特許第6066489号(P6066489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6066489-電子機器 図000002
  • 特許6066489-電子機器 図000003
  • 特許6066489-電子機器 図000004
  • 特許6066489-電子機器 図000005
  • 特許6066489-電子機器 図000006
  • 特許6066489-電子機器 図000007
  • 特許6066489-電子機器 図000008
  • 特許6066489-電子機器 図000009
  • 特許6066489-電子機器 図000010
  • 特許6066489-電子機器 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066489
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20170116BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H05K7/14 Q
   H05K7/18 L
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-165487(P2013-165487)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-35488(P2015-35488A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真孝
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−182301(JP,A)
【文献】 特開2011−114047(JP,A)
【文献】 特開2012−109524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 7/18
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子回路を有すると共にラックに対して一方向に挿抜可能に収容される筐体と、前記筐体を前記ラックに収容した状態で外部に露出する前記筐体の正面板側に設けられて前記電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチと、前記正面板から外側に突出して設けられる取っ手と、を備える電子機器であって、
前記切換スイッチが、前記電子回路を導通状態とする導通位置と、前記電子回路を非導通状態とする非導通位置との間で移動可能とされ、
前記取っ手が、前記正面板との間に手指を挿入可能な把持可能位置と、前記手指を挿入できない把持不能位置との間で前記一方向に移動可能とされ、
さらに、
前記取っ手を把持不能位置に固定する移動規制位置と、前記取っ手を移動可能とする移動許容位置との間で前記正面板の主面に沿って移動可能に設けられる取っ手規制部、
及び、
前記取っ手規制部に一体に設けられ、前記取っ手規制部が前記移動規制位置に配された状態で前記切換スイッチの非導通位置から導通位置への切り換え操作を許容する切換許容位置と、前記取っ手規制部が前記移動許容位置に配された状態で前記切換スイッチの切り換え操作を規制する切換規制位置との間で前記正面板の主面に沿って移動可能に設けられたスイッチ規制部、を有し、
前記スイッチ規制部が前記切換許容位置に配され、かつ、前記切換スイッチが前記導通位置に配されている状態で、前記切換スイッチが、前記スイッチ規制部の前記切換規制位置への移動を規制するインターロック構造を備え、
前記取っ手規制部が、前記正面板の外面との間に隙間なく配されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記スイッチ規制部が、弾性変形可能な材料によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記インターロック構造が、
前記切換スイッチの非導通位置への移動を規制するように前記切換スイッチの少なくとも一部を覆うと共に、前記取っ手規制部を前記移動規制位置に保持する被覆位置と、前記切換スイッチの非導通位置への移動を許容するように前記切換スイッチを外部に露出させると共に前記取っ手規制部を前記移動許容位置に保持する退避位置との間で前記正面板の主面に沿って移動可能に設けられるカバー部、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スイッチ規制部が、前記正面板の内面に配され、
前記取っ手規制部及び前記スイッチ規制部が、前記正面板に貫通する孔に挿通された連結部によって互いに固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記取っ手が、前記正面板の外面に対向して配される取っ手本体部と、該取っ手本体部から前記正面板に向けて延びる規制用板部と、を備え、
該規制用板部には、その厚さ方向に貫通する挿通孔が形成され、
前記取っ手規制部は、前記取っ手が前記把持不能位置に配された状態で、前記取っ手規制部を前記移動規制位置に移動させることで前記挿通孔に挿通されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器には、例えば特許文献1のように、ラックに対して挿抜可能に収容された状態で、電子機器側のコネクタとラック側のコネクタとを接続するものがある。ラックに収容された状態で外部に露出する電子機器の正面には、電子機器内の電子回路の導通状態を切り換える切換スイッチ(例えば配線用遮断器(MCCB))が設けられており、この切換スイッチをオンにすることで、電子機器とラックとの間に電流が流れるようになっている。また、この電子機器の正面には、これをラックから引き抜く際に把持する取っ手が設けられている。
