(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トレッドを有する空気式または非空気式タイヤであって、前記トレッドが、少なくとも1つの内部空洞内に、エラストマーコアと該エラストマーコアを取囲むシースとを含む複合コードを含むことおよび前記シースが、らせん状に絡み合せた不連続繊維から製造した中空円筒状組紐であり、前記複合コードと前記トレッドとの間にゴムブリッジが存在することを特徴とする前記空気式または非空気式タイヤ。
前記組紐の繊維が、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(エーテル-ケトン)、ポリエーテルイミド、ポリ(アミド-イミド)、ポリイミド、熱可塑性エラストマー、これらの混合物およびこれらのアロイからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載のタイヤ。
前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項5記載のタイヤ。
前記エラストマーコアが少なくとも1種の熱可塑性エラストマーをベースとし、該熱可塑性エラストマーが少なくとも1個の不飽和エラストマーブロックと少なくとも1個の熱可塑性ブロックとを含むブロックコポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項記載のタイヤ。
前記1種以上の熱可塑性エラストマーが、スチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)およびスチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)熱可塑性エラストマー、並びにこれらコポリマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項11記載のタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本説明においては、特に明確に断らない限り、パーセント(%)は、全て質量%である。
さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
用語“phr”は、エラストマー100質量部当りの質量部を意味するものと理解されたい。
【0024】
“ベースとする組成物”なる表現は、使用する各種構成成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味するものと理解されたい;これらベース構成成分のある種のものは、上記組成物の種々の製造段階において、特に、その製造および架橋または加硫中に、少なくとも部分的に互いに反応し得るか或いは反応するように意図する。
【0025】
使用する測定および試験法
充填剤の特性決定
d
wで示すナノ粒子の(質量)平均粒度は、通常、水または界面活性剤を含有する水溶液中の分析すべき充填剤の超音波解凝集による分散後に測定する。
【0026】
シリカのような無機充填剤においては、測定は、Brookhaven Instruments社から販売されている“XDC”(X線ディスク遠心分離) X線検出遠心分離沈降速度計を使用して、以下の手順に従って実施する。40mlの水中の分析すべき無機充填剤の3.2gのサンプルの懸濁液を、1500W超音波プローブ(Bioblock社から販売されている3/4インチ(19.05mm)Vibracellソニケーター)の60%出力(“出力制御”の最高位置の60%)において、8分間継続する作用によって調製する;音波処理後、15mlの上記懸濁液を、上記回転ディスク中に導入する;120分間の沈降後に、粒子の粒度の質量分布および質量平均粒度d
wを、上記XDC沈降速度計のソフトウェアによって算出する(d
w = Σ(n
i×d
i5) / Σ(n
i×d
i4) (n
iは、サイズまたは直径階級d
iを有する物体数である)。
【0027】
カーボンブラックにおいては、上記手順を、15%のエタノールと0.05%のノニオン界面活性剤を含む水溶液(容量%)によって実施した。測定は、DCPタイプの遠心分離光沈降速度計(Brookhaven Instruments社から販売されているディスク遠心分離光沈降速度計)を使用して実施する。10mgのカーボンブラックの懸濁液を、前以って、15%のエタノールと0.05%のノニオン界面活性剤を含む40mlの水溶液(容量%)中で、600W超音波プローブ(Bioblock社から販売されているVibracell 1/2インチ(12.7mm)ソニケーター)の60%出力(即ち、“勾配振幅”の最高位置の60%)において、10分間継続する作用によって調製する。音波処理中に、15mlの水(0.05%のノニオン界面活性剤を含む)と1mlのエタノールからなる勾配を、上記沈降速度計の回転ディスク中に、8000回転/分で注入して“段階勾配”形成させる。その後、0.3mlの上記カーボンブラック懸濁液を、上記勾配の表面に注入する;120分間継続する沈降後に、粒度の質量分布および質量平均粒度d
wを、上述のようにして、上記沈降速度計のソフトウェアによって算出する。
【0028】
シース
本発明に従う複合コードの第1の本質的特徴は、らせん状に絡み合せた不連続繊維から製造した中空円筒状組紐からなるシースを含むことである。このシースは、上記複合コードのエラストマーコアを包囲している。
【0029】
上記組紐は、例えば、上記組紐の母線に対してある角度をなして配置した2連の交差状繊維から形成する。上記不連続繊維は、これら繊維の間に、上記組紐のその母線方向の伸びの関数としての特に組紐直径の大きな変形性を上記組紐に付与している空きを形成している。
【0030】
また、これらの空きは、上記空気式タイヤトレッドの空洞内の上記コードの加硫中に、上記複合コードのエラストマーコアと上記トレッドの隣接混合物間の直接の接触、ひいては上記複合コードのその周辺全体に亘っての濃密且つ均質な機器的固着を確保するゴムブリッジの形成を可能にするという利点も有する。
【0031】
好ましくは、上記組紐の繊維の形状およびそれら繊維の集成は、上記空きの表面積が上記組紐の表面積の5%と30%の間にあるような形状と集成である。5%よりも低いと、ゴムブリッジ数はトレッド内での上記コードの良好な固着を確保するには不十分となり、30%よりも高いと、特定の工具無しで再溝付け用コードをトレッドから引抜くことが困難になる。極めて好ましくは、上記空きの表面積は、上記組紐の表面積の10%と20%の間である。
【0032】
これらの組紐は、伸長可能な直径を有する。これらの組紐は、通常、円形または平坦断面を有する熱可塑性モノフィラメントからブレイズする。
好ましくは、上記組紐の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(エーテル‐ケトン)、ポリエーテルイミド、ポリ(アミド‐イミド)、ポリイミド、熱可塑性エラストマー、これらの混合物およびこれらの合金(アロイ)からなる群から選ばれる。
【0033】
ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6およびこれらの混合物のような脂肪族ポリアミドの群から選らばれる。
また、ポリアミドは、ポリ(メタキシリレン) (MXD‐6)、ポリフタルアミド、コポリアミドおよびこれらの混合物のような半芳香族ポリアミドの群から選ばれる。
【0034】
好ましくは、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0035】
また、有利には、上記組紐を形成するための繊維としては、ポリ(エーテルブロック‐アミド) (PEBA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エーテル‐エステルコポリマー(COPE)およびこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性エラストマーの繊維も選択し得る。
好ましくは、エーテル‐エステルコポリマー(COPE)は、ポリエステル‐エーテルおよびポリエステル‐エステルから選ばれる。
【0036】
そのような伸長性組紐は、周知であって、商業的に入手可能である。例えば、Gremco社は、ポリアミド6,6モノフィラメントから製造した膨張性編み加工管状組紐をGremflex (登録商標) PA6.6ブランドとして販売している。単対物双眼顕微鏡を使用して観察すれば、上記組紐の所定表面積に対する空きの平均表面積は、容易に判定可能である。この平均値は、この特定の例においては、15%程度である(
図17参照)。また、Gremco社は、数ある中でも、PBTポリエステルモノフィラメントから製造した同様な組紐もGremflex (登録商標) FRブランドとして販売している。
【0037】
エラストマーコア
本発明に従う複合コードの第2の本質的特徴は、エラストマーコアを含むことである。
第1の実施態様によれば、このエラストマーコアの組成物は、ジエンエラストマーをベースとする。好ましくは、該組成物は30phrよりも多いAで示す充填剤を含み、この充填剤の粒子は500nmよりも小さい質量平均粒度を有するナノ粒子である。
【0038】
ジエンエラストマー
用語“ジエンエラストマー”または“ジエンゴム”は、知られている通り、ジエンモノマー(2個の共役型または非共役型炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも一部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
【0039】
上記エラストマーコアのジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる高不飽和ジエンエラストマーの群から選択する。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択する。
【0040】
