(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6066535
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】回転式串刺食品焼き装置及び串刺食品ホルダ
(51)【国際特許分類】
A47J 37/04 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
A47J37/04 101B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-112441(P2016-112441)
(22)【出願日】2016年6月6日
【審査請求日】2016年6月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591047394
【氏名又は名称】株式会社飯田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100069431
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 成則
(74)【代理人】
【識別番号】100154335
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 博
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−063322(JP,A)
【文献】
特開平07−000291(JP,A)
【文献】
特公昭51−045668(JP,B2)
【文献】
特開2004−057463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00 − 37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
串刺しされた焼き対象食品を軸方向に回転させながら環状の搬送路に沿って搬送し、前記焼き対象食品の焼きを行う回転式串刺食品焼き装置であって、
前記搬送路に沿って配列され、前記串刺しされた焼き対象食品が前記搬送路の外側を向くように、前記串の一端を保持する複数のホルダと、
前記搬送路に沿って配設され、前記ホルダを前記搬送路に沿って移動させるチェーンと、
前記搬送路の周縁上方複数個所に配設され、前記チェーンにより搬送される前記ホルダにより保持された前記焼き対象食品を焼く複数の熱源と、
前記搬送路の周縁上方の少なくとも1箇所に配設され、前記ホルダにより搬送される前記串刺しされた焼き対象食品にたれをかけるたれかけ装置と、
を具備し、
前記ホルダは、
前記チェーンに取り付けられる取付金具と、
先端に前記串が挿入される挿入口を有し、前記搬送路に沿って配設されたラックに噛合するギアが先端部に配設されたホルダ部内管と、
前記ホルダ部内管を回転動自在に保持するホルダ部外管と、
前記ホルダ部内管内に摺動自在に収納され、一端が挿入口に挿入された串の一端に当接し、他端が前記取付金具に穿設された孔から突出し、前記串を押し出すためのガイド部材に当接するローラが取り付けられた押出部材と、
前記ホルダ部外管を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材と、
前記取付金具に前記ホルダ部保持部材を着脱自在に取り付ける鍵機構と、
を具備し、
前記鍵機構は、
前記取付金具に植設されたボルトと、
前記ホルダ部保持部材の背面部に穿設され、前記ボルトの頭部より小さい径の第1の孔及び該第1の孔に繋がる前記ボルトの頭部より大きい径の第2の孔と、
を有し、
前記ホルダ部保持部材の背面部の位置を前記ボルトの頭部が前記第1の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材が前記取付金具に取り付けられ、前記ボルトの頭部が前記第2の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材を前記取付金具から取り外されることを特徴する回転式串刺食品焼き装置。
【請求項2】
前記ホルダ部内管の先端近傍に、前記挿入口に挿入された串の前記ホルダ部内管に対する回転を禁止するボールプランジャが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転式串刺食品焼き装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記搬送路の焼きが完了した前記焼き対象食品を取り出す排出部周辺に設けられ、該排出部周辺で前記押出部材の前記ローラが当接して前記押出部材を前記ホルダ部内管内で移動させることにより焼きが完了した前記焼き対象食品を押し出すことを特徴する請求項1又は2に記載の回転式串刺食品焼き装置。
