(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも所定の負荷範囲内で回転数が異なる複数の動作モードを有し、所定の条件が満たされるとモータ駆動中も前記動作モードを切替可能であり、前記動作モードの切替の際、前記モータの回転数を滑らかに又は段階的に変化させる電動工具であって、
前記モータの駆動、停止を切り替えるメインスイッチと、
前記動作モードを切り替えるモード切替スイッチとを備え、
前記メインスイッチ及び前記モード切替スイッチは共に、ハンドル部を握った片方の手で操作可能な配置である、電動工具。
前記動作モードは、前記モータへの電力供給を制御するスイッチング素子のデューティーを100%とする通常モードと、前記モータの回転数を所定の回転数で維持するよう前記デューティーを制御するエコモードとを有する請求項1から3のいずれか一項に記載の電動工具。
前記動作モードは、前記モータへの電力供給を制御するスイッチング素子のデューティーを100%とする通常モードと、前記モータの回転数を所定の回転数で維持するよう前記デューティーを制御するエコモードとを有する、請求項7に記載の電動工具。
前記制御部は、いずれの動作モードであっても前記ブラシレスモータを起動する際及び前記動作モードを切り替える際には、前記ブラシレスモータへの電力供給を徐々に変化させる、請求項7又は8に記載の電動工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の仕様では、例えば丸のこにおいて切断中に動作モードを切り替えたくなった場合に、一度メイントリガスイッチをオフして被削材から丸のこ刃を離した上で、モード切替スイッチを押して動作モードを切り替え、途中から再切削を行う必要がある。このため、動作モードの切替に手間がかかり、作業効率が良くないという問題があった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、従来と比較して動作モードの切替にかかる手間を減らして作業効率を良好とすることの可能な電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電動工具である。この電動工具は、
少なくとも所定の負荷範囲内で回転数が異なる複数の動作モードを有し、所定の条件が満たされるとモータ駆動中も前記動作モードを切替可能であり、前記動作モードの切替の際、前記モータの回転数を滑らかに又は段階的に変化させる
電動工具であって、
前記モータの駆動、停止を切り替えるメインスイッチと、
前記動作モードを切り替えるモード切替スイッチとを備え、
前記メインスイッチ及び前記モード切替スイッチは共に、ハンドル部を握った片方の手で操作可能な配置である。
【0007】
本発明のもう1つの態様は、電動工具である。この電動工具は、
少なくとも所定の負荷範囲内で回転数が異なる複数の動作モードを有し、所定の条件が満たされるとモータ駆動中も前記動作モードを切替可能であり、前記動作モードの切替の際、前記モータの回転数を滑らかに又は段階的に変化させ、負荷が所定値以上のときは前記動作モードを切替不可能と
する。
【0008】
本発明のもう1つの態様は、電動工具である。この電動工具は、
少なくとも所定の負荷範囲内で回転数が異なる複数の動作モードを有し、所定の条件が満たされるとモータ駆動中も前記動作モードを切替可能であり、前記動作モードの切替の際、前記モータの回転数を滑らかに又は段階的に変化させる電動工具であって、
前記モータの駆動電力を供給する着脱可能な電池パックと、
メインスイッチと、
モード切替スイッチと、
前記メインスイッチと、前記モード切替スイッチの操作状態に応じて、前記モータの駆動を制御する制御部とを備え、
前記メインスイッチが所定時間オフされている状態が継続すると、前記制御部への通電がオフし、前記制御部への通電がオフ状態のときに前記メインスイッチがオンされると、前記制御部への通電がオフ状態からオン状態に復帰する。
【0009】
前記動作モードは、前記モータへの電力供給を制御するスイッチング素子のデューティーを100%とする通常モードと、前記モータの回転数を所定の回転数で維持するよう前記デューティーを制御するエコモードとを有してもよい。
