【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例・比較例においては、ローズマリー抽出物として高砂香料工業(株)社製のローズマリー精油10%吸着品を、カプシカム抽出物として高砂香料工業(株)社製のカプシカム抽出物10%吸着品を、カルバクロールとして高砂香料工業(株)社製のカルバクロール10%吸着品を使用した。
【0019】
[実施例1、比較例1]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例1)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例1)から得られるムネ肉とモモ肉のTBA値(チオバルビタール酸値)を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0020】
(飼料の配合)
下記表1に記載の配合比の基礎飼料(比較例1)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として0.6mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例1)を調製した。
【0021】
【表1】
【0022】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、比較例1の基礎飼料を21日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、実施例1の飼料を21日間不断給餌した。
【0023】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。
また、TBA値の測定は以下のとおり行った。すなわち、飼育終了日に解体を行い、ムネ肉とモモ肉を採取し、チルド条件下(5℃)で6日間保存した。保存後のムネ肉あるいはモモ肉5gにEDTA(エチレンジアミン4酢酸)・2Na0.15g、水50ml、15%BHA(ブチルヒドロキシアニソール)−エタノール溶液1.0mlを加えホモジネートを行った。そこに更に水50ml、4mol/L酢酸溶液2.5ml、塩化ナトリウム50g、消泡剤を加え水蒸気蒸留を行った。留液50mlから5ml分取し、TBA試薬(0.02mol/L TBA及び酢酸の混合液5ml)を加え100℃・30分間沸騰油浴中で加熱した。放冷後、遠心分離にてブタノール層を分離した。分離したブタノール層の532nmにおける吸光度を測定することによりTBA値を測定した。
【0024】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表2に、TBA値に関する測定結果を以下の表3、4に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
[実施例2、比較例2]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例2)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例2)から得られる腹腔内脂肪のAV(酸価)値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0029】
(飼料の配合)
下記表5に記載の配合比の基礎飼料(比較例2)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として0.8mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例2)を調製した。
【0030】
【表5】
【0031】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーオス13日齢)20羽に、比較例2の基礎飼料を22日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーオス13日齢)20羽に、実施例2の飼料を22日間不断給餌した。
【0032】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。
また、AV値の測定は以下のとおり行った。すなわち、飼育終了日に解体を行い、腹腔内脂肪を採取し、40℃、湿度75%の条件で3日間保存した。保存後の腹腔内脂肪20gから油脂10gを抽出した。その油脂3gを用い、ジエチルエーテル50ml(特級)とエタノール50ml(特級99.5%)を加え、ガラス棒にて撹拌し、油脂を溶解した。そこに指示薬2〜3滴添加(フェノールフタレン溶液)し、カラス棒にて軽く撹拌し、水酸化カリウム溶液を最点色(ピンク色が消えない)になるまで滴下し、滴下量からAV値を算出した。
【0033】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表6に、AV値に関する測定結果を以下の表7に示す。
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
[実施例3、比較例3]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例3)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例3)から得られる腹腔内脂肪のAV値とムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0037】
(飼料の配合)
下記表8に記載の配合比の基礎飼料(比較例3)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として1.32mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例3)を調製した。
【0038】
【表8】
【0039】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、比較例3の基礎飼料を21日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、実施例3の飼料を21日間不断給餌した。
【0040】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、実施例2、比較例2に記載のとおりに行い、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で10日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0041】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表9に示す。また、AV値に関する測定結果を以下の表10に、TBA値に関する測定結果を以下の表11に示す。
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
【表11】
【0045】
[実施例4、比較例4]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例4)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例4)から得られるムネ肉とモモ肉のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0046】
(飼料の配合)
下記表12に記載の配合比の基礎飼料(比較例4)にカプシカム抽出物10%吸着品をカプシカム抽出物100mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例4)を調製した。
【0047】
【表12】
【0048】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、比較例4の基礎飼料を21日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、実施例4の飼料を21日間不断給餌した。
【0049】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、TBA値の測定は、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0050】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表13に示し、TBA値に関する測定結果を以下の表14、15に示す。
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】
[実施例5−1、実施例5−2、比較例5]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例5−1、実施例5−2)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例5)から得られる腹腔内脂肪のAV値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0055】
(飼料の配合)