特に適しているのは、4%と80%の間の1,2‐単位含有量(モル%)を有するポリブジエンまたは80%よりも多いシス‐1,4‐単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、0℃と−70℃の間、特に−10℃と−60℃の間のTg (ガラス転移温度;ASTM D3418に従い測定)、5質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のスチレン含有量、4%と75%の間のブタジエン成分1,2‐結合含有量(モル%)および10%と80%の間のトランス‐1,4‐結合含有量(モル%)を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のTgを有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および−25℃と−50℃の間のTgを有するコポリマーである。
【0041】
ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合は、5質量%と50質量%の間、特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2‐単位含有量(モル%)、6%と80%の間のブタジエン成分トランス‐1,4‐単位含有量(モル%)、5%と70%の間のイソプレン成分1,2‐+3,4‐単位含有量(モル%)および10%と50%の間のイソプレン成分トランス‐1,4‐単位含有量(モル%)を有するコポリマー、さらに一般的には、−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが特に適している。
【0042】
特定の実施態様によれば、上記ジエンエラストマーは、主として(即ち、50phrよりも多くにおいて)、SBR (エマルジョン中で調製したSBR (“ESBR”)または溶液中で調製したSBR (“SSBR”)のいずれか)であるか、或いはSBR/BR、SBR/NR (またはSBR/IR)、またはBR/NR (またはBR/IR)、またはSBR/BR/NR (またはSBR/BR/IR)のブレンド(混合物)である。SBR (ESBRまたはSSBR)エラストマーの場合、特に、例えば20質量%と35質量%の間の中程度のスチレン含有量または例えば35質量%〜45質量%の高スチレン含有量、15%と70%の間のブタジエン成分ビニル結合含有量、15%と75%の間のトランス‐1,4‐結合含有量(モル%)および−10℃と−55℃の間のTgを有するSBRを使用する;そのようなSBRは、有利には、好ましくは90%(モル%)よりも多いシス‐1,4‐結合を有するBRとの混合物として使用し得る。
【0043】
もう1つの特定の実施態様によれば、上記ジエンエラストマーは、主として(50phrよりも多くにおいて)、イソプレンエラストマーである。用語“イソプレンエラストマー”とは、知られている通り、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、各種イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。イソプレンコポリマーのうちでは、特に、イソブテン/イソプレンコポリマー(ブチルゴム;IIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)が挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス‐1,4‐ポリイソプレンである;これらの合成ポリイソプレンのうちでは、好ましくは90%よりも多い、さらにより好ましくは98%よりも多いシス‐1,4‐結合含有量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。
【0044】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、上記エラストマーコアは、−70℃と0℃の間のTgを示す1種以上の“高Tg”ジエンエラストマーと−110℃と−80℃の間、より好ましくは−105℃と−90℃の間の1種以上の“低Tg”ジエンエラストマーとのブレンドを含む。高Tgエラストマーは、好ましくは、S‐SBR、E‐SBR、天然ゴム、合成ポリイソプレン(好ましくは95%よりも高いシス‐1,4‐連鎖化物(enchainment)含有量(モル%)を示す)、BIR、SIR、SBIRおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれる。低Tgエラストマーは、好ましくは、少なくとも70%に等しい含有量(モル%)に従うブタジエン単位を含む;低Tgエラストマーは、好ましくは、90%よりも多いシス‐1,4‐連鎖化物含有量(モル%)を示すポリブタジエン(BR)からなる。
【0045】
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、上記エラストマーコアのゴム組成物は、例えば、30〜100phr、特に50〜100phrの高Tgエラストマーを、0〜70phr、特に0〜50phrの低Tgエラストマーとのブレンドとして含む;もう1つの例によれば、上記ゴム組成物は、100phrの全体において、溶液中で調製した1種以上のSBRを含む。
【0046】
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、上記エラストマーコアの組成物のジエンエラストマーは、90%よりも多いシス‐1,4‐連鎖化物含有量(モル%)を示すBR(低Tgエラストマーとして)と1種以上のS‐SBRまたはE‐SBR(高Tgエラストマーとして)とのブレンドを含む。
【0047】
本発明に従って配合した組成物は、単独のジエンエラストマーまたは数種のジエンエラストマーの混合物を含み得、これらの単独または複数のジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと、実際にはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーとさえ組合せて使用することが可能である。
【0048】
充填剤A
タイヤトレッドの製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの補強用充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、シリカのような補強用無機充填剤、またはこれら2つのタイプの充填剤のブレンド、特にカーボンブラックとシリカとのブレンドを使用することができる。
【0049】
全てのカーボンブラック、特に、タイヤのトレッドにおいて通常使用するブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。後者のうちでは、さらに詳細には、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラック類のような100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類(ASTM級)が、或いは、目標とする用途次第では、より高級シリーズのブラック類(例えば、N660、N683またはN722)も挙げられる。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、イソプレンエラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
【0050】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO‐A‐2006/069792号およびWO‐A‐2006/069793号に記載されているような官能化ポリビニル芳香族有機充填剤を挙げることができる。
【0051】
用語“補強用無機充填剤”は、本特許出願においては、定義によれば、カーボンブラックと対比して、“白色”充填剤、“透明”充填剤として、実際には“非黒色”充填剤としてさえも知られており、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤの製造を意図するゴム組成物を補強し得る、換言すれば、その補強役割において、通常のタイヤ級カーボンブラックと置換わり得る、任意の無機または鉱質充填剤(その色合およびその由来(天然または合成)の如何にかかわらない)を意味するものと理解すべきである;そのような充填剤は、一般に、知られているとおり、その表面でのヒドロキシル(‐OH)基の存在に特徴を有する。
【0052】
補強用無機充填剤を供給する物理的状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒、球体または任意の他の適切な高密度化形のいずれの形状であれ重要ではない。勿論、用語“補強用無機充填剤”は、種々の補強用無機充填剤、特に、下記で説明するような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤の混合物を意味することも理解されたい。
【0053】
補強用無機充填剤として特に適しているのは、シリカ質タイプの鉱質充填剤、特にシリカ(SiO
2)、またはアルミナ質タイプの鉱質充填剤、特にアルミナ(Al
2O
3)である。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m
2/g未満、好ましくは30〜400m
2/gであるBET比表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降またはヒュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)としては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;または、出願 WO 03/16837号に記載されているような高比表面積を有するシリカ類が挙げられる。
【0054】
使用する補強用無機充填剤は、特にシリカである場合、好ましくは45m
2/gと400m
2/gの間、より好ましくは60m
2/gと300m
2/gの間のBET比表面積を有する。
好ましくは、上記エラストマーコアにおいては、補強用充填剤A全体(カーボンブラックおよび/またはシリカのような補強用無機充填剤)の含有量は、30phrよりも多く、より好ましくは40phrと100phrの間の量である;この含有量は、上記コードのエラストマーコアに、低ヒステリシスを保持しながら、良好な耐クラッキング性を付与することを可能にする。
