【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の給水加温システム1の実施例1を示す概略図である。
【0027】
本実施例の給水加温システム1は、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムであり、ボイラ2への給水を貯留する給水タンク3と、この給水タンク3への給水を貯留する補給水タンク5と、この補給水タンク5から給水タンク3への給水を加温するヒートポンプ4と、このヒートポンプ4の熱源としての熱源水(たとえば廃温水)を貯留する熱源水タンク6とを備える。
【0028】
ボイラ2は、蒸気ボイラであり、給水タンク3からの給水を加熱して蒸気にする。ボイラ2は、典型的には、蒸気の圧力を所望に維持するように、燃焼量を調整される。また、ボイラ2は、缶体内の水位を所望に維持するように、給水タンク3からボイラ2への給水路またはボイラ2の内部に設けたポンプ7が制御される。ボイラ2からの蒸気は、各種の蒸気使用設備(図示省略)へ送られるが、蒸気使用設備からのドレン(蒸気の凝縮水)を給水タンク3へ戻してもよい。
【0029】
給水タンク3は、補給水タンク5から、ヒートポンプ4を介して給水路8により給水可能であると共に、ヒートポンプ4を介さずに補給水路9により給水可能である。給水路8に設けた給水ポンプ10と、補給水路9に設けた補給水ポンプ11との作動を制御することで、給水路8と補給水路9との内、いずれか一方または双方を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能である。
【0030】
給水ポンプ10は、本実施例では、インバータにより回転数を制御可能とされる。給水ポンプ10の回転数を変更することで、給水路8を介した給水タンク3への給水流量を調整することができる。一方、補給水ポンプ11は、本実施例では、オンオフ制御される。
【0031】
補給水タンク5は、給水タンク3への給水を貯留する。補給水タンク5への給水として、本実施例では軟水が用いられる。すなわち、軟水器(図示省略)にて水中の硬度分を除去された軟水は、補給水タンク5に供給され貯留される。補給水タンク5の水位に基づき軟水器からの給水を制御することで、補給水タンク5の水位は所望に維持される。
【0032】
ヒートポンプ4は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、圧縮機12、凝縮器13、膨張弁14および蒸発器15が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機12は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器13は、圧縮機12からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁14は、凝縮器13からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器15は、膨張弁14からの冷媒の蒸発を図る。
【0033】
従って、ヒートポンプ4は、蒸発器15において、冷媒が外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器13において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、本実施例では、ヒートポンプ4は、蒸発器15において、熱源水から熱をくみ上げ、凝縮器13において、給水路8の水を加温する。
【0034】
ヒートポンプ4は、さらに、凝縮器13と膨張弁14との間に、過冷却器16を備えるのが好ましい。過冷却器16は、凝縮器13から膨張弁14への冷媒と、凝縮器13への給水との間接熱交換器である。過冷却器16により、凝縮器13への給水で、凝縮器13から膨張弁14への冷媒を過冷却することができると共に、凝縮器13から膨張弁14への冷媒で、凝縮器13への給水を加温することができる。ヒートポンプ4の冷媒は、好適には、凝縮器13において潜熱を放出し、過冷却器16において顕熱を放出する。
【0035】
つまり、凝縮器13において、ガス冷媒は凝縮して液冷媒となり、その液冷媒が過冷却器16に供給されて、過冷却器16において、液冷媒はさらに冷却(過冷却)される。冷媒の凝縮用と過冷却用とで熱交換器を分けることで、熱交換器の設計が容易となり、熱交換器を簡易な構造で小型化でき、コスト削減を図ることができる。また、汎用の熱交換器の利用も可能となる。
【0036】
その他、ヒートポンプ4には、圧縮機12の入口側にアキュムレータを設置したり、圧縮機12の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器13の出口側(凝縮器13と過冷却器16との間)に受液器を設置したりしてもよい。
【0037】
ところで、ヒートポンプ4は、その出力を変更可能とされてもよい。たとえば、圧縮機12のモータの電源周波数ひいては回転数をインバータで変更することで、ヒートポンプ4の出力を変更することができる。
【0038】
