特許第6066852号(P6066852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066852
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】コップ又は巻管を方向転換する装置
(51)【国際特許分類】
   D01H 9/18 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   D01H9/18 Z
   D01H9/18 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-151512(P2013-151512)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2014-25191(P2014-25191A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】10 2012 014 644.2
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513209338
【氏名又は名称】ザウラー ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Saurer Germany GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ブンクター
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト コレス
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ペアゼーケ
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−173167(JP,U)
【文献】 実開昭51−030225(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第00475485(EP,A1)
【文献】 米国特許第03580374(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/06
D01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きな直径を備えたコップ基部(3)として形成されたコップ端部と、小さな直径を備えたコップ先端(4)として形成されたコップ端部とを1つずつ有する、任意の方向付けで水平に提供されるコップ(2)及び巻管(20)を、該コップ(2)又は巻管(20)が前記コップ基部(3)を先にして下方に向かって落下するように、方向転換するために形成された装置(1)であって、
両コップ端部のうちの1つを受容するための、中間室(9)を備えた各1つの受容部(5,6)が設けられていて、この場合両受容部(5,6)は、互いに向かい合って位置していて、1つの鉛直平面に対して対称的に配置されかつ形成されており、前記中間室(9)はそれぞれ、前記コップ先端(4)が前記中間室(9)を通過しかつコップ基部(3)が前記中間室(9)を通過しないように、寸法設定されており、
それぞれ前記受容部(5,6)の下に配置された保持手段(7)が設けられていて、該保持手段(7)は、該保持手段(7)が1つのコップ(2)又は巻管(20)のコップ先端(4)を支持するように、形成されていて、この場合該コップ(2)又は巻管(20)のコップ基部(3)は、向かい合って位置する受容部(5)に位置している、装置(1)において、
前記保持手段(7)により前記コップ先端(4)で支持された前記コップ(2)又は、前記コップ先端(4)で支持された巻管(20)が水平方向において、前記保持手段(7)上で又は内部において運動可能であるように、該保持手段(7)は構成されており、
各受容部(5,6)に対応して配設された操作手段(8)が設けられていて、該操作手段(8)は、前記保持手段(7)によって支持されたコップ先端(4)が前記操作手段(8)の操作時に該操作手段(8)によって捕捉されず、前記受容部(5)に位置するコップ基部(3)が前記操作手段(8)の操作時に該操作手段(8)によって捕捉されて、前記コップ(2)又は前記巻管(20)が水平方向に移動させられ、これにより該コップ(2)又は巻管(20)が前記コップ基部(3)を先にして下方に向かって落下するように、構成されていることを特徴とする、コップ又は巻管を方向転換する装置。
【請求項2】
前記受容部(5,6)は、ホッパ形状の輪郭部(11)として形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ホッパ形状の輪郭部(11)はそれぞれ、2つのホッパ金属薄板(12,13)によって形成される、請求項記載の装置。
