特許第6066622号(P6066622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6066622肉用鶏飼料に用いる添加剤及びそれを含有する飼料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066622
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】肉用鶏飼料に用いる添加剤及びそれを含有する飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/30 20160101AFI20170116BHJP
   A23K 20/111 20160101ALI20170116BHJP
   A23K 50/75 20160101ALI20170116BHJP
【FI】
   A23K10/30
   A23K20/111
   A23K50/75
【請求項の数】4
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-180071(P2012-180071)
(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公開番号】特開2014-36602(P2014-36602A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】399106505
【氏名又は名称】日清丸紅飼料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】山之内 正弘
(72)【発明者】
【氏名】波多野 和広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏幸
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−079709(JP,A)
【文献】 特開2011−030490(JP,A)
【文献】 特開2008−019191(JP,A)
【文献】 特表2000−505655(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/107422(WO,A1)
【文献】 特開2009−011320(JP,A)
【文献】 特開平07−031382(JP,A)
【文献】 特開2007−110973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローズマリー抽出物及びカルバクロールを含有することを特徴とする、肉用鶏飼料に用いる添加剤。
【請求項2】
さらに、カプシカム抽出物を含有することを特徴とする、請求項1記載の添加剤。
【請求項3】
鶏肉の酸化防止のために使用されることを特徴とする、請求項1又は2記載の添加剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の添加剤を含有することを特徴とする、肉用鶏飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉用鶏飼料に用いる添加剤及びそれを含有する飼料に関するものであり、更に詳しくは、ローズマリー抽出物及び/又はカプシカム抽出物を含有し、鶏肉の酸化進行防止及び保存品質改善に有用な肉用鶏飼料に用いる添加剤及びそれを含有する飼料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食肉のうち、不飽和脂肪酸を多く含むとされる鶏などの家禽の肉は、品質が劣化し易く、保存性が劣るとされている。その原因としては、主に、生体膜を構成する不飽和脂肪酸の酸化(自動酸化)に伴う過酸化物(過酸化脂質など)の発生が挙げられ、これが進むと、異臭を放つなど、食肉の品質や保存性の低下につながる。
【0003】
この問題を改善するためには、酸化防止剤を肉用鶏に経口投与するか、若しくは酸化防止剤を鶏肉の加工において添加する方法がとられる。従来、食品の酸化防止のための添加剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエンなど、フェノール系合成酸化防止剤が使用されてきたが、これらは、発癌性など、安全性の点で使用が敬遠されている。そのため、安全性が高く、強力な効果を持つ天然の酸化防止素材の導入及びそれへの転換が強く求められている。
【0004】
現況では、天然の酸化防止剤としては、ビタミンEが代表的であり、食品や、家畜、家禽に広く使用されている。しかし、このような天然の酸化防止剤は、食品や、家畜、家禽に対して、充分な効果を示しているとは言い難い。
【0005】
一方、従来から、肉用鶏飼料に精油化合物や香辛料を添加することが行われている(特許文献1、2)。
しかしながら、これらの精油化合物や香辛料は、一般的な添加剤や、鶏肉中における微生物の繁殖防止のために使用されているものであり、鶏肉の酸化防止のために使用されているものではない。また、本発明の添加剤による鶏肉の酸化防止作用を類推することは難しく、実際、そのような作用を見出した報告もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−11320号公報
【特許文献2】特開平7−31382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来から、鶏肉の酸化を防止するために、肉用鶏の経口投与用の酸化防止剤や、鶏肉に直接添加するための酸化防止剤が知られていたが、高い酸化防止効果を有すると共に、安全性の高いものは知られておらず、このような点で更に優れた鶏肉用の酸化防止剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意検討した結果、ローズマリー抽出物及び/又はカプシカム抽出物という特定の抽出物を肉用鶏に摂取させることにより、それを加工した鶏肉の酸化が抑制され、保存品質を改善することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.ローズマリー抽出物及び/又はカプシカム抽出物を含有することを特徴とする、肉用鶏飼料に用いる添加剤。
2.ローズマリー抽出物及びカプシカム抽出物を含有することを特徴とする、上記1の添加剤。
