(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066720
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】収穫鎌、収穫用ホルダー、およびそれらを利用する収穫方法
(51)【国際特許分類】
A01D 45/00 20060101AFI20170116BHJP
A01D 1/02 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
A01D45/00 Z
A01D1/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-286345(P2012-286345)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-128199(P2014-128199A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年12月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日刊「山形新聞」第45681号 平成24年8月28日(火曜日)朝刊 第18面「地域」欄に掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】312010869
【氏名又は名称】高橋 與彰
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】高 橋 與 彰
【審査官】
木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭36−012420(JP,Y1)
【文献】
実公昭04−008883(JP,Y1)
【文献】
実公昭37−010509(JP,Y1)
【文献】
実公昭47−041069(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3152313(JP,U)
【文献】
特開平02−065723(JP,A)
【文献】
特開昭62−014711(JP,A)
【文献】
米国特許第04497113(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/00−46/30
A01D 1/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎌使用時に地面がわとなる刀身裏面、および天空がわとになる刀身表面の中、該刀身表面がわの方に、その刃元付近から切っ先付近に掛けての峰がわに寄った位置で、同表面に対して所定角度で交叉する面内に納まり、且つその表面との間に所定の保持間隔を確保可能な形状・寸法として形成したホルダー枠を突設し、これを装着した鎌で茎系植物を、刈り取った瞬間に、穂先がわの重みによって倒れようとするモーメント力を利用し、茎系植物の根元寄りを、該刀身表面とホルダー枠との間に掛止状に保持可能としてなるものとしたことを特徴とする収穫鎌。
【請求項2】
鎌刀身表面に対する、ホルダー枠の納まる面の所定角度が、60°ないし120°とするよう設定してなるものとした、請求項1記載の収穫鎌。
【請求項3】
ホルダー枠を突設する峰がわに寄った位置が、鎌刀身の刃先を支点にして茎系植物の茎部の保持が可能であり、切り取った茎を掬い込む操作に支障がない位置とするよう設定してなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の収穫鎌。
【請求項4】
ホルダー枠が、装着対象鎌の刀身刃元から切っ先に掛けた全長中、中途適所の1箇所かまたは複数箇所かの何れかに、該刀身表面との保持間隔を狭めた挟持枠部を設けてなるホルダー枠を組み込み可能としてなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の収穫鎌。
【請求項5】
ホルダー枠が、装着対象鎌の刀身刃元から切っ先に掛けた全長中、中途適所の1箇所かまたは複数箇所かの何れかに、該刀身表面との保持間隔を拡大してなるキャッチ枠部を設けてなる、請求項1ないし4何れか一項記載の収穫鎌。
【請求項6】
鎌刀身に、作業者が立ち姿勢にて地上の植物を刈り取り収穫可能な程度に長尺な柄を一体化してなる、請求項1ないし5何れか一項記載の収穫鎌。
【請求項7】
鎌の刀身刃元付近適所に固定可能な固定機構を設け、該固定機構を介して、鎌使用時に地面に面する刀身裏面、および、空に向かう刀身表面の中、該刀身表面がわ刃元付近適所に固定した場合に、刀身表面の刃元付近から切っ先付近に掛けて、刃先にて刈り取った茎系植物を、瞬時に保持可能とするよう、該刀身表面との間に保持間隔を確保可能な形状・寸法としたホルダー枠を組み込み可能としてなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の収穫鎌に利用する収穫用ホルダー。
