(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記スイッチング周波数をf1とし、上記バンドパスフィルタの中心周波数をFとし、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅をfwとすると、f1<F−fw/2、またはF+fw/2<f1なる関係が成り立つ、請求項10に記載のLED照明器具。
上記スイッチング周波数f1と、上記バンドパスフィルタの中心周波数Fと、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅fwとの間に、f1/N<F−fw/2、またはF+fw/2<f1/N(Nは2以上の整数)なる関係が成り立つ、請求項11に記載のLED照明器具。
上記PWM信号周波数f2と、上記バンドパスフィルタの中心周波数Fと、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅fwとの間に、f2×N<F−fw/2、またはF+fw/2<f2×N(Nは2以上の整数)なる関係が成り立つ、請求項13に記載のLED照明器具。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、赤外線リモコンの効きを改善するのに適したLED照明器具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって提供されるLED照明器具は、第1方向における一方側である照射側を向く支持面、および上記第1方向に貫通する開口部を有する支持部と、上記支持面に支持された複数のLEDチップと、上記支持部に対して上記第1方向他方側である設置側に位置し、かつ、上記第1方向視において上記開口部と重なり、上記第1方向照射側からの赤外線信号を受信するための受光素子と、上記開口部を覆う板状部を有し、一部が上記支持部に重なる可視光カットフィルタと、を備え、上記可視光カットフィルタにおける上記支持部との重合部分の幅は、上記板状部の厚みよりも大であることを特徴としている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記可視光カットフィルタは、上記支持部に対して上記第1方向照射側に位置する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記可視光カットフィルタは、上記板状部につながり、上記第1方向照射側に起立する環状壁部を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記環状壁部は、上記第1方向視において上記開口部の外側に位置する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記環状壁部は、上記第1方向視において上記開口部に隣接する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記環状壁部の上記板状部につながる基端から上記第1方向照射側先端までの長さは、上記板状部の厚みよりも大である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記支持面に対して上記第1方向照射側に位置し、上記LEDチップからの光を透過する、LEDカバーを備える。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDカバーは、上記第1方向視において上記支持部の上記開口部と重なり、上記第1方向に貫通するカバー開口部を有する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記カバー開口部の内周面は、上記環状壁部の外周面と対向する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記環状壁部の厚みは、上記板状部の厚みより大である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記支持部は、上記第1方向視において環状をなしており、上記開口部は、上記支持部の径方向における中間に位置する。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記受光素子にて受信した光信号から所定の周波数帯域成分を通過させるバンドパスフィルタと、上記バンドパスフィルタを通過した信号に基づいて上記複数のLEDチップの駆動を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、スイッチング動作により上記複数のLEDチップへ出力される、所定のスイッチング周波数を有する直流電圧を生成し、上記スイッチング周波数は、上記バンドパスフィルタの周波数帯域に含まれない。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記スイッチング周波数をf1とし、上記バンドパスフィルタの中心周波数をFとし、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅をfwとすると、f1<F−fw/2、またはF+fw/2<f1なる関係が成り立つ。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記スイッチング周波数f1と、上記バンドパスフィルタの中心周波数Fと、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅fwとの間に、f1/N<F−fw/2、またはF+fw/2<f1/N(Nは2以上の整数)なる関係が成り立つ。