【請求項4】
前記搬送路の各位置で前記ラックの高さ調節するラック高さ調節機構を有し、該ラック高さ調節機構により、前記搬送路を搬送される前記焼き対象食品の角度を調整することを特徴する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転式串刺食品焼き装置。
【請求項5】
前記たれかけ装置の周辺で、前記ラック高さ調節機構により前記焼き対象食品の先端が斜め下方に向くように調節されることを特徴する請求項4に記載の回転式串刺食品焼き装置。
【請求項6】
串刺しされた焼き対象食品を軸方向に回転させながら環状の搬送路に沿って搬送し、前記焼き対象食品の焼きを行う回転式串刺食品焼き装置の前記搬送路に沿って配列され、前記串刺しされた焼き対象食品が前記搬送路の外側を向くように、前記串の一端を保持する串刺食品ホルダであって、
前記搬送路に沿って移動可能に取り付けられる取付金具と、
先端に前記串が挿入される挿入口を有し、前記搬送路に沿って配設されたラックに噛合するギアが先端部に配設されたホルダ部内管と、
前記ホルダ部内管を回転動自在に保持するホルダ部外管と、
前記ホルダ部内管内に摺動自在に収納され、一端が挿入口に挿入された串の一端に当接し、他端が前記取付金具に穿設された孔から突出し、前記串を押し出すためのガイド部材に当接するローラが取り付けられた押出部材と、
前記ホルダ部外管を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材と、
前記取付金具に前記ホルダ部保持部材を着脱自在に取り付ける鍵機構と、
を具備し、
前記鍵機構は、
前記取付金具に植設されたボルトと、
前記ホルダ部保持部材の背面部に穿設され、前記ボルトの頭部より小さい径の第1の孔及び該第1の孔に繋がる前記ボルトの頭部より大きい径の第2の孔と、
を有し、
前記ホルダ部保持部材の背面部の位置を前記ボルトの頭部が前記第1の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材が前記取付金具に取り付けられ、前記ボルトの頭部が前記第2の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材を前記取付金具から取り外されることを特徴とする串刺食品ホルダ。
【請求項7】
前記ホルダ部内管の先端近傍に、前記挿入口に挿入された串の前記ホルダ部内管に対する回転を禁止するボールプランジャが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の串刺食品ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、串刺団子、串刺焼き鳥等の串刺食品を自動的に焼いて排出する回転式串刺食品焼き装置及び串刺食品ホルダに関し、特に、串刺食品に自動的にたれをかけて焼くことが可能であり、かつ、焼きを完了した串刺食品を確実、かつ容易に排出できるようにした回転式串刺食品焼き装置及び串刺食品ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、串刺団子、串刺焼き鳥等の串刺食品を焼く装置としては、特許文献1に開示された「串元チャック装置」を用いた装置が知られている。
【0003】
この特許文献1に開示された「串元チャック装置」を用いた装置は、受口内周縁に環状突起5を有する串元受け部材4に団子等の串刺食品2の串元3aを受け入れ点Pで挿入し、円板8とレール9からなる回転付勢手段10により、串刺食品2を回転しながら加熱炉7上を移動させることにより、串刺食品2を焼き、抜き取り点P’で焼きを完成した串刺食品2を取り出すように構成されている。
【0004】
しかし、特許文献1に開示された「串元チャック装置」を用いた装置においては、焼きを完成した串刺食品2を人手に取り出すように構成されているの、その際に火傷等が発生する虞があり、また、串刺食品2の自動化には問題がある。
【0005】