【請求項8】
地上に立ち姿勢となり、鎌の柄を把持した作業者が、鎌刀身の刃先を、地上に立ち生えた茎系植物の根元付近適所に対応させて掬うよう刈り取り、刈り取った瞬間に穂先がわの重みによって倒れ込もうとするモーメント力を利用し、茎系植物の根元付近を、自動的に鎌刀身表面とホルダー枠との間に掛止状に引っ掛けた後、立ち姿勢のままの作業者が、茎系植物を保持した鎌刀身・ホルダー枠を手元に引き上げて、茎系植物の掛止を外し収穫するようにしてなる、請求項1ないし6何れか一項記載の収穫鎌、または、請求項7記載の収穫用ホルダーの何れか一方を利用する収穫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茎系植物などの収穫技術に関連するものであり、特に、作業者が立ったままの姿勢で、地上の茎系植物類を効率的に収穫可能とする農機具や園芸用品、アウトドア用品などを製造、販売する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
立茎栽培したアスパラガスなどの茎系農作物を収穫する作業は、地上に生長した茎の根元付近に、アスパラガス収穫用鎌の刃先を対応させて、1本1本丁寧に刈り取るようにして収穫するため、しゃがみ込み、腰を屈めた姿勢を長時間に渡って続けなければならないため、足腰に大きな負担が掛かる上、屈み込んだ際には、アスパラガスの葉が目に入るなどと非常に煩わしく、また、刈り取る際にも、アスパラガスが地上に倒れないよう茎部を掴みながら刈り取らなければならないといった具合に、労働負担が大きい割に収穫作業の効率を高めるのが難しいという課題があった。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、鎌刀身に通常よりも長い柄を取付け、作業者が立ち姿勢のまま農作物を刈り取り可能としたものや、特許文献1(2)ないし1(5)に見られるように、立ち姿勢の作業者が刈り取った茎系植物を挟持可能としたもの、あるいは、特許文献1(6)に示されているもののように、立ち姿勢の作業者が操作し、電動モータによって駆動する回転カッターが刈り取った茎系植物を、所定の収納筒部内に収容可能としてなるものなど、幾つかが散見される。
【0004】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているような長い柄の先に鎌刀身を取り付けるようにしたものは、刈り取った農作物が地上に落下、設置してしまうため、農作物を傷めたり、汚したりしてしまう虞があり、特に、アスパラガスの収穫には利用できないという欠点があり、また、特許文献1(2)ないし1(5)のように、刈り取った農作物を掻き込み状に保持したり、挟み込んで保持したりするようなものは、何れも複雑な把持機構が不可欠なものとなって部品点数および重量の増加が避けられず、レバー操作によって茎系植物を切断した後、その収穫植物を保持し続けるには、レバーの握持閉鎖を維持したままにする必要があり、収穫植物を取り外すときに、レバーの握持を解いて解放しなければならないものとなっていることから、作業者にかなりの負担を強いるものとなってしまう虞があり、何よりも複雑な構造故に価格の高騰を招いてしまうという課題を残すものであり、そして、最後の特許文献1(6)に示されているものについても、電動モータ駆動による回転カッターなどによって重量が嵩むものとなる上、電力供給のための電源コードの取り回しやバッテリーの搭載・交換が不可欠となってしまうなど、広大な圃場の収穫作業に利用する場合などには、必ずしも作業者の負担を軽減できるものとはならないという致命的な問題を抱えていた。
【特許文献1】(1)特開平11−220916号公報 (2)特開2004−73135号公報 (3)特開2012−105623号公報 (4)実開平5−29332号公報 (5)実開平7−30631号公報 (6)特開2004−147558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種の茎系植物用などの収穫用器具類は、何れも収穫作業の際に、作業者が、しゃがんだり、屈み込んだりする必要を無くし、立ち姿勢のままで収穫作業を行えるものとしているが、鎌などによって刈り取ったり、鋏を使って切断したりした収穫作物を、地面に落下させずに収穫するよう掻き込み保持したり、把持したり、収納室に収容したりするといった保持または収納機構を組み込んでなるものなどは、特に、その動作機構が複雑化してしまって製造コストを高騰させ、部品点数の増加によって耐久強度が低下してメンテナンスコストを増加させてしまう上に、重量が嵩み運搬・移動の作業負担を増加してしまうという課題が残るものであり、こうした状況に憂慮した本願出願人は、永年に渡り農業に携わってきた経験から、こうした労働負担や、経費負担を軽減することができるようにと、軽量且つ簡素な構造でありながら、刈り取った茎系植物を地上に落下させることなく確実に保持し、特別な操作を必要とせずとも保持した茎系植物を簡単に取り外して収穫篭に移すことができるようにする新たな収穫用器具類の実用化が不可欠であるとの考えに至った。