特許第6066935号(P6066935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6066935安全機能を有するアブレーションカテーテルシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066935
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】安全機能を有するアブレーションカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】27
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-557869(P2013-557869)
(86)(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公表番号】特表2014-514025(P2014-514025A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012028301
(87)【国際公開番号】WO2012122389
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2015年3月6日
(31)【優先権主張番号】61/450,236
(32)【優先日】2011年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513227435
【氏名又は名称】コーエン,トッド,ジェイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100185225
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 恭一
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,トッド,ジェイ.
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−526622(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/080974(WO,A1)
【文献】 特開平09−066056(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/120940(WO,A2)
【文献】 特開2001−008932(JP,A)
【文献】 特開昭63−272328(JP,A)
【文献】 米国特許第06409722(US,B1)
【文献】 特開昭56−109655(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/090835(WO,A1)
【文献】 特開2009−090114(JP,A)
【文献】 特表平11−507574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)近位端および遠位端を有する、1人以上の主なカテーテルオペレーターによって操作される、縦方向に延びるアブレーションカテーテルと、(ii)上記カテーテルの近位端に取り付けられたハンドルと、(iii)上記カテーテルの遠位端における、アブレーション治療を所望の場所にデリバリーするための機構と、ならびに(iv)上記ハンドルおよび上記カテーテルの遠位端と連絡している、アブレーション治療発生器またはコントローラーとを含む改善されたアブレーションカテーテルシステムにおいて、
該アブレーションカテーテルシステムが、主要なカテーテルオペレーターによって手動で操作されかつ上記カテーテルの遠位端と上記アブレーション治療発生器またはコントローラーとの間に位置されるスイッチング機構を含み、該スイッチング機構は、アブレーション治療の突然の中断および停止を引き起こすことができ、その後、該スイッチング機構はアブレーション治療の停止後にリセットされ、そしてアブレーション治療を適用または継続するためにアブレーション治療発生器またはコントローラーが手動で再起動されなければならないところの上記アブレーションカテーテルシステム。
【請求項2】
アブレーションが心臓カテーテルアブレーションのために使用される、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項3】
スイッチング機構が終結スイッチである、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項4】
スイッチング機構が、(1)アブレーションカテーテル内に、(2)電気コネクターケーブル内に、(3)カテーテルとアブレーション治療発生器またはコントローラーとの間に連結されている別個のデバイス内に、または(4)アブレーション治療発生器またはコントローラー内に含まれている1以上の導線に介在されまたは上記導線と連絡している、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項5】