好ましくは、上記ナノ粒子の(質量)平均粒度は、20nmと200nmの間、より好ましくは20nmと150nmの間である。
【0055】
知られている通り、補強用無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングさせるためには、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学的および/または物理的性質の満足し得る結合を付与することを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)、特に、二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
【0056】
特に、例えば出願 WO03/002648号(またはUS 2005/016651号)およびWO03/002649号(またはUS 2005/016650号)に記載されているような、その特定の構造によって“対称形”または“非対称形”と称するシランポリスルフィドを使用する。
【0057】
特に適するのは、以下の定義に限定されることなく、下記の一般式(I)に相応する“対称形”として知られるシランポリスルフィドである:
(I) Z ‐ A ‐ S
x ‐ A ‐ Z
[式中、xは、2〜8 (好ましくは2〜5)の整数であり;
Aは、2価の炭化水素基(好ましくは、C
1〜C
18アルキレン基またはC
6〜C
12アリーレン基、特にC
1〜C
10、特にC
1〜C
4アルキレン基、特にプロピレン)であり;
Zは、下記の式の1つに相応する:
【化1】
(式中、R
1基は、置換されているかまたは置換されてなく、互いに同一かまたは異なるものであって、C
1〜C
18アルキル基、C
5〜C
18シクロアルキル基またはC
6〜C
18アリール基(好ましくはC
1〜C
6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、特にC
1〜C
4アルキル基、特にメチルおよび/またはエチル)を示し;
R
2基は、置換されているかまたは置換されてなく、互いに同一かまたは異なるものであって、C
1〜C
18アルコキシル基またはC
5〜C
18シクロアルコキシル基(好ましくは、C
1〜C
8アルコキシルおよびC
5〜C
8シクロアルコキシルから選ばれる基、さらにより好ましくはC
1〜C
4アルコキシルから選ばれる基、特にメトキシルおよびエトキシル)を示す)]。
【0058】
さらに詳細には、シランポリスルフィドの例としては、例えば、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが挙げられる。特に、これらの化合物のうちでは、TESPTと略称されるビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、またはTESPDと略称されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを使用する。また、好ましい例としては、特許出願WO 02/083782号(または、US 2004/132880号)に記載されているような、ビス(モノ(C
1〜C
4)アルコキシルジ(C
1〜C
4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド類(特に、ジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド類)、特に、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドも挙げられる。
【0059】
アルコキシシランポリスルフィド類以外のカップリング剤としては、特に、特許出願WO 02/30939号(またはUS 6 774 255号)およびWO 02/31041号(またはUS 2004/051210号)に記載されているような、二官能性POS (ポリオルガノシロキサン)類またはヒドロキシシランポリスルフィド(上記式Iにおいて、R
2 = OH)、或いは、例えば、特許出願WO 2006/125532号、WO 2006/125533号およびWO 2006/125534号に記載されているような、アゾジカルボニル官能基を担持するシランまたはPOS類が挙げられる。
【0060】
本発明の主題に従うエラストマーコア組成物においては、カップリング剤の含有量は、好ましくは3phrと12phrの間、より好ましくは4phrと9phrの間の量である。
【0061】
当業者であれば、もう1つの性質、特に、有機性を有する補強用充填剤を、この項において説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面上に、上記充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位、特にヒドロキシルを含むかを条件として使用し得ることを理解されたい。
【0062】
各種添加剤
また、上記エラストマーコアのゴム組成物は、例えば、顔料;オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;疲労防止剤;補強用樹脂;例えば出願WO 02/10269号に記載されているような、メチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M);イオウもしくはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドをベースとする架橋系;加硫促進剤または加硫活性化剤のような、タイヤの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の全部または1部も含み得る。
【0063】
また、上記エラストマーコアの配合物は、カップリング剤以外に、カップリング活性化剤、無機充填剤用の被覆剤、或いは、より一般的には、知られている通り、ゴムマトリックス中での無機充填剤の分散性を改良し組成物の粘度を低下させることによって、生状態における組成物の加工の容易性を改良することのできる加工助剤も含み得る;これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シラン;ポリオール;ポリエーテル;第一級、第二級または第三級アミン;または、ヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
【0064】
また、上記エラストマーコアは、好ましい非芳香族系または極めて僅かに芳香族系の可塑剤として、ナフテン系オイル、パラフィンオイル、MESオイル、TDAEオイル、エステル可塑剤(例えば、トリオレイン酸グリセリン)、例えば出願WO 2005/087859号、WO 2006/061064号およびWO 2007/017060号に記載されているような、好ましくは30℃よりも高い高Tgを示す炭化水素樹脂、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物も含み得る。そのような好ましい可塑剤の全体的含有量は、好ましくは10phrと100phrの間、より好ましくは20phrと80phrの量、特に10〜50phrの範囲内である。
【0065】
上記可塑化用炭化水素樹脂(“樹脂”なる呼称は、定義によれば、固体化合物について使用されることを思い起すべきである)のうちでは、α‐ピネン、β‐ピネン、ジペンテン、ポリリモネン;或いは、C
5留分ホモまたはコポリマー樹脂、例えば、C
5留分/スチレンコポリマー樹脂またはC
5留分/C
9留分コポリマー樹脂が挙げられる;これらは、単独で、或いは、例えば、MESまたはTDAEオイルのような可塑化用オイルと組合せて使用し得る。
【0066】
上記エラストマーコアの第2の実施態様によれば、このエラストマーコアの組成物は、少なくとも1種の熱可塑性エラストマーをベースとする;該熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個の不飽和エラストマーブロックと少なくとも1個の熱可塑性ブロックとを含むブロックコポリマーである。
【0067】
熱可塑性エラストマー(TPE)
熱可塑性エラストマー(“TPE”と略称する)は、熱可塑性ポリマーとエラストマーとの間の中間の構造を有する。これらは、可撓性エラストマーブロックによって連結された硬質熱可塑性ブロックからなるブロックコポリマーである。
本発明のこの実施態様の実施において使用する熱可塑性エラストマーは、その熱可塑性ブロックおよびエラストマーブロックの化学的性質が変動し得るブロックコポリマーである。
【0068】
TPEの構造
TPEの数平均分子量(Mnで示す)は、好ましくは30 000g/モルと500 000g/モルの間、より好ましくは40 000g/モルと400 000g/モルの間である。上記最低値よりも低いと、TPEのエラストマー鎖間の固着力が、特にその可能性ある希釈(増量剤オイルの存在において)のために影響を受けるリスクが存在する;さらにまた、“高温”性能の低下の結果によって、機器的性質、特に、破断点諸性質に影響を与える加工温度の上昇のリスクも存在する。さらにまた、過度に高い分子量Mnは、使用にとって不利であり得る。従って、50 000〜300 000g/モルの範囲内の値が、特にタイヤ再溝付け用コード組成物におけるTPEの使用にとって特に良好に適していることが判明している。
【0069】
TPEの数平均分子量(Mn)は、立体排除クロマトグラフィー(SEC)により、既知の方法で測定する。例えば、スチレン熱可塑性エラストマーの場合、サンプルを、前以って、約1g/lの濃度でテトラヒドロフラン中に溶解し、その後、溶液を、0.45μmの有孔度を有するフィルターにより、注入前に濾過する。使用する装置は、Waters Allianceクロマトグラフィー系である。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は0.7ml/分であり、系の温度は35℃であり、分析時間は90分である。商品名Styragelを有する直列4本のWatersカラムセット(HMW7カラム、HMW6Eカラムおよび2本のHT6Eカラム)を使用する。ポリマーサンプル溶液の注入容量は、100μlである。検出器はWaters 2410示差屈折計であり、クロマトグラフデータを使用するその関連ソフトウェアは、Waters Milleniumシステムである。算出した平均分子量を、ポリスチレン標準によって得られた較正曲線と対比する。条件は、当業者であれば、調整し得るであろう。
