(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓄積されたフライアッシュが、フライアッシュ粒子、フライアッシュダスト、大きな粒子灰、ポップコーンアッシュ、ずんぐりしたフライアッシュ片、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
蓄積されたフライアッシュ詰まりの少なくとも一部分と共に、一つ以上の着色された鉄付着物の少なくとも一部分が、SCR触媒の一端から除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
高温熱プロセス、例えば、化石燃料を利用するパワープラントでの電気の生成のための蒸気の発生は、環境的に有害な副産物を作ることが多い。亜酸化窒素(NO
x)及び二酸化硫黄(SO
2)を含むこれらの化合物は、ガスが環境に排出される前に、例えばパワープラントを出て環境と接触する前に、高温熱プロセスの煙道ガスから除去されなければならない。
【0003】
煙道ガスから亜酸化窒素を除去するための標準法は、SCR触媒(DeNOx触媒とも呼ばれる)を用いる選択接触還元(SCR)法であり、そこでは還元剤(典型的にはアンモニア)が煙道ガス中に注入及び混合され、触媒反応室を通して送られ、そこで触媒が、還元剤を用いるNO
xの還元を促進して窒素元素(N
2)及び水を形成する。
【0004】
煙道ガスの脱硫、例えばSO
2の除去は、燃焼工程で生じたSO
2がSO
3に酸化される既知の方法を利用することにより実行されることができる。これは、還元触媒への煙道ガスの露出の前になされる。SO
3は、次いでアルカリ性溶液中に吸収され、工程から、通常は石こうの形で除去されることができる。
【0005】
燃焼工程からの煙道ガスはまた、典型的には燃焼工程中に形成されたフライアッシュ粒子を含む。フライアッシュ及び他の粒子は、SCR触媒中にまたはSCRシステムの種々の要素内または上に蓄積することができる。煙道ガスからのフライアッシュの除去は、フライアッシュの物理的性質に依存して種々の技術に関与することができる。フライアッシュの物理的性質は、燃焼タイプ及び熱プロセスでの操作条件に依存して変わる。フライアッシュは、微細粉から大きい粒子灰(これ(LPA)は「ポップコーンアッシュ」としても知られている、約0.1cmから約2.5cm)まで及ぶことができ、それがSCR触媒表面及び通路内または上にまたはSCRシステムの要素上に蓄積するときに大きなずんぐりした片(約2.5cmから約13cmまでまたはさらに大きい)に発達することができる。種々のタイプのフライアッシュがボイラー内に形成し、SCR反応器中に容易に運ばれ、SCRシステムの種々の要素への蓄積及び詰まりを起こし、それが以下の一つ以上を導きうる:煙道ガスの分布の悪化、利用可能なDeNOx潜在能力の損失による触媒性能の損失、許容できないNH
3スリップ、過剰な圧力低下、及び触媒腐食損害。微細粉フライアッシュは、静電集塵器(ESP)を用いて除去されることができ、それは典型的にはSCR装置(すなわち高ダスト、低ダストまたは最後尾装置)に依存してSCRシステムの上流及び/または下流に設置される。LPA(ポップコーンアッシュとしても知られている)は、SCR反応器の前でLPAスクリーンにより集められることができ、それらは典型的にはエコノマイザー出口とSCR入口の間の煙道ガス流内に設けられる。
【0006】
上述の技術にもかかわらず、フライアッシュ除去は、SCRシステムの触媒または種々の要素をフライアッシュ粒子の蓄積による詰まり(それらはSCR性能の早期損失を導きうる)から保護するためには十分でないかもしれない。例えば、自由な粉末はハニカム型またはコルゲート型の触媒の通路をふさぐことができ、個々の通路は煙道ガスに対し部分的にまたは完全にアクセス不可能になる。さらに、ずんぐりしたフライアッシュ粒子及びLPAは、触媒モジュールの上にまたはシステムの他の要素上に付着することができ、ハニカム型、板状、またはコルゲート型のSCR触媒モジュールを通しての煙道ガスの通過、及び触媒表面へのアクセスを妨げる。ポップコーンアッシュは、ハニカム型、コルゲート型、または板状SCR触媒の通路中に移動して通路内に付着することができ、そこでそれは通路壁間で動かなくなり、煙道ガス流を妨げ、さらなるフライアッシュ粒子が通路に蓄積しかつ閉塞するような環境を与える。結果は、5%〜100%の範囲の閉塞及び低下したNO
x除去効率を持つ触媒になりうる。
【0007】
さらに、SCR触媒の再生において、モジュールフレーム、ボックスフレーム上に、触媒の上に、及び触媒の種々の通路内、例えば触媒通路内の詰まり内に蓄積したいかなる自由なフライアッシュも除去するために触媒の物理的浄化が、続いての湿式化学薬品に基づく再生プロセスの前の重要な工程であることが一般的に知られている。湿式化学薬品再生の前のフライアッシュ詰まりの除去は、自由なフライアッシュ粒子が処理タンク中に運ばれないことまたは再生プロセス時に使用される化学溶液中に蓄積しないことを確実にする。フライアッシュ粒子は、フライアッシュの研摩効果による詰まった装置、損傷した装置のような問題を潜在的に起こしうる。従って、自由なフライアッシュ粒子の量を減らすことは、化学溶液の減少した排出速度、化学溶液の節約をもたらし、かつ研摩腐食による機械的破壊を防ぐ。さらに、湿式化学処理の前のフライアッシュの除去はまた、処理タンク内の鉄のような触媒毒の蓄積を低下することができる。
【0008】
ハニカム型、板状、及びコルゲート型触媒のようなSCR触媒構造は、典型的には減圧、圧縮空気による吹きつけを使用して乾式浄化されるか、または種々の形状及び形態のスクレーパー及び突つき装置を使用して手動浄化される。SCR触媒はまた、フライアッシュ詰まりを除去するために加圧洗浄されることができる。しかし、触媒の加圧洗浄は、フライアッシュ内に存在する触媒毒(例えば鉄)を溶解し、それらを触媒表面またはSCRシステム内の他の要素の表面上に付着する場合がある。さらに、加圧洗浄からの水は、触媒上またはフライアッシュ内のSO