スイッチング機構が、上記カテーテルハンドル上にまたは上記カテーテルハンドル内に含まれており、上記機構が、コネクターケーブル、またはカテーテルとアブレーション治療発生器もしくはコントローラーとの間に連結されている別個のデバイスの内にありもしくはそれと連絡している、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項6】
スイッチング機構の位置が、治療を直ちにかつ突然に停止するために主要なカテーテルオペレーターによる容易かつ直接的な手動アクセスを可能にする、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項7】
スイッチング機構が、上記ハンドル上にまたは上記ハンドル内に含まれており、上記機構が、コネクターケーブル、または上記アブレーション治療発生器もしくはコントローラーの内にありもしくはそれと連絡している、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項8】
スイッチング機構が、ワイヤ、コネクター、スイッチ、および滅菌医療現場での操作を可能にするための保護的囲いを含む、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項9】
治療を停止するために主要なカテーテルオペレーターによる即時の手動によるコントロールを提供するために、スイッチング機構が、ハンドル上の容易にアクセス可能な位置に人間工学的位置で置かれている、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項10】
主要なカテーテルオペレーターが滅菌を維持しながらアブレーション処置を手動で行いかつ治療を手動で停止することを可能にするように、スイッチング機構が、上記主要なカテーテルオペレーターの手の届く範囲内にある、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項11】
スイッチング機構が有線または無線で遠隔的にコントロールされて、即時にかつ突然に治療を停止する、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項12】
スイッチング機構が、リモートコントロールまたはリモートコントローラー上に、ハンドルコントローラー上に、コンピューターコントローラー上に、またはジョイスティック上に位置されて、治療のデリバリーを遠隔的にコントロールする、請求項11記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項13】
リモートコントローラー、ハンドルコントローラー、コンピューターコントローラー、またはジョイスティックが、アブレーションカテーテルシステムを遠隔的に操作するための1以上の他のコントロール機能を有する、請求項12記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項14】
スイッチング機構が、音声、接触または音により作動され、かつアブレーション治療デリバリーシステムに直接または遠隔的に連結されている、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項15】
スイッチング機構が、アブレーション治療を提供するために必要な少なくとも1の監視信号をコントロールし、中断し、またはコントロールしそして中断することができ、それによって治療デリバリーを停止する、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項16】
アブレーション治療が、低温アブレーションまたは別の非電気的アブレーション様式である、請求項15記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項17】
アブレーション治療デリバリーがシステムの他の機能または電気的能力を妨げることなく即時に中断され得るところの電気回路をスイッチング機構が含む、請求項1記載のアブレーションカテーテルシステム。
【請求項18】
アブレーションカテーテルシステムが体内の構造または組織と接触するときに該システムの1または複数の末端において加えられている接触圧力または接触力の量に関して主要なカテーテルオペレーターにフィードバックを提供するように、触覚機能がハンドルに連結されている、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
横隔神経障害、穿孔、および伝導系への損傷から成る群から選択される故意でない治療の初期兆候を感知するための自動センサーをさらに含み、そして信号をスイッチング機構に送って治療デリバリーを直ちに中止することができる、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