【0070】
TPEの多分散性指数PI (注:PI = Mw/Mn;Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量である)の値は、好ましくは3よりも低く、より好ましくは2よりも低く、さらにより好ましくは1.5よりも低い。
【0071】
本特許出願においては、TPEのガラス転移温度に言及する場合、そのガラス転移温度は、エラストマーブロックに関連するTgに関する。TPEは、好ましくは、好ましくは25℃以下、より好ましくは10℃以下であるガラス転移温度(“Tg”)を示す。これらの最低値よりも高いTg値は、極めて低温で使用するときの上記複合コードのエラストマーコアの性能を低下させ得る;そのような使用においては、TPEのTgは、さらにより好ましくは−10℃以下である。また、好ましくは、TPEのTgは−100℃よりも高い。
【0072】
知られている通り、TPEは、2つのガラス転移温度ピーク(Tg;ASTM D3418に従って測定)、即ち、TPEのエラストマー部分に関連する最低温度およびTPEの熱可塑性部分に関連する最高温度を示す。従って、TPEの可撓性ブロックは、周囲温度(25℃)よりも低いTgによって定義され、一方、硬質ブロックは、80℃よりも高いTgを有する。
【0073】
性質的にエラストマー性および熱可塑性の双方であるためには、TPEは、十分に相いれない各ブロック(即ち、それらそれぞれの分子量、それらそれぞれの極性またはそれらそれぞれのTg値の結果として異なる)を有してエラストマーブロックまたは熱可塑性ブロックのそれら固有の性質を保持しなければならない。
【0074】
TPEは、小個数のブロック(5個未満、典型的には2個または3個)を有するコポリマーであり得、この場合、これらのブロックは、15 000g/モルよりも大きい高分子量を有する。これらのTPEは、例えば、1個の熱可塑性ブロックと1個のエラストマーブロックを含むジブロックコポリマーであり得る。また、これらのTPEは、多くの場合、可撓性セグメントによって連結された2個の硬質セグメントを含むトリブロックエラストマーでもある。硬質および可撓性セグメントは、線状、または星型または枝分れ形状で配置させ得る。典型的には、これらのセグメントまたはブロックの各々は、多くの場合、最低限5個よりも多い、一般的には10個よりも多い基本単位(例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマーにおけるスチレン単位とブタジエン単位)を含む。
【0075】
また、TPEは、多数のより小さなブロック(30個以上、典型的には50〜500個)を含み得、この場合、これらのブロックは、比較的低い、例えば、500〜5000g/モルの分子量を有する;これらのTPEは、この後、マルチブロックTPEと称し、エラストマーブロック/熱可塑性ブロック連鎖化物である。
【0076】
第1の別の形態によれば、TPEは、線状形で提供する。例えば、TPEは、ジブロックコポリマーである:熱可塑性ブロック/エラストマーブロック。また、TPEは、トリブロックコポリマーであり得る:熱可塑性ブロック/エラストマーブロック/熱可塑性ブロック、即ち、中心エラストマーブロックと該エラストマーブロックの2つの末端の各々における2個の末端熱可塑性ブロック。同様に、マルチブロックTPEは、エラストマーブロック/熱可塑性ブロックの線状連鎖化物であり得る。
【0077】
本発明のこの実施態様のもう1つの別の形態によれば、本発明の必要条件において使用するTPEは、少なくとも3本の分岐を含む星型枝分れ形で提供する。例えば、TPEは、その場合、少なくとも3本の分岐を含む星型枝分れエラストマーブロックと、該エラストマーブロックの分岐の各々の末端に位置する熱可塑性ブロックとからなり得る。中心エラストマーの分岐数は、例えば、3〜12本、好ましくは3〜6本の範囲であり得る。
【0078】
本発明のこの実施態様のもう1つの別の形態によれば、TPEは、枝分れまたはデンドリマー形で提供する。TPEは、その場合、枝分れまたはデンドリマーエラストマーブロックと、該デンドリマーエラストマーブロックの各分岐の末端に位置する熱可塑性ブロックからなり得る。
【0079】
エラストマーブロックの性質
TPEのエラストマーブロックは、当業者にとって既知の任意のエラストマーであり得る。これらのブロックは、炭素系鎖を含み得(例えば、ポリイソプレン)、或いは含み得ない(例えば、シリコーン)。これらのブロックは、25℃よりも低い、好ましくは10℃よりも低い、より好ましくは0℃よりも低い、極めて好ましくは−10℃よりも低いTgを有する。
また、好ましくは、TPEのエラストマーブロックのTgは−100℃よりも高い。
【0080】
炭素系鎖を含むエラストマーブロックにおいては、TPEのエラストマー部分がエチレン系不飽和を含まない場合、そのブロックは、飽和エラストマーブロックと称する。TPEのエラストマーブロックがエチレン系不飽和(即ち、炭素‐炭素二重結合)を含む場合、そのエラストマーブロックは、不飽和またはジエンエラストマーブロックと称する。本発明のこの実施態様の関連においては、不飽和エラストマーブロックを選択して、トレッドの隣接混合物との共加硫による良好な機器的結合を可能にする。トレッドの隣接混合物との共加硫は、上記エラストマーコアが適切な加硫系を含まない場合でさえも実施できることに注目すべきである。
【0081】
不飽和エラストマーブロックの場合、TPEのこのエラストマーブロックは、主として、ジエンエラストマーエラストマー成分からなる。用語“主として”とは、エラストマーブロックの総質量に対して最高の質量によるジエンモノマー含有量、好ましくは50%よりも多い、より好ましくは75%よりも多い、さらにより好ましくは85%よりも多い質量による含有量を意味するものと理解されたい。また、不飽和エラストマーブロックの不飽和は、例えば、ポリノルボルネンにおける場合のように、環状タイプの二重結合および不飽和を含むモノマーにも由来し得る。
好ましくは、共役C
4〜C
14ジエンを重合または共重合させてジエンエラストマーブロックを形成することができる。好ましくは、これらの共役ジエン類は、イソプレン、ブタジエン、ピペリレン、1‐メチルブタジエン、2‐メチルブタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、2,4‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、1,3‐ペンタジエン、2‐メチル‐1,3‐ペンタジエン、3‐メチル‐1,3‐ペンタジエン、4‐メチル‐1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ペンタジエン、2,5‐ジメチル‐1,3‐ペンタジエン、2‐メチル‐1,4‐ペンタジエン、1,3‐ヘキサジエン、2‐メチル‐1,3‐ヘキサジエン、2‐メチル‐1,5‐ヘキサジエン、3‐メチル‐1,3‐ヘキサジエン、4‐メチル‐1,3‐ヘキサジエン、5‐メチル‐1,3‐ヘキサジエン、2,5‐ジメチル‐1,3‐ヘキサジエン、2,5‐ジメチル‐2,4‐ヘキサジエン、2‐ネオペンチル‐1,3‐ブタジエン、1,3‐シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、2‐メチル‐1,6‐ヘプタジエン、1,3‐シクロヘキサジエン、1‐ビニル‐1,3‐シクロヘキサジエンまたはそれらの混合物から選ばれる。より好ましくは、上記共役ジエンは、イソプレンまたはブタジエン或いはイソプレンおよび/またはブタジエンを含む混合物である。
【0082】
別の形態によれば、TPEの上記エラストマー部分を形成するために重合させるモノマーは、少なくとも1種の他のモノマーとランダムに共重合させてエラストマーブロックを形成することができる。この別の形態によれば、エラストマーブロックの総単位数に対するエチレン系モノマー以外の重合モノマーのモル画分は、このブロックがそのエラストマー特性を保持するようでなければならない。有利には、この他のコモノマーのモル画分は、0%〜50%、より好ましくは0%〜45%、さらにより好ましくは0%〜40%の範囲にあり得る。
【0083】
例えば、上記第1モノマーと共重合させ得るこの他のモノマーは、上述したようなエチレン系モノマー(例えば、エチレン);ジエンモノマー、特に、上述したような4〜14個の炭素原子を有する共役ジエンモノマー(例えば、ブタジエン);上述したような8〜20個の炭素原子を有するビニル芳香族タイプのモノマーから選択することができ、或いは、酢酸ビニルのようなモノマーも含ませ得る。
【0084】
コモノマーがビニル芳香族タイプである場合、そのコモノマーは、有利には、上記熱可塑性ブロックの総単位数に対して、0%〜50%の、より好ましくは0%〜45%の範囲、さらにより好ましくは0%〜40%の範囲の単位画分を示す。上述したスチレンモノマー、即ち、メチルスチレン、パラ(tert‐ブチル)スチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレンまたはパラ‐ヒドロキシスチレンは、ビニル芳香族化合物として特に適している。好ましくは、ビニル芳香族タイプのコモノマーはスチレンである。
【0085】
本発明のこの実施態様によれば、TPEのエラストマーブロックは、TPEに良好なエラストマー特性と十分な機器的強度を付与するように、全体で、25 000g/モル〜350 000g/モル、好ましくは35 000g/モル〜250 000g/モルの範囲にある数平均分子量(Mn)を示す。
また、エラストマーブロックは、数タイプの上述したようなジエンまたはスチレンモノマーを含むブロックであり得る。
また、エラストマーブロックは、数種の上述したようなエラストマーブロックからなり得る。
【0086】
熱可塑性ブロックの性質