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記制御部は、上記複数のLEDチップをデューティ制御により駆動するためのPWM信号を生成し、上記PWM信号の周波数をf2とすると、上記バンドパスフィルタの中心周波数Fと、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅fwとの間に、f2<F−fw/2、またはF+fw/2<f2なる関係が成り立つ。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記PWM信号周波数f2と、上記バンドパスフィルタの中心周波数Fと、上記バンドパスフィルタの通過帯域幅fwとの間に、f2×N<F−fw/2、またはF+fw/2<f2×N(Nは2以上の整数)なる関係が成り立つ。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1〜
図5は、本発明の第1実施形態に係るLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具101は、本体200、複数のLEDモジュール300、電源基板410、電源部420、受光素子510、可視光カットフィルタ520、LEDカバー600、およびカバー700を備えている。LED照明器具101は、たとえば天井800の給電部801に対して設置部品802を介して取り付けられることにより、いわゆるシーリングライトとして用いられることが意図されている。なお、
図5においては、理解の便宜上カバー700のほとんどを省略している。
【0028】
本体200は、LED照明器具101の土台をなす部分であり、
図3〜
図5に示すように、センター部材210と、支持板220と、バックアップ板230とを備えている。センター部材210は、平面視(本発明でいう第1方向視)において略円環状とされており、たとえば所定の強度を有する樹脂により一体形成されている。
【0029】
支持板220は、LEDモジュール300を支持するためのものであり、たとえば鋼板などの金属板にプレス加工を施すことにより形成されている。支持板220は、
図4における上下方向を軸線とする円環形状とされている。支持板220は、径方向における内縁部がビス止めなどの適宜手段によってセンター部材210に固定されており、天井800とは反対側の図中下側(本発明でいう第1方向照射側)を向く支持面220aを有する。支持面220aは、図中上下方向に垂直な面に沿っている。支持面220aには、白色塗装が施されており、光反射率の高い高反射率面とされている。支持板220には、
図4における上下方向(第1方向)に貫通する開口部221が設けられている。開口部221は、支持板220の径方向における中間に位置している。
【0030】
バックアップ板230は、
図4に示すように、支持板220に対して図中上側に配置されており、たとえば鋼板などの金属板にプレス加工を施すことにより形成されている。バックアップ板230は、円環形状とされており、径方向における内寄り部分がビス止めなどの適宜手段によってセンター部材210に固定されている。バックアップ板230の外縁部は、支持板220に重合する状態にて、溶接あるいはビス止めなどの適宜手段によって支持板220に固定されている。バックアップ板230と支持板220との間には環状空間Sが形成されており、当該環状空間Sに後述する電源部420が配置される。バックアップ板230の天井800側の面には、複数の緩衝材260が設けられている。
【0031】
複数のLEDモジュール300は、LED基板240を介して支持面220aに搭載されている。LED基板240は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板であり、一定方向に長く延びたバー状とされている。LED基板240は、複数設けられており、それぞれにおいて長手方向に間隔を隔てて複数のLEDモジュール300が搭載されている。
図5に示すように、本実施形態においては、長手方向寸法の異なる3種類のLED基板240が支持面220aの径方向に間隔を隔てて配置されるとともに、各種類を構成する4個または8個のLED基板240が環状をなすように配置されている。
【0032】
各LEDモジュール300は、平面視長矩形状とされている。
図6は、LEDモジュール300の短手方向に対して直角である平面における断面図を示している。同図に示すようにLEDモジュール300は、1対のリード320、LEDチップ310、封止樹脂340、およびケース330を備えている。1対のリード320は、たとえばCu合金からなり、その一方にLEDチップ310が搭載されている。リード320のうちLEDチップ310が搭載された面と反対側の面は、LEDモジュール300を面実装するために用いられる実装端子321とされている。LEDチップ310は、LEDモジュール300の光源であり、たとえば青色光を発光可能とされている。封止樹脂340は、LEDチップ310を保護するためのものである。封止樹脂340は、LEDチップ310からの光によって励起されることにより黄色光を発する蛍光物質を含む透光樹脂を用いて形成されている。これにより、LEDモジュール300は、発する光の色温度を適宜設定可能である。上記蛍光物質としては、黄色光を発するものに代えて、赤色光を発するものと緑色光を発するものとを混合して用いてもよい。ケース330はたとえば白色樹脂からなり、LEDチップ310から側方に発された光を上方に反射するためのものである。なお、LEDチップ310は、2つのワイヤによって1対のリード320に接続される、いわゆる2ワイヤタイプのものでもよい。
