(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、第1蓄熱室の他端側の温度を検出する第1温度検出器と、第2蓄熱室の他端側の温度を検出する第2温度検出器を有し、上記制御部は、上記第1温度検出器及び第2温度検出器により検出された温度が所定範囲内のときに、上記付着物除去モードを実行する請求項2に記載の蓄熱式排ガス浄化装置。
上記制御部は、排ガス浄化モードにおいて、上記供給用開閉弁及び排出用供給弁の開閉切換動作中に、上記供給用開閉弁及び排出用供給弁の全てが開状態のとき、上記循環通路用第1開閉弁及び循環通路用第2開閉弁の両方が開となるように制御し、さらに、上記開閉切換動作完了時に、上記循環通路用第1開閉弁及び循環通路用第2開閉弁の両方が閉となるように制御する請求項4に記載の蓄熱式排ガス浄化装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の排ガス浄化装置においては、タール成分等の高沸点物質を含む排ガスを処理する場合に、蓄熱体に高沸点物質が付着するという問題があり、さらに、この高沸点物質が付着した状態で排ガス処理を続けると蓄熱体が閉塞し排ガスが流れなくなるという問題がある。また、この蓄熱体に付着した高沸点物質を除去するために複雑な構造の装置が必要となり、このため、排ガス浄化装置自体も複雑となり、高コストとなる。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構造により蓄熱体に付着した高沸点物質を除去できる蓄熱式排ガス浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、蓄熱体を用いて被処理ガスを浄化する蓄熱式排ガス浄化装置であって、第1蓄熱体及び第2蓄熱体をそれぞれ収容する第1蓄熱室及び第2蓄熱室と、これらの第1蓄熱室及び第2蓄熱室のそれぞれの一端に連通するように設けられた、加熱手段を備えた燃焼室と、第1蓄熱室及び第2蓄熱室のそれぞれの他端に設けられ、供給用開閉弁を備えるとともに被処理ガスを供給するための第1供給部及び第2供給部と、第1蓄熱室及び第2蓄熱室のそれぞれの他端に設けられ、排出用開閉弁を備えるとともに処理済ガスを排出するための第1排出部及び第2排出部と、第1供給部及び第2供給部に接続され、被処理ガスを供給するための供給通路と、この供給通路に設けられ、被処理ガスを第1供給部及び第2供給部に導く送風機と、第1蓄熱室及び第2蓄熱室のそれぞれの他端側と供給通路を接続する循環通路と、循環通路に設けられ、第1蓄熱室の他端側から供給通路への流れの開閉を行う循環通路用第1開閉弁と、循環通路に設けられ、第2蓄熱室の他端側から上記供給通路への流れの開閉を行う循環通路用第2開閉弁と、被処理ガスを浄化する排ガス浄化モードと、付着物除去用ガスを用いて第1蓄熱体及び第2蓄熱体に付着した物質を除去する付着物除去モードと、を実行する制御部と、を有し、制御部は、付着物除去モードにおいて、送風機を作動させて付着物除去用ガスを供給通路に流入させ、この付着物除去用ガスが、第2蓄熱体を通過して加熱され、燃料室で加熱され、第1蓄熱体を通過することにより、第1蓄熱体の温度を上昇させて、第1蓄熱体に付着した物質を除去し、その後、付着物除去用ガスを循環通路を経て供給通路に戻し、且つ、送風機を作動させて付着物除去用ガスを供給通路に流入させ、この付着物除去用ガスが、第1蓄熱体を通過して加熱され、燃料室で加熱され、第2蓄熱体を通過することにより、第2蓄熱体の温度を上昇させて、第2蓄熱体に付着した物質を除去し、その後、付着物除去用ガスを循環通路を経て供給通路に戻すように、供給用開閉弁、排出用開閉弁、循環通路用第1開閉弁、循環通路用第2開閉弁を制御することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、従来の蓄熱式排ガス処理装置に対して、第1蓄熱室及び第2蓄熱室のそれぞれの他端側と供給通路を接続する循環通路と、循環通路に設けられた循環通路用第1開閉弁及び循環通路用第2開閉弁とを設けるという簡易な構造により、「排ガス浄化モード」に加えて、「付着物除去モード」を実行することができ、この「付着物除去モード」により、第1蓄熱体及び第2蓄熱体に付着した高沸点物質を除去することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、循環通路は、第1蓄熱室及び第2蓄熱室のそれぞれの他端側と供給通路の送風機の上流側の位置とを接続する。
このように構成された本発明においては、循環通路が供給通路の送風機の上流側の位置に接続されているので、送風機の上流側の位置で、循環通路により供給通路に戻される付着物除去用ガスが新たに供給通路の流入する付着物除去用ガスと混合されることで冷却され、これにより、送風機及び送風機の下流側の設備が耐熱性を有する必要がなくなる。
【0009】
本発明は、好ましくは、更に、第1蓄熱室の他端側の温度を検出する第1温度検出器と、第2蓄熱室の他端側の温度を検出する第2温度検出器を有し、制御部は、第1温度検出器及び第2温度検出器により検出された温度が所定範囲内のときに、付着物除去モードを実行する。