熱可塑性ブロックの定義については、該硬質熱可塑性ブロックのガラス転移温度(Tg)特性を使用する。この特性は、当業者にとって周知である。この特性は、特に、工業的処理(転換)温度を選択することを可能にする。非晶質ポリマー(またはポリマーブロック)の場合は、処理温度は、Tgよりも実質的に高くに選定する。半結晶性ポリマー(またはポリマーブロック)の特定的な場合は、ガラス転移温度よりも高い融点が観察され得る。この場合、当該ポリマー(またはポリマーブロック)における処理温度を選定することを可能にするのはむしろ融点(M.p.)である。従って、この後、“Tg (または、必要な場合のM.p.)”について言及する場合、この温度が処理温度を選定するのに使用する温度であるとみなす必要があろう。
【0087】
本発明のこの実施態様の必要条件に関しては、TPEエラストマーは、80℃以上のTg (または、必要な場合のM.p.)を有し且つ重合モノマーから形成した1個以上の熱可塑性ブロックを含む。好ましくは、この熱可塑性ブロックは、80℃〜250℃で変動する範囲内のTg (または、必要な場合のM.p.)を有する。好ましくは、この熱可塑性ブロックのTg (または、必要な場合のM.p.)は、好ましくは80℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。
【0088】
本発明のこの実施態様の実施に関して定義したようなTPEに対する熱可塑性ブロックの割合は、一方では、上記コポリマーが示さなければならない熱可塑特性によって判定する。80℃以上のTg (または、必要な場合のM.p.)を有する熱可塑性ブロックは、好ましくは、本発明に従うエラストマーの熱可塑特性を保持するに十分な割合で存在する。TPE中での80℃以上のTg (または、必要な場合のM.p.)を有する熱可塑性ブロックの最低含有量は、当該コポリマーの使用条件の関数として変動し得る。他方、空気式タイヤの製造中にTPEが変形する能力も、80℃以上のTg (または、必要な場合のM.p.)を有する熱可塑性ブロックの割合を判定するのに寄与し得る。
【0089】
80℃以上のTg (または、必要な場合のM.p.)を有する熱可塑性ブロックは、種々の性質を有する重合モノマーから形成し得る;特に、これらのブロックは、下記のブロックまたは下記のブロックの混合物を構成し得る;
・ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン);
・ポリウレタン;
・ポリアミド;
・ポリエステル;
・ポリアセタール;
・ポリエーテル(ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンエーテル);
・ポリフェニレンスルフィド;
・ポリフッ化化合物(FFP、PFA、ETFE);
・ポリスチレン(以下で詳細に説明する);
・ポリカーボネート;
・ポリスルホン;
・ポリメチルメタクリレート;
・ポリエーテルイミド;
・熱可塑性コポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)コポリマー。
【0090】
また、80℃以上のTg (または、必要な場合のM.p.)を有する熱可塑性ブロックは、下記の化合物およびそれら化合物の混合物から選ばれるモノマーからも得ることができる:
・アセナフチレン:当業者であれば、例えば、Z. FodorおよびJ.P. Kennedyによる論文Polymer Bulletin, 1992, 29(6), 697‐705を参照し得る:
・例えば、2‐メチルインデン、3‐メチルインデン、4‐メチルインデン、ジメチルインデン、2‐フェニルインデン、3‐フェニルインデンおよび4‐フェニルインデンのような、インデンおよびその誘導体:当業者であれば、例えば、発明者Kennedy、Puskas、KaszasおよびHagerによる特許文献US 4 946 899号;並びに、J. E. Puskas、G. Kaszas、J.P. KennedyおよびW.G Hagerによる文献Journal of Polymer Science, Part A, Polymer Chemistry (1992), 30, 41、およびJ.P. Kennedy、N. MeguriyaおよびB. Keszlerによる文献Macromolecules (1991), 24(25), 6572‐6577を参照し得る;
・イソプレン、この場合、一定数のトランス‐1,4‐ポリイソプレン単位および分子内プロセスによる環状化単位の形成をもたらす:当業者であれば、例えば、G. Kaszas、J.E. PuskasおよびJ.P. Kennedyによる文献Applied Polymer Science (1990), 39(1), 119‐144、およびJ.E. Puskas、G. KaszasおよびJ.P. Kennedyによる文献Macromolecular Science, Chemistry A28 (1991), 65‐80を参照し得る。
【0091】
ポリスチレンは、スチレンモノマーから得られる。用語“スチレン”モノマーは、本説明においては、非置換および置換スチレンを含む任意のモノマーを意味するものと理解すべきである;置換スチレンのうちでは、例えば、メチルスチレン(例えば、o‐メチルスチレン、m‐メチルスチレンまたはp‐メチルスチレン、α‐メチルスチレン、α,2‐ジメチルスチレン、α,4‐ジメチルスチレンまたはジフェニルエチレン)、パラ‐(tert‐ブチル)スチレン、クロロスチレン(例えば、o‐クロロスチレン、m‐クロロスチレン、p‐クロロスチレン、2,4‐ジクロロスチレン、2,6‐ジクロロスチレンまたは2,4,6‐トリクロロスチレン)、ブロモスチレン(例えば、o‐ブロモスチレン、m‐ブロモスチレン、p‐ブロモスチレン、2,4‐ジブロモスチレン、2,6‐ジブロモスチレンまたは2,4,6‐トリブロモスチレン)、フルオロスチレン(例えば、o‐フルオロスチレン、m‐フルオロスチレン、p‐フルオロスチレン、2,4‐ジフルオロスチレン、2,6‐ジフルオロスチレンまたは2,4,6‐トリフルオロスチレン)、またはパラ‐ヒドロキシスチレンを挙げることができる。
【0092】
本発明のこの実施態様好ましい実施態様によれば、TPEエラストマー中のスチレンの質量による含有量は、5%と50%の間の量である。上記最低値よりも少ないと、上記エラストマーの熱可塑特性が実質的に低下するリスクが存在し、一方、推奨する最高値よりも多いと、上記複合コードの弾性が影響を受け得る。これらの理由により、スチレン含有量は、さらに好ましくは、10%と40%の間の量である。
【0093】
本発明のこの実施態様の別の形態によれば、上記で定義したような重合モノマーは、少なくとも1種の他のモノマーと共重合させて、上記で定義したようなTg (または、必要な場合のM.p.)を有する熱可塑性ブロックを形成し得る。
【0094】
例えば、上記重合モノマーと共重合させることのできるこの他のモノマーは、エラストマーブロックに関連した成分において定義したような、ジエンモノマー、特に、4〜14個の炭素原子を有する共役ジエンモノマー、および8〜20個の炭素原子を有するビニル芳香族タイプのモノマーから選択し得る。
【0095】
本発明のこの実施態様によれば、TPEの熱可塑性ブロックは、TPEに良好な弾力性と十分且つタイヤ再溝付け用コードとしての使用と適合する機器的強度とを付与するように、全体で、5 000g/モル〜150 000g/モルの範囲にある数平均分子量(Mn)を示す。
また、上記熱可塑性ブロックは、数種の上記で定義したような熱可塑性ブロックからなり得る。
【0096】
TPEの例
例えば、TPEは、そのエラストマー部分が不飽和であり且つスチレンブロックとジエンブロックを含み、これらのジエンブロックが、特に、イソプレンまたはブタジエンブロックであるところのコポリマーである。さらに好ましくは、このTPEエラストマーは、線状または星型枝分れしているジブロックまたはトリブロックからなる以下の群から選ばれる:スチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)またはこれらコポリマーの混合物。
【0097】
また、例えば、TPEは、例えばスチレン/ブタジエン/ブチレン(SBB)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)またはこれらのコポリマーの混合物のような、そのエラストマー部分が飽和部分と不飽和部分を含む線状または星型枝分れのコポリマーである。
【0098】
商業的に入手可能なTPEエラストマーの例としては、Kuraray社から品名Hybrar 5125としてまたはKraton社から品名D1161として販売されているSISタイプのエラストマー、或いはPolimeri Europa社から品名Europrene SOLT 166として販売されている線状SBSタイプまたはKraton社から品名D1184として販売されている星型枝分れSBSタイプのエラストマーを挙げることができる。また、不飽和でエポキシ化した、例えば、SBSのようなTPEエラストマーも知られており、例えば、Daicel社から“Epofriend”の品名で商業的に入手可能である。
【0099】
TPE量
任意構成成分の他のエラストマーを上記組成物において使用する場合、TPEエラストマーは、質量による主要エラストマーを構成する;TPEエラストマーは、その場合、上記エラストマーコアの組成物中に存在する組合せエラストマーの少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも75質量%を示す。また、好ましくは、TPEエラストマーは、上記エラストマーコアの組成物中に存在する組合せエラストマーの少なくとも95質量%(特に100質量%)を示す。
【0100】
従って、TPEエラストマーの量は、50〜100phr、好ましくは70〜100phr、特に75〜100phrで変動する範囲内にある。また、好ましくは、上記組成物は、95〜100phrのTPEエラストマーを含む。1種以上のTPEエラストマーは、好ましくは、上記複合コードのエラストマーコアの唯一のエラストマーである。
【0101】
非熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーをベースとする本発明に従うエラストマーコアのこの第2の実施態様においては、上記で説明した熱可塑性エラストマーは、それ自体単独で、本発明に従う複合コードが有用であるために十分である。
【0102】
