(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、過去の運用実績や経験に基づいて運転計画を決定すると、コージェネレーションシステムに余剰電力や余剰排熱が発生することがあり、光熱費削減の観点から改善の余地があった。特に近年、熱負荷や電力負荷を予測する技術が確立されているため、この技術を利用して光熱費を削減することが要請されている。
【0005】
本発明は、コージェネレーションシステムを含む設備機器について、運転費用が低額となる運転計画を容易に決定する設備運転計画決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の設備運転計画決定方法は、建物に設置されている複数の設備機器による運転計画を決定する設備運転計画決定方法(例えば、後述の設備運転計画決定方法1)であって、前記設備機器(例えば、後述の設備機器10)には、燃料(例えば、後述の都市ガス20)を燃焼して電力を供給するとともに燃焼時の熱を回収して供給する熱電併給装置(例えば、後述のコージェネレーションシステム11)と、時間帯に応じて電力単価が異なる商用電力(例えば、後述の商用電力21)と、前記商用電力から供給される電力により熱を発生させて供給するヒートポンプ(例えば、後述のヒートポンプ12)と、が含まれ、前記商用電力の電力単価が異なる時間毎に、前記熱電併給装置により供給する電力が前記建物において予測される電力負荷以下となり、かつ、前記熱電併給装置により供給する熱量が前記建物において予測される熱負荷以下となる条件を満たしながら、前記熱電併給装置の負荷率をできる限り高く設定する負荷率設定手順(例えば、後述のステップS13、S31〜S34)と、前記商用電力の電力単価が異なる時間毎に、当該設定した負荷率の熱電併給装置で前記建物において予測される熱負荷および電力負荷の一部を負担し、前記熱電併給装置が負担しない熱負荷をヒートポンプで負担し、前記熱電併給装置が負担しない電力負荷を商用電力で負担する構成を第1運転計画とし、当該第1運転計画で運転した場合の運転費用を算定する第1運転費用算定手順(例えば、後述のステップS13、S35〜S39)と、前記商用電力の電力単価が異なる時間毎に、前記建物において予測される熱負荷の全てをヒートポンプで負担し、前記建物において予測される電力負荷の全てを商用電力で負担する構成を第2運転計画とし、当該第2運転計画で運転した場合の運転費用を算定する第2運転費用算定手順(例えば、後述のステップS14)と、前記第1運転計画および前記第2運転計画のうち運転費用が低い方の運転計画に決定する運転費用比較手順(例えば、後述のステップS15〜S17)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
熱電併給装置の負荷率は、高い方が低いよりも運転効率が高く、光熱費を削減できる。よって、本発明では、熱電併給装置により供給する電力が設備機器の電力負荷以下となり、かつ、熱電併給装置により供給する熱量が設備機器の熱負荷以下となる条件を満たすように、熱電併給装置の負荷率をできる限り高く設定する。
そして、この設定した負荷率で熱電併給装置を運転し、残りの熱負荷をヒートポンプで負担し、残りの電力負荷を商用電力で負担する構成を第1運転計画とする。
【0008】
一方で、設備機器の熱負荷の全てをヒートポンプで負担し、前記設備機器の電力負荷の全てを商用電力で負担する構成を第2運転計画とする。
この第1運転計画の運転費用と第2運転計画の運転費用とを比較し、運転費用が低い方の構成を採用する。
