(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、第1の留め部材の壁面に平行な第1の連結軸線の回りに回動可能に両留め部材のいずれか一方に連結される第1の連結部材と、
第1の連結軸線と直交する第2の連結軸線の回りに回動可能に第1の連結部材に連結される第2の連結部材と、を備える請求項1〜8のいずれかに記載の留め具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載の留め具は、シート状物に穴を開けることなく表示物をシート状物に対して着脱可能に留めることができる点で、有効である。しかし、両特許文献に記載の留め具においても、以下に記載する問題点が依然として残されている。
【0006】
一般に、名札などの表示物を留める留め具は、学生服または作業服の上着などに装着される。活動中に、上着が他人により引っ張られたり、または上着が固定物に引っ掛かったりしたときに、上着を引き延ばす方向に大きな力が上着に急激に加わることがある。この場合に、特許文献1に記載の留め具においては、突出部を覆う上着の布地が引き延ばされる。布地が引き延ばされる方向とバネの作用方向とがほぼ同じ方向であるとき、外筒および内筒は、両開口部が重なり合う位置までバネの弾性力に抗して移動し、突出部が両開口部から抜け落ちる恐れがある。留め具を上着に装着し易くすることを考慮すると、バネの弾性力を大きくすることが制限されることから、特許文献1に記載の留め具においては、名札などの表示物が上着から脱落することを低減することは困難である。
【0007】
特許文献2に記載の留め具において、ストッパを覆う上着の布地が引き延ばされたとき、基部および嵌入部は、両保持手の間隔が広くなる方向に布地から力を受ける場合がある。両保持手の間隔が広くなることは、スライド部の係止爪と溝の爪受けとの係合により防止される。この係止爪と爪受けとの係合状態は、両保持手の間隔が広くなる方向と直交する方向に作用するスライド部の弾性力により保持される。特許文献2に記載の留め具は、スライド部の弾性力が、両保持手の間隔が広くなる方向と直交する方向に作用する構成であるので、特許文献1に記載の留め具に比べ、名札などの表示物が上着から脱落することを低減するのに効果的である。
【0008】
しかし、特許文献2に記載の留め具においても、留め具を上着に装着し易くすることを考慮すると、スライド部の弾性力を大きくすることが制限されることから、上着の布地に大きな引っ張り力が加わったときには、係止爪が爪受けから外れ、両保持手の間隔が広くなることがあり、名札などの表示物が上着から脱落することを確実に低減することは困難である。
【0009】
そこで、本発明は、シート状物が引っ張られたときでも、シート状物から脱落することを確実に低減することができる留め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1の発明態様およびその具体的態様)
請求項1に記載の第1の発明態様は、壁面を有し、その壁面に開口が形成された第1の留め部材と、第1の留め部材と組み合わされて所定の内部空間を形成する第2の留め部材と、両留め部材を互いに係止するために両留め部材にそれぞれ設けられた係止部および被係止部と、を備え、第1の留め部材の壁面に平行な所定方向における開口の第1の寸法が、第1の留め部材の壁面に平行で所定方向と直交する方向における開口の第2の寸法より大きい形状に、開口が形成され、所定方向において第1の寸法より小さく、かつ直交する方向において第2の寸法より大きい形状の保持部材が、布地などのシート状物により覆われた状態で開口から第1の留め部材内に挿入可能であり、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、シート状物により覆われた状態の保持部材が、所定の内部空間に保持される。
【0011】
本発明態様では、第1の留め部材と第2の留め部材とは、別個の部材によりそれぞれ構成されても、一部分が連結されて構成されてもよい。
【0012】
本発明態様では、係止部および被係止部は、両留め部材を互いに係止するための係止力を、第1の留め部材の壁面に垂直な方向に作用させる構成でも、その壁面に平行な方向に作用させる構成でもよい。
【0013】
本発明態様では、開口の形状は、第1の寸法が第2の寸法より大きければ、いかなる形状でもよい。たとえば、曲線のみで構成される形状でも、直線のみで形成される形状でも、曲線および直線で構成される形状でもよい。また、開口の形状は、所定方向に平行な基準線に関して対称な形状でも、非対称な形状でもよい。
【0014】
本発明態様では、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、シート状物により覆われた状態の保持部材が、所定の内部空間に保持される構成であれば、いかなる構成でもよい。たとえば、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときには、シート状物により覆われた状態の保持部材を、開口から第1の留め部材内に挿入することができない構成でも、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときでも、シート状物により覆われた状態の保持部材を、開口から第1の留め部材内に挿入することができる構成でもよい。
【0015】
請求項2に記載の具体的態様では、両留め部材が、第1の留め部材の壁面に平行な回動軸線の回りに互いに回動可能に連結される。
【0016】