本発明のこの実施態様に従う複合コードの組成物は、少なくとも1種(即ち、1種以上)のジエンゴムを非熱可塑性エラストマーとして含み得る;このジエンゴムは、単独でまたは少なくとも1種(即ち、1種以上)の他の非熱可塑性ゴムまたはエラストマーとのブレンドとして使用することが可能である。
【0103】
非熱可塑性エラストマーの含有量は、0〜50phr未満、好ましくは0〜30phr未満より好ましくは0〜25phr、さらにより好ましくは0〜5phrで変動する範囲内である。また、好ましくは、本発明のこの実施態様に従う複合コードのエラストマーコアは、非熱可塑性エラストマーを含まない。
【0104】
ジエンエラストマーは、上記で説明したジエンエラストマーであり得る。また、“本質的に不飽和”のジエンエラストマーを使用することも可能である。
用語“本質的に不飽和”とは、15%(モル%)よりも多いジエン由来の単位(共役ジエン)の含有量を有する、共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、“高不飽和”のジエンエラストマーは、特に、50%よりも多いジエン由来の単位(共役ジエン)の含有量を有するジエンモノマーを意味するものと理解されたい。
【0105】
従って、ある種のブチルゴムまたはEPDMタイプのジエンとα‐オレフィンとのコポリマーのようなジエンエラストマーは、 “本質的に飽和”のジエンエラストマー(低いまたは極めて低い常に15%よりも低いジエン由来の単位含有量)として説明し得る。
【0106】
他の構成成分
また、少なくとも1種の熱可塑性エラストマーをベースとする上記エラストマーコアの組成物は、さらなる構成成分として、補強用充填剤、可塑剤および上述したような各種添加剤も含み得る。
【0107】
製造
上記TPEエラストマーは、押出または成形により、例えば、球体または顆粒の形で入手し得る出発材料を使用して、TPEにとって通常の方法で加工し得る。
本発明の1つの実施態様に従う複合コードの熱可塑性エラストマーをベースとするエラストマーコアは、通常の方法で、例えば、各種成分をツインスクリュー押出機内に加えて、マトリックスの溶融および全ての成分の混入を実施し、その後、形状要素を製造することを可能にするダイを使用することによって製造する。
【0108】
添付図面は、組込んだ再溝付け用コードを含むトレッドの製造用機器、さらにまた、そのようなトレッドを例示している。
【実施例】
【0109】
本発明の実施例
複合コードの製造
TPEをベースとするエラストマーコアの製造は、既に説明している。
ジエンエラストマーをベースとするエラストマーコアの組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の2つの連続する製造段階、即ち、110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階)、並びに、その後の典型的には110℃よりも低い、例えば、40℃と100℃の間の低めの温度に下げての機械加工する第2段階(“生産”段階)を使用して製造し、この仕上げ段階において架橋系を混入する。
【0110】
そのようなエラストマーコアの組成物の製造方法は、例えば、下記の段階を含む:
・ジエンエラストマー中に、第1段階(“非生産”段階)において、1種以上の充填剤を混入し、全てを、1回以上、110℃と190℃の間の最高温度に達するまで機械的に混練する段階;
・混ぜ合せた混合物を100℃よりも低い温度に冷却する段階;
・その後、第2段階(“生産”段階)において、架橋系を混入する段階;
・全てを110℃よりも低い最高温度まで混練する段階;
【0111】
例えば、上記非生産段階は、1回の熱機械的段階において実施し、その間に、最初の工程において、全ての必須ベース成分(ジエンエラストマー、充填剤および必要な場合のカップリング剤、可塑化系)を標準の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入し、その後、例えば1〜2分間混練した後の第2の工程において、架橋系を除いた他の添加剤、必要に応じてのさらなる被覆剤または加工助剤を導入する。この非生産段階における総混練時間は、好ましくは、1分と15分の間の時間である。
【0112】
そのようにして得られた混合物を冷却した後、架橋系を、低温(例えば、40℃と100℃の間の温度)に維持したオープンミルのような開放ミキサー内で混入する。その後、混ぜ合せた混合物を、数分間、例えば、2分と15分の間の時間混合する(生産段階)。
【0113】
架橋系は、好ましくは、イオウと促進剤とをベースとする加硫系である。イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、2‐メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(“MBTS”と略記する)、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”と略記する)、N,N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”と略記する)、N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”と略記する)、N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”と略記する)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる化合物を使用し得る。好ましくは、スルフェンアミドタイプの一次促進剤を使用する。
【0114】
この加硫系に、各種既知の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等を添加し、上記第1非生産段階中および/または上記生産段階中に混入する。イオウ含有量は、例えば、0.5phrと3.0phrの間の量であり、また、一次促進剤の含有量は、0.5phrと5.0phrの間の量である。
【0115】
上記エラストマーコアの最終組成物は、その後、シートまたはプラークの形にカレンダー加工することができる。これらの中間製品は、その後、1回以上の操作で押出加工して、上記複合コードのコアの最終形状を付与し得る。
【0116】
その後、上記エラストマーコアは、絡み合せ繊維から製造した中空円筒状組紐から形成したシース中に装入して複合コードを形成する。完成した複合コードは、その後、スプールに巻付け得る。
上記複合コードは、二輪、乗用または産業タイプの車両のような自動車の空気式タイヤの任意のトレッド内部空洞内に配置するのに使用し得る。
【0117】
図16は、複合コード8の遠近法による図である。この複合コードは、絡み合せ繊維85から形成した組紐からなるシース84とエラストマーコア83を含む。上記のシースは、コア83の提示を可能にするために中途で遮断している。エラストマーコアは、提示した例においては円形断面を有する。
【0118】
図17は、ポリアミド6,6のような熱可塑性材料からなる繊維85の絡み合せを例示する
図16の拡大図である。上記繊維は、平坦断面を有するポリアミドモノフィラメントであり、互いに、空き87を残す絡み合せを形成している。エラストマーコア83は、空き87を通して描かれている。この拡大図は、シース表面積に対する空きの合計表面積を測定することを可能にしている。提示した例においては、この比は15%程度である。
【0119】
再溝付け用複合コードを含むトレッドの製造
1つの実施態様に従い、下記を実施する:
ゴムトレッドを押出成形する;
少なくとも1本の畝溝をトレッド内に形成する;
少なくとも1本の複合コードをスプールから供給する;そして、
複合コードを上記または各畝溝内に挿入する。
【0120】
1本以上の複合コードを、上記で示したようにして、ゴムトレッドの形成前に、ゴムトレッドとは別に製造する。その後は、複合コードを畝溝内に配置し、畝溝を閉鎖するに十分である。コードは、その形成後、そのようにしてゴム内に埋め込まれる。この方法は、各製造群の開始時のプロセス安定化段階を省く可能性があるという事実による製造失敗からのスクラップ量を抑制する。
好ましくは、トレッドの各部分に関して、その部分を押出成形し、畝溝をその部分に同時に形成する。
【0121】
以下、適切な例における、車両の空気式タイヤグリーンブランクの製造用のトレッドを製造するのに使用する押出機である機器の実施態様を、
図1〜14に関連して説明する。
【0122】
図15において、上記ブランクの加硫後のこの製造操作から得られた空気式タイヤの断面の1部を例示している;この断面は、空気式タイヤの軸3に対して放射面において採用している。トレッド4は、空気式タイヤの周辺において、タイヤ側壁間で且つタイヤ周辺内のタイヤカーカス5上に及んでいる。トレッド4は、空気式タイヤが地面と接触する表面を構成する外周面6を示している。円形断面の円筒状の一般的形状を有している。
トレッド4は、天然および合成エラストマーの混合物および各種成分および補助剤を通常含むゴムから形成された本体を含む。
【0123】
トレッド4は、適切な場合は数的に5本である複数本のコードまたはストリング8を有する;この本数は限定されない。コードは、各々、
図7、11および15における場合のような円形断面或いは
図8および12における場合のような矩形断面を有するワイヤー形状を有する。各コードは、本体内に埋込まれており、トレッドの2つの主外面および内面から一定距離延びている。各コードは、空気式タイヤと同軸の円を形成しており、軸3に垂直の面に延びている。各コードは、同一または異なる横プロフィールを有し得、また、同一または異なる材料からなり得る。各コードは、個々に、前以って、また、本体とは別に製造し、その後、スプール9(
図2参照)に巻取り、後で上記機器に持ち込まれる。
【0124】
押出機の鼻部10は、互いに平行に且つ対面して、互いに離れて配置した2枚の平面形の直立体14を含むフレーム12を含む。上記鼻部の装置の大部分は、2枚の直立体14の間に設けられたスペース内に及んでいる。
【0125】
上記鼻部は、特に
図2の右側部分に示し、押出加工して本体を形成することを意図するゴムを導入するのに使用する導管16を含む。鼻部10は、導管16の下流口に配置し且つ円形断面の円筒状外周面23を示すシリンダーまたはロール18を含む。上記鼻部は、さらに、押出加工すべき材料を加圧するためのチャンバー25を面23と一緒に区切っているアーチ22を形成している部材20のアッセンブリを含み、上記チャンバー内には導管16が入り込んでいる。部材20はフレーム12に強固に取付けられ、一方、ロール18は、直立体14に対し、
