(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作検出部は、前記他席用サブスイッチに対する操作の継続時間が所定の第1の規定時間未満である場合、前記オート動作を行うように前記第1のリレー回路部又は前記第2のリレー回路部を制御する
請求項1に記載の窓開閉制御システム。
前記操作検出部が、前記他席用サブスイッチに対する前記閉操作の継続時間が前記第1の規定時間より短い所定の第2の規定時間以上かつ前記第1の規定時間未満であると検出した場合には、前記開閉制御部は、前記第2の規定時間に前記第1の共通リレー端子と前記第1の常開リレー端子を接続し、その接続状態を前記第1の規定時間を超えて維持し、
前記操作検出部が、前記他席用サブスイッチに対する前記閉操作の継続時間が前記第1の規定時間以上であると検出した場合には、前記開閉制御部は、前記第2の規定時間に前記第1の共通リレー端子と前記第1の常開リレー端子を接続し、その後前記第1の規定時間に前記第1の共通リレー端子を前記第1の常閉リレー端子に接続するように切り替え、
前記操作検出部が、前記他席用サブスイッチに対する前記開操作の継続時間が前記第1の規定時間より短い所定の第2の規定時間以上かつ前記第1の規定時間未満であると検出した場合には、前記開閉制御部は、前記第2の規定時間に前記第2の共通リレー端子と前記第2の常開リレー端子を接続し、その接続状態を前記第1の規定時間を超えて維持し、
前記操作検出部が、前記他席用サブスイッチに対する前記開操作の継続時間が前記第1の規定時間以上であると検出した場合には、前記開閉制御部は、前記第2の規定時間に前記第2の共通リレー端子と前記第2の常開リレー端子を接続し、その後前記第1の規定時間に前記第2の共通リレー端子を前記第2の常閉リレー端子に接続するように切り替える
請求項2に記載の窓開閉制御システム。
前記開閉制御部は、前記他席用サブスイッチに対する前記閉操作が前記第1の規定時間の経過前に終了した場合、前記第1の共通リレー端子と前記第1の常開リレー端子を接続し、前記他席用サブスイッチに対する前記開操作が前記第1の規定時間の経過前に終了した場合、前記第2の共通リレー端子と前記第2の常開リレー端子を接続する
請求項2に記載の窓開閉制御システム。
前記開閉制御部は、前記他席用サブスイッチに対する操作の継続時間が所定の第3の規定時間以上である場合、前記オート動作を行うように前記第1のリレー回路部又は前記第2のリレー回路部を制御する
請求項1に記載の窓開閉制御システム。
前記開閉制御部は、前記他席用サブスイッチに対する前記閉操作が前記第3の規定時間以上継続した場合、前記第1の共通リレー端子と前記第1の常開リレー端子を接続し、前記閉操作の終了後も前記第1の共通リレー端子と前記第1の常開リレー端子を接続した状態を維持するとともに、前記他席用サブスイッチに対する前記開操作が前記第1の規定時間以上継続した場合、前記第2の共通リレー端子と前記第2の常開リレー端子を接続し、前記開操作の終了後も前記第2の共通リレー端子と前記第2の常開リレー端子を接続した状態を維持する
請求項5に記載の窓開閉制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0032】
<1.実施の形態>
{パワーウインドウシステム1の構成例}
図1は、本発明を適用したパワーウインドウシステムの一実施の形態であるパワーウインドウシステム1の構成例を示す回路図である。なお、以下、パワーウインドウシステム1が、車両の運転席側、助手席側、右後部座席側、及び、左後部座席側の4つの窓の開閉を行う場合について説明する。
【0033】
なお、以下、運転席側の窓、助手席側の窓、右後部座席側の窓、及び、左後部座席側の窓を、それぞれ単に運転席の窓、助手席の窓、右後部座席の窓、及び、左後部座席の窓とも称する。また、以下、運転席とは異なる席を他席と総称する。
【0034】
パワーウインドウシステム1は、窓開閉制御システム11、モータ12、モータ13a乃至13c、メインリレー14、BCM(Body Control Module)15、イグニッションスイッチ16、及び、電源Bを含むように構成される。
【0035】
窓開閉制御システム11は、車両の窓の開閉を行うための操作部を含み、操作部に対する操作に応じて、モータ12及びモータ13a乃至13cに流れるモータ電流のオン/オフ及び方向を制御し、車両の各窓の開閉を制御する。なお、モータ12は、運転席の窓の開閉を行うモータであり、モータ13a乃至13cは、それぞれ助手席、右後部座席、及び、左後部座席の窓の開閉を行うモータである。
【0036】
メインリレー14は、BCM15の制御の下に、電源Bからモータ13a乃至13cへの電路を開閉する。具体的には、イグニッションスイッチ16がオンされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオンする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給が可能になり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉が可能になる。一方、イグニッションスイッチ16がオフされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオフする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給ができなくなり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉ができなくなる。
【0037】
電源Bは、例えば、車両に設けられているバッテリからなり、パワーウインドウシステム1の各部の駆動用の電力を供給する。
【0038】
窓開閉制御システム11は、窓開閉制御装置21、及び、他席用ユニット22a乃至22cを含むように構成される。なお、他席用ユニット22a乃至22cは、メインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。
【0039】
窓開閉制御装置21は、運転席付近(例えば、運転席側のドアの内側)に設けられ、運転席の窓及び他席の窓の開閉を運転席から行うための装置である。窓開閉制御装置21は、例えば、1つの筐体内に各部品が納められた1つのユニットとして提供される。
【0040】
他席用ユニット22aは、助手席付近(例えば、助手席側のドアの内側)に設けられ、助手席において助手席の窓の開閉を行うためのユニットである。
【0041】
他席用ユニット22bは、右後部座席付近(例えば、右後部座席側のドアの内側)に設けられ、右後部座席において右後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
【0042】
他席用ユニット22cは、左後部座席付近(例えば、左後部座席側のドアの内側)に設けられ、左後部座席において左後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
【0043】
窓開閉制御装置21は、制御部31、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、運転席用制御回路34、他席用制御回路35a乃至35c、及び、電源回路36を含むように構成される。
【0044】
制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。制御部31は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作に応じて、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cを制御し、車両の各窓の開閉を制御する。また、制御部31は、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cから供給されるモータ電流の検出結果等に基づいて、各窓の動作方向(開いているか閉じているか)、各窓の開閉方向の位置(以下、単に各窓の位置と称する)、及び、挟み込みの検出を行う。ここで、挟み込みとは、窓を閉める場合に窓と車体の間に物体が挟み込まれることをいう。
【0045】
運転席用メインスイッチ32は、運転席において運転席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。運転席用メインスイッチ32は、接点51L、51U、51D及び51A、並びに、入力回路52を含むように構成される。
【0046】
接点51Lは、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を無効にするロック機能の設定を行う場合に操作される常開型の接点である。接点51Lは、ロック機能を設定する操作を行った場合にオンし、解除する操作を行った場合にオフする。
【0047】
接点51Uは、運転席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点51Uは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
【0048】
接点51Dは、運転席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点51Dは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
【0049】
接点51Aは、運転席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点51Aは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を自動的に閉めるための開操作(以下、オート閉操作と称する)又は自動的に開けるための開操作(以下、オート開操作と称する)が行われた場合にオンする。
【0050】
なお、以下、オート閉操作に対して、マニュアルで窓を閉めるための閉操作をマニュアル閉操作とも称し、マニュアルで窓を開けるための開操作をマニュアル開操作とも称する。
【0051】
なお、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作の方法は、スイッチの仕様により異なる。例えば、運転席用メインスイッチ32の操作ノブ(不図示)に対する操作の強弱により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを軽く引き上げる操作がマニュアル閉操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く引き上げる操作がオート閉操作とされる。一方、例えば、操作ノブを軽く押す操作がマニュアル開操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階操作ノブを強く押し下げる操作がオート開操作とされる。
