特許第6066901号(P6066901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60669011つまたは複数の管腔器官内または管腔器官にある構造を撮像するための装置およびデバイスのための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066901
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】1つまたは複数の管腔器官内または管腔器官にある構造を撮像するための装置およびデバイスのための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   A61B1/00 300P
   A61B1/00 300D
   A61B1/00 320C
【請求項の数】42
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-513375(P2013-513375)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2013-533006(P2013-533006A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】US2011039066
(87)【国際公開番号】WO2011153434
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年5月30日
(31)【優先権主張番号】61/351,201
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バウマ ブレット イー
(72)【発明者】
【氏名】ゴラ ミカリーナ
(72)【発明者】
【氏名】シューター メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ホンギ
(72)【発明者】
【氏名】シシコフ ミレン
【審査官】 小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−510450(JP,A)
【文献】 特表2009−523581(JP,A)
【文献】 特表2007−524455(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/032016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの管腔または中空試料内部の少なくとも一部分に関するデータを得るための装置であって、第1の光学構成と、第2の構成と、第3の構成と、を含み、
前記第1の光学構成は、該少なくとも一部分にまたは一部分から、少なくとも1つの電磁放射を送受信するように構成され、
前記第2の構成は、前記第1の構成を少なくとも部分的に取り囲み、少なくとも1つの区域を含み、前記少なくとも1つの区域は、隣接する部分よりも可撓性が高く、
前記第3の構成は、該少なくとも1つの管腔または中空試料内部の所定の位置に該第1の構成を位置決めするように作動するように構成され、前記第3の構成は、バルーン構成またはバスケット構成を含み、
前記第2の構成の前記少なくとも1つの区域は、前記バルーン構成または前記バスケット構成にカップリングされる、装置。
【請求項2】
前記装置は、患者の口または鼻の少なくとも1つを通して挿入可能であるように構造化およびサイズ設定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の構成は、少なくとも1つの収差を補償するように構成された少なくとも1つの円筒形表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の構成は、少なくとも1つの収差を補償するように構成された少なくとも1つの楕円形ボールレンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第3の構成はバルーン構成のバルーンを含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記バルーンは気体または液体の少なくとも1つを充填可能である請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の構成は、案内構成を少なくとも一部分を通じて容易に挿入できるようにする少なくとも一部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記少なくとも一部分の内部の圧力を測定するように構成されたさらなる構成を含む請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記データは、少なくとも1つの管腔または中空試料に対する前記第1の構成の位置または向きの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電磁放射が可視領域内の1つまたは複数の波長で提供される請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の構成は、前記少なくとも一部分に前記少なくとも1つの電磁放射を向けてデータを得る区域を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は嚥下されるように構成およびサイズ設定されている請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の光学構成は、前記少なくとも一部分にまたは一部分から、少なくとも1つの第1の電磁放射を送受信し、少なくとも1つの第2の電磁放射を伝送して、前記少なくとも一部分あるいはその内部に対してアブレーションを行う、熱的損傷を加える、または構造的な変化を生じさせるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
