特許第6066285号(P6066285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

<>
  • 特許6066285-刈払機 図000002
  • 特許6066285-刈払機 図000003
  • 特許6066285-刈払機 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066285
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】刈払機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/81 20060101AFI20170116BHJP
   A01D 34/68 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   A01D34/81
   A01D34/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-277066(P2012-277066)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-117261(P2014-117261A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】森田 善文
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−039058(JP,A)
【文献】 特開平06−062637(JP,A)
【文献】 特開2006−205284(JP,A)
【文献】 特開2012−016341(JP,A)
【文献】 米国特許第04211004(US,A)
【文献】 米国特許第03831278(US,A)
【文献】 米国特許第05542183(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D34/412−34/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部と後端部を有する棒状体を呈する支持棹と、
刈払いのための回転刃およびモータを含み前記支持棹の前記前端部に配設されたカッタユニットと、
前記回転刃およびモータを制御するための制御回路を含むコントローラユニットと、
作業者が使用時に把持するために前記支持棹に配設されたハンドルと
を備えてなり、
前記カッタユニットは、内部に前記モータを収容し、下面外部に前記回転刃を回転可能に保持し、後方上部に前記支持棹を接続するためのハウジングを有し、
前記ハウジングは、板状の外殻壁を有し、内部に前記モータを収容するモータ収容室を有しており、接続される前記支持棹の流水経路の先端を前記モータ収容室の上端よりも下方に位置させるとともに、前記ハウジングの下面側の外殻壁部分には、接続される前記支持棹の前記流水経路の先端より前方で前記モータ収容室より後方の位置に、下向きに連通して開口する水抜き孔を形成し
前記水抜き孔の前記支持棹の前記流水経路の先端から遠い側に隣接して前記ハウジングの下面側の外殻壁部分から一体に起立させて流水阻止板を形成した
ことを特徴とする刈払機。
【請求項2】
請求項に記載の刈払機において、
前記水抜き孔を、前記支持棹の前記流水経路の先端に対向する第一の位置と前記モータ収容室の後方直近の第二の位置との2箇所に形成した
ことを特徴とする刈払機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の刈払機において、
前記水抜き孔を長孔とした
ことを特徴とする刈払機。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の刈払機において、
前記ハウジングが繊維強化樹脂で形成されている
ことを特徴とする刈払機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、草刈機、芝刈機など、刈払機に関し、特に、支持棹の前端に草刈りなどのための回転刃およびモータを含むカッタユニットを備え、支持棹の所定位置に制御回路を含むコントローラユニットを備え、支持棹の所定位置に作業者が使用時に刈払機を把持するためのハンドルを備えてなる刈払機に関し、モータを収容するカッタユニットのハウジングの内部に水が溜まらないように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