【0052】
或いは、例えば、運転席用メインスイッチの操作ノブに対する操作時間により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間未満である場合、マニュアル閉操作とされ、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間以上である場合、オート閉操作とされる。一方、操作ノブを押す時間が所定の時間未満である場合、マニュアル開操作とされ、操作ノブを押す時間が所定の時間以上である場合、オート開操作とされる。
【0053】
入力回路52は、接点51L、51U、51D及び51Aの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
【0054】
他席用メインスイッチ33aは、運転席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33aは、接点61Ua、61Da及び61Aa、並びに、入力回路62aを含むように構成される。
【0055】
接点61Uaは、助手席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点61Uaは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
【0056】
接点61Daは、助手席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点61Daは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
【0057】
接点61Aaは、助手席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点61Aaは、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作又はオート開操作が行われた場合にオンする。
【0058】
なお、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル操作とオート操作は、例えば、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作と同様の方法により行われる。
【0059】
入力回路62aは、接点61Ua、61Da及び61Aaの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
【0060】
他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、それぞれ運転席において右後部座席及び左後部座席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、他席用メインスイッチ33aと同様の回路構成を有しており、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用メインスイッチ33bの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用メインスイッチ33cの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
【0061】
運転席用制御回路34は、モータ12の制御を行う回路である。運転席用制御回路34は、切替回路71、駆動回路72、増幅回路73、及び、抵抗器R11を含むように構成される。
【0062】
切替回路71は、運転席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路71U(リレー接点71YUのみ図示)、並びに、運転席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路71D(リレー接点71YDのみ図示)を含むように構成される。
【0063】
リレー回路71Uは、コイル71XU(不図示)、及び、コイル71XUを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YUを備えている。リレー接点71YUの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YUの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YUの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L1を介してモータ12の一端に接続されている。
【0064】
リレー回路71Dは、コイル71XD(不図示)、及び、コイル71XDを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YDを備えている。リレー接点71YDの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YDの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YDの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L2を介してモータ12の他端に接続されている。
【0065】
駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71U及び71Dを駆動する。すなわち、駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71Uのコイル71XU、及び、リレー回路71Dのコイル71XDへの駆動電流を制御することにより、リレー接点71YU及び71YDの状態を制御する。
【0066】
増幅回路73は、抵抗器R11の両端に接続されている。増幅回路73は、切替回路71から出力されるモータ12のモータ電流により抵抗器R11の両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路73からの入力電圧に基づいて、モータ12のモータ電流の監視を行う。
【0067】
なお、以下、モータ電流がリレー接点71YU、モータ12、リレー接点71YDの順に流れる方向を順方向と称し、リレー接点71YD、モータ12、リレー接点71YUの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ12に順方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が上方向に移動し、運転席の窓が閉まり、モータ12に逆方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が下方向に移動し、運転席の窓が開くものとする。
【0068】
他席用制御回路35aは、他席用ユニット22aを介して、モータ13aの制御を行う回路である。他席用制御回路35aは、切替回路81a、駆動回路82a、増幅回路83a、及び、抵抗器R21aを含むように構成される。
【0069】
切替回路81aは、助手席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路81Ua(リレー接点81YUaのみ図示)、並びに、助手席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路81Da(リレー接点81YDaのみ図示)を含むように構成される。
【0070】
リレー回路81Uaは、コイル81XUa(不図示)、及び、コイル81XUaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YUaを備えている。リレー接点81YUaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YUaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YUaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L4aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子bに接続されている。
【0071】
リレー回路81Daは、コイル81XDa(不図示)、及び、コイル81XDaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YDaを備えている。リレー接点81YDaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YDaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YDaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L5aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Daの端子bに接続されている。
【0072】
駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Ua及び81Daを駆動する。すなわち、駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Uaのコイル81XUa、及び、リレー回路81Daのコイル81XDaへの駆動電流を制御し、リレー接点81YUa及び81YDaの状態を制御する。
【0073】
増幅回路83aは、モータ13aに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出部としての抵抗器R21aの両端に接続されている。そして、増幅回路83aは、切替回路71から出力されるモータ13aのモータ電流により抵抗器R21aの両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、モータ13aのモータ電流の監視を行う。
【0074】