3.さらに、カルバクロールを含有することを特徴とする、上記1又は2記載の添加剤。4.鶏肉の酸化防止のために使用されることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の添加剤。
5.上記1〜4のいずれかに記載の添加剤を含有することを特徴とする、肉用鶏飼料。
【発明の効果】
【0010】
本発明のローズマリー抽出物及び/又はカプシカム抽出物を含有する添加剤を肉用鶏に給餌することにより、前記肉用鶏から得られる食肉及びその加工肉の酸化の進行を防止し、得られる肉質や脂肪の脂肪臭を改善し、脂臭さが少なく、かつ、鮮度保持力の増大したものとなり、保存品質を改善することができる。特に、ローズマリー抽出物とカプシカム抽出物の両者の併用により、酸化防止効果が顕著に増大し、鶏肉の保存品質改善剤として一層優れたものになる。さらに、ローズマリー抽出物及び/又はカプシカム抽出物を含有する添加剤に、カルバクロールという特定の抽出物もしくはハーブ精油成分をさらに添加することにより、酸化防止効果が一層顕著に増大する。また、本発明の添加剤に使用する抽出物及びハーブ精油成分は、すべて天然物中に存在することから、安全性に優れるものである。
【0011】
さらに、本発明の添加剤は、通常の肉用鶏飼料に添加することにより給餌することができ、格別の処理が不要であることから、飼育現場や飼料配合工場での取り扱いが容易であるという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において用いるローズマリー抽出物の原料は、シソ科(Lamiaceae)ロスマリヌス属(Rosmarinus)に分類される地中海沿岸地方原産の常緑性低木であり、モーツアルト・ローズマリー(Rosmarinus officinalis‘Mozart Blue')、ホワイト・ローズマリー(R. officinalis albiflorus)、マジョルカピンク・ローズマリー(R. Officinalis‘M.P.’)が含有される。本発明において使用するローズマリー抽出物は、上記のローズマリーの精油や、葉や茎等を水及び/又は有機溶剤で抽出したものであるが、このうち特にローズマリー精油が好ましい。精油の製造方法としては、特に限定されるものではないが、ローズマリーの葉や茎等を蒸留釜に入れて、そこに水蒸気を送り込み、精油成分が遊離、気化し、水蒸気と一緒に上昇したところを冷却し液体に戻したのち、精油と水を分離して得ることが挙げられる。水及び/又は有機溶剤抽出物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、ローズマリーの葉や茎を乾燥・粉砕し、水、熱水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、アセトン等のケトン系溶剤、ベンゼン等の芳香族系溶剤あるいはこれらの混合溶剤等で抽出することが挙げられる。ローズマリー抽出物の飼料中への配合量は、精油を用いる場合には、飼料1kg当たり、0.2〜100mgとなるように配合することが望ましい。
【0013】
本発明において用いるカプシカム抽出物の原料は、ナス科(Solanaceae)カプシカム属(Capsicum)に分類される植物であり、例えば、トウガラシ(Capsicum annuum L.)、アヒ・アマリージョ(Capsicum baccatum)、ウルピカ(Capsicum cardenasii)、キダチトウガラシ(Capsicum frutescens L.)、ロコト(Capsicum pubescens Ruiz & Pav.)、シネンセ種(Capsicum chinense Jacq. Heser & Smith)が含有される。本発明において用いるカプシカム抽出物は、上記のカプシカム属植物の果実等を有機溶剤等で抽出したものである。抽出方法としては、特に限定されるものではないが、カプシカム属の果実等を乾燥・粉砕し、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、エチルエーテル等のエーテル系溶剤、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、アセトン等のケトン系溶剤、ベンゼン等の芳香族系溶剤、ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素系溶剤等あるいはこれらの混合溶剤等による抽出することが挙げられる。カプシカム抽出物の飼料中への配合量としては、飼料1kg当たり、0.2〜200mgとなるように配合することが望ましい。
【0014】
本発明において用いるカルバクロールは、別名、イソチモールとしても知られているものであり、天然物由来のものでも、工業的に合成されたものでも任意に使用することができる。天然物由来のカルバクロールとしては、各種シソ科の精油、特にオリガヌム油、あるいはヒメジツ油、ヒバ油由来の精油成分を使用することができる。カルバクロールの飼料中への配合量としては、飼料1kg当たり、0.2〜100mgとなるように配合することが望ましい。
【0015】
本発明の添加物においては、ローズマリー抽出物とカプシカム抽出物を組み合わせて肉用鶏に給餌することにより、上記抽出物を単独で給餌した場合より、鶏肉の酸化が顕著に抑制される。また、ローズマリー抽出物、カプシカム抽出物、カルバクロールを組み合わせることにより、前記2成分を組み合わせた場合よりも、鶏肉の酸化がさらに顕著に抑制される。したがって、本発明においては、上記抽出物及びハーブ精油成分を組み合わせて使用することが望ましい。本発明の添加物において、特に好ましい抽出物及びハーブ精油成分の組み合わせは以下のとおりである。
(1)ローズマリー抽出物、カプシカム抽出物
(2)ローズマリー抽出物、カルバクロール
(3)カプシカム抽出物、カルバクロール
(4)カプシカム抽出物、ローズマリー抽出物、カルバクロール
【0016】
本発明の添加剤は、そのまま肉用鶏に給餌することも可能であるが、添加剤中に含まれる香辛料を肉用鶏が効率よく摂取するために、飼料に添加して給餌することが望ましい。この場合、香辛料を配合する際のベースとなる飼料には特に限定はなく、肉用鶏の一般的な配合の飼料でよい。例えば、添加される上記のような香辛料の他に、この飼料には、トウモロコシ、マイロ、小麦、大麦、燕麦、ライ麦、玄米、そば、あわ、きび、ひえなどの穀類、米ぬか、トウモロコシぬか、トウモロコシ胚芽などの糟糠類、大豆油かす、きな粉、亜麻仁油かす、パーム核かす、ごま油かす、ひまわり油かす、なたね油かすなどの植物性油かす類、魚粉、フィッシュソリュブル、肉粉、肉骨粉、血粉、脱脂粉乳、カゼイン、乾燥ホエーなどの動物性飼料原料、大豆油、落花生油、やし油、パーム油、タロー、ラードなどの油脂等を含むことができる。なお、本発明では上記のように香辛料を与える以外の飼育条件については格別なものはなく、通常の方法で飼育すればよい。
