(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視画像出力手段は、前記拡大画像又は前記撮像画像からなる監視画像を、ネットワークを介して、外部のネットワーク端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
前記倍率設定手段は、前記動体の活動量に応じて、前記動体の活動量が大きいときには前記倍率が小さく、該活動量が小さいときには前記倍率が大きくなるよう、前記倍率を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の監視装置。
前記倍率設定手段は、前記動体が前記撮像画像内で停止したと判断して、前記撮像画像を拡大するための倍率を一旦設定すると、その後、前記表示装置の表示画面内で前記動体が所定の大きさに維持されるように、前記倍率を周期的に更新することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の監視装置。
前記動体の活動量に応じて、該活動量が大きいときには前記表示維持枠が小さくなり、該活動量が小さいときには前記表示維持枠が大きくなるよう、前記移動判定手段が前記動体の移動判定に用いる前記表示維持枠を設定する、表示維持枠設定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に記載の装置では、被写体の状況に合わせて自動ズームイン・アウトすることで、被写体を撮影することができるが、被写体の状況を検知するためのセンサが必要であるとか、複数台のカメラが必要であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の装置のように、監視用のカメラと追尾用のカメラとを用いて被写体を追尾させるには、教室など、特定の監視対象領域内に各カメラを据え置く必要があり、撮像システムを移動させることができないという問題もある。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、1台のカメラで監視対象領域を撮像し、その撮像画像から監視対象となる動体を自動で検知し、その動体にズームインすることのできる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の監視装置は、
監視対象領域全体の動画を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像された撮像画像の時間的変化から、当該撮像画像内を移動する動体を検出すると共に、該動体の前記撮像画像内での位置及び大きさを検出する動体検出手段と、
前記動体検出手段にて検出された動体が前記撮像画像内で停止すると、前記動体の前記撮像画像内での大きさに基づき、前記動体が表示装置の表示画面内で所定の大きさとなるように前記撮像画像を拡大するための倍率を設定する倍率設定手段と、
前記倍率設定手段にて設定された倍率に基づき、前記撮像画像を、前記動体の前記撮像画像内での停止位置を中心として拡大することで、前記動体を前記表示装置の表示画面に拡大表示するための拡大画像を生成する拡大画像生成手段と、
前記拡大画像生成手段にて前記拡大画像が生成されているときには、該拡大画像を前記監視対象領域の監視画像として出力し、前記拡大画像生成手段にて拡大画像が生成されていなければ、前記撮像手段による撮像画像を前記監視画像として出力する監視画像出力手段と、
前記拡大画像生成手段にて前記拡大画像が生成されているとき、前記表示画面内で前記動体が所定の表示維持枠を越えて移動したか否かを判断する移動判定手段と、
前記移動判定手段にて、前記動体が前記表示画面内で所定の表示維持枠を越えて移動したと判断されると、前記拡大画像生成手段による前記拡大画像の生成動作を停止させて、前記監視画像出力手段から前記撮像画像を前記監視画像として出力させる拡大画像出力停止手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の監視装置において、
前記監視画像出力手段は、前記拡大画像又は前記撮像画像からなる監視画像を、ネットワークを介して、外部のネットワーク端末に送信することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の監視装置において、