他席用制御回路35bは、他席用ユニット22bを介して、モータ13bの制御を行う回路であり、他席用制御回路35cは、他席用ユニット22cを介して、モータ13cの制御を行う回路である。他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cの回路構成は、他席用制御回路35aと同様であり、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用制御回路35bの各部の符号には、他席用制御回路35aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用制御回路35cの各部の符号には、他席用制御回路35cの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
【0075】
電源回路36は、配線L3を介して電源Bの正極に接続されており、電源Bからの電力を窓開閉制御装置21の各部に供給する。
【0076】
他席用ユニット22aは、他席用サブスイッチ91aを含むように構成される。
【0077】
他席用サブスイッチ91aは、助手席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用サブスイッチ91aは、接点91Ua及び91Daを含むように構成される。
【0078】
接点91Uaは、助手席の窓を閉めるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Uaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Uaの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L4aを介してリレー接点81YUaの端子cに接続されている。接点91Uaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L7aを介してモータ13aの一端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、閉操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
【0079】
接点91Daは、助手席の窓を開けるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Daの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Daの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L5aを介してリレー接点81YDaの端子cに接続されている。接点91Daの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L8aを介してモータ13aの他端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、開操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
【0080】
なお、以下、モータ電流が接点91Ua、モータ13a、接点91Daの順に流れる方向を順方向と称し、接点91Da、モータ13a、接点91Uaの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ13aに順方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が上方向に移動し、助手席の窓が閉まり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が下方向に移動し、助手席の窓が開くものとする。
【0081】
なお、他席用ユニット22b及び22cの回路構成は、他席用ユニット22aと同様であり、その説明は省略する。
【0082】
ここで、窓開閉制御装置21とモータ12とは、配線L1,L2の2本の配線で接続され、窓開閉制御装置21と各他席用ユニット22a乃至22cとは、配線L4a乃至L4c及び配線L5a乃至L5cの6本の配線で接続されている。すなわち、窓開閉制御装置21は、車両に設けられているモータ12及び他席用ユニット22a乃至22cと少ない配線で簡単に接続することが可能である。
【0083】
なお、
図1では、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとが、配線L6を介して接続されているが、配線L6は、メインリレー14と、窓開閉制御装置21及び他席用ユニット22a乃至22cとを接続するものである。従って、必ずしも窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとを配線L6で直接接続する必要はない。
【0084】
なお、以下、モータ13a乃至13cを個々に区別する必要がない場合、単にモータ13と称する。また、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35cをそれぞれ個々に区別する必要がない場合、それぞれ単に他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35と称する。
【0085】
さらに、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35c内の各部を個々に区別する必要がない場合、末尾の”a”乃至”c”を除いた符号を用いる。例えば、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cを個々に区別する必要がない場合、単に他席用サブスイッチ91と称する。
【0086】
また、以下、切替接点の端子aと端子cを接続すること(a接点をオンすること)を、切替接点をオンすると称する。例えば、接点91Uaの端子aと端子cを接続することを、接点91Uaをオンすると称する。また、以下、切替接点の端子bと端子cを接続すること(b接点をオンすること)を、切替接点をオフすると称する。例えば、接点91Uaの端子bと端子cを接続することを、接点91Uaをオフすると称する。
【0087】
{制御部31の機能の構成例}
図2は、制御部31の機能の構成例を示している。制御部31は、操作検出部101、窓位置検出部102、挟み込み検出部103、及び、開閉制御部104を含むように構成される。なお、この図には、制御部31の機能の一部であり、以下の説明に必要な機能のみを図示している。
【0088】
操作検出部101は、入力回路52及び62a乃至62cから供給される信号に基づいて、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作を検出する。また、操作検出部101は、増幅回路83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。そして、操作検出部101は、モータ13a乃至13cのモータ電流に基づいて、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を検出する。操作検出部101は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
【0089】
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。窓位置検出部102は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、並びに、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作の検出結果に基づいて、車両の各席の窓の位置及び動作方向を検出する。窓位置検出部102は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
【0090】
挟み込み検出部103は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。挟み込み検出部103は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作の検出結果、並びに、車両の各席の窓の位置及び動作方向の検出結果に基づいて、各窓の挟み込みの検出を行う。挟み込み検出部103は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
【0091】
開閉制御部104は、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作、各窓の位置及び動作方向、並びに、各窓の挟み込みの有無の検出結果に基づいて、車両の各窓の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部104は、駆動回路72を制御して、リレー回路71U及び71Dを制御することにより、モータ12のモータ電流を制御し、運転席の窓の開閉を制御する。また、開閉制御部104は、駆動回路82a乃至82cを制御して、リレー回路81Ua乃至81Uc及び81Da乃至81Dcを制御することにより、モータ13a乃至13cのモータ電流を制御し、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉を制御する。
【0092】
{パワーウインドウシステム1の基本動作}
次に、
図3乃至
図8を参照して、パワーウインドウシステム1の基本的な動作について説明する。なお、
図3乃至
図8では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
【0093】
{運転席用メインスイッチ32に対して閉操作が行われた場合}
図3は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0094】
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点51Uがオンする。そして、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YUの端子a、モータ12、リレー接点71YDの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。
【0095】
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点51Uがオフする。そして、操作検出部101が接点51Uのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の閉動作が停止する。
【0096】
