(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動販売機など紙幣の取り扱いを可能とする各種機器では、紙幣の真贋判定に基づいて適正な紙幣のみ受け付けることが行われている。従来、紙幣の判定は、紙幣に印刷された印刷模様や、印刷の色味などに基づいて行われている。
【0003】
従来、紙幣識別装置は装置内に設けられた紙幣搬送通路の側壁に光センサを設け、ベルトやローラなどの搬送手段によって紙幣搬送通路内へ紙幣を搬送させ、搬送中の紙幣に対し、光センサによって紙幣を走査することで、走査方向に沿った複数の紙幣のサンプル情報を取得する。さらに、光センサを複数並べることで、複数ライン分のサンプル情報を取得することが可能となり、紙葉類の識別精度向上が図られる。
【0004】
また、1回の走査で使用する光源には赤色と赤外線の2色を使用することで、光源を時分割で切り替えながら走査し、1回の走査で2種類のサンプル情報を取得することで、識別精度の向上を図ることも行われている。
【0005】
このような紙幣識別装置では、それぞれの光源、ラインで取得したサンプル情報を、予め紙幣識別装置が記憶する正規の紙幣(真券)に対応した情報をパターンマッチングで比較し、差異の大きさにより真偽を判定する選別方法が利用されている。
【0006】
さらに、紙幣の選別方法としては、特許文献1に開示されるように高速フーリエ変換による周波数解析技術を用いた方法がある。
【0007】
また、特許文献1には、発光ダイオードの経年劣化や温度によるリニア増幅回路の温湿度による特性変化の影響を受けないよう、走査方向に平行な一次元データに対し、高速フーリエ変換による周波数解析を用いることで、振幅情報を周波数情報に変換することで、振幅情報の変化による影響を小さくすることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、カラーコピー機による複写精度が向上したことなどを原因として、従来の識別方法(パターンマッチング)では、カラーコピー機で複写された紙幣を真券から識別できないという場合がある。
【0010】
前述したように従来の紙幣識別装置におけるパターンマッチングでは、複数の光センサ、並びに複数色の光源を使用することで、例えば、3ライン×2光源=6種データ、ないしは5ライン×2光源=10種データを取得し、取得した各データを装置内に記憶する基準データを個別に比較し、紙幣の真偽を判別している。近年、偽造防止の観点から紙幣の高精細化は進み、紙幣識別装置に対する識別精度の向上が求められている。このような中、前述した特許文献1に記載の技術では、印刷機が構成する網点情報を取得できる程度に高精細な光学情報や「彫刻凹版印刷とドット印刷とを区別する」ことができる程度に高精
細な光学情報を取得し、その取得した情報に基づいて識別することで、紙幣の識別精度の向上を図ることが可能である。
【0011】
しかしながら、このような識別精度の向上方法は、高精度な光学情報を取得するために従来よりも高精細なセンサが必要とされる。また取得する情報量を増加させるとともに、判別するための処理量が増大することとなり、メモリ容量の増加、高性能なプロセッサが必要とされる。したがって、紙幣識別装置の製造コストを増加させる要因となる。
【0012】
本発明は、製造コストを抑えつつ紙幣を含む紙葉類の識別精度向上を図る紙葉類識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのため本発明に係る紙葉類識別装置は、以下の事項を特徴とするものである。
搬送手段と、複数の光センサ部と、制御手段と、を備え、
前記搬送手段は、識別対象となる紙葉類を搬送し、
前記各光センサ部は、発光素子と受光素子の組み合わせで構成され、前記搬送手段の搬送方向とは異なる方向に配置され、
前記制御手段は、
前記搬送手段に紙葉類を搬送させつつ、各前記光センサ部について、識別対象となる紙葉類の複数のサンプル情報で構成されたサンプル情報列を取得する取得処理と、
各前記光センサ部で取得したサンプル情報列間において、サンプル情報の位置を並べ替えることで、複数のサンプル情報列が統合された統合サンプル情報列を形成する統合処理と、
統合サンプル情報を周波数変換した周波数変換情報に基づいて、識別対象となる紙葉類の真偽を判定する判定処理と、を実行することを特徴とする。
【0014】
さらに本実施形態の紙葉類識別装置において、
前記統合処理は、隣接する前記光センサ部間で取得したサンプル情報が並ぶように、サンプル情報列間において、サンプル情報の位置を並べ替えることを特徴とする。
【0015】