前記倍率設定手段は、前記動体の活動量に応じて、前記動体の活動量が大きいときには前記倍率が小さく、該活動量が小さいときには前記倍率が大きくなるよう、前記倍率を設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の監視装置において、
前記倍率設定手段は、前記動体が前記撮像画像内で停止したと判断して、前記撮像画像を拡大するための倍率を一旦設定すると、その後、前記表示装置の表示画面内で前記動体が所定の大きさに維持されるように、前記倍率を周期的に更新することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の監視装置において、
前記動体の活動量に応じて、該活動量が大きいときには前記表示維持枠が小さくなり、該活動量が小さいときには前記表示維持枠が大きくなるよう、前記移動判定手段が前記動体の移動判定に用いる前記表示維持枠を設定する、表示維持枠設定手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の監視装置において、
前記倍率設定手段は、
前記動体検出手段にて検出された動体が前記撮像画像内で停止すると、前記動体検出手段にて検出された前記動体の大きさと、前回前記拡大画像を生成させるために前記倍率を設定したときに用いた前記動体の大きさとを比較し、
前記動体検出手段にて検出された前記動体の大きさが、前回前記倍率を設定したときに用いた前記動体の大きさを含む所定範囲内にあれば、前記動体検出手段にて検出された前記動体の大きさに基づき前記倍率を設定し、
前記動体検出手段にて検出された前記動体の大きさが前記所定範囲内になければ、前回前記倍率を設定したときに用いた前記動体の大きさに基づき、前記倍率を設定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の監視装置によれば、動体検出手段が、撮像手段にて撮像された撮像画像の時間的変化から、当該撮像画像内を移動する動体を検出すると共に、その動体の撮像画像内での位置及び大きさを検出する。
【0015】
そして、この動体検出手段にて検出された動体が撮像画像内で停止すると、倍率設定手段が、その動体の撮像画像内での大きさに基づき、動体が表示装置の表示画面内で所定の大きさとなるように撮像画像を拡大するための倍率を設定する。
【0016】
すると、拡大画像生成手段が、その設定された倍率に基づき、撮像画像を、動体の撮像画像内での停止位置を中心として拡大することで、動体を表示装置の表示画面に拡大表示するための拡大画像を生成する。
【0017】
そして、この拡大画像生成手段にて拡大画像が生成されているときには、監視画像出力手段が、その生成された拡大画像を監視対象領域の監視画像として出力する。
また、拡大画像生成手段にて拡大画像が生成されていなければ、監視画像出力手段は、撮像手段による撮像画像を監視画像として出力する。
【0018】
また、拡大画像生成手段にて前記拡大画像が生成されているときには、移動判定手段が、表示画面内で動体が所定の表示維持枠を越えて移動したか否かを判断する。
そして、移動判定手段にて、動体が表示画面内で所定の表示維持枠を越えて移動したと判断されると、拡大画像出力停止手段が、拡大画像生成手段による拡大画像の生成動作を停止させて、監視画像出力手段から、撮像手段による撮像画像を、監視画像として出力させる。
【0019】
このように、請求項1に記載の監視装置によれば、撮像手段により撮像された撮像画像を処理することにより監視対象領域内の動体の動きを監視し、動体が停止した際には、その動体を拡大表示(ズームイン)できるように、外部に出力する監視画像を、通常の撮像画像から拡大画像に変更する。
【0020】
従って、請求項1に記載の監視装置によれば、被写体である動体の動きに合わせて、監視画像を自動でズームイン・アウトさせることができ、しかも、そのズームイン・アウトを、1台の撮像手段を用いて行うことができる。
【0021】
また、監視装置は、その撮像手段を構成する一台のカメラと、動体検出手段、倍率設定手段、拡大画像生成手段、監視画像出力手段、移動判定手段、及び、拡大画像出力停止手段としての画像処理を行う画像処理装置と、で構成できるので、簡単に持ち運びすることができ、所望の場所に簡単に設置することができる。
【0022】