(i)近位端および遠位端を有する、少なくとも1人の主なカテーテルオペレーターによって操作される、縦方向に延びるカテーテルと、(ii)上記カテーテルの近位端に取り付けられたハンドルと、(iii)上記カテーテルの遠位端における、アブレーション治療を組織にデリバリーするための機構と、ならびに(iv)上記ハンドルおよび上記カテーテルの遠位端と連絡しているアブレーション治療源とを含む改善されたアブレーションカテーテルシステムにおいて、
該アブレーションカテーテルシステムが、治療を突然に中断しそして停止するための、上記カテーテルと治療発生器またはコントローラーとの間に位置されかつ主要なカテーテルオペレーターによって手動で操作されるスイッチング機構および組織への故意でない損傷の危険を最小にするための1以上の追加の安全機能を有し、該スイッチング機構はアブレーション治療の停止後にリセットされ、そしてアブレーション治療を適用または継続するためにアブレーション治療発生器またはコントローラーが手動で再起動されなければならないところの上記システム。
【請求項21】
接触力の吸収を助け、かつ組織へ加えられる圧力および組織への故意でない損傷の危険を最小にするように、衝撃吸収物質がカテーテルの遠位端とカテーテルとの間に置かれている、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
組織に加えられる接触圧力または接触力の程度をモニター、コントロール、またはモニター及びコントロールして組織への損傷を防ぐように、アブレーションカテーテルシステムの遠位端に加えられる過剰の力を検出しそして最小にするための1または複数の接触圧力または接触力センサーが1または複数のアブレーション治療デリバリー端とカテーテルとの間に置かれている、請求項20記載のシステム。
【請求項23】
アブレーションカテーテルシステムと共に使用されるスイッチング機構が、
アブレーションカテーテルハンドルに取り付けられ得るまたは上記ハンドルに隣接して置かれ得る、直接の手動による作動のための第一の有線または無線の要素、および
上記第一の要素によって発生されたスイッチング信号を受け取って、送って、または受け取りそして送って、アブレーション治療のデリバリーの直接的な手動によるコントロールを提供するための、上記第一要素に連結した第二の有線または無線の要素、
を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項24】
上記第一の要素が、スリーブ、伸縮性スリーブ、クリップ、コネクターまたは滅菌接着剤によりカテーテルハンドルに取り付けられ得る、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
スリーブまたは伸縮性スリーブが、カテーテルハンドルにフィットし、そして高められた握り性および/または快適性を提供するように構成されている、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
(i)近位端および遠位端を有する、1人以上の主なカテーテルオペレーターによって操作される、縦方向に延びるアブレーションカテーテルと、(ii)上記カテーテルの近位端に取り付けられたハンドルと、(iii)上記カテーテルの遠位端における、アブレーション治療を所望の場所にデリバリーするための機構と、ならびに(iv)上記ハンドルおよび上記カテーテルの遠位端と連絡している、アブレーション治療発生器またはコントローラーとを含む改善されたアブレーションカテーテルシステムにおいて、
該アブレーションカテーテルシステムが、主要なカテーテルオペレーターによって手動で操作されかつ上記カテーテルハンドル上または上記カテーテルハンドル内に位置されるスイッチング機構を含み、該スイッチング機構は、アブレーション治療の突然の中断および停止を引き起こすことができ、その後、該スイッチング機構はアブレーション治療の停止後にリセットされ、そしてアブレーション治療を適用または継続するためにアブレーション治療発生器またはコントローラーが手動で再起動されなければならないところの上記アブレーションカテーテルシステム。
【請求項27】
治療を停止するために主要なカテーテルオペレーターによる即時の手動によるコントロールを提供するために、スイッチング機構が、ハンドル上の容易にアクセス可能な位置に人間工学的位置で置かれている、請求項26記載のアブレーションカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、係属中であり、譲受人が共通である、2011年3月8日に出願された米国特許出願No.61/450,236に基づき、その出願日の優先権の利益を主張する。上記出願は、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は一般的に、対象において標的組織のアブレーション(ablation)を行うためのシステム、カテーテルおよび方法に関する。特に、本発明は、迅速な中断機構を有するアブレーションシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