【請求項4】
前記操作手段(8)は、該操作手段(8)が操作された状態において1つのホッパ金属薄板(12)と共に第2のホッパ形状の輪郭部(14)を形成するように、構成されている、請求項記載の装置。
【請求項5】
前記第2のホッパ形状の輪郭部(14)は、前記コップ基部(3)によっても、前記コップ先端(4)によっても通過され得ない、請求項記載の装置。
【請求項6】
前記ホッパ金属薄板のうちの1つのホッパ金属薄板(13)が、前記保持手段(7)のところまで達している、請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記ホッパ金属薄板のうちの1つのホッパ金属薄板(12)が、移動可能である、請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記ホッパ形状の輪郭部(11)に対応して、各1つの同一の成形部材(15)が配設されており、前記ホッパ金属薄板(12,13)は、前記成形部材(15)に固定されている、請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記成形部材(15)は、前記保持手段(7)の少なくとも一部を取り囲む、請求項記載の装置。
【請求項10】
前記成形部材(15)は、前記操作手段(8)のためのガイドとして形成されている、請求項8または9項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな直径を備えたコップ基部として形成されたコップ端部と、小さな直径を備えたコップ先端として形成されたコップ端部とを1つずつ有する、任意の方向付けで水平に提供されるコップ及び巻管を、該コップ又は巻管が前記コップ基部を先にして下方に向かって落下するように、方向転換するために形成された装置であって、両コップ端部のうちの1つを受容するための、中間室を備えた各1つの受容部が設けられていて、この場合両受容部は、互いに向かい合って位置していて、1つの鉛直平面に対して対称的に配置されかつ形成されており、前記中間室はそれぞれ、前記コップ先端が前記中間室を通過しかつコップ基部が前記中間室を通過しないように、寸法設定もしくは形成されており、さらに、それぞれ前記受容部の下に配置された保持手段が設けられていて、該保持手段は、該保持手段が1つのコップ又は巻管のコップ先端を支持するように、ひいては落下を阻止するように、形成されていて、この場合該コップ又は巻管のコップ基部は、向かい合って位置する受容部に位置している、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紡績コップはリング精紡機において製造され、比較的僅かな糸体積しか有しない。紡績コップは、後の処理プロセスのために、巻取り機において、著しく大きな糸体積を有する綾巻きパッケージに巻き返される。コップはリング精紡機から取り出され、例えばコップ容器において搬送されかつ貯蔵される。これらのコップ容器内においてコップは、整理されずに配置されていて、さらなる処理のために再び個別化されねばならない。相応に、巻取り機において繰出しの終わった空の巻管は、このような容器において、整理されず再び、リング精紡機に搬送され、かつ相応に個別化されねばならない。自動化されたさらなる処理のために、巻返し機におけるコップもしくはリング精紡機における巻管は、自動的に個別化され、例えば搬送皿上に、コップ先端を上に向けて位置決めされる。コップ基部はこの場合、搬送皿の差込み心棒によって保持される。さらなる処理のために、コップ先端を上に向けた状態で位置決めすることは、絶対に必要である。
【0003】
特許文献1に開示されたコップ供給ステーションは、無秩序に存在するコップを個別化し、コップ先端を鉛直方向で上方に方向付けて、巻取り機のコップ搬送手段に所定のタイミングで引き渡す。振動運動に基づいて作動するコップ円形コンベヤには、コップシュート、コップ供給器及びコップ方向転換器が後置されている。このコップ方向転換器は、コップ供給筒の上方に配置されていて、このコップ供給筒は、コップをコップ搬送手段に供給する。コップ方向転換器はこの場合、該コップ方向転換器がコップを水平なポジションから鉛直なポジションに旋回させることができるように、そして両回転方向が可能であるように、形成されている。必要な回転方向は、供給される次のコップの一端部を検知して、コップ先端とコップ基部とを区別するセンサによって決定される。
【0004】
コップ又は巻管の方向付けを検出する別個のセンサ装置及び、検出された方向付けに関連してコップ又は巻管を方向転換させる機構を有する、比較可能なコップ方向転換装置は、従来技術において種々様々な構成のものが公知である。これらの公知の構成は、種々様々な運動動作を実施する必要があることに基づいて、機構のみならず、制御装置及びアクチュエータも、相応に複雑もしくは高価である。