よって、熱電併給装置、ヒートポンプ、および商用電力を組み合わせた設備機器について、商用電力単価が高い時刻において商用電力21の電力購入量を削減して、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。また、本発明の運転計画の決定ロジックは、汎用的な最適化ロジックと比較して簡易的であるので、計算時間を短縮し、かつ、初期投資額を低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の設備運転計画決定方法は、前記設備機器には、蓄電池(例えば、後述の蓄電池14)が含まれ、前記負荷率設定手順の前に、前記商用電力の電力単価が異なる時間毎に、前記建物において予測される電力負荷から前記蓄電池で負担する電力を除いて、残りの電力負荷を算定する蓄電池負担分除去手順(例えば、後述のステップS23B〜S25B)を備え、当該蓄電池負担分除去手順では、前記商用電力の電力単価が高い時間帯を優先して前記蓄電池の放電期間を設定し、前記蓄電池負担分除去手順よりも後では、前記蓄電池で負担する電力を除いた残りの電力負荷の分担を決定することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、設備機器に蓄電池を加えた場合に商用電力の電力単価が高い時間帯を優先して蓄電池の放電期間を設定することで、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。
【0011】
請求項3に記載の設備運転計画決定方法は、前記設備機器には、太陽光発電(例えば、後述の太陽光発電16)が含まれ、前記蓄電池負担分除去手順の前に、前記建物において予測される電力負荷から前記太陽光発電で負担する電力を除いて、残りの電力負荷を算定する太陽光発電負担分除去手順(例えば、後述のステップS21B、S22B)を備え、当該太陽光発電負担分除去手順よりも後では、前記太陽光発電で負担する電力を除いた残りの電力負荷の分担を決定することを特徴とする
【0012】
この発明によれば、設備機器に太陽光発電を加えた場合に、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。
【0013】
請求項4に記載の設備運転計画決定方法は、前記設備機器には、蓄熱槽(例えば、後述の蓄熱槽13)が含まれ、前記負荷率設定手順の前に、前記商用電力の電力単価が異なる時間毎に、前記建物において予測される熱負荷から前記蓄熱槽で負担する熱量を除いて、残りの熱負荷を算定する蓄熱槽負担分除去手順(例えば、後述のステップS23A〜S25A)を備え、当該蓄熱槽負担分除去手順では、前記商用電力の電力単価が高い時間帯を優先して前記蓄熱槽の放熱期間を設定し、前記蓄熱槽負担分除去手順よりも後では、前記蓄熱槽で負担する熱量を除いた残りの熱負荷の分担を決定することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、設備機器に蓄熱槽を加えた場合に商用電力の電力単価が高い時間帯を優先して蓄熱槽の放熱期間を設定することで、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。
【0015】
請求項5に記載の設備運転計画決定方法は、前記設備機器には、太陽熱温水器(例えば、後述の太陽熱温水器15)が含まれ、前記蓄熱槽負担分除去手順の前に、前記建物において予測される熱負荷から前記太陽熱温水器で負担する熱量を除いて、残りの熱負荷を算定する太陽熱温水器負担分除去手順(例えば、後述のステップS21A、S22A)を備え、当該太陽熱温水器負担分除去手順よりも後では、前記太陽熱温水器で負担する熱量を除いた残りの熱負荷の分担を決定することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、設備機器に太陽熱温水器を加えた場合に、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱電併給装置、ヒートポンプ、および商用電力を組み合わせた設備機器について、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る設備運転計画決定方法1が適用された建物2の設備系統の構成を示す模式図である。
図1中、実線矢印は熱の流れを意味し、破線矢印は電力の流れを意味する。
この設備運転計画決定方法1は、コンピュータにより実行される方法であって、建物2の設備機器10の運転計画を決定する方法である。
【0020】
