井板5及び隔壁板8を、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48に分離する。
【0080】
解体分離工程についても、第1実施形態で説明した解体分離工程と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
ここで、本実施形態では、上述した解体分離工程の後、トンネル1の外にすぐに撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48を搬出するのではなく、図9(a)に示すように、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が受替え用搬送台車81に載置された状態で、該受替え用搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻した上、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返してからトンネル1の外に搬出する。
【0082】
すなわち、あらたな撤去対象区間内に位置するトンネル仕切り体4bの荷重を受替え用搬送台車81で予め受け替え、次いで、トンネル仕切り体4bをトンネル1の内面から切り離して撤去対象仕切り体34とした後、該撤去対象仕切り体を図9(b)に示すように受替え用搬送台車81に載置して隔壁解体区間まで移動させ、次いで、図9(c)に示すように解体用設備41を用いて撤去対象仕切り体34を解体して撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48に分離する。
【0083】
次に、図9(d)に示すように、受替え用搬送台車81と運搬用搬送台車82との載荷台の高さを揃えた上で、運搬用搬送台車82の前方に設置されたウィンチ83を用いて受替え用搬送台車81に載置されている撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48を牽引することにより、該撤去対象天井板及び撤去対象隔壁板を運搬用搬送台車82に積み替える。
【0084】
運搬用搬送台車82は、搬送台車31と同様の構成でよいが、受替えの必要がないため、昇降機構については省略することが可能である。
【0085】
次に、第1実施形態と同様、運搬用搬送台車82に撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48が交互に複数段にわたって載置された状態で(図7(b)参照)、該運搬用搬送台車をトンネル1の外に走行させることにより、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48をトンネル1の外に搬出する。
【0086】
なお、本実施形態では、運搬用搬送台車82への積替えが終了した時点で、受替え用搬送台車81が空荷の状態になるので、積替え後速やかに受替え用搬送台車81をあらたな撤去対象区間に移動し、該あらたな撤去対象区間における撤去対象仕切り体4の受替え、載置及び移動並びに解体分離を上述した手順で繰り返し行う。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、第1実施形態と同様、撤去対象区間とは別に隔壁解体区間を同一のトンネル1内に設けて該隔壁解体区間に撤去対象仕切り体34を移動させるとともに、隔壁解体区間に設けられた解体用設備41で撤去対象仕切り体34を解体してそれを構成する天井板5と隔壁板8を該隔壁板が起立姿勢から水平姿勢となるように撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48に分離するようにしたので、トンネル1の外に解体ヤードを設けずとも、さらには該解体ヤードまで微速走行を余儀なくされることなく、トンネル仕切り体34を撤去対象天井板45と撤去対象隔壁板48に分離し、これらをトンネル外に速やかに搬出することが可能となる。
【0088】
また、解体用設備41は、隔壁解体区間に設置しておけば足りるので、設備負担もわずかで済む。
【0089】
また、本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、受替えから搬出までを搬送台車のみで行うのではなく、撤去対象仕切り体34の受替えは受替え用搬送台車81で行い、解体された撤去対象天井板45や撤去対象隔壁板48の搬出は運搬用搬送台車82で行うようにしたので、搬出作業の完了を待たずに、あるいは別の搬送台車をトンネル内に進入させることなく、積替え後の受替え用搬送台車81を利用して、あらたな撤去対象区間に対する受替えから解体分離に至る一連の作業を行うことが可能となる。
【0090】
そのため、解体分離と搬出とが分業されることになり、かくして全体の撤去工程を短縮することができる。
【0091】
また、本実施形態に係るトンネル仕切り体の撤去方法によれば、撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48が受替え用搬送台車81に載置された状態で該受替え用搬送台車をあらたな撤去対象区間に戻し、上述した受替え工程、切り離し工程、隔壁解体区間への移動工程及び解体分離工程を繰り返すようにしたので、解体と搬出との同時進行による工期短縮とも相俟って、より多くの撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48をまとめてトンネル1の外に搬出することが可能となり、かくしてトンネル仕切り体4の撤去効率がさらに向上する。
【0092】
本実施形態では、解体分離後に一度だけ受替え用搬送台車81をあらたな撤去対象区間に戻すようにしたが、受替え用搬送台車81の積載可能高さに余裕があるのであれば、受替え用搬送台車81をあらたな撤去対象区間に戻してはその上に撤去対象天井板45及び撤去対象隔壁板48を段重ねする上述の手順を何度でも繰り返すことができる。
【0093】
また、本実施形態では、撤去対象天井板45の上に撤去対象隔壁板48を積載した状態を段重ねするようにしたが、第2実施形態の図7と同様、撤去対象天井板45,45は左右2枚で一組であって水平姿勢での配置幅が例えば10mとなるのに対し、撤去対象隔壁板48は一枚構成であって水平姿勢での配置幅が例えば5mとなるため、撤去対象隔壁板48を挟み込みながら撤去対象天井板45,45を積み上げる手順だと、搬送上の安定性を確保するのに手間を要する場合が考えられる。
【0094】
その場合には、撤去対象隔壁板48を別の場所に仮置きし、撤去対象天井板45,45だけを複数段にわたって運搬用搬送台車82に載置し、撤去対象隔壁板48については別途搬出するようにすればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 トンネル
2 天井
3 隔壁
4,4a,4b トンネル仕切り体
5 天井板
8 隔壁板
31 搬送台車
34 撤去対象仕切り体
41 解体用設備
45 撤去対象天井板
48 撤去対象隔壁板
81 受替え用搬送台車
82 運搬用搬送台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9