3と反応してモジュールフレーム及び板状触媒支持材料表面に対して腐食性である硫酸(H
2SO
4)を形成するかもしれず、モジュールが環境内に放置されて乾燥されるときに鉄のさらなる放出をもたらしうる。加圧洗浄からの水はまた、フライアッシュを通路内でかつもし放置されて乾燥されるなら板間内で硬化させるかもしれない。
【0009】
従って、フライアッシュをSCR触媒及びシステムから除去するだけでなく、触媒通路を開きかつ詰まりを除くこと、そして湿式化学回復または再生工程の前にアクセス可能な触媒表面を与えるための追加の効果的な乾式物理浄化方法に対する要求がなお存在する。さらに、触媒がSCR反応器内の所定場所になお設置されている現場で、または触媒モジュールが反応器から除去されかつ所定場所または再生設備でのいずれかで処理される現場外で、SCR触媒に適用されることができる代替フライアッシュ除去法に対する要求がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、加圧キャリアーガス及び粒子吹き付け媒体を含む吹き付け流を使用して、SCR触媒のようなSCRシステムの一つ以上の要素から蓄積された粒子または詰まりを除去するための方法を記載する。この吹き付けプロセスは、SCRシステムの要素の少なくとも一つの表面上のフライアッシュ粒子のような粒子の蓄積からもたらされる詰まりを除去することができる。
【0025】
操作例以外、または特記しない限り、明細書及び請求項で使用された成分の量、処理条件等を表わす全ての数字は、全ての例において用語「約」により修飾されるものとして理解されるべきである。従って、逆に示されない限り、以下の明細書及び添付の請求項に記載された数字で表わされたパラメーターは、得られると思われる希望の性質に依存して変わることができる近似である。少なくとも、かつ請求項への均等論の適用を限定するつもりはないが、各数値パラメーターは、少なくとも報告された有意な数字を考慮してかつ通常の端数処理法を適用することにより解釈されるべきである。
【0026】
開示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるといえども、特定の例中に記載された数値はできるだけ正確に報告される。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定に見出される標準偏差から必然的にもたらされる、例えば装置及び/またはオペレータの誤差のような特定の誤差を含むかもしれない。
【0027】
また、ここに列挙されたいずれの数値範囲もそこに包含される全ての下位範囲を含むことを意図されていることを理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、記載された最小値の1と記載された最大値の10との間(最小値の1と最大値の10を含む)、すなわち1に等しいかまたは1より大きい最小値と10より小さいかまたは10に等しい最大値を持つ全ての下位範囲を含むことを意図されている。
【0028】
ここに列挙されたいずれの特許、刊行物、または他の開示資料も、全体的にまたは部分的に、ここに参考として組み込まれるが、組み込まれた資料が存在する定義、陳述、またはこの開示中に記載された他の開示資料と矛盾しない範囲のみが組み込まれる。それ自体、及び必要な範囲まで、ここに明白に記載された開示は、ここに参考として組み込まれたいずれの矛盾する資料に取って代わらない。ここに参考として組み込まれるべきであると述べられたが存在する定義、陳述、またはここに記載された他の開示資料と矛盾するいずれの資料、またはその部分は、その組み込まれた資料と存在する開示資料の間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるだろう。
【0029】
本開示は、種々の例示的な限定されない実施態様に対して本発明の幾つかの異なる特徴及び態様を記載する。しかし、本発明は、異なる特徴、態様、及びここに記載された実施態様を当業者が有用であると見出すいずれかの組み合わせで組み合わせることにより達成されることができる多数の代替実施態様を包含することが理解される。
【0030】
ここに使用される用語「SCRシステムの要素」は、パワープラントのボイラーとSCR触媒からの出口の間の装置及び煙道要素を示し、例えば触媒材料及び表面、LPAスクリーン、SCR触媒の上流または下流の煙道ガス精留器格子、SCRシステムのいずれかの点に設置された触媒ダミー、及び煙道ガス及びフライアッシュ粒子のような粒子と接触することとなるSCRシステム及び触媒支持構造(触媒モジュールまたは他のSCRシステム要素を所定場所に保持するもの)を含む。
【0031】
ここに使用される用語「SCR触媒」は、化石燃料及び/またはバイオ燃料及び/またはバイオマスを利用するパワープラントでの電気の生成のための燃焼プロセス時に及び家庭廃棄物の焼却時に生成された煙道ガスからのNO
xの除去のために設計された選択接触還元触媒を示す。SCR触媒は、アンモニアのような還元試薬を利用し、煙道ガス流中に注入され、触媒反応室を通して送られ、そこで触媒物質は、煙道ガス中の種々のNO
x成分の還元剤による還元を促進し、窒素元素と水を形成する。SCR触媒はまた、「DeNOx触媒」とも呼ばれることができる。SCR触媒は、典型的にはハニカム型触媒構成、コルゲート型触媒構成、及び板状触媒構成を含む構造を持ち、それらは触媒表面積を最大にする。列挙された触媒構成は従来技術で最も一般的であるが、他の触媒構造及び形態が可能であり、本発明の範囲内に含まれかつ「SCR触媒」の定義に含まれる。ここで使用される用語「SCR触媒」は、触媒物質、触媒基板(例えば酸化チタンがあるが、それに限られない)、触媒支持材料(例えば板状触媒の金属メッシュがあるが、それに限られない)、触媒支持構造、及び触媒モジュールを形成するための支持構造を保持するあらゆるフレームを含む。