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、簡素な構造からなり、軽量で片手にて容易に保持することができ、片手による操作性に秀れる上、容易且つ確実に刈り取った茎系植物を保持し、しかも保持した茎系植物を簡単に取り外して収穫することができる新たな収穫器具技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の収穫鎌、それに利用する新規な構造の収穫用ホルダー、およびそれらを利用する新規な収穫方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の収穫鎌は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、鎌使用時に地面がわとなる刀身裏面、および天空がわとになる刀身表面の中、該刀身表面がわの方に、その刃元付近から切っ先付近に掛けての峰がわに寄った位置で、同表面に対して所定角度で交叉する面内に納まり、且つその表面との間に所定の保持間隔を確保可能な形状・寸法として形成したホルダー枠を突設してなるものとした構成を要旨とする収穫鎌である。
【0008】
この基本的な構成からなる収穫鎌は、その表現を変えて示すならば、鎌使用時に地面がわとなる刀身裏面、および、天空がわとになる刀身表面の中、該刀身表面がわの方に、その刃元付近から切っ先付近に掛けての峰がわに寄った位置で、同表面に対して所定角度で交叉する面内に納まり、且つその表面との間に所定の保持間隔を確保可能な形状・寸法として形成したホルダー枠を突設し、これを装着した鎌にて茎系植物を、刈り取った瞬間に、穂先がわの重みによって倒れようとするモーメント力を利用し、茎系植物の根元寄りを、該刀身表面とホルダー枠との間に掛止状に保持可能としてなるものとした構成からなる収穫鎌となる。
【0009】
(関連する発明1)
上記した収穫鎌に関連し、この発明には、それを利用した収穫用ホルダーも包含している。
即ち、鎌の刀身刃元付近適所に固定可能な固定機構を設け、該固定機構を介して、鎌使用時に地面に面する刀身裏面、および、空に向かう刀身表面の中、該刀身表面がわ刃元付近適所に固定した場合に、刀身表面の刃元付近から切っ先付近に掛けて、刃先にて刈り取った茎系植物を、瞬時に保持可能とするよう、該刀身表面との間に保持間隔を確保可能な形状・寸法としたホルダー枠を組み込み可能としてなるものとしたこの発明の基本をなす収穫鎌に利用する収穫用ホルダーである。
【0010】
(関連する発明2)
上記した収穫鎌およびそれに利用する収穫用ホルダーに関連し、この発明には、それらを利用した収穫方法も包含している。
即ち、地上に立ち姿勢となり、鎌の柄を把持した作業者が、鎌刀身の刃先を、地上に立ち生えた茎系植物の根元付近適所に対応させて掬うよう刈り取り、刈り取った瞬間に穂先がわの重みにて倒れ込もうとするモーメント力を利用し、茎系植物の根元付近を、自動的に鎌刀身表面とホルダー枠との間に掛止状に保持させた後、立ち姿勢のままの作業者が、茎系植物を保持した鎌刀身・ホルダー枠を手元に引き寄せ、茎系植物の掛止を外して収穫するようにしてなる、この発明の基本をなす収穫鎌、または、収穫用ホルダーの何れか一方を利用する収穫方法である。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、この発明の収穫鎌によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、部品点数が少なくシンプル且つ軽量な上、耐久性に秀れており、前述したような従前までの複雑な把持機構を有し、部品点数および重量が嵩み、操作が複雑な収穫機器類に比較して、構造を大幅に簡素化し、格段に軽量化して一般的な鎌と略同等の重量に抑えることができ、特別な挟持操作など一切不要とし、格段に操作性の秀れたものとすることができ、この発明の収穫方法に利用し、アスパラガスやワラビ、ゼンマイなどの茎系植物としての農作物や山菜などを収穫しようとする作業者が、地上に立ったままの姿勢や、野山を歩行しながらなどと、様々な態勢にて該収穫鎌を容易に操作し、その刀身刃先によって茎系植物の根元付近を掬うように切断した瞬間に、ホルダー枠が収穫鎌刀身との間に確保した保持間隔に、傾斜姿勢となった茎系植物の根元付近を落とし込むように滑り込ませた上、同ホルダー枠の一方にて上がわから抑え込むよう掛止すると共に、同ホルダー枠のこれとは反対がわの他方にて同根元付近よりも僅かに穂先寄りの部分を下がわから支えるように引っ掛けて、該茎系植物が倒れ込もうとするモーメント力を利用し、茎系植物の横転や落下を阻止するよう自動的に掛止するものとなり、作業者は、収穫鎌を把持する手とは反対がわの手に、茎系植物を保持した収穫鎌刀身を引き寄せて該茎系植物の穂先寄りの適所を掴み、当該モーメント力を打ち消す方向に引き起こすよう掛止を解いて取り外し、収穫篭などに収め、再び、地上の茎系植物を刈り取るという作業を、楽な姿勢のまま連続的に繰り返すことができるようになり、しゃがんだり、屈み込んだりする必要を殆ど無くし、収穫作業の労働負担を大幅に改善して作業効率を格段に高めることができるという秀れた特徴が得られるものとなる。
【0012】
加えて、鎌刀身表面に対して、ホルダー枠の納まる面の所定角度が、60°ないし120°、最適には90°前後とするよう設定してなるものとすることにより、収穫鎌刀身にて掬うように刈り取った直後の茎系植物を、一段と確実に掛止することができるものとなり、さらに、ホルダー枠を突設する峰がわに寄った位置が、鎌刀身の刃先を支点にして茎系植物の茎部の保持が可能であり、切り取った茎を掬い込む操作に支障がない位置とするよう設定してなるものとすることにより、ホルダー枠が、鎌刀身刃先による茎系植物茎部切断操作を阻害してしまうのを防止すると共に、鎌刀身刃先にて切断した茎系植物の根元付近が、ホルダー枠と収穫鎌刀身との間に確保した保持間隔に、直接的に転がり込むよう、格段に効率的に収穫することができるものとすることができる。
【0013】
この発明の収穫鎌は、そのホルダー枠を装着対象鎌の刀身刃元から切っ先に掛けた全長中、中途適所の1箇所かまたは複数箇所かの何れかに、該刀身表面との保持間隔を狭めた挟持枠部を設けてなるものや、および/または、装着対象鎌の刀身刃元から切っ先に掛けた全長中、中途適所の1箇所かまたは複数箇所かの何れかに、該刀身表面との保持間隔を拡大してなるキャッチ枠部を設けてなるものとすることにより、鎌刀身の全長寸法に関わらず、収穫対象茎系植物のサイズに適したホルダー枠形状・寸法を実現化することができ、一段と茎系植物の掛止機能性を高め、刈り取り掛止した茎系植物の横転や落下を、より確実に防止し、しかも取り外し易さを損ねることがないという、全く新しい効果を奏するものとなり、さらに、鎌刀身に、作業者が立ち姿勢にて地上の植物を刈り取り収穫可能な程度に長尺な柄を一体化してなるものとすることによって、作業者が、膝を曲げたり、腰を屈めたりすることなく、立ったままの姿勢にて格段に効率的に収穫作業を行うことができるという、非常に特徴的な効果が得られものとなる。
【0014】
また、この発明の収穫用ホルダーによれば、鎌の刀身刃元付近適所に設けた固定機構を介して、その刀身に一体化するよう、簡単に組み込むことが可能となり、その構造は、部品点数が少なくシンプル且つ軽量な上、耐久性に秀れており、一般に市販されている鎌にも簡単に着脱できるものとすることができ、組み込んだ収穫鎌の操作性を悪化させることなく、長時間に亘る収穫作業も軽快に継続できるものとすることができるという、秀れた特徴を発揮するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
収穫鎌は、作業者が地上の植物を掬うように刈り取って効率的に収穫可能なものとする機能を担い、片手で簡単に刈り取り操作可能な程度に軽量なものとしなければならず、充分に長尺な柄を鎌刀身に一体化してなるものとするのが望ましく、柄は、例えば、木製、竹製、金属パイプ製、合成樹脂製、炭素繊維強化樹脂製、ガラス繊維強化樹脂製のものなどとすることができる外、後述する実施例にも示すように、ゴルフクラブのヘッド部分を切除したシャフトを柄に利用したものとすることができ、刀身には、一般的な各種鎌用のものを利用可能であり、例えば、鋸刃や、アスパラガス収穫用の刃形状のものなどとすることができる。
【0016】
ホルダー枠は、鎌の刀身刃先にて地上根元付近を切断した茎系植物が、地面に倒れたり、落下したりしないよう、鎌刀身表面と同ホルダー枠との間に掛止状に保持可能とする機能を分担し、鎌使用時に地面がわとなる刀身裏面、および、天空がわとになる刀身表面の中、該刀身表面がわの方に、その刃元付近から切っ先付近に掛けての峰がわに寄った位置で、同表面に対して所定角度で交叉する面内に納まり、且つその表面との間に所定の保持間隔を確保可能な形状・寸法として形成してなるものとしなければならず、鎌刀身表面に対する、ホルダー枠の納まる面の所定角度が60°ないし120°、最適には90°前後とするよう設定すべきであり、所定角度が60°ないし120°の角度範囲を超えて設置するようにした場合には、刈り取った茎系植物を確実に掛止できなくなる可能性が高まり、所定角度を90°前後としたものは、刈り取った茎系植物を確実に掛止する可能性を格段に高めることができる。