【0017】
本発明の添加剤の肉用鶏への給餌は、肉用鶏の飼育開始時から出荷時までの期間にわたって継続して行うことが、肉質の鮮度を長時間にわたって良好に維持できる鶏肉を生産できる点から好ましい。しかしながら、肉用鶏を出荷する前の約3〜4週間以上の期間にわたって給餌しても、鮮度低下の少ない鶏肉を生産することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例・比較例においては、ローズマリー抽出物として高砂香料工業(株)社製のローズマリー精油10%吸着品を、カプシカム抽出物として高砂香料工業(株)社製のカプシカム抽出物10%吸着品を、カルバクロールとして高砂香料工業(株)社製のカルバクロール10%吸着品を使用した。
【0019】
[実施例1、比較例1]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例1)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例1)から得られるムネ肉とモモ肉のTBA値(チオバルビタール酸値)を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0020】
(飼料の配合)
下記表1に記載の配合比の基礎飼料(比較例1)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として0.6mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例1)を調製した。
【0021】
【表1】
【0022】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、比較例1の基礎飼料を21日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、実施例1の飼料を21日間不断給餌した。
【0023】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。
また、TBA値の測定は以下のとおり行った。すなわち、飼育終了日に解体を行い、ムネ肉とモモ肉を採取し、チルド条件下(5℃)で6日間保存した。保存後のムネ肉あるいはモモ肉5gにEDTA(エチレンジアミン4酢酸)・2Na0.15g、水50ml、15%BHA(ブチルヒドロキシアニソール)−エタノール溶液1.0mlを加えホモジネートを行った。そこに更に水50ml、4mol/L酢酸溶液2.5ml、塩化ナトリウム50g、消泡剤を加え水蒸気蒸留を行った。留液50mlから5ml分取し、TBA試薬(0.02mol/L TBA及び酢酸の混合液5ml)を加え100℃・30分間沸騰油浴中で加熱した。放冷後、遠心分離にてブタノール層を分離した。分離したブタノール層の532nmにおける吸光度を測定することによりTBA値を測定した。
【0024】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表2に、TBA値に関する測定結果を以下の表3、4に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
[実施例2、比較例2]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例2)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例2)から得られる腹腔内脂肪のAV(酸価)値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0029】
(飼料の配合)
下記表5に記載の配合比の基礎飼料(比較例2)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として0.8mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例2)を調製した。
【0030】
【表5】
【0031】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーオス13日齢)20羽に、比較例2の基礎飼料を22日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーオス13日齢)20羽に、実施例2の飼料を22日間不断給餌した。
【0032】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。
また、AV値の測定は以下のとおり行った。すなわち、飼育終了日に解体を行い、腹腔内脂肪を採取し、40℃、湿度75%の条件で3日間保存した。保存後の腹腔内脂肪20gから油脂10gを抽出した。その油脂3gを用い、ジエチルエーテル50ml(特級)とエタノール50ml(特級99.5%)を加え、ガラス棒にて撹拌し、油脂を溶解した。そこに指示薬2〜3滴添加(フェノールフタレン溶液)し、カラス棒にて軽く撹拌し、水酸化カリウム溶液を最点色(ピンク色が消えない)になるまで滴下し、滴下量からAV値を算出した。
【0033】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表6に、AV値に関する測定結果を以下の表7に示す。
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
[実施例3、比較例3]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例3)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例3)から得られる腹腔内脂肪のAV値とムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0037】
(飼料の配合)
