(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第一の距離と前記第二の距離との差を予め設定された第一の基準値と比較し、当該基準値を下回る場合にエラー信号を生成する請求項1記載の基板保持装置。
前記基板は、前記基板保持面に平行な方向において前記基板保持面より部分的に突出した状態で保持されているとともに、前記基板保持面から突出した基板の部位と対向する位置に前記変位計が配置されている請求項1または2に記載の基板保持装置。
前記静電チャックには、前記基板保持面に略垂直な方向に向けて貫通孔が形成されているとともに、当該貫通孔を通して前記基板の裏面が視える位置に前記変位計が配置されている請求項1または2記載の基板保持装置。
前記制御装置は、前記基板保持面からの前記基板の離脱操作中で前記静電チャックの電極への電圧の印加が停止された後に、前記変位計で前記基板までの第三の距離を測定するとともに、先に測定した前記第一の距離と前記第三の距離との差を算出し、算出された距離の差と予め設定された第二の基準値との比較結果に応じて、後続する基板の離脱操作を継続するかどうかを判別する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板保持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
取り扱う基板の抵抗が比較的小さいもの(シリコン等の導電性の基板)であれば、静電吸着の前後で静電チャックの電極と基板との間の静電容量の変化量が比較的大きいので、従来の手法を用いても吸着状態が正常かどうかを容易に判別することが可能であった。しかしながら、昨今では取り扱われる基板の種類も多く、中には高抵抗(1E8〜9Ω・cm以上)の基板や絶縁性の高い基板等(例えば、ガラス基板)を静電チャックで吸着する場合もある。
【0007】
これらの基板を取り扱う際、これまでと同様に静電チャックの電極と基板との間の静電容量の変化量に基づいて基板の吸着状態の判別をすることもできないことはないが、このような基板では静電容量の変化量が数pFと非常に小さな値であることから、基板が正常に静電吸着されているかどうかを判別することが困難である。
【0008】
本発明は、取り扱う基板の種類に関わらず、静電チャックにより基板が正常に吸着されているかどうかを容易に判別することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の基板保持装置は、内部に電極を有し、一面に基板が保持される基板保持面を備えた静電チャックと、前記基板保持面の上方または下方に配置された変位計と、前記基板保持面に基板が載置されたときに前記変位計で前記基板までの第一の距離を測定するとともに、前記静電チャックの電極に所定電圧が印加された後、前記変位計で前記基板までの第二の距離を測定し、測定された距離の差に基づいて、前記静電チャックへの基板の吸着が正常に行われているかを判別する制御装置とを備えている。
【0010】
変位計は基板の反り量の測定や基板の位置決めに用いられていて、μm単位での測定が可能である。静電チャックの基板保持面が凹凸のない平面であり、基板の裏面も同様に凹凸のない平面であれば、理想的には静電チャックの基板保持面と基板との間には隙間は存在しない。しかしながら、実際には製造誤差や使用環境によって基板面や静電チャックの基板保持面は微小に変形しており、数μm程度ではあるが両部材間に微小な隙間が存在している。基板が静電チャック上に載置された際、両部材間には上述した隙間が生じることになるが、静電チャックの電極に所定電圧を印加した後は両部材間に静電吸着力が発生して、静電チャックの基板保持面側に基板が引き寄せられて、この隙間がわずかではあるが変化する。また、基板の吸着によって、基板が基板保持面を押し圧すると、基板保持面の下側にある誘電体層が若干ではあるが下方に沈む。このことで基板位置はさらに変化する。そのうえ、静電チャックにシリコンラバー等の弾性材が使用されていると、基板の押し圧による静電チャックの変形量が大きくなるので、基板位置の変化は一層大きくなる。このような点に着目して、基板吸着操作の前後で変位計を使って基板までの距離を測定し、これらの距離の差に基づいて静電チャックへの基板の吸着状態を判別するようにした。これにより、基板の電気特性によらず、静電チャックへの基板の吸着が正常に行われているかを容易に判別することが可能となる。