【0033】
複数のLEDモジュール300については、電球色を発するもの、昼白色を発するもの、あるいは、電球色と昼白色のいずれか一方をそれぞれ発するものによって構成することができる。本実施形態においては、複数のLEDモジュール300として電球色と昼白色のいずれか一方をそれぞれ発するものを採用する場合について説明する。複数のLEDモジュール300は、電球色を発する電球色LEDモジュール301と、昼白色を発する昼白色LEDモジュール302とに区別される。
図5においては、理解の便宜上、電球色LEDモジュール301が黒色で塗りつぶされている。本実施形態においては、各LED基板240に搭載された複数のLEDモジュール300については、電球色を発する電球色LEDモジュール301と昼白色を発する昼白色LEDモジュール302とが交互に配置される。
【0034】
電源基板410は、電源部420および受光素子510を支持するためのものであり、
図4に示すように、支持板220よりも図中上側(第1方向設置側)に設けられている。電源基板410は、バックアップ板230に支持されている。
【0035】
電源部420は、天井800の給電部801から供給されるたとえば交流100V電力を、LEDチップ310を点灯させるのに適した電圧の直流電力に変換し、これを複数のLEDモジュール300に供給するためのものである。電源部420は、たとえばトランス、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、ICなどを備え、LEDチップ310の点灯状態を制御するのに必要な回路を含んで構成される。また、電源部420は、電球色LEDモジュール301と昼白色LEDモジュール302との輝度を独立して制御することが可能である。これにより、LED照明器具101は、電球色から昼白色の間の色温度の光を任意に照射可能である。本実施形態においては、
図4に示すように、電源部420は、電源基板410に搭載されており、支持板220に対して図中上側(第1方向設置側)に配置される。
【0036】
本実施形態において、
図7に示すように、電源部420は、たとえば、バンドパスフィルイタ421および制御部422を有している。
【0037】
制御部422においては、LEDチップ310に供給される直流電圧について、たとえばトランジスタなどのスイッチング素子を用いてオンオフ制御(スイッチング動作)することにより、LEDチップ310を駆動(点灯)するのに適した直流電圧に降圧してLEDチップ310に出力される。スイッチング素子によるスイッチング動作の周波数(スイッチング周波数f1)は、たとえば50〜120kHzである。
【0038】
また、制御部422においては、LEDチップ310の明るさを調整(調光)するための制御が行われる。制御部422では、LEDチップ310をデューティ制御により駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号が生成され、LEDチップ310の調光は、PWM信号におけるオン期間のデューティ比を変化させることにより行う。
【0039】
図8は、LEDチップ310の光出力のタイムチャートの一例を示す。
図8に示すように、LEDチップ310の出力電流については、スイッチング周波数f1に対応した脈動(リプル)が生じる。また、PWM信号によってLEDチップ310の出力電流が変化し、
図8においては、PWM周期がt1、オン期間がt2である場合を示している。PWM信号の周波数f2は、たとえば500〜1200Hzである。
【0040】
受光素子510は、図外の赤外リモコン送信機から送信された赤外線信号を受信するためのものであり、本実施形態においては、電源基板410に搭載されている。受光素子510は、支持板220に対して
図4における図中上側(第1方向設置側)に位置しており、平面視(第1方向視)において支持板220の開口部221と重なっている。上記赤外リモコン送信機から送信される赤外線信号は、たとえば36.7kHzの搬送波で振幅変調されている。
【0041】
受光素子510は、たとえばフォトダイオードによって構成されており、受信した光信号を電気信号に変換し、電源部420に出力する。受光素子510から出力された信号は、たとえば電源部420に設けられたアンプ(図示略)により増幅され、バンドパスフィルイタ421を通過する。バンドパスフィルタ421は、受光素子510から出力された信号のうち所定の周波数帯域の成分を通過させる。バンドパスフィルタ421においては、設定された中心周波数Fを中心とする所定の通過帯域幅fwの信号が通過する。本実施形態においては、バンドパスフィルタ421を通過する周波数帯域は、たとえば中心周波数Fが36.7kHzであり、通過帯域幅fwが10kHzとされる。バンドパスフィルタ421を通過した信号は、制御部422に送られる。制御部422は、この信号の指令に基づいて複数のLEDモジュール300の点灯状態を制御する。
【0042】
可視光カットフィルタ520は、赤外線を透過させつつ、可視光線を吸収して当該可視光線の透過を防止するものであり、支持板220に取り付けられている。
図4および
図9に示すように、可視光カットフィルタ520は、支持板220に対して図中下側(第1方向照射側)に位置しており、円形の板状部521と、板状部521につながる起立状の環状壁部522とを有する。板状部521は、支持板220の開口部221を覆うとともに、外周寄りの部分が支持板220と重なっている。板状部521における支持板220との重合部分の幅W1は、板状部521の厚みT1よりも大とされている。
