(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スラットが複数並べられ、建物に形成された開口部を開放または閉鎖するシャッタと、前記シャッタが前記開口部を開放して前記開口部の防犯性が確保されないシャッタ開状態と前記シャッタが前記開口部を閉鎖して前記開口部の防犯性が確保されるシャッタ閉状態との間で前記シャッタを駆動するシャッタ駆動装置と、前記スラットを閉位置から開位置に回動させて隣接する他のスラットとの間に通風部を形成するスラット駆動装置と、を有するシャッタ装置と、
前記シャッタより屋内側に配置され、前記開口部を開放または閉鎖するサッシと、前記サッシが前記開口部を開放して前記開口部の防犯性が確保されないサッシ開状態と前記サッシが前記開口部を閉鎖して前記開口部の防犯性が確保されるサッシ閉状態との間で前記サッシを駆動するサッシ駆動装置と、を有するサッシ装置と、
前記シャッタ装置および前記サッシ装置の動作を制御する制御装置と、を備えたシャッタ装置システムであって、
前記シャッタ装置は、前記シャッタを前記シャッタ閉状態から前記シャッタによる前記開口部の防犯性を確保されない非防犯状態を経由して、前記シャッタの上部に配置された一部の前記スラットを開位置に回動させて前記通風部を確保した部分通風状態とする部分通風装置を備え、
前記制御装置は、前記シャッタを前記シャッタ閉状態から前記部分通風状態に移行する場合、前記サッシ駆動装置によって前記サッシを前記サッシ閉状態とした後に、前記部分通風装置によって前記部分通風状態に移行させるシャッタ装置システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1を用いて、本発明によるシャッタ装置システムの一実施形態ついて説明する。シャッタ装置システムは、建物1の開口部2に設置されたシャッタ装置10、建物1の開口部2に、シャッタ装置10よりも屋内側に設置されたサッシ装置20、屋内に設置された空調装置30および制御装置40(特許請求の範囲に記載の制御装置)を備えている。
【0016】
図2に示すように、シャッタ装置10は、スラット11、スラット11を上下方向(
図2にて上下方向)に複数並べられて形成されたシャッタ12、シャッタ12を巻き取る巻取体13、巻取体13を回転駆動するシャッタ駆動装置14、巻取体13を回転可能に保持するフレーム15、シャッタ12の両側方に設けられた一対の縦支柱16、スラット11を回動するスラット駆動装置17、部分通風装置18およびシャッタ制御装置19を備えている。
【0017】
スラット11は、一対の縦支柱16間において、左右方向(
図2にて左右方向)に沿って延設されている。
図3は、
図2の3−3線に沿った断面図である。
図3の上段に示すように、スラット11は、金属または樹脂材によって形成され、回動軸11a、第1接触部11bおよび第2接触部11cを備えている。
【0018】
回動軸11aは、スラット11の左右方向両側の端部に設けられ、左右方向外側に軸状に突出している。回動軸11aの中心軸を中心として、スラット11は開位置と閉位置との間を回動する。開位置は、
図4の左側に示すように、スラット11が略水平となる位置である。閉位置は、
図4の右側に示すように、スラット11が略垂直となる位置である。
【0019】
第1接触部11bは、回動軸11aの外壁面に凸設されており、スラット11が回動するときに、スラット駆動装置17と接触するものである。第2接触部11cは、スラット11の左右方向片側の端部に、回動軸11aと平行に軸状に突出している。第2接触部11cは、スラット11が回動した後に、後述する縦支柱16の第2案内通路16bに案内されるものである。
【0020】
さらに、スラット11は、
図4の右側に示すように、凸部11dおよび凹部11eを備えている。凸部11dは、スラット11の上端に凸設されている。また、凹部11eは、スラット11の下端に凹設されている。凸部11dと上方向に隣接する他のスラット11の凹部11eとが嵌合できるようになっている。なお、
図4右側に示すスラット11は、凸部11dと凹部11eとは嵌合していない状態を表している。
【0021】
シャッタ12は、