さらに本実施形態の紙葉類識別装置において、
前記光センサ部は、前記発光素子にて紙葉類に照射光を照射し、前記受光素子にて紙葉類の透過光を受光し、サンプル情報を出力することを特徴とする。
【0016】
さらに本実施形態の紙葉類識別装置において、
前記判定処理は、周波数変換情報のピーク周波数を基準情報と比較することで、識別対象となる紙葉類の真偽を判定することを特徴とする。
【0017】
さらに本実施形態の紙葉類識別装置において、
前記判定処理は、周波数変換情報のピーク周波数の振幅を基準情報と比較することで、識別対象となる紙葉類の真偽を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紙葉類識別装置によれば、複数の光センサ部で取得したサンプル情報列を並べ替え、統合サンプル情報列を形成し、統合サンプル情報列に対して周波数変換を施すことで、紙葉類の真偽判定可能な特徴を有する周波数変換情報を取得することが可能となる。したがって従来と同じ数のサンプル情報列を使用しつつ、識別精度の向上を図ることが可能となる。このため高精度な光学情報を取得するためのセンサを搭載する必要がなく、また、サンプル情報を増加させたり、使用するセンサの数を増やす必要が無いので紙葉類識別装置の製造コストを抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置における紙幣搬送の様子を示す上面図
【
図2】本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置の構成を示す側断面図
【
図3】本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置の制御構成を示すブロック図
【
図4】本発明の実施形態に係る光センサ部による走査形態を示す図
【
図5】並べ替え前のサンプル情報(真券)、並びに、その周波数変換情報を示す図
【
図6】本発明の実施形態に係るサンプル情報の並べ替えを説明するための図
【
図7】本発明の他の実施形態に係るサンプル情報の並べ替えを説明するための図
【
図8】並べ替え後のサンプル情報、並びに、その周波数変換情報を示す図
【
図9】並べ替え前のサンプル情報(カラー印刷によって作られた偽札)を示す図
【
図10】並べ替え後のサンプル情報(カラー印刷によって作られた偽札)を示す図
【
図11】真券とカラー印刷によって作られた偽札について並べ替え後のサンプル情報の周波数変換情報を示す図
【
図12】本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置における識別処理を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0020】
では、本発明に係る紙葉類識別装置についてその実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置1における紙幣搬送の様子を示す上面図であり、紙葉類識別装置1に対して、識別対象となる紙幣Bが搬送される様子が示されている。
図1は、紙葉類識別装置1の下部構成について、その上面図を示している。なお、本発明に係る紙葉類識別装置において、識別対象とする紙葉類は、このような紙幣以外に、金券、証券、クーポン券のような各種有価証券など各種紙葉類を対象とすることが可能である。
【0021】
紙葉類識別装置1では、紙幣Bを搬送手段としての駆動ローラ42A〜42Dが設けられている。紙幣識別装置1に挿入された紙幣Bは、この駆動ローラ42A〜42Dと、それぞれに対向する対向ローラ43A〜43Dとの間で、紙幣Bの上下部分が挟持され、図中、左方向に搬送される。紙葉類識別装置1において、紙幣Bの搬送路を形成する一方の搬送路には、紙幣Bのパターンを識別するため、紙幣Bの搬送方向に直交する方向に並ぶ5個の光センサ部20A〜20Eが設けられている。5個の光センサ部20A〜20Eは、識別対象となる紙幣Bの幅方向の異なる位置の特徴部分を検出するべく、特徴部分に応じた位置にそれぞれ配置される。
【0022】
紙幣Bの真偽判定は、この5個の光センサ部20A〜20Eを使用して実行される。
図2は、本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置1の構成を示す側断面図である。ちょうど、
図1の紙葉類識別装置1を横方向から見て、センサ部20A付近で切断したときの断面図となっている。紙葉類識別装置1は、搬送手段、光センサ部20(光センサ部20A〜20Eは同様の構成であるため、以後、何れか1つの光センサ部について説明を行う場合、20A〜20E中の符号A〜Eを略して示す。)を含んで構成されている。この他、搬送手段、光センサ部20の制御、並びに、光センサ部20からの出力など、紙葉類の特徴に基づいて紙葉類の真偽を識別する制御手段を有している。