さらに、前記第2の構成を少なくとも部分的に取り囲み、前記第1の構成の区域の周縁よりも空間的に外側の位置に延在することが可能なさらなる構成を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記データ、ならびに前記少なくとも1つの試料に対する前記第1の構成の位置および回転角を受信して記録するように構成されたさらなる装置を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第3の構成は、前記第2の構成から延びるさらなる構成を含み、
前記さらなる構成は、走査構成を含み、前記さらなる構成は、前記少なくとも1つの試料の少なくとも一回の走査中に、該走査構成から得られるエンコーダ信号のデジタルカウントによって、前記位置および前記回転角を検出する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
さらに、前記位置および前記回転角を受信し、前記位置および前記回転角を使用して、前記少なくとも一部分に関連付けられる少なくとも1つの画像を生成するように構成された追加の構成を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記追加の構成は、前記少なくとも1つの画像の少なくとも1つの空間的な歪を補正するようにさらに構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
さらに、前記少なくとも1つの試料に対する前記第1の構成の少なくとも2回の軸方向並進中に前記少なくとも1つの試料の複数の画像を受信するように制御することが可能な処理構成を含む、請求項1に記載の装置、ここで、該軸方向並進の各々は、ある回転角で提供されている。
【請求項20】
前記データは前記少なくとも1つの試料に関連付けられた干渉データである、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記干渉データは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータまたは光周波数領域撮像データの少なくとも1つである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の少なくとも一部分は麻酔物質でコーティングされている請求項1に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つの管腔または中空試料内部の少なくとも一部分に関するデータを得るための装置であって、光学的な第1の構成と、第2の構成と、さらに第3の構成と、を含み、
光学的な前記第1の構成は、該少なくとも一部分にまたは一部分から、少なくとも1つの電磁放射を送受信するように構成され、
前記第2の構成は、該少なくとも1つの管腔または中空試料内部の所定の位置に前記第1の構成を位置決めするように作動するように構成され、前記装置の少なくとも一部分は、ピルの形状を有し、前記第2の構成のサイズは、作動するときに、変えられ、
前記第3の構成は、前記第1の構成を少なくとも部分的に取り囲み、隣接する部分よりも可撓性の高い少なくとも一部分を含み、
前記第3の構成の前記少なくとも一部分は、前記第2の構成にカップリングされる、装置。
【請求項24】
前記装置の少なくとも一部分は麻酔物質でコーティングされている請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第2の構成はバルーンまたはバスケットの少なくとも1つを含む請求項23に記載の装置。
【請求項26】
さらに、前記第1の構成を完全に取り囲み、隣接する部分よりも可撓性の高い少なくとも一部分を含む第3の構成を含む請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は患者の口または鼻の少なくとも1つを通して挿入可能であるように構造化およびサイズ設定されている請求項23に記載の装置。
【請求項28】
さらに、前記少なくとも1つの試料に対する前記第1の構成の少なくとも2回の軸方向並進中に、前記少なくとも1つの試料の複数の画像を受信するように制御することが可能な処理構成を含む、請求項23に記載の装置、ここで、該軸方向並進の各々は、ある回転角で提供される。
【請求項29】
前記データは前記少なくとも1つの試料に関連付けられた干渉データである請求項23に記載の装置。
【請求項30】
前記干渉データは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータまたは光周波数領域撮像データの少なくとも1つである、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記装置全体が麻酔物質でコーティングされている請求項23に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つの管腔または中空試料内部の少なくとも一部分にまたは少なくとも一部分から、少なくとも1つの電磁放射を提供する装置であって、
少なくとも一部分にまたは一部分から、該少なくとも1つの電磁放射を受信または送信の少なくとも1つをするように構成された光学的な第1の構成、および
該第1の構成を少なくとも部分的に取り囲み、かつ、(i)1つまたは複数の瘤状部、(ii)1つまたは複数の隆起部、または(iii)1つまたは複数の突起部の少なくとも1つを含む少なくとも1つの領域を含むバルーンの第2の構成、ここで、該第2の構成の少なくとも一区域は、そこを通して該少なくとも1つの放射が伝送されるように構成または構造化されている、
を含む装置。
【請求項33】