本具体的態様では、係止部および被係止部により両留め部材が係止される箇所は、両留め部材の連結部分と反対側に位置する箇所でも、その連結部分と反対側に位置する箇所ではないが、連結部分から離れた複数の箇所でもよい。
【0017】
請求項3に記載の具体的態様では、所定方向が、両留め部材の回動軸線と交差する方向である。
【0018】
本具体的態様では、所定方向が、両留め部材の回動軸線に平行な方向でなく、その回動軸線と交差する方向であれば、回動軸線と交差する角度はいかなる角度でもよい。好ましくは、所定方向は両留め部材の回動軸線と直交する方向である。
【0019】
請求項4に記載の具体的態様では、両留め部材は、回動軸線に平行に直線状に延びる縁部をそれぞれ有し、両留め部材の両縁部が回動可能に連結される。
【0020】
本具体的態様では、両留め部材が連結される両縁部以外の縁部の形状は、曲線の形状でも、直線の形状でもよい。
【0021】
請求項5に記載の具体的態様では、係止部および被係止部が、両留め部材の連結部分と反対側の部分にそれぞれ設けられる。
【0022】
請求項6に記載の具体的態様では、円形の保持部材を備え、開口が、所定方向において保持部材の直径より大きく、直交する方向において保持部材の直径より小さい長円形状を有する。
【0023】
本具体的態様では、開口の長円形状について、所定方向に延びる開口の縁部の形状が曲線の形状でも、直線の形状でもよい。
【0024】
請求項7に記載の具体的態様では、両留め部材のいずれか一方に設けられ、所定の内部空間内における保持部材の位置を規制する規制部を備える。
【0025】
本具体的態様では、規制部は、保持部材が所定の内部空間内の領域に位置するように保持部材を規制する構成であれば、規制部の配置位置は限定されない。たとえば、規制部が、第1の留め部材の開口の周囲に複数配置される構成でも、その開口の一方の側のみに1つ配置される構成でもよい。
【0026】
請求項8に記載の具体的態様では、規制部が、第2の留め部材に複数形成され、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、複数の規制部が第1の留め部材の壁面に向かって延びる。
【0027】
請求項9に記載の具体的態様では、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、第1の留め部材の壁面に平行な第1の連結軸線の回りに回動可能に両留め部材のいずれか一方に連結される第1の連結部材と、第1の連結軸線と直交する第2の連結軸線の回りに回動可能に第1の連結部材に連結される第2の連結部材と、を備える。
【0028】
(第2の発明態様およびその具体的態様)
請求項10に記載の第2の発明態様は、所定の壁面を有し、その壁面に開口が形成された第1の留め部材と、第1の留め部材と組み合わされて所定の内部空間を形成する第2の留め部材と、両留め部材を互いに係止するために両留め部材にそれぞれ設けられた係止部および被係止部と、所定の内部空間に収容可能な保持部材と、を備え、第1の留め部材の壁面に平行な所定方向における開口の第1の寸法が、第1の留め部材の壁面に平行で所定方向と直交する方向における開口の第2の寸法より大きい形状に、開口が形成され、所定方向において第1の寸法より小さく、かつ直交する方向において第2の寸法より大きい形状に、保持部材が形成され、布地などのシート状物により覆われた状態の保持部材が、開口から第1の留め部材内に挿入可能であり、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに所定の内部空間に保持される。
【0029】
本発明態様でも、第1の発明態様と同様に、各構成要素を種々の形態で具現してもよい。また、保持部材は、所定方向において第1の寸法より小さく、かつ直交する方向において第2の寸法より大きい形状であれば、その形状は限定されない。たとえば、保持部材の形状は、円形でも、楕円形でも、矩形でも、多角形でもよい。
【0030】
請求項11に記載の具体的態様では、保持部材が、円形に形成され、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、保持部材の全体を、開口から所定の内部空間に挿入することができないように、開口の第2の寸法と、第1の留め部材の壁面に垂直な方向における所定の内部空間の寸法とが設定される。
【0031】
本具体的態様では、両留め部材が係止されたときに、保持部材の全体を、開口から所定の内部空間に挿入することができないように留め具を構成するために、開口の第2の寸法と、第1の留め部材の壁面に垂直な方向における所定の内部空間の寸法とが少なくとも設定される必要があるが、他の寸法を加えて設定することでもよい。たとえば、複数の規制部を備える構成では、各規制部と開口との間の距離を加えて設定してもよい。
【発明の効果】
【0032】
(第1の発明態様およびその具体的態様の効果)
請求項1に記載の発明態様では、所定方向における開口の第1の寸法が、第1の留め部材の壁面に平行で所定方向と直交する方向における開口の第2の寸法より大きい形状に、開口が形成される。所定方向において第1の寸法より小さく、かつ直交する方向において第2の寸法より大きい形状の保持部材が、布地などのシート状物により覆われた状態で開口から第1の留め部材内に挿入可能である。係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、シート状物により覆われた状態の保持部材が、所定の内部空間に保持される。この結果、所定の形状の開口が第1の留め部材の壁面に設けられることから、シート状物を引っ張ったときでも、開口の形状が変化することはなく、保持部材を所定の内部空間に確実に保持することができる。従って、留め部がシート状物から脱落することを確実に低減することができる。