下記表16に記載の配合比の基礎飼料(比較例5)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として0.2mg/kg(実施例5−1)又は100mg/kg(実施例5−2)となるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
【0056】
【表16】
【0057】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)42羽を、14羽ずつ3群に分け、比較例5の基礎飼料、実施例5−1の飼料、あるいは実施例5−2の飼料を20日間不断給餌した。
【0058】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、40℃、湿度75%の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行った。
【0059】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表17に、AV値に関する測定結果を以下の表18に示す。
【0060】
【表17】
【0061】
【表18】
【0062】
[実施例6−1、実施例6−2、比較例6]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例6−1、実施例6−2)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例6)から得られる腹腔内脂肪のAV値とムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0063】
(飼料の配合)
下記表19に記載の配合比の基礎飼料(比較例6)にカプシカム抽出物10%吸着品をカプシカム抽出物0.2mg/kg(実施例6−1)又は200mg/kg(実施例6−2)となるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
【0064】
【表19】
【0065】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)42羽を、14羽ずつ3群に分け、比較例6の基礎飼料、実施例6−1の飼料、あるいは実施例6−2の飼料を20日間不断給餌した。
【0066】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、20℃の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行い、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で10日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0067】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表20に示す。また、AV値に関する測定結果を以下の表21に、TBA値に関する測定結果を以下の表22に示す。
【0068】
【表20】
【0069】
【表21】
【0070】
【表22】
【0071】
[実施例7−1、実施例7−2、実施例7−3、比較例7]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例7−1、実施例7−2、実施例7−3)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例7)から得られるムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0072】
(飼料の配合)
下記表23に記載の配合比の基礎飼料(比較例7)に、以下の濃度となるようにローズマリー精油10%吸着品及び/又はカプシカム抽出物10%吸着品を添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
実施例7−1:ローズマリー精油2.0mg/kg
実施例7−2:カプシカム抽出物2.0mg/kg
実施例7−3:ローズマリー精油2.0mg/kg、カプシカム抽出物2.0mg/kg
【0073】
【表23】
【0074】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーオス30日齢)40羽を、10羽ずつ4群に分け、比較例7の基礎飼料、あるいは実施例7−1〜7−3の飼料を21日間不断給餌した。
【0075】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で2日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0076】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表24に示す。また、TBA値に関する測定結果を以下の表25に示す。
【0077】
【表24】
【0078】
【表25】
【0079】
[実施例8−1、実施例8−2、実施例8−3、比較例8]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例8−1、実施例8−2、実施例8−3)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例8)から得られる腹腔内脂肪のAV値とムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0080】
(飼料の配合)
下記表26に記載の配合比の基礎飼料(比較例8)に、以下の濃度となるようにローズマリー精油10%吸着品及び/又はカルバクロール10%吸着品を添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
実施例8−1:ローズマリー精油2.0mg/kg
実施例8−2:カルバクロール2.0mg/kg
実施例8−3:ローズマリー精油2.0mg/kg、カルバクロール2.0mg/kg
【0081】
【表26】
【0082】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーオス30日齢)40羽を、10羽ずつ4群に分け、比較例8の基礎飼料、あるいは実施例8−1〜8−3の飼料を21日間不断給餌した。
【0083】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、40℃、湿度75%の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行い、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で2日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0084】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表27に示す。また、AV値に関する測定結果を以下の表28に、TBA値に関する測定結果を以下の表29に示す。
【0085】
【表27】
【0086】
【表28】
【0087】
【表29】
【0088】
[実施例9、比較例9]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例9)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例9)から得られる腹腔内脂肪のAV値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0089】
(飼料の配合)
下記表30に記載の配合比の基礎飼料(比較例9)に、以下の濃度となるようにローズマリー精油10%吸着品、カプシカム抽出物10%吸着品及びカルバクロール10%吸着品を添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
実施例9:ローズマリー精油1.2mg/kg、カプシカム抽出物2.0mg/kg、カルバクロール2.0mg/kg
【0090】
【表30】
【0091】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)14羽に、比較例9の基礎飼料を20日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)14羽に、実施例9の飼料を20日間不断給餌した。
【0092】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、20℃の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行った。
【0093】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表31に、AV値に関する測定結果を以下の表32に示す。
【0094】
【表31】
【0095】
【表32】
【0096】
上記の分析結果から、本発明の添加剤は、肉用鶏の成長に悪影響を及ぼすことなく、前記肉用鶏から得られる食肉及びその加工肉の酸化の進行を抑制することができ、その結果、保存品質を改善できることが確認された。
特に、ローズマリー抽出物、カプシカム抽出物及びカルバクロールから選択される特定の3成分のうち2種または3種を組み合わせた添加剤を肉用鶏に給餌することにより、得られる食肉及びその加工肉の酸化の進行抑制の程度が飛躍的に増大することが明らかになった。