前記少なくとも一区域は前記少なくとも1つの領域とは別に提供される請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの領域は、前記少なくとも1つの放射がそこを通して伝送されるように構成または構造化されている請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの領域は、前記少なくとも1つの放射がそこを通して伝送されるのを防止するように構成または構造化されている請求項32に記載の装置。
【請求項36】
さらに、前記少なくとも一部分からの前記少なくとも1つの電磁放射を受信して、受信した少なくとも1つの電磁放射に応じて画像データを生成するように構成された第3の構成を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記第3の構成は、(i)光音響構成、(ii)蛍光構成、(iii)光学分光法構成、(iv)レーザスペックル撮像構成、(v)光トモグラフィ構成、(vi)超音波構成、または(vii)前記少なくとも一部分の変化を引き起こすように成された構成の少なくとも1つである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記画像データは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータまたは光周波数領域撮像データの少なくとも1つに基づく、請求項36に記載の装置。
【請求項39】
内部解剖学的構造の少なくとも一部分の少なくとも1つの特徴を決定するための装置であって、
そこを通して構造にまたはそこを通して構造からの少なくとも1つで、電磁放射を送信または受信の少なくとも1つをするように構成されたピル構成、ここで、該ピル構成は、嚥下されるように構成されている、および
ピル構成に関連付けられ、嚥下時にピル構成から身体の外まで延在する係留構成、ここで、該係留構成は、
(i)(a)該電磁放射、構造の機械的な動きに関連付けられる情報、または該装置のトルクに関する情報、および(b)電気信号、
(ii)そこに供給される空気、または
(iii)そこを通して供給される流体、
の少なくとも1つに関連付けられる信号を送信または受信の少なくとも1つをするように構成されている、
を含み、
前記装置は、さらなる構成をさらに含み、前記さらなる構成は、前記少なくとも一部分から前記少なくとも1つ電磁放射を受信して、受信した該少なくとも1つ電磁放射に応じて画像データを生成するように構成されており、
前記係留構成は、ドライブシャフトと、弾性の中心合わせワイヤと、を備え、前記弾性の中心合わせワイヤは、前記ドライブシャフトの遠位内腔の内部で自由に並進するように構成されている、装置。
【請求項40】
前記さらなる構成は、(i)光音響構成、(ii)蛍光構成、(iii)光学分光法構成、(iv)レーザスペックル撮像構成、(v)光トモグラフィ構成、(vi)超音波構成、または(vii)前記少なくとも一部分の変化を引き起こすように成された構成の少なくとも1つである、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記画像データは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータまたは光周波数領域撮像データの少なくとも1つに基づく、請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記係留構成によって受信または提供される信号は光学信号または電気信号の少なくとも1つである請求項39に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、1つまたは複数の管腔器官または管腔器官内にある構造の少なくとも一部を撮像するための装置および方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年6月3日出願の米国特許出願第61/351,201号に基づき、上記特許出願からの優先権を主張する。上記特許出願の開示全体を参照として本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
光学撮像デバイスは、管腔器官に起因する疾患を評価して診断するための重要なツールとなっている。光コヒーレンストモグラフィ(OCT)および光周波数領域撮像(OFDI)を含む撮像方法/処置が、2つの例示的な胃腸組織撮像法である。他の例示的な方法/処置としては、共焦点顕微鏡法およびスペクトル符号化共焦点顕微鏡法(SECM)がある。OCTおよびOFDI処置は、細胞成分および細胞レベル以下の成分の屈折率の不一致により生じる後方散乱光を獲得することができ、それにより、生体内での少なくとも1つの組織微細構造の画像の生成を容易にする。撮像光学系の螺旋プルバック走査によって実現される広範な撮像は、1つまたは複数の管腔器官の全区域からそのような顕微鏡撮像情報を容易に得ることができるようにする。この微細構造情報に基づいて、食道、結腸、血管、管路などの管腔器官からの疾患を、早期の段階で識別および検出することができる。
【0004】
OCTおよびOFDIを含めた光トモグラフィ方法/処置は、例えば数百マイクロメートルから数ミリメートルまでの限られた撮像深さ範囲しか有することができない。十分な画像コントラストおよび分解能を得るためには、組織を光学撮像範囲内に位置させるべきである。比較的大きな直径を有することがある多くの管腔器官(例えば、ヒトの結腸では5〜8cm、ヒトの食道では2.5cmなど)の場合、器官全体の画像を得るための1つの好ましい方法は、管腔内部の撮像プローブの中心合わせであることがある。
【0005】
そのような中心合わせに関する1つの可能性は、バルーンカテーテルの利用であることがある。カテーテルの配置後、バルーンを膨張させることができ、それにより、撮像光学系の中心合わせが成される。この処置は、撮像カテーテルが、管腔器官の上皮組織全体から画像を容易に得ることができるようにする。バルーンを膨張および収縮させることができるので、バルーンカテーテルは、スタンドアローンデバイスとして、または付属チャネルを通る内視鏡と共に使用することができる。