特許文献1には、電子機器とラックとの間に電流が流れている状態(活線状態)で電子機器がラックから引き抜かれることを防ぐ機械的なインターロック構造を採用した電子機器が開示されている。
【0003】
このインターロック構造は、切換スイッチをオンする操作を規制する規制位置と、切換スイッチの操作を許容する許容位置との間で移動可能に設けられた規制部と、把持可能な位置と把持不能な位置との間で移動可能とされた取っ手を、把持不能な位置に保持するカバー部材とを備えている。カバー部材は規制部に接続され、規制部と一体に移動する。カバー部材は、規制部が規制位置に配された状態で取っ手の移動を許容し、規制部が許容位置に配された状態で取っ手を把持不能な位置に保持する。
また、このインターロック構造では、規制部が許容位置に配され、かつ、切換スイッチがオンとなっている状態で、切換スイッチが規制部の規制位置への移動を阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−114047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電子機器では、カバー部材が電子機器の正面に対して間隔をあけて対向するように配されているため、作業者の手指等が不意にカバー部材に引っ掛りやすい。作業者の手指等がカバー部材に引っ掛った場合、カバー部材に加えられた不意の外力によって、規制部がオン状態の切換スイッチに押し付けられ、切換スイッチに応力がかかってしまう虞がある。この場合、切換スイッチやこれに接続された電子機器の電子回路等に不具合が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、活線状態での引き抜き作業を防止しながら、切換スイッチの保護も図ることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の電子機器は、内部に電子回路を有すると共にラックに対して一方向に挿抜可能に収容される筐体と、前記筐体を前記ラックに収容した状態で外部に露出する前記筐体の正面板側に設けられて前記電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチと、前記正面板から外側に突出して設けられる取っ手と、を備え、
前記切換スイッチが、前記電子回路を導通状態とする導通位置と、前記電子回路を非導通状態とする非導通位置との間で移動可能とされ、前記取っ手が、前記正面板との間に手指を挿入可能な把持可能位置と、前記手指を挿入できない把持不能位置との間で前記一方向に移動可能とされ、さらに、前記取っ手を把持不能位置に固定する移動規制位置と、前記取っ手を移動可能とする移動許容位置との間で前記正面板の主面に沿って移動可能に設けられる取っ手規制部、及び、前記取っ手規制部に一体に設けられ、前記取っ手規制部が前記移動規制位置に配された状態で前記切換スイッチの非導通位置から導通位置への切り換え操作を許容する切換許容位置と、前記取っ手規制部が前記移動許容位置に配された状態で前記切換スイッチの切り換え操作を規制する切換規制位置との間で前記正面板の主面に沿って移動可能に設けられたスイッチ規制部、を有し、前記スイッチ規制部が前記切換許容位置に配され、かつ、前記切換スイッチが前記導通位置に配されている状態で、前記切換スイッチが、前記スイッチ規制部の前記切換規制位置への移動を規制するインターロック構造を備え、前記取っ手規制部が、前記正面板の外面との間に隙間なく配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切換スイッチによる電子機器の電子回路の導通状態の切り換え操作、及び、電子機器をラックから引き抜く作業の一方のみを許容し、他方を阻止することができる。したがって、電子機器とラックとの間に電流が流れている活線状態で電子機器がラックから引き抜かれることを防止できる。
さらに、本発明によれば、取っ手規制部が正面板の外面との間に隙間なく配されているため、作業者の手指が不意に取っ手規制部に引っ掛ることを防止できる。したがって、不意の外力によって切換スイッチに応力がかかってしまうことを防ぎ、切換スイッチやこれに接続された電子機器の電子回路等に不具合が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る電子機器及びこれを収容するラック示す概略斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る電子機器の要部の第一状態を示しており、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は(a)のB−B矢視断面図である。
図3図2に示す第一状態における切換スイッチとスイッチ規制部との関係を示す拡大断面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る電子機器の要部の第二状態を示しており、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図、(c)は(a)のD−D矢視断面図である。
図5図4に示す第二状態における切換スイッチとスイッチ規制部との関係を示す拡大断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る電子機器の要部の第一状態を示しており、(a)は正面図、(b)は(a)のE−E矢視断面図、(c)は(a)のF−F矢視断面図である。
図7図6に示す第一状態における切換スイッチとスイッチ規制部との関係を示す拡大断面図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る電子機器の要部の第二状態を示しており、(a)は正面図、(b)は(a)のG−G矢視断面図、(c)は(a)のH−H矢視断面図である。