また、「串元チャック装置」による串刺食品2の串元の保持は、受口内周縁に設けられた環状突起5によって行っているので、串元受け部材4を一定角度だけ上向きに傾斜させる必要があり、この場合、焼きの途中でたれをかける必要のある団子等の焼きにおいてはたれが装置内部に流れ込んでしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−167421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、串刺食品に自動的にたれをかけて焼くことが可能であり、かつ、焼きを完了した串刺食品を自動的、かつ容易に排出できるようにした回転式串刺食品焼き装置及び串刺食品ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、串刺しされた焼き対象食品を軸方向に回転させながら環状の搬送路に沿って搬送し、前記焼き対象食品の焼きを行う回転式串刺食品焼き装置であって、前記搬送路に沿って配列され、前記串刺しされた焼き対象食品が前記搬送路の外側を向くように、前記串の一端を保持する複数のホルダと、前記搬送路に沿って配設され、前記ホルダを前記搬送路に沿って移動させるチェーンと、前記搬送路の周縁上方複数個所に配設され、前記チェーンにより搬送される前記ホルダにより保持された前記焼き対象食品を焼く複数の熱源と、前記搬送路の周縁上方の少なくとも1箇所に配設され、前記ホルダにより搬送される前記串刺しされた焼き対象食品にたれをかけるたれかけ装置と、を具備し、前記ホルダは、前記チェーンに取り付けられる取付金具と、先端に前記串が挿入される挿入口を有し、前記搬送路に沿って配設されたラックに噛合するギアが先端部に配設されたホルダ部内管と、前記ホルダ部内管を回転動自在に保持するホルダ部外管と、前記ホルダ部内管内に摺動自在に収納され、一端が挿入口に挿入された串の一端に当接し、他端が前記取付金具に穿設された孔から突出し、前記串を押し出すためのガイド部材に当接するローラが取り付けられた押出部材と、前記ホルダ部外管を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材と、前記取付金具に前記ホルダ部保持部材を着脱自在に取り付ける鍵機構と、を具備
し、前記鍵機構は、前記取付金具に植設されたボルトと、 前記ホルダ部保持部材の背面部に穿設され、前記ボルトの頭部より小さい径の第1の孔及び該第1の孔に繋がる前記ボルトの頭部より大きい径の第2の孔と、を有し、前記ホルダ部保持部材の背面部の位置を前記ボルトの頭部が前記第1の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材が前記取付金具に取り付けられ、前記ボルトの頭部が前記第2の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材を前記取付金具から取り外されることを特徴する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ホルダ部内管の先端近傍に、前記挿入口に挿入された串の前記ホルダ部内管に対する回転を禁止するボールプランジャが設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記ガイド部材は、前記搬送路の焼きが完了した前記焼き対象食品を取り出す排出部周辺に設けられ、該
排出部周辺で前記押出部材の前記ローラが当接して前記押出部材を前記ホルダ部内管内で移動させることにより焼きが完了した前記焼き対象食品を押し出すことを特徴する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記搬送路の各位置で前記ラックの高さ調節するラック高さ調節機構を有し、該ラック高さ調節機構により、前記搬送路を搬送される前記焼き対象食品の角度を調整することを特徴する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の発明において、前記たれかけ装置の周辺で、前記ラック高さ調節機構により前記焼き対象食品の先端が斜め下方に向くように調節されることを特徴する。
【0014】
請求項6の発明は、串刺しされた焼き対象食品を軸方向に回転させながら環状の搬送路に沿って搬送し、前記焼き対象食品の焼きを行う回転式串刺食品焼き装置の前記搬送路に沿って配列され、前記串刺しされた焼き対象食品が前記搬送路の外側を向くように、前記串の一端を保持する串刺食品ホルダであって、前記搬送路に沿って移動可能に取り付けられる取付金具と、先端に前記串が挿入される挿入口を有し、前記搬送路に沿って配設されたラックに噛合するギアが先端部に配設されたホルダ部内管と、前記ホルダ部内管を回転動自在に保持するホルダ部外管と、前記ホルダ部内管内に摺動自在に収納され、一端が挿入口に挿入された串の一端に当接し、他端が前記取付金具に穿設された孔から突出し、前記串を押し出すためのガイド部材に当接するローラが取り付けられた押出部材と、前記ホルダ部外管を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材と、前記取付金具に前記ホルダ部保持部材を着脱自在に取り付ける鍵機構と、を具備