【0033】
請求項2に記載の具体的態様では、両留め部材が、回動軸線の回りに互いに回動可能に連結される。この結果、ユーザは、少なくとも一方の留め部材を回動させる操作で、両留め部材の開閉を容易に行うことができ、留め具をシート状物に留めることが容易になる。
【0034】
請求項3に記載の具体的態様では、所定方向が、両留め部材の回動軸線と交差する方向である。両留め部材が係止され、シート状物により覆われた状態の保持部材が所定の内部空間に保持されたときに、第1の留め部材の壁面は、係止部および被係止部による係止力に対する反力をシート状物から受け、開口の形成領域周辺において湾曲して変形する。この変形を生じさせる応力は、所定方向と直交する方向における壁面の断面に作用する。この結果、所定方向が回動軸線に平行な方向である場合と比べ、応力が作用する断面の面積を大きくすることができ、両留め部材を係止するための係止力を大きくすることができる。
【0035】
請求項4に記載の具体的態様では、両留め部材は、回動軸線に平行に直線状に延びる縁部をそれぞれ有し、両留め部材の両縁部が回動可能に連結される。この結果、両留め部材の連結部分の長さを大きくすることができ、両留め部材を係止するための係止力を大きくすることができる。
【0036】
請求項5に記載の具体的態様では、係止部および被係止部が、両留め部材の連結部分と反対側の部分にそれぞれ設けられる。この結果、連結部分から最も離れた反対側の部分を係止することにより、両留め部材の全体を確実に係止することができる。
【0037】
請求項6に記載の具体的態様では、開口が、所定方向において保持部材の直径より大きく、直交する方向において保持部材の直径より小さい長円形状を有する。この結果、第1の留め部材の壁面が、係止部および被係止部による係止力に対する反力をシート状物から受けたときに、開口の周縁において応力集中が生ずることはなく、壁面の劣化を防止することができる。
【0038】
請求項7に記載の具体的態様では、規制部が、両留め部材のいずれか一方に設けられ、所定の内部空間内における保持部材の位置を規制する。この結果、シート状物が引っ張られたときでも、保持部材を開口に対して一定の位置に保持することができる。
【0039】
請求項8に記載の具体的態様では、複数の規制部が、第2の留め部材に形成され、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、複数の規制部が第1の留め部材の壁面に向かって延びる。この結果、各規制部の延出部分は、保持部材を包むシート状物に接触して保持部材の位置を規制する。また、各規制部の延出部分は、シート状物に接触したときに変形することができることから、厚いシート状物でも傷つけることがない。
【0040】
請求項9に記載の具体的態様では、第1の連結部材が、第1の留め部材の壁面に平行な第1の連結軸線の回りに回動可能に両留め部材のいずれか一方に連結される。第2の連結部材が、第1の連結軸線と直交する第2の連結軸線の回りに回動可能に第1の連結部材に連結される。この結果、第2の連結部材は、第1および第2の連結軸線の回りに回動することができることから、第2の連結部材に取り付けられた名札などの品物の取り付け姿勢を容易に変更することができる。
【0041】
(第2の発明態様およびその具体的態様の効果)
請求項10に記載の第2の発明態様では、所定方向における開口の第1の寸法が、第1の留め部材の壁面に平行で所定方向と直交する方向における開口の第2の寸法より大きい形状に、開口が形成される。保持部材が、所定方向において第1の寸法より小さく、かつ直交する方向において第2の寸法より大きい形状に、形成される。布地などのシート状物により覆われた状態の保持部材が、開口から第1の留め部材内に挿入可能である。係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに所定の内部空間に保持される。この結果、所定の形状の開口が第1の留め部材の壁面に設けられることから、シート状物を引っ張ったときでも、開口の形状が変化することはなく、保持部材を所定の内部空間に確実に保持することができる。従って、留め部がシート状物から脱落することを確実に低減することができる。
【0042】
請求項11に記載の具体的態様では、開口の第2の寸法と、第1の留め部材の壁面に垂直な方向における所定の内部空間の寸法とが設定される。この寸法の設定により、係止部および被係止部により両留め部材が係止されたときに、保持部材の全体を、開口から所定の内部空間に挿入することができない。この結果、シート状物により覆われた状態の保持部材を所定の内部空間に一層確実に保持することができる。従って、留め部がシート状物から脱落することを一層確実に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<実施形態>
以下に、本発明の一実施形態に係る名札装着用の留め具について、図面を参照して説明する。
図1は、ユーザが名札装着用の留め具1を上着TSの胸元に装着した状態を示す。
図1において、名札2が安全ピン3に取り付けられ、その安全ピン3が留め具1に取り付けられる。具体的には、安全ピン3は、針先収容のための金具3Aと、その金具3Aに固定された固定側ピン3Bと、針先を有する可動側ピン3Cとを備える。名札2は、安全ピン3の固定側ピン3Bに取り付けられ、安全ピン3の可動側ピン3Cは、留め具1に取り付けられる。なお、