図9図8に示す第二状態における切換スイッチとスイッチ規制部との関係を示す拡大断面図である。
図10図6〜9に示す電子機器の変形例の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第一実施形態〕
以下、図1〜5を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態に係る電子機器10Aは、ラック1に対して一方向(図1におけるX方向、挿抜方向とも呼ぶ)に挿抜可能に収容されるものである。本実施形態では、電子機器10Aの挿抜方向がラック1の前面1aに直交する方向に設定されている。
【0011】
ラック1は、その前面1aに開口する収容部2を有する。収容部2は、複数の電子機器10Aをラック1の高さ方向(Z方向)に並べて収容できるように、縦長に形成されている。収容部2の内側面2bには、電子機器10Aの挿抜方向に延びるガイドレール4が設けられている。ガイドレール4は、電子機器10Aをラック1に対して挿抜する際に電子機器10Aの側部に係合することで、電子機器10Aを一方向(X方向)に摺動させる役割を果たす。
さらに、電子機器10Aの挿入方向(X1方向)に面する収容部2の内端面2aには、電子機器10Aに電気接続するためのラック側コネクタ3が設けられている。ラック側コネクタ3は、電子機器10Aを収容部2に収容した状態で、電子機器10Aの筐体20の背面20b側(ラック1に対する電子機器10Aの挿入方向前側)に設けられた機器側コネクタ(不図示)に電気接続される。
【0012】
電子機器10Aは、図1〜5に示すように、筐体20と、筐体20の背面20b側に設けられた機器側コネクタ(不図示)と、筐体20の正面側に設けられた切換スイッチ30及び取っ手40と、を備える。
電子機器10Aの筐体20内部には、ラック1と電気接続するための電子回路が設けられている。この電子回路は機器側コネクタ及び切換スイッチ30と電気的に接続されている。筐体20は、ラック1に収容された状態で外部に露出する正面板21を備える。外部に露出する正面板21の外面(主面)21aは、筐体20の正面をなす。
【0013】
切換スイッチ30は、筐体20内部の電子回路の導通/非導通状態を切り換えるものであり、電子回路を導通状態とする導通位置30B(図4,5参照)と、電子回路を非導通状態とする非導通位置30A(図2,3参照)との間で移動可能とされている。この切換スイッチ30は、筐体20内に配されると共に、正面板21に形成された開口部22を介して、外部に露出している。
【0014】
本実施形態の切換スイッチ30は、筐体20に対して揺動可能に設けられたシーソースイッチである。切換スイッチ30は、図3,5に示すように、導通位置30Bに配された状態で基準面30aから突出する第一突起部31と、非導通位置30Aに配された状態で基準面30aから突出する第二突起部32と、を備える。なお、基準面30aは、正面板21の内面(主面)21bに間隔をあけて対向する切換スイッチ30の面である。
これら第一突起部31及び第二突起部32は、ラック1や筐体20の高さ方向(Z方向)に配列され、第一突起部31が上側、第二突起部32が下側に配されている。また、第一突起部31や第二突起部32は、基準面30aから突出した状態であっても、正面板21の外面21aから突出しない、特に本実施形態では、正面板21の開口部22に入り込まない。
【0015】
本実施形態では、例えば図3に示すように、第一突起部31が基準面30aから突出した状態において、第一突起部31を基準面30aに向けて押すことで、図5に示すように、第一突起部31が基準面30aから突出しない位置に移動すると共に第二突起部32が基準面30aから突出する位置に移動するように、切換スイッチ30が揺動する。すなわち、切換スイッチ30が非導通位置30Aから導通位置30Bに移動し、これによって電子回路が導通状態となる。
この切換スイッチ30は、図1,2,4に示すように、筐体20(正面板21)の幅方向(Y方向)の一方の端部(図1において左側の端部)に設けられている。
【0016】
取っ手40は、ラック1に対する電子機器10Aの挿抜作業時に作業者が把持する(掴む)部分であり、筐体20の幅方向の両端部に一対設けられている。なお、以下の説明では、図2,4に示すように筐体20の幅方向の一方の端部に設けられた一方の取っ手40を参照して説明するが、他方の端部に設けられた他方の取っ手40も同様に構成されてよい。
【0017】
取っ手40は、正面板21から筐体20の外側に突出して設けられている。また、取っ手40は、筐体20に対して、正面板21との間に作業者の手指を挿入可能な把持可能位置40A(図2参照)と、手指を挿入できない把持不能位置40B(図4参照)との間で、電子機器10Aの挿抜方向(X方向)に移動可能とされている。以下、本実施形態の取っ手40について具体的に説明する。
【0018】
本実施形態の取っ手40は、主に折り曲げ加工を施した板材によって構成され、正面板21の外面21aに対向して配される板状の取っ手本体部41と、取っ手本体部41から正面板21に向けて延びる規制用板部42と、を備える。また、本実施形態の取っ手40は、これを筐体20に対してX方向に移動可能に取り付ける取っ手取付部43を備える。
取っ手本体部41は、筐体20の高さ方向(Z方向)に延びる帯板状に形成されている。取っ手本体部41は、その板厚方向が正面板21の板厚方向に一致するように正面板21の外面21a上に配されている。
【0019】
規制用板部42は、取っ手本体部41の幅方向の一端部(図示例では正面板21の幅方向内側に位置する取っ手本体部41の幅方向の端部)に一体に形成され、板材の折り曲げ加工によって取っ手本体部41に対して垂直に屈曲している。