【0032】
ここに使用される用語「通路(channels)」は、SCR触媒に関して使用されるとき、SCR触媒の接触表面間の開放空間、例えば、ハニカム触媒またはコルゲート型触媒及び板状触媒の板間の通路を意味する。
【0033】
ここに使用される用語「粒子」は、フライアッシュのような燃焼副生物、及び反応器または煙道構造からの金属または他の成分を含むが、それらに限定されない。粒子サイズは、微細粉末(約1μm程の小さいサイズを持つ)から大きな粒子(約5インチまたはさらに大きなサイズを持つ)までの範囲であることができる。
【0034】
ここに使用される用語「フライアッシュ」は、パワープラント操作で生成された燃焼副生物を意味し、微細なフライアッシュから大粒子灰(LPA、「ポップコーンアッシュ」とも呼ばれる)及び大きなずんぐりした灰の片までの範囲のあらゆるサイズのフライアッシュを含むことができる。
【0035】
ここに使用される用語「粒子吹き付け媒体」は、加圧キャリアーガスを用いて表面または汚染物に向けて発射されることができるあらゆる好適な粒子を意味する。粒子吹き付け媒体は、約0.05mmから20mmまでの範囲のサイズを持つことができる。
【0036】
ここに使用される用語「ドライアイス」は、固体二酸化炭素(CO
2)を意味し、ドライアイス粒子またはペレットまでの粉末の形態であることができ、約0.05mmから20mmまでの範囲のサイズを持つことができる。
【0037】
ここに使用される用語「現場で」は、操作の正常位置に設置されている間を意味し、用語「現場外で」は、操作の正常位置から設置を外されているかまたは除去されていることを意味する。
【0038】
全ての百分率及び比率は重量により計算される。全ての百分率及び比率は、特記されない限り、全組成に基づいて計算される。
【0039】
この明細書全体を通して与えられたあらゆる最大の数字限界は、あたかもあらゆる下方の数字限界が明白にここで書かれているかのように、あらゆる下方の数字限界を含む。この明細書全体を通して与えられたあらゆる最小の数字限界は、あたかもあらゆる上方の数字限界が明白にここに書かれているかのように、あらゆる上方の数字限界を含むだろう。この明細書全体を通して与えられたあらゆる数字範囲は、あたかもあらゆる狭い数字範囲が明白にここに書かれているかのように、広い数字範囲内に入るあらゆる狭い数字範囲を含むだろう。
【0040】
吹き付け方法
本開示は、SCRシステムの一つ以上の要素から蓄積された粒子を除去するための方法を提供する。種々の実施態様によれば、この方法は、一つ以上の要素の少なくとも一つの表面に向けられた吹き付け流によりSCRシステムの一つ以上の要素を処理すること、及び一つ以上の要素から蓄積された粒子の少なくとも一部分を除去することを含むことができる。種々の実施態様による吹き付け流は、加圧キャリアーガス及び粒子吹き付け媒体を含むことができる。
【0041】
ここに述べた方法は、フライアッシュ粒子、反応器または煙道構造物からの金属要素、触媒とモジュールフレームの間からの充填材料、導管工作物からの絶縁材料、システム内の他の源からの粒子、及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれる粒子のような一つ以上の要素から蓄積された粒子を除去するように設計されている。例えば、化石燃料またはバイオマス燃焼パワープラントでの燃焼工程時にフライアッシュを含む燃焼排出煙道ガスが生成され、パワープラントから排出される。パワープラントを出る前に、煙道ガスは、窒素酸化物(NO
x)のようなある構成要素を煙道ガスから除去するように設計されたSCRシステムを含む種々の通路を通過する。フライアッシュ粒子は、例えばSCR触媒上またはSCR触媒の種々の通路内を含む、SCRシステムの種々の要素の種々の表面内または表面上に付着またはそうでなければ捕捉されることができる。加えて、パワープラント煙道システムのある要素の機械的破損または破壊は、小さな金属要素(例えばナット及び/またはボルトまたは破壊した金属片)、触媒間及び/または触媒とモジュールフレームの間からの充填材料、導管工作物からの絶縁材料、及びSCRシステムまたはSCR触媒内にまたは上に捕捉されることとなりうる他の材料をもたらしうる。これらの粒子の蓄積は、触媒活性の低下をもたらし、これらの粒子の除去は、SCR触媒及びシステムを最適性能に再生するために必要である。SCRシステムの構造及び表面上に蓄積することがありうるフライアッシュ粒子は、フライアッシュダストまたは粉末から、約0.1cmから約2.5cmまでのサイズを持つ大きな粒子灰(LPAまたはポップコーンアッシュ)、約2.5cmから約13cmまでまたはさらに大きなサイズを持つ大きなずんぐりしたフライアッシュ片までの種々のサイズを持つことができる。
【0042】
種々の実施態様によれば、吹き付け流は、SCRシステムの一つ以上の要素の少なくとも一つの表面に粒子吹き付け媒体を推進する加圧キャリアーガスを含む。キャリアーガスは、加圧されることができるいかなる好適なガスであってもよい。好適なキャリアーガスの例は、空気、窒素、二酸化炭素、不活性または貴ガス、及びそれらのいずれかの混合物を含むが、それらに限定されない。キャリアーガスは、約17.4psigから約4000psig(約900torrから約2.07×10
5torr)までの範囲の圧力で吹き付け流を吹き付け装置のノズルから離れさせるのに十分な圧力に加圧されることができる。特別な実施態様では、加圧キャリアーガスは空気であることができる。ある実施態様によれば、加圧空気は、約0℃から約38℃までの範囲の露点を持つことができる。システム内の小さな割れ目及びSCR触媒内のハニカムまたはコルゲート型通路にアクセス可能にするノズル構成を含む多数の異なるノズル構成が、SCRシステムを処理するために使用されることができる。