建物2には、空調負荷、給湯負荷などの熱負荷3と、照明負荷、動力負荷、コンセント負荷などの電力負荷4と、これら熱負荷3および電力負荷4に熱および電力を供給する設備機器10と、が設けられている。
【0021】
設備機器10としては、熱電併給装置としてのコージェネレーションシステム(CGS)11、ヒートポンプ(HP)12、蓄熱槽(ST)13、蓄電池(BT)14、太陽熱温水器(SH)15、および、太陽光発電(PV)16が含まれる。
また、この建物2には、外部より、燃料としての都市ガス20および時間帯に応じて電力単価が異なる商用電力21が供給される。例えば、商用電力21は、8時〜12時、12時〜15時、15時〜20時、20時〜8時の時間帯ごとに個別の電力単価が設定されている。なお、本実施形態では、燃料として都市ガス20を使用したが、これに限らず、例えば、燃料として石油を使用してもよい。
【0022】
これら設備機器10を運転することにより、熱負荷3に対して熱を供給し、電力負荷4に対して電力を供給する。
【0023】
コージェネレーションシステム11は、都市ガス20を燃焼して、電力を供給するとともに、燃焼時の熱を回収して供給する機器である。
コージェネレーションシステム11の電力の供給先は、電力負荷4および蓄電池14であり、熱の供給先は、熱負荷3および蓄熱槽13である。
【0024】
ヒートポンプ12は、商用電力21から供給される電力により熱を発生させて供給する機器である。ヒートポンプ12の熱の供給先は、熱負荷3および蓄熱槽13である。
【0025】
蓄熱槽13は、蓄熱あるいは放熱する機器である。この蓄熱槽13の熱の供給先は、熱負荷3である。
蓄電池14は、蓄電あるいは放電する機器である。この蓄電池14の電力の供給先は、電力負荷4である。
【0026】
太陽熱温水器15は、太陽光により温水を製造する機器である。この太陽熱温水器15の熱の供給先は、熱負荷3である。
太陽光発電16は、太陽光により発電する機器である。この蓄電池14の電力の供給先は、電力負荷4である。
【0027】
つまり、熱負荷3には、コージェネレーションシステム11、ヒートポンプ12、蓄熱槽13、および太陽熱温水器15により、熱が供給される。
また、電力負荷4には、コージェネレーションシステム11、商用電力21、蓄電池14、および太陽光発電16により、電力が供給される。
【0028】
以下、設備運転計画決定方法1について、
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、翌日に建物2において発生が予測される熱負荷の推移を1時間毎に予測する。また、翌日に建物2において発生が予測される電力負荷の推移を1時間毎に予測する。また、コンピュータは、翌日の各時間帯の電力単価を示すデマンドレスポンス信号(DR信号)を受信する。
例えば、
図3に示すように、翌日の熱負荷3の推移をA
1とし、
図4に示すように、翌日の電力負荷4の推移をB
1とする。また、
図3および
図4に示すように、翌日の各時間帯の電力単価の推移をCとする。
ステップS2では、予測した熱負荷3および電力負荷4の推移に応じて、設備機器10の運転計画を設定する。このステップS2については、後に詳述する。
ステップS3では、設定した運転計画に従って設備機器10を運転する。
【0029】
以下、ステップS2について、
図5のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS11Aでは、翌日の熱負荷3の推移から太陽熱温水器15および蓄熱槽13による供給熱量を減算する。これにより、残りの熱負荷をコージェネレーションシステム11、およびヒートポンプ12で負担することになる。このステップS11Aについては、後に詳述する。
ステップS11Bでは、翌日の電力負荷4の推移から太陽光発電16および蓄電池14による供給電力を減算する。これにより、残りの電力負荷をコージェネレーションシステム11、および商用電力21で負担することになる。このステップS11Bについては、後に詳述する。
【0030】