【0011】
より具体的には、前記制御装置は、前記第一の距離と前記第二の距離との差を予め設定された第一の基準値と比較し、当該基準値を下回る場合にエラー信号を生成するように構成されている。
【0012】
基板の吸着状態が異常であることを検知してエラー信号を生成するように構成しておけば、その後に続く処理を停止させる等の措置を講ずることができる。
【0013】
変位計の配置は次のようにしておいてもよい。前記基板は、前記基板保持面に平行な方向において前記基板保持面より部分的に突出した状態で保持されているとともに、前記基板保持面から突出した基板の部位と対向する位置に前記変位計が配置されている。
【0014】
静電チャックによる吸着力は基板保持面上の基板の部位(基板中央部)に直接作用する。基板保持面から突出した基板の部位(基板外周部)は、基板保持面上に載置された基板中央部が基板保持面に引き寄せられることに伴って大きく変動する。また、基板中央部は基板保持面によって移動が規制されるので変位量に制限があるが、基板外周部は基板保持面により保持されていない分、その変位量は大きくなる。この様に大きく変動する基板外周部を測定するように変位計を配置することで、静電チャックへの基板の吸着が正常に行われているかどうかの判別精度を高めることが可能となる。
【0015】
基板表面に対して何らかの処理を行う場合、変位計が基板表面を覆う位置に配置されていると基板への処理の妨げとなってしまう。変位計が基板処理の妨げにならないように、基板処理の際に変位計を移動させる構成も考えられるが、移動機構を設けると装置構成が複雑になってしまう。このような理由から、変位計を静電チャックの基板保持面よりも下方に配置することが望ましい場合も存在する。しかしながら、この場合、静電チャックの基板保持面の寸法と基板の寸法との関係によっては、変位計による測定がうまく行えない場合がある。そこで、この種の問題を解決するには、次のような構成を用いることが望ましい。前記静電チャックには、前記基板保持面に略垂直な方向に向けて貫通孔が形成されているとともに、当該貫通孔を通して前記基板の裏面が視える位置に前記変位計が配置されている。
【0016】
静電チャックに貫通孔を設け、そこを通して変位計で基板までの距離を測定するように構成しておけば、変位計を基板保持面の下方に配置した場合でも、基板寸法によらず基板までの距離を測定することが可能となる。
【0017】
静電チャックから基板を離脱させる際、残留吸着力の存在によって、基板を無理に離脱させようとすると、基板の跳ねや割れが生じる恐れがある。基板の離脱操作の阻害要因となる残留吸着力を考慮して、基板の離脱操作を行うには、次のように構成することが望ましい。
【0018】
前記制御装置は、前記基板保持面からの前記基板の離脱操作中で前記静電チャックの電極への電圧の印加が停止された後に、前記変位計で前記基板までの第三の距離を測定するとともに、先に測定した前記第一の距離と前記第三の距離との差を算出し、算出された距離の差と予め設定された第二の基準値との比較結果に応じて、後続する基板の離脱操作を継続するかどうかを判別する。
【0019】
また、上述した基板保持装置を半導体製造装置の処理室内で用いる場合、次のように構成しておくことが望ましい。処理室内に備えた半導体製造装置であって、前記制御装置は、前記静電チャック上に載置された前記基板への処理中に、前記変位計で前記基板までの距離を測定するとともに、当該距離の変化量が第三の基準値を超えた場合に、前記基板への処理を停止する。
【0020】