図2に示すように、スラット11およびチェーン状の線状連結体12aを備えている。シャッタ12は、スラット11が複数並べられ、建物1に形成された開口部2を開放または閉鎖するものである。シャッタ12は、シャッタ12の上下方向において複数のスラット11を並設している。なお、スラット11の数は
図2に示す数に限定されるものではない。線状連結体12aは、シャッタ12の左右方向両側方に配設され、隣接する各スラット11を連結するとともに、各スラット11の回動軸11aを回動可能に保持するものである(
図3参照)。
【0022】
巻取体13は、シャッタ12の上端部が連結されている。巻取体13は、一方向への回転に伴いシャッタ12を巻き上げ、逆方向への回転に伴いシャッタ12を巻き下ろすものである。
【0023】
シャッタ駆動装置14は、巻取体13を回転させてシャッタ12を上下方向に駆動させるものである。シャッタ駆動装置14は、シャッタ駆動部14a、ブレーキ部14bおよびシャッタ制御部14cを備えている。シャッタ駆動部14aは、巻取体13の内部に配設され、巻取体13を回転させるものであり、例えば直流モータで構成されている。ブレーキ部14bは、シャッタ駆動部14aに隣接して配設され、巻取体13の回転を規制するものである。また、シャッタ制御部14cは、シャッタ駆動部14aおよびブレーキ部14bと電気的に接続され、電力の供給および制御信号を送信してシャッタ駆動部14aおよびブレーキ部14bを制御して、シャッタ12の開閉状態を制御するものである。
【0024】
フレーム15は、シャッタ装置10の上部に配置され、巻取体13を回転可能に保持している。フレーム15は、巻取体13がシャッタ12を巻き上げたときに、シャッタ12を収納する。
【0025】
縦支柱16は、シャッタ12の左右方向両側方でフレーム15を支持するように配設され、シャッタ12を摺動可能に支持するものである。縦支柱16は、
図3に示すように、第1案内通路16aおよび第2案内通路16bを形成している。第1案内通路16aは、
図3の下段に示すように、スラット11を閉位置としてシャッタ12が開閉動作するときに、回動軸11aを案内し、第2接触部11cを案内可能とする通路である。第2案内通路16bは、
図3の上段に示すように、スラット11を開位置としてシャッタ12を開閉動作するときに、第2接触部11cを案内可能とする通路である。
【0026】
スラット駆動装置17は、スラット11を閉位置から開位置に回動させて隣接する他のスラット11との間に通風部α(
図4および
図5参照)を形成するものである。スラット駆動装置17は、
図2および
図3に示すように、作動体17a、作動体駆動部17bおよびスラット制御部17cを備えている。
【0027】
作動体17aは、接触位置L1と退避位置L2との間を左右方向に移動できるようにスライド可能に支持されている。作動体17aは、接触位置L1にある場合にスラット11の第1接触部11bと接触するようになっており、退避位置L2にある場合にスラット11の第1接触部11bと接触しないようになっている。作動体17aは図示しないスプリングによって退避位置L2に常時付勢されている。
【0028】
作動体駆動部17bは、スラット制御部17cの制御信号により、作動体17aを退避位置L2から接触位置L1に駆動するものである。作動体駆動部17bは、例えば励磁ソレノイドを含んで構成されている。他には、電動モータとギア等を組み合わせて構成されても良い。なお、本実施形態において、作動体17aは第1接触部11bと接触して、スラット11を回動するようになっているが、作動体17aが第2接触部11cと接触して、第2接触部11cが第2案内通路16bに案内されるように、作動体17aを形成してもよい。
【0029】
スラット制御部17cは、作動体駆動部17bと電気的に接続され、電力の供給および制御信号を送信して作動体駆動部17bを制御して、スラット11の開閉状態を制御するものである。
【0030】
部分通風装置18は、シャッタ12が開口部2を閉鎖している状態から、シャッタ12が通風部αを形成した状態にシャッタ12を駆動するものである。部分通風装置18は、シャッタ駆動部18a、スラット駆動部18bおよび部分通風制御部18cを備えている。本実施形態において、シャッタ駆動部18aは、シャッタ駆動部14aで構成されている。また、スラット駆動部18bは作動体駆動部17bで構成されている。そして、部分通風制御部18cは、シャッタ制御部14cおよびスラット制御部17cで構成されている。また、部分通風装置18は、シャッタ12が通風部αを形成した状態から、シャッタ12が開口部2を閉鎖している状態にシャッタ12を駆動するものである。