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート閉操作が行われた場合、接点51U及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YUがオンし、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート閉操作が停止され、接点51U及び接点51Aがオフしても、開閉制御部104は、運転席の窓が全閉されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YUがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全閉する。
【0097】
なお、例えば、運転席の窓のオート閉動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、運転席のオート閉動作が停止する。
【0098】
{運転席用メインスイッチ32に対して開操作が行われた場合}
図4は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0099】
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合、接点51Dがオンする。そして、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YDの端子a、モータ12、リレー接点71YUの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。
【0100】
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル開操作が停止された場合、接点51Dがオフする。そして、操作検出部101が接点51Dのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の開動作が停止する。
【0101】
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート開操作が行われた場合、接点51D及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YDがオンし、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート開操作が停止され、接点51D及び接点51Aがオフしても、開閉制御部104は、運転席の窓が全開されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YDがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全開する。
【0102】
なお、例えば、運転席の窓のオート開動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、運転席のオート開動作が停止する。
【0103】
{他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われた場合}
図5は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0104】
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点61Uaがオンする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
【0105】
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点61Uaがオフする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0106】
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作が行われた場合、接点61Ua及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YUaがオンし、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート閉操作が停止され、接点61Ua及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部104は、助手席の窓が全閉されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全閉する。
【0107】
なお、例えば、助手席の窓のオート閉動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、助手席のオート閉動作が停止する。
【0108】
{他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われた場合}
図6は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0109】
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合、接点61Daがオンする。そして、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
【0110】
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル開操作が停止された場合、接点61Daがオフする。そして、操作検出部101が接点61Daのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0111】
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート開操作が行われた場合、接点61Da及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YDaがオンし、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート開操作が停止され、接点61Da及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部104は、助手席の窓が全開されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全開する。
【0112】
なお、例えば、助手席の窓のオート開動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、助手席のオート開動作が停止する。
【0113】
なお、詳細な説明は省略するが、他席用メインスイッチ33b又は33cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左の後部座席の窓を開閉することができる。
【0114】
{他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合}
図7は、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0115】
他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、接点91Uaがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
【0116】
一方、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が停止された場合、接点91Uaがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0117】
{他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合}
図8は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0118】
他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、接点91Daがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
【0119】
一方、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が停止された場合、接点91Daがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0120】
このように、他席用サブスイッチ91aに対する操作が行われた場合、窓開閉制御装置21の制御によらずに、助手席の窓の開閉を行うことができる。
【0121】
なお、詳細な説明は省略するが、他席用サブスイッチ91b又は91cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左後部座席の窓を開閉することができる。
【0122】
{車両の各窓の位置の検出方法}
次に、
図9を参照して、車両の各窓の位置の検出方法について説明する。
【0123】
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cを流れるモータ電流を常時監視している。また、各モータを流れるモータ電流には、リップルが含まれている。そして、挟み込みが発生していない状態では、モータ電流のリップルの波形は、
図9の上のグラフに示すような安定した波形となる。
【0124】
窓位置検出部102は、このモータ電流のリップルを
図9の下のグラフに示すようなパルス列に変換する。そして、窓位置検出部102は、
図9のパルス列に基づいて、各モータの回転数を算出し、算出したモータの回転数に基づいて、運転席及び他席の各窓の位置を検出する。このため、各窓の位置を検出するためのセンサが不要となる。
【0125】
ここで、他席用サブスイッチ91aの接点91Ua及び接点91Daの状態を示す信号が制御部31に供給されないため、制御部31は、接点91Ua及び接点91Daの状態を検出することができない。従って、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作又は閉操作のいずれの操作が行われているかを、接点91Ua及び接点91Daの状態により直接検出することができない。
【0126】
一方、助手席の窓を閉める場合の方が、助手席の窓を開ける場合より、窓を持ち上げる分だけモータ13aにかかる負荷が大きくなる。従って、窓を閉める場合の方が、窓を開ける場合より、モータ13aを流れるモータ電流が大きくなる。
【0127】
そこで、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aにより助手席の窓の開閉を行っている場合、モータ13aのモータ電流の大きさに基づいて、他席用サブスイッチ91aの操作方向(閉操作又は開操作)を検出する。同様に、窓位置検出部102は、モータ13aのモータ電流の大きさに基づいて、窓の動作方向(閉めているのか開けているのか)を検出する。