下記表8に記載の配合比の基礎飼料(比較例3)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として1.32mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例3)を調製した。
【0038】
【表8】
【0039】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、比較例3の基礎飼料を21日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、実施例3の飼料を21日間不断給餌した。
【0040】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、実施例2、比較例2に記載のとおりに行い、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で10日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0041】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表9に示す。また、AV値に関する測定結果を以下の表10に、TBA値に関する測定結果を以下の表11に示す。
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
【表11】
【0045】
[実施例4、比較例4]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例4)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例4)から得られるムネ肉とモモ肉のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0046】
(飼料の配合)
下記表12に記載の配合比の基礎飼料(比較例4)にカプシカム抽出物10%吸着品をカプシカム抽出物100mg/kgとなるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料(実施例4)を調製した。
【0047】
【表12】
【0048】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、比較例4の基礎飼料を21日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス21日齢)20羽に、実施例4の飼料を21日間不断給餌した。
【0049】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、TBA値の測定は、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0050】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表13に示し、TBA値に関する測定結果を以下の表14、15に示す。
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】
[実施例5−1、実施例5−2、比較例5]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例5−1、実施例5−2)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例5)から得られる腹腔内脂肪のAV値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0055】
(飼料の配合)
下記表16に記載の配合比の基礎飼料(比較例5)にローズマリー精油10%吸着品をローズマリー精油として0.2mg/kg(実施例5−1)又は100mg/kg(実施例5−2)となるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
【0056】
【表16】
【0057】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)42羽を、14羽ずつ3群に分け、比較例5の基礎飼料、実施例5−1の飼料、あるいは実施例5−2の飼料を20日間不断給餌した。
【0058】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、40℃、湿度75%の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行った。
【0059】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表17に、AV値に関する測定結果を以下の表18に示す。
【0060】
【表17】
【0061】
【表18】
【0062】
[実施例6−1、実施例6−2、比較例6]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例6−1、実施例6−2)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例6)から得られる腹腔内脂肪のAV値とムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0063】
(飼料の配合)
下記表19に記載の配合比の基礎飼料(比較例6)にカプシカム抽出物10%吸着品をカプシカム抽出物0.2mg/kg(実施例6−1)又は200mg/kg(実施例6−2)となるように添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
【0064】
【表19】
【0065】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)42羽を、14羽ずつ3群に分け、比較例6の基礎飼料、実施例6−1の飼料、あるいは実施例6−2の飼料を20日間不断給餌した。
【0066】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、20℃の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行い、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で10日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0067】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表20に示す。また、AV値に関する測定結果を以下の表21に、TBA値に関する測定結果を以下の表22に示す。