【0005】
しかしながらまた従来技術では、任意の方向付けで提供されたコップ及び/又は空の巻管を処理する装置であって、方向付けを検出するためのセンサ装置を設ける必要のない装置も公知である。
【0006】
特許文献2には、水平に提供された空の巻管を方向転換する装置が開示されている。この装置は、巻管基部及び巻管先端のための中間室を備えた各1つの受容部を有し、この場合中間室は、巻管先端が受容部を通過し、巻管基部が初めは受容部内に保持されるように、形成されている。巻管は初め、巻管先端を先にして落下する。次いで巻管先端は2つの横ウェブのうちの1つに向かって落下する。そしてこの横ウェブによって巻管は変向され、巻管は最終的に巻管基部を先にして、鉛直方向に落下する。しかしながら、特定の巻管型式が常に所望のように変向されるような、横ウェブの位置は、困難であると言わざるを得ない。それというのは、巻管の落下特性はその重量配分に強く依存しているからである。巻成された巻管もしくはコップに対しては、落下特性を確実に予測することはほとんど不可能である。それというのは、等しい巻管及び巻管における等しい糸量であっても、糸の正確な分布、ひいては重量配分は明らかに変化するからである。従って、このような公知の装置は、コップのためには適していない。
【0007】
特許文献3には、コップ基部及びコップ先端のための中間室を備えた各1つの受容部を有する、コップを方向付ける装置が開示されている。この場合コップ先端は中間室を通過し、コップ基部は中間室を通過しない。これにより、コップはコップ先端を先にして落下する。落下するコップが衝突する面は、コップが水平なポジションに導入されるように、位置決めされている。つまりこの場合コップを、コップ先端を上方に向けたポジションにもたらすためには、別の処置が必要である。
【0008】
特許文献4には、巻管を分類もしくは選別する装置が開示されている。この場合巻管は、支持台の上に位置決めされる。また、巻管の両端部の領域に配置されていて同時に作動させられる2つのエジェクタが設けられている。そして支持台の高さは、該当する巻管の巻管基部が、該巻管基部に向けられたエジェクタの運動経路内に進入していて、これに対して巻管先端は、エジェクタの運動経路の下に位置するように、寸法設定されている。エジェクタの作動時に、巻管基部はその支持台から押し出され、その結果、巻管はその巻管基部が最初に落下筒内に落ちる。この装置は巻管にしか適していない。巻管に糸が巻かれている場合には、巻管における糸体は、巻管先端側における支持台によって巻管の移動を阻止することになる、又は支持台を越えて糸体を移動させることになり、これによって糸の損傷を惹起するおそれがある。さらに、巻管先端側のエジェクタが糸体を捕らえてしまうおそれもある。またエジェクタからの支持台の間隔は、巻管の円錐度によって決定され、巻管基部を捕らえることができなくなるので、任意に大きくすることはできない。
【0009】
特許文献5に開示された装置は、任意の方向付けで提供されたコップ及び巻管を、コップ又は巻管がコップ基部を先にして鉛直方向に落下するように、方向転換させるために、構成されている。コップの方向転換についてだけは、明瞭に記載されている。しかしながら作用形式に基づいて、装置は巻管においても同様に使用することができるということを前提としている。この公知の装置は、両コップ端部のための中間室を備えた各1つの受容部を有する。両受容部は、互いに向かい合って位置していて、鉛直平面に対して対称的に配置されかつ形成されている。受容部は、円形区分の形状を有するそれぞれ2つのディスクから形成される。これらのディスクは回転可能に支持されていて、その周面に弾性的なライニングを有する。中間室は、両方のディスクの間隔によって形成され、コップ先端が中間室を通過しかつコップ基部が中間室を通過しないように、寸法設定されている。この公知の装置は、支持羽根として形成された保持手段を有し、これらの保持手段は、回転可能に支持されていて、かつ渦巻きばねによって保持される。そして保持手段はそれぞれ受容部の下に配置され、かつこの保持手段が、コップ基部は反対側に位置する受容部に位置しているコップ又は巻管のコップ先端を支持するように、構成されている。
【0010】
コップがそのコップ基部を先にして下方に向かって落下するようにするために、ディスクは回転させられる。ディスクの間に位置するコップ基部は、ディスクの間に引き込まれる。弾性的なライニングはこの際に撓む。コップ基部はディスクによって支持羽根に押し付けられる。これにより支持羽根は、渦巻きばねの力に抗して下方に向かって回転する。特定されたポジションにおいて、支持羽根は、受容部のディスクのうちの1つのディスクに固定されたピンによって捕らえられる。これによって、これによって支持羽根はさらに下方に向かって、最終的にコップ基部が鉛直方向に落下するまで、回転させられる。
【0011】