組織のアブレーションは、患者を治療するための多数の医療処置において使用されている。アブレーションは、癌細胞などの望ましくない組織を除去するために行われ得る。アブレーション処置はまた、組織を除去することなく変性すること、例えば不整脈の患者の心臓組織を通る電気の伝播を妨げるまたは停止させることを含み得る。しばしば、アブレーションは、エネルギー、例えば電気エネルギーを1以上の電極を通して組織を電極と接触させてアブレーション温度まで加熱することにより行われる。他の電気エネルギー、例えばレーザー、マイクロ波、超音波などは、組織における変化に影響を及ぼし得る。あるいは、非電気的治療、例えば薬物療法、幹細胞、生物製剤または寒冷療法を使用して細胞の構造および機能を変えることができる。
【0004】
心房細動は、心房での混乱した電気伝導があって急速な不規則の収縮を引き起こし、その結果、血液の心室への効果のないポンプ送りおよび同期性の欠如を生じるところの一種の心臓不整脈を意味する。心房細動の間には、房室結節が、洞結節のみからの代わりに、心房全体にわたる多数の場所(例えば肺静脈)から電気的衝撃を受ける。この状態が房室結節を圧倒すると、不規則で急速な心拍を生じる。その結果、血液が心房に貯留し、血栓形成の危険を高める。
【0005】
心房細動の治療選択肢は限られている。3つの公知の治療である生活様式の変更、薬物療法および電気的カルディオバージョンは、いずれもかなりの制限を有する。電気的カルディオバージョンは、洞の律動を回復させることを試みるが、高い再発率を有する。さらに、心房に血栓があると、カルディオバージョンは、血栓が心臓を離れ、そして脳や体の他の部分に移動することを引き起こし得、それは、発作を招き得る。
【0006】
心房細動を治療するための種々のアブレーション技術、例えばコックス−メイズ(Cox-Maze)法、心房における種々の領域のリニアアブレーションおよび肺静脈口の周辺アブレーションが提案されている。他のリニア損傷は、左心房の天井、僧帽弁狭部、大静脈およびマーシャル靭帯を標的にし得る。
【0007】
幾つかの種類の不整脈は、心臓の正常な伝導系(AV接合および/またはヒス束)付近にアブレーションを必要とする重要な要素を有する。これらの不整脈は典型的に、傍隔壁バイパス管、AV結節リエントリー性頻脈および特定の心房心室頻脈を包含する。そのような問題に対処する上での故意でないアブレーションの誤用は、完全な心臓ブロックを結果し、そして上記手法の公知のありうる事態である永久的なペースメーカーの移植を要求し得る。さらに、アブレーション処置の間に、穿孔を示し得るところの初期の兆候(例えば、心拍数、酸素飽和および/または血圧の変化)を体が示し得るところの他の不利な事態が生じ得る。これが生じると、デバイスまたはカテーテルが心臓壁に穴を作り、それが、心膜における液体貯留および心タンポナーデと呼ばれる命にかかわる症状を招く。任意の補助的手段(血液および/または流体)とともに針または外科的方法によって血液が心膜から迅速に除かれる必要があり、また、ありうる外科的修復が必要である。ありとあらゆる不利な事態は、医療訴訟の可能性を有し、訴訟では、治療終了の任意の遅れが非常に精査され得る。
【0008】
不整脈を治療するためのアブレーション技術の適用では、アブレーションカテーテルの遠位端が、患者の心臓の所望の位置へ前進される。例えば、無線周波数エネルギーまたはレーザーエネルギーが、発生器(例えばRF発生器)またはレーザーを操作する技術者または看護士への医師またはオペレーターからの合図に基づいて、カテーテル検査室に隣接した場所および/または上記検査室の外部の場所からカテーテルの遠位端に送られてアブレーション治療またはエネルギーのデリバリーを行う。医師またはオペレーターがアブレーション治療またはエネルギーを停止したいときはいつも、医師またはオペレーターが技術者または看護士に、通常は音声命令(「ストップ!!!」または「切って!」)によって、合図する。しかし、このやり方には固有の遅延があり、これは、アブレーションエネルギーが十分早く停止されないならば、患者への損傷、例えば心臓ブロック、穿孔または横隔神経麻痺を結果し得る。さらに、滅菌カテーテルのオペレーターが、滅菌されていない発生器またはコンソールに含まれるスイッチング機構を直接的にかつ即時に制御して治療を停止することは、それらが同時作用的に構成されているので、あまり実際的でない。また、これらのアブレーション発生器およびコンソールは典型的にはオペレーターに容易にアクセス可能でなく、そして、そのような場所に置かれるならば、検査室スタッフおよびオペレーターにとって潜在的に破壊的であろう。あるいは、医師またはオペレーターがアブレーションエネルギーを停止するための足踏み制御があり得るが、足踏み制御の使用は難しく、かつ制御が困難である(これは、特に、2つの足踏みペダルが潜在的に、呼応して使用されるからである(一方は透視診断用であり、他方はオン/オフスイッチ用である))。さらに、足踏みペダルのオン/オフスイッチを誤って踏むことは、潜在的に治療を開始させ、そして、心臓、その伝導および他の構造への意図しない損傷を伴って、故意でないアブレーション治療のデリバリーを引き起こす。