規制用板部42は、その板厚方向が正面板21の幅方向に一致するように配されている。また、規制用板部42は、正面板21に形成されたスリット孔23を通じて筐体20内部に挿通されている。
【0020】
また、規制用板部42には、その板厚方向に貫通する挿通孔47が形成されている。挿通孔47は、取っ手40が図2に示す把持可能位置40Aに配された状態で、正面板21の外面21aからX2方向に離間した位置に配される。また、挿通孔47は、取っ手40が図4に示す把持不能位置40Bに配された状態で、正面板21の外面21aに近接した位置に配される。本実施形態の挿通孔47は、筐体20の高さ方向(Z方向)に延びるスリット状に形成されている。
【0021】
取っ手取付部43は、取っ手本体部41の長手方向両端に一体に形成された一対の取付板部44と、各取付板部44に設けられた棒状の軸部45と、を備える。
各取付板部44は、取っ手本体部41に対して段差状に折り曲げ加工されることで、取っ手本体部41よりも電子機器10Aの挿入方向(X1方向)にずれて位置している。各取付板部44は、取っ手本体部41と同様に、正面板21の外面21aに対向するように配されている。
各軸部45は、取付板部44から電子機器10Aの挿入方向(X1方向)に突出しており、正面板21の外面21a側から筐体20内部に挿通されている。これにより、取っ手40は、筐体20に対して、軸部45の長手方向、すなわち、電子機器10Aの挿抜方向に移動可能とされている。なお、軸部45の突出方向先端にはフランジ46が形成されており、軸部45が正面板21の外面21a側に抜け落ちることを防いでいる。
【0022】
上記構成の取っ手40が図4に示す把持不能位置40Bに配された状態では、取付板部44が正面板21の外面21aに当接し、正面板21の外面21aと取っ手本体部41との隙間に作業者の手指を挿入できない程度に、当該隙間が狭くなる。
一方、取っ手40が図2に示す把持可能位置40Aに配された状態では、取付板部44が正面板21の外面21aから離間し、正面板21の外面21aと取っ手本体部41との隙間に作業者の手指を挿入できる程度に、当該隙間が広がる。
【0023】
また、本実施形態の電子機器10Aは、上記構成の取っ手40(特に取っ手本体部41及び取付板部44)を正面板21の外面21aに近づける方向(X1方向)に付勢する付勢部材50を備える。本実施形態の付勢部材50はコイルスプリングであり、各軸部45のフランジ46と、正面板21の内面21bとの間の部分に取り付けられている。なお、付勢部材50の付勢力は、取っ手40が図4に示す把持不能位置40Bに配された状態で、作業者の手指を取っ手本体部41に引っ掛けて正面板21の外面21aから離間する方向(X2方向)に移動させることが可能な程度に、調整されている。
【0024】
そして、本実施形態の電子機器10Aは、電子機器10Aとラック1との間に電流が流れている状態(活線状態)で電子機器10Aがラック1から引き抜かれることを防ぐことを目的としたインターロック構造60Aを備える。このインターロック構造60Aは、取っ手規制部61及びスイッチ規制部62を備える。
【0025】
取っ手規制部61は、取っ手40を把持不能位置40Bに固定する移動規制位置61B(図4参照)と、取っ手40を移動可能とする移動許容位置61A(図2参照)との間で、正面板21の外面21aに沿って移動可能に設けられている。
本実施形態の取っ手規制部61は、主に、正面板21の外面21aのうち、正面板21の幅方向に配列された取っ手40(特に取っ手本体部41及び規制用板部42)と、切換スイッチ30(また、切換スイッチ30を外部に露出させる正面板21の開口部22)との間の領域に配されている。また、取っ手規制部61は、正面板21の外面21aに対して隙間なく配されている。本実施形態の取っ手規制部61は、平板状に形成され、正面板21の外面21aに重ねて配されている。
【0026】
この取っ手規制部61には、後述するスイッチ規制部62と連結するための棒状の連結部65が一体に設けられている。連結部65は、正面板21に貫通して形成された摺動孔(孔)24に挿通されている。摺動孔24は、正面板21の幅方向に延びる長孔となっている。これら連結部65及び摺動孔24により、取っ手規制部61は、正面板21の幅方向(Y方向)に移動可能とされている。
また、本実施形態の取っ手規制部61は、正面板21の外面21aから突出する操作部63を有する。操作部63は、取っ手規制部61の平板部分に対して直角に折り曲げることで形成されている。作業者は、この操作部63に手指を引っ掛けることで、取っ手規制部61を容易に正面板21の幅方向に移動させることができる。本実施形態の操作部63は、取っ手規制部61の平板部分のうち、取っ手規制部61の移動許容位置61Aへの移動方向前方側の側端部に形成されている。
【0027】
以上のように構成される取っ手規制部61は、図4に示すように取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態において、図4に示す移動規制位置61Bと、図2に示す移動許容位置61Aとの間で、正面板21の幅方向に移動可能である。
本実施形態では、図4に示すように取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態において、規制用板部42の挿通孔47が正面板21の外面21aに近接した位置に配されるため、取っ手規制部61を図2に示す移動許容位置61Aから図4に示す移動規制位置61Bに向けて移動させる際に、取っ手規制部61が挿通孔47に挿通されることで、取っ手規制部61を図4に示す移動規制位置61Bまで移動させることができる。
【0028】