図2ではロールの水平軸24の周りに逆時計方向に回転可動的に装着されている。鼻部10は、チャンバー25から下流に延び、上記ロールの面23と対面している形状化ブレード26を含む。上記ブレードの下流において、上記鼻部は、コードを前以って作り出していた畝溝内に装入するのに使用する小取付け用ホイール32有するアッセンブリ30を、さらにまた、上記畝溝をそのようにして配置したコード上で閉鎖するのに使用するスティッチング(stitching)アッセンブリ34を含む。
【0126】
図3および4に関しては、形状化ブレード26は、直立体14の一方から他方までの細長形を有しこれら直立体に強固に取り付けた本体28を含む。本体28は、空洞と突起を示す下面36を有して、その形状を、トレッドの上面6に、この面36と上記ロールの面23との間にゴムを通す結果によって付与することを意図する。これらの2つの要素は、その形状を、材料の通過中に、トレッド4の面に付与する押出オリフィスを構成する。
【0127】
ブレード26は、すき先(ploughshare)40を担持する支持体38をさらに含み、このすき先の数は、トレッドが受入れを意図するコード8の本数に等しく、適切な例では、5個である。特に
図2において例示しているように、すき先40の各々は、“L”字一般形状を示し、“L”字の長い方の部分は、軸24に対して垂直方向に近く且つ半径方向に近い方向に伸びており、また、この方向に沿って可動し得るように装着されている支持体38の専用オリフィスに挿入されている。
【0128】
ブレード26は、各すき先40のための、本体28に強固に取付ける手段を含み、この手段は、適切な場合、各すき先において、2個の取付けスクリュー42から形成されており、これらのスクリューは、上記支持体の1部を貫通し、すき先を上記支持体の内面に対して締め付けている。この配置は、すき先の本体28に対する上記方向に沿う位置を調整することを、ひいては、例えば製造する空気式タイヤのモデルに応じてトレッド4内に相応するすき先によって作り出される畝溝44の深さを調整することを可能にする。
【0129】
畝溝44自体は、ゴムトレッドを構成する押出成形材料中への各すき先40の“L”字の基部即ち小片の侵入によって作り出される。各畝溝は、各すき先の基部が、本体28の面36から、さらに詳細には、
図4に示しているように、この面の一定領域から突出していることによって作り出される。“L”字の小片は、上記すき先が上記押出ブレードの形状化部分の下で侵入するように配向させている。この特定の設定は、上記すき先の上流部分を、トレッド内の圧力がまだゼロでない領域に位置させること可能にし、すき先のトレッド材料への侵入を容易にしおよび成形の質を向上させることを可能にする。
【0130】
面36は、各すき先と直角に、各すき先を越えてすき先の各側面上に延びている空洞45を示す。これらの空洞は、各々、畝溝のいずれの側にも、面6の主部分から発出するゴムの余剰物を構成するそれぞれの突出ビード46を形成することを可能にしている。従って、各畝溝は、各畝溝と連続している2つの関連ビード46の間で延びている。
【0131】
畝溝数は、適切な場合、5本に等しいので、10本のビードが存在する。畝溝44は、後記で理解し得るように、上記コードを受入、次いで、埋め込むことを意図する。また、面36は、畝溝44とは対照的に、トレッド上および最終空気視器タイヤ上に明白に存続することを意図する、適切な場合数的に3本の畝溝50も形成するように形状化されている。上述した畝溝は、全て、互いに平行に、且つトレッド4の縱方向に伸びている。
【0132】
図6に示しているように、ブレード26は、適切な場合、材料をデバリングしてトレッドの2つの相対側端を定めるためのナイフを構成する2つの装置52をさらに含む。これらの装置は、互いに対面して、支持体38のいずれかの側に配置する。
上記押出機は、それぞれのコードを巻き取るスプール9を受入れる手段55を含む。これらの手段は、製造作業が進むにつれてスプールをほどくのを可能にするように配置する。
【0133】
アッセンブリ30(
図6、9および10参照)は、適切な場合、コード数と数的に等しい、即ち、数的に5つのホイール32を含む。これらのホイールは、互いに同一であって、水平軸56の周りに互いに共軸的に取付けられている。これらのホイールは、ブレード26に面して延びており、上記コードをトレッドに挿入する前に、スプール9から来るコードの通路57がアッセンブリ30とブレード26の間を通るようになっている。この通過の間、上記コードは、それぞれのホイール32の円周辺端部に対して支持されている。従って、各ホイールは、相応するコードを上記畝溝の底まで案内してその中にそのコードを置くように機能する;この目的のホイールは、相応する畝溝の内側に入り込んでいる。
【0134】
各ホイール32は、上記フレームに取付けた共通の構台上に備え付ける;その垂直位置は、これらのホイールを多少深く各畝溝内に入り込ませ、従って、相応する各コードを多かれ少なかれ各畝溝内に挿入するために調整可能である。適切な場合には、モーター付きドライブは、ホイール32に対しては設けられない;これらのホイールは、トレッドおよびこのトレッドに挿入するコードの前進によってこれらの前進と同じ周辺速度で回転駆動させる。チューブのような、各コードがその軸に沿って横断する中間案内部材を設けて各コードをスプール9からアッセンブリ30まで案内することは可能である。
【0135】
図7は、開放畝溝44を有するトレッド4を例示しており、その底部には複合コード8が置かれている。この図は、ほぼ4ミリメートルの直径を有する円形断面を有するコードに関する。
図8は、同様に、トレッド4の例を示しており、その畝溝44内には、平行六面体形、例えば、4mmの辺長を有する正方形の断面を示す複合コード8が置かれている。
【0136】
図2および11〜14に関しては、スティッチングアッセンブリ34は、スティッチング装置を含み、その数は、コードの本数に等しく、即ち、適切な場合、5本である。これらの装置60の1つを
図14に例示している。アッセンブリ34は、直立体14に強固に取付けられ、これら直立体の一方から他方に及んでいる支持体62を含む。装置60の各々は、形状化形を有し、支持体62の相応するメスオリフィス内に受入れると共に軸24に対する半径方向と同様なその縦方向に沿って上記支持体内で摺動により移動可能である支柱64を含む。アッセンブリ34は、各装置において、支持体62の壁を貫通して支柱64を上記支持体の内面に対して締め付け、従って、装置60を支持体62に対して選定した調整位置で強固に固定する締付け要素66を含む。
【0137】
各装置60は、上記支柱の下部末端において、2個の小歯状ホイール70を担持するアーム68を含む(これらのホイール70は、同一平面上にあるが交差しているそれぞれの回転軸72によって回転する形で上記アームに取付けられ、また、これらの小ホイールがトレッドの前進方向に対して上流側に向う開放形状を有するように配置されている)。これらの小ホイールは、当該畝溝に関連するそれぞれのビード46に対して支持されるように配置して、畝溝44を充たす目的のために、これらの突起を形成している材料を当該畝溝中のコード8上に落し込む。上記コードは、そのようにして、それぞれ
図7および8に相応する2つの例の
図11および12に示しているように、トレッド内に埋められ、覆われ、埋込まれる。
【0138】
上記トレッドの製造方法は、この機器により、以下の方法で実施する。ゴムを形成する材料は、上記鼻部に、導管16により矢印71に従って持ち込まれ、その後、チャンバー25に通り、そこで、ブレード26とロール18によって形成された押出オリフィスから押出される前に加圧される。特に、トレッドの上面6に上記形状を付与するこの操作中に、すき先40が、面6内に、縦方向畝溝44と、さらにまた、各畝溝のいずれの側にも位置する2本のビード46とを作り出す。これらのすき先は、チャンバー25内でゆきわたっている圧力と対比して圧力を下げている上記機器の領域の後方部分に存在する。
【0139】
コードを担持しているスプール9がコードをほどき、小ホイール32によって案内され且つ支持されているコードがこれらのホイールおよびブレード26を通って、トレッドの厚さ内のそれぞれの畝溝44の底部に挿入される。コードは、スプールからトレッドが前方へ駆動している作用下に解放される;この作用は、ホイール32も駆動させる。スプールは、その動き中に、如何なる作動装置によっても遅延しない。
【0140】
トレッドを形成する材料は、この段階では、まだ高温であり軟質である。トレッドがスティッチングアッセンブリ34の下を通るとき、ホイール70がビード46の材料を相応する畝溝内に落し込み、そのようにして関連コードをトレッドの厚さ内に埋込む。畝溝は、そのようにして閉鎖され充たされる。
これらの操作は、当該トレッドの各面において連続して生じる。これらの操作は、トレッド全体において同時に生じ、トレッドは連続して製造される。
【0141】
図18は、
図16および17において上記で説明した複合コード8をトレッド4のリブ内に組込んでいる空気式タイヤの1部断面を示している。
【0142】
図19は、トレッド4の複合コード8の部分ストリッピング、即ち、ナイフで実施した部分抜取り後の断面を示している。シース84の空き87を通過している“ゴムブリッジ”86の存在が観察される。これらのゴムブリッジは、上記複合コードとトレッドの隣接混合物間に優れた機械的結合を発生させることを可能にしている。これらのゴムブリッジは、特に、上記エラストマーコアとトレッドの材料の相互拡散および共加硫によって産み出されている。繊維85とトレッド材料間の接着結合は存在しない。トレッドの部分磨耗後のトレッドからの上記複合コードの引抜きを可能にするのはこのことである。
【0143】
試験
複合コードを製造し、空気式タイヤのトレッド中に、上述のようにして組込んだ。エラストマーコアの配合は、下記の表1に示す。量は、エラストマー100質量部当りの質量部(phr)として表している。
【0144】
【表1】
(1) 天然ゴム;
(2) 充填剤A:Rhodia社からのZeosil 1165MPシリカ、HDタイプ;
(3) カップリング剤:TESPT (Degussa社からのSi69);