【0009】
オン/オフまたはカットオフ機構を有する医療デバイスが知られている。例えば、米国特許第5,951,461号明細書、同第6,165,206号明細書、同第6,235,022号明細書、同第6,808,499号明細書、同第7,717,932号明細書および同第7,763,033号明細書ならびに米国特許出願公開第2007/0233044号明細書、同第2008/0245371号明細書および同第2009/0182325号明細書を参照。しかし、これらの医療デバイスはいずれも、心臓アブレーション処置のために有用なアブレーションカテーテルシステムではなく、また、カテーテル検査室のセッティングにおけるアブレーションカテーテルの使用の独自の要求特性を満たさない。さらに、故意でない治療のデリバリーを防ぎかつオペレーターに即時の手動によるコントロールを与えるために多数の異なるアブレーション/治療システムと適合する方法およびスイッチング機構が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、改善された操縦可能なアブレーションカテーテルシステムを提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、アブレーションカテーテルの遠位端でのエネルギーが直ちにかつ突然に停止され得るところの改善された操縦可能なアブレーションカテーテルシステムを提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、終結スイッチを有する改善された操縦可能なアブレーションカテーテルシステムを提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、カテーテルハンドル上の人間工学的位置に置かれた終結スイッチを有する改善された操縦可能なアブレーションカテーテルを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、アブレーション治療のデリバリーを突然に終結するための直接のかつ即時の手動によるアクセスを提供するためにアブレーションカテーテルのハンドル上の人間工学的位置に置かれた終結スイッチを有する改善された操縦可能なアブレーションカテーテルを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、アブレーション治療を供給するケーブルに置かれた終結スイッチを有する改善された操縦可能なアブレーションカテーテルシステムを提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、アブレーションカテーテルおよびコネクターケーブルと連結させるための、一方の端で雄型コネクターにおよび他方の端で雌型コネクターに取り付けられたより短い終結スイッチを提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、オペレーターがそれによってリモートナビゲーションまたはロボットシステムを手動で操縦するところのリモートコントローラーまたはジョイスティック上に置かれた終結スイッチを提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、アブレーション治療デリバリーシステムと結合した終結スイッチング機構を作動させることができる、特定のかつ独自に認識可能な音声命令システムを提供することである。
【0019】
本発明の更なる目的は、足で操作される終結スイッチを有する改善された操縦可能なアブレーションカテーテルシステムを提供することである。
【0020】
本発明の更なる目的は、アブレーションカテーテルの遠位部分が圧力センサーおよび/または衝撃吸収手段を含むところの改善された操縦可能なアブレーションカテーテルシステムを提供することである。
【0021】
本発明の更なる目的は、カテーテルアブレーションを提供するシステムであって、心臓組織への故意でない損傷、例えば穿孔、または伝導系または他の心臓構造への損傷の危険を最小にするための1以上の安全機能を有するところのシステムを提供することである。
【0022】
本発明の更なる目的は、患者への処置または治療のデリバリーのための改善されたシステムであって、患者への損傷を最小にしまたは回避するために終結スイッチが上記処置または治療を中断するところのシステムを提供することである。
【0023】