ステップS12では、電力単価が同一の時間帯を早朝例えば6時〜8時に設定する。
ステップS13では、設定時間帯においてコージェネレーションシステム11を運転する場合の運転費用を第1費用として算定する。
すなわち、熱負荷および電力負荷の一部をコージェネレーションシステム11で負担し、残りの熱負荷をヒートポンプ12で負担し、残りの電力負荷を商用電力21で負担する場合である。このステップS13については、後に詳述する。
【0031】
ステップS14では、設定時間帯においてコージェネレーションシステム11を運転しない場合の運転費用を第2費用として算定する。
すなわち、熱負荷の全てをヒートポンプ12で負担し、電力負荷の全てを商用電力21で負担した場合である。
この場合の運転費用は、光熱費である。この光熱費は、以下の式(1)で表される。
【0032】
光熱費[円]=残りの熱負荷[MJ]/(負荷率に応じたヒートポンプの効率[%]/100)/3.6[MJ/kWh]×商用電力の単価[円/kWh]
+残りの電力負荷[kWh]×商用電力の単価[円/kWh]…(1)
【0033】
ステップS15では、第1運転費用が第2運転費用よりも低いか否かを判定する。この判定がYesである場合には、ステップS16に移り、Noである場合には、ステップS17に移る。
【0034】
ステップS16では、設定時間帯において。コージェネレーションシステム11を運転して、残る熱負荷をヒートポンプ12で負担し、残る電力負荷を商用電力21で負担する運転計画とする。
ステップS17では、設定時間帯において、コージェネレーションシステム11を運転せず、熱負荷をヒートポンプ12で負担し、電力負荷を商用電力21で負担する運転計画とする。
【0035】
ステップS18では、全ての設定時間帯で設定したか否かを判定する。この判定がYesである場合には、終了し、Noである場合には、ステップS19に移る。
【0036】
ステップS19では、時間帯を次の時間帯に設定する。
【0037】
ステップS11Aについて、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS21Aでは、太陽熱温水器15による供給熱量の1時間毎の推移を予測する。
ステップS22Aでは、熱負荷から太陽熱温水器15による供給熱量を減算して、残りの熱負荷を算定する。この残りの熱負荷は、コージェネレーションシステム11、ヒートポンプ12、および蓄熱槽13で負担する熱負荷である。
【0038】
太陽熱温水器15は自然エネルギーを利用するため、この太陽熱温水器15の供給熱量は、天候や日照時間などによって左右される。そこで、翌日の天候や日照時間を考慮して供給熱量を予測し、この太陽熱温水器15により供給される熱量を最大限利用することとする。これにより、残りの熱負荷をコージェネレーションシステム11、ヒートポンプ12、および蓄熱槽13で負担することになる。
【0039】
例えば、
図7に示すように、熱負荷A
1から太陽熱温水器15による供給熱量を減算して、残りの熱負荷A
2とする。
【0040】
ステップS23Aでは、蓄熱槽13による蓄熱量を決定する。
具体的には、残りの熱負荷を積分し、この熱負荷の積分値が蓄熱槽13の蓄熱容量よりも大きい場合には、蓄熱槽13による蓄熱量を最大値に設定し、熱負荷の積分値が蓄熱槽13の蓄熱容量よりも小さい場合には、蓄熱槽13の蓄熱量をこの熱負荷の積分値に等しい値に設定する。
ここでは、熱負荷の積分値が蓄熱槽13の蓄熱容量よりも大きく、蓄熱槽13による蓄熱量を最大値に設定するものとする。なお、コンピュータは、商用電力21の電力単価が最も低い時間帯に蓄熱槽13の蓄熱が行われるように運転計画を決定する。
【0041】
ステップS24Aでは、蓄熱槽13に蓄熱予定の熱を放熱するか否かを決定する時間帯を電力単価が最も高い時間帯に設定する。