このように構成された本発明においては、第1温度検出器及び第2温度検出器により検出された温度が所定範囲内のときに、付着物除去モードが実行されるので、第1蓄熱体及び第2蓄熱体に付着した高沸点物質を確実に除去することができる。
【0010】
本発明は、好ましくは、更に、循環通路に設けられ、付着物除去モードの実行時に、供給通路へ戻される付着物除去用ガスの流量を調整する循環通路用調整弁と、を有し、制御部は、付着物除去モードにおいて、循環通路用調整弁の開度を制御する。
このように構成された本発明においては、循環通路用調整弁により供給通路へ戻される付着物除去用ガスの流量を調整するので、第1蓄熱体及び第2蓄熱体に供給される熱風の量を制御できるので、適切な高沸点物質の除去が可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、制御部は、循環通路を流れる風量が送風機の定格風量の1〜20%の範囲内となるように循環通路用調整弁の開度を制御する。
このように構成された本発明によれば、循環通路を流れる風量が送風機の定格風量の1〜20%の範囲内であるので、高沸点物質の除去に必要な熱風を第1蓄熱体及び第2蓄熱体に供給することができ且つ急激に加熱することによる第1蓄熱体及び第2蓄熱体の損傷を防止できる。
【0012】
本発明において、好ましくは、制御部は、排ガス浄化モードにおいて、供給用開閉弁及び排出用供給弁の開閉切換動作中に、供給用開閉弁及び排出用供給弁の全てが開状態のとき、循環通路用第1開閉弁及び循環通路用第2開閉弁の両方が開となるように制御し、さらに、開閉切換動作完了時に、循環通路用第1開閉弁及び循環通路用第2開閉弁の両方が閉となるように制御する。
このように構成された本発明においては、排ガス浄化モードにおいて、供給用開閉弁及び排出用供給弁の全てが開状態のとき、循環通路用第1開閉弁及び循環通路用第2開閉弁の両方が開となるように制御するので、供給用開閉弁及び排出用供給弁の全てが開状態のときに被処理ガスが漏洩することを防止できる。
【0013】
本発明は、好ましくは、更に、供給通路に接続され、送風機に流入する前の被処理ガスに付着物除去用ガスを合流させる合流部に設けられる合流用開閉弁を有し、この合流用開閉弁は、開状態又は閉状態を保持でき且つ開度を調整できる。
このように構成された本発明においては、合流用開閉弁が開状態又は閉状態を保持でき且つ開度を調整できるので、設置スペースを小さくでき、制御が簡単となる。さらに、合流開閉弁の開度を調整して、被処理ガスの付着物除去用ガスの混合割合を最適に制御することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、合流用開閉弁は、流通口が設けられた流通口形成部材と、この流通口形成部材に対して近接する方向及び離間する方向に移動可能である当接部と、この当接部に一体に形成される流量調整部とを備えた弁体と、を有し、当接部は、流通口形成部材に近接する方向に移動して流通口形成部材に当接したときに、流通口形成部材の流通口から供給通路へ付着物除去用ガスが流入することを阻止し、流量調整部は、当接部が流通口形成部材に当接した状態で流通口に挿入され、当接部が当接した状態から離間する方向に移動したときに、流通口との間の流体が流通する隙間が漸次大きくなるように形成されている。
【0015】
本発明において、好ましくは、流量調整部は、円錐台形状部により形成されている。
【0016】
本発明において、好ましくは、供給用開閉弁及び排出用開閉弁は、それぞれ、被処理ガス又は処理済ガスが流通するガス流通口が設けられた第1部材と、第1部材に対して近接及び離間する方向に移動可能とされ、第1部材に当接してガス流通口を閉とするとともに、第1部材から離間してガス流通口を開とする第2部材と、この第2部材を当接及び離間する方向に駆動する駆動部と、を有し、これらの第1部材及び第2部材のいずれか一方には、ガス流通口より外側の部分を囲う包囲壁部が一体的に形成され、第1及び第2部材のいずれか他方には、包囲壁部に対応する位置に、包囲壁部の厚みより太い幅で且つガス流通口を囲うように形成され、第1及び第2部材が近接して包囲壁部が当接されたときに変形してこの当接部分からの被処理瓦斯の流出を防止するシール部材が設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の蓄熱式排ガス浄化装置によれば、簡易な構造により蓄熱体に付着した高沸点物質を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置について説明する。この蓄熱式排ガス浄化装置は、有機性揮発化合物等の可燃性有害成分を含有する害ガスの処理に適している。
【0020】
図1乃至
図3に示すように、本発明の実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置1は、燃焼室10と、この燃焼室10にそれらの一端(上端)が結合されて連通される一対の蓄熱室11,12(第1蓄熱室11及び第2蓄熱室12)を備えている。燃焼室10には、温度検出器8及びバーナ9が設けられている。