【0006】
しかし、管腔器官は複雑な構造を有することがあり、したがってカテーテルの湾曲および光学プローブの中心ずれを引き起こす。これにより、管腔器官の撮像が最適でなくなることがある。中心ずれが撮像プローブの撮像深さよりも大きいときには、管腔器官のいくつかの領域が適切には撮像されないことがある。さらに、臨床環境では、呼吸および心拍を含めた患者の動きにより、湾曲の問題とそれに伴う中心ずれが生じ、それにより画像獲得が不完全になることがしばしば起こり得る。
【0007】
現在、OFDIバルーンカテーテルの配置は、鎮静を伴う上部内視鏡処置を利用する。残念ながら、上部内視鏡法は、不利益の多い処置となり得る。内視鏡法の大きな不利益に関わる1つの重要な原因は、鎮静が好ましいことであり、このため、連続的な心拍監視および看護サポートを伴って特殊な環境内で処置を行わざるを得なくなることがある。鎮静は、長期の回復時間および生産性の損失をもたらすので、患者にとっての不利益も追加の因子となり得る。
【0008】
一般にカテーテルを通すとき、経鼻アクセスは、経口アプローチよりも許容性が高いことがある。なぜなら、非鎮静の経口処置では、咽頭反射がより激しく起こるからである。経鼻胃管(NGチューブ)挿入など標準の経鼻処置は、年間数百万人の患者に行われていることがあり、重大な合併症は(あるにせよ)、ほとんどない。非鎮静の経鼻バルーン拡張は、外来環境で、合併症を伴わずに行うことができ、許容性が高い(Rees CJ, In−office unsedated transnasal balloon dilation of the esophagus and trachea. Current opinion in otolaryngology & head and neck surgery, 2007; 15(6):401−4参照)。バルーンカテーテルの直径は、標準の経鼻胃管内に通すのに十分に小さいので、食道撮像処置のために鎮静なしで使用することもできる。
【0009】
非鎮静処置を容易にするOFDIカテーテルの別の形態は、嚥下することができるカプセルである。食道カプセル内視鏡法(ECE)は、経鼻内視鏡法よりも容易に実施することができる。なぜなら、カプセルの嚥下は、患者になじみがあり、経鼻処置よりも許容性が高いことがあるからである。しかし、従来のカプセル内視鏡処置は、大抵はGEJでのカプセルの制御をできず、したがって、場合によっては、食道の重要な領域で有用な画像がほとんど得られなくなる。診断精度が低くなるため、また、一回使用の使い捨てカプセルのコストが高い(例えば約450ドル)ため、カプセル内視鏡法を用いたBEスクリーニングのための費用対効果分析は、従来の内視鏡に勝る利益を実証していない。別の処置、すなわちストリングカプセル内視鏡法(SCE)を使用することもでき、これは、カプセルをストリングに繋留して、ピルカメラの位置の厳密な制御、およびGEJの反復的な視覚化を可能にする(Weston AP, String capsule endoscopy: a viable method for screening for Barrett’s esophagus, Gastrointestinal endoscopy 2008; 68(l):32−4参照)。SCEを用いた100名の患者に対する最近の研究において、この技法は、許容性が高く、上部内視鏡の性能に匹敵する診断性能を有することが示された。例えば、SCEカプセルは、回収し、滅菌し、再使用することができ、それによりカプセル内視鏡法のコストを大幅に削減する。しかし、それにも関わらず、SCE処置は大抵、内視鏡法と同じ診断精度限界を受ける。
【0010】
バルーンカテーテルの1つの重要な特徴は、組織に対するバルーンの影響である。一般に、中心合わせバルーンは、撮像対象の組織を押圧し、これが診断精度に影響を及ぼすことがある。診断プロセス/処置は、健康な組織と疾患組織に関して特徴的な構造上の相違に基づくことがある。表面トポロジーは、結果の分析に有用であることがあり、例えば、上皮での突起部などの特徴的形態が、バレット食道に関して典型的な特徴である。さらに、OFDIカテーテル撮像法/処置の確認は、撮像対象の領域から取られた生検を比較することによって行うことができる。組織学標本に関して、同じ圧力条件を正確に模擬することは難しいことがある。
【0011】
したがって、本明細書で上述した従来の手法、処置、および/またはシステムの難点の少なくともいくつかに対処する、および/またはそれらを克服することが有益であることがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Rees CJ, In−office unsedated transnasal balloon dilation of the esophagus and trachea. Current opinion in otolaryngology & head and neck surgery, 2007; 15(6):401−4
【非特許文献2】Weston AP, String capsule endoscopy: a viable method for screening for Barrett’s esophagus, Gastrointestinal endoscopy 2008; 68(l):32−4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本開示の目的の1つは、そのような従来技術の手法、処置、方法、システム、装置、およびコンピュータアクセス可能媒体の難点および/または限界を緩和する、またはそれらに対処することである。
【0014】