【0031】
シャッタ制御装置19は、シャッタ駆動装置14、スラット駆動装置17および部分通風装置18に電気的に接続されている。シャッタ制御装置19は、シャッタ駆動装置14、スラット駆動装置17および部分通風装置18に電力の供給および制御信号の送信を行い、シャッタ12およびスラット11の開閉状態を制御するものである。また、シャッタ制御装置19は、シャッタ制御部14c、スラット制御部17cおよび部分通風制御部18cを備えている。
【0032】
また、シャッタ制御装置19は、制御装置40と相互に通信可能に接続されており、シャッタ制御装置19はシャッタ12およびスラット11の開閉状態の情報を制御装置40に送信する。また、制御装置40は、シャッタ12およびスラット11の開閉状態を移行する制御信号をシャッタ制御装置19に送信する。
【0033】
次に、
図3乃至
図5に基づいて、シャッタ12の各状態および各状態に移行する動作について説明する。
【0034】
図5の左から1組目に示すシャッタ12の状態は、シャッタ開状態Aである。シャッタ開状態Aは、シャッタ駆動装置14によって、シャッタ12の全部を巻取体13に巻き取らせて、シャッタ12がフレーム15に収納されている状態である。すなわち、シャッタ開状態Aは、シャッタ12が開口部2を開放してシャッタ12による開口部2の防犯性が確保されない状態である。
【0035】
また、シャッタ12が全部巻き上げられると、フレーム15の内部に配置された図示しないスイッチにより、シャッタ12が全部巻き上げられて開口部2が解放された状態であることを検出するようになっている。この検出信号は、シャッタ制御装置19に送信される。そして、ブレーキ部14bは巻取体13の回転を規制してシャッタ12が全部巻き上げられた状態を保持する。
【0036】
図5の左から2組目に示すシャッタ12の状態は、シャッタ閉状態Bである。シャッタ閉状態Bは、シャッタ駆動装置14によって、シャッタ12の全部が巻き下ろされて、シャッタ12が開口部2を閉鎖した状態である。すなわち、シャッタ閉状態Bは、シャッタ12が開口部2を閉鎖してシャッタ12による開口部2の防犯性が確保される状態である。
【0037】
次に、シャッタ12がシャッタ開状態Aからシャッタ閉状態Bに移行する動作について説明する。
【0038】
シャッタ制御部14cは、シャッタ駆動部14aによって巻取体13を回転させて、シャッタ12を巻き下ろす。このとき、
図3の下段に示すように、スラット11の回動軸11aは、第1案内通路16aに案内されて移動する。また、作動体駆動部17bは作動体17aを退避位置L2にして、作動体17aと第1接触部11bとが接触しないようにする。また、スラット11は、図示しないスプリングにより常時閉位置方向に付勢されている。よって、スラット11は回動せずに、第2接触部11cが第2案内通路16bに案内される。したがって、
図4の右側に示すように、スラット11が閉位置のまま、シャッタ12が巻き下される。
【0039】
シャッタ12が全部巻き下ろされると、スラット11の凸部11dが隣接する他のスラット11の凹部11eと嵌合する。これにより、シャッタ12の剛性が高くなり、防犯性が高くなる。このときのシャッタ12の状態がシャッタ閉状態Bである。
【0040】
また、シャッタ12が全部巻き下ろされると、縦支柱16の内部に配置された図示しないスイッチにより、シャッタ12が全部巻き下ろされて開口部2が閉鎖されたことを検出するようになっている。この検出信号は、シャッタ制御装置19に送信される。このとき、ブレーキ部14bは巻取体13の回転を規制して、シャッタ12を全部巻き下ろされた状態で保持する。
【0041】
図5の左から3組目に示すシャッタ12の状態は、非防犯状態Cである。非防犯状態Cは、シャッタ閉状態Bからシャッタ12の一部が巻き上げられて、開口部2の下側を一部開放している状態である。よって、非防犯状態Cは、シャッタ12による開口部2の防犯性は確保されない。