【0021】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1は、一対の蓄熱室11,12のそれぞれの他端(下端)に設けられ、供給用開閉弁14,15を有するとともに被処理ガスを供給させる供給口20,21(第1供給口20,第2供給口21)を備える。また、一対の蓄熱室11,12のそれぞれの他端(下端)に設けられ、排出用開閉弁16,17を有するとともに処理済ガスを排出させる排出口22,23(第1排出口22,第2排出口23)を備える。
【0022】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1は、複数の蓄熱室11,12にそれぞれの一端(上端)及び他端(下端)の間に設けられる蓄熱体26,27(第1蓄熱体26,第2蓄熱体27)を備える。蓄熱体26,27は、複数の貫通孔を有するセラミック部材が隣接されて並べられるような構造となっている。
【0023】
また、蓄熱式排ガス浄化装置1は、排出口22,23に接続される排気ダクト28を備える。排気ダクト28は、処理済ガスを蓄熱式排ガス浄化装置1から排出して所定の場所に導くための通路である。
【0024】
蓄熱式排ガス浄化装置1は、供給口20,21に接続される供給ダクト29を備える。供給ダクト29は、被処理ガスを蓄熱式排ガス浄化装置1内に供給するための通路である。この供給ダクト29には送風機30が設けられる。送風機30は、被処理ガスを供給口20,21に導くとともに、蓄熱室11,12及び燃焼室10に導く。それとともに、送風機30は、処理済ガスを排出口22,23、排気ダクト28を経由して所定の排出場所に導く。
【0025】
蓄熱式排ガス浄化装置1は、蓄熱室11,12の他端側と、供給ダクト29とを接続し、蓄熱室11,12の他端側のガスを送風機30に流入する前のガスに合流させる循環配管33を備える。この循環配管33は、送風機30の上流側の位置で供給ダクト29に接続され、そのため、この循環配管33は、蓄熱室11,12の他端側に流入したガスを送風機30の上流側に一旦戻す戻り配管として機能する。
【0026】
循環配管33には、循環配管用第1開閉弁31と、循環配管用第2開閉弁32と、循環配管用調整弁34とが設けられている。循環配管用第1開閉弁31は、一方の蓄熱室11の他端側から供給ダクト29への流れの開閉を行う。循環配管用第2開閉弁32は、他方の蓄熱室12の他端側から供給ダクト29への流れの開閉を行う。循環配管用調整弁34は、循環配管33に設けられ、一方及び他方の蓄熱室11,12の他端側から供給ダクト29に合流されるガスの流量を調整する。
【0027】
すなわち、循環配管33は、蓄熱室11,12の下方部分11a,12aからそれぞれ接続される第1戻り配管部33a、第2戻り配管部33bと、これらの第1及び第2戻り配管部33a,33bが合流する合流部33cを経由して形成される合流配管部33dとを有している(合流部33cは、分岐管で形成される。)。この合流配管部33dが供給ダクト29に接続されている。循環配管用第1開閉弁31は、第1戻り配管部33aに設けられる。循環配管用第2開閉弁32は、第2戻り配管部33bに設けられる。循環配管用調整弁34は、合流配管部33dに設けられる。
【0028】
蓄熱式排ガス浄化装置1は、蓄熱室11の他端側部分(下方部分11a)の温度を検出する第1温度検出器35と、蓄熱室12の他端側部分(下方部分12a)の温度を検出する第2温度検出器36と、を備える。
さらに、蓄熱式排ガス浄化装置1は、詳細は後述する「被処理ガスを浄化する排ガス浄化モード」と「蓄熱体に付着した物質を除去する付着物除去モード」を実行するための制御部37と、を備える。
【0029】
供給ダクト29は、被処理ガスの供給元(排ガスの排出施設)との間に供給用開閉弁38を備える。また、供給ダクト29には、このダクトに接続され、送風機30に流入する前であって且つ循環配管33から合流される前の被処理ガスに付着物除去用ガスである常温の空気(外気)を合流させる合流部39が接続される。合流部39には、合流用開閉弁40が設けられ、この合流用開閉弁40を開にすることにより、供給ダクト29に付着物除去用ガスである常温の空気(外気)が流入するようになっている。
【0030】
合流用開閉弁40は、例えば後述の
図6(a)に示すように、開状態又は閉状態を保持でき且つ開度も調整でき、合流部39から合流させる流体の流量を調整できるようになっている。なお、この合流流体用開閉弁40に換えて、
図6(c)に示すような、合流用開閉弁45を用いてもよい。制御部37は、付着物除去モードの際には、供給用開閉弁38を閉として、合流用開閉弁40,45を開とする。
【0031】
供給口20,21の開閉弁14、15及び排出口22,23の開閉弁16,17は、所謂ポペットダンパ(ポペット弁)であり、ガスの流れ方向の切換に用いられる。開閉弁14〜17は、それぞれ、弁体14a,15a,16a,17aと、シリンダ14b,15b,16b,17bと、を有する。弁体14a〜17aは、鉛直方向に移動可能とされる。すなわち、弁体14a〜17aは、シリンダ14b〜17bのロッド14c,15c,16c,17cの先端に取り付けられ、ロッド14c〜17cの伸縮に応じて移動される。