例えば、本開示の1つの目的は、管腔器官の大部分の広範な顕微鏡観察を可能にするために、管腔器官内部で撮像プローブをほぼ中心合わせするための、例示的実施形態による例示的な顕微鏡撮像デバイスを提供することである。本開示のさらなる目的は、スタンドアローンモードで動作することができ、したがって意識下鎮静の必要性を少なくとも一部はなくす、管腔器官の顕微鏡観察を行うために構成することができるデバイスを提供することである。本開示の別の目的は、1つまたは複数の繋留紐付きカプセルによって、1つまたは複数の生体内顕微鏡観察技術を利用することである。本開示のさらなる目的は、顕微鏡画像データセットの大部分に関して、組織表面トポロジーに及ぼす影響を最小限にしながら、光学系を中心合わせするバルーンカテーテルを提供することである。
【0015】
本開示の例示的実施形態によれば、光学技法を使用して、生物学的組織、例えば管腔器官の生体内撮像を容易にすることができるデバイスおよび方法を提供することができる。例示的なデバイスは、様々な設計で、組織を照明して管腔内部から信号を収集することができる1つまたは複数のカテーテルの特徴を含むことができる。本開示の別の例示的実施形態では、バルーンカテーテルに可撓性ネックを設けることができ、この可撓性ネックが湾曲のほとんどを吸収することができる。本開示のさらに別の例示的実施形態によれば、繋留紐付きバルーンカテーテルカプセルを提供することができ、さらなる例示的実施形態によれば、構造化バルーン設計に1つまたは複数の突起部を設けることができ、それにより、例えば組織を押圧せずに、非常に接近して構造を撮像することを可能にする。
【0016】
したがって、本開示の1つの例示的実施形態によれば、少なくとも1つの管腔または中空試料内部の少なくとも一部分に関するデータを得るための装置および方法を提供することができる。例えば、第1の光学構成を使用して、少なくとも一部分に/から、少なくとも1つの電磁放射を送受信することができる。さらに、(第1の構成を少なくとも部分的に取り囲む)第2の構成を使用することができ、第2の構成は、隣接する部分よりも可撓性の高い少なくとも1つの区域を含む。さらに、少なくとも1つの管腔または中空試料内部の所定の位置に第1の構成を位置決めするために、第3の構成を作動させることができる。第3の構成は、バルーン構成、バスケット構成、および/または第2の構成から延在するさらなる構成を含むことができる。
【0017】
装置は、患者の口および/または鼻を通して挿入可能であるように構造化およびサイズ設定することができる。第1の構成は、少なくとも1つの収差を補償するように構成された少なくとも1つの円筒形表面および/または少なくとも1つの楕円形ボールレンズを含むことができる。第3の構成は、バルーン構成のバルーンを含むことができ、バルーンは、気体および/または液体を充填可能であることがある。第2の構成は、そこを通して案内構成を容易に挿入できるようにする少なくとも一部分を含むことができる。さらに、さらなる構成を使用して、一部分または複数の部分の内部の圧力を測定することができる。データは、(1つまたは複数の)管腔または中空試料に対する第1の構成の位置および/または向きを含むことができる。(1つまたは複数の)電磁放射を、可視領域内の1つまたは複数の波長で提供することができる。
【0018】
本開示の別の例示的実施形態によれば、第1の構成は、一部分または複数の部分に(1つまたは複数の)電磁放射を向けてデータを得る区域を含むことができる。装置は、嚥下されるように構成およびサイズ設定することができる。第1の光学構成を使用して、一部分または複数の部分に/から、少なくとも1つの第1の電磁放射を送受信することができ、少なくとも1つの第2の電磁放射を伝送して、一部分または複数の部分あるいはその内部に対してアブレーションを行う、熱的損傷を加える、または構造的な変化を生じさせる。また、第2の構成を少なくとも部分的に取り囲むことができ、第1の構成の区域の周縁よりも空間的に外側の位置に延在することが可能なさらなる構成を提供することもできる。
【0019】
本開示のさらに別の例示的実施形態では、データ、ならびに(1つまたは複数の)試料に対する第1の構成の位置および回転角を受信して記録するためのさらなる装置を使用することができる。そのようなさらなる構成は、走査構成を含むことができ、(1つまたは複数の)試料の少なくとも一回の走査中に、走査構成から得られるエンコーダ信号のデジタルカウントによって、位置および回転角を検出することができる。さらに、追加の構成では、位置および回転角を受信し、位置および回転角を使用して、一部分または複数の部分に関連付けられる少なくとも1つの画像を生成することができる。追加の構成では、(1つまたは複数の)画像の少なくとも1つの空間的な歪を補正することも可能である。
【0020】
本開示のさらなる例示的実施形態によれば、(1つまたは複数の)試料に対する第1の構成の少なくとも2回の軸方向並進中に(1つまたは複数の)試料の複数の画像を受信するように制御することが可能な処理構成を提供することができ、ここで、各軸方向並進は、ある回転角で提供することができる。データは、(1つまたは複数の)試料に関連付けられた干渉データでよく、これは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータおよび/または光周波数領域撮像データでよい。装置の少なくとも一部分は、麻酔物質でコーティングされることがある。
【0021】
本開示のさらなる例示的実施形態では、少なくとも1つの管腔または中空試料内部の少なくとも一部分に関するデータを得るための装置および方法を提供することができる。例えば、光学的な第1の構成を使用して、一部分または複数の部分に/から、少なくとも1つの電磁放射を送受信することができる。さらに、(1つまたは複数の)管腔または中空試料内部の所定の位置に第1の構成を位置決めするように作動されるように構成された第2の構成を使用することができる。装置の少なくとも一部分は、ピルの形状を有することができ、作動されるときに第2の構成のサイズを変えることができる。