基板の処理中に、静電チャックによる基板の吸着力が何らかの原因で変動する場合がある。例えば、基板に温度変化による反りが生じて、この反りによる応力が吸着力を上回った場合、処理中に基板の跳ねや割れが生じる恐れがある。この場合、基板への処理を継続させることが困難になるので、このような事象の発生を考慮して上述したように構成しておくと基板の処理不良を未然に防ぐことができる。
【0021】
さらに、上述した構成は制御装置によって基板吸着判別を行う構成であったが、このような判別を装置の操作者が行うようにしてもよい。この場合には、次のような判別方法を用いる。内部に電極を有し、一面に基板が保持される基板保持面を備えた静電チャックと、前記基板保持面の上方または下方に配置された変位計と、を備えた基板保持装置で、前記基板保持面に基板が載置されたときに前記変位計で前記基板までの第一の距離を測定するとともに、前記静電チャックの電極に電圧が印加された後、前記変位計で前記基板までの第二の距離を測定し、これらの距離の差に基づいて、前記静電チャックへの前記基板の吸着が正常に行われているかを判別する。
【0022】
このような手法を用いれば、制御装置を備えた基板保持装置と同等の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0023】
基板吸着操作の前後で静電チャックの基板保持面に載置される基板の位置が微小ながらに変化する。この点に着目して、基板吸着操作の前後で変位計で当該変位計から基板までの距離を測定し、これらの距離の差に基づいて静電チャックへの基板の吸着状態を判別するようにした。これにより、基板の電気特性によらず、静電チャックへの基板の吸着が正常に行われているかを容易に判別することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、半導体製造装置等で使用される真空容器9の室内に基板保持装置Hが配置された例が描かれている。静電チャック2は内部に電極11を有しており、一面に基板1が載置される基板保持面Sが形成されている。この電極11に図示されない電源により所定電圧が印加されることで、基板1は基板保持面Sに静電吸着される。ここでは説明を簡略化する為に、電極11の枚数が1枚の単極型の静電チャックを例に挙げているが、本発明で使用される静電チャック2は他の静電チャックを用いてもよい。例えば、双極型の静電チャックであってもよい。また、基板1と基板保持面Sとの間にはごくわずかな隙間が存在しているが、この隙間についての図示は省略している。
【0026】
静電チャック2は真空容器9の床面より、保持機構8によって支持されている。この保持機構8には取り付け金具7の一端が支持されており、取り付け金具7の他端にはセンサーヘッド3が支持されている。このセンサーヘッド3は真空容器9の外部に設けられた光源制御ユニット6に光ファイバー4を通じて接続されている。なお、光源制御ユニット6は真空容器9内に配置されていてもよいが、容器外部で操作者によって操作される場合には、図示されるように真空容器9の外部に設けておくようにすればよい。この場合、真空容器9の内外への光ファイバー4の引き回しは真空容器9の壁面に設けられたフィードスルー5を通じて行われている。
【0027】
変位計としては、レーザー式、接触式、渦電流式等の種々の方式が存在しているが、本発明の変位計はレーザー式の変位計である。この種の変位計は従来より知られている技術である為、ここでは詳細な説明は省略するが、簡単に述べると以下のような構成をしている。
【0028】
センサーヘッド3は光源制御ユニット6からのレーザー光を光ファイバー4を通じて検出対象物に照射するとともに、検出対象物からの反射光を受光して光ファイバー4を通じて光源制御ユニット6に戻す機能を備えている。また、センサーヘッド3の先端部には反射面が設けられていて、この反射面で検出対象物に照射される光の一部が反射される。光源制御ユニット6は、センサーヘッド3の反射面で反射された光と検出対象物で反射された光の干渉光を波長ごとに分光して、これを波形解析することでセンサーヘッド3から検出対象物までの距離(図示されるL)の算出を行う。