【0011】
同一基板上に設けられたモード切替スイッチと、モードを表示する表示部とを備えてもよい。
【0012】
前記基板は、ハンドル部下側に設けられてもよい。
【0013】
本発明のもう1つ態様は、電動工具である。この電動工具は、
ブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータにより回転される回転具と、
前記ブラシレスモータの電力供給を制御するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を制御する制御部と、
メインスイッチを有するハンドル部と、
無負荷時の設定回転数を切替え可能なモード切替スイッチとを有し、
前記制御部は、前記メインスイッチが操作されている最中であっても、前記モード切
替スイッチの操作に基づいて動作モードを切替え可能である。
【0014】
前記動作モードは、前記モータへの電力供給を制御するスイッチング素子のデューティーを100%とする通常モードと、前記モータの回転数を所定の回転数で維持するよう前記デューティーを制御するエコモードとを有してもよい。
【0015】
前記制御部は、いずれの動作モードであっても前記ブラシレスモータを起動する際及び前記動作モードを切り替える際には、前記ブラシレスモータへの電力供給を徐々に変化させてもよい。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来と比較して動作モードの切替にかかる手間を減らして作業効率を良好とすることの可能な電動工具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るコードレス丸のこの平面図、
図2は同側面図、
図3は同背面図、
図4は同正面図である。
図5は、
図1のコードレス丸のこの、一部を断面とした第1の平面図である。
図6は、同第2の平面図である。
図7は、
図1のA−A断面図である。
【0021】
本実施の形態のコードレス丸のこは、ベース1と、本体2とを備える。ベース1は、例えばアルミ等の金属製の略長方形の板材である。ベース1の長手方向は切断方向と一致する。ベース1の底面は、被削材との摺動面である。本体2は、後述のようにベース1に前後2箇所で連結され、ベース1に対して回動可能かつ左右に傾動可能である。本体2は、モータハウジング3と、ハンドル部4と、ギヤカバー5と、ソーカバー6と、保護カバー7と、丸のこ刃8(回転具)とを含む。モータハウジング3は、例えば樹脂製であり、ブラシレスモータ9(
図5及び
図6)を内蔵する。ブラシレスモータ9は、丸のこ刃8を回転駆動する。ハンドル部4は、モータハウジング3と同材質であり、モータハウジング3の上方において前後方向に延びる。ハンドル部4には、使用者がブラシレスモータ9の駆動、停止を切り替える操作部としてのメイントリガスイッチ18(メインスイッチ)が設けられる。ハンドル部4は、
図3及び
図4に示すようにモータハウジング3と一体的に設けられた左側部品と、モータハウジング3とギヤカバー5との間に挟持される右側部品とによって構成され、この左側部品と右側部品との組合せで後述する電池パック取付部4aが構成されると共に、丸のこ刃8側に位置するハンドル部4の右側部品に後述する制御回路基板収納部4bが設けられている。なお、ハンドル部4の左側部品と右側部品との境界は、
図1、
図3、
図4などでハンドル部4の中央に表れているラインである。
【0022】
ハンドル部4の後端下部には、電池パック取付部4a(電池取付部)と、制御回路基板収納部4bが一体に設けられる。電池パック取付部4aには、電池パック20(蓄電池)が、後方からスライドさせることで着脱自在に装着される。ハンドル部4の下側であって電池パック取付部4aの上面にはモード切換スイッチ16(例えばタクトスイッチ)及びモードを表示する表示部としてのLED29が設けられる。使用者は、モード切換スイッチ16により、例えば通常モード又はエコモードのいずれかを選択することができる。モード切換スイッチ16及びLED29は同一の基板上に設けられており、モード切換スイッチ16の操作によってエコモードが設定された際に、LED29が点灯する。モード切換スイッチ16は、ハンドル部4の下側に設けられているため、モード切換スイッチ16が何かに衝突するなどして不意にモードが切り替わるようなことがないようになっている。電池パック20は、ブラシレスモータ9に駆動電力を供給する。