【0022】
また、第1の構成を少なくとも部分的に取り囲み、隣接する部分よりも可撓性の高い少なくとも一部分を含む第3の構成を提供することもできる。装置の少なくとも一部分は、麻酔物質でコーティングされることがある。第2の構成は、バルーンおよび/またはバスケットを含むことができる。第1の構成を完全に取り囲み、隣接する部分よりも可撓性の高い少なくとも一部分を含む別の構成を提供することもできる。装置は、患者の口および/または鼻を通して挿入可能であるように構造化およびサイズ設定することができる。少なくとも1つの試料に対する第1の構成の少なくとも2回の軸方向並進中に(1つまたは複数の)試料の複数の画像を受信するように制御することが可能な処理構成を提供することができ、ここで、各軸方向並進は、ある回転角で提供される。データは、(1つまたは複数の)試料に関連付けられた干渉データでよく、これは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータおよび/または光周波数領域撮像データでよい。装置全体を、麻酔物質でコーティングすることができる。
【0023】
本開示のさらに別の例示的実施形態によれば、装置は、少なくとも1つの管腔または中空試料内部の少なくとも一部分に/から、少なくとも1つの電磁放射を提供することができる。例示的な装置は、一部分または複数の部分に/から(1つまたは複数の)電磁放射を送信/受信することができる光学的な第1の構成を含むことができる。さらに、バルーンの第2の構成を提供することができ、第2の構成は、第1の構成を少なくとも部分的に取り囲み、(i)1つまたは複数の瘤状部、(ii)1つまたは複数の隆起部、および/または(iii)1つまたは複数の突起部を含む少なくとも1つの領域を含む。例えば、第2の構成の少なくとも一区域は、そこを通して(1つまたは複数の)放射が伝送されるように構成または構造化することができる。
【0024】
上記の一区域または複数の区域は、上記の少なくとも1つの領域とは別に提供することができ、領域は、(1つまたは複数の)放射がそこを通して伝送されるように、または(1つまたは複数の)放射がそこを通して伝送されるのを防止するように構成または構造化することができる。一部分または複数の部分から(1つまたは複数の)電磁放射を受信し、受信した(1つまたは複数の)電磁放射に応じて画像データを生成するように構成された第3の構成を提供することもできる。第3の構成は、(i)光音響構成、(ii)蛍光構成、(iii)光学分光法構成、(iv)レーザスペックル撮像構成、(v)光トモグラフィ構成、(vi)超音波構成、および/または(vii)一部分または複数の部分の変化を引き起こすように成された構成でよい。画像データは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータおよび/または光周波数領域撮像データに基づくことがある。
【0025】
本開示のさらなる例示的実施形態では、内部解剖学的構造の少なくとも一部分の少なくとも1つの特徴を決定するための装置を提供することができる。この装置は、そこを通して構造に/から電磁放射を送信/受信するように構成され、かつ嚥下されるように構成されたピル構成を含むことができる。また、装置は、ピル構成に関連付けられ、嚥下時にピル構成から身体の外まで延在する係留構成を含むこともできる。係留構成は、(i)(a)電磁放射、構造の機械的な動きに関連付けられる情報、または装置のトルクに関する情報に関連付けられる信号、および(b)電気信号、ならびに(ii)そこに供給される空気、または(iii)そこを通して供給される流体に関連付けられる信号を送信および/または受信するように構成することができる。
【0026】
例えば、一部分または複数の部分から(1つまたは複数の)電磁放射を受信し、受信した(1つまたは複数の)電磁放射に応じて画像データを生成するように構成されたさらなる構成を提供することができる。第3の構成は、(i)光音響構成、(ii)蛍光構成、(iii)光学分光法構成、(iv)レーザスペックル撮像構成、(v)光トモグラフィ構成、(vi)超音波構成、および/または(vii)一部分または複数の部分の変化を引き起こすように成された構成でよい。画像データは、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィデータおよび/または光周波数領域撮像データに基づくことがある。係留構成によって受信および/または提供される信号は、光学信号および/または電気信号である。
【0027】
本開示の例示的実施形態のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の特許請求の範囲に関連付けて、本開示の例示的実施形態の以下の詳細な説明を読めば明らかになろう。
【0028】
本開示のさらなる目的、特徴、および利点は、本開示の例示実施形態を図示する添付図面に関連付けて述べる以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示によるカテーテルを使用するOFDI撮像の例示的実施形態の図である。
図2図2(a)は、本開示の別の例示的実施形態による、経鼻配置中の、可撓性ネックを有するバルーンカテーテルの図である。図2(b)は、撮像中の、図2(a)の可撓性ネックを有するバルーンカテーテルの図である。
図3図3(a)は、本開示のさらに別の例示的実施形態による、可撓性ネックを有する湾曲されたバルーンカテーテルの図である。図3(b)は、本開示のさらなる例示的実施形態による、可撓性ネックを有さない湾曲されたバルーンカテーテルの図である。
図4図4(a)は、本開示のさらなる例示的実施形態による、配置中の、繋留紐付きカプセルデバイスを備えるバルーンカテーテルの図である。図4(b)は、撮像中の、図4(a)の繋留紐付きカプセルデバイスを備えるバルーンカテーテルの図である。