【0032】
以上のような開閉弁14〜17を所定時間経過毎に切り換えることにより、蓄熱室11,12の給気側(被処理ガスが供給される側)と排気側(処理済みガスが排出される側)とを切換えて運転が行われる。尚、開閉弁の切り換えのタイミングは、出入口温度(給気及び排気されるガスの温度を温度検出器により測定しその温度)に基づいて行うようにしてもよい。
【0033】
次に、
図2及び
図3により、本実施形態による蓄熱燃焼式排ガス浄化装置1の「被処理ガス浄化モード」において実行される排ガス浄化方法について説明する。
図2及び
図3中の矢印は、開とされた供給用開閉弁38を経由して流入した被処理ガス及び浄化処理された処理済ガスの流れを示す。
先ず、
図2に示すように、蓄熱室11が供給側で、蓄熱室12が排出側であるとする。処理される排気ガスは、供給口20を通って蓄熱室11に到達する。
【0034】
次に、排気ガスは、蓄熱室11側の蓄熱体26を通過する際に、この蓄熱体26と熱交換を行うことによって加熱される。一方、蓄熱体26は、放熱・冷却される。蓄熱体26で加熱され燃焼室10に到達した排気ガスは、燃焼室内10にて、含有する成分の燃焼分解が行われる。
【0035】
次に、燃焼後の処理済ガスは、蓄熱室12の蓄熱体27を通過する。このとき、処理済ガスは、蓄熱体27と熱交換を行うことにより冷却される。その一方で、蓄熱体27は、蓄熱される。冷却された処理済ガスは、排出口23を通り、排気ダクト28に至る。
【0036】
この運転を継続すると、一方の蓄熱室11の蓄熱体26は、放熱・冷却され、他方の蓄熱室12の蓄熱体27は、蓄熱・加熱される。このため、一定時間経過後、
図3に示すように、蓄熱室11の供給口20の開閉弁14を閉とし、排出口22の開閉弁16を開とする。これとともに、蓄熱室12の供給口21の開閉弁15を開とし、排出口23の開閉弁17を閉とする。この動作により、
図3に示すように、ガスの流れ方向が反転し、蓄熱室11が排出側で、蓄熱室12が供給側に切り換えられる。
【0037】
これにより、次に処理される排気ガスは、十分に蓄熱された蓄熱体27との熱交換により加熱できる。加熱後の排気ガスは、燃焼室10で処理され、蓄熱体26との熱交換により冷却されて排気される。一定時間経過後、蓄熱室11の供給口20の開閉弁14を開とし、排出口22の開閉弁16を閉とする。これとともに、蓄熱室12の供給口21の開閉弁15を閉とし、排出口23の開閉弁17を開とする。この動作により、
図2に示すように、ガスの流れ方向が反転し、蓄熱室11が供給側で、蓄熱室12が排出側に切り換えられる。
【0038】
以上の動作を、一定時間ごとに繰り返して、運転を継続することにより、排熱を利用した効率的な燃焼処理(排ガス浄化モード)を実行することができる。
【0039】
次に、
図1により、本実施形態による蓄熱燃焼式排ガス浄化装置1の蓄熱体11,12に付着した高沸点物質を除去する「付着物除去モード」において実行される付着物除去方法について説明する。
図1中の矢印は、合流用開閉弁40を経由して流入された付着物除去用ガスである空気(外気)の流れを示す。
制御部37は、例えば、予め設定した時間や、第1及び第2温度検出器35,36の検出結果に基づいて、付着物除去モードを実行する。
まず、付着物除去モードにおいて、第2蓄熱体27に付着した高沸点汚物を除去する場合を説明する。制御部37は、供給用開閉弁38を閉とし、合流用開閉弁40を開とする。また、制御部37は、
図1に示すように、蓄熱室11側の開閉弁14,16を開とし、蓄熱室12側の開閉弁15,17を閉とする。制御部37は、循環配管用第2開閉弁32を開とし、循環配管用第1開閉弁31を閉(閉のまま)とする。
【0040】
また、制御部37は、合流部39から合流後の供給ダクト29の静圧(外気取り込み部分の静圧)を検出する圧力検出器51の検出出力に基づいて合流用開閉弁40の開度を調整する。例えば、静圧(この外気取り込み部分の静圧)が−1.5〜0kPaの範囲であれば望ましい。
【0041】
また、制御部37は、送風機30の風量が一定(定格風量の20〜100%)となるように設定する。温度等の観点からある程度の希釈が必要であり20%以上としている。送風機30により送風され、合流用開閉弁40を介して外気が流入される。送風機30により送風されたガス(外気)は、供給口20を介して蓄熱室11の下方部分11aに流入する。このとき、排出口22の開閉弁16も開とされているので、流入された大部分の外気は、蓄熱体26を通過することなく、排出口22及び排出ダクト28を介して装置外部に排出される。
【0042】
蓄熱室12側の開閉弁15,17が閉とされ、蓄熱室12側の循環配管用第2開閉弁32が開とされ、蓄熱室11側の循環配管用第1開閉弁31が閉とされているので、蓄熱室12の下方部分12aにはマイナスの静圧がかかる。これは、下方部分12aが循環配管33により送風機30の吸引側(上流側)に連結されているからである。この下方部分12aのマイナスの静圧により、供給口20から蓄熱室11の下方部分11aに流入した外気(空気)の一部は、蓄熱体26、燃焼室10、蓄熱体27を経由して蓄熱室12の下方部分12aに流れる。このとき戻り配管としての循環配管33を経由して下方部分12aから供給配管29に戻される風量は、循環配管用調整弁34により調整される。