【0128】
これは、他席用サブスイッチ91bにより右後部座席の窓の開閉を行っている場合、及び、他席用サブスイッチ91cにより左後部座席の窓の開閉を行っている場合も同様である。
【0129】
なお、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cにより窓の開閉が行われている場合、各スイッチの接点の状態を示す信号が制御部31に供給される。従って、窓位置検出部102は、モータ電流の大きさによらずに、各窓の動作方向を検出することが可能である。なお、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cにより窓の開閉が行われている場合も同様に、モータ電流の大きさにより、窓の動作方向を検出するようにすることも可能である。
【0130】
{車両の各窓の挟み込みの検出方法}
次に、
図10を参照して、各窓の挟み込みの検出方法の例について説明する。
【0131】
挟み込みが発生すると、モータ電流は、
図10の上のグラフに示すように、電流レベルが増大しかつリップルの周期が伸びる不安定な波形となる。
【0132】
ここで、挟み込み検出部103は、このリップルの周期Tの変化を監視し、周期Tが一定以上になった場合に、挟み込みが発生したと判定する。あるいは、周期Tに代えて、パルスの幅Wが一定以上になった場合に、挟み込みが発生したと判定するようにしてもよい。このようにして、モータ電流のリップルに基づいて、挟み込みを検出することができる。
【0133】
なお、挟み込み検出部103は、運転席用メインスイッチ32及び各他席用メインスイッチ33に対する操作の検出結果、並びに、各席の窓の位置及び動作方向の検出結果に基づいて、挟み込みが発生し得ない状況であると判定した場合、上記の条件を満たしていても、挟み込みは発生していないと判定する。例えば、窓を開けている場合等である。
【0134】
以上のように、運転席以外の他席に制御部を設けず、配線を少なくした簡単な構成により、窓開閉制御装置21において、運転席から運転席及び他席の窓の制御(オート開閉動作およびマニュアル開閉動作)を行うことが可能になる。また、各他席用ユニット22に変更を加えることなく、窓開閉制御装置21を接続するだけで容易に機能の向上を図ることができるため、窓開閉制御装置21を後付けパーツやオプション品としても提供しやすくなる。さらに、窓開閉制御装置21の制御部31で各席のモータ12及びモータ13a乃至cのモータ電流を監視することにより、センサ類を設けずに、各席の窓の位置及び挟み込みを検出することが可能になる。
【0135】
{他席用サブスイッチ91による他席の窓のオート操作の実現方法}
ところで、上述したように、他席用サブスイッチ91には、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33のようにオート操作用の接点が設けられていない。そこで、以下、オート操作用の接点を用いずに、他席用サブスイッチ91を用いて他席の窓のオート操作を実現する方法について説明する。
【0136】
{第1の実現方法}
まず、
図11乃至
図19を参照して、他席用サブスイッチ91による他席の窓のオート操作の第1の実現方法について説明する。この第1の実現方法では、他席用サブスイッチ91を規定時間Ta以上継続して操作(以下、長押し操作と称する)することにより、オート操作が実現される。この規定時間Taは、例えば、ユーザが他席用サブスイッチ91を意図的に長時間操作したと認識することが可能な時間に設定される。
【0137】
ここで、
図11のフローチャート、並びに、
図12及び
図13のタイムチャートを参照して、パワーウインドウシステム1により実行される他席用サブスイッチ91による窓開閉処理の第1の実施の形態について説明する。この処理は、他席用サブスイッチ91a乃至91cのいずれかに対して閉操作又は開操作が行われ、操作検出部101が、当該操作が行われたことを検出したとき開始される。
【0138】
なお、
図12及び
図13は、他席用サブスイッチ91、モータ13のモータ電流の検出値、閉側の他席用リレー接点(接点81YU)、及び、開側の他席用リレー接点(接点81YD)の状態の変化を時間軸に沿って示している。また、
図12の点線で分けた左側は、オート閉動作時のタイムチャートであり、点線で分けた右側は、オート開動作時のタイムチャートである。
図13の点線で分けた左側は、マニュアル閉動作時のタイムチャートであり、点線で分けた右側は、マニュアル開動作時のタイムチャートである。
【0139】
なお、以下、他席用サブスイッチ91aにより助手席の窓を開閉する場合を例に挙げて説明する。従って、
図11のフローチャート、並びに、
図12及び
図13のタイムチャートにおける他席は、以下の説明では、主に助手席を指すものとする。
【0140】
ステップS1において、操作検出部101は、閉操作が行われているか否かを判定する。他席用サブスイッチ91aに対して閉操作又は開操作が行われ、接点91Ua又は接点91Daがオンしたとき、
図12及び
図13に示されるように、モータ13aの始動時に突入電流が流れた後、モータ電流は安定状態に落ち着く。そして、上述したように、安定状態において、助手席の窓を開けている場合より閉めている場合の方が、モータ13aに流れるモータ電流は大きい。
【0141】
そこで、例えば、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ13aのモータ電流を検出し、その検出値を所定の閾値Iaと比較する。この閾値Iaは、例えば、安定状態において、助手席の窓を開けている場合にモータ13aに流れるモータ電流の最大値と、閉めている場合にモータ13aに流れるモータ電流の最小値との間の値に設定される。そして、操作検出部101は、モータ電流の検出値が閾値Ia以上である場合、閉操作が行われていると判定し、処理はステップS2に進む。
【0142】
このとき、パワーウインドウシステム1は、上述した
図7に示される状態となり、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が開始される。
【0143】
ステップS2において、操作検出部101は、閉操作が継続しているか否かを判定する。例えば、操作検出部101は、モータ13aのモータ電流の検出値が閾値Ia以上である場合、閉操作が継続していると判定し、処理はステップS3に進む。
【0144】
ステップS3において、操作検出部101は、規定時間Taが経過したか否かを判定する。まだ規定時間Taが経過していないと判定された場合、処理はステップS2に戻る。
【0145】
その後、ステップS2において、閉操作が終了したと判定されるか、ステップS3において、規定時間Taが経過したと判定されるまで、ステップS2及びS3の処理が繰り返し実行される。
【0146】
一方、ステップS3において、規定時間Taが経過したと判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0147】
ステップS4において、開閉制御部104は、閉側の他席用リレー接点をオンする。すなわち、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンする。
【0148】
従って、
図12の左側のタイムチャートに示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が規定時間Ta以上継続して行われ、継続してモータ電流が検出された場合、リレー接点81YUaがオンする。その結果、パワーウインドウシステム1は、
図14に示される状態となる。このとき、モータ電流の経路は変化しないため、助手席の窓の閉動作が継続する。
【0149】
その後、
図15に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が終了し、接点91Uaがオフしても、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンした状態を維持する。その結果、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れるようになる。従って、モータ13aに順方向のモータ電流が継続して流れ、助手席の窓の閉動作が継続する。
【0150】
ステップS5において、窓位置検出部102は、他席の窓が全閉したか否かを判定する。具体的には、窓位置検出部102は、上述したように、モータ13aのモータ電流のリップルに基づいて助手席の窓の開閉方向の位置を検出し、まだ助手席の窓が全閉していないと判定した場合、処理はステップS6に進む。
【0151】
ステップS6において、操作検出部101は、オート閉動作がキャンセルされたか否かを判定する。オート閉動作がキャンセルされていないと判定された場合、処理はステップS5に戻る。
【0152】
その後、ステップS5において、他席の窓が全閉したと判定されるか、ステップS6において、オート閉動作がキャンセルされたと判定されるまで、ステップS5及びS6の処理が繰り返し実行される。
【0153】
一方、ステップS6において、操作検出部101は、例えば、他席用メインスイッチ33a又は他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。例えば、操作検出部101は、他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われ、入力回路62aを介して、接点61Daがオンしたことを検出した場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。
【0154】
或いは、例えば、
図16に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われ、接点91Daがオンした場合、モータ13aの両端の電位がほぼ同じになり、モータ電流が停止する。そこで、操作検出部101は、モータ13aのモータ電流が所定の時間以上停止したことを検出した場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。
【0155】
そして、オート閉動作がキャンセルされたと判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0156】
また、ステップS5において、助手席の窓が全閉したと判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0157】