ここで、監視画像出力手段は、監視画像に対応した信号を、信号線を介して外部装置に出力するようにしてもよいが、より好ましくは、請求項2に記載のように構成するとよい。
【0023】
すなわち、請求項2に記載の監視装置において、監視画像出力手段は、監視画像を、ネットワークを介して外部のネットワーク端末に送信する。
このため、監視装置の使用者は、どこにいても、ネットワーク端末を利用して、監視画像を確認することができるようになり、例えば、監視対象領域内に、動体としてペットがいれば、ペットの挙動を外出先で確認することが可能となる。
【0024】
次に、倍率設定手段は、動体が表示装置の表示画面内で所定の大きさとなるように、撮像画像を拡大する際の倍率を設定するが、その倍率の設定を、動体が常に一定の大きさになるように行うようにすると、動体が活発に動く場合に、監視画像が短時間で拡大画像から通常の監視画像に切り換えられることが考えられる。
【0025】
つまり、動体が活発に動く場合、動体が一旦停止して拡大画像を生成しても、その動体の倍率が大きければ、動体は表示画面内で表示維持枠の外に移動し易くなるので、監視画像は、短時間で通常の撮像画像に切り換えられることになる。
【0026】
一方、このような切換を防止するために、拡大画像生成時の撮像画像の倍率を小さくすると、監視画像として拡大画像を出力しても、使用者は、その拡大画像に基づく表示画面上で動体の状態(例えば、ペットの表情等)を詳細に確認することができなくなる、という問題が生じる。
【0027】
従って、監視対象となる動体が、例えば、ペットのように活動量が大きく変化するものである場合には、倍率設定手段は、請求項3に記載のように、動体の活動量が大きいときには倍率が小さく、活動量が小さいときには倍率が大きくなるように、倍率を設定するよう構成するとよい。
【0028】
つまり、このようにすれば、例えば、動体が動き回っていて、その活動量が大きい場合には、倍率を小さくすることで、監視画像が拡大画像に切り換えられてから、動体が表示画面内の表示維持枠を越えて監視画像が通常の撮像画像に戻されるまでの時間を長くすることができる。
【0029】
また、動体の活動量が小さい場合(例えば、ペットが眠りにつくような場合)には、動体が停止した際の拡大画像の倍率を大きくすることで、表示装置に拡大画像を表示させた際に動体を表示画面に大きく表示させて、使用者が動体の状態を監視し易くすることができる。
【0030】
また次に、倍率設定手段が設定した拡大画像の倍率は、動体が表示画面内の表示維持枠を越えるまでの間、一定の倍率に保持するようにしてもよいが、このようにすると、例えば、拡大画像生成中に動体が撮像手段に接近した際には、表示画面上で動体が大きくなり、逆に、動体が撮像手段から離れた際には、表示画面上で動体が小さくなる。
【0031】
このため、倍率設定手段は、請求項4に記載のように、動体が撮像画像内で停止したと判断して、撮像画像を拡大するための倍率を一旦設定すると、その後、表示装置の表示画面内で動体が所定の大きさに維持されるように、倍率を周期的に更新するよう構成してもよい。
【0032】
そして、このようにすれば、監視画像として拡大画像を出力することにより、外部の表示装置に、動体をほぼ一定の大きさで表示させることができるようになり、使用者は、その表示画面上で、動体の状態を良好に把握することができるようになる。
【0033】
次に、移動判定手段は、拡大画像生成手段にて拡大画像が生成されているときに、表示画面内で動体が所定の表示維持枠を越えて移動したか否かを判断するが、この判断に用いられる表示維持枠についても、拡大画像生成時の倍率と同様、動体の活動量に応じて設定するようにしてもよい。
【0034】
そして、このためには、請求項5に記載のように、表示維持枠設定手段を設け、表示維持枠設定手段が、動体の活動量に応じて、活動量が大きいときには表示維持枠が小さくなり、活動量が小さいときには表示維持枠が大きくなるよう、表示維持枠を設定するようにすればよい。
【0035】
つまり、このようにすれば、例えば、動体の活動量が大きく、動体が表示画面から外れやすい場合には、表示維持枠を小さくすることで、監視画像を通常の撮像画像により早く戻して、動体が表示画面に表示されなくなるのを防止することができる。
【0036】
また、動体の活動量が小さいとき(例えば、ペットが眠っているとき)には、表示維持枠を大きくすることで、動体の少しの動きで、監視画像が通常の撮像画像に戻されるのを抑制できる。