【0043】
また、このとき、循環配管33を流れる風量が、送風機30の定格風量の1〜20%の範囲内となるように、制御部37が、循環配管用調整弁34を制御すれば適切な高沸点物質除去が可能となる。1%未満の場合には、十分な熱風を蓄熱体に供給できないため高沸点物質の除去ができない。20%を超えると蓄熱体が急激に加熱されるため、蓄熱体の熱衝撃による損傷を起こすおそれがある。ここで、定格風量(rated gas volume)とは、送風機の標準性能であり、これはこの蓄熱式排ガス浄化装置における最大処理風量と同じである。
【0044】
蓄熱室11の蓄熱体26に流れた外気は、蓄熱体26により加熱され、燃焼室10でさらに加熱される。このとき、燃焼室10は、温度検出器8の検出結果に基づいてバーナ9の出力が制御部37に制御され、燃焼室10内部が500〜1000℃程度となるように調整される。燃焼室10で加熱された外気が蓄熱室12の蓄熱体27を通過する際に、蓄熱体27と熱交換がなされることにより、蓄熱体27は、温度が上昇する。これにより、第2蓄熱体27に付着した高沸点物質が除去される。
【0045】
次に、各バルブを切り換えることにより、第1蓄熱体26の高沸点物質を除去する。この場合には、制御部37は、蓄熱室11側の開閉弁14,16を閉とし、蓄熱室12側の開閉弁15,17を開とする。制御部37は、循環配管用第2開閉弁32を閉とし、循環配管用第1開閉弁31を開とする。これにより、供給口21を介して蓄熱室12の下方部分12aに流入された大部分の外気は、蓄熱体27を通過することなく、排出ダクト28を介して装置外部に排出される。下方部分12aに流入した外気(空気)の一部は、蓄熱体27、燃焼室10、蓄熱体26を経由して蓄熱室11の下方部分11aに流れ、循環配管33を経由して供給ダクト29に戻される。第2蓄熱体27の場合と同様に、第1蓄熱体26の高沸点物質も除去できる。
【0046】
図1の場合は、第2温度検出器36の検出結果に基づいて、第2蓄熱体27の温度が管理される。弁を切り換えて第1蓄熱体26の高沸点物質を除去する場合には、第1温度検出器35の検出結果に基づいて、温度が管理される。それぞれ第1、第2温度検出器35,36による検出結果が100〜500℃程度が望ましい。蓄熱体27に付着した高沸点物質を除去する、所謂ベイクアウト温度に達するまでの時間は、1〜5時間程度が望ましい。ベイクアウト温度の保持時間は0〜5時間が望ましい(保持しない場合もある)。ベイクアウト温度は、100〜500℃程度である。
【0047】
蓄熱室12の下方部分12aから循環配管33を通過する空気は、合流用開閉弁40から取り込んだ外気と混合されることで、冷却されて送風機30を通過する。これにより、送風機30及びその後に通過する設備が耐熱性を有する必要がなくなる。加熱保持完了後は、蓄熱体の損傷を防止するため2時間以上の冷却時間により、ゆっくりと冷却を行う。
【0048】
以上のように、本実施形態による蓄熱燃焼式排ガス浄化装置1によれば、簡易な構造により蓄熱体に付着した高沸点物質を除去することができる。さらに、送風機30を耐熱仕様とする必要がない。蓄熱体の損傷を防止しながら高沸点物質の除去ができ、蓄熱体の使用寿命が延びる。
【0049】
次に、
図2乃至
図4により、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置の「排ガス浄化モード」において発揮される別の利点について説明する。
【0050】
通常の排ガス浄化運転中(排ガス浄化モード)において、蓄熱燃焼式排ガス浄化装置1の制御部37は、一方の蓄熱室の供給口に設けられた開閉弁(例えば
図2の場合蓄熱室11の供給口20に設けられた開閉弁14)が開のときは、排出口に設けられた開閉弁(
図2の場合、排出口22に設けられた開閉弁16)が閉であるとともに、他方の蓄熱室の供給口に設けられた開閉弁(
図2の場合、蓄熱室12の供給口21に設けられた開閉弁15)が閉で排出口に設けられた開閉弁(
図2の場合、排出口23に設けられた開閉弁17)が開となるように開閉弁を制御している。
【0051】
この
図2に示す状態から、制御部37は、一方の蓄熱室の供給口に設けられた開閉弁14を開から閉に切り換えるとき(
図3に示す状態となるように切り換えるとき)には、一方の蓄熱室の排出口に設けられた開閉弁16を閉から開に切り換え、且つ他方の蓄熱室の供給口に設けられた開閉弁15を閉から開に切り換え、且つ他方の蓄熱室の排出口に設けられた開閉弁17を開から閉に切り換えるよう各開閉弁を制御する。それとともに、制御部37は、
図4に示すように、これらの開閉弁の開閉切換動作時に一方及び他方の蓄熱室11,12に設けられた循環配管用開閉弁31,32が開になるように制御する。ここで
図4に示す開閉弁14〜17は、
図2の状態から