【0017】
また、ホルダー枠を突設する峰がわに寄った位置が、鎌刀身の刃先を支点にして茎系植物の茎部の保持が可能であり、切り取った茎を掬い込む操作に支障がない位置とするよう設定してなるものとすべきであり、さらにまた、装着対象鎌の刀身刃元から切っ先に掛けた全長中、中途適所の1箇所か、または複数箇所かの何れかに、該刀身表面との保持間隔を狭めた挟持枠部を設けてなるものとしたり、装着対象鎌の刀身刃元から切っ先に掛けた全長中、中途適所の1箇所か、または複数箇所かの何れかに、該刀身表面との保持間隔を拡大するようにしたキャッチ枠部を設けてなるものとしたりすることができ、より具体的には、ホルダー枠が、棒状、パイプ状、帯状、板状、網状、またはそれらの組み合わせからなる素材製などとすることが可能であり、金属製、合成樹脂製、天然ゴム製、木製、竹製、それらの組み合わせ、または、それらに置き換え可能な素材製のものとすることが可能であり、表面に茎系植物の掛止力を高めるような凹凸形状や鈎状、起毛状、枝状、節状、それらの組み合わせ、またはその他形状などの摩擦形状や、発泡樹脂、軟質樹脂、天然ゴム、布、紐、糸、不織布、フェルト、それらの組み合わせ、または、それらに置き換え可能な摩擦素材などを設けたものとすることができ、後述する実施例に示すように、針金を折り曲げ加工したものとするのが良く、特に、適度な摩擦係数をもつ合成樹脂皮膜によって覆われた銅線やアルミニウム線などの絶縁電線であって、より線ではなく、柱形細棒状の1本の金属線を合成樹脂被膜にて被覆してなる電線を所望の形状に折り曲げ加工してなるものとすることができる。
【0018】
収穫用ホルダーの固定機構は、鎌の刀身刃元付近適所にホルダー枠を刀身表面の刃元付近から切っ先付近に掛けて対峙するよう配置・固定可能とする機能を担い、鎌の刀身適所にホルダー枠を適宜姿勢に確りと固定可能なものとし、収穫作業の邪魔にならぬよう、刀身切っ先がわには取付け金具やボルト・ナットなどの大きな部品を装着せず、そうした大きな部品を設ける場合には、刀身刃元から切っ先間の中央付近から刃元付近の適所の範囲内に配するものとするのが良く、鎌の刀身刃元付近に、直接的に固定するか、ホルダー枠が刀身表面の刃元付近から切っ先付近に掛けて配するよう柄の適所に固定するかの、何れか一方とすることができる外、鎌の刀身刃元付近、および柄適所の双方に固定可能なものとすることができ、予めホルダー枠を鎌の刀身刃元付近に熔接などによって一体化するようにしたものや、柄の適所にホルダー枠の基端自体を貫通したり、巻着したり、嵌着するなどして固定可能としたり、ネジや口金などを介して固定したりしたものとすることができ、後述する実施例に取り上げてあるように、鎌の刀身刃元適所に貫通した取付け孔、および、該取付け孔に対して装着可能、且つ、ホルダー枠の基端を締付け固定可能なボルト・ナットからなるものとし、該取付け孔は、刀身の焼き入れ処理前に穿設しておくのが望ましいと言える。
しかし、刀身の焼き入れ処理後に、取付け孔を穿孔加工する場合には、刃先に熱的影響を及ぼして軟化させてしまわぬよう配慮して穿設加工を行う必要があり、焼き入れ処理後の刀身に対して、無加工にて取り付けする場合には、鎌の刀身刃元適所か、または鎌の柄先端付近適所かの少なくとも何れか一方に装着可能すると共に、適所にホルダー枠の基端を一体化し、且つ、適所に取付け孔を貫通した取付け金具、および、該取付け孔に装着して同取付け金具を、鎌の刀身刃元適所か、または鎌の柄先端付近適所かの少なくとも何れか一方に固定可能なボルト・ナットからなるものとすることができる。
【0019】
茎系植物は、茎を立てて生長させ、収穫用の鎌やハサミなどを利用して収穫することができる農作物や山菜などを示し、より具体的には、例えば、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイ、セロリ、青ズイキ(ハスイモ)、ふき、ウド、ネギなどの茎菜類や葉茎類などと言うことができる。
【0020】