本発明の更なる目的は、手で操作されるまたは足で操作されるコントロールと連絡する器具を有するシステムにおける患者への処置または治療のデリバリーのための改善されたシステムであって、患者への損傷を最小にしまたは回避するために終結スイッチが上記処置または治療を中断するところのシステムを提供することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、患者に処置または治療をデリバリーするための、上記デリバリーを中断するための終結スイッチを有する医療システムであって、上記終結スイッチが、上記デリバリーを直接中断することができまたは上記デリバリーを中断するエラーメッセージを発生させることができるところのシステムを提供することである。
【0025】
本発明の更なる目的は、患者に処置または治療をデリバリーするための、上記デリバリーを中断するための終結スイッチを有する医療システムであって、上記終結スイッチが、1以上のフィードバックまたは感知されるアブレーションシステム関数(function)、例えば温度、インピーダンスなど、の回路を開くことにより上記治療のデリバリーを中断させ得るところのシステムを提供することである。
【0026】
本発明の更なる目的は、患者に処置または治療をデリバリーするための医療システムであって、治療のデリバリーをコントロールするためのオン/オフスイッチを介して上述した機能を提供するところのシステムを提供することである。
【0027】
本発明の更なる目的は、医療デバイスと治療デリバリーシステムとの間をつなぐコネククターおよびケーブルまたは単にコネクターに取り付けられたオン/オフスイッチを提供することである。
【0028】
本発明の更なる目的は、スイッチまたはケーブルスイッチの全配列が、アブレーションシステムの特定の種類、例えば低温アブレーション、および/または特定の製造者および/またはカテーテル/デバイスの型に対して作られそしてカスタマイズされることである。
【0029】
本発明の更なる目的は、カテーテルアブレーションデバイスの一部としてケーブルおよびコネクターを有するアブレーションシステムのためのコネクタースイッチを提供することである。
【0030】
本発明の更なる目的は、カテーテルアブレーションデバイスの一部としてケーブルを有しないでカテーテル操縦性を可能にするアブレーションシステムのためのコネクターケーブルスイッチを提供することである。
【0031】
本発明の更なる目的は、オペレーターが横隔膜収縮を直接感知しかつ感じることを可能にし、同時にアブレーション治療を直ちにかつ手動で停止することができるように、横隔神経刺激が生じているアブレーションシステムへより長いコネクターケーブルスイッチを提供することである。
【0032】
本発明の更なる目的は、医療デバイスとその治療発生器またはコントローラーとの間に置かれたコネクターシステムを使用する種々の異なるアブレーションシステムの即時の手動でのコントロールを提供することである。
【0033】
本発明の更なる目的は、故意でない事態の初期の兆候を検出しかつ治療を直ちに停止するために種々の異なるアブレーションシステムの自動的かつコンピューター制御によるコントロールを提供することである。
【0034】
本発明の更なる目的は、横隔神経伝導および/または横隔膜収縮が所定の値だけわずかに減少するときに横隔膜への横隔神経伝導の自動感知を提供しそして直ちに治療を中断することである。
【0035】
本発明の更なる目的は、心臓伝導の自動感知を提供することであり、上記自動感知は、伝導における変化の初期徴候が心臓ブロックの発症の前にシステムを中断するようなものである。
【0036】
本発明の更なる目的は、穿孔の初期兆候の自動感知を提供することであり、上記自動感知は、そのような兆候を検出するとシステムが直ちに治療を中断するようなものである。
【0037】
本発明の更なる目的は、カテーテルアブレーションシステムにおける多重の安全機能を提供することであり、上記安全機能は、(1)オペレーターによって治療を直ちにかつ手動で停止する能力および(2)カテーテル先端の接触力および圧力をモニターしそして記録する能力を有する。
【0038】
本発明の更なる目的は、カテーテルアブレーションシステムにおける多重の安全機能を提供することであり、上記安全機能は、(1)オペレーターによって治療を直ちにかつ手動で停止する能力および(2)カテーテルが心臓と接触するとき、カテーテルの接触圧力および/または接触力を吸収しそしてコントロールする能力を有する。
【0039】
これらおよび本発明の他の目的は、下記の記載からより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本明細書で使用される用語「終結スイッチ(kill switch)」は、治療を直ちにかつ突然に停止することができるがそれだけで治療を開始することができないスイッチング機構を意味する。「オン/オフ」スイッチング機構は、それ自体で治療を開始することおよび治療を停止することの両方の能力を有する。
【0041】