図1に矢印で示す2つの方向を、上下方向、および左右方向とし、両方向に直交する方向を、前後方向として、
図1以降の他の図面でも同様に、各方向を示す。
【0045】
[留め具1の詳細な構成]
留め具1の詳細な構成について、図面を参照して説明する。
図2は、留め具1の全体を前方から見た斜視図であり、
図3は、留め具1の左側面図である。
図2および
図3において、留め具1は、留め本体枠10と、連結腕部11と、ピン取付部12とを備える。留め本体枠10は、第1の留め部材20と、第2の留め部材21とを主に備え、合成樹脂材料から一体的に成形される。留め本体枠10は、
図2に示すように両留め部材20、21が接触して閉じた状態と、両留め部材20、21が離れて開いた状態とを有する。連結腕部11は、合成樹脂材料から成形され、左右方向に平行な連結軸線CA1の回りに回動可能に第2の留め部材21に着脱可能に取り付けられる。ピン取付部12は、合成樹脂材料から成形され、左右方向と直交する方向に平行な連結軸線CA2の回りに回動可能に連結腕部11に着脱可能に取り付けられる。
【0046】
(留め本体枠10の構成)
留め本体枠10の構成について、図面を参照して説明する。
図4は、連結腕部11およびピン取付部12が取り外された状態であって、開いた状態にある留め本体枠10を後方から見た斜視図である。
図5は、開いた状態にある留め本体枠10の右側面図であり、
図6は、開いた状態にある留め本体枠10を前方から見た図面である。
図4〜
図6は、留め本体枠10が開いた状態を示すので、
図4〜
図6に示す矢印の方向は、第1の留め部材20の上下方向、左右方向、および前後方向を基準にして定められる。このため、
図4〜
図6において、第2の留め部材21の各方向も、第1の留め部材20の各方向に従って定められる。
【0047】
第1の留め部材20は、板状の形状を有し、第2の留め部材21は、箱状の形状を有する。
図6において、第1の留め部材20は、左右方向に略直線状に延びる上端部22と、左右方向に延びる下端部23と、曲線形状の左側端部24と、曲線形状の右側端部25とを有する。上下方向および左右方向に広がる第1の留め部材20の平面PSが、上下の両端部22、23、および左右の両側端部24、25により画定される。第2の留め部材21は、左右方向に延びる上壁26と、左右方向に略直線状に延びる下壁27と、曲線形状の左側壁28と、曲線形状の右側壁29と、底板30とを有する。第2の留め部材21の箱型の空間BSが、上下の両壁26、27と、左右の両側壁28、29と、底板30とにより画定される。蝶番連結部31は、弾性変形可能に形成され、第1の留め部材20の上端部22と、第2の留め部材21の下壁27の下端部27Aとを、回動軸線RAの回りに回動可能にそれぞれ連結する。この連結により、両留め部材20、21は開閉可能に構成される。
【0048】
第1の留め部材20は、上下方向に長い長円形状の開口32を有する。開口32の上下方向の長さL1は、開口32の左右方向の長さL2より長くなるように設定される。本実施形態では、開口32が長く延びる方向は、蝶番連結部31が延びる方向と直交するように定められる。この結果、第1の留め部材20の左右の両側端部24、25の各側端部と開口31の縁部との寸法EH1、EH2は、第1の留め部材20の上下の両端部22、23の各端部と開口32の縁部との寸法EV1、EV2より、大きくなる。
【0049】
図5および
図6において、係止部33が、第1の留め部材20の下端部23に一体的に形成される。被係止突起34が、第2の留め部材21の上壁26の切り欠かれた端面26Aから上方に突出して形成される。係止部33は、第1の留め部材20の下端部23から前方に延びる係止腕35と、その係止腕35から下方に屈曲して形成される操作端部36とを備える。係止切欠き37が、係止腕35に形成される。この係止切欠き37の形成により、係止腕35は、下端部23との連結部分を中心として回動するように弾性変形可能に構成される。係止切欠き37を画定する係止腕35の内壁面のうちで、上下方向に延びる壁面が、
図4に示す係止面37Aを構成する。
図5において、被係止突起34は、傾斜面34Aと、被係止面34Bとを有する。被係止面34Bは、上下方向に延びる面であり、傾斜面34Aの上方端部に連続して形成される。第1の留め部材20と第2の留め部材21とが、
図2に示すように閉じられるときに、係止腕35の前方部分が傾斜面34Aに係合して係止腕35が弾性変形し、係止面37Aが被係止面34Bに係合する。この係止面37Aおよび被係止面34Bの係合により、両留め部材20、21は閉じた状態に係止される。
【0050】
図4および
図5において、連結円筒部38が、第2の留め部材21の底板30から後方に突出して一体的に形成される。回動孔39が、左右方向に連結円筒部38を貫通して形成され、円形の形状を有する。連結軸線CA1は、回動孔39の中心を通る軸線である。
【0051】
図5および
図6において、第2の留め部材21は、4つの規制壁41〜44を有する。規制壁41〜44は、底板30から前方に延びて一体的に形成される。
図6において、規制壁41は、第2の留め部材21の箱型の空間BSの左上角の位置に配置され、規制壁42は、箱型の空間BSの左下角の位置に配置される。同様に、規制壁43および規制壁44は、箱型の空間BSの右上角の位置および右下角の位置にそれぞれ配置される。規制壁41〜44の内周面は、僅かに凹状の円弧面に形成される。規制壁43および規制壁44の前端縁が、