【0029】
一般には、上述したセンサーヘッド3、光ファイバー4及び光源制御ユニット6の集合体を指して変位計と呼んでいるが、本発明では測定に使用されるセンサーヘッド3のことを変位計と呼んでいる。
【0030】
変位計は基板の反り量の測定や基板の位置決めを行う際に用いられていて、μm単位での測定が可能である。静電チャック2の基板保持面Sが凹凸のない平面であり、基板1の裏面も同様に凹凸のない平面であれば、理想的には静電チャック2の基板保持面Sと基板1との間には隙間は存在しない。しかしながら、実際には製造誤差や使用環境によって基板面や静電チャック2の基板保持面Sは微小に変形しており、数μm程度ではあるが両部材間には微小な隙間が存在している。
【0031】
基板1が静電チャック2上に載置された際、両部材間には上述した隙間が生じることになるが、静電チャック2の電極11に所定電圧を印加した後は両部材間に静電吸着力が発生して、静電チャック2の基板保持面S側に基板1が引き寄せられて、この隙間がわずかではあるが変化する。また、基板1の吸着によって、基板1が基板保持面Sを押し圧すると、基板保持面Sの下側にある誘電体層が若干ではあるが下方に沈む。このことで基板位置はさらに変化する。そのうえ、静電チャック2にシリコンラバー等の弾性材が使用されていると、基板の押し圧による静電チャックの変形量が大きくなるので、基板位置の変化は一層大きくなる。このような点に着目して、基板吸着操作の前後で変位計で当該変位計から基板1までの距離を測定し、これらの距離の差に基づいて静電チャック2への基板1の吸着状態を判別するようにした。これにより、基板1の電気特性によらず、静電チャック2への基板1の吸着が正常に行われているかどうかを容易に判別することが可能となる。具体的な判別方法について、
図2を基に説明する。
【0032】
図2には、吸着操作時の基板吸着判別に係るフローチャートが描かれている。まず、S1で基板保持面Sに基板1が載置される。次に、静電チャック2の電極11に所定電圧を印加する前に、S2で変位計を用いて基板1までの距離を測定する。ここで測定された距離を本発明では第一の距離L1と呼んでいる。なお、ここで測定される距離は変位計と基板1間の距離である。この点については、後述する他の実施例でも同様である。
【0033】
第一の距離L1の測定後、S3で静電チャック2の電極11に所定電圧を印加する。この時に印加される電圧値は、静電チャック2上に基板1を吸着させる際に用いられる電圧値であり、吸着される基板1の種類や静電チャック2の構成に応じて予め決められている。
【0034】
所定電圧が印加され、基板1が静電チャック2に吸着された後、S4で再び変位計を用いて基板1までの距離の測定が行われる。ここで測定された距離を本発明では第二の距離L2と呼んでいる。なお、この段階では基板1が静電チャック2に正常に吸着されているかどうかは判別されていない。通常、所定電圧の印加後に数秒程度経過すると基板1は静電チャック2に吸着されるので、吸着操作の完了までにどれぐらいの時間を要するのかを予め実験する等して求めておき、この時間が経過した後でS4の測定が行われる。
【0035】
S4での測定の後、S5で第一の距離L1と第二の距離L2との差が算出される。その後、S6で予め設定された第一の基準値C1とS5で算出された距離の差とが比較され、当該基準値よりも距離の差が大きい場合には、S7で基板1が適切に静電チャック2に吸着されていると判別して基板の吸着操作が完了する。一方、S5で算出された距離の差が当該基準値と同じかこれを下回る場合には、S8で吸着不良と判別し、エラー信号が生成される。なお、S5の算出工程、S6の比較工程、S7及びS8の判別工程は、光源制御ユニット6で行われるようにしてもいいし、光源制御ユニット6とは別の制御装置を設けておき、この制御装置によって行われるようにしてもよい。その場合、光源制御ユニット6での測定値は別に設けられた制御装置に送信されるように構成しておく。また、第一の距離L1と第二の距離L2の差は大きさ(絶対値)で表される。これは基板1や静電チャック2の基板保持面Sの形状によっては、第一の距離L1よりも第二の距離L2の方が大きくなる場合がある為である。