この発明の収穫鎌(および収穫用ホルダー)を利用した収穫方法は、地上に立ち姿勢となった作業者が、鎌の柄を把持し、鎌刀身の刃先を、地上に立ち生えた茎系植物の根元付近適所に対応させて掬い上げるように刈り取り、刈り取った瞬間に穂先がわの重みにて倒れ込もうとするモーメント力を利用し、茎系植物の根元付近を、自動的に鎌刀身表面とホルダー枠との間に掛止状に保持させた後、立ち姿勢のままの作業者が、茎系植物を保持した鎌刀身・ホルダー枠を手元に引き寄せて、茎系植物の掛止を外すよう引き上げて収穫するようにしてなるものとするのが良いが、農作業用の椅子や車輪付きの椅子などに着座し、その着座姿勢において操作し易い長の柄を設けた、この発明の収穫鎌を用いて茎系植物を刈り取り、鎌刀身表面とホルダー枠との間に掛止状に保持させた茎系植物を取り外して収穫するようにしてなるものなども、勿論採用可能であることは、言うまでもない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面は、この発明の収穫鎌、収穫用ホルダー、およびそれらを利用する収穫方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】収穫用ホルダーを装着した収穫鎌用刀身表面がわを示す斜視図である。
【
図2】収穫用ホルダーを装着した収穫鎌用刀身裏面がわを示す斜視図である。
【
図3】収穫用ホルダーを装着した収穫鎌用刀身を示す平面図である。
【
図5】収穫用ホルダーの分解状態を示す斜視図である。
【
図6】この発明の収穫鎌による刈り取り作業を示す斜視図である。
【
図7】刈り取った茎系植物を掛止する収穫鎌を示す斜視図である。
【
図9】一部に変更を加えた収穫用ホルダーの分解状態を示す斜視図である。
【
図10】一部に変更を加えた収穫用ホルダーの装着状態を示す斜視図である。
【
図11】ホルダー枠の一変形例を示す平面図である。
【
図12】ホルダー枠の他の変形例を示す平面図である。
【
図13】ホルダー枠のさらに他の変形例を示す平面図である。
【実施例1】
【0022】
図1ないし
図8に示してある事例は、鎌1使用時に地面がわとなる刀身2裏面20、および、天空がわとになる刀身2表面21の中、該刀身2表面21がわの方に、その刃元22付近から切っ先24付近に掛けての峰26がわに寄った位置で、同表面21に対して所定角度αで交叉する面内に納まり、且つその表面21との間に所定の保持間隔51を確保可能な形状・寸法として形成したホルダー枠5を突設してなるものとした、この発明の収穫鎌における代表的な一実施例を示すものである。
【0023】
図7および
図8に示すように、収穫鎌1は、その刀身2表面21に対する、ホルダー枠5の納まる面の所定角度αを90°前後に設定したものとするが、所定角度αは、刀身2の身幅(刃幅)や茎系植物6茎部60の大きさなどの条件に応じて、60°(
図8中の所定角度α1)ないし120°(
図8中の所定角度α2)の範囲にて適宜設定することが可能であり、しかもホルダー枠5を突設する峰26がわに寄った位置が、刀身2の刃先25を支点にして切断した茎系植物6茎部60の保持が可能であり、切り取った茎60を掬い込む操作に支障がない位置とするよう設定してなるものとしてある。
【0024】
ホルダー枠5は、収穫鎌1の刀身2刃元22から切っ先25に掛けた全長中、中途適所の1箇所かまたは複数箇所かの何れかに、該刀身2表面21との保持間隔51を、茎系植物6茎部60の直径よりも狭めた挟持枠部52を設けると共に、同刀身2刃元22から切っ先25に掛けた全長中、該挟持枠部52を挟む、刃元22がわと切っ先25がわとの夫々に1箇所ずつ合計2箇所に、該刀身2表面21との保持間隔51を、茎系植物6茎部60の掛止に適した大きさに拡大してなるキャッチ枠部53,53を設けたものとし、
図8に示すように、各キャッチ枠部53,53は、何れも、ホルダー枠5の納まる面の所定角度α(α1〜α2)の設定変化に伴い変化する、最大保持間隔51の距離LないしL1が、何れも茎系植物6茎部60の直径を上回り、容易に収容して引っ掛けることができるよう寸法設定したものとし、さらにまた、
図4および
図7に示すように、当該収穫鎌1刀身2には、作業者が立ち姿勢にて地上の植物を刈り取り収穫可能な程度に長尺な柄10を一体化したものとしてある。
【0025】
この発明の収穫鎌1は、刀身2を鍛造加工する段階にてホルダー枠5を一体化したものや、刀身2の焼き入れなどの熱処理の前後に熔接などによって一体化してなるものとすることなどが可能である外、
図1ないし
図8からも明確に把握できるとおり、一般的な収穫鎌1に、この発明の収穫用ホルダー3を組み込んでなるものとすることができる。
【0026】
同
図1ないし
図8に示すように、この発明の収穫用ホルダー3は、アスパラ切り用の刃渡り10cm前後とした鋸刃を有してなる鎌1の刀身2刃元22付近に固定可能な固定機構4を設け、該固定機構4を介して、鎌1使用時に地面に面する刀身2裏面20、および、空に向かう刀身2表面21の中、該刀身2表面21がわ刃元22付近のあご23近傍に固定した場合に、刀身2表面21の刃元22付近から切っ先24付近に掛けて、刃先25にて刈り取った茎系植物6を、瞬時に保持可能とするよう、該刀身2表面21との間に保持間隔51を確保可能な形状・寸法としたホルダー枠5を組み込み可能としてなるものとすることができる。
【0027】
同
図1ないし