給水加温システム1は、さらに、廃熱回収熱交換器17を備えるのが好ましい。この廃熱回収熱交換器17は、過冷却器16への給水と、蒸発器15を通過後の熱源水との間接熱交換器である。従って、給水路8の水は、基本的には、廃熱回収熱交換器17、過冷却器16および凝縮器13へと順に通されることになる。一方、熱源水タンク6の熱源水は、熱源供給路18を介して、蒸発器15を通された後、廃熱回収熱交換器17に通される。
【0039】
但し、給水路8を介した給水タンク3への給水は、廃熱回収熱交換器17に通してから過冷却器16へ供給するか、廃熱回収熱交換器17に通さずに過冷却器16へ供給するかを切替可能とされている。本実施例では、給水路8には、廃熱回収熱交換器17の前後を接続するようにバイパス路19が設けられており、給水路8とバイパス路19との分岐部に設けた三方弁20により、給水ポンプ10からの給水を廃熱回収熱交換器17に通すか否かが切り替えられる。但し、三方弁20に代えて、給水路8とバイパス路19には、互いの分岐部と合流部との間に、それぞれ開閉弁を設け、その開閉弁の開閉を制御してもよい。なお、廃熱回収熱交換器17から過冷却器16への給水路8には、バイパス路19との合流部より上流側に逆止弁21が設けられている。
【0040】
熱源水タンク6は、ヒートポンプ4の熱源としての熱源水を貯留する。熱源水とは、たとえば廃温水(工場などから排出される温水)である。なお、熱源水タンク6には、熱源水の供給路22が設けられると共に、所定以上の水をあふれさせるオーバーフロー路23が設けられている。
【0041】
熱源水タンク6の熱源水は、熱源供給路18を介して、ヒートポンプ4の蒸発器15を通された後、廃熱回収熱交換器17を通される。熱源供給路18には、蒸発器15より上流側に熱源供給ポンプ24が設けられており、この熱源供給ポンプ24を作動させることで、熱源水タンク6からの熱源水を、蒸発器15と廃熱回収熱交換器17とに順に通すことができる。
【0042】
蒸発器15を先に通した後に廃熱回収熱交換器17に熱源水を通すことで、廃熱回収熱交換器17を先に通した後に蒸発器15に熱源水を通す場合と比較して、蒸発器15における冷媒の蒸発温度(つまり蒸発圧力)を高めることができ、圧縮機12の圧力比を小さくすることができ、省エネルギーを図ることができる。
【0043】
給水路8には、凝縮器13の出口側に、出湯温度センサ25が設けられる。出湯温度センサ25は、凝縮器13を通過後の水温を検出する。出湯温度センサ25の検出温度に基づき、給水ポンプ10が制御される。ここでは、給水ポンプ10は、出湯温度センサ25の検出温度を設定温度(たとえば75℃)に維持するようにインバータ制御される。つまり、給水路8を介した給水タンク3への給水は、出湯温度センサ25の検出温度を設定温度に維持するように、流量が調整される。但し、場合により、このような出湯温度センサ25による流量調整制御を省略することもできる。
【0044】
給水路8には、給水源の温度を検出する給水温度センサ26が設けられる。給水温度センサ26は、補給水タンク5に設けてもよいが、本実施例では、給水ポンプ10と三方弁20との間の給水路8に設けられている。
【0045】
給水タンク3には、水位検出器27が設けられる。この水位検出器27は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、給水タンク3には、長さの異なる複数の電極棒28〜30が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて差し込まれて保持されている。本実施例では、給水停止電極棒28、給水開始電極棒29および負荷切替電極棒30が、順に下端部の高さ位置を低くして、給水タンク3に挿入されている。各電極棒28〜30は、その下端部が水に浸かるか否かにより、下端部における水位の有無を検出する。
【0046】
熱源水タンク6には、熱源水の有無を確認するために、水位検出器31が設けられる。この水位検出器31は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、熱源水タンク6には、低水位検出電極棒32が差し込まれており、熱源水の水位が設定を下回っていないかを監視する。
【0047】
熱源水タンク6には、熱源水の温度を検出する第一熱源温度センサ33が設けられる。但し、第一熱源温度センサ33は、熱源水タンク6から蒸発器15への熱源供給路18に設けてもよい。また、熱源水の温度検出は、蒸発器15の入口側(熱源水タンク6を含む)に加えて、蒸発器15の出口側においても行ってもよい。図示例では、熱源水タンク6に第一熱源温度センサ33が設けられ、蒸発器15と廃熱回収熱交換器17との間の熱源供給路18に第二熱源温度センサ34が設けられている。
【0048】
次に、本実施例の給水加温システム1の制御(運転方法)について説明する。以下に説明する一連の制御は、図示しない制御器を用いて自動でなされる。
【0049】