【0043】
環状壁部522は、
図4および
図9に示すように、板状部521から図中下側(第1方向照射側)に延びており、横断面形状が円形である(
図10参照)。環状壁部522は、平面視(第1方向視)において開口部221の外側に位置しており、本実施形態では、平面視において開口部221に隣接している。環状壁部522の板状部521につながる基端から照射側先端までの長さL1は、板状部521の厚みT1よりも大である。また、環状壁部522の厚みT2は、好ましくは板状部521の厚みT1よりも大である。
【0044】
可視光カットフィルタ520を構成する材料としては、たとえばメタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ガラス樹脂などを挙げることができる。可視光カットフィルタ520の各部の寸法の一例を挙げると、板状部521の外径が10.5mm程度、板状部521の厚みT1が1.8mm程度、環状壁部522の厚みT2が1.8mm程度、環状壁部522の基端から先端までの長さL1が8mm程度である。なお、環状壁部522の厚みT2が板状部521の厚みT1より大であることが好ましく、この場合の環状壁部522の厚みT2は、たとえば2.5mm程度である。
【0045】
LEDカバー600は、LEDチップ310(LEDモジュール300)を保護するものであり、たとえばポリカーボネートなどの透明の樹脂からなる。
図4に示すように、LEDカバー600は、支持面220aに対して図中下側(第1方向照射側)に位置しており、LEDモジュール300を覆っている。
【0046】
カバー700は、支持面220aに対して
図4における図中下側(第1方向照射側)に位置しており、支持板220(本体200)およびLEDカバー600を覆っている。カバー700は、LED照明器具101の外観の大半を構成するものであり、たとえば乳白色の半透明の樹脂からなる。カバー700は、平面視(第1方向視)において円形とされており、中央から遠ざかるほど
図4における図中上方(設置側)に位置するように傾斜している。カバー700の外縁部は、支持板220の外縁部に重合する状態にて、当該外縁部に固定されている。
【0047】
次に、LED照明器具101の作用について説明する。
【0048】
LEDチップ310から発せられた光の一部は、LEDカバー600あるいはカバー700によって反射され、支持板220に向かう。このような反射光は、
図9に示すように、概して、上下方向(鉛直方向)に対して比較的大きい角度をなして傾いた方向に進行する。
図9において、LEDチップ310からの光の進行方向の例を二点鎖線で示す。
【0049】
本実施形態においては、リモコン送信機からの赤外線信号を受けるための受光素子510が支持板220に設けられた開口部221に臨んでおり、この開口部221は、可視光カットフィルタ520によって塞がれている。より具体的には、可視光カットフィルタ520は、開口部221を覆う板状部521を有し、板状部521における支持板220との重合部分の幅W1は、板状部521の厚みT1よりも大とされている。このため、上述した斜め方向に進行するLEDチップ310からの光は、可視光カットフィルタ520において、必ず板状部521の厚みT1を超える長さ分、進行する。このような構成によれば、LEDチップ310からの光は、可視光カットフィルタ520によって効率よく吸収され、受光素子510に到達しにくい。したがって、LED照明器具101によれば、受光素子510においてリモコンからの赤外線信号を効率よく受信することができ、リモコンの効き具合の改善を図ることができる。
【0050】
可視光カットフィルタ520は、
図9等を参照して説明したように、開口部221の外側において板状部521から図中下側に延びる環状壁部522を有する。これにより、上述した斜め方向に進行するLEDチップ310からの光は、板状部521を通過する前に環状壁部522も通過しやすい。したがって、環状壁部522を有する構成は、LEDチップ310からの光を可視光カットフィルタ520によってより効率よく吸収することができ、リモコンの効き具合を改善するのにより適する。
【0051】
その一方、受光素子510に向けてリモコン送信機から送信された赤外線は、
図9において点線で示すように、鉛直方向に対して殆ど傾かない方向に進行する場合が多い。したがって、リモコン送信機からの赤外線が環状壁部522を通過する頻度は少なく、環状壁部522を設けることによってリモコンの感度が低下することは抑制される。
【0052】
環状壁部522の基端から先端までの長さL1が板状部521の厚みT1よりも大である。これにより、LEDチップ310から発せられ、斜め方向に進行して受光素子510に向かう光は、高い割合で環状壁部522を通過する。また、環状壁部522の厚みT2は、板状部521の厚みT1よりも大である。これにより、環状壁部522を通過する、LEDチップ310からの光は、環状壁部522によって効率よく吸収される。したがって、これらの環状壁部522についての特徴は、リモコンの効き具合を改善するうえでより好ましい。
【0053】
LEDチップ310の点灯時には、制御部422においてスイッチング動作により所定のスイッチング周波数f1を有する直流電圧に降圧し、各LEDチップ310に出力される。LEDチップ310からの光が受光素子510に到達すると、上記スイッチング周波数f1(たとえば50〜120kHz)に応じた光信号として受信される。本実施形態においては、受光素子510にて受信した光信号はバンドパスフィルタ421に出力され、当該バンドパスフィルタ421において、設定された中心周波数F(たとえばリモコン送信機から送信される赤外線信号の搬送波である36.7kHz)を中心とする所定の通過帯域幅fw(たとえば10kHz)の信号が通過する。