公園や土手の雑草、庭の芝生などを刈り払うための刈払機として、前端にカッタユニットが配設され後端にコントローラユニットが配設された支持棹を、支持棹の後端寄りの途中位置に配設されたハンドルを両手で持って小脇に抱えて、カッタユニットの回転刃を地面に沿って前後左右に移動させながら、そこに生えている雑草や芝を刈り払うタイプのものが存在する。したがって、このタイプの刈払機の使用状態では、支持棹は前端部が斜め下方を向き、後端部が斜め上方を向く。また、屋外で使用するため、雨、露など水に濡れる場合が多く、支持棹の管体内部または管体外面を伝って水が流れ落ちたり、カッタユニットの外殻の隙間などから水が染み込んだりして、カッタユニットのハウジングの内部に水が進入する可能性が高い。特に、カッタユニット内にモータを収容した電動式の刈払機では、カッタユニットのハウジングの中に水が進入した場合に、その水が内部に溜まったままになると、モータの電気系にとって好ましくない。しかしながら、従来の刈払機では、カッタユニットのハウジングの内部に水が溜まることに関して、考慮が払われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−58532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、支持棹を伝ったりハウジング外殻の隙間から染み込んだりして、刈払機のモータを収容したカッタユニットに仮に水が進入しても、その水がカッタユニットのハウジング内に溜まらないように、かつモータが収納されている方に水が行かないように構成した刈払機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、この発明による刈払機は、前端部と後端部を有する棒状体を呈する支持棹と、刈払いのための回転刃およびモータを含み支持棹の前端部に配設されたカッタユニットと、回転刃およびモータを制御するための制御回路を含むコントローラユニットと、作業者が使用時に把持するために支持棹に配設されたハンドルとを備えてなり、カッタユニットは、内部にモータを収容し、下面外部に回転刃を回転可能に保持し、後方上部に支持棹を接続するためのハウジングを有し、当該ハウジングは、板状の外殻壁を有し、内部にモータを収容するモータ収容室を有しており、接続される支持棹の流水経路の先端をモータ収容室の上端よりも下方に位置させるとともに、ハウジングの下面側の外殻壁部分には、接続される支持棹の流水経路の先端より前方でモータ収容室より後方の位置に、下向きに連通して開口する水抜き孔を形成してなる、ことを特徴とする。
【0006】
さらに、この発明の刈払機は、前記水抜き孔の支持棹の流水経路の先端から遠い側に隣接してハウジングの下面側の外殻壁部分から一体に起立させて流水阻止板を形成したことを特徴とする。
【0007】
この発明の刈払機では、前記水抜き孔を、支持棹の流水経路の先端に対向する第一の位置とモータ収容室の後方直近の第二の位置との2箇所に形成すると、好適である。
【0008】
この発明の刈払機では、前記水抜き孔を、支持棹の流水経路の先端に対向する第一の位置とモータ収容室の直前の第二の位置との2箇所に形成し、第一の位置の水抜き孔の支持棹の流水経路の先端から遠い側に隣接してハウジングの下面側の外殻壁部分から一体に起立させて流水阻止板を形成すると、好適である。
【0009】
この発明の刈払機では、前記水抜き孔を長孔とすると、好適である。
【0010】
この発明の刈払機では、前記ハウジングが繊維強化樹脂で形成されていると、好適である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、刈払機のカッタユニットのハウジングにおいて、ハウジングに接続される支持棹の流水経路の先端をモータ収容室の上端よりも下方に位置させるとともに、ハウジングの下面側の外殻壁部分には、支持棹の流水経路の先端より前方でモータ支持枠より手前の位置に、下向きに連通して開口する水抜き孔を形成し、かつ、水抜き孔の支持棹の流水経路の先端から遠い側に隣接してハウジングの下面側の外殻壁部分から一体に起立させて流水阻止板を形成したので、支持棹を伝ったりハウジング外殻の隙間から染み込んだりして、カッタユニットに仮に水が進入しても、その水がカッタユニットのハウジング内に溜まらず、また、モータが収納されている方に水が行かず、故障の起こりにくい刈払機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態による刈払機の全体の外観を示す斜視図である。
図2】この発明の一実施形態による刈払機のカッタユニットのハウジングを左右二つ割りで成型した場合の、右半分のハウジング体を内側から見た側面図である。