【0043】
本開示の特別な実施態様では、粒子吹き付け媒体はドライアイス(CO
2)粒子であることができる。これらの実施態様によれば、SCRシステムの一つ以上の要素は、ドライアイス吹き付けシステムを使用して浄化されることができる。好適なドライアイス吹き付けシステムは、単一のホース及び二つのホースのドライアイス吹き付けシステムの両方を含む。
【0044】
ドライアイス吹き付けは、SCR触媒を含むSCRシステムの浄化要素のために特に好適であることができ、ペレットのようなドライアイス粒子を、浄化される表面または対象物に極めて高速で推進することを含む。実際のドライアイス粒子は、多くの通常の吹き付け媒体より柔らかくかつ緻密性に劣る。衝突により、ドライアイス粒子はほとんど直ちに昇華し、最小の運動エネルギーを衝突の表面に伝達しかつ最小の研摩を作る。加えて、昇華工程は、表面から大きな容量の熱を吸収し、熱衝撃による剪断応力を作る。これは、フライアッシュの上部層または他の汚染物が下にある基板より多くの熱を伝達し、従って容易にはがれると予想されるので、ドライアイス粒子の浄化性能を改善すると思われる。吹き付け工程の効率及び有効性は、基板及び汚染物の熱伝導性に依存しうる。さらに、固体からガスへの状態の迅速な変化はまた、微細な衝撃波を起こす場合があり、それらはまた、粒子汚染物を自由にして除去を助けると考えられる。ドライアイス吹き付け媒体の追加の利点は、ドライアイス粒子が直接ガスに昇華するため、吹き付け工程がSCR要素の表面上に化学残留物を残さないことである。
【0045】
他の実施態様によれば、粒子吹き付け媒体は、酸化アルミニウム粒子、砂またはシリカ粒子、炭化ケイ素粒子、破砕ガラス、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、軽石、鋼ショット、鋼グリット、とうもろこし穂軸粒子、くるみの殻、ペカンの殻、アンズの堅果のような堅果の殻粒子、または他の好適な堅果の殻粒子、ソーダ粒子、氷粒子、及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた粒子を含むことができる。いずれかのこれらの粒子材料の使用は一般的に、研摩材料の流れを高圧下に表面に対して強制的に推進して粗い表面を滑らかにし、滑らかな表面を粗くし、表面を造形し、または表面汚染物を除去するものとして定義される「研摩吹き付け」と呼ばれることができる。研摩吹き付け媒体の最終選択は、要求される仕事の性質及び採用された吹き付け装置に依存する。本開示の文脈において、研摩吹き付けの意図は、SCRシステムの要素の粒子汚染物のような汚染物、詰まり、及び/または着色汚染物を要素の下にある表面材料にほとんどまたは全く影響を及ぼすことなく除去することである。
【0046】
種々の実施態様によれば、ここに述べられた方法は、SCRシステムの一つ以上の要素からフライアッシュ粒子のような蓄積された粒子物質を除去するのに効果的である。ある実施態様によれば、一つ以上の要素を処理することは、SCRシステムの要素から蓄積された粒子の約100%までを除去することをもたらすことができる。他の実施態様では、この方法は、蓄積された粒子の約25%から約100%まで、他の実施態様では、蓄積された粒子の約50%から約100%まで、またはさらに約70%から約100%までを除去することができる。触媒の一つ以上の通路が詰まっている実施態様では、処理方法は、詰まり全体を除去するか、または(例えば詰まっている物質を割るかまたは詰まり中に穴を作ることにより)詰まりの少なくとも一部分を除去し、湿式化学処理工程中の化学薬品及び溶液が残っている詰まり物質の部分と接触し、さらに残っている粒子物質(例えばフライアッシュ)の少なくとも一部分を除去し、及び/または回復/再生工程で使用される湿式化学処理成分が詰まりの後のまたは詰まり物質により覆われた通路内の触媒表面にアクセスし、回復/再生することができる。
【0047】
本開示の種々の実施態様は、その要素が操作の正常位置になお設置されている間にSCRシステムの要素を現場で処理することを可能にする。要素を現場で処理することは、要素を除去しかつ/または要素を浄化設備に輸送する追加の費用なしに粒子物質の除去を可能にする。SCRシステムの要素のドライアイス吹き付けを使用することを含むそれらの実施態様は、現場で粒子物質を除去する処理のために特に好適であることができる。なぜならドライアイス粒子吹き付け媒体は、室温で昇華し、処理後にSCRシステムから浄化または除去されなければならない吹き付け物質を残さないからである。しかし、他の吹き付け媒体は現場でも使用されることができる。なぜなら使用された吹き付け媒体は、システムから除去されフライアッシュ粒子のような粒子と共に簡単に除去されることができるからである。本方法は、物理汚染(すなわち粒子物質の存在)が化学汚染より影響があるSCR要素またはSCR触媒の現場での乾式浄化のための可能性を提供し、それにより除去及び浄化/再生の間の触媒作動寿命を延ばす。これに代えて、要素は、現場外で操作のその正常位置から除去された要素と共に処理されることができる。処理方法の移動可能性のため、いったん要素が操作の位置から除去されたら、それは現場で処理され、それにより輸送費用を節約することができる。他の実施態様では、要素は、現場外の処理設備に輸送されることができ、その処理設備でここに述べた方法で潜在的に他の処理または再生工程で処理されることができる。
【0048】