(4) N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N‐フェニル‐パラ‐フェニレンジアミン (Flexsys社からのSantoflex 6‐PPD);
(5) 酸化亜鉛 (工業級;Umicore社);
(6) N‐(シクロヘキシル)‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド (Flexsys社からのSantocure CBS)。
【0145】
使用する組紐は、サイズ10を有するGremco社からのGremflex(登録商標) PA6,6である。この組紐は、7mmと12mmの間の可変直径を示す。このことは、エラストマーコードコアを容易に組込み、次いで、上記組紐の母線に沿った軸力により、上記組紐を上記コードコア周辺に対して向わせて適用すること可能にする。
【0146】
結果
トレッドの円周空洞内に、6mm程度の直径を有する
図16のコード8と同様な形状を有し、上記で示した組成および上記で示したシースに相応する円筒状コードを含む315/70 R 22.5サイズの大型車両用の空気式タイヤを製造した。空洞をトレッド内に形成し、コードを、上記で説明した方法に従う生形状のこれら空洞に装入した。コードは、標準方式で再溝付けすることを意図する領域と同じトレッドレベルに配置した。
【0147】
これらの空気式タイヤを、先ず最初に、高荷重および高ドリフト回転操作を直線高荷重回転操作と交互に行う、トレッド用の応力付与用回転ドラム上での試験に2000kmで供した。タイヤおよびそのトレッドは、良好に耐えた。
【0148】
その後、上記空気式タイヤのトレッドをかんながけした、即ち、トレッドを機械加工して、その厚さを再溝付け用コードのシースが見えるまで減じた。引続き、空気式タイヤを、乾燥状態の進路上および一定厚の水で覆われた進路上での行動試験に供した。
【0149】
これらの試験は、90km/時の標準速度、その後の125km/時の制限速度においての乾燥状態のサーキット上での数十kmの走行操作からなっていた。その後、これらの空気式タイヤを、多くのカーブを含み水で覆われたサーキット上で試験して、水が空洞内でのコードの保持にひどく影響を与えてないかを確認した。
【0150】
これら試験の全てにおいて、本発明に従う複合コードは、それら空洞内に定位置に残存していた。これらの固着性は、トレッドのかんながけ前および後のコードとトレッドの隣接材料間の如何なる相対運動をも阻止するに十分であった。コードは、その後、特定の工具なしで即座に手作業で取出すことができた。トレッド内にそのようにして作り出した溝は、適切であった。
【0151】
従って、本発明に従う再溝付け用コードは、空気式タイヤの製造前後のその形状の良好な管理を可能にし、上記コードを抜出した後のパターンの適切な外観を修復し、そして、工業的実施の高い容易性を有するという利点を有する。
本発明は、さらに、以下の態様であり得る。
〔1〕トレッドを有する空気式または非空気式タイヤであって、前記トレッドが、少なくとも1つの内部空洞内に、エラストマーコアと該エラストマーコアを取囲むシースとを含む複合コードを含むことおよび前記シースが、らせん状に絡み合せた不連続繊維から製造した中空円筒状組紐であることを特徴とする前記空気式または非空気式タイヤ。
〔2〕前記不連続絡み合せ繊維が、これら繊維間に、5%と30%の間の比表面積を有する空きを形成する、前記〔1〕記載のタイヤ。
〔3〕前記空きが、10%と20%の間の比表面積を有する、前記〔2〕記載のタイヤ。
〔4〕前記組紐の繊維が、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(エーテル‐ケトン)、ポリエーテルイミド、ポリ(アミド‐イミド)、ポリイミド、熱可塑性エラストマー、これらの混合物およびこれらの合金からなる群から選ばれる、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔5〕前記組紐の繊維が、ポリアミド6、ポリアミド6,6およびこれらの混合物のような脂肪族ポリアミドの群から選ばれるポリアミドを含む、前記〔4〕記載のタイヤ。
〔6〕前記組紐の繊維が、ポリ(メタキシリレン) (MXD‐6)、ポリフタルアミド、コポリアミドおよびこれらの混合物のような半芳香族ポリアミドの群から選ばれるポリアミドを含む、前記〔4〕および〔5〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔7〕前記組紐の繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)およびポリエチレンナフタレート(PEN)並びにこれらの混合物から選ばれるポリエステルを含む、前記〔4〕〜〔6〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔8〕前記組紐の繊維が、ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)、熱可塑性ポリウレタン、エーテル‐エステルコポリマー(COPE)およびこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性エラストマーを含む、前記〔4〕〜〔7〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔9〕前記組紐の繊維が、ポリエステル‐エーテルおよびポリエステル‐エステルから選ばれるエーテル‐エステルコポリマー(COPE)を含む、前記〔4〕〜〔7〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔10〕前記エラストマーコアの組成物が、少なくとも1種のジエンエラストマーをベースとする、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔11〕前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれる、前記〔10〕記載のタイヤ。
〔12〕前記エラストマーコアの組成物がエラストマー100質量部当り30質量部よりも多いAで示す充填剤を含み、この充填剤の粒子は500nmよりも小さい質量平均粒度を有するナノ粒子である、前記〔10〕および〔11〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔13〕充填剤Aが、カーボンブラックを含む、前記〔12〕記載のタイヤ。
〔14〕充填剤Aが、無機充填剤を含む、前記〔12〕および〔13〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔15〕前記無機充填剤が、シリカである、前記〔14〕記載のタイヤ。
〔16〕前記エラストマーコアが少なくとも1種の熱可塑性エラストマーをベースとし、該熱可塑性エラストマーが少なくとも1個の不飽和エラストマーブロックと少なくとも1個の熱可塑性ブロックとを含むブロックコポリマーである、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔17〕前記ブロックコポリマーの1個以上のエラストマーブロックが、25℃よりも低いガラス転移温度を有するエラストマーから選ばれる、前記〔16〕記載のタイヤ。
〔18〕前記ブロックコポリマーの1個以上のエラストマーブロックが、イソプレン、ブタジエンまたはこれらの混合物から得られるジエンエラストマーである、前記〔16〕および〔17〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔19〕前記ブロックコポリマーの1個以上の熱可塑性ブロックが、80℃よりも高いガラス転移温度を有し、且つ半結晶性熱可塑性ブロックの場合は80℃よりも高い融点を有するポリマーから選ばれる、前記〔16〕〜〔18〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔20〕前記ブロックコポリマーの1個以上の熱可塑性ブロックが、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化化合物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、熱可塑性コポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる、前記〔16〕〜〔19〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔21〕前記ブロックコポリマーの1個以上の熱可塑性ブロックが、ポリスチレンから選ばれる、前記〔16〕〜〔20〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔22〕前記1種以上の熱可塑性エラストマーが、スチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)およびスチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)熱可塑性エラストマー、並びにこれらコポリマーの混合物からなる群から選ばれる、前記〔16〕〜〔21〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔23〕前記熱可塑性エラストマーが、前記エラストマーコアの唯一のエラストマーである、前記〔16〕〜〔22〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔24〕前記エラストマーコアが、さらに、1種以上の非熱可塑性エラストマーを、エラストマー100質量部当り多くとも50質量部未満、好ましくはエラストマー100質量部当り30質量部未満の総含有量で含む、前記〔16〕〜〔22〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔25〕前記複合コードの最大寸法が、あらゆる断面において、3mmと20mmの間の寸法であるような、前記〔1〕〜〔24〕のいずれか1項記載のタイヤ。
〔26〕前記複合コードの最大寸法が、あらゆる断面において、5mmと15mmの間の寸法であるような、請求25項記載のタイヤ。