図5図5(a)は、本開示のさらに別の例示的実施形態による、(1つまたは複数の)球状突起部を有する構造化バルーン設計の図である。図5(b)は、本開示のさらなる例示的実施形態による、(1つまたは複数の)リング突起部を有する構造化バルーン設計の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を通じて、特に指定のない限り、例示する実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を表すために同一の参照番号および参照符号を使用する。さらに、図面を参照しながら本開示を以下に詳細に説明するが、そのような説明は、例示実施形態に関連付けて行う。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、説明する例示的実施形態に変更および修正を加えることができることが意図される。
【0031】
本開示による光学撮像カテーテルシステム/装置の例示的実施形態の図を図1に示す。この例示的な装置は、微細構造撮像システム110と、シングルモード光ファイバ115と、ガイドされた生検または組織治療用のマーキングレーザ120と、回転接合部130と、光学撮像カテーテル140と、データ獲得システム160と、(1つまたは複数のコンピュータおよび1つまたは複数のデータ記憶デバイスを含む)データ処理および記憶構成170とを含むことができる。例示的な微細構造撮像システム(例えば、光周波数領域撮像や光コヒーレンストモグラフィなどのモダリティの少なくとも1つを利用するシステム)110が、組織180など解剖学的構造の1つまたは複数の部分から後方反射された光(または他の電磁放射)を検出して、組織の微細構造に関する信号および/または情報を獲得することができる。
【0032】
例えば、微細構造撮像モダリティとマーキング/治療レーザプラットフォームとの両方からの光学信号および/またはデータが、シングルモードファイバ115に結合され、シングルモードファイバ115は、回転接合部130に接続させることができる。回転接合部130は、固定撮像システムと光学撮像カテーテル140の間のインターフェースとして機能することができ、カテーテル140は、回転および/または並進することができる。撮像プローブ150は、螺旋走査のためにカテーテル140の内部で回転および並進させることができる。光学撮像プローブ150は、光学撮像ビーム155を組織180上に集束させることができる。組織180からの戻りの光信号(または電磁放射に関連付けられる信号)を、微細構造撮像システム110によって検出することができる。信号は、データ獲得システム160によって獲得することができる。データ処理および記憶構成/装置170は、ふさわしい適切な動作のため、および後で行うことができる視覚化および分析のために、受信された信号に基づくデータを例えばリアルタイムで記憶および/または処理することができる。
【0033】
図2(a)は、本開示の別の例示的実施形態による、経鼻配置中の、可撓性ネックを有するバルーンカテーテル装置の図である。この例示的な装置は、可撓性保護シース210の内部に、長く、直径の小さい押込みシャフト150を備えることができる。カテーテル/装置の遠位端に、位置決めバルーン250を配置することができ、位置決めバルーン250は、食道内部で光学プローブを中心合わせすることができる。バルーン250の膨張のための空気は、外側シース220を通して送達することができる。図2(b)に示されるような膨張されたバルーンの撮像窓の長さが、撮像中に走査される組織の長さを定義することができる。外側シース220は、追加の可撓性シースの短いセグメントによってバルーン250に接続させることができ、このセグメントを可撓性ネック230と呼ぶことができる。また、可撓性ネック230は、例えば内側保護シース210内で、バルーン250の近位端に導入および/または提供することもできる。
【0034】
図3(a)に示されるように、可撓性ネック230の1つの役割は、カテーテル/装置の湾曲のいくらか、ほとんど、さらにはすべてを吸収することであり得る。例えば、可撓性ネック230なしでは、大抵は、バルーン250内部の内側保護シース210の撮像部分が湾曲する。管腔器官の複雑さおよび患者の動きにより、臨床現場ではカテーテル/装置の湾曲が生じることがよくある。そのような湾曲は、光学プローブの中心ずれを引き起こし、画像コントラストおよび分解能がより低い、最適でない管腔器官撮像となることがある。
【0035】
可撓性ネックを有するバルーンカテーテルの小さな直径は、例えば鎮静なしでヒトの食道の撮像のためにバルーンカテーテルを容易に使用および実装できるようにする。このために、例示的なカテーテルは、本開示の別の例示的実施形態では、鼻を通して導入することができる。例示的なデバイス/装置のこの送達形態を達成するために、例示的なカテーテルは、図2(b)に示されるように、追加の外管240で取り囲むことができる。例示的な外管240は、標準の経鼻胃NG(供給)チューブと寸法的および機械的に同様および/または同一でよい。収縮されたバルーンカテーテルを外管240で取り囲んで、例えば標準のNGチューブ配置技法を使用して胃に進めることができる。例示的なデバイスが胃の中にあることを確認した後、例示的な外管240を引き戻すことができる。例えば6〜7cmにわたって外管240を戻した後、図2(b)に示されるようにバルーン250を露出および膨張させることができる。撮像処置後、バルーン250を収縮させることができ、例示的なカテーテルを管240内に引き戻し、デバイス全体を患者から取り外すことができる。
【0036】