特別な実施態様では、SCRシステムの要素は、SCR触媒を含むことができる。SCR触媒は、複数の通路を持つハニカム型触媒構造を持つことができ、それを通して煙道ガスが移動して通路表面上の触媒と反応することができる。他の実施態様では、SCR触媒は、通路を形成する波形を持つコルゲート型触媒構造を持つことができ、それを通して煙道ガスが移動して通路表面上の触媒と反応することができる。他の実施態様では、SCR触媒は、板間に空間を持つ複数の平行板構造を持つ板状触媒構造を持つことができ、それを通して煙道ガスが移動して板表面上の触媒と反応することができる。これらのタイプの触媒のそれぞれにおいて、フライアッシュ及び他の粒子は、通路または空間内にくっつくかまたはくさびのように押し込まれることができ、煙道ガスの流れを制限しかつ触媒表面へのアクセスを限定しうるフライアッシュ詰まりに導く。従って、蓄積した粒子を除去するためにSCR触媒を処理することは、最適な触媒性能のために重要である。加えて、本方法は、続く再生工程で付与される化学薬品に対し通路を開きかつアクセス可能にして蓄積された粒子の除去を可能にする。
【0049】
SCR触媒の使用法のタイプに依存して、例えば、限定されないが、パワープラント内で燃焼される燃料のタイプ及びSCR触媒が処理前に設置された時間の長さに依存して、SCR触媒の通路は、フライアッシュのような粒子物質により部分的にまたは完全に詰まらされることがありうる。ある実施態様では、SCR触媒の通路は、約10%から約100%までの範囲の詰まりの百分率割合を持つことがありえ、他の実施態様では、詰まりの百分率割合は約50%から約100%の範囲であることがありうる。
【0050】
SCR触媒を処理するためのそれらの実施態様では、SCR触媒は、蓄積された粒子の除去をもたらすいかなる位置でも処理されることができる。例えば、一実施態様によれば、SCR触媒は、垂直位置で、すなわち通路が垂直方向に配向されている位置で処理されることができる。この実施態様では、SCRは、SCRシステム内に設置されている間に現場で垂直位置で処理されることができる。なぜならSCR触媒モジュールは、典型的には垂直配向で設置されるからである。他の実施態様では、SCR触媒モジュールは、現場で水平配向で配向されていることができ、現場で水平配向で処理されることができる。これに代えて、例えばフライアッシュ及び他の粒子が吹き付け工程によりいったんばらばらになったらモジュールから床上にまたは収集装置中に重力落下させられる格子付き上部を持つテーブル上に置かれている間に、SCR触媒は、処理設備で垂直位置で処理されることができる。別の実施態様によれば、SCR触媒は、水平位置で、すなわち通路が水平方向に配向されている位置で処理されることができる。SCR触媒を水平位置で、例えば現場外で処理することは、吹き付け装置のノズルをSCR触媒の通路にまたは通路内に向けることを容易に可能にする。
【0051】
SCR触媒は、煙道ガス入口側(すなわち煙道ガス源の方に向けられた通路を持つ触媒の側)及び煙道ガス出口側(すなわち煙道ガス源から離れるように向けられた通路を持つ触媒の側)を持つだろう。一実施態様によれば、SCR触媒を処理することは、SCR触媒の煙道ガス入口側に加圧キャリアーガス及び粒子吹き付け媒体の流れを向けることを含むことができる。別の実施態様によれば、SCR触媒を処理することは、SCR触媒の煙道ガス出口側に加圧キャリアーガス及び粒子吹き付け媒体の流れを向けることを含むことができる。この方法のさらに他の実施態様は、この流れを煙道ガス入口側及び煙道ガス出口側に交互に向けることを含むことができる。全てのこれらの実施態様は、SCR触媒上の及び通路内の蓄積された粒子物質の変位を最大にするように設計されている。
【0052】
本開示の方法のさらなる実施態様は、吹き付け流を用いてSCR触媒の一端から一つ以上の着色された付着物の少なくとも一部分を除去することを含むことができる。使用中に、SCR触媒は、赤みがかったまたはオレンジ色をした付着物または灰色をした付着物のような着色した付着物を触媒の表面上に発現することができる。かかる着色した付着物は、種々の燃料タイプまたは種々の源からの燃料を燃やすことから、例えばフライアッシュの研摩効果のために煙道導管材料の内表面から、または他の源から来る煙道ガス中の金属化合物または他の汚染物からもたらされることができる。汚染物は、燃焼工程時に蒸発されるかまたは導管材料及び触媒表面上の付着物から研摩される金属または他の燃料汚染物を含むことができる。例えば、赤みがかった色は鉄含有汚染物の付着のためであると考えられる。鉄化合物及び/または鉄塩は、触媒表面に物理的に及び化学的に結合してさらに触媒の性能を低下しうる。調査によって、鉄イオンがパワープラントでのSCR触媒の通常操作時にSO
2からSO
3への強化された望ましくない変換の主な原因でありうることが示唆された。SO
3は、次いで煙道ガス中の水と反応して硫酸を形成することができる。硫酸は、次いで煙道ガス放出システムの下流要素と反応してそれらの要素を腐食または酸化し、潜在的に要素の破損に導きうる。
【0053】
ある実施態様によれば、一つ以上の着色された化合物の除去は、触媒を吹き付け流で処理することにより実現されることができる。SCR触媒を、例えばSCR触媒の煙道ガス入口側で、ここに述べられた種々の実施態様に従って吹き付け流により処理することは、処理された表面上の着色した付着物の少なくとも一部分を除去することができる。同様に、煙道ガス出口側はまた、いかなる着色された付着物も除去するために処理されることができる。これらの実施態様によれば、着色された付着物の除去は20mm以下、または他の実施態様では15mm以下、またはある実施態様ではSCR触媒の入口または出口側から10mm以下の通路中の深さまで実現されることができる。より大きな深さの着色の除去は、通路内のより深い触媒表面への限られたアクセスのために一般的に不可能である。板が取りはずされかつ別個に処理されることができる板状SCR触媒を含む実施態様では、一つ以上の着色された化合物の少なくとも一部分の除去は、触媒板の全表面に渡って実現されることができる。