【0068】
【表20】
【0069】
【表21】
【0070】
【表22】
【0071】
[実施例7−1、実施例7−2、実施例7−3、比較例7]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例7−1、実施例7−2、実施例7−3)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例7)から得られるムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0072】
(飼料の配合)
下記表23に記載の配合比の基礎飼料(比較例7)に、以下の濃度となるようにローズマリー精油10%吸着品及び/又はカプシカム抽出物10%吸着品を添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
実施例7−1:ローズマリー精油2.0mg/kg
実施例7−2:カプシカム抽出物2.0mg/kg
実施例7−3:ローズマリー精油2.0mg/kg、カプシカム抽出物2.0mg/kg
【0073】
【表23】
【0074】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーオス30日齢)40羽を、10羽ずつ4群に分け、比較例7の基礎飼料、あるいは実施例7−1〜7−3の飼料を21日間不断給餌した。
【0075】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で2日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0076】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表24に示す。また、TBA値に関する測定結果を以下の表25に示す。
【0077】
【表24】
【0078】
【表25】
【0079】
[実施例8−1、実施例8−2、実施例8−3、比較例8]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例8−1、実施例8−2、実施例8−3)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例8)から得られる腹腔内脂肪のAV値とムネ皮のTBA値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0080】
(飼料の配合)
下記表26に記載の配合比の基礎飼料(比較例8)に、以下の濃度となるようにローズマリー精油10%吸着品及び/又はカルバクロール10%吸着品を添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
実施例8−1:ローズマリー精油2.0mg/kg
実施例8−2:カルバクロール2.0mg/kg
実施例8−3:ローズマリー精油2.0mg/kg、カルバクロール2.0mg/kg
【0081】
【表26】
【0082】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーオス30日齢)40羽を、10羽ずつ4群に分け、比較例8の基礎飼料、あるいは実施例8−1〜8−3の飼料を21日間不断給餌した。
【0083】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、40℃、湿度75%の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行い、TBA値の測定は、サンプルとして、チルド条件下(5℃)で2日間保存後のムネ皮5gを使用したほかは、実施例1、比較例1に記載のとおりに行った。
【0084】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表27に示す。また、AV値に関する測定結果を以下の表28に、TBA値に関する測定結果を以下の表29に示す。
【0085】
【表27】
【0086】
【表28】
【0087】
【表29】
【0088】
[実施例9、比較例9]
本発明の添加剤を含む飼料を給餌して飼育した鶏(実施例9)と、通常の飼料を給餌して飼育した鶏(比較例9)から得られる腹腔内脂肪のAV値を測定することにより、本発明の添加剤が鶏肉中に含まれる脂肪の抗酸化性に与える影響を検討した。
【0089】
(飼料の配合)
下記表30に記載の配合比の基礎飼料(比較例9)に、以下の濃度となるようにローズマリー精油10%吸着品、カプシカム抽出物10%吸着品及びカルバクロール10%吸着品を添加し、本発明の添加剤を含む飼料を調製した。
実施例9:ローズマリー精油1.2mg/kg、カプシカム抽出物2.0mg/kg、カルバクロール2.0mg/kg
【0090】
【表30】
【0091】
(飼育条件)
肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)14羽に、比較例9の基礎飼料を20日間不断給餌すると共に、別の肉用鶏(チャンキーブロイラーメス25日齢)14羽に、実施例9の飼料を20日間不断給餌した。
【0092】
(試験方法)
発育状態を確認するために飼育前後に体重を測定した。また、AV値の測定は、腹腔内脂肪として、20℃の条件で10日間保存したものを使用したほかは、実施例2、比較例2に記載のとおりに行った。
【0093】
(試験結果)
発育成績に関する試験結果を以下の表31に、AV値に関する測定結果を以下の表32に示す。
【0094】
【表31】
【0095】
【表32】
【0096】
上記の分析結果から、本発明の添加剤は、肉用鶏の成長に悪影響を及ぼすことなく、前記肉用鶏から得られる食肉及びその加工肉の酸化の進行を抑制することができ、その結果、保存品質を改善できることが確認された。
特に、ローズマリー抽出物、カプシカム抽出物及びカルバクロールから選択される特定の3成分のうち2種または3種を組み合わせた添加剤を肉用鶏に給餌することにより、得られる食肉及びその加工肉の酸化の進行抑制の程度が飛躍的に増大することが明らかになった。