し、前記鍵機構は、前記取付金具に植設されたボルトと、前記ホルダ部保持部材の背面部に穿設され、前記ボルトの頭部より小さい径の第1の孔及び該第1の孔に繋がる前記ボルトの頭部より大きい径の第2の孔と、を有し、前記ホルダ部保持部材の背面部の位置を前記ボルトの頭部が前記第1の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材が前記取付金具に取り付けられ、前記ボルトの頭部が前記第2の孔の位置になるようにすることで、前記ホルダ部保持部材を前記取付金具から取り外されることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、
請求項6に記載の発明において、前記ホルダ部内管の先端近傍に、前記挿入口に挿入された串の前記ホルダ部内管に対する回転を禁止するボールプランジャが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、串刺しされた焼き対象食品を軸方向に回転させながら環状の搬送路に沿って搬送し、前記焼き対象食品の焼きを行う回転式串刺食品焼き装置であって、前記搬送路に沿って配列され、前記串刺しされた焼き対象食品が前記搬送路の外側を向くように、前記串の一端を保持する複数のホルダと、前記搬送路に沿って配設され、前記ホルダを前記搬送路に沿って移動させるチェーンと、前記搬送路の周縁上方複数個所に配設され、前記チェーンにより搬送される前記ホルダにより保持された前記焼き対象食品を焼く複数の熱源と、前記搬送路の周縁上方の少なくとも1箇所に配設され、前記ホルダにより搬送される前記串刺しされた焼き対象食品にたれをかけるたれかけ装置と、を具備し、前記ホルダは、前記チェーンに取り付けられる取付金具と、先端に前記串が挿入される挿入口を有し、前記搬送路に沿って配設されたラックに噛合するギアが先端部に配設されたホルダ部内管と、前記ホルダ部内管を回転動自在に保持するホルダ部外管と、前記ホルダ部内管内に摺動自在に収納され、一端が挿入口に挿入された串の一端に当接し、他端が前記取付金具に穿設された孔から突出し、前記串を押し出すためのガイド部材に当接するローラが取り付けられた押出部材と、前記ホルダ部外管を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材と、前記取付金具に前記ホルダ部保持部材を着脱自在に取り付ける鍵機構と、を具備して構成されるので、串刺食品に自動的にたれをかけて焼くことが可能であり、かつ、焼きを完了した串刺食品を自動的、かつ容易に排出できるようにした回転式串刺食品焼き装置及び串刺食品ホルダを提供するすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る串刺食品ホルダの詳細を示す側断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した串刺食品ホルダを取付金具側から見た図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した串刺食品ホルダの押出部材の動作を説明する図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した串刺食品ホルダの鍵機構の動作を説明する図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した串刺食品ホルダの串刺食品の角度の調整を説明する図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る回転式串刺食品焼き装置の上面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した回転式串刺食品焼き装置の側面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示した回転式串刺食品焼き装置の動作を説明する一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための実施例について、願書に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る回転式串刺食品焼き装置で用いられる串刺食品ホルダ100の詳細を示す側断面図であり、