これらの実施態様によれば、いかなる吹き付け媒体も、SCR触媒の表面から着色された付着物の少なくとも一部分を除去するために使用されることができる。しかし、酸化アルミニウム粒子、砂またはシリカ粒子、炭化ケイ素粒子、破砕ガラス、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、軽石、鋼ショット、鋼グリット、とうもろこし穂軸粒子、堅果の殻粒子、ソーダ粒子、石炭スラグ、及びここに述べられたようなそれらのいずれかの組み合わせのような研摩性の吹き付け媒体は、着色された付着物の大きな除去を示すことができる。一つ以上の着色された付着物の除去時に下にあるSCR触媒及びセラミックまたは金属触媒支持材料のいかなる研摩も最少にすることに注意が払われるべきである。ここに述べられた種々の処理方法の種々の実施態様はまた、SCRシステムの他の要素の表面からのいかなる着色された付着物の少なくとも一部分も除去するために使用されることができる。特別な実施態様では、着色された付着物を持つが粒子の実質的な蓄積を持たないSCR触媒は、一つ以上の着色された付着物を持つSCR触媒の少なくとも一つの表面に向けられた、加圧キャリアーガス及び粒子吹き付け媒体を含む吹き付け法によりSCR触媒を処理すること、及び触媒表面から一つ以上の着色された付着物の少なくとも一部分を除去することを含む、ここでの実施態様により処理されることができる。
【0054】
本開示の他の実施態様では、SCR触媒はさらに、予備処理工程または後処理工程を受けることができる。例えば、一実施態様によれば、ここに述べられた方法はさらに、吹き付け流によりSCR触媒を処理する前または後のいずれかでSCR触媒に一つ以上の乾式浄化工程に供することを含むことができる。フライアッシュ粒子のような粒子、特にばらばらになった粒子を除去するための種々の乾式浄化工程は、例えば触媒を減圧する(すなわちばらばらになった粒子材料を除去するために真空装置の吸引を使用する)、空気吹き付け(すなわちばらばらになった粒子材料を除去するために圧縮された空気流で触媒を処理する)、ばらばらになった粒子材料を除去するために触媒を振動する、触媒の表面をスクレーパーによりこすって粒子材料を除去する、及び触媒の通路中をつついてその中の粒子材料を除去することを含む。これらの乾式浄化工程の全ては、粒子材料の一部分を除去することで実現されることができる。しかし、乾式浄化工程のどれも全ての粒子材料を除去することを完全に実現せず、人力集約的であることができ、かつ触媒表面または構造材料を潜在的に損傷しうる(例えばつつき及びこすりとり)。ここに述べた種々の吹き付け法と組み合わせるとき、列挙した乾式浄化法は、SCR触媒からの粒子材料の大きな除去をもたらすことができる。例えば、本発明方法及び乾式浄化法は、SCR触媒の通路からフライアッシュ詰まりのような粒子材料を取り除き、ばらばらにし、除去する際に互いに補完することができる。
【0055】
さらに他の実施態様では、ここに述べた方法はさらに、SCR触媒を吹き付け流で処理する前または後のいずれかでSCR触媒を一つ以上の湿式化学浄化工程及び乾燥工程に供することを含むことができる。湿式化学浄化は、触媒表面及び細孔から汚染物及び毒を除去するための浄化(一般的に回復と呼ばれる)を含むことができ、さらに活性金属成分による触媒の再含浸(一般的に再生と呼ばれる)を含むことができる。湿式化学浄化、回復、または再生の工程は、粒子材料、化学汚染物及び触媒毒を、例えば材料を取り除く、材料を溶解するまたは材料と化学的に反応すること(例えば水性溶液及び/または洗浄溶剤に可溶である化合物を形成すること)により、除去するためにSCR触媒を水性または非水性溶液で洗浄することまたは処理することを含むことができる。SCR触媒がここに述べた吹き付け処理の前に湿式化学浄化、回復、または再生の工程に供されるとき、SCR触媒は一般的に、触媒を吹き付け処理で処理する前に湿式浄化工程からのいかなる残留湿気も除去するために、例えば加熱することにより及び/または触媒上に熱いまたは乾燥した空気を吹きつけることにより乾燥されるだろう。乾燥は、触媒がさらされる温度が約400℃から約450℃までの範囲である焼成工程を含むことができる。
【0056】
ここに述べられた方法の前または後のいずれかと組み合わせて使用されることができる他の特別な乾式浄化及び湿式化学浄化工程及び方法は、米国特許第6299695号;米国特許第6387836号;米国特許第7723251号;及び米国特許第7741239号及び米国出願公開第2007/0161509号;米国出願公開第2008/0115800号;米国出願公開第2009/0209417号;及び米国出願公開第2009/0239735号に記載された種々の工程を含み、それらのそれぞれの開示はここに参考としてそれらの全体を組み込まれる。
【0057】
SCR触媒がここに述べた吹き付け処理に加えて乾式浄化工程及び/または湿式浄化工程に供される、ここに述べた種々の実施態様によれば、処理工程の順序は希望により変えることができる。例えば、一実施態様では、SCR触媒は、いかなる乾式浄化工程または湿式浄化工程の前にも吹き付け工程で処理されることができる。別の実施態様では、SCR触媒は、乾式浄化工程に供され、次いでここに述べた吹き付け工程で処理され、任意選択的に次いで湿式化学浄化工程で処理されることができる。さらに別の実施態様では、SCR触媒は、乾式浄化工程と湿式浄化工程に供され、次いで乾燥及び/または焼成され、ここに述べた吹き付け工程で処理されることができる。
【0058】