【0042】
また、
図5の左から4組目に示すシャッタ12の状態は、部分通風状態Dである。部分通風状態Dは、シャッタ閉状態Bからシャッタ12の上部に配置された一部のスラット11を開位置に回動させて通風部αを確保した状態である。
【0043】
次に、シャッタ12がシャッタ閉状態Bから非防犯状態Cを経由して、部分通風状態Dに移行する動作について説明する。
【0044】
部分通風制御部18cは、シャッタ駆動部18aによって、シャッタ12を、通風部αを形成するスラット11の高さ分を巻き上げる。本実施例においては、スラット11の3枚分の高さを巻き上げる。このときのシャッタ12の状態が、非防犯状態Cである。なお、通風部αを形成するスラット11の数は、これに限定するものではない。
【0045】
そして、部分通風制御部18cは、シャッタ12を巻き下ろし、
図3の上段に示すように、スラット駆動部18bによって、作動体17aを接触位置L1に移動させ、作動体17aと第1接触部11bとを接触させるようにする。そして、
図4の左側に示すように、作動体17aと第1接触部11bとが接触したままシャッタ12が巻き下されると、スラット11は
図4に対して時計周りに回動軸11aを中心として回動する。スラット11が開位置まで回動し、さらにシャッタ12が巻き下ろされて第2接触部11cと作動体17aとの接触が解除されると、第2案内通路16bの導入口から第2案内通路16b内に第2接触部11cが案内される。
【0046】
これにより、スラット11を開位置で摺動可能に保持することができるため、3枚のスラット11は開位置のままシャッタ12が巻き下され、通風部αが確保される。そして、シャッタ12が全部巻き下ろされると、閉位置のスラット11の凸部11dが隣接する他の閉位置のスラット11の凹部11eと嵌合してシャッタ12の剛性が向上する。このときのシャッタ12の状態が部分通風状態Dである。
【0047】
また、通風部αは、人の手が届かないシャッタ12の上部に設定されているため、防犯性を確保している。また、通風部αによりシャッタ12に通気性が確保される。よって、部分通風状態Dは、シャッタ12の防犯性と通気性が確保された状態である。
【0048】
また、上述したように、シャッタ12が全部巻き下ろされると、縦支柱16の内部に配置された図示しないスイッチにより、開口部2が閉鎖されたことを検出した信号がシャッタ制御装置19に送信される。そして、ブレーキ部14bは巻取体13の回転を規制して、シャッタ12を全部巻き下ろされた状態で保持する。
【0049】
次に、シャッタ12が部分通風状態Dから非防犯状態Cを経由してシャッタ閉状態Bに移行する動作について説明する。
【0050】
部分通風制御部18cは、シャッタ12を、開位置から閉位置に回動させるスラット11の高さ分をシャッタ駆動部18aによって巻き上げる。上述したように、スラット11は、スプリングによって常時閉位置に回動するように付勢されているため、開位置にあるスラット11の第2接触部11cが第2案内通路16bから外れるときに開位置から閉位置に回動する。このとき、シャッタ12は、非防犯状態Cとなる。
【0051】
そして、部分通風装置18は、シャッタ12を巻き下す。このとき、スラット駆動部18bは、作動体17aを退避位置L2のままとする。これにより、シャッタ12は、スラット11が閉位置のままで巻き下される。よって、シャッタ12を全部巻き下ろすと、シャッタ12はシャッタ閉状態Bとなる。
【0052】
シャッタ駆動装置14は、シャッタ12が開口部2を開放して開口部2の防犯性が確保されないシャッタ開状態Aとシャッタ12が開口部2を閉鎖して開口部2の防犯性が確保されるシャッタ閉状態Bとの間でシャッタ12を駆動するものである。
【0053】
部分通風装置18は、シャッタ12をシャッタ閉状態Bからシャッタ12による開口部2の防犯性を確保されない非防犯状態Cを経由して、シャッタ12の上部に配置された一部のスラット11を開位置に回動させて通風部αを確保した部分通風状態Dとするものである。また、部分通風装置18は、部分通風状態Dから非防犯状態Cを経由してシャッタ12をシャッタ閉状態Bに移行するものである。
【0054】
サッシ装置20は、