【0054】
上記スイッチング周波数f1(50〜120kHz)は、バンドパスフィルタ421の中心周波数F(36.7kHz)、通過帯域幅fw(10kHz)との間でf1<F−fw/2またはF+fw/2<f1の関係が成立しており、バンドパスフィルタ421を通過する周波数帯域(32.7〜41.7kHz)に含まれていない。これにより、LEDチップ310からの光が受光素子510に到達しても、上記スイッチング周波数f1に応じた光信号がバンドパスフィルタ421によって有意に除去される。このことは、リモコンの誤動作防止に寄与し、リモコンの効き具合を改善するのに適する。
【0055】
上記スイッチング周波数f1の波形(リプル)は、当該スイッチング周波数f1の整数倍の周期で変動することがある。このようなスイッチング周波数f1の変動に対応すべく、スイッチング周波数f1としては、バンドパスフィルタ421の中心周波数F(36.7kHz)、通過帯域幅fw(10kHz)との間で、f1/N<F−fw/2、またはF+fw/2<f1/N(Nは2以上の整数)の関係が成立するように設定することができる。このようなスイッチング周波数f1は、たとえば85〜95kHzである。これにより、スイッチング周波数f1に上記変動が生じても、当該変動後の周波数がバンドパスフィルタ421を通過する周波数帯域に含まれず、リモコンの誤動作防止に適する。
【0056】
LEDチップ310の明るさの調整に際しては、制御部422においてデューティ制御により駆動するためのPWM信号を生成し、出力電流のオン期間のデューティ比を変化させる。LEDチップ310からの光が受光素子510に到達すると、上記したPWM信号周波数f2(たとえば500〜1200Hz)に応じた光信号として受信される。
【0057】
上記PWM信号周波数f2(500〜1200Hz)は、バンドパスフィルタ421の中心周波数F(36.7kHz)、通過帯域幅fw(10kHz)との間でf2<F−fw/2またはF+fw/2<f2の関係が成立しており、バンドパスフィルタ421を通過する周波数帯域(32.7〜41.7kHz)に含まれていない。これにより、LEDチップ310からの光が受光素子510に到達しても、上記PWM信号周波数f2に応じた光信号がバンドパスフィルタ421によって有意に除去される。このことは、リモコンの誤動作防止に寄与し、リモコンの効き具合を改善するのに適する。
【0058】
上記PWM信号周波数f2については、当該PWM信号周波数f2の整数倍の超高波ノイズとしてあらわれる場合がある。このようなPWM信号周波数f2に起因するノイズに対応すべく、PWM信号周波数f2としては、バンドパスフィルタ421の中心周波数F、通過帯域幅fwとの間で、f2×N<F−fw/2、またはF+fw/2<f2×N(Nは2以上の整数)の関係が成立するように設定することができる。これにより、PWM信号周波数f2に起因するノイズが生じても、当該ノイズの周波数がバンドパスフィルタ421を通過する周波数帯域に含まれず、リモコンの誤動作防止に適する。
【0059】
図11〜
図13は、本発明の第2実施形態に係るLED照明器具を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態のLED照明器具102は、可視光カットフィルタ520およびLEDカバー600の構成が上記実施形態と異なっている。
【0060】
本実施形態において、
図11および
図12に示すように、LEDカバー600には、上下方向(第1方向)に貫通するカバー開口部601が設けられている。
図13に示すように、カバー開口部601は、平面視(第1方向視)において、支持板220の開口部221、および可視光カットフィルタ520と重なっている。カバー開口部601の内径寸法は、可視光カットフィルタ520の環状壁部522の外径寸法よりも僅かに大とされている。
【0061】
可視光カットフィルタ520の環状壁部522は、上下方向においてカバー開口部601を貫通するように延びており、環状壁部522の外周面とカバー開口部601の内周面とは、互いに対向している。
【0062】
上記構成の環状壁部522によれば、LEDカバー600によって反射され、支持板220の開口部221に向かうLEDチップ310からの光は、板状部521を通過する前に、確実に環状壁部522を通過する。したがって、本実施形態によれば、LEDチップ310からの光を可視光カットフィルタ520によってより効率よく吸収することができ、リモコンの効き具合を改善するのにより適する。
【0063】
LEDチップ310から発せられた光は、LEDカバー600の内部を進行する場合がある。本実施形態において、カバー開口部601の内周面と環状壁部522の外周面とが対向している。このため、
図12を参照するとより理解できるように、LEDチップ310から発せられ、LEDカバー600の内部を進行した後にカバー開口部601の内周面から出射する光をも、環状壁部522によって吸収させることができる。このことは、リモコンの効き具合を改善するうえでより好ましい。
【0064】
本発明に係るLED照明器具は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLED照明器具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。