【0037】
次に、動体検出手段は、センサ等を用いず、撮像手段にて撮像画像された撮像画像の時間的変化から動体を検出するため、上記のように装置構成を簡単にすることはできるものの、例えば、ペットの尻尾等、監視すべき動体の一部が動いているときには、その一部が動体として検出されることがある。
【0038】
そして、この場合、動体検出手段は、その検出した動体の位置及び大きさを、撮像画像上で動きのある部分に基づき認識するので、撮像画像上でその動体が停止した際には、倍率設定手段は、本来監視すべき動体の一部を所定の大きさで表示するための倍率を設定することになる。
【0039】
そして、このように倍率が設定されると、拡大画像生成手段は、監視すべき動体の一部(例えば、ペットの尻尾)を拡大した拡大画像を生成することになり、この拡大画像では、動体を正常に監視することができなくなる。
【0040】
そこで、こうした問題を防止するには、倍率設定手段を、請求項6に記載のように構成するとよい。
つまり、請求項6に記載の監視装置において、倍率設定手段は、動体検出手段にて検出された動体が撮像画像内で停止すると、動体検出手段にて検出された動体の大きさと、前回拡大画像を生成させるために倍率を設定したときに用いた動体の大きさとを比較する。
【0041】
そして、動体検出手段にて検出された動体の大きさが、前回倍率を設定したときに用いた動体の大きさを含む所定範囲内にあれば、動体検出手段にて検出された動体の大きさに基づき倍率を設定し、動体検出手段にて検出された動体の大きさが所定範囲内になければ、前回倍率を設定したときに用いた動体の大きさに基づき、倍率を設定する。
【0042】
つまり、請求項6に記載の監視装置において、倍率設定手段は、撮像画像内で動体が停止した際、その動体の大きさが、前回倍率を設定したときの動体の大きさから大きく変化している際には、動体検出手段にて、本来監視すべき動体の一部が動体として検出されたと判断して、前回倍率を設定したときの動体の大きさに基づき、倍率を設定するのである。
【0043】
従って、請求項6に記載の監視装置によれば、動体検出手段にて、本来監視すべき動体の一部が動体として検出された際に、拡大画像生成手段にて、その動体の一部を拡大表示するための拡大画像が生成されるのを防止し、動体全体を良好に拡大表示させることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[実施形態]
本実施形態の監視装置10は、住宅等、建造物内の所望の部屋に設置されて、その部屋の住人が外出しているときに、その部屋で飼われているペットを被写体として監視するのに用いられるものである。
【0046】
図1に示すように、監視装置10には、棚や机の上に設置可能に形成された筐体内に、
図2に示す各種構成部品を収納することにより構成されており、筐体の前面には、焦電型赤外線センサ12、撮像手段としてのCMOSカメラ14、照度センサ16、及び、表示部18が設けられている。
【0047】
また、
図2に示すように、監視装置10には、上記各部に加えて、無線LANの親機に接続するための無線通信部(所謂、子機)20、通信線を介して建造物内に設置されたLANに接続するための有線通信部22、無線LAN接続用のスイッチや監視装置初期化用のスイッチ等からなる操作部24、メモリカード装着用のカードスロット26、監視装置10内の各部に電源供給を行う電源部28、及び、制御部30を備える。
【0048】
なお、電源部28は、充放電可能な電池を内蔵しており、外部のACアダプタから電源供給を受けて電池を充電するためのDCジャック29を備える。
次に、制御部30は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されており、上記各部が接続されている。
【0049】
そして、制御部30は、無線通信部20若しくは有線通信部22を介して外部のネットワーク端末から入力される各種指令に従い動作し、例えば、ペットの監視指令が入力されると、CMOSカメラ(以下、単にカメラという)14による撮像画像(動画)を処理し、監視指令を送信してきた外部のネットワーク端末に送信する。
【0050】