図1に示すように、電池パック取付部4aに装着された電池パック20の左側面と、モータハウジング3の左側面は、略同一平面上に存在する。すなわち、丸のこ刃8からモータハウジング3の左側面の距離と、丸のこ刃8から電池パック20の左側面の距離が略同じであり、電池パック20の左側面とモータハウジング3の左側面を下にしてコードレス丸のこを載置することができ、丸のこ刃8の交換作業を容易に行うことができる。制御回路基板収納部4bは、電池パック20の右側に設けられる。制御回路基板収納部4bには、制御回路基板21が収納保持される。制御回路基板21は、ブラシレスモータ9の動作を制御する制御部(コントローラ)を搭載している。制御回路基板21は、ブラシレスモータ9の回転軸(丸のこ刃8の回転軸)と略垂直である。制御回路基板21の左側、すなわち制御回路基板21と電池パック20との間は、例えば樹脂製のコントローラカバー22によって仕切られる。
【0023】
ギヤカバー5は、ハンドル部4の右側に設けられる。ギヤカバー5は、例えば金属製であり、ブラシレスモータ9と丸のこ刃8との間の回転伝達機構を内蔵する。回転伝達機構は周知の減速機構等からなる。ソーカバー6は、ギヤカバー5に取り付けられ、ギヤカバー5と共に丸のこ刃8の上半分を覆う。ソーカバー6はギヤカバー5と同材質かつ一体に形成されても良い。ギヤカバー5及びソーカバー6の前端部は、回動支持部14によって回転自在に連結される。保護カバー7は、例えば樹脂製であり、ギヤカバー5の後方側に、ギヤカバー5及びソーカバー6の外縁に沿って回動可能に設けられる。ギヤカバー5と保護カバー7との間には図示しないバネが介在する。このバネは、ギヤカバー5に対して保護カバー7を、ギヤカバー5及びソーカバー6の円周方向であって丸のこ刃8の下半分を覆う方向(
図2中、反時計回り)に付勢する。よって、切断作業を行っていない状態では、保護カバー7は、丸のこ刃8の下半分(ベース1の底面から下方に突出した部分)を、前方の一部を除いて覆う。
【0024】
ベース1の前方には、ベベルプレート12が立設される。ベベルプレート12は、切断方向と略直交する短手方向に直立する。ベベルプレート12には長孔13が設けられる。長孔13は、切断方向に延びる第1傾動軸部15aを中心とし、かつ第1傾動軸部15aと直交する円弧状である。回動支持部14は、第1傾動軸部15aを中心としてベース1に対して左右に傾動可能に支持される。回動支持部14の傾動位置は、傾斜角度調整レバー11を緩めた状態で調整し、傾斜角度調整レバー11を締め付けることで固定する。回動支持部14は、ブラシレスモータ9の回転軸(丸のこ刃8の回転軸)と平行な軸でソーカバー6の前端部を回動可能に支持する。ソーカバー6の回動位置の調整及び固定については後述する。
【0025】
ベース1の後方には、リンク10が、第1傾動軸部15aと同軸の傾動軸部15bを中心に回動可能に設けられ、ギヤカバー5の左側面に沿う。リンク10は、例えばアルミ等の金属製である。切込み深さ調整レバー19を緩めた状態では、リンク10とギヤカバー5とは相互にスライド可能であり、ベース1に対するソーカバー6の回動位置、すなわち切込み深さを調整することができる。そして、切込み深さ調整レバー19を締め付けることで、ギヤカバー5の回動位置を固定できる。
【0026】
図6に示すように、ブラシレスモータ9は、出力軸9aの周囲にロータコア9bを有する。出力軸9aは丸のこ刃8の回転軸と平行である。ロータコア9bは出力軸9aと一体に回転する。ロータコア9bにはロータマグネット9cが挿入支持される。ステータコア9dは、ロータコア9bの外周面を囲むように設けられる。ステータコア9dには、インシュレータ9eを挟んでステータコイル9fが設けられる。ステータコア9dの左端側には、スイッチング基板23が固定される。スイッチング基板23は出力軸9aと略垂直である。