図6に示すように、一対のサッシ21、開口部2の上下一対に配設され、サッシ21がスライド移動する一対のレール部22、サッシ施錠装置23、サッシ駆動装置24およびサッシ制御装置25を備えている。
【0055】
サッシ21は、シャッタ12より屋内側に配置され、開口部2を開放または閉鎖するものである。サッシ21は、一対の引き違い式のサッシであり、左右方向にスライド移動するものである。各サッシ21は、開口部2の左右方向約半分を塞ぐ大きさおよび形状となっている。なお、本実施例においては、サッシ21は、アルミ等で製作される窓枠にガラス等をはめ込んで構成される建具であるが、構成はこれに限定するものではなく、木材等を含んでもよい。
【0056】
サッシ施錠装置23は、レール部22に配設され、サッシ21が開口部2を閉鎖した位置にあるときにスライド移動を規制するものである。サッシ施錠装置23は、図示しない一対の作動体23a、作動体駆動部23bおよび作動体制御部23cを備えている。
【0057】
作動体23aは、施錠位置と退避位置との間を移動するものである。サッシ21が開口部2を閉鎖した位置にあるときに、作動体23aを施錠位置とすると、図示しないサッシ21に凹設された凹部と作動体23aが嵌合し、サッシ21のスライド移動が規制される。作動体23aが退避位置にあるときは、サッシ21の凹部と嵌合しないため、サッシ21のスライド移動を規制しない。
【0058】
作動体駆動部23bは、作動体23aを施錠位置と退避位置との間を移動させるものである。作動体制御部23cは、作動体駆動部23bと電気的に接続され、電力の供給および制御信号を送信して作動体駆動部23bを制御して、作動体23aの位置を制御するものである。
【0059】
サッシ駆動装置24は、サッシ21を駆動するものである。サッシ駆動装置24は、サッシ駆動部24aおよびサッシ制御部24bを備えている。サッシ駆動部24aは、例えば、リニア誘導電動機となっており、レール部22に沿って複数配置された1次巻線と、その1次巻線と非接触で対向するようにサッシ21に設けられた2次導体とを含んで構成されている。この場合、1次巻線が順次励磁されることで2次導体を移動させる駆動力が生じ、サッシ21がスライド移動する。
【0060】
また、サッシ駆動部24aは、サッシ21をレール部22に対して非接触の状態でスライド移動させるため、使用者はサッシ駆動部24aが駆動していない場合に、手作業によりサッシ21をスライド移動することができる。なお、サッシ駆動部24aは、この構成に限定されず、電動モータおよびギア等を含んで構成されていてもよい。
【0061】
サッシ制御部24bは、サッシ駆動部24aと電気的に接続され、電力の供給および制御信号を送信してサッシ駆動部24aを制御して、サッシ21の開閉状態を制御するものである。
【0062】
サッシ制御装置25は、サッシ施錠装置23およびサッシ駆動装置24と電気的に接続されており、サッシ施錠装置23およびサッシ駆動装置24に電力の供給と制御信号の送信を行い、サッシ21の開閉状態および施錠状態を制御するものである。また、サッシ制御装置25は、作動体制御部23cおよびサッシ制御部24bを備えている。
【0063】
また、サッシ制御装置25は、制御装置40と相互に通信可能に接続されており、サッシ制御装置25はサッシ21の開閉状態および施錠状態の情報を制御装置40に送信する。また、制御装置40は、サッシ21の開閉状態および施錠状態を移行する制御信号をサッシ制御装置25に送信する。
【0064】
次に、サッシ21の各状態および各状態に移行する動作について説明する。
【0065】
サッシ開状態aは、サッシ21が開口部2を開放している状態である。サッシ21がサッシ施錠装置23によってスライド移動を規制されていないときに、サッシ駆動部24aが少なくとも一つのサッシ21をサッシ21が互いに重なるようにスライド移動させると、開口部2が開放される。サッシ開状態aはサッシ21が開口部2を開放して、サッシ21の通気性が確保され、サッシ21による開口部2の防犯性が確保されない状態である。
【0066】
サッシ閉状態bは、サッシ21が開口部を閉鎖して、サッシ21のスライド移動が規制されている状態である。サッシ駆動部24aがサッシ21を互いに最も離れる方向にスライド移動させると、開口部2が閉鎖される。このとき、レール部22に配設された図示しないスイッチにより、サッシ21が開口部2を閉鎖したことを検出するようになっている。この検出信号は、サッシ制御装置25に送信される。