図4(a)は、本開示のさらなる例示的実施形態による、患者の体内への配置中の繋留紐付きバルーンカテーテルカプセルデバイスの図を示す。そのような例示的実施形態では、繋留紐は、可撓性シース210の内部に、長く、直径の小さい押込みシャフト150を備えることができる。別の例示的実施形態では、繋留紐は、細い可撓性の管でよく、これは、電気信号を送受信するためのワイヤ、光学信号を送受信するための光学ファイバ、および/または気体(すなわち空気)または流体(すなわち水)を伝達するための中空管路を含むことができる。例えば、図4(a)に示されるように、シース210の内部に、またはシース210にすぐ隣接した位置に、圧力感知ファイバ460を入れることができる。シース210は、畳まれている透明なバルーン430を末端に設けることができ、このバルーン430は、その非膨張状態で長さ3.0cmにわたって広がることができ、剛性のエンドキャップ420の内部に位置して、カプセルに構造を与えることができる。デバイス全体を、カスタムフィットの、高い弾性を有する透明のシリコーンゴム外側シース410内部にカプセル化することができる。シリコーンバルーン410は、嚥下中にカプセル部分を滑らかに保つことができ、また、撮像バルーンは、図4(b)に示されるように、GEJでの撮像のために膨張状態450に完全に膨張されたときに安定性を与えることができる。遠位エンドキャップに固定することができ、ドライブシャフトの遠位内腔の内部で自由に並進するように構成することができる弾性の中心合わせワイヤ440が、バルーン410内でのドライブシャフトの中心合わせを容易にする。そのような例示的な設計は、バルーンの製造を容易にし、内側シースによって引き起こされる非点収差を減少させ、またはなくし、畳まれているバルーン410が膨張時に6cmまで容易に伸張できるようにする。近位エンドキャップ内に光学圧力センサ470を組み込み、例示的な装置によって利用することができる。
【0037】
患者は、流体、例えば水を飲むと同時に係留OFDIカプセルを嚥下することができる。例示的なカプセルは、蠕動によって胃に進むことができる。カプセルが胃に入った後、技師は、抵抗が感じられるまで繋留紐を引き上げることができる。この時点で、患者は、例示的なカプセルを嚥下することができており、カプセルをLESに移動させる、例えば連続圧力測定によって案内することができる。LESに達すると、バルーン430は、その膨張状態450に完全に膨張することができ、これは、シリコーンゴムシース410を容易に伸張させることができるようにする。次いで、カプセルの撮像窓全体にわたって螺旋OFDI処置を行うことができる。撮像後、バルーン430を収縮させることができ、カプセルはその初期状態に戻ることができ、これにより、繋留紐を引き戻すことによってカプセルを患者から取り出すことができるようになる。シリコーンゴム410が繋留紐付きカプセルデバイス全体をカプセル化するので、カプセルおよび繋留紐を殺菌して再使用することができ、それにより、場合によってはコストがさらに削減される。
【0038】
図5(a)は、本開示のさらに別の例示的実施形態による1つまたは複数の球状突起部510を有する構造化バルーン500を示す。この例示的なバルーン500は、撮像のために使用されるバルーン500の円周から組織を容易に浮かすことができるようにする。図5(b)に示されるように、バルーン表面500上に1つまたは複数のリング520を配置することによっても、同一または同様の効果を実現することができる。本開示の1つのさらなる例示的実施形態では、バルーンの撮像面を増大させる、および/または最大限にするために、突起部の数を最小限にする、または減少させることができる。本開示のさらに別の例示的実施形態では、突起部は、バルーンを組織の上で浮かせたままに保つべきである。その結果、組織表面がバルーンの表面によって押圧されず、したがって、場合によっては管腔器官表面トポロジーの視覚化を改良する。バルーン500を通して電磁放射および/または光を提供することができる。1つの例示的実施形態では、電磁放射または光が突起部510の1つまたは複数、および/またはリング520の1つまたは複数を通過するのを防止することができる。別の例示的実施形態によれば、電磁放射または光は、突起部510の1つまたは複数および/またはリング520の1つまたは複数を通過することもできる。
【0039】
以上、単に本開示の原理を説明した。記載した実施形態に対する様々な修正及び変更は、本明細書の教示により、当業者には明らかであろう。実際には、本開示の例示的実施形態による構成、システム及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム若しくは他の撮像システムと共に使用する、及び/又は、それらに実装することができ、例えば、2004年9月8日付で出願された国際特許出願PCT/US2004/029148号(2005年5月26日付で、国際特許公開第WO2005/047813号として公開)、2005年11月2日付で出願された米国特許出願第11/266,779号(2006年5月4日付で、米国特許出願公開第2006/0093276号として公開)、2004年7月9日付で出願された米国特許出願第10/501,276号(2005年1月27日付で、米国特許出願公開第2005/0018201号として公開)、及び2002年5月9日付で公開された米国特許出願公開第2002/0122246号で記載されたものと共に使用する及び/又はそれらに実装することができ、これら文献の開示全体を、参照として本明細書に組み込む。従って、当然ながら、当業者は、本明細書で明示的に示されまたは記載されていなくても、本開示の原理を具現化する、多数のシステム、構成、及び方法を考案できるであろうし、それらは本開示の精神と範囲の中にある。更に、本明細書に記載された例示的実施形態は、お互いに一緒に或いは、お互いに交換して機能することができる。加えて、従来技術知識は、上記で本明細書に参照として明示的に組み込んでいない限りにおいても、ここで、明らかに従来技術知識全体を参照として本明細書に組み込むものとする。本明細書の上記で参照した全参照文献全体を、本明細書に参照として組み込むものとする。
図1
図2
図3
図4
図5