【0023】
図2には、2つの駆動ローラ42A、42Bが図示されている。この駆動ローラ42A、42Bと対向して、対向ローラ43A、43Bが配置されている。駆動ローラ42A、42Bは、モータなどの駆動手段にて図示する矢印の方向に回転する。また、対向ローラ43A、43Bは、この駆動ローラ42A、43Bに当接する位置に配置され、紙葉類識別装置1に挿入された紙幣Bを図中、左方向に搬送する。
【0024】
紙葉類識別装置1には、対向する2つの搬送路壁11A、11Bによって紙幣Bが通過
する搬送路が形成されている。この搬送路の一方(搬送路壁11B側)には、基板22に配置された発光素子21(本実施形態ではLEDを使用)が配置されている。発光素子21は、その発光面が搬送路壁11Bに設けられた開口に面するように配置されている。本実施形態の発光素子21は、1種類の発光色を照射するものを使用しているが、発光素子21は異なる複数の発光色を照射可能、あるいは、光センサ部20は発光色の異なる複数の発光素子21を備えることとしてもよい。複数の発光色を照射する場合には複数の発光色を時分割で照射することで、発光色毎の紙幣Bの特性を取得することが可能となる。
【0025】
この搬送路の他方(搬送路壁11A側)には、基板24上に配置された受光素子23が配置されている。この受光素子23には、紙幣Bを透過した透過光の明暗強度を検出可能なフォトディテクタ(PD)を使用している。本実施形態では、発光素子21が射出する光の周波数領域を有する受光素子23を使用している。発光素子21から照射された照射光は、搬送路中を搬送される紙幣Bを透過して、受光素子23にて受光され、受光出力信号として変換出力される。受光素子23から出力された受光出力信号は、図示しない制御手段にて、紙幣Bの特徴検出に使用される。
【0026】
このように本実施形態の紙葉類識別装置1の光センサ部20は、紙幣Bの一方の面に光を照射し、他方の面からの透過光を受光する透過型タイプを採用している。光センサ部20は、この透過型タイプの他、紙幣Bの一方の面に光を照射し、同じ面側で反射光を受光する反射型タイプとしてもよい。
【0027】
図3には、本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置1の制御構成を示すブロック図が示されている。本実施形態の紙葉類識別装置1は、発光素子21と受光素子23を含む光センサ部20、光センサ部20からの受光出力信号を増幅するアンプ24、制御部30を備えて構成されている。なお、この制御構成では、1個の光センサ部20のみを示しているが、
図1のように5個の光センサ部20A〜20Eを有する場合、制御部30は、各光センサ部20A〜20Eの発光を制御するとともに、受光した受光出力信号を入力する。
【0028】
制御部30は、CPU31と、DSP35を有して構成されている。このCPU31とDSP35は、通信インターフェイス34、36を介して情報の送受信を可能としている。CPU31とDSP35は、ROM、RAMなどの記憶手段が一体化された中央演算手段であり、記憶手段に記憶するプログラム、各種データに基づいて各種演算を実行可能としている。なお、図示しないが、この制御部30は、搬送手段の駆動ローラ42A〜42Dを制御し、識別対象となる紙幣Bの搬送を行っている。
【0029】
このCPU31には、さらに発光素子21の照射光を制御するD/Aコンバータ32と、受光素子23の透過光を受信し、サンプル情報に変換するA/Dコンバータ33が設けられている。DSP35は、周波数変換処理にかかる時間を短縮するため設けられたものであり、周波数変換手段としてのFFT演算部37を有し、CPU31にて取得したサンプル情報に対して周波数変換(FFT:高速フーリエ変換)を施し周波数変換情報を出力する。CPU31は、通信インターフェイス34を介して受信した周波数変換情報に基づき、識別対象となった紙幣Bの真偽判定を行う。
【0030】
図4は、本発明の実施形態に係る光センサ部20による走査形態を示す図である。
図1、
図2で説明した紙葉類識別装置1中、各光センサ部20A〜Eは、紙幣Bを横方向に走査し、制御部30は、走査位置に基づくサンプル情報U(電圧値)を出力する。
図4には、各光センサ部20A〜20Eから取得した各サンプル情報Uがグレーの四角で示されている。例えば、最も上段に位置する光センサ部20Aは、紙幣Bの横方向に複数のサンプル情報Uが並んだサンプル情報列A1を出力する。同様に、光センサ部20B、20C、20D、20Eは、それぞれサンプル情報列A2〜A5を出力する。なお、図では各サン