ステップS7において、開閉制御部104は、閉側の他席用リレー接点をオフする。すなわち、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、モータ13aのモータ電流が停止する。
【0158】
このように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作を終了しても、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全閉するオート閉動作が実現される。
【0160】
一方、ステップS2において、閉操作が終了したと判定された場合、ステップS3乃至S7の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。これは、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が、規定時間Taが経過する前に終了した場合である。
【0161】
この場合、
図13の左側に示されるように、閉側の他席用リレー接点であるリレー接点81YUaがオフしたままなので、閉操作の終了に伴い接点91Uaがオフした時点で、モータ13aのモータ電流が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0162】
一方、ステップS1において、操作検出部101は、モータ13aのモータ電流の検出値が閾値Ia未満である場合、開操作が行われていると判定し、処理はステップS8に進む。
【0163】
このとき、パワーウインドウシステム1は、上述した
図8に示される状態となり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の開動作が開始される。
【0164】
ステップS8において、操作検出部101は、開操作が継続しているか否かを判定する。例えば、操作検出部101は、モータ13aのモータ電流の検出値が所定の閾値Ib以上である場合、開操作が継続していると判定し、処理はステップS9に進む。この閾値Ibは、例えば、安定状態において、助手席の窓を開けている場合にモータ13aに流れるモータ電流の最小値より小さい値に設定される。
【0165】
ステップS9において、ステップS2の処理と同様に、規定時間Taが経過したか否かが判定され、規定時間Taが経過していないと判定された場合、処理はステップS8に戻る。
【0166】
その後、ステップS8において、開操作が終了したと判定されるか、ステップS9において、規定時間Taが経過したと判定されるまで、ステップS8及びS9の処理が繰り返し実行される。
【0167】
一方、ステップS9において、規定時間Taが経過したと判定された場合、処理はステップS10に進む。
【0168】
ステップS10において、開閉制御部104は、開側の他席用リレー接点をオンする。すなわち、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。
【0169】
従って、
図12の右側のタイムチャートに示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が規定時間Ta以上継続して行われ、継続してモータ電流が検出された場合、リレー接点81YDaがオンする。その結果、パワーウインドウシステム1は、
図17に示される状態となる。このとき、モータ電流の経路は変化しないため、助手席の窓の開動作が継続する。
【0170】
その後、
図18に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が終了し、接点91Daがオフしても、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンした状態を維持する。その結果、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れるようになる。従って、モータ13aに逆方向のモータ電流が継続して流れ、助手席の窓の開動作が継続する。
【0171】
ステップS11において、窓位置検出部102は、他席の窓が全開したか否かを判定する。具体的には、窓位置検出部102は、上述したように、モータ13aのモータ電流のリップルに基づいて助手席の窓の開閉方向の位置を検出し、まだ助手席の窓が全開していないと判定した場合、処理はステップS12に進む。
【0172】
ステップS12において、操作検出部101は、オート開動作がキャンセルされたか否かを判定する。オート開動作がキャンセルされていないと判定された場合、処理はステップS11に戻る。
【0173】
その後、ステップS11において、他席の窓が全開したと判定されるか、ステップS12において、オート開動作がキャンセルされたと判定されるまで、ステップS11及びS12の処理が繰り返し実行される。
【0174】
一方、ステップS12において、操作検出部101は、例えば、他席用メインスイッチ33a又は他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。例えば、操作検出部101は、他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われ、入力回路62aを介して、接点61Uaがオンしたことを検出した場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。
【0175】
或いは、例えば、
図19に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われ、接点91Uaがオンした場合、モータ13aの両端の電位がほぼ同じになり、モータ電流が停止する。そこで、操作検出部101は、モータ13aのモータ電流が所定の時間以上停止したことを検出した場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。
【0176】
そして、オート開動作がキャンセルされたと判定された場合、処理はステップS13に進む。
【0177】
また、ステップS11において、助手席の窓が全開したと判定された場合、処理はステップS13に進む。
【0178】
ステップS13において、開閉制御部104は、開側の他席用リレー接点をオフする。すなわち、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aのモータ電流が停止する。
【0179】
このように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作を停止しても、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全開するオート開動作が実現される。
【0181】
一方、ステップS8において、開操作が終了したと判定された場合、ステップS9乃至S13の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。これは、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が、規定時間Taが経過する前に終了した場合である。
【0182】
この場合、
図13の右側に示されるように、開側の他席用リレー接点であるリレー接点81YDaがオフしたままなので、開操作の終了に伴い接点91Daがオフした時点で、モータ13aのモータ電流が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0183】
以上のようにして、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作又は開操作を規定時間Ta以上継続して行うことにより、助手席の窓のオート操作を実現することができる。
【0184】
なお、右後部座席の窓及び左後部座席の窓についても、他席用サブスイッチ91b及び91cに対して同様の操作を行うことによりオート操作を実現することができる。
【0185】
{第2の実現方法}
次に、
図20乃至
図24を参照して、他席用サブスイッチ91による他席の窓のオート操作の第2の実現方法について説明する。この第2の実現方法では、他席用サブスイッチ91を規定時間Tb以上かつ規定時間Tc未満の間継続して操作(以下、短押しと称する)することにより、オート操作が実現される。この規定時間Tbは、例えば、操作の意思がなく他席用サブスイッチ91に軽く触れた場合等に、操作したと誤検出されるのを防止するのに十分な長さに設定される。なお、規定時間Tbを0に設定することも可能である。規定時間Tcは、規定時間Tbより長く、第1の実現方法で用いた規定時間Taより短い時間に設定される。また、規定時間Tcは、例えば、ユーザが他席用サブスイッチ91aを意図的に短時間操作したと認識することが可能な時間に設定される。
【0186】
ここで、
図20のフローチャート、並びに、
図21及び
図22のタイムチャートを参照して、パワーウインドウシステム1により実行される他席用サブスイッチ91による窓開閉処理の第2の実施の形態について説明する。この処理は、他席用サブスイッチ91a乃至91cのいずれかに対して閉操作又は開操作が行われ、操作検出部101が、当該操作が行われたことを検出したとき開始される。
【0187】
なお、
図21及び
図22は、
図12及び
図13と同様のタイムチャートである。
図21の点線で分けた左側は、オート閉動作時のタイムチャートであり、点線で分けた右側は、オート開動作時のタイムチャートである。
図22の点線で分けた左側は、マニュアル閉動作時のタイムチャートであり、点線で分けた右側は、マニュアル開動作時のタイムチャートである。
【0188】
なお、以下、他席用サブスイッチ91aを用いて助手席の窓を開閉する場合を例に挙げて説明する。従って、
図20のフローチャート、並びに、
図21及び
図22のタイムチャートにおける他席は、以下の説明では、主に助手席を指すものとする。
【0189】
ステップS51において、
図11のステップS1の処理と同様に、閉操作が行われているか否かが判定され、閉操作が行われていると判定された場合、処理はステップS52に進む。
【0190】
ステップS52において、
図11のステップS2の処理と同様に、閉操作が継続しているか否かが判定される。この判定処理は、閉操作が終了したと判定されるまで繰り返し実行され、閉操作が終了したと判定された場合、処理はステップS53に進む。
【0191】
なお、閉操作が終了したと判定されるまでの間、パワーウインドウシステム1は、上述した
図7に示される状態となり、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が行われる。そして、閉操作の終了に伴い、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0192】