そして、取っ手規制部61が挿通孔47に挿通された状態では、取っ手40を把持可能位置40Aに移動させようとしても、取っ手規制部61が取っ手40に係合しているため、取っ手40を把持不能位置40Bから把持可能位置40Aまで移動させることができない。
なお、図2に示すように取っ手40が把持可能位置40Aに配された状態では、規制用板部42の挿通孔47が正面板21の外面21aから離間して位置するため、取っ手規制部61を図2に示す移動許容位置61Aから図4に示す移動規制位置61Bに向けて移動させることができない。すなわち、取っ手規制部61の移動規制位置61Bへの移動が取っ手40の規制用板部42によって規制される。
【0029】
図2〜5に示すように、スイッチ規制部62は、上記した取っ手規制部61に一体に設けられている。このスイッチ規制部62は、取っ手規制部61が移動規制位置61Bに配された状態で切換スイッチ30の非導通位置30Aから導通位置30Bへの切り替え操作を許容する切換許容位置62B(図4,5参照)に配される。また、スイッチ規制部62は、取っ手規制部61が移動許容位置61Aに配された状態で切換スイッチ30の切り換え操作を規制する切換規制位置62A(図2,3参照)に配される。そして、スイッチ規制部62は、取っ手規制部61と共に、上記した切換許容位置62Bと切換規制位置62Aとの間で正面板21の外面21aに沿って移動可能となっている。
また、切換スイッチ30が非導通位置30Aに配されている状態では、スイッチ規制部62が、切換規制位置62Aと切換許容位置62Bとの間で移動可能となる。一方、スイッチ規制部62が切換許容位置62Bに配され、かつ、切換スイッチ30が導通位置30Bに配されている状態では、切換スイッチ30が、スイッチ規制部62の切換規制位置62Aへの移動を規制する。
以下、本実施形態のスイッチ規制部62について具体的に説明する。
【0030】
本実施形態のスイッチ規制部62は、弾性変形可能な材料(例えば軽量かつ柔らかい樹脂材料)からなる。また、スイッチ規制部62は、正面板21の内面21bに配されると共に、正面板21の摺動孔24に挿通された連結部65によって取っ手規制部61に固定されている。これにより、スイッチ規制部62は取っ手規制部61と共に正面板21の幅方向に移動可能とされている。
さらに、本実施形態のスイッチ規制部62は、切換スイッチ30の基準面30aと正面板21の内面21bとの隙間に入り込むことが可能な板状に形成されている。また、スイッチ規制部62は、上記隙間のうち、切換スイッチ30の第二突起部32が基準面30aから突出する領域に入り込むように形成されている。
【0031】
上記のように設けられるスイッチ規制部62が、図2,3に示すように切換規制位置62Aに配された状態では、非導通位置30Aに配された切換スイッチ30に対し、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動方向前方側に位置する。具体的には、スイッチ規制部62が、切換スイッチ30の基準面30aと正面板21の内面21bとの隙間に入り込んで、基準面30aから突出しない位置に配された第二突起部32上に位置する。このため、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動させようとしても、切換スイッチ30の第二突起部32がスイッチ規制部62に当接するため、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動させることができない。
【0032】
一方、スイッチ規制部62が、図4,5に示すように切換許容位置62Bに配された状態では、第二突起部32上から離れ、切換スイッチ30の第二突起部32が基準面30aから突出する領域に対して正面板21の幅方向に隣り合う位置に配される。すなわち、スイッチ規制部62が、導通位置30Bと非導通位置30Aとの間で移動する切換スイッチ30の作動領域から外れて位置するため、切換スイッチ30を導通位置30Bと非導通位置30Aとの間で移動させることができる。
【0033】
なお、図4,5に示すように、スイッチ規制部62を切換許容位置62Bに配し、かつ、切換スイッチ30を導通位置30Bに配した状態では、切換スイッチ30の第二突起部32が基準面30aから突出して、スイッチ規制部62の切換規制位置62Aへの移動方向前方側に位置する。このため、スイッチ規制部62を切換規制位置62Aに移動させようとしても、スイッチ規制部62が第二突起部32の側部に当接し、スイッチ規制部62を切換許容位置62Bから切換規制位置62Aに移動させることはできない。すなわち、切換スイッチ30が、スイッチ規制部62の切換規制位置62Aへの移動を規制する。
【0034】
次に、上記構成の電子機器10Aの作用について説明する。
例えば電子機器10Aがラック1に収容された状態において、切換スイッチ30を導通位置30Bに配して電子機器10Aの電子回路とラック1との間に電流を流す場合には、図4,5に示すように、取っ手40を把持不能位置40Bに配した上で、取っ手規制部61を移動規制位置61Bに配すると共にスイッチ規制部62を切換許容位置62Bに配しておけばよい。なお、本実施形態では、取っ手40が付勢部材50によって把持可能位置40Aから把持不能位置40Bに向けて付勢されているため、取っ手40に付勢部材50の付勢力に抗う外力が加えられない限り、取っ手40は付勢部材50の付勢力によって把持不能位置40Bに保持される。
【0035】
この状態においては、取っ手40が取っ手規制部61によって把持不能位置40Bに固定されるため、作業者はその手指を取っ手本体部41に引っ掛けても、取っ手本体部41を把持可能位置40Aに移動させることができず、作業者の手指を正面板21と取っ手本体部41との間に挿入できない。したがって、電子機器10Aをラック1から引き抜く作業が阻止される。