なお、外部のネットワーク端末(以下、外部端末という)としては、無線通信部20や有線通信部22を介して接続されるLAN(ローカルエリアネットワーク)に直接接続されたパソコン等の情報端末、LANがルータやISP(インターネットサービスプロバイダ)等を介して接続されるインターネット上の情報端末、インターネットに携帯電話回線等の無線通信網を介して接続される携帯電話やスマートホン等の携帯端末、等を挙げることができる。
【0051】
以下、この監視動作について説明する。
制御部30は、カメラ14による撮像画像を読み込み、
図3(a)に示すように、ペットである動体32が移動しているときには、その撮像画像を監視画像として、そのまま外部端末に送信する。
【0052】
また、
図3(b)に示すように、撮像画像内で動体32が停止すると、その動体32が表示画面の中心位置となり、しかも、動体32の大きさ(縦・横)が、表示画面の縦・横の1/2となるよう撮像画像を拡大(ズームイン)し、その拡大後の画像(拡大画像)を、監視画像として、外部端末へ送信する(
図3(c)参照)。
【0053】
この動作は、制御部30にて周期的に繰り返し実行される動体検知処理及び拡大表示処理にて実現される。
図4に示すように、動体検知処理では、S100(Sはステップを表す)にて、カメラ14から撮像画像を読み込み、S110にて、その撮像画像上で、動体32の周囲に生じるモーションベクトルから動体32(換言すればペット)を検知し、S120にて、動体32の周囲を囲む枠(動体周囲枠)34を生成する。
【0054】
一方、拡大表示処理では、まず、S200にて、動体検知処理にて生成された最新の動体周囲枠34を読み込み、続く210にて、その動体周囲枠34の変化から、動体32が停止したか否かを判断することにより、動体32が停止するのを待つ。
【0055】
そして、S210にて、動体32が停止したと判断されると、S220に移行して、動体検知処理で過去に検出された動体周囲枠サイズのnフレーム分(最新の動体周囲枠34を含む動体周囲枠n個分のサイズ、n:複数値)を読み込み、その平均サイズ(詳しくは平均動体周囲枠サイズ)を算出する。
【0056】
また、続くS220では、S200で読み込んだ最新の動体周囲枠34の周囲に、表示維持枠36を設定する。
この表示維持枠36は、動体周囲枠34の所定値倍に設定されるものであり、その倍率は、表示維持枠36が、動体32を拡大表示したときの表示画面の外枠(以下、拡大表示枠という)38よりも小さくなるように設定されている。
【0057】
次に、S240では、平均動体周囲枠サイズ(縦・横)が、拡大表示枠38の縦・横、1/2の大きさとなるよう、撮像画像をリサイズし、S250にて、そのリサイズした画像における動体32の中心が、表示画面中心となるよう、撮像画像中の表示領域(つまり、拡大表示枠38)を設定する。
【0058】
そして、S260では、その設定した拡大表示枠38内の画像データを、外部端末での動体32の拡大表示用の画像データとして出力することで、拡大表示を開始する。
なお、S260の処理後は、カメラ14からの撮像画像の内、S250にて設定された拡大表示枠38内の画像データ(つまり拡大画像)が、監視画像として外部端末に継続的に出力されることになる。このため、外部端末側では、動体32であるペットにズームインした拡大画像(動画)を楽しむことができる。
【0059】
また、S260による監視画像の拡大画像への切り換えは、S210にて動体32が停止したと判定されてから、所定時間(例えば、1秒間)経過した後に実施され、所定時間が経過する間に動体32が動いた場合には、S200に移行する。
【0060】
次に、S260にて、拡大表示を開始した後は、S270に移行し、動体検知処理にて生成された動体周囲枠34を読み込む。そして、続くS280では、その読み込んだ動体周囲枠34が、S230にて設定した表示維持枠36の外に出たか否かを判断する。
【0061】
S280にて、動体周囲枠34は表示維持枠36の外に出ていないと判断されると、再度S270に移行し、S280にて、動体周囲枠34は表示維持枠36の外に出たと判断されると、動体32が大きく移動したと判断して、S290に移行し、拡大表示を終了する。
【0062】