図7に示すように、スイッチング基板23には、6つのスイッチング素子23a(FET等)が、本体部を倒した状態で搭載される。スイッチング素子23aは、電池パック20からの供給電圧をスイッチングする。
図5に示すように、電池パック20の端子部20aとスイッチング基板23は、配線24によって相互に電気的に接続されている。配線25は、電池パック20の端子部20aと制御回路基板21とを相互に電気的に接続する。配線26は、制御回路基板21とスイッチング基板23とを相互に電気的に接続する。制御回路基板21のコントローラからの制御信号が配線26によりスイッチング基板23上のスイッチング素子23aの制御端子(ゲート)に印加され、スイッチング素子23aのオンオフが制御される。ブラシレスモータ9の出力軸9aには冷却ファン33が取り付けられて出力軸9aと共に回転する。冷却ファン33の発生する気流によって、ブラシレスモータ9及びスイッチング素子23aが冷却される。
【0027】
図8は、本発明の実施の形態に係るコードレス丸のこの機能ブロック図である。制御部27は、
図6に示す制御回路基板21に搭載される。インバータ部28は、
図6及び
図7に示すスイッチング素子23aをブリッジ接続した回路である。残量表示部30は、電池パック20の残容量を表示する。温度センサ31は、インバータ部28のスイッチング素子23aの近傍に設けられたサーミスタ等の温度検出素子を含み、スイッチング素子23aの温度を検出する。検出抵抗32は、ブラシレスモータ9の駆動電流の経路に設けられる。制御部27は、検出抵抗32の端子電圧により前記駆動電流を検出できる。回転センサ34は、例えば3個のホール素子等の磁気センサである。制御部27は、回転センサ34の出力信号によりブラシレスモータ9の回転数を検出する。制御部27は、メイントリガスイッチ18がオンされると、モード切替スイッチ16により設定されたモード(例えば通常モード又はエコモードのいずれか)に応じてインバータ部28の各スイッチング素子23aにPWM信号を印加し、ブラシレスモータ9の駆動を制御する。通常モードにおいては、各スイッチング素子23aに印加するPWM信号のデューティーを100%で制御し、エコモードにおいては、丸のこ刃8の回転数が所定の回転数(例えば、3,000回転/分)で回転するようデューティーを制御する。なお、ブラシレスモータ9を駆動する際には、いずれのモードであっても徐々にデューティを増加させるソフトスタート制御を行い、通常モードであれば、約0.6秒でデューティーを100%とし、エコモードであれば、無負荷状態においては約0.4秒で丸のこ刃8が所定の回転数程度で回転することとなる。
【0028】
図9は、実施の形態のコードレス丸のこにおける、通常モード及びエコモードの回転数対負荷電流特性図である。通常モードでは、無負荷状態から負荷電流が上昇するに従って回転数が低下していく。エコモードは、通常モードと比較して、負荷電流がIx以下の場合に回転数が一定に制御される(定速度制御される)点で相違する一方、負荷電流がIxを超えた場合の制御は同じである。エコモードで、負荷が大きくなるとデューティーが100%となり、それ以上の負荷が加わる状況においては、エコモードであっても通常モードであっても同様の制御となることを表している。なお、エコモードは複数種類あってもよい。
【0029】
図10は、
図8に示す制御部27による制御のフローチャートである。このフローチャートは、使用者がメイントリガスイッチ18をオンすることによってスタートする。制御部27は、メイントリガスイッチ18がオンされたタイミングが、直近にメイントリガスイッチ18がオフされたタイミングから所定時間(例えば15分)経過しているか否かを確認する(S1)。制御部27は、所定時間が経過していれば(S1:Yes)、通常モードでブラシレスモータ9を駆動し(S2)、所定時間が経過していなければ(S1:No)、前回の動作モード(直近の動作モード)でブラシレスモータ9を駆動する(S3)。その後ブラシレスモータ9を駆動中にモード切替スイッチ16が押されると(S4:Yes)、制御部27は、負荷電流が閾値未満か否かを確認し(S5)、かつ、メイントリガスイッチ18がONしてから1秒以内か否かを確認する(S6)。そして制御部27は、負荷電流が閾値未満で(S5:Yes)、かつメイントリガスイッチ18がONしてから1秒以内でなければ(S6:No)、動作モードを切り替えてブラシレスモータ9を駆動する(S7)。負荷電流の閾値は、例えば