特別な実施態様では、SCR触媒は任意選択的にさらに、例えばSCR触媒を一種以上の触媒活性金属化合物で再含浸することにより再生されることができる。SCR触媒を再含浸することは、湿った触媒上で、またはこれに代えて触媒が乾燥された後になされることができる。例えば、意図した使用(すなわちパワープラント煙道ガスから一種以上の成分を除去する)時に及び/または触媒の種々の処理/再生工程時に、触媒の触媒活性は、例えばSCR触媒中の一種以上の触媒活性金属化合物の一部分の損失または脱活(毒作用)のために低下されることになるかもしれない。再生されたSCR触媒を再含浸することは、バナジウム化合物、モリブデン化合物、及びタングステン化合物からなる群から選ばれたこれらの金属の酸化物のような一種以上の触媒活性金属化合物で含浸することを含むことができる。他の実施態様では、再生されたSCR触媒はさらに、例えば再生された触媒の機械的強度及び構造的一体性を改善するために、再焼成されることができる。
【0059】
本開示の特別な実施態様は、ハニカム、コルゲート型、または板状SCR触媒または他のSCR触媒構造のようなSCR触媒から蓄積された粒子を除去するための方法を提供する。この方法は、SCR触媒の少なくとも一つの表面に向けられた、加圧キャリアーガス及びドライアイス(CO
2)粒子を含む吹き付け流でSCR触媒を処理し、SCR触媒から蓄積された粒子の少なくとも一部分を除去する工程を含むことができる。ある実施態様によれば、蓄積された粒子は、上述されたような、フライアッシュダストのようなフライアッシュ粒子、大きな粒子灰、ポップコーンアッシュ、大きなずんぐりした灰、及びそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。特別な実施態様では、この方法はさらに、ここに述べたように、SCR触媒の一端から一つ以上の着色された付着物の少なくとも一部分を除去することを含むことができる。一つ以上の着色された付着物を除去することは、SCR触媒をドライアイス吹き付け流で処理すること、またはこれに代えてSCR触媒をドライアイス吹き付け流で処理した後に、SCR触媒をここに述べたような研摩吹き付け材料を含む吹き付け法により処理することのいずれかにより実現されることができる。この方法のこれらの実施態様のいかなる他の工程、プロセス、またはここに述べられたまたは詳述された特徴との組み合わせもまた企図される。
【0060】
本開示の別の実施態様は、蓄積された粒子及び/または一つ以上の着色された化合物をSCR触媒から除去するための方法を記載し、この方法は、SCR触媒の少なくとも一つの表面に向けられた、加圧ガス及び研摩性粒子吹き付け媒体を含む吹き付け流によりSCR触媒を処理すること;及び蓄積された粒子及び/または一つ以上の着色された化合物の少なくとも一部分をSCR触媒から除去することを含む。特別な実施態様によれば、研摩性粒子吹き付け媒体は、酸化アルミニウム粒子、砂またはシリカ粒子、炭化ケイ素粒子、破砕ガラス、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、軽石、鋼ショット、鋼グリット、とうもろこし穂軸粒子、堅果の殻粒子、ソーダ粒子、氷粒子、及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選ばれた粒子を含む。研摩性吹き付け媒体の特別な詳細は、ここに詳細に述べられる。ある実施態様によれば、蓄積された粒子は、上述されたような、フライアッシュダストのようなフライアッシュ粒子、大きな粒子灰、ポップコーンアッシュ、大きなずんぐりした灰、及びそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。蓄積された粒子の除去を含む特別な実施態様では、この方法はさらに、ここに述べたように、一つ以上の着色された付着物の少なくとも一部分をSCR触媒の一端から除去することを含むことができる。特別な実施態様では、一つ以上の着色された化合物を触媒の表面または端部から除去するために研摩吹き付け工程でSCR触媒を処理する前に、蓄積された粒子の全てまたは大部分が、ドライアイス吹き付け、乾式浄化または湿式化学浄化を含むがそれらに限定されない一つ以上の他の浄化工程により前もって除去されていてもよい。この方法のこれらの実施態様のいかなる他の工程、プロセスまたはここに述べられたもしくは詳述された特徴との組み合わせもまた企図される。
【0061】
本開示はまた、フライアッシュ粒子を実質的に含まない再生されたSCR触媒を含み、そこではSCR触媒は、ここに述べた方法の種々の実施態様のいずれかを使用してフライアッシュ粒子の約15%から約100%の詰まりを持つSCR触媒から再生されている。特別な実施態様では、再生されたSCR触媒は、ここでの方法によって除去されたフライアッシュ粒子の詰まりの約100%まで、または特別な実施態様では除去されたフライアッシュ詰まりの約10%から約100%まで、またはさらに約50%から約100%までを持つことができる。特別な実施態様によれば、フライアッシュ粒子を実質的に含まないSCR触媒はまた、ここに詳述された一つ以上の追加の乾式浄化、湿式化学浄化、再含浸、または焼成工程により処理されることができる。
【0062】
ここに述べられた方法は、加圧キャリアーガス及び粒子吹き付け物質を含む吹き付け流の使用に限定されるべきでない。SCRシステムの一つ以上の要素またはSCR触媒の表面に粒子吹き付け物質を加速するためのいかなる他の好適な方法もまた、述べた吹き付け流と同様な効果を持つことができ、本方法の範囲内にある。例えば、遠心加速(例えば遠心車輪による)または他の加速手段が考えられる。従って、例えば、本開示はまた、SCRシステムの一つ以上の要素またはSCR触媒の少なくとも一つの表面から蓄積された粒子及び/または一つ以上の着色された付着物を除去するための方法を含み、そこではその方法は、ここに詳述されたもののような粒子吹き付け媒体をSCRシステムの一つ以上の要素またはSCR触媒の少なくとも一つの表面に加速すること、及び蓄積された粒子物質の少なくとも一部分及び/または一つ以上の着色された付着物の少なくとも一部分をSCRシステムの一つ以上の要素またはSCR触媒の表面から除去することを含む。この方法とここに述べられた他の実施態様を組み合わせることもまた企図される。
