【実施例】
【0017】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例の合成試験に使用した主原料は、以下のとおりである。
【0018】
[主原料]
・2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン(四国化成工業社製)
・3−メルカプトプロピオン酸メチル(東京化成工業社製)
・3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル(東京化成工業社製
)
【0019】
〔実施例1〕
<2,4−ジアミノ−6−{2−[2−(メトキシカルボニル)エチルチオ]エチル}−1,3,5−トリアジンの合成>
温度計を備えた100mLフラスコに、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン2.74g(20.0mmol)、3−メルカプトプロピオン酸メチル2.40g(20.0mmol)及びメタノール20mLを投入して、反応液を調製した。
この反応液を攪拌しながら、65℃にて1時間反応を行い、続いて、反応液を減圧下にて濃縮して、白色の結晶4.99g(収率97%)を得た。
【0020】
得られた結晶の融点及び
1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・融点:115.8〜117.0℃
・
1H-NMR(CDCl
3) δ:5.21 (br, 4H), 3.70 (s, 3H), 2.93 (t, 2H), 2.77-2.85 (m, 4H), 2.64 (t, 2H).
また、この結晶のIRスペクトルデータは、
図1に示したチャートのとおりであった。
これらのスペクトルデータより、得られた結晶は、化学式(
IV)で示される標題のトリアジン化合物であるものと同定した。
【0021】
【化4】
【0022】
〔実施例2〕
<2,4−ジアミノ−6−(2−{2−[(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル]エチルチオ}エチル)−1,3,5−トリアジンの合成>
3−メルカプトプロピオン酸メチル2.40g(20.0mmol)の代わりに、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル4.37g(20.0mmol)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色の結晶6.75g(収率95%)を得た。
【0023】
得られた結晶の融点及び
1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・融点:75.3〜76.8℃
・
1H-NMR(CDCl
3) δ:5.44 (br, 4H), 3.80-4.06 (m, 2H), 2.92 (t, 2H), 2.76-2.84 (m, 4H), 2.63 (t, 2H), 1.55-1.63 (m, 1H), 1.28-1.39 (m, 8H), 0.87-0.91 (m, 6H).
また、この結晶のIRスペクトルデータは、
図2に示したチャートのとおりであった。
これらのスペクトルデータより、得られた結晶は、化学式(
V)で示される標題のトリアジン化合物であるものと同定した。
【0024】
【化5】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
〔実施例
3〕
<有機溶剤に対する溶解性の評価試験>
本発明のトリアジン化合物(実施例1〜
2)と、公知のトリアジン化合物である2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジンについて、種々の有機溶剤に対する溶解性を評価した(試験番号1〜
3)。
評価試験の操作手順は、以下のとおりである。
室温にて、トリアジン化合物100mgと有機溶剤2mLを試験管に投入して攪拌し、有機溶剤に対するトリアジン化合物の溶解性を目視にて観察した。
そして、トリアジン化合物が室温にて完溶した場合を○と判定し、室温では完溶しないが70℃では完溶した場合を△と判定し、70℃にても完溶しない場合を×と判定した。
なお、有機溶剤として、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)および酢酸エチルを使用した。
得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
【0029】
【表1】
【0030】
これらの試験結果によると、本発明のトリアジン化合物は、前駆体の2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジンに比べて、有機溶剤に対する溶解性が優れているものと認められる。
従って、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマー類に対する相溶性の改善が期待される。