【0036】
図3は、寸法が4インチ、抵抗率が1E10Ω・cmの炭化ケイ素基板の外周部を基板の上方より変位計で測定したときの実験データである。この実験データによると、基板1を静電チャック2の基板保持面Sに載置した時は基板までの距離が約574μm(図中L1)であるのに対して、静電チャック2の電極11に所定電圧を印加して吸着操作が完了した時には、この距離が約532μm(図中L2)に変化している。現在市販されている変位計は0.1μm単位の測定が可能であり、さらに高精度のものは0.01μm単位までの測定が可能である。このことから、実験データにみられる吸着前後での基板1の変位量は変位計で十分測定が可能であることがわかる。なお、ここで測定された基板までの距離は、変位計と基板1との間の実際の距離ではない。これは、
図3の実験データの縦軸に示される目盛が、所定のオフセット量を含んでいる為である。この点については、後述する
図5に示す実験データでも同様である。
【0037】
図1の実施例では、基板1は基板保持面Sに平行な方向において基板保持面Sより部分的に突出した状態で静電チャック2に保持されていて、基板保持面Sから突出した基板1の部位と対向する位置に変位計(センサーヘッド3)が配置されていた。
【0038】
静電チャック2による吸着力は基板保持面S上の基板中央部に直接作用する。基板保持面Sから突出した基板外周部は、基板保持面S上に載置された基板中央部が基板保持面Sに引き寄せられることに伴って大きく変動する。また、基板中央部は基板保持面Sによって移動が規制されるので変位量に制限があるが、基板外周部は基板保持面Sにより保持されていない分、その変位量は大きくなる。
【0039】
このような理由から比較的大きく変動する基板外周部を測定するように変位計(センサーヘッド3)を配置することで、静電チャック2への基板1の吸着が正常に行われているかどうかの判別精度を高めることが可能となる。なお、
図1の実施例では変位計は基板保持面Sの下方に配置されていたが、基板保持面Sの上方に配置するようにしてもよい。ただし、静電チャック2に保持された基板1の表面に対してイオン注入等の処理を行う場合に、基板1への処理中に変位計が基板保持面Sの上方に配置されていると、基板1に対する処理を正常に行うことができなくなる。このような場合には、変位計を基板保持面Sの下方に配置しておくか、変位計を基板保持面Sの上方に配置しておき、基板1への処理が行われる前に変位計を基板処理に支障を来さない位置に移動するような機構を設けておくことが考えられる。
【0040】
また、変位計が静電チャック2の基板保持面Sよりも下方に配置されている場合には、静電チャック2の基板保持面Sと基板1との寸法関係によっては、変位計による測定がうまく行えない場合がある。具体的には、基板保持面Sの寸法よりも基板1の寸法が小さい場合には、基板保持面Sの下方からは基板1が視えないので、何らかの工夫をしない限り変位計で基板1までの距離を測定することは不可能となる。このような場合には、
図4に記載の構成を用いることが考えられる。
【0041】
図4には、本発明に係る基板保持装置Hの第2の実施例が描かれている。
図1の構成との違いは、基板保持面Sに略垂直な方向に向けて静電チャック2に貫通孔10を形成し、この貫通孔10を通して基板1の裏面が視える位置に変位計(センサーヘッド3)を配置している点にある。なお、貫通孔10は静電チャック2に設けられた電極11を避けるようにして形成されている。また、略垂直な方向とは、基板保持面Sと垂直な関係となる方向を含んで、この方向から若干ずれた方向を含むという意味である。これは、静電チャック2の厚みによっては、必ずしも基板保持面Sに垂直な方向に貫通孔10を形成しなくても、貫通孔10を通して基板裏面を視ることが可能な為である。
【0042】