図2は、
図1に示した串刺食品ホルダ100を取付金具側から見た図である。
【0020】
本発明に係る回転式串刺食品焼き装置は、串刺しされた焼き対象食品を軸方向に回転させながら環状の搬送路に沿って搬送し、前記焼き対象食品の焼きを行うもので、本実施例においては、焼き対象食品として串刺しされた団子(以下、単に団子という)を用いた場合について示している。
【0021】
図1及び
図2において、本実施例の串刺食品ホルダ100は、搬送路に沿って配設されたチェーン50に取り付けられる取付金具60と、先端に団子の串(串元)が挿入される挿入口11を有し、搬送路に沿って配設された図示しないラックに噛合するギア12が先端部に設けられたホルダ部内管10と、ホルダ部内管10をボールベアリング21を介して回転動自在に保持するホルダ部外管20と、ホルダ部内管10内に摺動自在に収納され、一端31が挿入口11に挿入された串の一端に当接し、他端32が取付金具60に穿設された孔から突出し、焼きが完了した団子の串を押し出すための図示しないガイド部材に当接するローラ33が取り付けられた押出部材30と、ホルダ部外管20を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材40と、取付金具60にホルダ部保持部材40を着脱自在に取り付ける鍵機構70と、を具備して構成される。
【0022】
また、ホルダ部内管10の先端近傍には、挿入口11に挿入された串のホルダ部内管10 に対する回転を禁止するボールプランジャ13が設けられている。
【0023】
ホルダ部保持部材40は、その両側面に植設されたボルト41により、ホルダ部外管20を上下方向回動自在に保持しており、ボルト41を回動軸として矢印X方向に回動自在に構成されている。
【0024】
鍵機構70は、取付金具60に植設されたボルト71と、ホルダ部保持部材40の背面部41に穿設されたボルト71の頭部より小さい径の第1の孔72及び該第1の孔72に繋がるボルト71の頭部より大きい径の第2の孔73と、から構成される。
【0025】
この鍵機構70は、
図2の状態で、取付金具60にホルダ部保持部材40が取り付けられた状態を示しており、この状態で、ホルダ部保持部材40を矢印Aに示すように下方に移動させ、ボルト71の頭部が第2の孔73の位置になるようにすると、ホルダ部保持部材40を取付金具60から取り外すことができる。
【0026】
図3は、
図1に示した串刺食品ホルダ100の押出部材30の動作を説明する図である。
【0027】
図3(A)は、ホルダ部内管10の挿入口11に、団子80の串81の串元が挿入された状態を示す。この状態で、団子80の串81の一端は押出部材30の一端31に当接し、押出部材30の他端のローラ33はガイド部材90に当接している。
【0028】
また、団子80の串81は、ボールプランジャ13で押さえられ、団子80のホルダ部内管10 に対する回転が禁止されている。
【0029】
図3(B)は、ホルダ部内管10の挿入口11に挿入された団子80が排出される状態を示す。すなわち、団子80の排出箇所では、押出部材30の他端のローラ33が当接するガイド部材90は、取付金具60側に移動した位置に設けられている。この状態で、押出部材30のローラ33がガイド部材90に当接すると、押出部材30は、ホルダ部内管10の中を矢印B方向に移動し、これにより、団子80は押し出されて、ホルダ部内管10の挿入口11から排出される。
【0030】
上記構成を採用すると、ボールプランジャ13による団子80の串81の押さえの調整が容易になる。すなわち、ボールプランジャ13は、串刺食品ホルダ100からの団子80の脱落及び団子80を回転する際の空回りを防止するために設けられたものであるが、一般に団子80の串81の径にはバラツキがあり、そのためにボールプランジャ13の最適な調整には非常に手間がかかる。
【0031】
しかし、本発明の串刺食品ホルダ100によれば、団子80の押し出しは、押出部材30により自動的に行われるので、例えば、ボールプランジャ13は、団子80の串81の最小の径に合わせて行えばよく、これにより、焼きの完了した団子を排出口で容易、かつ確実に串刺食品ホルダ100から取り出すことができる。
【0032】
また、このとき串刺食品ホルダ100からの団子80の取り出しは、押出部材30によりゆっくりした速度で行われるので、その際に、団子80に付着したたれが外部に飛び散って、装置を汚してしまうというような不都合も解消できる。