給水タンク3には、給水路8を介して給水可能であると共に補給水路9を介しても給水可能であるが、後述の(4)の場合を除き、通常は、給水路8を介した給水が優先されるように制御されるのが好ましい。たとえば、給水タンク3の水位を設定範囲に維持するように、給水路8を介した給水を制御するが、それでは給水タンク3の水位が設定範囲を維持できない場合には、補給水路9を介しても給水タンク3へ給水するのが好ましい。
【0050】
具体的には、本実施例では、次のように制御される。いま、給水停止電極棒28が水位を検知し、給水タンク3の水位が十分にある場合、給水タンク3への給水は不要であるから、給水ポンプ10を停止すると共に、補給水ポンプ11も停止している。給水タンク3からボイラ2への給水により、給水タンク3の水位が下がり、給水開始電極棒29が水位を検知しなくなると、給水ポンプ10を作動させる。これにより、給水路8を介して給水タンク3に給水されるが、給水停止電極棒28が水位を検知すると、給水ポンプ10を停止する。一方、給水ポンプ10を作動させても、給水タンク3の水位を回復できず、さらに低い所定の補給水開始水位を下回ると、補給水ポンプ11を作動させて、補給水路9を介しても給水タンク3に給水する。これにより、給水タンク3の水位が回復して、給水タンク3の水位が補給水停止水位を上回ると、補給水ポンプ11を停止して、補給水路9を介しての給水を停止する。なお、給水ポンプ10を作動させて、給水路8を介した給水タンク3への給水中、熱源供給ポンプ24も作動させる。
【0051】
ヒートポンプ4は、後述するように、所定の場合に作動する。ヒートポンプ4は、その圧縮機12の作動の有無により、運転と停止が切り替えられる。また、本実施例では、ヒートポンプ4は、高負荷運転(典型的には全負荷運転=100%出力)、低負荷運転(たとえば50%出力)および停止(0%出力)の三位置で制御される。
【0052】
給水ポンプ10は、作動中、出湯温度センサ25の検出温度を設定温度(出湯温度設定値)T0に維持するように、回転数をインバータ制御される。その結果、ヒートポンプ4の高負荷運転時は低負荷運転時よりも多い流量で、給水路8を介して給水タンク3へ給水可能となる。
【0053】
制御器は、出湯温度設定値T0の他、第一熱源温度センサ33による蒸発器15入口側の熱源水温度T1、給水温度センサ26による新水温度(廃熱回収熱交換器17やヒートポンプ4で加温する前の水温)TW、さらに所望により、第二熱源温度センサに34よる蒸発器15出口側の熱源水温度T2を監視して、以下のとおり場合分けして制御する。
【0054】
《(1)蒸発器入口側の熱源水温度T1≧出湯温度設定値T0である場合》
蒸発器15入口側の熱源水温度T1が出湯温度設定値T0以上である場合、給水路8を介した給水タンク3への給水中、圧縮機12を停止すると共に、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17に通す。つまり、ヒートポンプ4を停止した状態で、給水ポンプ10と熱源供給ポンプ24とを作動させて、廃熱回収熱交換器17において、給水路8の給水を熱源水と熱交換して加温する。
【0055】
《(2)蒸発器入口側の熱源水温度T1<出湯温度設定値T0、且つ、新水温度TW≦蒸発器出口側(または入口側)の熱源水温度T2(またはT1)である場合》
蒸発器15入口側の熱源水温度T1が出湯温度設定値T0未満である場合、給水路8を介した給水タンク3への給水中、圧縮機12を運転する。そして、廃熱回収熱交換器17の入口側水温TWが蒸発器15出口側(または入口側)の熱源水温度T2(またはT1)以下の場合、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17に通す。つまり、ヒートポンプ4を運転した状態で、給水路8を介した給水タンク3への給水は、廃熱回収熱交換器17、過冷却器16および凝縮器13を順に通される。
【0056】
この際、ヒートポンプ4は、給水タンク3の水位に基づき出力を制御されるのがよい。本実施例では、給水タンク3の水位が下がり、給水開始電極棒29が水位を検知しなくなると、ヒートポンプ4を低負荷運転し、それでも水位が回復せず、負荷切替電極棒30が水位を検知しなくなると、ヒートポンプ4を高負荷運転に切り替える。そして、水位回復時には、給水開始電極棒29が水位を検知すれば、ヒートポンプ4を低負荷運転に切り替え、給水停止電極棒28が水位を検知すれば、ヒートポンプ4を停止させる。
【0057】
ヒートポンプ4を運転して、補給水タンク5から給水路8を介して給水タンク3へ給水する際、補給水タンク5からの給水は、廃熱回収熱交換器17、過冷却器16および凝縮器13により徐々に加温されて、所定温度で給水タンク3へ供給される。給水タンク3とヒートポンプ4(凝縮器13)との間で水を循環させる場合と比較して、補給水タンク5から給水タンク3への一回の通過(ワンススルー)で給水を加温するので、ヒートポンプ4を通過する前後の給水の温度差を確保して、ヒートポンプ4の成績係数(COP)の向上を図ることができる。また、各熱交換器をコンパクトに構成することもできる。
【0058】