特許文献5の装置は、制限されたタイミング出力によってしか運転することができない。それというのは、ディスクはコップ基部をクランプする必要があり、任意の速度で回転することができないからである。さらにこのようなクランプによって、弾性的なライニングは摩耗することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE4112435A1
【特許文献2】DEOS1941259
【特許文献3】DEOS1909051
【特許文献4】DEOS1560349
【特許文献5】EP0475485A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ゆえに本発明の課題は、特許文献5に開示された装置を改良して、高いタイミング出力と僅かな摩耗で、任意の方向付けで提供されたコップ及び巻管の方向転換を可能にする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は本発明によれば、請求項1の特徴部記載の構成によって解決される。本発明の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0015】
すなわち前記課題を解決するために、本発明の構成では、冒頭に述べた装置において、保持手段によりコップ先端で支持されたコップ又は、コップ先端で支持された巻管が水平方向において、保持手段上で又は内部において運動可能であるように、該保持体は構成されており、受容部に対応して配設された操作手段が設けられていて、該操作手段は、保持手段によって支持されたコップ先端が操作手段の操作時に該操作手段によって捕捉されず、受容部に位置するコップ基部が操作手段の操作時に該操作手段によって捕捉されて、コップ又は巻管が水平方向に移動させられ、これにより該コップ又は巻管がコップ基部を先にして下方に向かって落下するように、構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明による装置は、コップにも巻管にも適している。本発明によれば、装置は、コップ又は巻管が水平方向に移動され得るように、そしてこれによってコップ基部が下方に向かって落下できるように、構成されている。従って、コップ基部のクランプは不要である。これによってサイクル時間を大幅に高めることができ、かつ摩耗は僅かになる。必要な操作手段は単純に構成されていてよく、例えば空気力式又は電気式の駆動装置によって作動させることができる。
【0017】
両受容部の操作手段は、同時に操作されることができる。装置の構造によって、コップ又は巻管は常に、コップ基部が受容部に配置され、かつコップ先端が保持手段上に配置されているように、位置決めされる。操作手段は、コップ基部を確実に捕捉するために、別の捕捉領域を有することができる。上に述べた配置形態に基づいて、うっかりと巻管先端が捕捉されるおそれは、発生しない。
【0018】
巻管における糸体は、巻管の水平方向における移動を損なわない。それというのは、コップは、コップ基部が1つの受容部に配置されかつ巻管先端が1つの保持手段に位置決めされていて、これによって幾分傾斜した位置を占めているからである。この傾斜位置に基づいて、コップ先端の縁部だけが保持手段を越えて滑る。そして糸体は保持手段に接触しない。
【0019】
受容部は好ましくは、ホッパ形状の輪郭部として形成されている。このように構成されていると、方向転換装置への供給時におけるコップ又は巻管の案内が、改善される。コップ又は巻管は例えばコンベヤベルトを介して供給することができる。ホッパ形状の輪郭部の上方にはフラップが配置されていてよく、このフラップの操作時にコップはホッパ開口内に落下する。
【0020】
本発明の好適な態様によれば、中間室の幅が調節可能である。このように構成されていると、受容部を種々様々な巻管直径に適合させることができる。中間室が調節されねばならない精度に対する要求は、特に大きなものではない。それというのは、中間室は単に、コップ先端の直径よりも大きく、コップ基部の直径よりも小さければ良いからである。つまり本発明にかかる手間もしくはコストは、僅かである。
【0021】
本発明の別の態様では、受容部同士の間隔は、コップの軸方向において調節可能である。このような構成によって、種々様々なコップ長さへの適合が可能になる。
【0022】
受容部はそれぞれ、コップの軸方向における運動を制限する制限手段を有することができる。これによって、コップの適正な位置決めが容易になり、操作手段の作動前における、軸方向におけるコップ又は巻管の不都合な移動が阻止される。
【0023】