図3の状態に移行中の状態を示している。すなわち、ポペット式の開閉弁14〜17の切換動作中は、排出口及び供給口の両方の開閉弁が開いていることがある。
【0052】
また、
図3に示す状態から、制御部37は、一方の蓄熱室の供給口に設けられた開閉弁14を閉から開に切り換えるとき(
図2に示す状態となるように切り換えるとき)には、一方の蓄熱室の排出口に設けられた開閉弁16を開から閉に切り換え、且つ他方の蓄熱室の供給口に設けられた開閉弁15を開から閉に切り換え、且つ他方の蓄熱室の排出口に設けられた開閉弁17を閉から開に切り換えるよう開閉弁を制御する。それとともに、制御部37は、
図4に示すように、これらの開閉弁の開閉切換動作時に一方及び他方の蓄熱室11,12に設けられた循環配管用開閉弁31,32が開になるように制御する。なお、
図4に示す開閉弁14〜17は、
図3の状態から
図2の状態に移行中の状態を示しているとも言える。すなわち、ポペット式の開閉弁14〜17の切換動作中は、排出口及び供給口の両方の開閉弁が開いていることがある。
【0053】
制御部37は、開閉弁の開閉切換動作が完了した後は開とされていた循環配管用開閉弁31,32を閉とする。すなわち、開閉弁の切換動作時以外の運転モード(排ガス浄化モード)の際には、基本的には、一方及び他方の蓄熱室11,12に設けられた循環配管用開閉弁31,32は閉とされている。また、これらの開閉弁の開閉切換動作の開始から動作が完了するまでの間には、循環配管用開閉弁31,32が開とされる。
【0054】
以上の操作により、確実な被処理ガスの処理を実現するが、この利点を説明するに先立ち、
図5に示す比較例の蓄熱式排ガス浄化装置101について説明する。比較例の蓄熱式排ガス浄化装置101は、循環配管33及び循環配管用開閉弁31,32を備えておらず、他の構成は、
図1〜
図4に示す蓄熱式排ガス浄化装置1と同様である。すなわち、蓄熱式排ガス浄化装置101は、燃焼室10、蓄熱室11,12、開閉弁14〜17等を備える。
図5も
図4と同様に、開閉弁14〜17の切換動作中の状態を示している。
図5の状態において、供給口20から蓄熱室11の下方部分11aに流入された被処理ガスが蓄熱体26を介して燃焼室10に流入せずに、排出口22を介して排気ダクト28に流入する可能性がある。この供給口20から排出口22へのダイレクトの流入により、僅かであるが被処理ガスの排気ダクト28への漏洩のおそれがある。
【0055】
これに対して、
図4に示すような切換操作手法を行った場合には、蓄熱室11,12の下方部分11a,12aが循環配管33を介して送風機30の吸引側に接続されて、マイナス圧となり、この下方部分11a,12aから被処理ガスが循環配管33を介して供給ダクト29に導かれる。これにより、排出口22,23から排気ダクト28への被処理ガスの流出が防止できる。
【0056】
以上のように、蓄熱燃焼式排ガス浄化装置1によれば、開閉弁14〜17切換時の被処理ガスの排気ダクト28への僅かな漏洩をも防止し、確実な被処理ガスの処理を実現する。すなわち、装置1は、簡易な構成で、確実な排ガス処理を実行することができる。
【0057】
次に、
図6及び
図7により、上述した合流用開閉弁について説明する。合流用開閉弁40は、流通口41aが設けられた流通口形成部材41と、弁体42と、弁体42を上下方向に駆動するアクチュエータ43と、開度検出部44と、を備える。また、合流用開閉弁40の本体40aには、流体入口40bと、流体出口40cとが設けられる。弁体42は、流通口形成部材41に対して近接する方向及び離間する方向に移動可能とされる当接部42aと、当接部42aに一体に形成される流量調整部42bと、を有する。
【0058】
当接部42aは、シール面を有しており、流通口形成部材41に近接する方向に移動されて流通口形成部材41に当接したときに、流通口形成部材41の流通口41aから供給ダクト29へ流体が流入することを阻止する。
図7(a)は、この全閉の状態を示す。
【0059】
流量調整部42bは、当接部42aが流通口形成部材41に当接した状態で流通口41aに挿入される。流量調整部42bは、当接部42aが当接した状態から離間する方向に移動されたときに、流通口41aとの間の流体が流通する隙間が漸次大きくなるように形成される。例えば、流量調整部42bは、円錐台形状(錐体)とされている。
図7(b)は、流量が全閉と全開の間で隙間(開度)が調整された状態を示す。
図7(c)は、全開の状態を示す。
【0060】
アクチュエータ43は、例えばエアシリンダである。アクチュエータ43のロッド43aには、摺動面43cを有する摺動部材43bが設けられる。すなわち、ロッド43aの一方端部に流量調整部42bが設けられ、ロッド43aの他方端部に摺動部材43bが設けられる。開度検出部44には、摺動面43cに向けて当接される当接部材44aを有している。当接部材44aは、図示しない付勢部材により摺動面43c側に付勢されている。摺動面43cは、鉛直面に対して傾斜されている。ロッド43aが上下した場合に、当接部材44aの姿勢(角度)が変わる。開度検出部44は、当接部材44aの角度により、アクチュエータ43のロッド43aの位置、すなわち、流量調整部42bの位置を検出する。流量調整部42bの位置に応じて、流体が流通する隙間が変化し、これにより開度が変化する。このように、開度検出部44は、合流流体用開閉弁40の開度を検出できる。