【0067】
次に、作動体制御部23cの制御信号によって、作動体駆動部23bが、作動体23aを施錠位置に移動させ、サッシ21のスライド移動を規制する。そして、サッシ施錠装置23に配設された図示しないスイッチにより、作動体23aが施錠位置に移行したことを検出するようになっている。この検出信号は、サッシ制御装置25に送信される。
【0068】
このときのサッシ21の状態がサッシ閉状態bである。サッシ閉状態bは、サッシ21が開口部2を閉鎖して、サッシ21の移動が規制されるため、開口部2の防犯性が確保される状態である。なお、サッシ制御装置25は、レール部22からサッシ21が開口部2を閉鎖した検出信号およびサッシ施錠装置23から作動体23aが施錠位置にある検出信号を受信したときは、サッシ21はサッシ閉状態bであると判定する。また、サッシ制御装置25は、レール部22からのサッシ21が開口部2を閉鎖した検出信号がなければ、サッシ21はサッシ開状態aであると判定する。
【0069】
サッシ駆動装置24は、サッシ21が開口部2を開放して開口部2の防犯性が確保されないサッシ開状態aとサッシ21が開口部2を閉鎖して開口部2の防犯性が確保されるサッシ閉状態bとの間でサッシ21を駆動するものである。
【0070】
また、
図5の左から1組目および4組目に示すサッシ21の状態はサッシ開状態aを表している。また、
図5の左から2組目および3組目に示すサッシ21の状態はサッシ閉状態bを表している。
【0071】
次に、シャッタ装置システムの各状態について説明する。
【0072】
図5の左から1組目に示すシャッタ装置システムは、全開状態Xである。シャッタ装置システムの全開状態Xは、シャッタ12はシャッタ開状態Aであり、かつサッシ21はサッシ開状態aである。また、
図5の左から2組目に示すシャッタ装置システムの状態は、全閉状態Yである。全閉状態Yは、シャッタ12がシャッタ閉状態Bであり、かつサッシ21がサッシ閉状態bである。よって、全閉状態Yは、開口部2の防犯性および気密性を確保している状態である。
【0073】
また、
図5の左から3組目に示すシャッタ装置システムの状態は、全閉状態Yから防犯通風状態Zに移行中の一状態である、シャッタ12が非防犯状態Cであり、サッシ21をサッシ閉状態bである。
【0074】
そして、
図5の左から4組目に示すシャッタ装置システムの状態は、防犯通風状態Zである。防犯通風状態Zは、シャッタ12が部分通風状態Dであり、かつサッシ21がサッシ開状態aである。よって、防犯通風状態Zは、開口部2の防犯性および通気性を確保している状態である。
【0075】
空調装置30は、屋内の温度および湿度を調整(以下、空調とする。)するものである。また、空調装置30は、
図1に示すように、屋外の温度(以下、外気温とする。)を検出する温度センサ31を備えている。温度センサ31の検出する信号は、空調装置30が有する制御部に送信されるようになっている。空調装置30の制御部は、制御装置40と相互に通信可能とし、屋内の空調の状況および温度センサ31の検出信号を制御装置40へ送信している。
【0076】
次に、上述したシャッタ装置システムの動作の一例について、
図6に示すフローチャートに沿って説明する。
【0077】
夏場の就寝時などに、使用者が図示しないスイッチを操作すること等により、制御装置40がシャッタ装置システムを全閉状態Y(シャッタ閉状態B、サッシ閉状態b)にして開口部2の防犯性および気密性を確保する。そして、空調装置30によって、使用者が設定した温度(以下、設定温度とする。)となるように、屋内の空調を行う(ステップS102)。
【0078】
次に、制御装置40は、空調装置30の温度センサ31が検出する外気温が所定温度以下となったか否かを判定する(ステップS104)。所定温度は、使用者が設定する温度であり、シャッタ装置システムが、空調装置30による空調と自然換気との切り替えを行う温度である。すなわち、外気温が所定温度より高ければ、開口部2の気密性を確保して空調装置30による空調を行い、外気が所定温度以下であれば開口部2の通気性を確保して自然換気を行う。例えば、空調装置30の設定温度と同じ温度に所定温度を設定すると、快適性と省エネルギー性を両立した状態で屋内の空調を行うことができる。本実施形態においては、所定温度は、空調装置30の設定温度とする。