【0033】
図4は、
図1に示した串刺食品ホルダの鍵機構70の動作を説明する図である。
【0034】
図4(A)に示すように、串刺食品ホルダ100の取付金具60は、チェーン50に取り付けられており、この取付金具60に串刺食品ホルダ100のホルダ部保持部材40が鍵機構70により取り付けられる。
【0035】
鍵機構70は、前述したように、取付金具60に植設されたボルト71と、ホルダ部保持部材40の背面部41に穿設された、ボルト71の頭部より小さい径の第1の孔72及び該第1の孔72に繋がるボルト71の頭部より大きい径の第2の孔73と、から構成されている。
【0036】
図4(A)に示す、取付金具60にホルダ部保持部材40が鍵機構70により取り付けられた状態で、ホルダ部保持部材40を矢印Aに示すように下方に移動させ、ボルト71の頭部が第2の孔73の位置になるようにすると、ホルダ部保持部材40を、
図4(B)に示すように、取付金具60から取り外すことができる。
【0037】
ここで、鍵機構70により取付金具60からホルダ部保持部材40を取り出し可能に構成した理由は、串刺食品ホルダ100の清掃を容易にするためである。すなわち、串刺食品ホルダ100の取付金具60を除く他の部分を取付金具60から取り外し可能とすることで、串刺食品ホルダ100の取付金具60を除く他の部分を個別に洗浄することが可能になる。
【0038】
図5は、
図1に示した串刺食品ホルダ100の串刺食品の角度の調整を説明する図である。
【0039】
この実施例の串刺食品ホルダ100において、取付金具60は、環状の搬送路に沿って移動するチェーン50に固定され、ホルダ部外管20を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材40は、この取付金具60に取り付けられている。
【0040】
また、ホルダ部外管20内に回動自在に収容されるホルダ部内管10のギア12は、ラック高さ調節機構210により高さが調節されたラック211に噛合して下方から支えられている。
【0041】
上記構成により、串刺食品ホルダ100により串81の一端が保持された団子の角度を搬送路に沿って配設されたラック211の高さ調節するラック高さ調節機構210により調整することができる。
【0042】
図5の右側に示すように、ラック高さ調節機構210によりラック211の高さを低く調節すると、団子80の串81は先端は斜め下方に向くようになり、また、
図5の左側に示すように、ラック高さ調節機構210によりラック211の高さを高く調節すると、団子80の串81は先端は斜め上方に向くようになる。
【0043】
すなわち、この実施例の串刺食品ホルダ100においては、ラック高さ調節機構210によるラック211の高さ調節により、串刺食品ホルダ100により串81の一端が保持された団子80の角度を団子80の搬送過程において任意に調節することが可能になる。
【0044】
例えば、搬送中の団子80にたれをかけるたれかけ装置の周辺では、団子80の角度を先端が斜め下方に向くようにして、たれかけ装置からかけたたれが装置内部に入り込まないようにし、搬送中の団子80にたれをかけた後の焼き過程においては、団子80の角度を先端がわずかに斜め上方に向くようにして団子80かけられたたれが流れ落ちないようにすることができる。
【0045】
図6は、本発明に係る回転式串刺食品焼き装置200の上面図であり、
図7は、
図6に示した回転式串刺食品焼き装置200の側面図であり、
図8は、
図6に示した回転式串刺食品焼き装置200の動作を説明する一部拡大図である。
【0046】
本実施例に関わる回転式串刺食品焼き装置200は、団子80を軸方向に回転させながら環状の搬送路201に沿って搬送し、団子80の焼きを行うもので、搬送路201に沿って配列され、団子80が搬送路210の外側を向くように、団子80の串81の一端(串元)を保持する複数の串刺食品ホルダ(以下、単にホルダという)100が設けられている。このホルダ100の詳細は、
図1乃至
図5に示されている。
【0047】
また、この回転式串刺食品焼き装置200には、搬送路201に沿って配設され、ホルダ100を搬送路201に沿って移動させるチェーン50と、搬送路201の周縁上方10箇所に配設され、チェーン50により搬送されるホルダ100により保持された団子80を焼く10個の熱源であるヒータ220−1〜220−10と、搬送路201の周縁上方の2箇所に配設され、ホルダ100により搬送される団子80にたれをかける2個のたれかけ装置230−1、230−2と、を具備している。