図9に示すIxである。制御部27は、負荷電流が閾値以上の場合(S5:No)、又はメイントリガスイッチ18がONしてから1秒以内である場合(S6:Yes)は、動作モードの切替は行わずにブラシレスモータ9の駆動を継続する。
【0030】
なお、制御部27は、メイントリガスイッチ18が15分間オフされている状態が継続すると、オフする構成をし、メイントリガスイッチ18がオンされるとオフ状態からオン状態に復帰する構成をしている。これにより、駆動電力である電池パック20の消費を抑えることができるようにしている。制御部27は、オン状態である際には、設定されたモードを記憶し続け、エコモードである場合には上述したLED29を点灯し続け、通常モードである場合にはLED29の消灯を維持する。なお、制御部27がオンした際には、S2のように通常モードでモータを起動するよう設定されているが、オンした際にはエコモードでモータを起動するようにして、電池パック20の消費を抑えるモードを標準としても良い。
【0031】
また、丸のこ刃8の回転数が安定しないソフトスタートで起動している最中にモードが切り替わることを防止する目的で、S6でメイントリガスイッチ18がONしてから1秒以内はモード切り替えを禁止するようにしたが、負荷が加わっている際のモード切り替えを抑制する目的で、ブラシレスモータ9の起動前と起動後の10秒以内にモード切り替えを許容する構成としても良い。なお、上述したように、負荷が高い時には、モード切り替えを禁止する構成とした場合には、高い電流が流れている時のノイズにより、モード切り替えが正常に動作しないなどの不具合を防止することができるものである。
【0032】
図11は、実施の形態のコードレス丸のこの動作の第1のタイムチャートである。時刻t0において使用者がメイントリガスイッチ18をオンすると制御部27はブラシレスモータ9を通常モードで駆動し、時刻t1において使用者がモード切替スイッチ16を押すと制御部27は動作モードを通常モードからエコモードに切り替える。切替の際、各スイッチング素子23aに印加するPWM信号のデューティーを徐々に減少させ、ブラシレスモータ9の回転数を滑らかに変化させて反動を低減する。その後の時刻t2において使用者が再度モード切替スイッチ16を押すと、制御部27は動作モードをエコモードから通常モードに切り替える。この際も各スイッチング素子23aに印加するPWM信号のデューティーを徐々に増加させ、ブラシレスモータ9の回転数を滑らかに又は段階的に変化させて反動を低減する。なお、エコモードから通常モードに切り替えられると、デューティーが100%になるまで徐々に増加させるが、通常モードからエコモードに切り替えられると、ブラシレスモータ9の回転数を監視しながらデューティーを100%から徐々に減少させ、丸のこ刃8の回転数が所定の回転数になったことを検出するまでデューティーを徐々に減少させ、その後、フィードバック制御を行い丸のこ刃8の回転数が所定の回転数を維持するように制御する。
【0033】
図12は、実施の形態のコードレス丸のこの動作の第2のタイムチャートである。時刻t0において使用者がメイントリガスイッチ18をオンにした後、時刻t1及びt2において使用者がモード切替スイッチ16を押したときは、負荷電流が閾値未満(ここでは無負荷運転)のため、
図11のタイムチャートの時刻t1及びt2と同様に動作モードの切替を実施する。一方、時刻txにおいて使用者がモード切替スイッチ16を押したときは、負荷電流が閾値以上のため、動作モードの切替は行わずにブラシレスモータ9の駆動が継続される。
【0034】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0035】
(1) メイントリガスイッチ18を引いている間も所定の条件が満たされれば動作モードの切替が可能なため、従来と比較して動作モードの切替にかかる手間を減らして作業効率を良好とすることができる。