図8に示しているように、固定機構4は、鎌1の刀身2刃元22適所に貫通した直径約4mmの取付け孔40、および、該取付け孔40に対して装着可能で、且つ、ホルダー枠5の基端50を締付け固定可能な呼び径3.5mmのボルト・ナット(41,42)およびワッシャー43からなるものとし、ホルダー枠5は、外径3.5の合成樹脂被膜を有する細棒状の銅線からなり、装着対象鎌1の刀身2刃元22から切っ先24に掛けた全長中、中途適所の1箇所に、該刀身2表面21との保持間隔51を狭めた挟持枠部52を設けると共に、該装着対象鎌1の刀身2刃元22から切っ先24に掛けた全長中、該挟持枠部52の前後に隣接配置状となる2箇所夫々に、該刀身2表面21との保持間隔51を拡大してなるキャッチ枠部53,53を設けるよう折曲加工し、その基端50を呼び径3.5mmのボルト41の軸部に巻き付け状に組み込み可能とするよう環状に折曲加工してなるものとし、さらに、先端54を、該刀身2切っ先24近傍の表面21に対して略垂直に当接するように組み合わせ可能なものとして、刃元22寄りに配するキャッチ枠部53の最大保持間隔51(
図8中のL1)を約21mm、切っ先24寄りに配するキャッチ枠部53の最大保持間隔51(
図8中のL1)を約24mmに夫々設定したものとしてある。
【0028】
同
図1ないし
図8に示している、この発明の収穫鎌1は、その柄10が長さ50cmから120cmとするのが良く、ゴルフクラブのパターからヘッド部分を切除したシャフト部分10先端11に、アスパラ切り用の刃渡り10cm前後の鋸刃を有する刀身2を適宜角度にて装着し、強固に一体化してなるものとし、該鎌1の刀身2表面21がわから、刃元22付近の取付け孔40に、ボルト41を装着すると共に、ホルダー枠5基端50の環状折曲部分を共締めするよう組合せた上、同刀身2裏面20がわ(取付け孔40)に露出させた該ボルト41先端に、ワッシャー43およびナット42を装着して締付け固定し、刀身2表面21の刃元22付近から切っ先24付近に掛けて、刀身2表面21との間に保持間隔51を確保するよう配した挟持枠部52およびキャッチ枠部53,53を設けるよう、この発明の収穫用ホルダー3(ホルダー枠5)を装着してなるものである。
【0029】
図9および
図10に示すとおり、この発明の収穫鎌1およびそれに利用する収穫用ホルダー3は、固定機構4が、鎌1の刀身2に取付け孔40を穿設せず、10mm幅前後の帯状金属板を、鎌1刀身2刃元22に対応する刃先25がわから、裏面20および表面21がわに跨り、峰26の外がわまで延伸するよう、二股に折り曲げた取付け金具44を有し、該取付け金具44の刃元22の外がわ配置となる両端に、同心上直径約4mmの取付け孔40,40を穿設し、鎌1刀身2表面21がわ配置となる取付け孔40近傍箇所に、ホルダー枠5の基端50を熔接によって一体化し、各取付け孔40,40には、呼び径3.5mmのボルト・ナット(41,42)およびワッシャー43を組み込み可能としてなるものとし、
図10に示してあるように、鎌1刀身2刃元22付近の適所に、取付け金具44を介して着脱可能に組み込み、この発明の収穫鎌1とすることができる。
【0030】
この発明の収穫鎌1およびそれに利用する収穫用ホルダー3は、
図11に示してあるとおり、ホルダー枠5が、装着対象鎌1の刀身2刃元22から切っ先24に掛けた全長中の、中央1箇所に挟持枠部52を設け、該挟持枠部52を境にして、刀身2刃元22がわと切っ先24がわとの双方に、互いに対象形状となる2個のキャッチ枠部53,53を設けるよう折曲加工してなるものとすることができる外、
図12のように、ホルダー枠5が挟持枠部52を持たず、1個のキャッチ枠部53のみを設けたものとすることが可能であり、また、
図13に示すように、2個以上の挟持枠部52,52,……、および、それら挟持枠部52,52,……を挟み隣接する3個以上のキャッチ枠部53,53,……を設けたものとすることが可能である。
【0031】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の収穫鎌1、およびそれに利用する収穫用ホルダー3を使用すれば、以下のように、この発明の収穫方法を実施し、茎系植物6であるアスパラガス6を、作業者が立ち姿勢のまま簡単且つ効率的に収穫可能となる。
【0032】
図6ないし
図8に示すように、この発明の収穫鎌1の柄10を把持した作業者(図示せず)が地上に立ち姿勢となり、鎌1刀身2の刃先25を、地上に立ち生えたアスパラガス(茎系植物)6の根元62付近適所に対応させ、同
図6中の白抜き矢印に示すよう、掬い上げるようにして刈り取ると、その瞬間にアスパラガス6の穂先61がわが、その重みによって刃先25を支点にして倒れ込もうとするが、当該ホルダー枠5(収穫用ホルダー3)が阻止し、鎌1刀身2表面21上に乗って峰26がわに転がり落ちようとするアスパラガス6の根元62付近を、自動的に鎌1刀身2表面21とホルダー枠5との間に設けた保持間隔51の中の、挟持枠部52にて仕切られた2個のキャッチ枠部53,53の何れか、切断刃先25範囲に対応近接した一方に誘導し、