図5に示すように、第2の留め部材21の4つの壁26〜29の前端縁よりも所定距離だけ後方に離れた位置になるように、両規制壁43、44が形成される。同様に、両規制壁41、42の前端縁も、4つの壁26〜29の前端縁よりも所定距離だけ後方に離れた位置になるように、両規制壁41、42が形成される。
図6に示すように、留め本体枠10の全体形状は、開口32の長い方の長さL1が設定される方向に平行な中心線を基準にして対称な形状であり、具体的には、上下方向に延びる中心線を基準にして左右対称な形状である。
【0052】
図7は、
図3に示すA−A線に従って留め具1を切断した断面図であり、第2の留め部材21の箱型の空間BSの内部を模式的に示す。
図7において、保持円盤50が、衣服の布地などのシート状物に覆われた状態で、箱型の空間BSの内部に収容されるように、保持円盤50の直径DMが設定される。具体的には、保持円盤50の直径DMは、第1の留め部材20の開口32の上下方向の長さL1より小さく、その開口32の左右方向の長さL2より長い寸法に設定される。保持円盤50の外周縁が4つの規制壁41〜44の内周面に、シート状物を介して接触することにより、保持円盤50は、4つの規制壁41〜44により画定される底板30の領域内に位置するように、上下方向および左右方向において規制される。本実施形態では、保持円盤50の外周縁と、4つの規制壁41〜44の内周面との間隔GPは、保持円盤50が装着される上着TSの布地の一般的な布厚に基いて設定される。本実施形態では、保持円盤50の直径が、21.2mmに設定され、開口32の長さL1および長さL2が、22.0mmおよび15.0mmに設定される。また、一般的な布厚は、自然状態において0.5mmから1.5mmまでの範囲と想定して、留め具1が上着TSに装着されたときに上着TSの布厚が圧縮されると考え、間隔GPは0.6mmに設定される。
【0053】
(連結腕部11の構成)
連結腕部11の構成について図面を参酌して説明する。
図8は、連結腕部11を前方から見た斜視図である。連結腕部11は、ベース60と、一対の挟持腕61、62と、支持軸63と、下方円形鍔64とを主に備える。ベース60は、左右方向に長い形状を有する。一対の挟持腕61、62は、ベース60の左右の両端部から上方に延びて形成される。左膨出部分61Aが、左挟持腕61の右側面に形成され、右膨出部分62Aが、右挟持腕62の左側面に形成される。両膨出部分61A、62Aは、半球状の曲面を有し、連結円筒部38の回動孔39に嵌合するように形成される。両挟持腕61、62は、ベース60との連結部分を中心に左方または右方に回動するように、弾性変形可能に構成される。
【0054】
支持軸63は、左右方向におけるベース60の中央位置から下方に延びる。下方円形鍔64は、支持軸63の下端に形成される。下方円形鍔64の直径は、支持軸63の直径より大きく設定される。左係止突部65および右係止突部66が、ベース60の下面から下方に突出して形成され、球面状の曲面を有する。
図8に示すように、連結腕部11の全体形状は、支持軸63の連結軸線CA2を基準にして左右対称な形状である。
【0055】
(ピン取付部12の構成)
ピン取付部12の構成について図面を参照して説明する。
図9は、ピン取付部12を上方から見た平面図であり、
図10は、ピン取付部12の左側面図である。ピン取付部12は、取付本体70と、一対の鍔保持面71、72と、保持開口73と、一対の保持爪74、75とを有する。
【0056】
取付本体70を上方から見た外形形状が、連結腕部11のベース60を下方から見た外形形状と類似した形状となるように、取付本体70は左右方向に長い形状に形成される。
図10に示すように、ピン挿通孔76が、取付本体70の下方部分を左右方向に貫通して形成される。一対の鍔保持面71、72は、連結腕部11の下方円形鍔64の厚さより大きな間隔を置いて対向するように、取付本体70の左右方向の中央位置に形成される。両鍔保持面71、72は、前後方向および左右方向に延びる平面を有する。鍔保持面72は、鍔保持面71より下方に配置され、円形形状を有する。
図3に示すように、鍔保持面72の直径は、下方円形鍔64の直径より大きく設定される。
【0057】
保持開口73が、取付本体70の上面から鍔保持面71まで上下方向に延びて形成され、両鍔保持面71、72により画定される空間に連通する。保持開口73は、
図9に示すように、後方に開放して形成される。保持開口73は、連結腕部11の支持軸63と嵌合するように、略円形の断面を有する。一対の保持爪74、75は、保持開口73が開放する領域に、支持軸63の直径より小さい間隔を置いて配置される。両保持爪74、75は、支持軸63が保持開口73に対して嵌入し、または離脱する際に、弾性変形するように構成される。
【0058】
一対の係止孔76、77が、取付本体70の上面に形成される。両係止孔76、77は、連結腕部11の左係止突部65および右係止突部66にそれぞれ係合するように、球面状の曲面を有する。連結腕部11の支持軸63が保持開口73に嵌合することにより、ピン取付部12は、支持軸63の回りに連結腕部11に対して回動することができる。ピン取付部12の回動位置は、両係止孔76、77と両係止突部65、66との係合により、保持される。また、ピン取付部12を連結腕部11に対して180度回動させることにより、ピン取付部12の回動位置を変更することができる。ピン取付部12の全体形状は、略円形の断面を有する保持開口73の中心を上下方向に通る連結軸線CA2を基準にして左右対称な形状である。
【0059】
[実施形態の動作および作用]
留め具1を組み立てる場合、および留め具1を上着TSに対して装着および離脱する場合における動作および作用について図面を参照して説明する。