そして、上記状態において、切換スイッチ30が導通位置30Bに移動させれば、切換スイッチ30の第二突起部32がスイッチ規制部62の切換規制位置62Aへの移動方向前方側に位置するため、スイッチ規制部62に一体とされた取っ手規制部61が、移動規制位置61Bから移動許容位置61Aに移動することも阻止される。したがって、電子機器10Aの電子回路とラック1との間に電流を流れている状態(活線状態)では、電子機器10Aをラック1から引き抜く作業を確実に阻止できる。
【0036】
一方、ラック1に収容された電子機器10Aをラック1から引き抜く場合には、図2,3に示すように、切換スイッチ30を非導通位置30Aに移動させた上で、取っ手規制部61を移動許容位置61Aに移動させると共にスイッチ規制部62を切換規制位置62Aに移動させればよい。
この状態においては、作業者がその手指を取っ手本体部41に引っ掛けて、取っ手本体部41を付勢部材50の付勢力に抗って把持可能位置40Aに移動させることができる。これにより、作業者の手指を正面板21と取っ手本体部41との間に挿入できるため、電子機器10Aをラック1から引き抜くことができる。
また、この状態においては、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動がスイッチ規制部62によって阻止されるため、電子機器10Aの電子回路が導通状態となることを防止できる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の電子機器10Aによれば、切換スイッチ30による電子機器10Aの電子回路の導通状態の切り換え操作、及び、電子機器10Aをラック1から引き抜く作業の一方のみを許容し、他方を阻止することができる。したがって、電子機器10Aとラック1との間に電流が流れている活線状態で電子機器10Aがラック1から引き抜かれることを防止できる。
【0038】
また、本実施形態の電子機器10Aによれば、取っ手規制部61が正面板21の外面21aとの間に隙間なく配されているため、図4,5に示す状態において、作業者の手指が不意に取っ手規制部61に引っ掛ることを防止できる。したがって、不意の外力によって切換スイッチ30(特に第二突起部32)に応力がかかってしまうことを防ぎ、切換スイッチ30やこれに接続された電子機器10Aの電子回路等に不具合が生じることを防止できる。この効果は、本実施形態のように、切換スイッチ30が軽量で簡素な構造であるシーソースイッチである場合に特に有用である。
【0039】
また、本実施形態の電子機器10Aによれば、スイッチ規制部62が弾性変形可能な材料によって構成されているため、図4,5に示す状態において、仮にスイッチ規制部62を切換スイッチ30(特に第二突起部32)に押し付ける力が作用しても、スイッチ規制部62が弾性変形することで、切換スイッチ30に係る応力を低減させることができる。
【0040】
さらに、本実施形態の電子機器10Aによれば、スイッチ規制部62が筐体20の内側(正面板21の内面21b側)に配されるため、切換スイッチ30(特に第一、第二突起部31,32)を正面板21の外面21aから突出させるように配置する必要が無くなる。したがって、作業者が切換スイッチ30に不意に触れることを抑制できる。
【0041】
また、本実施形態の電子機器10Aによれば、付勢部材50の付勢力によって、取っ手40が自動的に把持不能位置40Bに配され、これに伴って、取っ手40に形成された挿通孔47が自動的に正面板21の外面21aに近接した位置に配される。これにより、作業者は、取っ手規制部61を移動許容位置61Aから移動規制位置61Bに移動させて挿通孔47に挿通させるために、取っ手40を把持不能位置40Bに移動させる必要が無くなるため、電子機器10Aの取り扱いが容易となる。
【0042】
さらに、本実施形態の電子機器10Aによれば、電子機器10Aをラック1から引き抜く際に、取っ手40が把持可能位置40Aに配されることで、取っ手規制部61の移動規制位置61Bへの移動が取っ手40の規制用板部42によって規制される。このため、取っ手規制部61に一体に設けられたスイッチ規制部62が切換規制位置62Aに保持される。したがって、引き抜き作業の際に、切換スイッチ30が不意に導通位置30Bに移動することを確実に防止できる。
【0043】
〔第二実施形態〕
次に、図6〜9を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器10Aと比較して、インターロック構造の一部構成のみが異なっており、その他の構成については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図6〜9に示すように、この実施形態の電子機器10Bに備えるインターロック構造60Bは、第一実施形態と同様の、取っ手規制部61及びスイッチ規制部62を備える。さらに、本実施形態のインターロック構造60Bは、カバー部66を備える。
【0044】
カバー部66は、切換スイッチ30の非導通位置30Aへの移動を規制するように切換スイッチ30の少なくとも一部を覆う被覆位置66B(図8,9参照)と、切換スイッチ30の非導通位置30Aへの移動を許容するように切換スイッチ30を外部に露出させる退避位置66A(図6,7参照)との間で、正面板21の外面21aに沿って移動可能に設けられる。また、カバー部66は、被覆位置66Bに配された状態で取っ手規制部61を移動規制位置61Bに保持する役割を果たし、退避位置66Aに配された状態で取っ手規制部61を移動許容位置61Aに保持する役割を果たす。
以下、本実施形態のカバー部66について具体的に説明する。
【0045】
本実施形態のカバー部66は、平板状に形成され、正面板21の外面21aに重ねて配されている。