図3】この発明の一実施形態による刈払機のカッタユニットのハウジングを、回転刃を外した状態で示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明による刈払機の実施形態を、図面を参照しながら説明する。この発明の実施形態による刈払機は、その全体像は、図1に示すような外観を呈するものであり、支持棹1の前端にカッタユニット2が配設され、支持棹1の後端にコントローラユニット3が配設され、支持棹1の中程の後端寄りの位置にハンドル4が配設されて構成されており、ハンドル4を両手で持って支持棹1を小脇に抱えて、カッタユニット2の回転刃21を地面に沿って前後左右に移動させながら、そこに生えている雑草や芝を刈り払うものである。
【0014】
この発明の実施形態による刈払機では、カッタユニット2は、そのハウジング内に駆動用のモータおよび減速歯車を収容し、モータにより減速歯車を介して駆動される回転刃21を下面外部に露出させて回転可能に保持しており、コントローラユニット3は、交換可能なバッテリ31を取り付けて、制御操作子32により作業者が行う制御に応じて内部に設けた制御回路を介してバッテリ31の電力をカッタユニット2のモータに供給することにより、刈払機が運転される。
【0015】
この発明の実施形態による刈払機では、カッタユニット2のハウジング20は、ガラス繊維30%強化ポリカーボネート樹脂(PC−GF30)で板状の外殻として左右二つ割りの形に成型されており、右半分のハウジング体を内側から見て図2に示すように、その内部にモータ22および減速歯車23を収容し、回転刃21を下面外部に回転可能に保持している。ハウジング20は、その後方上部(図2では、右上部分)に支持棹1が接続されていて、その支持棹1は、管状であるので、管内に水が入ると、その水は、管内に流水経路が出来て、管体の先端の下側1a(流水経路の先端に当たる)の所から水がハウジング20内に滴り落ちる。流水経路の先端1aは、モータ22および減速歯車を収容するモータ収容室20mの上端よりも下方に位置させてあり、滴り落ちた水がモータ22に掛からないようになっている。また、管体の外面に付いた水は、管体の下面を伝ってハウジング20の方へ向かって流れ、ハウジング20の隙間などからハウジング20の内部に進入する。
【0016】
ハウジング20の下面側の外殻壁部分20aには、支持棹1の流水経路の先端1aより前方(図2では、左)でモータ収容室20mより後方(図2では、右)の位置に、水抜き孔20c、20dが下向きに連通開口して形成されている。水抜き孔20cは、流水経路の先端1aに対向する位置に形成され、水抜き孔20cの流水経路の先端1aから遠い側に隣接してハウジングの下面側の外殻壁部分20aから一体に起立させて流水阻止板20sが形成されている。このような構造により、支持棹1を伝って水が進入した場合には、その水は、流水阻止板20sにより阻止されるとともに、水抜き孔20cから下方外部に流出する。また、水抜き孔20dは、モータ収容室20mの後方直近の位置に形成されており、流水阻止板20sよりもさらに前方(下方)に進入した水は、この水抜き孔20dから下方外部に流出する。
【0017】
図3は、回転刃21を外した状態でカッタユニット2を下方から見た底面図であり、この図からも窺えるように、水抜き孔20cおよび20dは、長孔に形成されている。長孔にしたことにより、小さい丸孔の場合に、水の表面張力の作用により孔の所を水の球面が塞いで、水が流れ出にくくなるのに比べて、表面張力による曲面の形が崩れて孔が塞がれにくくなり、水が出やすくなっている。
【0018】
なお、図示の実施形態では、制御回路を含むコントロールユニット3を支持棹1の後端部に配設したが、コントロールユニット3の制御回路を含む部分をカッタユニット2と合体させて、カッタユニット2のハウジング20の中に制御回路を含ませる構成とすることもでき、また、モータ22自体の一部に制御回路を組み込んだ構成とすることもできる。また、制御操作子32は、コントロールユニット3を支持棹1の後端部に配設して、そのコントロールユニット3に設ける代わりに、ハンドル4の適切な位置に設けることもできる。
【0019】
以上説明したように、この発明の刈払機によれば、支持棹を伝ったりハウジング外殻の隙間から染み込んだりして、刈払機のモータを収容したカッタユニットに仮に水が進入しても、その水がカッタユニットのハウジング内に溜まらず、また、モータが収納されている方に水が行かないので、刈払機の故障が起こりにくくなる。
【符号の説明】
【0020】
1…支持棹、1a…支持棹の流水経路の先端、2…カッタユニット、3…コントローラユニット、4…ハンドル、20…ハウジング、20a…ハウジングの下面側の外殻壁部、20c…水抜き孔、20d…水抜き孔、20m…モータ収容室、20s…流水阻止板、21…回転刃、22…モータ、23…減速歯車。
図1
図2
図3