ステップS25Aでは、蓄熱槽13に蓄熱予定の熱を蓄熱槽13から放熱する量を決定する。具体的には、商用電力21の電力単価が高い時間帯を優先して蓄熱槽13からの放熱を決定する。例えば、設定対象の時間帯における熱負荷を積分し、この熱負荷の積分値が蓄熱槽13に蓄熱予定の熱量以下の場合、熱負荷の積分値の熱を蓄熱槽13から放熱することを決定する。また、熱負荷の積分値が蓄熱槽13に蓄熱予定の熱量より多い場合、当該時間帯において蓄熱槽13に蓄熱されている熱をすべて放熱することを決定する。この場合、設定中の時間帯において、放熱量が平準化するように蓄熱槽13の放熱期間を決定する。
【0042】
ステップS26Aでは、蓄熱槽13の蓄熱量から、設定中の時間帯の熱負荷の積分値を減算して、残りの蓄熱量を算定する。
ステップS27Aでは、残存する蓄熱量が0以下であるかを判定する。この判定がYesである場合には、終了し、Noである場合には、ステップS28Aに移る。
ステップS28Aでは、蓄熱槽13に蓄熱予定の熱を放出するか否かを決定する時間帯を電力単価が次に高い時間帯に設定する。
【0043】
例えば、
図8に示すように、蓄熱槽13の蓄熱量から各時間帯における熱負荷を減算して、残りの蓄熱量を算定する。
【0044】
すなわち、
図8中の12時から15時の時間帯は、商用電力21の電力単価が最も高い。そこで、当該時間帯における熱負荷の積分値を算出し、蓄熱槽13の蓄熱量から減算する。ここでは、減算した後の蓄熱槽13の蓄熱量が0より大きいものとする。これにより、12時から15時の時間帯では、蓄熱槽13からの放熱のみで運転が行われる放熱確定時間帯となる。なお、各時間帯における熱負荷から蓄熱槽13の蓄熱量を減算し、残りの熱負荷を算定してもよい。
【0045】
続いて、電力単価が次に高い時間帯として、15時から20時の時間帯を、蓄熱槽13から放熱するか否かを決定する時間帯に設定する。当該時間帯における熱負荷の積分値を算出し、蓄熱槽13の蓄熱量から減算する。ここでは、減算した後の蓄熱槽13の蓄熱量が0より小さいものとする。つまり、15時から20時の時間帯を放熱確定時間帯と決定し、当該時間帯において蓄熱槽13に蓄積されていた熱が全て放熱されてなお、熱負荷が残っている状態となる。この時間帯の熱負荷A
3は、以下の手順で決定する。
【0046】
すなわち、
図8中の15時から20時の時間帯における最上部の破線で示すように、所定熱量のラインLA
1を設定する。次に、15時から20時の時間帯における熱負荷A
2のうち設定されたラインLA
1を超える部分を積分し、この積分値が、蓄熱槽13に残存する蓄熱量に等しくなるまで、ラインLA
1をラインLA
2、ラインLA
3の順に下げてゆき、ラインA
3の位置を決定する。15時から20時の時間帯で残った熱負荷はコージェネレーションシステム11、ヒートポンプ12、および蓄熱槽13で負担することになる。
【0047】
ステップS11Bについて、
図9のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS21Bでは、太陽光発電16による供給電力の1時間毎の推移を予測する。
ステップS22Bでは、電力負荷から太陽光発電16による供給電力を減算して、残りの電力負荷を算定する。この残りの電力負荷は、コージェネレーションシステム11、商用電力21、および蓄電池14で負担する電力負荷である。
【0048】
太陽光発電16は自然エネルギーを利用するため、この太陽光発電16の供給電力は、天候や日照時間などによって左右される。そこで、翌日の天候や日照時間を考慮して供給電力を予測し、この太陽光発電16により供給される電力を最大限利用することとする。これにより、残りの電力負荷をコージェネレーションシステム11、商用電力21、および蓄電池14で負担することになる。
【0049】
例えば、
図10に示すように、電力負荷B
1から太陽光発電16による供給電力を減算して、残りの電力負荷をB
2とする。
【0050】
ステップS23Bでは、蓄電池14による蓄電量を決定する。
具体的には、残りの電力負荷を積分し、この電力負荷の積分値が蓄電池14の蓄電容量よりも大きい場合には、蓄電池14による蓄電量を最大値に設定し、電力負荷の積分値が蓄電池14の蓄電容量よりも小さい場合には、蓄電池14の蓄電量をこの電力負荷の積分値に等しい値に設定する。