【0048】
なお、ノズル231−1、231−2は、たれかけ装置230−1、230−2のそれぞれのたれかけノズルであり、制御盤250は、この回転式串刺食品焼き装置200の各種パラメータの設定、制御を行うものである。
【0049】
また、駆動部250は、搬送路201に沿って配設された配設されたチェーン50を駆動するためのものである。
【0050】
上記構成の回転式串刺食品焼き装置200において、焼き対象食品として串刺しされた団子80は、作業部260において、作業員により、
図8に示すように、ホルダ100の挿入口11に団子80串81の串元を挿入することによりホルダ100に取り付けられる。
【0051】
ホルダ100に取り付けられた団子80は、チェーン50によりヒータ220−1の配設方向に搬送され、ヒータ220−1〜220−4による焼きが行われる。この状態で、団子80は、ラック高さ調節機構210により、水平に保持される。続いて、ホルダ100に取り付けられた団子80は、たれかけ装置230−1の配設箇所に達し、ここで、たれかけ装置230−1のノズル231−1から団子80にたれがかけられる。この状態で、団子80は、ラック高さ調節機構210により、先端が斜め下方に向くように調整される。
【0052】
たれかけ装置230−1による団子80へのたれかけが終了すると、ラック高さ調節機構210により、団子80の先端がわずかに斜め上方に向くように調整されて、ヒータ220−5の配設方向に搬送され、ヒータ220−5〜220−7による焼きが行われる。
【0053】
続いて、団子80は、たれかけ装置230−2の配設箇所に達し、ここで、たれかけ装置230−2のノズル231−2から団子80にたれがかけられる。この状態で、団子80は、ラック高さ調節機構210により、先端が斜め下方に向くように調整される。
【0054】
たれかけ装置230−2による団子80へのたれかけが終了すると、ラック高さ調節機構210により、団子80の先端がわずかに斜め上方に向くように調整されて、ヒータ220−8の配設方向に搬送され、ヒータ220−8〜220−10による焼きが行われる。
【0055】
その後、団子80は、排出ベルト240の設置箇所に達する。ここで、ホルダ100の押出部材30のローラ33が当接するガイド部材90は、取付金具60側に移動した位置に調節されている。したがって、押出部材30のローラ33がガイド部材90に当接することにより、押出部材30は、ホルダ部内管10の中を
図3に示す矢印B方向に移動し、これにより、団子80は押し出されて、ホルダ部内管10の挿入口11から排出ベルト240上に排出される。
【0056】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
【0057】
例えば、上記実施例では、焼き対象食品として串刺しされた団子80を用いた場合を示したが、例えば、鶏肉等が串刺しされた焼き鳥等にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
10…ホルダ部内管
11…挿入口
12…ギア
13…ボールプランジャ
20…ホルダ部外管
21…ボールベアリング
30…押出部材
33…ローラ
40…ホルダ部保持部材
41…ボルト
50…チェーン
60…取付金具
70…鍵機構
71…ボルト
72…第1の孔
73…第2の孔
80…団子
81…串
90…ガイド部材
100…串刺食品ホルダ(ホルダ)
200…回転式串刺食品焼き装置
201…搬送路
210…ラック高さ調節機構
211…ラック
220−1〜220−10…ヒータ
230−1、230−2…たれかけ装置
240…排出ベルト
250…制御盤
260…駆動部
【要約】
【課題】串刺食品に自動的にたれをかけて焼くことが可能であり、かつ、焼きを完了した串刺食品を自動的、かつ容易に排出できるようにした回転式串刺食品焼き装置及び串刺食品ホルダを提供する。
【解決手段】団子80の串81の一端を保持する複数のホルダ100と、搬送路201の周縁上方に配設された複数のヒータ220−1〜220−10及びたれかけ装置230−1、230−2と、を具備し、ホルダ100は、先端に串81の挿入口11を有し、搬送路201に配設されたラック211に噛合するギア12が配設されたホルダ部内管10と、ホルダ部内管10を回転動自在に保持するホルダ部外管20と、ホルダ部内管10内に摺動自在に収納された押出部材30と、ホルダ部外管20を上下方向回動自在に保持するホルダ部保持部材40と、ホルダ部保持部材40を取付金具60に着脱自在に取り付ける鍵機構70とを具備する。
【選択図】
図1