【0060】
(留め具1の組み立て方法)
留め具1の組み立て方法について説明する。先ず、連結腕部11をピン取付部12に組み付ける。具体的には、連結腕部11の支持軸63を、ピン取付部12の後方から、両保持爪74、75の間に押し込む。この押し込みにより、両保持爪74、75は、弾性変形して押し広げられる。この結果、支持軸63は保持開口73に嵌入する。この支持軸63の嵌入と同時に、下方円形鍔64が、両鍔保持面71、72の間に進入して嵌る。下方円形鍔64が両鍔保持面71、72の間に嵌ることにより、ピン取付部12が支持軸63の連結軸線CA2の方向において脱落することが防止される。また、ピン取付部12は、連結腕部11に組み付けられた状態で、支持軸63の連結軸線CA2の回りに回動可能となる。ピン取付部12の回動位置は、係止孔76、77が係止突部65、66にそれぞれ係合することにより保持される。
図3は、係止孔76が係止突部65に係合した状態を示す。
【0061】
次に、安全ピン3をピン取付部12に取り付ける。具体的には、名札2が安全ピン3の固定側ピン3Bに取り付けられているので、安全ピン3の可動側ピン3Cをピン取付部12のピン挿通孔76に挿通する。そして、可動側ピン3Cの針先を安全ピン3の金具3Aに収容する。可動側ピン3Cのピン挿通孔76への挿通により、名札2がピン取付部12に取り付けられる。
【0062】
最後に、連結腕部11を留め本体枠10に取り付ける。具体的には、連結腕部11の両膨出部分61A、62Aを、留め本体枠10の連結円筒部38の左右の両側端面に接触させて押し込む。この押し込みにより、連結腕部11の両挟持腕61、62は、弾性変形して押し広げられる。この結果、両膨出部分61A、62Aは、連結円筒部38の回動孔39に嵌合する。この嵌合により、連結腕部11は、回動孔39の連結軸線CA1の回りに回動可能になる。
【0063】
(留め具1を上着TSに対して装着または離脱する方法)
留め具1を上着TSに対して装着または離脱する方法について、
図2、
図4および
図11を参照して説明する。
図11は、上着TSに装着された留め具1の断面図であって、
図2に示すB−B線に従って前後方向の垂直面により留め具1を切断した断面図である。
【0064】
先ず、留め具1を上着TSに装着するために、保持円盤50を上着TSの裏側に入れて上着TSにより覆う。上着TSの裏側における保持円盤50の位置は、留め具1を取り付けたい上着TSの位置である。
図4に示すように両留め部材20、21が開けられた状態において、上着TSにより覆われた保持円盤50の円形面が、開口32の長さL1が設定された上下方向と平行になる姿勢で、その保持円盤50を、第1の留め部材20の後方から、開口32に挿入する。この挿入の際に、第1留め部材20に対して保持円盤50を僅かに傾斜させて挿入することにより、保持円盤50の直径DMが開口32の左右方向の長さL2より大きくても、上着TSに覆われた保持円盤50の全体が開口32を通過することができる。保持円盤50が通過した後に、両留め部材20、21を閉じて、係止部33の係止面37Aと、被係止突起34の被係止面34Bとを係合させる。両留め部材20、21の係止状態は、係止部33の係止腕35の弾性力により保持される。
図3は、係止部33の係止面37Aが、被係止突起34の被係止面34Bと係合した状態を示す。
【0065】
上着TSに覆われた保持円盤50の外周縁は、上着TSの布地を介して規制壁41〜44のいずれかに当接する。この結果、上着TSに覆われた保持円盤50は、4つの規制壁41〜44により画定される空間内に位置決めされるとともに、第1の留め部材20の開口32に対して位置決めされる。この保持円盤50の位置決めにより、保持円盤50は、両留め部材20、21により画定される箱型の空間BSに保持される。これにより、ユーザは、留め具1を上着TSに装着することができる。
【0066】
図11において、第1の留め部材20と第2の留め部材21とが形成する箱型の空間BSの前後方向の寸法H1は、保持円盤50の前後方向の寸法である厚さH2と、上着TSの前後方向の寸法である布厚H3の2倍の値との合計値以上に設定される。本実施形態では、一般的な布厚は、自然状態において0.5mmから1.5mmまでの範囲と想定して、保持円盤50の厚さH2が2.0mmに設定され、箱型の空間BSの寸法H1が5.0mmに設定される。この場合、布厚H3は自然状態における布厚であるが、想定される最大の布厚の布地が圧縮されたときに、その圧縮された布厚を布厚H3として使用することもできる。
【0067】
一方、留め具1を上着TSから離脱するために、ユーザは、
図2に示す係止部33の操作端部36を押し下げる。この押し下げにより、係止部33の係止腕35が弾性変形して僅かに回動し、係止部33の係止面37Aと、被係止突起34の被係止面34Bとの係合が解除される。係合の解除により、ユーザは、両留め部材20、21を開けることができる。両留め部材20、21が開いた状態において、上着TSにより覆われた保持円盤50の円形面が、開口32の長さL1が設定された上下方向と平行になる姿勢で、その保持円盤50を僅かに傾斜させる。この傾斜状態で、開口32を通過させて保持円盤50を第1の留め部材20から取り出す。これにより、ユーザは、留め具1を上着TSから離脱させることができる。
【0068】
[実施形態の効果]
本実施形態では、留め具1が上着TSに装着された