ここでは、電力負荷の積分値が蓄電池14の蓄電容量よりも大きく、蓄電池14による蓄電量を最大値に設定するものとする。なお、コンピュータは、商用電力21の電力単価が最も低い時間帯に蓄電池14の蓄電が行われるように運転計画を決定する。
【0051】
ステップS24Bでは、蓄電池14に蓄電予定の電力を放電するか否かを決定する時間帯を電力単価が最も高い時間帯に設定する。
ステップS25Bでは、蓄電池14に蓄電予定の電力を蓄電池14から放電する量を決定する。具体的には、商用電力21の電力単価が高い時間帯を優先して蓄電池14からの放電を決定する。例えば、設定対象の時間帯における電力負荷を積分し、この電力負荷の積分値が蓄電池14に蓄電予定の電力量以下の場合、電力負荷の積分値の電力を蓄電池14から放電することを決定する。また、電力負荷の積分値が蓄電池14に蓄電予定の電力量より多い場合、当該時間帯において蓄電池14に蓄電されている電力をすべて放電することを決定する。この場合、設定中の時間帯において、放電量が平準化するように蓄電池14の放電期間を決定する。
【0052】
ステップS26Bでは、蓄電池14の蓄電量から、設定中の時間帯の電力負荷の積分値を減算して、残りの蓄電量を算定する。
ステップS27Bでは、残存する蓄電量が0以下であるかを判定する。この判定がYesである場合には、終了し、Noである場合には、ステップS28Bに移る。
ステップS28Bでは、蓄電池14に蓄電予定の電力を放出するか否かを決定する時間帯を電力単価が次に高い時間帯に設定する。
【0053】
例えば、
図11に示すように、蓄電池14の蓄電量から各時間帯における電力負荷を減算して、残りの蓄電量を算定する。
すなわち、
図11中の12時から15時の時間帯は、商用電力21の電力単価が最も高い。そこで、当該時間帯における電力負荷の積分値を算出し、蓄電池14の蓄電量から減算する。ここでは、減算した後の蓄電池14の蓄電量が0より大きいものとする。これにより、12時から15時の時間帯では、蓄電池14からの放電のみで運転が行われる放電確定時間帯となる。なお、各時間帯における電力負荷から蓄電池14の蓄電量を減算し、残りの電力負荷を算定してもよい。
【0054】
続いて、電力単価が次に高い時間帯として、15時から20時の時間帯を、蓄電池14から放電するか否かを決定する時間帯に設定する。当該時間帯における電力負荷の積分値を算出し、蓄電池14の蓄電量から減算する。ここでは、減算した後の蓄電池14の蓄電量が0より小さいものとする。つまり、15時から20時の時間帯を放電確定時間帯に決定し、当該時間帯において蓄電池14に蓄積されていた電力が全て放電されてなお、電力負荷が残っている状態となる。この時間帯の電力負荷B
3は、以下の手順で決定する。
【0055】
すなわち、
図11中の15時から20時の時間帯における最上部の破線で示すように所定電力量のラインLB
1を設定する。次に、15時から20時の時間帯における電力負荷B
2のうち設定されたラインLB
1を超える部分を積分し、この積分値が、蓄電池14に残存する蓄電量に等しくなるまで、ラインLB
1をラインLB
2、ラインLB
3の順に下げてゆき、ラインB
3の位置を決定する。15時から20時の時間帯で残った電力負荷はコージェネレーションシステム11、および商用電力21で負担することになる。
【0056】
以下、ステップS13について、
図12のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ステップS31では、初期設定として、コージェネレーションシステム11の負荷率を100%とする。これは、コージェネレーションシステムの負荷率は、高い方が低いよりも運転効率が高く、運転費用(光熱費)を削減できるからである。
【0057】
ステップS32では、コージェネレーションシステム11の発電量[kWh]を算定する。コージェネレーションシステムの発電量と排熱回収量の比率は、負荷率[%]に基づいて決まっているので、このコージェネレーションシステム11の発電量に基づいて、排熱回収量[MJ/h]を算定する。
【0058】