【0079】
ここで、外気温が設定温度よりも高ければ、制御装置40は、ステップS104にて「NO」と判定し、開口部2の気密性を確保した状態で空調を継続する。一方、深夜の時間帯となって、外気温が設定温度以下となった場合は、制御装置40は、ステップS104にて「YES」と判定し、自然換気を行うためにシャッタ装置システムを全閉状態Yから防犯通風状態Zに移行させる。
【0080】
具体的には、制御装置40は、空調装置30による空調を停止する。そして、制御装置40は、シャッタ制御装置19に制御信号を送信し、部分通風装置18によって、シャッタ12をシャッタ閉状態Bから部分通風状態Dへの移行を開始する(ステップS106)。このときサッシ21は、サッシ閉状態bである。次に、シャッタ12が正常に部分通風状態Dに移行が完了したか否かを判定する(ステップS108)。シャッタ制御装置19は、シャッタ12が開口部2を閉鎖した検出信号を縦支柱16のスイッチから受信すると、この信号を制御装置40に送信する。制御装置40は、この信号を受信したときに、部分通風状態Dに移行が完了したと判定する。
【0081】
シャッタ12が正常に部分通風状態Dに移行が完了しなかった場合は、制御装置40は、ステップS108にて「NO」と判定し、サッシ閉状態bを保持した状態でシャッタ装置システムの動作を終了する。
【0082】
一方、シャッタ12が正常に部分通風状態Dへの移行が完了すれば、制御装置40はサッシ制御装置25に制御信号を送信し、サッシ駆動装置24によって、サッシ21をサッシ閉状態bからサッシ開状態aに移行を開始する(ステップS110)。サッシ制御装置25は、サッシ開状態aであることを検出すると、検出信号を制御装置40に送信する。制御装置40がこの信号を受信した場合に、サッシ21がサッシ開状態aに、移行が完了したと判定する。そして、シャッタ装置システムは防犯通風状態Z(部分通風状態D、サッシ開状態a)への移行が完了したため、自然換気が行われるようになる。
【0083】
次に、制御装置40は、外気温が設定温度よりも高くなったか否かを判定する(ステップS112)。外気温が設定温度以下のままであれば、制御装置40は、ステップS112にて「NO」と判定し、自然換気を継続する。一方、明け方等に外気温が上がり、外気温が設定温度よりも高くなれば、制御装置40は、自然換気から、開口部2の気密性を確保して空調装置30による空調に切り替える。すなわち、制御装置40は、シャッタ装置システムを防犯通風状態Zから全閉状態Yに移行させる。
【0084】
具体的には、制御装置40は、サッシ制御装置25に制御信号を送信して、サッシ駆動装置24によって、サッシ21をサッシ開状態aからサッシ閉状態bに移行を開始する(ステップS114)。そして、制御装置40は、サッシ閉状態bへの移行が完了したか否かを判定する(ステップS116)。サッシ制御装置25は、サッシ閉状態bであることを検出すると、検出信号を制御装置40に送信する。制御装置40は、この信号を受信した場合に、サッシ21がサッシ閉状態bに移行が完了したと判定する。サッシ21が正常にサッシ閉状態bに移行しなかった場合は、制御装置40は、ステップS116にて「NO」と判定し、シャッタ12の部分通風状態Dを保持した状態でシャッタ装置システムの動作を終了する。
【0085】
一方、サッシ閉状態bへの移行が正常に完了すれば、制御装置40は、ステップS116にて「YES」と判定する。そして、制御装置40は、シャッタ制御装置19に制御信号を送信し、部分通風装置18によって、シャッタ12を部分通風状態Dからシャッタ閉状態Bに移行を開始する。シャッタ制御装置19は、シャッタ12が開口部2を閉鎖した信号を縦支柱16のセンサから受信すると、この信号を制御装置40に送信する。制御装置40は、この信号を受信した場合に、シャッタ閉状態Bに移行が完了したと判定する。そして、シャッタ装置システムは全閉状態Y(シャッタ閉状態B、サッシ閉状態b)に移行が完了した後に、制御装置40は、空調装置30による空調を開始する(ステップS118)。