プル情報列A中のサンプル情報Uは、隣接して取得されているが、各サンプル情報U間が離散した形態で取得することとしてもよい。
【0031】
従来の紙葉類識別装置では、このように取得した各サンプル情報列A1〜A5に対してFFTなどの周波数変換処理を施すものであった。
図5(A)には、ある紙幣B(真券)について各サンプル情報列A1〜A5が示されている。
図5(B)には、当該紙幣B(真券)の各サンプル情報列A1〜A5について周波数変換(FFT)を施した各周波数変換情報A1〜A5が示されている。
【0032】
図5(A)の各サンプル情報列A1〜A5は、なだらかな変化ではあるものの、それぞれが紙幣Bの特徴を示したものとなっている。一方、各サンプル情報列A1〜A5が周波数変換された
図5(B)の周波数変換情報をみると、サンプル情報列A1〜A5がなだらかな変化であるため、略低周波数成分に集約され、紙幣Bの真偽判定に使用できるポイントが欠如したものとなっている。このため、紙幣Bの真偽判定に使用できる特徴を有する周波数変換情報を取得出来ないので、真偽判別が出来ない。
【0033】
本実施形態の紙葉類識別装置1は、このような状況を鑑み、
図4で取得した各光センサ部20A〜20Eのサンプル情報列A1〜A5を使用し、紙幣Bの真偽判定に使用できる特徴を有する周波数変換情報を取得するものである。そのため、取得したサンプル情報列A1〜A5はそのままに、その並べ替えを行うことで、真偽判定のための特徴を形成することとしている。
【0034】
図6は、本発明の実施形態に係るサンプル情報の並べ替えを説明するための図である。
図6は、
図4で説明した左端を拡大したものであって、
図4と同様、グレーの四角でサンプル情報Uが示されている。並べ替えは、このサンプル情報Uの四角内に示される数字の順で行うこととしている。並べ替え処理は、各サンプル情報列A1〜A5間においてサンプル情報の位置を並べ替え、1の統合サンプル情報を形成する。したがって、この並べ替えはサンプル情報列A1〜A5を統合する統合処理ということもできる。本実施形態では、紙幣Bの横方向に走査されたサンプル情報列A1〜A5中のサンプル情報Uを、紙幣Bの縦方向(幅方向)に並べ替えている。
図6の並べ替え形態では、紙幣Bの上から下の一方向に並べ替えた形態となっているが、
図7に示すように、紙幣Bの幅端部側で折り返すように並べ替える形態としてもよい。
【0035】
本実施形態では、各サンプル情報列A1〜A5中のサンプル情報Uの数を60個としているため、並べ替えで形成された統合サンプル情報列は300個のサンプル情報Uを含んで構成される。この統合サンプル情報列に対してFFTなどの周波数変換を施すことで、紙幣Bの真偽判定に使用される周波数変換情報が算出される。
【0036】
図8(A)は、並べ替え後のサンプル情報(統合サンプル情報列)であり、
図8(B)は、並べ替え後のサンプル情報に対して周波数変換を施した周波数変換情報を示す図である。
図8(A)にみられるように統合サンプル情報列は、サンプル情報Uの周期的な変動を伴っていることが分かる。したがって、
図8(B)の周波数変換情報には、この周期的な変動を特徴付ける2つの大きな振幅が現れたものとなる。この突出部分をそれぞれ、第1ピーク、第2ピークと呼ぶこととする。
【0037】
ここで、第1ピーク、第2ピークの振幅値は紙幣Bの幅方向に隣り合うサンプル情報Uの差を積算した値ともいえ、識別対象となる紙幣Bが真券の場合、略同じ振幅値となる。このことから、本実施形態では、第1ピーク、第2ピークの値と、予めCPU31内の記憶部に記憶してある周波数基準情報と比較し、周波数基準情報の範囲内である場合、真券と判定し、どちらか一方でも周波数基準情報の範囲外の場合、偽券と判定する。
【0038】
周波数変換情報と周波数基準情報との比較は、ピーク周波数、ピーク周波数における振幅の比較、少なくとも一方で行うことが可能である。また、振幅の比較を行う場合、複数のピーク周波数における振幅の比で判定することとしてもよい。このような形態では、発光素子21の照射光強度の変化など、光センサ部20などの特性が変化した場合においても、精度の高い真偽判定を行うことが可能となる。
【0039】
図9には、偽券(カラー印刷によって作られた偽札)について並べ替え前のサンプル情報列を示した図であり、
図10は、当該偽券(カラー印刷によって作られた偽札)について並べ替え後のサンプル情報(統合サンプル情報列)を示す図である。
図5(A)の真券の各サンプル情報列と