また、ヒートポンプ4の運転中、つまり給水路8を介した給水タンク3への給水中、熱源水タンク6の水温を第一熱源温度センサ33で監視して、その温度に基づきヒートポンプ4の出力を調整してもよい。ヒートポンプ4の熱源としての熱源水の温度が高温なほど、ヒートポンプ4の出力を下げることができる。熱源水の温度を考慮してヒートポンプ4の出力を調整することで、熱源水の温度変化に拘わらず、給水路8を介した給水タンク3への給水流量を安定させることができる。
【0059】
さらに、ヒートポンプ4の運転中、熱源水タンク6の水位が下がり、低水位検出電極棒32が水位を検知しなくなると、ヒートポンプ4の運転を停止すると共に、熱源供給ポンプ24を停止して蒸発器15への熱源水の供給を停止するのがよい。これにより、ヒートポンプ4を無駄に運転するのが防止される。また、同様に、ヒートポンプ4の運転中(つまり給水路8を介した給水タンク3への給水制御中)、万一、給水路8を通る給水の量が設定を下回ると、ヒートポンプ4の運転を停止すると共に、熱源供給ポンプ24を停止して蒸発器15への熱源水の供給を停止するのがよい。
【0060】
《(3)蒸発器入口側の熱源水温度T1<出湯温度設定値T0、且つ、新水温度TW>蒸発器出口側(または入口側)の熱源水温度T2(またはT1)である場合》
蒸発器15入口側の熱源水温度T1が出湯温度設定値T0未満である場合、給水路8を介した給水タンク3への給水中、圧縮機12を運転する。そして、廃熱回収熱交換器17の入口側水温TWが蒸発器15出口側(または入口側)の熱源水温度T2(またはT1)を超える場合、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17に通さずに、バイパス路19を介して過冷却器16へ供給する。これにより、廃熱回収熱交換器17において、給水が熱源水により逆に冷やされるという不都合を防止することができる。なお、この(3)の場合も、前記(2)の場合と同様に、ヒートポンプ4は、給水タンク3の水位に基づき出力を制御されるのがよい。
【0061】
《(4)新水温度TW≧出湯温度設定値T0の場合》
廃熱回収熱交換器17の入口側水温TWが出湯温度設定値T0以上である場合、圧縮機12を停止すると共に、給水路8を介した給水タンク3への給水を停止する。そして、給水タンク3の水位に基づき、補給水ポンプ11を制御して、補給水路9を介した給水タンク3への給水を制御する。給水源の温度が高いので、ヒートポンプ4や廃熱回収熱交換器17を用いずに、補給水路9により給水タンク3へ給水すれば足りることになる。
【実施例2】
【0062】
本実施例2の給水加温システム1も、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、
図1に基づき、対応する箇所には同一の符号を用いて説明する。
【0063】
本実施例2でも、給水タンク3の水位に基づき、給水路8を介した給水タンク3への給水が制御される。但し、前記実施例1では、給水ポンプ10による流量は、凝縮器13の出口側水温を設定温度T0に維持するように制御されたが、本実施例2では、給水タンク3の水位に基づき制御される。ここでは、給水タンク3の水位が下がるほど、給水路8を介した給水流量が増すように、給水ポンプ10がインバータ制御される。たとえば、給水タンク3に設けた水位検出器27により、給水ポンプ10による給水流量を段階的に切り替えればよい。
【0064】
一方、ヒートポンプ4の圧縮機12は、前記実施例1では、給水タンク3の水位に基づき出力を調整されたが、本実施例2では、吐出圧を設定値に維持するように、インバータ制御される。つまり、ヒートポンプ4には、圧縮機12の出口側に、冷媒圧力を検出する圧力センサ35が設けられており、この圧力センサ35の検出圧力を設定値に維持するように、圧縮機12のモータの電源周波数をインバータにより変えることで、出力が調整される。なお、圧力センサ35に代えて温度センサを設け、圧縮機12の出口側の温度を設定値に維持するように制御してもよい。
【0065】
このような制御中、基本的には、給水タンク3への給水は、廃熱回収熱交換器17、過冷却器16および凝縮器13を通される。但し、給水路8の給水流量が設定流量以下になると、三方弁20を切り替えて、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17には通さない。これにより、凝縮器13における熱交換量を増やし、圧縮機12の停止を防止することができる。
【0066】
ところで、給水路8による給水流量は、圧縮機12を吐出圧に基づきインバータ制御する場合、圧縮機12へのモータの電源周波数と相関する。従って、周波数が設定周波数以下になると、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17には通さずにバイパス路19を通しての給水に切り替えるよう制御してもよい。
【0067】
本実施例2でも、前記実施例1と同様に、廃熱回収熱交換器17の入口側水温TWが蒸発器15出口側(または入口側)の熱源水温度T2(またはT1)以下の場合、給水路8を介した給水タンク3への給水中、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17に通せばよい。また、廃熱回収熱交換器17の入口側水温TWが蒸発器15出口側(または入口側)の熱源水温度T2(またはT1)を超える場合、給水タンク3への給水を廃熱回収熱交換器17に通さずに、バイパス路19を介して過冷却器16へ供給すればよい。その他の構成は、前記実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0068】