【0063】
種々の特別な実施態様がここに詳細に述べられたが、本開示は、開示された実施態様の種々の異なる組み合わせを包含することを意図されており、ここに述べられたいかなる特別な実施態様にも限定されない。本開示の種々の実施態様は、以下の代表的な実施例と共に読むときにより良く理解されることができる。以下の代表的な実施例は、例示の目的のためにかつ非限定例として含まれる。
【実施例】
【0064】
ドライアイス吹き付け及び研摩吹き付け装置は商業的に入手可能であり、最も商業的に入手可能な装置はここに述べた方法のために適しているだろう。ここでのドライアイス吹き付け例は、Phoenix Unlimited LLC,Corona,CAから商業的に入手可能なPhoenix Model PHX 150ドライアイス浄化システムを、標準24″長方形、高流量/210 SCMFノズル、14″ファンノズル高流量/175 SCMFノズル、及びREDペレット破砕器付属品と共に、利用した。
【0065】
実施例1
80%より大きい平均フライアッシュ詰まりを持つハニカムSCR触媒モジュール(
図1A)が、垂直位置(浄化テーブル上)及び水平位置の両方でドライアイス吹き付けを使用して処理された。処理後、SCR触媒モジュールは、フライアッシュの約10%未満の詰まりを持っていた(
図1B)。SCR触媒の幾つかの通路は処理後に完全に詰まりを除去されなかったとしても、フライアッシュは通路から部分的に除去され、通路を開放し、続いての浄化/再生工程時に付与される湿式浄化薬品のためにアクセス可能になった。
【0066】
実施例2
90%より大きい平均フライアッシュ詰まりを持つハニカムSCR触媒モジュールが、水平位置でドライアイス吹き付けを用いて処理された。処理後、SCR触媒モジュールはフライアッシュの約20%未満の詰まりを持っていた(
図2B)。
【0067】
触媒組成物に対するドライアイス吹き付けの効果を試験するために、試験モジュールの一つの素材(10)(
図2挿入図)が選択され、吹き付け工程前に取られた試料及び試験モジュールの第二素材が処理工程後に除去された。試料の入口は、次いで触媒の表面及びバルク内の両方でX線蛍光(XRF)技術を用いて分析された。表1は、処理前後のXRFを用いた触媒組成を示し、触媒組成が処理工程により変わらなかったことを確証する。
【0068】
実施例3
40%より大きい平均フライアッシュ詰まりを持つコルゲート型SCR触媒モジュール(
図3A)が、水平位置でドライアイス吹き付けを用いて処理された。処理後、SCR触媒モジュールはフライアッシュの約10%未満の詰まりを持っていた(
図3B)。
【0069】
実施例4
ハニカムSCR触媒モジュールが湿式化学回復工程で処理され、乾燥され、次いで水平位置でドライアイス吹き付け工程で処理された。湿式化学回復工程は、触媒を、水洗、苛性処理、中和、及びカスケードの形の最終水洗で処理することを含んでおり、次いで続いて乾燥された。触媒は、湿式化学処理及び乾燥後に、しかしドライアイス吹き付け処理前に、25%より大きい平均フライアッシュ詰まりを持っていた(
図4A)。ドライアイス吹き付けによる処理後に、フライアッシュはSCR触媒モジュールからほとんど完全に除去された(
図4B)。
【0070】
実施例5
95%より大きい平均フライアッシュ詰まりを持つ板状SCR触媒モジュール(
図5A)が、外部上の大きいフライアッシュかたまりを除去するためにこすり落され、次いで垂直位置でドライアイス吹き付けを用いて処理された。ドライアイス吹き付け処理後、フライアッシュはSCR触媒モジュールからほとんど完全に除去された(
図5B)。
【0071】
実施例6
ハニカムSCR触媒が、水平位置でドライアイス吹き付け技術により処理された。ドライアイス吹き付けの前に10%未満フライアッシュ詰まりを持つモジュールの部分が、XRF試験のために触媒から除去された素材内で汚染が均一であったことを確認するために選ばれた。モジュールの異なる部分からの二つの素材の前端と入口(2インチ後)が、処理前後にXRF技術を用いて分析された。結果は、ドライアイス吹き付け工程が触媒物質の化学組成を変えたかどうかを決定するために考察された。モジュール1からの素材からのXRFデータは表2に与えられ、モジュール2の素材からのXRFデータは表3に与えられる。これらの結果から、ドライアイス吹き付けが触媒の化学組成に対して有意な影響を持たないことが分かる。このデータは、ドライアイス吹き付けが触媒の前端でのSiO
2及びAl
2O
3のブラインド層除去に対してプラスの効果を持ちうることを示した。
【0072】
実施例7
この実施例では、オレンジ色の前端変色を持つハニカムSCR触媒が、ここに述べた研摩吹き付け技術により処理された。SCR触媒61のモジュールの一領域が酸化アルミニウム吹き付け流により処理されたが(
図6中央上部領域)、触媒62の他の領域は未処理のままであった。吹き付け処理は、吹き付け触媒領域からオレンジ色に着色された付着物を首尾よく除去した。浸透及び色除去は、通路入口から約10mmから15mmの深さまでであった。この処理は、下のセラミック材料にわずかな摩耗を生じた。
【0073】
実施例8
この実施例では、オレンジ色/灰色の前端変色を持つハニカムSCR触媒が、ここに述べた研摩吹き付け技術により処理された。SCR触媒の一部分71が酸化アルミニウム吹き付け流により処理されたが(
図7)、触媒の残り72は未処理のままであった。吹き付け処理は、触媒の処理された部分からオレンジ色及び灰色に着色された付属物を首尾よく除去した。浸透及び色除去は、通路入口から約10mmから15mmまでの深さまでであった。この処理は、下のセラミック材料にわずかな摩耗を生じた。