特許第6066186号(P6066186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066186
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   H01R9/22
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-30879(P2013-30879)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-160596(P2014-160596A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河メータ&インスツルメンツ株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 秀憲
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3243764(US,A)
【文献】 実開昭63−157173(JP,U)
【文献】 米国特許第3407382(US,A)
【文献】 特表2008−510285(JP,A)
【文献】 実開昭59−082970(JP,U)
【文献】 実開昭61−066878(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0203748(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15〜 9/28
H01R 11/11〜11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具の挿入端部に着脱可能な導体部材よりなる端子台であって、
前記端子金具の挿入端部は取付パネルに挿入固定され、
前記端子台は断面形状が等角度の多角形で有底の角筒状に形成され、これら角筒状多角形の外周各面にケーブルが接続され、前記角筒状の底面に螺入されて角筒状の内部に貫通する前記端子金具の挿入端部には筒状の締結部材が二重筒状に内包されるようにして螺合固着されていることを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記断面形状は六角形であることを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記六角形はボックスレンチに嵌め合うように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関し、たとえば電子機器などに設けられる端子台であって、接続されるケーブルに比較的大電流を流すのに適した端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は従来の端子構造例図であって、接続ケーブルが1本の場合を示したものであり、(A)はケーブルが接続された状態の斜視図、(B)はその側面図、(C)は端子本体の正面図、(D)端子本体の上面図である。図2において、取付パネル1には挿入端部外周に雄ねじ部が設けられた端子金具2が挿入され、端子金具2の挿入端部2aには絶縁ワッシャ3と平ワッシャ4およびスプリングワッシャ5が順次積層した状態で嵌め合わされて第1のナット6が螺合される。これにより、端子金具2は取付パネル1に固定される。
【0003】
取付パネル1に固定された端子金具2の挿入端部2aにはケーブル7の端部に接続されたラグ端子8が嵌め合わされ、第2のナット9と第3のナット10が順次螺合されてラグ端子8はこれら第2のナット9と第3のナット10の二重ナットにより端子金具2の挿入端部2aに固着される。
【0004】
図3は他の従来の端子構造例図であって、接続されるケーブルが6本の場合を示したものであり、(A)はケーブルが接続された状態の斜視図、(B)はその側面図である。なお、図2と共通する部分には同一の符号を付けている。図3図2の相違点は、端子金具2の挿入端部2aには図2のラグ端子8に代えて、6本のケーブルの端部にそれぞれ接続された6個のラグ端子を嵌め合わせてねじ止めできるように構成された端子台11が取り付けられていることである。
【0005】
図3の構成によれば、端子金具2の端子部に接続される図示しない信号配線を端子台11を介して6系統の信号配線に分岐接続したり、端子台11に接続される6系統の信号配線を端子金具2の端子部1系統に集約できる。
【0006】
特許文献1には、入力側及び出力側の端子部の数を用途に応じて増減できる分岐端子台装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2008−34265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図2の構成によれば、ラグ端子8付きの1本のケーブル7に大電流を流そうとした場合には、大きなラグ端子や太いケーブルが必要となり、端子金具2への固定が難しくなる。
【0009】
また、図3の構成を用いて大電流をラグ端子付きの複数本のケーブルに分割する場合には、各ラグ端子から端子金具2までの距離に応じて抵抗値に差が生じることになり、端子金具2からの距離が遠ざかるのにしたがって抵抗値は大きくなって条件が悪化する。
【0010】
また、図3のように平板タイプの端子台11を使用した場合には、比較的広い設置箇所が必要となる。
【0011】
さらに、図3のような平板タイプの端子台11を使用した場合には、端子台11を端子金具2に固定するのにあたり、端子台11が回転して周囲部品と接触することを避けるために、端子台11が回転しないように押さえて固定するか、もしくは何らかの回転止めが必要になる。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決するものであって、その目的は、端子金具に複数のケーブルを接続するのにあたって端子金具と複数のケーブル間の距離を最短でかつすべて等しくでき、小型で端子台の断面積を確保しやすく、端子台を端子金具に固定する際の回り止めが不要な端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