基板外周部に比べて基板中央部は、静電吸着操作の前後での基板1の変位量は小さくなるが、本願発明の発明者らの実験によると数μm程度の変化が確認されている。
図5は基板中央部での変位量を測定した実験データである。測定対象にした基板は、
図3の実験データで用いた基板と同じものを用いている。
図5の実験データから第一の距離L1と第二の距離L2との差は約2μmである。このような微小な変動であっても、変位計の測定精度からすると、十分に対応可能な変化であることから、
図4に記載の構成を用いて基板中央部の変位を測定し、吸着判別を行うようにしてもよい。
【0043】
図1や
図4の実施例では、変位計の個数は1つであったが、本発明の構成はこれに限られない。
図6に描かれているように複数の変位計を配置するようにしてもよい。例えば、
図6には基板中央部と基板外周部のそれぞれに対応する位置に変位計が配置されている。このように変位計を配置しておき、各電源制御ユニット6から1つの制御装置12に個別に測定値が送信されるように構成しておく。そして、各電源制御ユニット6から送信された測定値と予め決められた所定の基準値とを比較し、両方の電源制御ユニット6での測定値が条件を満たす場合に、正常な吸着がなされているものと判別するようにしてもよい。このように構成しておくことで吸着判別の精度を向上させることができる。
【0044】
また、変位計を複数個設ける場合、必ずしも
図6に描かれているように基板中央部と基板外周部のそれぞれに対応した位置に変位計を配置しておく必要はない。例えば、一方の場所にかためて変位計を配置するようにしてもよい。ただし、基板1の吸着状態は基板1や基板保持面Sの形状に応じて場所により多少変化していることが考えられる。このようなことから、近接した場所に複数個の変位計を配置するよりも少し離れた場所に設ける方がよい。例えば、基板外周部に複数個配置する場合には、基板1の中心に対して点対称となるように複数の変位計を配置することが考えられる。
【0045】
半導体製造装置のプロセスによっては、真空容器9の室内で、基板1を移動させながら基板表面への処理が行われる。この場合、保持機構8が静電チャック2を移動させる機構となるが、この機構の移動方向によっては光ファイバー4が保持機構8に巻き付いて、保持機構8の移動の妨げとなることが考えられる。この場合、光ファイバー4自体が捩じ切れて断線してしまうことも考えられる。このような問題を避けるために、
図7に示す構成を用いてもよい。なお、真空容器9は半導体製造装置で基板1に対する処理が行われる部屋である処理室に相当する。
【0046】
図7には、本発明に係る基板保持装置Hの第4の実施例が描かれている。この実施例では保持機構8は静電チャック2を支持し、これを移動させる機構が想定されている。このような保持機構8の内部を中空にしておき、この中に光ファイバー4を這わせるように構成しておく。また、図示されるように取り付け金具7の内部も中空にしておき、保持機構8と同様にこの中に光ファイバー4を這わせるように構成しておいてもよい。このような構成であれば、保持機構8によって静電チャック2が移動するような構成であっても、保持機構8への光ファイバー4の巻き付きを防止することができる。
【0047】
また、保持機構8が移動するような構成でなくとも、真空容器9の室内には静電チャック2に基板1を搬送する為の何らかの搬送機構が存在している可能性が高い。このような搬送機構に光ファイバー4が巻き付いてしまうことも考えられる。また、光ファイバー4が巻き付かないにしろ、光ファイバー4の引き回しによっては、搬送機構の配置自由度を低下させてしまう恐れがある。このような問題を解決する為に、保持機構8が移動しない場合であっても、当該機構内部を中空にしておき、この内部に光ファイバー4を這わすようにしておいてもよい。なお、保持機構8の移動に伴って、光ファイバー4が移動する場合には、保持機構8の移動を許容する程度、光ファイバー4の長さは長くしておく。
【0048】
これまでの実施例では保持機構8に対して取り付け金具7が支持されている構成であったが、本発明の構成はこれに限らない。例えば、
図8や