なお、拡大表示の終了は、外部端末へ送信する監視画像を、拡大画像から、カメラ14による撮像画像に切り換えることにより行われ、外部端末側では、表示画面が、ペットからズームアウトした通常の監視画像に変化することになる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の監視装置10によれば、動体検知処理にて、撮像画像のモーションベクトルから動体32を検知し、撮像画像上で動体32の周囲を囲む動体周囲枠34を生成することで、動体32の位置及び大きさを表す情報を生成する。
【0064】
そして、拡大表示処理では、その動体周囲枠34の変化に基づき動体32が停止したか否かを判定し、動体32が停止していれば、その動体周囲枠34が表示画面内で所定の大きさ(つまり、表示画面の縦・横、1/2)となり、しかも、動体32が表示画面の中心位置となる拡大表示用の画像(拡大画像)を生成して、外部端末に出力する。
【0065】
このため、本実施形態の監視装置10によれば、動体32の動きに合わせて、監視画像を自動でズームイン・アウトさせることができ、しかも、そのズームイン・アウトを、1台のカメラ14を用いて行うことができる。
【0066】
また、外部端末に送信する監視画像は、カメラ14と、カメラ14による撮像画像を処理する制御部(マイコン)30とで生成することができ、動体32であるペットが移動したことを検出するためのセンサ等を別途設ける必要がないので、装置構成を簡単にすることができる。また、装置構成が簡単になるので、監視装置10の持ち運びや、所望場所への設置も容易に行うことができる。
【0067】
なお、本実施形態において、カメラ14は、本発明の撮像手段に相当し、無線通信部20及び有線通信部22は、本発明の監視画像出力手段に相当し、制御部30は、本発明の、動体検出手段、倍率設定手段、拡大画像生成手段、移動判定手段、及び拡大画像出力停止手段に相当する。
【0068】
また、制御部30において、動体検出手段としての機能は、
図4に示す動体検知処理にて実現され、倍率設定手段及び拡大画像生成手段としての機能は、
図4に示すS210〜S260の処理にて実現され、移動判定手段としての機能は、
図4に示すS270,S280の処理にて実現され、拡大画像出力停止手段としての機能は、
図4に示すS290の処理にて実現される。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
そこで、次に、本発明の実施形態の他の例として、上記実施形態に対する4つの変形例について説明する。
【0070】
なお、以下に説明する変形例1は本願請求項3に対応し、変形例2は本願請求項4に対応し、変形例3は本願請求項5に対応し、変形例4は本願請求項6に対応する。
(変形例1)
「被写体の活動量に合わせた倍率の調整」
上記実施形態では、動体32を拡大表示する際の撮像画像の倍率は、表示画面に対し動体32が縦・横1/2の大きさとなるように設定するものとして説明したが、動体32が活発に動く場合、その倍率が大きすぎると、監視画像の拡大画像から撮像画像への切換間隔が短くなり、使用者は、表示画面上で動体2を監視し難くなってしまう。
【0071】
またこのような問題を防止するために、拡大画像生成時の撮像画像の倍率を小さくすると、監視画像として拡大画像を出力しても、使用者は、その拡大画像に基づく表示画面上で、動体の状態(ペットの表情等)を詳細に把握することができなくなる。
【0072】
このため、動体32を拡大表示する際の倍率は、被写体の活動量に応じて設定するようにしてもよい。
つまり、被写体が活発に動く場合には、
図5(a)に例示するように、動体周囲枠34が拡大表示枠38の縦・横1/3(面積比1/9)となるように倍率を設定し、被写体があまり動かない場合は、
図5(b)に例示するように、動体周囲枠34が拡大表示枠38の縦・横2/3(面積比4/9)となるように倍率を設定するのである。
【0073】
そして、このようにするには、制御部30において、
図4に示すS240の処理を実行する際、
図6に示す倍率設定処理を併せて実行するようにすればよい。
つまり、倍率設定処理では、動体周囲枠34の中心座標を取得し(S300)、その中心座標の変化から、動体32の活動量Xを算出し(S310)、その活動量Xが標準範囲内であれば(S320−YES)、倍率を標準値(面積比1/4)に設定する(S330)。
【0074】
また、活動量Xが標準範囲よりも小さい場合には(S340−YES)、倍率を最大値(面積比4/9)に設定し(S350)、活動量Xが標準範囲よりも大きい場合(S340−NO)には、倍率を最小値(面積比1/9)に設定する(S360)。