ステップS53において、操作検出部101は、規定時間Tb≦操作時間<規定時間Tcであるか否かを判定する。ここでの操作時間は、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が検出されてから、ステップS52において閉操作が終了したと判定されるまでの閉操作の継続時間である。そして、規定時間Tb≦操作時間<規定時間Tcであると判定された場合、処理はステップS54に進む。
【0193】
ステップS54において、
図11のステップS4の処理と同様に、閉側の他席用リレー接点がオンされる。すなわち、
図21の左側のタイムチャート及び
図23に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が規定時間Tb以上かつ規定時間Tc未満の間継続して行われた場合、閉操作の終了後、リレー接点81YUaがオンする。その結果、
図23に示されるように、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。従って、モータ13aへの順方向のモータ電流の供給が再開され、助手席の窓の閉動作が再開する。
【0194】
なお、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が終了してからリレー接点81YUaをオンするまでの間隔は、任意の時間に設定することが可能である。
【0195】
その後、ステップS55乃至S57において、
図11のステップS5乃至S7と同様の処理が実行され、窓開閉処理は終了する。このように、規定時間Tcの経過前に他席用サブスイッチ91aに対する閉操作を終了することにより、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全閉するオート閉動作が実現される。
【0196】
一方、ステップS53において、操作時間<規定時間Tb、又は、操作時間≧規定時間Tcであると判定された場合、ステップS54乃至S57の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。
【0197】
この場合、
図22の左側に示されるように、閉側の他席用リレー接点であるリレー接点81YUaがオフしたままなので、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作を行っている間だけ助手席の窓が閉まる(マニュアル閉動作)。
【0198】
一方、ステップS51において、開操作が行われていると判定された場合、処理はステップS58に進む。
【0199】
ステップS58において、
図11のステップS8の処理と同様に、開操作が継続しているか否かが判定される。この判定処理は、開操作が終了したと判定されるまで繰り返し実行され、開操作が終了したと判定された場合、処理はステップS59に進む。
【0200】
なお、開操作が終了したと判定されるまでの間、パワーウインドウシステム1は、上述した
図8に示される状態となり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の開動作が行われる。そして、開操作の終了に伴い、助手席の窓の開動作が停止する。
【0201】
ステップS59において、ステップS53の処理と同様に、規定時間Tb≦操作時間<規定時間Tcであるか否かが判定され、規定時間Tb≦操作時間<規定時間Tcであると判定された場合、処理はステップS60に進む。なお、ここでの操作時間は、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が検出されてから、ステップS58において開操作が終了したと判定されるまでの開操作の継続時間である。
【0202】
ステップS60において、
図11のステップS10の処理と同様に、開側の他席用リレー接点がオンされる。すなわち、
図21の右側のタイムチャート及び
図24に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が規定時間Tb以上かつ規定時間Tc未満の間継続して行われた場合、開操作の終了後、リレー接点81YDaがオンする。そして、
図24に示されるように、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。従って、モータ13aへの逆方向のモータ電流の供給が再開され、助手席の窓の開動作が再開する。
【0203】
なお、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が終了してからリレー接点81YDaをオンするまでの間隔は、任意の時間に設定することが可能である。
【0204】
その後、ステップS61乃至S63において、
図11のステップS11乃至S13と同様の処理が実行され、窓開閉処理は終了する。このように、規定時間Tcの経過前に他席用サブスイッチ91aに対する開操作を終了することにより、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全開するオート開動作が実現される。
【0205】
一方、ステップS59において、操作時間<規定時間Tb、又は、操作時間≧規定時間Tcであると判定された場合、ステップS60乃至S63の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。
【0206】
この場合、
図22の右側に示されるように、開側の他席用リレー接点であるリレー接点81YDaがオフしたままなので、他席用サブスイッチ91aに対して開操作を行っている間だけ助手席の窓が開く(マニュアル開動作)。
【0207】
以上のようにして、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作又は開操作を規定時間Tb以上かつ規定時間Tc未満の間継続して行うことにより、助手席の窓のオート操作を実現することができる。
【0208】
なお、右後部座席の窓及び左後部座席の窓についても、他席用サブスイッチ91b及び91cに対して同様の操作を行うことによりオート操作を実現することができる。
【0209】
{第3の実現方法}
次に、
図25乃至
図35を参照して、他席用サブスイッチ91による他席の窓のオート操作の第3の実現方法について説明する。この第3の実現方法は、第2の実現方法を改良したものであり、第2の実現方法と同様に、他席用サブスイッチ91を規定時間Tb以上かつ規定時間Tc未満の間継続して操作(例えば、短押し等)することにより、オート操作が実現される。
【0210】
具体的には、第2の実現方法では、
図21に示されるように、オート操作時に、他席用サブスイッチ91の操作終了後にモータ停止期間が発生し、他席の窓が不連続に開閉する。そこで、この第3の実現方法は、この他席の窓の不連続な動作を解消することを目的とする。
【0211】
ここで、
図25のフローチャート、並びに、
図26及び
図27のタイムチャートを参照して、パワーウインドウシステム1により実行される他席用サブスイッチ91による窓開閉処理の第3の実施の形態について説明する。この処理は、他席用サブスイッチ91a乃至91cのいずれかに対して閉操作又は開操作が行われ、操作検出部101が、当該操作が行われたことを検出したとき開始される。
【0212】
なお、
図26及び
図27は、
図12、
図13、
図21及び
図22と同様のタイムチャートである。
図26の点線で分けた左側は、オート閉動作時のタイムチャートであり、点線で分けた右側は、オート開動作時のタイムチャートである。
図27の点線で分けた左側は、マニュアル閉動作時のタイムチャートであり、点線で分けた右側は、マニュアル開動作時のタイムチャートである。
【0213】
なお、以下、他席用サブスイッチ91aを用いて助手席の窓を開閉する場合を例に挙げて説明する。従って、
図25のフローチャート、並びに、
図26及び
図27のタイムチャートにおける他席は、以下の説明では、主に助手席を指すものとする。
【0214】
ステップS101において、
図11のステップS1の処理と同様に、閉操作が行われているか否かが判定され、閉操作が行われていると判定された場合、処理はステップS102に進む。
【0215】
なお、この場合、パワーウインドウシステム1は、上述した
図7に示される状態となり、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が開始する。
【0216】
ステップS102において、
図11のステップS2の処理と同様に、閉操作が継続しているか否かが判定され、閉操作が継続していると判定された場合、処理はステップS103に進む。
【0217】
ステップS103において、操作検出部101は、規定時間Tbが経過したか否かを判定する。まだ規定時間Tbが経過していないと判定された場合、処理はステップS102に戻る。
【0218】
その後、ステップS102において、閉操作が終了したと判定されるか、ステップS103において、規定時間Tbが経過したと判定されるまで、ステップS102及びS103の処理が繰り返し実行される。
【0219】
一方、ステップS103において、規定時間Tbが経過したと判定された場合、処理はステップS104に進む。
【0220】
ステップS104において、
図11のステップS4の処理と同様に、閉側の他席用リレー接点がオンされる。すなわち、
図28に示されるように、リレー接点81YUaがオンする。このとき、モータ電流の経路は変化しないため、助手席の窓の閉動作が継続する。
【0221】
ステップS105において、操作検出部101は、規定時間Tcが経過したか否かを判定する。まだ規定時間Tcが経過していないと判定された場合、処理はステップS106に進む。
【0222】
ステップS106において、
図11のステップS2の処理と同様に、閉操作が継続しているか否かが判定され、閉操作が継続していると判定された場合、処理はステップS105に戻る。
【0223】
その後、ステップS105において、規定時間Tcが経過したと判定されるか、ステップS106において、閉操作が終了したと判定されるまで、ステップS105及びS106の処理が繰り返し実行される。
【0224】
一方、ステップS106において、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が終了し、接点91Uaのc端子とa端子との接続が離れ、c端子とb端子とが接続されるまでの期間は、
図29に示されるように、接点91Uaが非接触状態となり、モータ電流が瞬間的に停止する。その後、