【0061】
合流流体用開閉弁40は、遮断と調整の機能の両方を有する。すなわち、合流用開閉弁40は、
図7(a)〜(c)に示すように、開状態又は閉状態を保持できるとともに、開度を調整でき、合流部39から供給ダクト29に合流させる流体の流量を調整できる。合流流体用開閉弁40は、遮断と調整の機能の両方を有するため、後述する
図6(c)の合流流体用開閉弁45に比べて設置スペースを小さくできる。また、遮断と調整の両機能を一つの弁体42の駆動で行うことができるため、制御が簡単になるとともに、電気配線も少なくできる。
【0062】
合流用開閉弁40は、被処理ガスの排出量、すなわち、供給ダクト29への供給量が減り、送風機30の最低吸引風量(定格風量の約1/3)より小さくなった場合に、不足分の流体を供給することができる。また、合流用開閉弁40は、被処理ガスの濃度が高い場合にも外気を供給することで、供給ダクト29から蓄熱室11,12等に供給されるガスの濃度を適切にすることで、適切な運転を実現する。さらに、合流用開閉弁40は、上述の付着物除去モードの際の流入空気の流量調整もできる。
【0063】
尚、蓄熱式排ガス浄化装置1の合流用開閉弁は、
図6(a)に示す合流用開閉弁40に限られるものではない。例えば、
図6(c)に示す合流用開閉弁45であってもよい。
図6(c)に示す合流用開閉弁45は、流量調整機能を有する流量調整用の弁体46と、閉状態(遮断)と開状態とを保持する機能を有する開閉用の弁体47とを有する。また、合流用開閉弁45の本体45aには、流体入口45bと、流体出口45cとが設けられる。
【0064】
弁体47は、ポペットダンパ(ポペット弁)であり、エアシリンダ等のアクチュエータ48により駆動される。弁体47は、流体出口45cと当接することで全閉状態とし、流体出口45cから離間されることで全開状態とする。弁体46は、バタフライダンパ(バタフライ弁)であり、回動されることで流量を調整する。
【0065】
合流用開閉弁45も、遮断と調整の機能を有する。すなわち、合流用開閉弁45は、合流用開閉弁40と、同様に、開状態又は閉状態を保持できるとともに、開度を調整でき、合流部39から供給ダクト29に合流させる流体の流量を調整できる。
【0066】
次に、
図8により、開閉弁14,15,16,17の構造について詳細に説明する。蓄熱室11,12の供給口及び排出口に設けられる開閉弁14,15,16,17は、
図8(a)に示すように、流通口61aが形成された流通口形成部材61と、弁体14a,15a,16a,17aと、シリンダ14b,15b,16b,17bと、を有する。流通口形成部材61は、蓄熱室11,12の底部が兼ねている。流通口形成部材61の上面側にはシール部材61bが設けられている。シール部材61bとしては、例えばノンアスベストパッキンを用いても良い。弁体14a〜17aは、シール部材61bに当接することで、ガスの流通を遮断して閉状態を保持する。
【0067】
尚、蓄熱式排ガス浄化装置1の供給口及び排出口用の開閉弁は、
図8(a)に示す開閉弁に限られるものではない。例えば、
図8(b)に示す開閉弁65であってもよい。
図8(b)の開閉弁65は、ガスが流通するガス流通口(以下「流通口」という)66aが設けられた第1部材66と、第1部材66に対して近接及び離間する方向に移動可能とされる第2部材67と、第2部材67を当接及び離間する方向に駆動する駆動部68bとを有する。第2部材67は、第1部材66に当接されることで流通口66aを閉とするとともに、第1部材66から離間されることで流通口66aを開とする。第1部材66は、流通口形成部材である。第2部材67は、弁体であり、駆動部68bのロッド68cの伸縮に応じて移動される。
【0068】
第1及び第2部材66,67のいずれか一方(
図8(b)では第2部材67)には、流通口66aより外側の部分を囲うように立ち上がり形成された包囲壁部69が一体化される。第1及び第2部材66,67のいずれか他方(
図8(b)では第1部材66)には、包囲壁部69に対応する位置に、包囲壁部69の厚みより太い幅で且つ流通口66aを囲うように形成されるシール部材64が設けられる。シール部材64は、例えば第1部材66に設けられた取付部材64aに取り付けられる。シール部材64は、第1及び第2部材66,67が近接して包囲壁部69が当接されたときに変形して、この当接部分からのガスの流出を防止する。このシール部材64としては、柔らかめの材質が適しており、例えばバイント、シリコンスポンジ、ネオプレンスポンジであってもよい。包囲壁部69の厚みは、シール部材64と当接したときに、そのエッジにより、シール部材を変形させることができる程度の厚みとされており、例えば、10mm〜50mm程度とされている。
【0069】
上述した開閉弁65は、エッジのある包囲壁部69と柔らかめのシール部材64とにより、接触面積が減ることにより、単位面積当たりのシール圧力を高めることができる。よって、開閉弁65は、流体リークを低減させることができる。