図11に示す状態において、上着TSが引っ張られて、上着TSの引っ張り力が開口32の周縁部に作用した場合でも、開口32の形状および寸法は変化しないことから、係止部33と被係止突起34との間に作用する係止力の大きさに影響されることなく、上着TSにより覆われた保持円盤50は箱型の空間BSの内部に保持される。この結果、留め具1が上着TSから離脱することを確実に防止することができる。
【0069】
本実施形態では、両留め部材20、21が閉じた状態において、保持円盤50が箱型の空間BSの内部で傾斜した場合でも、4つの規制壁41〜44のいずれかの規制壁により、保持円盤50の位置が規制される。この規制動作の詳細について、
図12および
図13を参照して説明する。
図12は、
図2に示すC−C線に従って左右方向の垂直面により留め具1を切断した断面図である。
図13は、
図12に示すD−D線に従って留め具1を切断した
図7に相当する断面図である。保持円盤50の外周縁の右端部分が、
図12に示すように、第2の留め部材21の底板30に当接するとともに、
図13に示すように、規制壁43、44に当接する場合でも、保持円盤50の外周縁の最も左端の部分は、左右方向の長さL2に設定された開口32の左端縁より左側に位置する。この結果、保持円盤50が上着TSにより覆われていない場合でも、両留め部材20、21が閉じた状態においては保持円盤50が開口32から脱落することを確実に防止することができる。当然に、保持円盤50が上着TSにより覆われている場合には、保持円盤50の脱落を一層確実に防止することができる。
【0070】
本実施形態では、両挟持腕61、62の膨出部分61A、62Aが回動孔39と弾性力により係合することにより、連結腕部11が留め本体枠10に対して着脱可能に構成される。この結果、留め具1を上着TSに装着するときに、連結腕部11を留め本体枠10から離脱させることにより、ユーザは、上着TSにより覆われた保持円盤50を開口32に挿通させることを容易に行うことができる。また、両挟持腕61、62の膨出部分61A、62Aと回動孔39とが係合され、または離脱される構成であるので、ユーザは、留め本体枠10に対して、連結軸線CA1を中心とする任意の角度で連結腕部11を装着したり、または離脱させたりすることができ、連結腕部11の装着および離脱を容易に行うことができる。さらに、
図1に示す名札2が前方に引っ張られた場合、両挟持腕61、62は、前方に引っ張る方向に応じて回動孔39の連結軸線CA1を中心に回動し、引っ張る力が所定値以上であれば、連結腕部11は留め本体枠10から離脱することから、ユーザの上着TSを傷めることがなくなる。
【0071】
本実施形態では、両留め部材20、21が閉じた状態において、4つの規制壁41〜44は、
図11に示すように、底板30から第1の留め部材20に向かって延びる。また、4つの規制壁41〜44は、
図11に示すように、先端に向かってテーパ状に細くなるように形成される。この結果、保持円盤50を覆う上着TSの布厚が厚くなっても、4つの規制壁41〜44の先端部分が弾性変形して外方に開くことから、留め具1を上着TSに装着する際に上着TSを傷めることがなくなる。
【0072】
本実施形態では、支持軸63の回りのピン取付部12の回動位置は、両係止孔76、77と両係止突部65、66との係合により保持される。また、ピン取付部12の回動位置は、連結腕部11に対して180度変化させることができる。この結果、ピン取付部12に取り付けられた名札2が不用意に裏返ってしまうことを防止することができる。また、名札2を表裏両面で使用する必要がある場合には、ユーザは、ピン取付部12の回動位置を180度変化させることにより、名札2を必要に応じて裏返すこともできる。たとえば、保育園児および小学生が帰宅するときには、名札を裏返しにして、個人の名前などの情報が不審者に知られないようにすることができる。
【0073】
本実施形態では、連結腕部11およびピン取付部12が連結軸線CA2を基準にして左右対称な形状を有し、ピン取付部12が連結腕部11に対して180度回動すれば裏返しになる構成である。この結果、ユーザは、互いに連結された連結腕部11およびピン取付部12を、留め本体枠10の連結円筒部38に対して、左右両側のいずれの部分であるのかを区別しないで取り付けることができる。
【0074】
本実施形態では、留め本体枠10が、上下方向に延びる中心線を基準にして左右対称な形状を有することから、ユーザは、上着TSにより覆われた保持円盤50を、開口32を通して左右いずれの方向にも挿入することができる。
【0075】
本実施形態では、開口32が長く延びる上下方向は、蝶番連結部31が延びる左右方向と直交するように定められる。この開口32の長く延びる方向の設定により、第1の留め部材20の左右の両側端部24、25の各側端部と開口31の縁部との寸法EH1、EH2は、第1の留め部材20の上下の両端部22、23の各端部と開口32の縁部との寸法EV1、EV2より、大きくなる。留め具1が上着TSに装着された状態で、
図11において留め具1が前方に引っ張られたとき、曲げモーメントが第1の留め部材20に作用し、第1の留め部材20は後方に凸状となるように湾曲する。第1留め部材20の大きな寸法EV1、EV2の部分の断面積は、寸法EH1、EH2の断面積より大きいことから、寸法EV1、EV2の部分において曲げモーメントにより生ずる曲げ応力を小さくすることができ、留め具1の耐久性を高めることができる。
【0076】
本実施形態では、蝶番連結部31は、第1の留め部材20の略直線状に延びる上端部22と、第2の留め部材21の略直線状に延びる下壁27の下端部27Aとを回動可能に連結する。この結果、蝶番連結部31により連結される両留め部材20、21の略直線状の連結領域を長く確保することができ、両留め部材20、21を多数回にわたって回動操作したとしても、蝶番連結部31が劣化することはほとんどない。