【0075】
そして、このようにすれば、動体32の活動量が大きい場合には、倍率を小さくすることで、監視画像が拡大画像に切り換えられてから、動体32が表示維持枠36を越えて監視画像が通常の撮像画像に戻されるまでの時間を長くすることができる。
【0076】
また、動体32の活動量が小さい場合には、倍率を大きくすることで、動体32を外部端末に大きく表示させて、使用者が動体32の状態を監視し易くすることができる。
(変形例2)
「拡大表示後に表示維持枠内で被写体が動いた場合の倍率の調整」
次に、拡大表示のための倍率は、動体32が表示画面内で表示維持枠36を越えるまでの間、一定の倍率に保持するようにしてもよいが、このようにすると、拡大画像表示中に動体32がカメラ14に接近すると、表示画面上で動体32が大きくなる。
【0077】
つまり、この場合、外部端末の表示画面上では、
図7(a)、(b)に示すように、動体32が、拡大画像生成直後の標準サイズから、表示維持枠36に近い拡大サイズに変化する。
【0078】
また、逆に、動体32がカメラ14から離れた際には、表示画面上で動体32が小さくなり、使用者は、動体32を監視し難くなる。
このため、上述したS260にて拡大画像の出力を開始した後は、
図7(c)に示すように、外部端末の表示画面内で動体32が略一定の大きさで表示されるよう、拡大画像生成用の倍率を、周期的に更新するようにしてもよい。
【0079】
そして、このためには、制御部30において、S260の処理にて拡大表示を開始した後は、
図8に示す倍率更新処理を実行することで、拡大画像生成時の撮像画像の倍率を更新するようにすればよい。
【0080】
すなわち、この倍率更新処理は、動体32の拡大表示中に周期的に実行される処理であり、S400にて、動体32が動いたか否かを判断し、動体32が動いていれば、S410〜490の処理を実行する。
【0081】
そして、S410では、拡大表示中に動体検知処理にて生成された直近nフレームの動体周囲枠34のサイズを求め、S420にて、各フレーム間での動体周囲枠サイズの変化量は、全て閾値以下であるか否かを判断する。
【0082】
S420にて、各フレーム間での動体周囲枠サイズの変化量が全て閾値以下であると判断された際には、動体32の大きさは急激に変化していないものと判断して、S430に移行し、第1設定時間(1s)待機した後、S440に移行する。
【0083】
また、S420にて、各フレーム間での動体周囲枠サイズの変化量の少なくとも一つがしきい値を越えていれば、動体32の大きさが急激に変化しているものと判断して、S435に移行し、第1設定時間(0.5s)待機した後、S440に移行する。
【0084】
S440では、動体検知処理で得られた最新の動体周囲枠34の横方向のピクセル数aを取得し、S450では、同じく最新の動体周囲枠34の横方向のピクセル数bを取得する。
【0085】
そして、続くS460では、拡大画像内に表示すべき動体周囲枠34の基準サイズである基準動体サイズZ(予め設定された所定値、例えば、表示画面の縦・横1/2)を読み込み、S470に移行する。
【0086】
また、S470では、上記各パラメータa,b,Zに基づき、調整倍率d(d=(a/b)・Z)を算出し、S480にて、調整倍率dで撮像画像をリサイズする。
そして、最後に、S490にて、そのリサイズした撮像画像における被写体(動体32)の中心が、表示画面中心となるよう、撮像画像中の表示領域を設定する。
【0087】
この結果、外部端末で、被写体である動体32が拡大表示されているときには、動体32が表示画面の中央に略同じ大きさで表示されることになる。
(変形例3)
「被写体の活動量に合わせた表示維持枠の調整」
上記実施形態では、動体32の拡大表示中に、外部端末に送信する監視画像を拡大画像から通常の撮像画像に戻すか否かを判定するのに用いる表示維持枠36は、動体周囲枠34の所定値倍に設定するものとして説明したが、この表示維持枠36についても、拡大画像生成時の倍率と同様、動体32の活動量に応じて設定するようにしてもよい。
【0088】
つまり、動体32が活発に動く場合には、
図9(a)に示すように表示維持枠36を縮小し、動体32があまり動かない場合(夜間、或いは、動体32が高齢である場合等)には、
図9(b)に示すように表示維持枠36を拡大するのである。
【0089】