【0036】
(2) 従来のように動作モード切替の際にメイントリガスイッチ18をオフして被削材から丸のこ刃8を離した上でモード切替スイッチ16を押して動作モードを切り替える場合、途中から再切削する際に切断面に段差が生じやすく加工品質が悪化しがちであるが、本実施の形態では加工を中断せずに動作モードの切替が可能なため、加工品質を良好にしやすい。
【0037】
(3) ブラシレスモータ9の回転中に動作モードを切り替える際、回転数の変化が急であると反動が大きく使いづらいが、本実施の形態では動作モードの切替に伴う回転数の変化を滑らかに又は段階的に行うため、反動が少なく使いやすい。
【0038】
(4) 負荷電流が大きいとノイズの影響により動作モードの切替が正常にできない場合もあるが、本実施の形態では負荷が閾値(所定値)以上のときは動作モードの切替を受け付けないようにしているため、ノイズの影響に強い。また、本実施の形態のように、エコモードでも負荷が大きいときは通常モードと同様の制御を行うようにすれば、作業中にモードの切り替えを頻繁に行う必要もなく、作業性が良い。
【0039】
(5) 制御部27は、メイントリガスイッチ18が所定時間オフされている状態が継続すると、オフし、メイントリガスイッチ18がオンされるとオフ状態からオン状態に復帰する構成をしており、このような構成をしている電動工具においては、駆動電流の消費を抑えることができながら、メイントリガスイッチ18を操作しながらモード切り替えが可能であるため操作性が良い。
【0040】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0041】
図13は、モード切替スイッチ16をハンドル部4のメイントリガスイッチ18の近傍に設けた実施の形態に係るコードレス丸のこの側面図である。
図13の構成によれば、ハンドル部4を握った片方の手でメイントリガスイッチ18及びモード切替スイッチ16の双方を操作可能で使いやすい。具体的には、右手でハンドル部4を把持した際に、右手の親指でモード切替スイッチ16を操作可能であり、左手でハンドル部4を把持した際には、左手の人差し指又は中指でモード切替スイッチ16を操作可能である。このため、作業中にモードの切替えを容易に行うことができ、操作性が良い。
【0042】
電動工具は、実施の形態で例示したコードレス丸のこに限定されず、グラインダや電気かんな等の他の電動工具であってもよい。
図14は、他の実施の形態としてのグラインダの斜視図である。このグラインダは、メイントリガスイッチ18をオンして砥石8aをモータにより回転させ、研磨加工や研削加工を行うものである。
図15は、他の実施の形態としての電気かんなの斜視図である。この電気かんなは、メイントリガスイッチ18をオンしてカッタブロックをモータにより回転させ、被削材の表面を削るものである。
図14に示すグラインダの場合も
図15に示す電気かんなの場合も、機能ブロック図は
図8と同様であり、また制御のフローチャートは
図10と同様で、所定の条件が満たされればメイントリガスイッチ18をオンしている間もモード切替スイッチ16を押すことで動作モードの切替が可能である。また、モード切替スイッチ16は、ハンドル部4のメイントリガスイッチ18の近傍に設けられ、ハンドル部4を握った片方の手でメイントリガスイッチ18及びモード切替スイッチ16の双方を操作可能としている。
【0043】
上述の実施の形態では、デューティーが常に100%の通常モードと、定速度制御を行い高負荷状態ではデューティーを100%にするエコモードとに選択可能としたが、このような構成としたことで、上述したように、エコモードにした状態から負荷状態に応じて通常モードに切替えなくとも良いため、作業中にモードの切替えを頻繁に行う必要がなく操作性が良いという作用効果があるが、デューティーが常に100%の通常モードと例えばデューティーが常に80%のエコモードとに選択可能な構成であっても良い。また、通常モードにおけるデューティーは100%未満の例えば95%であっても良い。実施の形態では駆動源をブラシレスモータとしたが、ブラシ付きモータを駆動源としてもよい。