【0086】
よって、本実施形態によれば、制御装置40は、シャッタ12をシャッタ閉状態Bから部分通風状態Dに移行する場合、サッシ駆動装置24によってサッシ21をサッシ閉状態bとした後に、部分通風装置18によってシャッタ12を部分通風状態Dに移行させる。よって、シャッタ12をシャッタ閉状態Bから部分通風状態Dに移行する間にシャッタ12が開口部2を一部開放する非防犯状態Cとなっても、サッシ21はサッシ閉状態bであるため、開口部2の防犯性を確保している。したがって、就寝中や人が建物1から離れている場合でも開口部2の防犯性は常に確保されている。
【0087】
また、制御装置40は、シャッタ12を部分通風状態Dからシャッタ閉状態Bに移行する場合、サッシ駆動装置24によってサッシ21をサッシ閉状態bとした後に、部分通風装置18によってシャッタ12をシャッタ閉状態Bに移行させる。よって、シャッタ12を部分通風状態Dからシャッタ閉状態Bに移行する間にシャッタ12が開口部2を一部開放する非防犯状態Cとなっても、サッシ21はサッシ閉状態bであるため、開口部2の防犯性を確保している。したがって、就寝中や人が建物1から離れている場合でも開口部2の防犯性は常に確保されている。
【0088】
また、制御装置40は、サッシ21の開閉状態に応じて空調装置30を制御している。このように、サッシ21の開閉状態に応じて空調装置30を制御することで、自然換気および空調装置30による空調を組み合わせて屋内の温度および湿度を効率よく調整できるとともに、開口部2の防犯性が常に確保されている。
【0089】
また、制御装置40は、夏場の就寝中等において、シャッタを部分通風状態Dからシャッタ閉状態Bに移行する間にシャッタ12が開口部2を一部開放する非防犯状態Cとなっても、サッシ21はサッシ閉状態bであるため、開口部2の防犯性を常に確保している。具体的に、夏場の就寝中におけるシャッタ装置システムの動作は、就寝時等に外気温が高いためシャッタ12をシャッタ閉状態Bに、サッシ21をサッシ閉状態bに移行して気密性を確保して空調装置30による空調を行う。その後、深夜に外気温が下がったためシャッタ12を部分通風状態Dに、サッシ21をサッシ開状態aに移行して開口部2から外気を取り入れて自然換気を行う。さらに、明け方に外気温が高くなったためにシャッタ12をシャッタ閉状態Bに、サッシ21をサッシ閉状態bに移行して開口部2の気密性を確保して空調装置30による空調を行う。
【0090】
なお、本発明によるシャッタ装置システムの他の実施形態として、自然換気を行うためにシャッタ装置システムを全閉状態Yから防犯通風状態Zに移行する条件(ステップS104)に、本実施形態は温度センサ31が検出する外気温を用いているが、インターネットを経由して取得する天気情報による温度、湿度等を適用しても良い。この場合、制御装置40は、インターネットと相互に通信可能として、天気情報を取得できるようにする。
【0091】
また、シャッタ装置システムは、外気の湿度を検出する湿度センサをさらに備え、シャッタ装置システムを全閉状態Yから防犯通風状態Zに移行を開始する条件(ステップS104)として、外気温と屋外の湿度から求められる不快指数を適用しても良い。この場合、制御装置40は、温度センサ31および湿度センサの検出信号を取り込んで、あらかじめ設定された演算式により不快指数を計算する。
【0092】
また、シャッタ装置システムは、屋外の騒音を測定できる集音マイクをさらに備え、シャッタ装置システムを全閉状態Yから防犯通風状態Zに移行を開始する条件(ステップS104)として、集音マイクが検出する騒音レベルを適用するようにしても良い。この場合、制御装置40は、集音マイクが検出する検出信号を取り込んで、騒音レベルが所定値以上であるときは、建物1の近くに異常があると判断して、シャッタ装置システムを防犯通風状態Zへの移行をしないようにする。なお、人の存在を検知するために、赤外線センサ、焦電センサ等を用いるようにしても良い。
【0093】
また、本実施形態においては、シャッタ制御装置19はシャッタ装置10に、サッシ制御装置25はサッシ装置20に備えられているが、シャッタ制御装置19およびサッシ制御装置25を制御装置40に備えるようにしてもよい。