また、カバー部66は、正面板21(筐体20)の高さ方向(Z方向)に移動可能に取り付けられている。本実施形態では、カバー部66に形成されて正面板21の高さ方向に延びる長孔661と、正面板21の外面21aから突出してカバー部66の長孔661に挿入されたピン25とにより、カバー部66が正面板21の高さ方向に移動可能となっている。
【0046】
本実施形態におけるカバー部66の退避位置66Aは、正面板21の開口部22を覆う被覆位置66Bから上方に移動させた位置となる。
本実施形態のカバー部66は、図6,7に示すように退避位置66Aに配された状態で、切換スイッチ30の第一突起部31を覆う。この状態では、作業者が非導通位置30Aに配された切換スイッチ30の第一突起部31を押すことができないため、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動が阻止される。
また、本実施形態のカバー部66は、図8,9に示すように被覆位置66Bに配された状態で、切換スイッチ30の第二突起部32を覆う。この状態では、作業者が導通位置30Bに配された切換スイッチ30の第二突起部32を押すことができないため、切換スイッチ30の非導通位置30Aへの移動が阻止される。
【0047】
さらに、本実施形態の構成では、図6に示すように、取っ手規制部61が移動許容位置61Aに配されると共にカバー部66が退避位置66Aに配された状態では、取っ手規制部61の一部(操作部63が形成された部分)がカバー部66の移動領域に入り込み、カバー部66の下端側に隣り合せて位置する。このため、カバー部66を退避位置66Aから被覆位置66Bに移動させることができない。すなわち、この状態では、カバー部66が取っ手規制部61によって退避位置66Aに保持される。
一方、図8に示すように、取っ手規制部61が移動規制位置61Bに配されると共に、カバー部66が被覆位置66Bに配された状態では、カバー部66の一部が取っ手規制部61の移動領域に入り込み、取っ手規制部61の移動許容位置61Aへの移動方向前方側に隣り合せて位置する。このため、取っ手規制部61を移動規制位置61Bから移動許容位置61Aに移動させることができない。すなわち、この状態では、取っ手規制部61がカバー部66によって移動規制位置61Bに保持される。
【0048】
さらに、図6〜9に示すように、本実施形態のカバー部66には、その厚さ方向に貫通する開口部67が形成されている。開口部67は、カバー部66が被覆位置66Bに配された状態で、切換スイッチ30の第一突起部31を外部に露出させる役割を果たす。
【0049】
また、本実施形態のカバー部66には、移動許容位置61Aに配された取っ手規制部61を係止する係止部68が形成されている。本実施形態の係止部68は、カバー部66の下端から内方に窪んで形成されている。このように構成されることで、図6に示すように、カバー部66を退避位置66Aに配すると共に、取っ手規制部61を移動許容位置61Aに配した状態では、取っ手規制部61の操作部63の上端部がカバー部66の係止部68に入り込んで係止される。これにより、取っ手規制部61の移動規制位置61Bへの移動が阻止され、取っ手規制部61は移動許容位置61Aに保持される。
【0050】
以上のように構成される本実施形態の電子機器10Bの作用は、概ね第一実施形態と同様である。
例えば、電子機器10Bがラック1(図1参照)に収容された状態において、図8,9に示すように、取っ手40を把持不能位置40Bに配した上で、取っ手規制部61を移動規制位置61Bに配すると共にスイッチ規制部62を切換許容位置62Bに配しておけば、電子機器10Bをラック1から引き抜く作業を阻止できる。また、この状態において、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動させれば、取っ手規制部61が、移動規制位置61Bから移動許容位置61Aに移動することも阻止される。したがって、電子機器10Bとラック1との間に電流が流れている活線状態で電子機器10Bがラック1から引き抜かれることを防止できる。
【0051】
さらに、本実施形態の電子機器10Bでは、上記したように取っ手規制部61が移動規制位置61Bに配された状態において、カバー部66がその自重によって被覆位置66Bに配されるため、切換スイッチ30の第二突起部32がカバー部66によって覆われる。これにより、作業者の手指等が不意に切換スイッチ30の第二突起部32に触れて、電子機器10Bの電子回路が不意に非導通状態となることを防止できる。
なお、カバー部66が被覆位置66Bに配された状態であっても、切換スイッチ30の第一突起部31はカバー部66の開口部67を通じて外部に露出するため、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動させることは可能である。
【0052】
また、カバー部66が被覆位置66Bに配されている状態では、取っ手規制部61がカバー部66によって移動規制位置61Bに保持されるため、取っ手規制部61に一体に形成されたスイッチ規制部62が不意に切換規制位置62Aに移動することが阻止される。このため、例えば切換スイッチ30が導通位置30Bに配されて、切換スイッチ30の第二突起部32がスイッチ規制部62の切換規制位置62Aへの移動方向前方側に位置している状態において、仮に取っ手規制部61にスイッチ規制部62を切換規制位置62Aに移動させる不意の外力が作用しても、スイッチ規制部62が切換スイッチ30の第二突起部32に当接することを確実に防止できる。
【0053】
一方、電子機器10Bをラック1から引き抜く場合には、第一実施形態の場合と同様に、図6,7に示すように、カバー部66を退避位置66Aに移動させ、さらに、切換スイッチ30を非導通位置30Aに移動させた上で、取っ手規制部61を移動許容位置61Aに配すると共にスイッチ規制部62を切換規制位置62Aに移動させればよい。