本発明の好適な態様では、ホッパ形状の輪郭部はそれぞれ、2つのホッパ金属薄板によって形成される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、操作手段は、該操作手段が操作された状態において1つのホッパ金属薄板と共に第2のホッパ形状の輪郭部を形成するように、構成されている。この第2のホッパ形状の輪郭部は、必然的に、両ホッパ金属薄板から成るホッパ形状の輪郭部よりも狭くなり、かつ高い位置に配置されている。そしてコップ又は巻管の落下高さは減じられ、案内が改善される。
【0025】
本発明の好適な態様では、第2のホッパ形状の輪郭部は、コップ基部によっても、コップ先端によっても通過され得ない。このようになっていると、コップ又は巻管は最初、第2のホッパ形状の輪郭部内に保持される。操作手段の不作動によって、方向転換プロセスは、限定された状態で継続することができる。この場合コップ基部は、両ホッパ金属薄板から成るホッパ形状の輪郭部内において保持され、コップ先端は保持手段にまで落下する。
【0026】
本発明の別の態様によればホッパ金属薄板のうちの1つのホッパ金属薄板が、保持手段のところまで達している。これによって、ホッパ金属薄板の間における中間室を通って保持手段上に落下するコップ先端の案内が、改善される。
【0027】
ホッパ金属薄板のうちの1つのホッパ金属薄板が、移動可能であると、ホッパ金属薄板の間における中間室を容易に調節することができる。両方のホッパ金属薄板が移動可能であることは、必ずしも必要ない。移動不能なホッパ金属薄板は、それが常に保持手段の所まで達するように取り付けられていてよい。
【0028】
本発明による装置の別の好適な態様では、ホッパ形状の輪郭部に対応して、各1つの同一の成形部材が配設されている。そしてホッパ金属薄板は、成形部材に固定されていてよく、成形部材は、保持手段の少なくとも一部を取り囲んでいてよい。また、成形部材は好ましくは、操作手段のためのガイドとして形成されている。
【0029】
同一の成形部材を使用することによって、方向転換装置の製造時における利点が得られる。同じ部材の数が増える。このことは、成形部材の製造及び在庫管理を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による装置を示す斜視図である。
図2】コップ基部が受容部内にかつコップ先端が保持手段によって保持されるコップと共に、本発明による装置を示す斜視図である。
図3図2に示したコップと共に、本発明による装置を示す図であって、図2とは異なった方向から見た斜視図である。
図4】コップ基部を受容部から移動させるために、保持手段が作動させられた状態における、本発明による装置を示す斜視図である。
図5図4に示したように保持手段が作動させられた場合における、本発明による装置を、図4とは異なった方向から見た斜視図である。
図6】巻管基部が鉛直方向に落下するコップと共に、本発明による装置を示す斜視図である。
図7図6に示したように、巻管基部が鉛直方向に落下するコップと共に、本発明による装置を示す図であって、図6とは異なった方向から見た斜視図である。
図8】コップ先端が保持手段から解離する、鉛直方向に落下するコップと共に、本発明による装置を示す斜視図である。
図9図8に示したように、鉛直方向に落下するコップと共に、本発明による装置を示す図であって、図8とは異なった方向から見た斜視図である。
図10】本発明による装置の成形部材を示す斜視図である。
図11】ホッパ金属薄板を取り付けられた、図10に示した成形部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図1には、コップ2及び巻管20を方向転換する本発明による装置1が示されている。この装置1の機能については、以下においてコップ2に対して記載する。しかしながらこの機能は、巻管20に対しても同じように与えられている。コップ2の巻成によって大部分が覆われる巻管20は、破線で示されている。装置1は、コップ端部のために互いに向かい合って位置する2つの受容部5,6を有し、この場合受容部5,6は、該両受容部5,6の間における1つの鉛直平面に対して、対称的に配置され、かつ形成されている。受容部5,6はそれぞれホッパ形状の輪郭部11として形成されていて、この輪郭部11は、2つのホッパ金属薄板12,13によって形成される。ホッパ金属薄板12,13は、1つの成形部材15に取り付けられている。
【0033】
図10には、成形部材15だけが示されている。この成形部材15は、ホッパ金属薄板12,13用の2つの挿入部18を有する。図11には、ホッパ金属薄板12,13を取り付けた成形部材15が側面図で示されている。この場合ホッパ金属薄板13は、成形部材15の底部19にまで達している。ホッパ金属薄板12は移動可能であるので、ホッパ形状の輪郭部11の端部における中間室9は調節可能である。これによって中間室9は、選択されたコップ2のコップ先端4が中間室9を通過し、コップ2のコップ基部3が中間室9を通過しないように、調節することができる。中間室9を通過するコップ先端4は、成形部材15の底部19にまで延びるホッパ金属薄板13によって案内され、最終的に、ホッパ金属薄板13と成形部材15の底部19とから形成された凹部7において保持される。