また、このように表示維持枠36の大きさの変更は、使用者が手動で行うようにしてもよく、制御部30が自動で行うようにしてもよい。
そして、制御部30にて、表示維持枠36の大きさを自動で変更するようにするには、制御部30において、S230の処理を実行する際、
図10に示す表示維持枠設定処理を実行するようにすればよい。
【0090】
すなわち、この表示維持枠設定処理では、S500にて、動体検知処理にて過去複数回生成された動体周囲枠34の中心座標を取得し、S510にて、その取得した複数の中心座標の時系列変化から、動体32の活動量Xを算出する。
【0091】
そして、続くS520では、その算出した活動量Xが標準範囲内であるか否かを判定し、活動量Xが標準範囲内であれば、S530にて、表示維持枠36の動体周囲枠34に対する倍率を標準値に設定する。
【0092】
また、S520にて、活動量Xが標準範囲内ではないと判断されると、S540に移行して、活動量Xは、標準範囲よりも小さいか否かを判断し、活動量Xが標準範囲よりも小さい場合には、S550に移行して、表示維持枠36の動体周囲枠34に対する倍率を所定の拡大値に設定する。
【0093】
また、S540にて、活動量Xは、標準範囲以上であると判断された場合(つまり、活動量Xは標準範囲よりも大きい場合)には、S560に移行して、表示維持枠36の動体周囲枠34に対する倍率を所定の縮小値に設定する。
【0094】
そして、この変形例3によれば、動体32の活動量Xが大きく、動体32が表示画面から外れやすい場合には、表示維持枠36を小さくすることで、監視画像を通常の撮像画像により早く戻して、動体が表示画面に表示されなくなるのを防止することができる。
【0095】
また、動体32の活動量Xが小さいとき(例えば、ペットが眠っているとき)には、表示維持枠36を大きくすることで、動体32の少しの動きで、監視画像が通常の撮像画像に戻されるのを抑制できる。
(変形例4)
「被写体の一部が動いた場合に、その一部を被写体全体と誤検知しないための機能」
次に、上記実施形態では、
図11(a)に示すように、動体32の拡大表示中に、動体32の一部(例えば、ペットの尻尾)が動くと、その一部を動体32′として誤検出してしまうことが考えられる。
【0096】
そして、この場合、誤検知した動体32′が停止した際に、その動体32′に対し動体周囲枠34′を設定して、動体32′を拡大表示してしまうことが考えられる。
そこで、こうした問題を防止するには、拡大表示処理を、
図12若しくは
図13に示す手順で実行するようにしてもよい。
【0097】
すなわち、
図12に示す拡大表示処理では、S210にて、動体周囲枠34の変化から動体32が停止したことを検知すると、S212にて、動体周囲枠34のサイズを取得し、RAM等のメモリに記憶する。
【0098】
そして、続くS214では、S212にて取得した動体周囲枠34のサイズは、前回S212で記憶した動体周囲枠34のサイズを基準として、所定範囲内(例えば、0.3倍〜1.7倍の範囲内)にあるか否かを判断し、所定範囲内にあれば、そのままS230に移行し、所定範囲内になければ(つまり動体周囲枠34のサイズが急に変化していれば)、S218にて、動体周囲枠34のサイズに前回値を設定して、S230に移行する。
【0099】
そして、S230では、現在設定されている動体周囲枠34のサイズに基づき、動体周囲枠34の周囲に表示維持枠36を設定し、その後は、S240以降の処理を上記実施形態と同様に実行する。
【0100】
このようにすれば、動体周囲枠34のサイズが急に変化した際には、動体周囲枠34を変更することなく、今までの動体32がそのまま拡大表示されることになり、動体32の一部が動体32′として誤検知されて、拡大表示されるのを防止できる。
【0101】
なお、
図13に示す拡大表示処理は、
図12におけるS214の処理に代えて、S216を実行するようにした点が異なる。
つまり、S216では、動体周囲枠34のサイズが、前回値よりも小さいか否かを判断し、動体周囲枠34のサイズが前回値以上であれば、そのままS230に移行し、動体周囲枠34のサイズが、前回値よりも小さい場合には、S218にて、動体周囲枠34のサイズに前回値を設定した後、S230に移行する。
【0102】
そして、このようにしても、動体32の一部が動体32′として誤検知されて、拡大表示されるのを防止することができる。