【0070】
次に、
図9乃至
図11により、本実施形態による蓄熱式排ガス浄化装置の変形例を説明する。蓄熱式排ガス浄化装置1は、さらに、燃焼室10に接続される第1バイパスダクト71及び第2バイパスダクト72を備えるようにしてもよい。このような第1及び第2バイパスダクト71,72等を加えた蓄熱式排ガス浄化装置70が
図9(a)及び
図10に示されている。
図10においては、燃焼室10と蓄熱室11,12との筐体が一体として構成されている。
【0071】
第1バイパスダクト71は、燃焼室10と排気ダクト28とを連通するものであり、すなわち、燃焼室10と排出口22,23の排出側とを連通するバイパス通路である。第1バイパスダクト71は、熱排出ダンパとして機能する。第1バイパスダクト71は、調整弁73を有する。調整弁73は、バタフライ弁であり、弁体の回転力により、流れるガスの流量を調整可能である。第1バイパスダクト71は、余剰熱が発生したときに、設備保護のために燃焼ガスを排出することができる。
【0072】
第2バイパスダクト72は、燃焼室10で発生した熱を外部に設けられる熱回収システム74で利用するための熱回収ダクトである。第2バイパスダクト72は、調整弁73と同様の調整弁75を有する。第2バイパスダクト72は、燃焼室10と熱回収システム74とを連通して、燃焼室10で燃焼後の処理済ガスを熱回収システム74に導く。
【0073】
熱回収システム74は、例えば炉筒煙管式等の廃熱ボイラである。熱回収システム74は、燃焼室10からの排ガスと熱交換させる水(軟水等)を供給する水供給部74aと、この水に熱が加えられることにより発生する蒸気を回収するための蒸気回収部74bとを有する。また、熱回収システム74は、熱交換後の処理済ガスを排出するための排ガス排出部74cを有する。
【0074】
また、蓄熱式排ガス浄化装置70は、排気ダクト28に設けられる調整弁76と、燃焼室10内の圧力を検出する圧力検出器77とを有する。制御部37は、圧力検出器77の検出結果に基づいて、調整弁76を制御して、熱回収や熱排出を行うことができ、余剰熱の有効利用を実現する。
【0075】
図9(a)及び
図10に示された蓄熱式排ガス浄化装置70では、余剰熱排出用のダクトとして、第1及び第2バイパスダクト71,72の両方を設けるように構成したが、本発明は、これに限られるものではない。すなわち、
図9(b)及び
図11に示された、バイパスダクト81のみを有する蓄熱式排ガス浄化装置80においても、上述の蓄熱式排ガス浄化装置70と同様の効果を得ることができる。すなわち、蓄熱式排ガス浄化装置80は、蓄熱式排ガス浄化装置1に対してバイパスダクト81、熱交換器82等を加えたものである。
【0076】
図9(b)及び
図11に示すように、バイパスダクト81は、燃焼室10と排気ダクト28とを連通するものであり、すなわち、燃焼室10と排出口22,23の排出側とを連通する。バイパスダクト81は、熱排出ダンパとして機能する。バイパスダクト81は、調整弁73と同様の調整弁81aを有する。バイパスダクト81は、余剰熱が発生したときに、設備保護のために燃焼ガスを排出することができる。
【0077】
熱交換器82は、熱回収用に設けられ、排気ダクト28中に配置される。熱交換器82は、例えば、ガス及びガスの熱交換を行うプレート式熱交換器である。熱交換器82は、燃焼室10等からの処理済ガスと熱交換させる大気を供給する大気供給部82aと、この空気に熱が加えられることにより発生する熱風を導く熱風導通部82bとを有する。また、熱交換器82は、熱交換後の処理済ガスを排出するためのガス排出部82cを有する。
【0078】
図11では、この回収した熱をコータ(塗工)&乾燥ライン83に導いて利用する例について示す。すなわち、
図11に示す蓄熱式排ガス浄化装置80は、コータ&乾燥ライン83からの排ガスを浄化するとともに、装置80で発生した熱を回収して、コータ&乾燥ライン83で再利用するのに用いた例を示している。
【0079】
コータ&乾燥ライン83は、乾燥用の熱風を供給するための供給部83aと、乾燥に用いられた後の排ガスを排出する排出部83bとを有する。供給部83aは、ファン84及び温度調整器85を介して熱風導通部82bに接続されている。排出部83bは、供給ダクト29に導く導通ダクト83cに接続される。導通ダクト83cは、ファン86、フィルタボックス87、及びファン88が設けられ、排出部83bからの排ガスを供給ダクト29に導く。
【0080】
蓄熱式排ガス浄化装置80は、装置70と同様に、調整弁76及び圧力検出器77を有する。以上のような蓄熱式排ガス浄化装置80は、余剰熱の有効利用を実現する。
【0081】
蓄熱式排ガス浄化装置70,80は、上述した装置1と同様の構成も備え、すなわち、
図9乃至
図11では図示を省略するが、循環配管33、循環配管用第1及び第2開閉弁31,32、循環配管用調整弁34、第1及び第2温度検出器35,36、制御部37等を備える。よって、装置70,80は、装置1と同様に、簡易な構造で蓄熱体に付着した高沸点物質を除去することができ、さらに、上述した他の作用効果も奏することができる。