図30に示されるように、接点91Uaがオフすると、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れるようになる。すなわち、モータ13aへの順方向のモータ電流の供給が再開する。
【0225】
従って、
図26の左側に示されるように、閉操作の終了後に、モータ13aのモータ電流が瞬間的に低下し、その後安定状態に戻る。そして、操作検出部101は、このモータ電流の短時間の低下を検出した場合、閉操作が終了したと判定し、処理はステップS107に進む。
【0226】
その後、
図26の左側に示されるように、規定時間Tcの経過後も、閉側の他席用リレー接点である他席用リレー接点81YUaがオンした状態が維持される。
【0227】
その後、ステップS107乃至S109において、
図11のステップS5乃至S7と同様の処理が実行され、窓開閉処理は終了する。このように、規定時間Tcの経過前に他席用サブスイッチ91aに対する閉操作を終了することにより、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全閉するオート閉動作が実現される。また、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作の終了時にモータ電流が瞬間的に停止し、助手席の窓の動きが鈍る可能性があるが、ごく短時間であり、ユーザが気にならない程度に抑えることができる。
【0228】
一方、ステップS105において、規定時間Tcが経過したと判定された場合、ステップS106乃至S108の処理はスキップされ、処理はステップS109に進む。
【0229】
ステップS109において、
図11のステップS7の処理と同様に、閉側の他席用リレー接点がオフし、窓開閉処理は終了する。すなわち、
図27の左側に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が規定時間Tc以上継続した場合、
図31に示されるように、リレー接点81YUaがオフする。このとき、モータ電流の経路は変化しないため、助手席の窓の閉動作が継続する。
【0230】
その後、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作を終了し、接点91Uaがオフされたとき、モータ13aのモータ電流が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0231】
一方、ステップS102において、閉操作が終了したと判定された場合、すなわち、規定時間Tbが経過する前に閉操作が終了した場合、ステップS103乃至S109の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。
【0232】
また、ステップS101において、開操作が行われていると判定された場合、処理はステップS110に進む。
【0233】
ステップS110において、
図11のステップS8の処理と同様に、開操作が継続しているか否かが判定され、開操作が継続していると判定された場合、処理はステップS111に進む。
【0234】
ステップS111において、ステップS103の処理と同様に、規定時間Tbが経過したか否かを判定する。まだ規定時間Tbが経過していないと判定された場合、処理はステップS110に戻る。
【0235】
その後、ステップS110において、開操作が終了したと判定されるか、ステップS111において、規定時間Tbが経過したと判定されるまで、ステップS110及びS111の処理が繰り返し実行される。
【0236】
一方、ステップS111において、規定時間Tbが経過したと判定された場合、処理はステップS112に進む。
【0237】
ステップS112において、
図11のステップS10の処理と同様に、開側の他席用リレー接点がオンされる。すなわち、
図32に示されるように、リレー接点81YDaがオンする。このとき、モータ電流の経路は変化しないため、助手席の窓の開動作が継続する。
【0238】
ステップS113において、ステップS105の処理と同様に、規定時間Tcが経過したか否かが判定される。まだ規定時間Tcが経過していないと判定された場合、処理はステップS114に進む。
【0239】
ステップS114において、
図11のステップS8の処理と同様に、開操作が継続しているか否かが判定され、開操作が継続していると判定された場合、処理はステップS113に戻る。
【0240】
その後、ステップS113において、規定時間Tcが経過したと判定されるか、ステップS114において、開操作が終了したと判定されるまで、ステップS113及びS114の処理が繰り返し実行される。
【0241】
一方、ステップS114において、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が終了し、接点91Daのc端子とa端子との接続が離れ、c端子とb端子とが接続されるまでの期間は、
図33に示されるように、接点91Daが非接触状態となり、モータ電流が瞬間的に停止する。その後、
図34に示されるように、接点91Daがオフすると、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れるようになる。すなわち、モータ13aへの逆方向のモータ電流の供給が再開する。
【0242】
従って、
図26の右側に示されるように、開操作の終了後に、モータ13aのモータ電流が瞬間的に低下し、その後安定状態に戻る。そして、操作検出部101は、このモータ電流の短時間の低下を検出した場合、開操作が終了したと判定し、処理はステップS115に進む。
【0243】
その後、
図26の右側に示されるように、規定時間Tcの経過後も、開側の他席用リレー接点である他席用リレー接点81YDaがオンした状態が維持される。
【0244】
その後、ステップS115乃至S117において、
図11のステップS11乃至S13と同様の処理が実行され、窓開閉処理は終了する。このように、規定時間Tcの経過前に他席用サブスイッチ91aに対する開操作を終了することにより、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全開するオート開動作が実現される。また、他席用サブスイッチ91aに対する開操作の終了時にモータ電流が瞬間的に停止し、助手席の窓の動きが鈍る可能性があるが、ごく短時間であり、ユーザが気にならない程度に抑えることができる。
【0245】
一方、ステップS113において、規定時間Tcが経過したと判定された場合、ステップS114乃至S116の処理はスキップされ、処理はステップS117に進む。
【0246】
ステップS117において、
図11のステップS13の処理と同様に、開側の他席用リレー接点がオフし、窓開閉処理は終了する。すなわち、
図27の右側に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が規定時間Tc以上継続した場合、
図35に示されるように、リレー接点81YDaがオフする。このとき、モータ電流の経路は変化しないため、助手席の窓の閉動作が継続する。
【0247】
その後、他席用サブスイッチ91aに対する開操作を終了し、接点91Daがオフされたとき、モータ13aのモータ電流が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0248】
一方、ステップS110において、開操作が終了したと判定された場合、すなわち、規定時間Tbが経過する前に開操作が終了した場合、ステップS111乃至S117の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。
【0249】
以上のようにして、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作又は開操作を規定時間Tb以上かつ規定時間Tc未満の間継続して行うことにより、助手席の窓のオート操作を実現することができる。また、助手席の窓の開閉が不連続になることを防止することができる。
【0250】
なお、右後部座席の窓及び左後部座席の窓についても、他席用サブスイッチ91b及び91cに対して同様の操作を行うことによりオート操作を実現することができる。
【0251】
<2.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0252】
以上の説明では、他席の窓の数が3つである例を示したが、他席の窓の数は任意に設定することが可能である。そして、他席の窓の数に応じて、モータ13、他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35の数を増減させるようにすればよい。
【0253】
また、メインリレー14の代わりに、例えば、マニュアルのスイッチを用いたり、イグニッションスイッチ16を直接用いたりすることも可能である。
【0254】
さらに、以上の説明では、オート閉操作及びオート開操作の検出に用いる規定時間Ta乃至Tcを、オート閉操作とオート開操作で同じ時間に設定する例を挙げたが、異なる時間に設定するようにすることも可能である。
【0255】
また、オート閉操作とオート開操作の検出方法は、必ずしも合わせる必要はない。例えば、他席用サブスイッチ91に対する閉操作の操作時間が規定時間Ta以上である場合、オート閉操作が行われたと判定するとともに、他席用サブスイッチ91に対する開操作の操作時間が規定時間Tb以上規定時間Tc未満である場合、オート開操作が行われたと判定するようにしてもよい。
【0256】
また、モータ13のモータ電流の検出に用いる抵抗器(モータ電流検出部)の位置は、上述した位置に限定されるものではない。例えば、リレー接点81YUaの端子bとグラウンドとの間に抵抗器を設け、さらに81YDaの端子bとグラウンドとの間にも抵抗器設けて、各抵抗器に増幅回路を接続することにより、モータ13aのモータ電流の検出を行うことが可能である。或いは、例えば、リレー接点81YUaの端子cと接点91Uaの端子bとの間に抵抗器を設け、さらに81YDaの端子cと接点91Daの端子bとの間にも抵抗器設けて、各抵抗器に増幅回路を接続することにより、モータ13aのモータ電流の検出を行うことが可能である。すなわち、他席用モータ13に流れる電流の経路上であれば、どこに抵抗器を設けてもよい。
【0257】
さらに、各モータのモータ電流の検出方法は、上述したように抵抗の両端に生じる電圧を測定する以外の方法を採用することも可能である。
【0258】
なお、本発明は、車両の種類によらず、パワーウインドウ機能を有する車両に適用することが可能である。
【0259】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。