【0077】
<構成の対応関係>
留め具1、および上着TSは、本発明の留め具、およびシート状物の一例である。第1の留め部材20、および第2の留め部材21は、本発明の第1の留め部材、および第2の留め部材の一例である。開口32、および第1の留め部材20の平面PSは、本発明の開口、壁面の一例である。係止部33、および被係止突起34は、本発明の係止部、および被係止部の一例である。第2の留め部材21の箱型の空間BSは、本発明の所定の内部空間の一例である。保持円盤50は、本発明の保持部材の一例である。開口32の上下方向の長さL1、および開口32の左右方向の長さL2は、本発明の第1の寸法、および第2の寸法の一例である。連結腕部11、およびピン取付部12は、本発明の第1の連結部材、および第2の連結部材の一例である。回動軸線RA、連結軸線CA1、および連結軸線CA2は、本発明の回動軸線、第1の連結軸線、および第2の連結軸線の一例である。第1の留め部材20の上端部22、および、第2の留め部材21の下壁27の下端部27Aは、本発明の第1の留め部材、および第2の留め部材の回動軸線に平行に直線状に延びる縁部の一例である。保持円盤50の直径DMは、本発明の保持部材の直径の一例である。
【0078】
<変形例>
本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0079】
(1)本実施形態では、留め本体枠10に連結腕部11を取り付け、その連結腕部11にピン取付部12を取り付けた状態で、名札2が取り付けられた安全ピン3をピン取付部12のピン挿通孔76に挿通する構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、連結腕部11およびピン取付部12を省略して、留め本体枠10の回動孔39に安全ピン3を直接取り付ける構成でもよい。または、両留め部材20、21が係止された状態において、第1の留め部材20の平面PSに垂直な軸線の回りに回動可能な回動部材を第2の留め部材21に設け、その回動部材に安全ピン3を取り付ける構成でもよい。
【0080】
(2)本実施形態では、第1の留め部材20が板状の形状であり、第2の留め部材21が箱型の形状であるが、この形状に限定されない。たとえば、第1の留め部材が箱型の形状であり、第2の留め部材21が板状の形状でも、または、両留め部材が共に箱型の形状の形状でもよい。
【0081】
(3)本実施形態では、第1の留め部材20と、第2の留め部材21とは、蝶番連結部31により連結される構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、第1の留め部材と第2の留め部材とが別個独立の部材から構成され、係止部33および被係止突起34のような係止手段を2組設けることにより、両留め部材を係止する構成でもよい。この変形例において、第2の留め部材21として複数種類の第2の留め部材を用意すれば、異なる種類の第2の留め部材を第1の留め部材に交換可能に装着することができる。変形例における交換可能な両留め部材の形状としては、真円の形状、正方形、または正多角形の形状が考えられる。
【0082】
(4)本実施形態では、留め具1は、保持円盤50を構成要素の1つとして備える構成であるが、この構成に限定されない。保持円盤50と同等の直径および厚さを有する部材であれば、たとえば、ボタン、座金などの汎用部品を保持円盤の代わりに使用してもよい。
【0083】
(5)本実施形態では、第2の留め部材21の底板30に4つの規制壁41〜44を備える構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、第2の留め部材の内部に画定される空間が、保持円盤50の直径DMに近い直径を有する円形の空間であれば、規制壁を省略することができる。また、4つの規制壁を第1の留め部材に設ける構成でもよい。
【0084】
(6)本実施形態では、両留め部材20、21が開いた状態において、上着TSにより覆われた保持円盤50が開口32を通過することができる構成であるが、この構成に限定されない。両留め部材が閉じた状態において、上着により覆われた保持円盤が開口を通過することができる構成でもよい。この変形例の構成は、保持円盤の直径を小さくする変更、開口の左右方向の長さL2を大きくする変更、第2の留め部材21の箱型の空間BSの前後方向の寸法である
図11に示す寸法H1を大きくする変更、および、4つの規制壁41〜44により画定される空間の左右方向の寸法を大きくする変更のうち、少なくとも1つの変更を行うことにより具体化することができる。
【0085】
(7)本実施形態では、
図11に示す箱型の空間BSの寸法H1は、保持円盤50の厚さH2と、自然状態における上着TSの布厚H3の2倍の値との合計値以上に設定されるが、この設定方法に限定されない。たとえば、
図12および
図13に示すように、両留め部材20、21が係止された状態において、保持円盤50が箱型の空間BSの内部で傾斜したときでも、保持円盤50が開口32から抜け出ることができないように、箱型の空間BSの寸法H1が設定されればよい。
【0086】
(8)本実施形態では、留め本体枠10の全体形状が、
図6に示すように上下方向に延びる中心線を基準にして左右対称な形状であるが、この形状に限定されない。たとえば、留め本体枠の全体形状が左右非対称な形状であり、上着により覆われた保持円盤が開口32を通って左右のいずれか一方の方向にのみ挿入される構成でもよい。