端子金具の挿入端部に着脱可能な導体部材よりなる端子台であって、
前記端子金具の挿入端部は取付パネルに挿入固定され、
前記端子台は断面形状が等角度の多角形で有底の角筒状に形成され、これら角筒状多角形の外周各面にケーブルが接続され、前記角筒状の底面に螺入されて角筒状の内部に貫通する前記端子金具の挿入端部には筒状の締結部材が二重筒状に内包されるようにして螺合固着されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の端子台において、
前記断面形状は六角形であることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の端子台において、
前記六角形はボックスレンチに嵌め合うように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
これらにより、端子金具と複数のケーブル間の距離を最短でかつすべて等しくでき、小型で端子台の断面積を確保しやすくなり、端子台を端子金具に固定する際の回り止めを不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
図2】従来の端子構造例図である。
図3】他の従来の端子構造例図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図であり、図2および図3と共通する部分には同一の符号を付けている。図1において、(A)は斜視図、(B)は(A)の側面図、(C)は(B)の部分断面図、(D)は(C)の多角形端子台12の拡大断面図、(E)は(D)の正面図、(F)は(C)の多角形締結部材13の拡大断面図、(G)は(F)の正面図である。
【0019】
端子金具2の挿入端部2aには、図2のラグ端子8および図3の端子台11に代えて導体部材よりなる有底の角筒状に形成された多角形端子台12が螺合され、多角形端子台12の底面に螺入されて貫通する端子金具2の挿入端部2aにはさらに多角形締結部材13が多角形端子台12の内部に二重筒状に内包されるようにして螺合固着されている。
【0020】
多角形端子台12は、断面形状が等角度のたとえば六角形に形成され、一端12aは開口され、他端12bの底面の中央部には端子金具2の挿入端部2aの外周に設けられたねじ溝に螺合するねじ穴12cが設けられている。そして、筒状六角形の外周各面には、ケーブルの端部に接続されたラグ端子をねじ止めするためのねじ穴12d〜12iがそれぞれ設けられている。
【0021】
多角形締結部材13は多角形端子台12の内部に内包されるように断面形状が多角形端子台12と同様に等角度のたとえば六角形に形成され、両端13aおよび13bは直管状に開口されている。
【0022】
なお、これら多角形端子台12および多角形締結部材13の外径寸法は、それぞれボルト・ナットの組付けまたはその取外しに用いる工具として規格化されているソケットレンチの所定の口径のソケットに適合するように設定されている。
【0023】
これにより、接続されるケーブルが支障にならない状態では、多角形端子台12および多角形締結部材13をソケットレンチの所定の口径のソケットに嵌め合わせて回転させることで、端子金具2の挿入端部2aに螺合固着できる。
【0024】
このように構成される多角形端子台12の筒状六角形の外周各面のねじ穴12d〜12iには、ケーブル7の端部に接続されたラグ端子8をねじ止めする。
【0025】
多角形端子台12の筒状六角形の外周各面にケーブル7の端部に接続されたラグ端子8をねじ止めすることで、最大6本までのケーブル7を同一条件で接続できる。
【0026】
この結果、多角形端子台12に対するケーブル7の接続経路を最短にでき、電気抵抗値を下げられることにより、適切な最大コンプライアンス電圧を確保できる。たとえば、最大60Aの電流発生器に使用した場合、最大コンプライアンス電圧を確保しながら、電流端子を狭い場所へ効率良く配置することができる。
【0027】
また、最大6本のケーブルから多角形端子台12に流れ込む電流を組み合わせることにより、所望の出力電流を得ることができる。たとえば12A×5本をそれぞれ組み合わせることで最大60Aを発生させることができる。この場合、各接続ケーブルの接続条件を同一に揃えることで、接続ケーブルの組み合わせ本数を変更した場合の差をなくすることができる。
【0028】
また、端子台の断面形状を多角形(たとえば六角形)にすることで、従来の平板形端子台と比べると、端子間のピッチを狭くできて空間利用効率の良い配置が可能となることから格段の小型化が実現でき、狭い取付空間への端子台の取付設置が可能になる。
【0029】
また、端子台の断面形状を多角形(たとえば六角形)にすることで、断面積を確保しやすくなり、電気抵抗値を下げられることにより、適切な最大コンプライアンス電圧を確保できる。
【0030】
また、端子台の断面形状を多角形(たとえば六角形)にすることで、ソケットレンチなどの一般的な工具を使用しての組立が可能となり、特殊な治具や工具が不要になることから作業コストを改善できる。
【0031】
さらに、端子台の断面形状を多角形(たとえば六角形)にすることで、端子台が回転しても周りの部品に接触する恐れはないことから、従来の平板形端子台の取付作業の場合のような回転止め部材や作業時の接触を回避するための気配りは不要となり、端子台取付作業の効率化が図れる。
【0032】
なお、上記実施例では、端子台の断面形状の多角形が汎用的な六角形の例について説明したが、六角形に限るものではなく、特殊な用途によっては多角形の角数を適宜増減してもよい。
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、端子金具に複数のケーブルを接続するのにあたって端子金具と複数のケーブル間の距離を最短でかつすべて等しくでき、小型で端子台の断面積を確保しやすく、端子台を端子金具に固定する際の回り止めが不要な端子台が実現できる。
【符号の説明】
【0034】
2 端子金具
2a 挿入端部
7 ケーブル
8 ラグ端子
12 多角形端子台
12c〜12i ねじ穴
13 多角形締結部材
図1
図2
図3