ステップS33では、コージェネレーションシステム11の発電量が電力負荷B
3以下となり、かつ、排熱回収量が熱負荷A
3以下となるか否かを判定する。この判定が
Noである場合には、ステップS34に移り、
Yesである場合には、ステップS35に移る。
【0059】
ステップS34では、負荷率を1%下げて、ステップS32に戻る。
【0060】
ステップS31〜S34により、コージェネレーションシステム11により供給する電力が電力負荷以下とな
り、かつ、コージェネレーションシステム11により供給する熱量が熱負荷以下となる条件を満たしながら、コージェネレーションシステム11の負荷率をできる限り高く設定することになる。
【0061】
ステップS35では、以下の式(2)に従い、設定した負荷率でコージェネレーションシステム11を運転した場合の光熱費を算定する。
【0062】
光熱費[円]=コージェネレーションシステム発電量[kWh]/(負荷率に応じたコージェネレーションシステム効率[%]/100)×3.6[MJ/kWh]/都市ガス高位発熱量[MJ/m
3(HHV)]×都市ガス単価[円/m
3]…(2)
【0063】
ステップS36では、コージェネレーションシステム11の排熱回収量が残りの熱負荷未満であるか否かを判定する。この判定がYesである場合には、ステップS37に移り、Noである場合には、ステップS38に移る。
【0064】
ステップS37では、コージェネレーションシステム11の排熱回収量が不足するので、以下の式(3)に従って、ヒートポンプ12の運転に伴う追加光熱費を算定し、光熱費に加算する。
【0065】
追加光熱費=(残りの熱負荷[MJ]−コージェネレーションシステム排熱回収量[MJ])/(負荷率に応じたヒートポンプ効率[%]/100)/3.6[MJ/kWh]
×時間帯に応じた商用電力単価[円/kWh]…(3)
【0066】
例えば、
図13に示すように、それぞれの時間において熱負荷A
3からコージェネレーションシステム11により供給する熱量を減算し、残りの熱負荷をA
4とする。この熱負荷A
4は、ヒートポンプ12で負担する熱負荷である。
【0067】
ステップS38では、コージェネレーションシステム11の発電量が残りの熱負荷未満であるか否かを判定する。この判定がYesである場合には、ステップS39に移り、Noである場合には、終了する。
【0068】
ステップS39では、コージェネレーションシステム11の発電量が不足するので、以下の式(4)に従って、商用電力の購入に伴う追加光熱費を算定し、光熱費に加算する。
【0069】
追加光熱費=(残りの電力負荷[kWh]−コージェネレーションシステム発電量[kWh])×時間帯に応じた商用電力単価[円/kWh]…(4)
【0070】
例えば、
図14に示すように、それぞれの時間において電力負荷B
3からコージェネレーションシステム11により供給する電力を減算し、残りの電力負荷をB
4とする。この電力負荷B
4は、商用電力で負担する電力負荷である。
【0071】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)コージェネレーションシステム11、ヒートポンプ12、蓄熱槽13、蓄電池14、太陽熱温水器15、太陽光発電16、および、商用電力21を組み合わせた設備機器10について、商用電力単価が高い時刻において商用電力21の電力購入量を削減して、運転費用が低額となる運転計画を簡易な計算で容易に決定できる。また、本実施形態の運転計画の決定ロジックは、汎用的な最適化ロジックと比較して簡易的であるので、計算時間を短縮し、かつ、初期投資額を低減することができる。
【0072】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
なお、本実施形態では、翌日の熱負荷および電力負荷の推移を1時間毎に予測したが、これに限らず、商用電力21の電力単価が異なる毎、または、30分毎に予測してもよい。この場合、ステップS2についても、1時間毎ではなく、商用電力21の電力単価が異なる毎、または、30分毎に演算してもよい。