この状態においては、第一実施形態と同様に、作業者が取っ手40を把持可能位置40Aに移動させて、作業者の手指を正面板21と取っ手本体部41との間に挿入できるため、電子機器10Bをラック1から引き抜くことができる。また、この状態においては、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動がスイッチ規制部62によって規制され、さらに、作業者の手指等が切換スイッチ30の第一突起部31に触れないようにカバー部66が第一突起部31を覆うため、電子機器10Bの電子回路が導通状態となることを確実に防止することができる。
【0054】
さらに、本実施形態の電子機器10Bでは、上記した状態において、取っ手規制部61の操作部63がカバー部66の係止部68に係止されて、取っ手規制部61が移動許容位置61Aに保持される。このため、取っ手規制部61に一体に設けられたスイッチ規制部62が不意に切換許容位置62Bに移動することを確実に阻止できる。
【0055】
本実施形態の電子機器10Bによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の電子機器10Bによれば、電子機器10Bがラック1に収容され、カバー部66が被覆位置66Bに配されている状態では、切換スイッチ30の非導通位置30Aへの移動が規制されるため、作業者の手指が不意に切換スイッチ30に触れて電子回路が不意に非導通状態になることを防止できる。したがって、電子機器10B及びラック1からなる装置の不意のシステムダウンを確実に防ぐことができる。
【0056】
また、カバー部66が被覆位置66Bに配されている状態では、取っ手規制部61がカバー部66によって移動規制位置61Bに保持されるため、取っ手規制部61に一体に設けられたスイッチ規制部62が切換スイッチ30の第二突起部32に当接することを確実に防止できる。したがって、切換スイッチ30(特に第二突起部32)に応力がかかることを確実に防ぐことができる。
【0057】
一方、カバー部66が退避位置66Aに配されている状態では、取っ手規制部61が移動許容位置61Aに保持されるため、取っ手規制部61に一体に設けられたスイッチ規制部62が不意に切換許容位置62Bに移動することを確実に阻止できる。したがって、切換スイッチ30が導通位置30Bに移動することを確実に防止できる。
【0058】
なお、上記した第二実施形態では、カバー部66の下端から窪んで形成された係止部68の一対の内側面が、正面板21の高さ方向に沿って延びているが、これに限ることはない。例えば、操作部63に当接して取っ手規制部61の移動規制位置61Bへの移動を阻止する係止部68の一方の内側面は、図10に示すように、正面板21の高さ方向(Z方向)に沿って係止部68の底部から開口端に向かうにしたがって、取っ手規制部61の移動規制位置61Bへの移動方向に傾斜する傾斜面68aとなっていてもよい。
【0059】
この構成では、図10のように、カバー部66を退避位置66Aに配すると共に、取っ手規制部61を移動許容位置61Aに配した状態において、上記実施形態と同様に、取っ手規制部61が係止部68によって移動許容位置61Aに保持される。ただし、取っ手規制部61の操作部63に作業者の手指を引っ掛けて所定以上の力で取っ手規制部61を移動規制位置61Bに向けて移動させようとすると、操作部63の上端部が係止部68の傾斜面68aに押し付けられて、カバー部66が退避位置66Aからさらに上方に移動する。これにより、操作部63の上端部が係止部68から抜け出し、取っ手規制部61を移動規制位置61Bまで移動させることができる。また、取っ手規制部61が移動規制位置61Bまで移動すると、カバー部66がその自重によって退避位置66Aから被覆位置66Bまで下方に移動する。
すなわち、図10に示す構成では、取っ手規制部61を移動許容位置61Aから移動規制位置61Bに移動させるだけで、カバー部66を退避位置66Aから被覆位置66Bに移動させることができ、電子機器10Bの取り扱いがさらに容易となる。
また、上記第二実施形態のカバー部66には、カバー部66が被覆位置66Bに配された状態で切換スイッチ30の第一突起部31を外部に露出させるための開口部67が形成されているが、この開口部67は例えば形成されなくてもよい。
【0060】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、取っ手規制部61が平板状に形成されているが、少なくとも正面板21の外面21aとの間に隙間なく配されればよく、例えば棒状に形成されてもよい。この場合、棒状の取っ手規制部61は、その長手方向が取っ手規制部61の移動方向に一致するように、正面板21の外面21aに配されるとよい。また、この場合、取っ手40の規制用板部42の挿通孔47は、取っ手規制部61の軸方向に直交する断面形状に対応する形状に形成されればよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ラック
10A,10B 電子機器
20 筐体
21 正面板
21a 外面(主面)
21b 内面(主面)
22 開口部
24 摺動孔(孔)
30 切換スイッチ
30A 非導通位置
30B 導通位置
40 取っ手
40A 把持可能位置
40B 把持不能位置
41 取っ手本体部
42 規制用板部
47 挿通孔
60A,60B インターロック構造
61 取っ手規制部
61A 移動許容位置
61B 移動規制位置
62 スイッチ規制部
62A 切換規制位置
62B 切換許容位置
65 連結部
66 カバー部
66A 退避位置
66B 被覆位置
67 開口部
68 係止部
68a 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10