【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、加工対象物たる基材及び型の双方の面が平面形状のものが想定されている。このため、光源から均一強度の光が出射されていれば、加工対象物の対象面、より詳細にはUV硬化性樹脂に対して、均一な照度の光が照射される。
【0005】
しかし、この技術をレンズ面への凹凸構造の形成に適用しようとした場合には、以下の問題が生じる。
図1は、インプリント技術を用いてレンズ面に対して凹凸構造を形成する場合の模式的概念図である。
【0006】
レンズ25は、両面又は片面に曲面を有する構成が一般的である。この曲面上に凹凸を形成するためには、この対象面に押し当てる側の型23の面もまた曲面に沿った構成となる。このとき、加工対象物たるレンズ25上に形成された樹脂27も、曲面上に形成されることになり、この結果、レンズ25上の位置に応じて、光源21から放射される光線(各発光部からレンズ25に向かう直進性の高い光線)が樹脂27に入射される角度、光源21から樹脂27までの光の直進成分に沿った距離、樹脂27の光の直進成分に沿った厚みが位置に応じて異なってしまう。
【0007】
この状態で、光源21から均一な光量の光が出射された場合、位置に応じては樹脂27を硬化させるのに十分な光量が照射されず、処理ムラ(樹脂硬化ムラ)が生じてしまうという課題があった。
【0008】
また、型23やレンズ25が曲面(凹面又は凸面)を有している場合、光の入射面や出射面が曲面で形成されていると、この曲面において光が屈折して光の向きが曲げられる。このことも、位置に応じて樹脂27に対して照射される光量を変化させる要因となっていた。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑み、加工対象物の形状に関係なく、位置に応じた処理ムラが生じないように加工対象物に対するインプリント加工を施すことの可能な光源装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被照射物に対して光を照射するインプリント用の光源装置であって、
第1発光部及び第2発光部を含む光源と、
前記第1発光部及び前記第2発光部に対して各別に光量調整可能な制御部と、
ロッドインテグレータを複数備えてなるロッドインテグレータ群を有し、
前記ロッドインテグレータ群は、第1ロッドインテグレータと、前記第1ロッドインテグレータの外周を取り囲むように形成された第2ロッドインテグレータを含み、
前記第1ロッドインテグレータは、前記第1発光部から出射された光を取り込んで前記被照射物の第1照射領域に対して光を照射し、
前記第2ロッドインテグレータは、前記第2発光部から出射された光を取り込んで前記被照射物の前記第1照射領域とは異なる第2照射領域に対して光を照射する構成であることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、第1ロッドインテグレータの出射面からの出射光量と、第2ロッドインテグレータの出射面からの出射光量は、それぞれ制御部によって各別に制御が可能な構成である。そして、第1ロットインテグレータから出射される光は、照度が均一な状態で被照射面の第1照射領域に照射され、同様に、第2ロッドインテグレータから出射される光は、照度が均一な状態で被照射面の第2照射領域に照射される。
【0012】
つまり、被照射面の異なる照射領域毎に、同一照射領域内の照度を均一に保ったまま、照射光量の調整を行うことができる。
【0013】
ここで、第2ロットインテグレータは、第1ロッドインテグレータの外周を取り囲むように形成されている。これにより、第2ロッドインテグレータからの出射光が照射される第2照射領域は、被照射面上において、第1ロッドインテグレータからの出射光が照射される第1照射領域の外側に位置される。つまり、被照射面の内側と外側において、各照射領域内の照度を一定にしつつ、その照射光量を調整することができる。
【0014】
例えば、本装置を、レンズ表面のインプリント加工に利用する場合を想定する。この時、レンズは曲面で構成されているため、内側と外側で被照射面の光源に対する傾きが異なる。このような場合に、当該傾きに応じて第1発光部と第2発光部の光量を調整することで、被照射面の全体に対して処理に必要な光量の光を照射させることが可能である。
【0015】
光量の調整としては、第1発光部や第2発光部から放射される光量に差異を設ける方法の他、発光時間に差異を設ける方法や、これらを組み合わせる方法が採用され得る。
【0016】
なお、上記構成において、前記第2ロッドインテグレータを、前記第1ロッドインテグレータの同心軸上に形成するものとしても構わない。
【0017】
更には、前記第1ロッドインテグレータを円柱又は楕円柱形状で形成し、
前記第2ロッドインテグレータを円環柱又は楕円環柱形状で形成するものとしても構わない。
【0018】
ロッドインテグレータ群は、第1ロッドインテグレータを取り囲む環状の第2ロッドインテグレータを複数備える構成としても構わない。この場合、各第2ロッドインテグレータに対して光を入射させるための第2発光部を、第2ロッドインテグレータの数に対応させて備える。
【0019】
つまり、前記光源は、複数の前記第2発光部を備え、
前記制御部は、複数の前記第2発光部のそれぞれに対して、各別に光量調整可能な構成であり、
前記ロッドインテグレータ群は、それぞれが前記第1ロッドインテグレータの外周を取り囲むように形成された複数の前記第2ロッドインテグレータを備え、
複数の前記第2ロッドインテグレータのそれぞれは、異なった前記第2発光部から出射された光を取り込んで、異なった前記第2照射領域に対して光を照射する構成であることを別の特徴とする。
【0020】
この構成とした場合、複数の第2ロッドインテグレータから出射される光は、それぞれ照度が均一な状態で、被照射面の異なる第2照射領域に照射される。つまり、照射光量の調整が可能な照射領域数を増加させることができる。これにより、より細かい照射光量の調整が可能となる。
【0021】
なお、この場合には、被照射物の照射面上において、複数の第2ロッドインテグレータそれぞれの出射光が照射される各第2照射領域のそれぞれは、被照射面上において、第1ロッドインテグレータからの光が照射される第1照射領域の外側に位置される。つまり、第1照射領域の外側に、一の第2照射領域が形成され、その外側に別の第2照射領域が形成され、以下、第2ロッドインテグレータの数に応じた数だけその外側に別の第2照射領域が形成される構成となる。これによって、被照射面の内側と外側において、各照射領域内の照度を位置しつつ、その照射光量を細かく調整することができる。
【0022】
上記の構成に加えて、ロッドインテグレータ群と被照射物の間に投影光学系を備える構成としても構わない。
【0023】
すなわち、前記ロッドインテグレータ群から出射された光を前記被照射物に投影する投影光学系を備え、
前記第1ロッドインテグレータから出射された光は、前記投影光学系を介して前記第1照射領域に投影され、
前記第2ロッドインテグレータから出射された光は、前記投影光学系を介して前記第2照射領域に投影されることを別の特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、ロッドインテグレータ群と被照射物の間に一定の距離を確保しつつも、被照射物に対して、被照射面の異なる照射領域毎に、同一照射領域内の照度を均一に保ったまま、照射光量の調整を行うことができる。
【0025】
なお、上記構成において、前記第1発光部及び前記第2発光部をLEDで構成しても構わない。特に、UV硬化性樹脂を用いて被照射物に対する加工を施す場合には、UV−LEDで構成することが可能である。