本発明の給水加温システム1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、給水路8を介した給水タンク3への給水流量を調整するために、給水ポンプ10をインバータ制御したが、給水ポンプ10をオンオフ制御しつつ、給水路8に設けたバルブの開度を調整してもよい。つまり、出湯温度センサ25の検出温度などに基づき給水路8を介した給水の流量を調整可能であれば、その流量調整方法は適宜に変更可能である。
【0069】
また、ヒートポンプ4は、単段に限らず複数段とすることもできる。ヒートポンプ4を複数段にする場合、隣接する段のヒートポンプ同士は、間接熱交換器を用いて接続されてもよいし、直接熱交換器(中間冷却器)を用いて接続されてもよい。後者の場合、下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器とされる。このように、複数段(多段)のヒートポンプには、一元多段のヒートポンプの他、複数元(多元)のヒートポンプ、あるいはそれらの組合せのヒートポンプが含まれる。
【0070】
また、給水タンク3に、凝縮器13を介して給水路8により給水可能であると共に、凝縮器13を介さずに補給水路9により給水可能であれば、給水路8や補給水路9の具体的構成は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、給水路8と補給水路9とは、それぞれ補給水タンク5と給水タンク3とを接続するように並列に設けたが、給水路8と補給水路9との一端部(補給水タンク5側の端部)と他端部(給水タンク3側の端部)の一方または双方は、共通の管路としてもよい。言い換えれば、補給水路9の一端部は、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路8から分岐するように設けてもよいし、補給水路9の他端部は、給水タンク3に接続するのではなく、給水タンク3の手前において給水路8に合流するように設けてもよい。補給水路9の一端部を、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路8から分岐するように設ける場合、その分岐部より下流において、給水路8に給水ポンプ10を設ける一方、補給水路9に補給水ポンプ11を設ければよいが、分岐部よりも上流側の共通管路にのみポンプを設けて、分岐部より下流の給水路8および/または補給水路9に設けたバルブの開度を調整することで、給水路8や補給水路9を通る流量を調整してもよい。
【0071】
また、前記実施例では、給水タンク3への給水を貯留するために補給水タンク5を設置したが、場合により補給水タンク5の設置を省略して、給水源から直接に給水路8および補給水路9に水を通してもよい。
【0072】
また、前記実施例では、給水路8および/または補給水路9を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能としたが、これら給水は、軟水器から直接に行ってもよい。たとえば、
図1において、給水路8および補給水路9の基端部をまとめて軟水器に接続し、給水ポンプ10の設置を省略する代わりに給水路8に設けた電動弁(モータバルブ)の開度を調整し、補給水ポンプ11の設置を省略する代わりに補給水路9に設けた電磁弁の開閉を制御すればよい。
【0073】
また、前記実施例では、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムについて説明したが、給水タンク3の貯留水の利用先は、ボイラ2に限らず適宜に変更可能である。そして、場合により、補給水タンク5や補給水路9を省略してもよい。
【0074】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4の熱源として熱源水を用いた例について説明したが、ヒートポンプ4の熱源流体として、熱源水に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。但し、熱源流体は、蒸発器15においてヒートポンプ4の冷媒に熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴い、その後、廃熱回収熱交換器17において給水に熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴う流体が好ましい。
【0075】
さらに、前記実施例では、ヒートポンプ4の圧縮機12は、電気モータにより駆動されたが、圧縮機12の駆動源は特に問わない。たとえば、圧縮機12は、電気モータに代えてまたはそれに加えて、蒸気を用いて動力を起こすスチームモータ(蒸気エンジン)に駆動されたり、ガスエンジンにより駆動されたりしてもよい。