図9に描かれている構成を用いても良い。
【0049】
図8の実施例では、取り付け金具7が真空容器9の床面から支持されている。また、
図9の実施例では、取り付け金具7が静電チャック2に支持されている。さらには、図示されていないが、取り付け金具7は真空容器9の側壁から支持されていてもよい。ただし、変位計で有効とされる測定距離は数cm(2cm〜5cm程度)と短いので、センサーヘッド3と基板1との距離が離間し過ぎると変位計での測定が不可能になる。このような点を考慮して、センサーヘッド3はできるだけ測定対象とする基板1の近傍に配置するようにしておく。
【0050】
これまでの実施例では、真空容器9の室内に静電チャック2を配置する構成例について述べたが、本発明の構成はこれに限らない。例えば、静電チャック2は、大気中で基板を搬送する搬送機構のアーム先端部に使用される場合もある。
図10及び
図11にはこの場合の構成例が描かれている。
【0051】
図10及び
図11に記載の搬送機構は、モーター等の駆動源Mで移動する多関節機構の先端部に静電チャック2が取り付けられた搬送機構である。
図10では、搬送機構内部を這わすようにして光ファイバー4を配置し、基板1の下方より基板1の変位量を測定するように構成されている。反対に、
図11では、基板1の上方より基板1の変位量を測定するように構成されている。また、図示されているように、光源制御ユニット6で吸着不良と判別した場合に、駆動源Mを制御する制御装置12にエラー信号を送信し、当該制御装置12が駆動源Mによる基板1の搬送を停止するように構成しておいてもよい。
【0052】
これらの図に記載されるように、大気中で基板搬送に用いられる搬送機構にも本発明を適用することができる。なお、
図10及び
図11では搬送機構の内部に光ファイバー4を這わす構成が描かれているが、本発明の構成はこのような構成に限らない。
【0053】
搬送機構への基板の受け渡し位置は通常同じ位置で行われる。基板1の搬送中に吸着状態を常に監視しないのであれば、受け渡し位置となる場所で基板1の吸着状態を監視できるように変位計を配置しておけばよい。この場合、変位計は搬送機構による基板の搬送の妨げとならない位置で、何らかの支持部材でもって特定の場所に固定支持させておく。そして、搬送開始前に行われる吸着操作の前後で基板1の変位量を測定することにより、基板吸着判別を行うように構成しておく。この際、光ファイバー4は、搬送機構の外部で搬送機構による搬送の妨げとならない場所に配置しておく。
【0054】
これまでの実施例では、基板1を吸着する際に基板吸着判別が行われる例について述べたが、基板吸着判別のタイミングはこれに限られない。静電チャック2から基板1を離脱させる際、残留吸着力の存在によって、引き剥がしピンで基板1を無理に離脱させようとすると、基板1の跳ねや割れが生じる恐れがある。基板1の離脱操作の阻害要因となる残留吸着力を考慮して、基板1の離脱操作時に本発明を適用してもよい。
【0055】
また、吸着開始時に吸着状態が正常であっても基板に対して何らかの処理(基板の搬送や基板への半導体プロセス等)が行われている間に基板1の吸着状態が変化する可能性がある。例えば、基板に温度変化による反りが生じて、この反りによる応力が吸着力を上回った場合、処理中に基板の跳ねや割れが生じる恐れがある。このような基板処理にあたって本発明を適用してもよい。
【0056】
基板の離脱時及び基板への処理中に、本発明の基板吸着判別を如何にして用いるのかについて、
図12及び
図13を用いて、以下に説明する。
【0057】
図12には、基板離脱時に行われる基板吸着判別の手法に係るフローチャートが描かれている。基板1は静電チャック2の基板保持面Sに静電吸着されており、基板1に対する何らの処理が終了している。初めに、S11で基板1の離脱操作を開始する。次に、S12で静電チャック2の電極11への電圧の印加を停止する。なお、電圧の印加を停止する前に、残留吸着力を軽減させる為に静電吸着の際に印加した電圧と逆極性の電圧を電極11に印加するようにしてもよい。また、逆極性の電圧は段階的に印加されるようにしてもよい。最終的に基板1を静電チャック2から引き剥がす際、電極11に印加される電圧の値はゼロとなる。