【0034】
さらに成形部材15は、コップ基部3を受容部から押し出すために働く操作手段のためのガイド17を有する。操作手段は図示の実施形態ではスライドエレメント8として形成されている。スライドエレメント8の操作は、例えば空気力式又は電気機械式に行うことができる。しかしながらまたコップ2の移動は、適宜な旋回エレメントによって行うこともできる。スライドエレメント8の操作時もしくは走出押出し時に、スライドエレメント8とホッパ金属薄板12は、第2の狭幅のホッパ形状の輪郭部14を形成する。スライドエレメント8の上に配置されかつ成形部材15の一部として形成されたエレメント16は、新たなコップが提供される場合に、付加的なガイドとして働く。ホッパ形状の輪郭部11,14の領域において、成形部材15は壁10を有する。この壁10は、向かい合って位置する成形部材15の壁10と関連して、提供されたコップのための軸方向制限部を形成する。装置1を種々様々なコップ長さに適合できるようにするために、両成形部材15の間隔もしくは受容部5,6の間隔は、可変である。このことは例えば、1つの受容部の成形部材15が長孔を備えた保持装置に取り付けられることによって、実現することができる。しかしながら壁10は、凹部7の領域内までは延びていない。これによって、コップ先端4が凹部7内において鉛直方向に保持されるコップ2を、水平方向において移動可能にすることができる。
【0035】
図1は、コップ2がちょうど供給された、装置1の状態を示す。このコップ2は、水平に、例えば図示されていない落下フラップを用いて、任意の方向付けで提供される。この場合任意の方向付けというのは、どちらのコップ端部にコップ先端4が位置し、かつどちらのコップ端部にコップ基部3が位置するかは、問わない、ということを意味する。図示の実施形態では、スライドエレメント8はコップ2の提供時に操作され、つまり走出押出しされる。この際にコップ2は最初に、ホッパ金属薄板12とスライドエレメント8とによって形成される狭幅のホッパ形状の輪郭部14内に落下する。この輪郭部14は、コップ基部3及びコップ先端4を保持する。これによってコップ2の落下高さは減じられ、コップ2は確定されたポジションにもたらされる。しかしながらまた択一的に、スライドエレメント8はコップ2の提供時に走入され(引き込まれ)ていてもよい。この場合コップ2は、ホッパ金属薄板12,13から形成されるホッパ形状の輪郭部11内に、直に落下する。
【0036】
図示の実施形態では、図1に示した状態を起点として、両受容部5,6のスライドエレメント8は同時に走入される。コップ2は、図2及び図3に示したポジションに達する。ここでは受容部5に配置されているコップ基部3は、ホッパ金属薄板12,13から形成されるホッパ形状の輪郭部11内において保持される。コップ先端4は、受容部6のホッパ形状の輪郭部11の中間室9を通って落下する。しかしながらコップ先端4は、凹部7によって受け止められて、鉛直方向においてさらに落下することはない。
【0037】
図2及び図3の状態を起点として、スライドエレメント8が操作され、つまり両受容部5,6において同時に操作される。つまり装置1の機能にとっては、コップの方向付けをセンサによって検出する必要がない。スライドエレメント8は、受容部5に位置するコップ基部3を捕捉して、コップ2を軸方向において押し出す。この場合成形部材15は、受容部6の凹部7に位置しているコップ先端4が、この軸方向移動に追従することができ、運動を制限しないように、形成されている。受容部6のスライドエレメント8は、凹部7に位置するコップ先端4を捕捉しない。上に述べた状態は、図4及び図5に示されている。
【0038】
スライドエレメント8が完全に走出されるや否や、コップ基部3は、図6及び図7に示すように、もはやホッパ形状の輪郭部11内に保持されず、落下する。コップ2はコップ基部3を先にして、図示されていない落下筒内に落下し、図示されていない差し嵌め部に供給される。
【0039】
落下プロセスのさらなる経過において、コップ先端4は、図8及び図9に示すように、凹部7から解離される。そして今や、方向転換される次のコップ2を受容部5,6に供給することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 装置、 2 コップ、 3 コップ基部、 4 コップ先端、 5,6 受容部、 7 凹部、 8 スライドエレメント、 9 中間室、 10 壁、 11 輪郭部、 12,13 ホッパ金属薄板、 14 輪郭部、 15 成形部材、 16 エレメント、 17 ガイド、 18 挿入部、 19 底部、 20 巻管
図1
図2
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図11