図9の偽券の各サンプル情報列を比較した場合、偽券の方がやや透過度が落ちている程度の違いであるため、単純なパターンマッチングでは類似と判断してしまう。
【0040】
一方、
図8(A)に示す真券の統合サンプル情報列と
図10に示す偽券(カラー印刷によって作られた偽札)の統合サンプル情報列を比較した場合、
図10の偽券(カラー印刷によって作られた偽札)の周期的な振幅変動は、
図8(A)の周期的な振幅変動よりも小さくなっていることが分かる。この振幅変動は、各統合サンプル情報列に対して周波数変換(FFT:高速フーリエ変換)を施すことで顕著となる。
図11には、
図8(A)に示す真券の統合サンプル情報列と、
図10に示す偽券(カラー印刷によって作られた偽札)の統合情報サンプル列に対して周波数変換を施した周波数特性情報を並べて示したものである。この例では、真券と偽券の間において明らかに第1ピーク1の振幅が異なっている。したがって、
図9、
図10で示した(統合)サンプル情報列は、偽券であることが判別される。
【0041】
図12は、本発明の実施形態に係る紙葉類識別装置1において上述した真券と偽券の識別を行う識別処理を示したフロー図である。紙葉類識別装置1に対して紙幣Bが挿入されたことを検出すると、制御部30は、各光センサ部20A〜20Eに基づいて取得されたCPU31内の記憶手段にサンプル情報列A1〜A5を記憶する取得処理を実行する(S101)。なお、紙幣Bの識別精度を向上させるため、各光センサ部20A〜20Eで取得したサンプル情報列、もしくは、光センサ部20A〜20E以外のセンサで取得したサンプル情報(S102)に基づいて他パターン識別処理(S200)を実行することとしてもよい。
【0042】
本実施形態では、S101で取得したサンプル情報列A1〜A5に対してパターンマッチングすることで、紙幣Bの挿入方向を判定している(S103)。紙幣Bの挿入方向の判定は、光センサ部20A〜20E以外の他のセンサで行うこととしてもよい。
【0043】
S104では、S103で判定した紙幣Bの挿入方向に対応した判定基準となる基準周波数情報を読み出す(S104)。紙幣Bの挿入方向は、上下表裏共に正転、上下正転表裏反転、上下反転表裏正転、上下表裏共に反転の4つのパターンが想定される。したがって、基準周波数情報はこれら4つのパターンに応じたものが用意される。
【0044】
S105では、
図6、
図7で説明したように、各光センサ部20A〜20Eから取得したサンプル情報列A1〜A5を並べ替え、統合サンプル情報列を形成する統合処理を実行する。S106では、S105で形成された統合サンプル情報列に対して周波数変換を施して周波数変換情報を算出する。本実施形態では、周波数変換にFFT(高速フーリエ変換)を使用しているため、統合サンプル情報列のサンプル情報U(本実施形態では300個)中、FFTに適した所定数(256個)となるよう、所定のサンプル情報Uを抽出した上で実行している。
【0045】
S107では、S106で算出した統合サンプル情報列の周波数変換情報と、S104で読み出した基準周波数情報を対比することで紙幣Bの真偽を判定する判定処理を行っている。本実施形態の基準周波数情報には、ピーク周波数と当該ピーク周波数の振幅が規定されており、S108ではピーク周波数を、S109ではピーク周波数での振幅が所定範囲内にあるか否かを判定している。なお、判定対象とするピーク周波数は1つでも、
図11で説明したように複数であってもよい。周波数変換情報が基準周波数情報で規定する条件を1つでも満たさない場合(S108:NoもしくはS109:No)には、識別対象としている紙幣Bは偽券と判定される(S112)。一方、全ての条件を満足した場合(S108:YesかつS109;Yes)には、当該紙幣Bは真券と判定される(S111)。この場合、他パターン識別処理S200を実行している場合には、他パターン識別処理S200も真である(S110:Yes)必要がある。
【0046】
以上、本実施形態の紙葉類識別装置は、複数の光センサ部で取得したサンプル情報列を並べ替え、統合サンプル情報列を形成し、統合サンプル情報列に対して周波数変換を施すことで、紙葉類の真偽判定可能な特徴を有する周波数変換情報を取得することが可能となる。したがって従来と同じ数のサンプル情報列を使用しつつ、識別精度の向上を図ることが可能となる。また、サンプル情報を増加させたり、使用するセンサの数を増やしたりする必要が無く、紙葉類識別装置の製造コストを抑えることも可能となる。
【0047】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。