【0058】
電極11への電圧の印加を停止した後、S13で変位計で基板1までの距離を測定する。本発明ではこの距離を第三の距離L3と呼ぶ。その後、S14で静電吸着操作の開始前に測定された第一の距離L1を用いて第三の距離L3との差を算出する。なお、前もって測定された第一の距離L1は電源制御ユニット6や他の制御装置に記憶させておき、第三の距離L3との差を算出する際に読み出しが行われるように構成しておく。
【0059】
S15で算出された差(大きさ)と電源制御ユニット6や他の制御装置に予め記憶されている第二の基準値C2との比較を行い、第二の基準値C2よりもS14で算出された値が小さければ、S16で離脱操作を継続させる。なお、S16以降の具体的な処理は、静電チャック2の基板保持面Sから引き剥がしピンによって基板1を引き剥がす操作である。
【0060】
一方、第二の基準値C2とS14で算出された値が同じか大きい場合には、S17で離脱操作を停止させる。残留吸着力は時間の経過に伴って減少する。このことを利用して、S17で離脱操作が停止された場合、S13に戻って第三の距離L3の再測定を行うようにしてもよい。そして、再測定された第三の距離L3と第一の距離L1との差を再び算出し、第二の基準値C2との比較を行う。ここで第二の基準値C2とS14で再算出された値が同じか大きい場合には、S17で離脱操作を完全に停止し、警告音や装置の操作画面に警告メッセージを表示させる等して、装置の操作者に離脱操作に異常を来していることを通知するように構成しておくことが考えられる。
【0061】
図13には、基板処理中に基板吸着状態を監視する手法に係るフローチャートが描かれている。S21で基板1に対する処理が開始される。この処理は、基板1の搬送や基板1に対する半導体プロセス等である。次に、S22で基板1までの距離を測定する。本発明ではこの距離のことを第四の距離L4と呼ぶ。この測定は、基板1への処理が行われている間、時間間隔を置いて複数回行われるか、常時行われている。
【0062】
S23で、基板1の処理中に第四の距離L4の変化量を算出するとともに、当該変化量を予め設定されている第三の基準値C3と比較する。第三の基準値C3よりも第四の距離L4の変化量が小さい場合にはS24で基板処理を継続させる。一方、第四の距離L4の変化量が第三の基準値C3と同じかそれよりも大きい場合にはS25で基板処理を停止させる。
【0063】
このような構成を用いることで、基板処理中に発生する基板の跳ねや割れによる処理不良を未然に防ぐことができる。
【0064】
<その他の実施例>
上述した実施例では、光源制御ユニット6や他の制御装置12等を用いて、自動的に基板吸着判別を行うものであったが、装置の操作者の判断により、基板吸着判別を行うようにしてもよい。例えば、ディスプレイを用意しておき、ここに変位計による測定値を表示させる。装置の操作者が表示された測定値を所定の基準値と比較することで、操作者による吸着判別を行って、稼働中の装置を停止させる等の措置を講ずるようにしてもよい。また、光源制御ユニット6に測定データを表示させる機能を設けておくようにすれば、上述したディスプレイを特別に設ける必要はない。
【0065】
上述した実施例では、第一の距離L1、第二の距離L2及び第三の距離L3は、特定のタイミングで変位計によって測定された距離である旨の説明をしたが、変位計による測定は常時行われるようにしておき、吸着判別に使用される測定値をリアルタイムで測定されているデータから抜出すように構成しても構わない。
【0066】
さらに、第一の基準値C1、第二の基準値C2及び第三の基準値C3は、それぞれ異なる値であってもいいし、同じ値であってもよい。
【0067】
前述した以外に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行っても良いのはもちろんである。