図7に示してあるとおり、その一方のキャッチ枠部53、挟持枠部52および鎌1刀身2表面21の間に、例えば、倒れ込み傾斜姿勢となったアスパラガス6の根元62付近をキャッチ枠部53に、同アスパラガス6の根元62付近よりも僅かに穂先61寄りとなる中途適所を、挟持枠部52に、夫々同アスパラガス6の倒れ込みの際のモーメント力Fを利用して掛止状に引っ掛け、鎌1刀身2表面21との間に脱落しないよう自動的に保持させるようにした後で、立ち姿勢のままの作業者が、アスパラガス6を保持した鎌1刀身2(収穫用ホルダー3)を手元に引き寄せて引っ掛け状に保持させたアスパラガス6を、引き上げるよう外して簡単に収穫することが可能となる。
【0033】
図9および
図10に示すように、収穫用ホルダー3の固定機構4に取付け金具44を設け、該取付け金具44に対してホルダー枠5を一体化してなるものは、鎌1刀身2に無加工にて組み込むことが可能となり、市販されている鎌や、使用中の鎌などに誰でも簡単に取り付けることができるから、収穫用ホルダー3のみを単独の商品として販売することができる上、刀身2や刃先25などの形状・寸法の異なる各種の鎌1に、夫々使用時のみ装着し、当該収穫用ホルダー3が不要な場合には、簡単に取り外して別の鎌に付け変えて利用することができるものとなり、格段に経済的な利用が可能となり、ホルダー枠5などの部品が老朽化したり破損したりした場合にも、鎌1ごと廃棄する必要がなく、破損部品だけを新たな部品に交換するだけで永く利用することができ、極めて経済的なものとすることができる。
【0034】
図12に示しているように、挟持枠部52をもたず、1個のキャッチ枠部53のみを有する収穫用ホルダー3を組み込んでなるようにした収穫鎌1は、鎌1刀身2表面21と1個のキャッチ枠部53との間に設けた保持間隔51内に、刈り取って傾斜状となったアスパラガス6を掛止可能なものとし、また、
図13に示すもののように、2個以上の挟持枠部52,52,……、および、それら挟持枠部52,52,……を挟み隣接する3個以上のキャッチ枠部53,53,……を設けた収穫用ホルダー3を組み込んでなる収穫鎌1は、各挟持枠部52,52,……、キャッチ枠部53,53,……および鎌1刀身2表面21の、何れか切断刃先25範囲に対応近接した1箇所のキャッチ枠部53に、刈り取って傾斜状となったアスパラガス6を自動的に誘導し、この1箇所のキャッチ枠部53、その両がわに隣接する一対の挟持枠部52,52、および鎌1刀身2表面21の間に、同アスパラガス6の根元62付近、およびそれよりも僅かに穂先61寄りとなる中途適所を掛止して自動的に保持可能なものとすることができる。
【0035】
(結 び)
叙述の如く、この発明の収穫鎌、収穫用ホルダー、およびそれらを利用する収穫方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの収穫機器技術に比較して大幅に部品点数を削減して耐久性を高め、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、稼働部品がないために殆どメンテナンスが不要となる上、持ち運びや収穫作業中の作業者への労働負担を最小限度に留め、長時間の収穫作業を軽快に実施することができるものとなるから、従前までは、作業者自らが圃場や山野に屈み込み、手作業で収穫しなければならないか、または、複雑な挟持機構などが組み込まれ、そのために高価で重量の嵩んでしまった収穫機器を移動させながら収穫作業を行うかの何れかの選択しかなく、何れも多大な労力を要するものとなってしまっていた農家は固よりのこと、こうした農家に農業用機器類を提供する農機具業界やホームセンターにおいて、さらには、家庭農園や山菜採りを楽しむ一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0036】
1 収穫鎌(鎌)
10 同 柄
11 同 先端
2 刀身
20 同 裏面
21 同 表面
22 同 刃元
23 同 あご
24 同 切っ先
25 同 刃先
26 同 峰
3 収穫用ホルダー
4 固定機構
40 同 取付け孔
41 同 ボルト
42 同 ナット
43 同 ワッシャー
44 同 取付け金具
5 ホルダー枠
50 同 基端
51 同 保持間隔
L 同 最大保持間隔距離
L1 同 最大保持間隔距離
52 同 挟持枠部
53 同 キャッチ枠部
54 同 先端
α 所定角度90°
α1 同 所定角度60°
α2 同 所定角度120°
6 アスパラガス(茎系植物)
60 同 茎部
61 同 穂先
62 同 根元
F モーメント力