本発明によれば、アブレーション処置または治療のデリバリーがオペレーターによって突然にかつ直ちに停止されて心臓ブロックおよび/または他のありうる手技上の合併症を防止することができる、アブレーション処置または治療をデリバリーする医療システムが提供される。本発明の一実施態様では、終結スイッチが、操縦可能なアブレーションカテーテルのハンドル上またはハンドル内に、好ましくは人間工学的位置に置かれて、オペレーターの親指による便利で容易なアクセスを提供する。好ましくは、終結スイッチが、押し下げ可能でありかつ押し下げられるとアブレーション治療のデリバリーを終結するように作動するボタンである。
【0042】
アブレーション処置または治療は、幾つかの異なる目的のために患者にデリバリーされ得る。それらの目的は、組織が処置されるであろうところの心臓、心臓血管、泌尿器および婦人科用途を包含するが、それらに限定されない。
【0043】
典型的なアブレーションカテーテルハンドルは、アブレーションカテーテルの遠位部分を操縦するためのハンドル上に偏向レバーまたはコントロールを有する。好ましくは、終結スイッチが、ハンドル上で偏向レバーまたはコントロールの間に位置して、カテーテルハンドルをコントロールする手による人間工学的な親指アクセスまたは補助の手による指のアクセスを提供する。この位置は、直接的なアブレーションカテーテルコントローラーが治療のデリバリーを最も迅速に停止することを可能にするのに有利である。
【0044】
好ましくは、ハンドル上の親指以外の指および補助の手がカテーテルをある位置に安定化できるように、終結スイッチが、ある場所または位置に置かれ、一方、その手の補足的な指または補助の手が終結スイッチを最も素早くかつ効率的に押し下げることをなおも可能にする。
【0045】
本発明の別の実施態様では、終結スイッチが、アブレーション治療またはエネルギーを供給するケーブルと一体化した部材上に位置されている。例えば、終結スイッチを含む部分が、アブレーション治療を供給しかつアブレーションカテーテルハンドルに連結されたケーブルの構成部分(integral part)であり得る。あるいは、終結スイッチは、アブレーション治療およびアブレーションカテーテルを供給するケーブルがそこに連結されるところの別個の部材に位置され得る。
【0046】
本発明の別の実施態様では、一端でアブレーションカテーテルと連絡し、他端でコネクターケーブルおよび/またはアブレーション治療発生器と連絡するであろう2つのコネクターの間に終結スイッチが位置されている。
【0047】
本発明の別の実施態様では、治療を直ちに停止するための即時のかつ遠隔操作によるアクセスをオペレーターが有し得るところのリモートコントローラー上に、アブレーションカテーテルシステムの終結スイッチが位置されている。終結スイッチは、コネクター間にまたはコネクターとケーブルとの間にあり得、そして、リモートコントローラーまたは、コンピューターに基づくシステムによって遠隔操作的に始動され得る。さらに、終結スイッチは、独立しておりかつ遠隔操作であり、そしてアブレーションカテーテルシステムに信号を与え得る。あるいは、それは、リモートコントローラー、ハンドルコントローラー、コンピューターコントローラーまたはジョイスティック上で一体化されて、アブレーションカテーテルまたは他の処置関連機能の遠隔操作によるナビゲーションまたは操作を与え得る。
【0048】
本発明の別の実施態様では、特定のかつ独自に識別し得る音声指令が、アブレーション治療デリバリーシステムと連結した終結スイッチング機構を作動し得る。スイッチは、カテーテルと発生器との間に結合され、そして音声指令によって作動し、あるいは、発生器付近にあるまたはコンピューター末端/リモートコントロールデバイス/ワークステーションにある音声コントローラーによって遠隔操作により作動し得る。
【0049】
本発明の別の実施態様では、アブレーションカテーテルが「熱い」またはエネルギーを与えられているときに電気がカテーテルハンドルを通って流れてボタンを照らし、またはハンドルにおける光、LEDまたは視覚的もしくは聴覚的警報を作動し、そしてカテーテルがアブレーション治療をデリバリーしていることをオペレーターが気づくように構成されたボタンを終結スイッチが含む。ボタンは、手動によるカテーテル操作の他の機能が中断しないようにアブレーションカテーテルハンドル上に位置される。すなわち、オペレーターは、ボタン機能を妨げることなく、カテーテルの遠位部分を、容易に前進させ、引っ込め、向きを変え、逆に向きを変え、および/または回転させることができる。
【0050】
アブレーションカテーテルハンドル上の光または可聴周波信号は、治療がデリバリーされていることをオペレーターに警告するためにオペレーターに即時のフィードバックを与え得る。ボタンが押され、そしてアブレーションエネルギーのデリバリーが直ちに停止されまたは終結されるとき、光または可聴周波信号が消え、これは、アブレーションカテーテルがもはやアブレーションしていないことを示す。
【0051】
本発明の別の実施態様では、終結スイッチとして機能する足踏みペダルが、アブレーション治療源、アブレーション治療を供給するケーブル、アブレーションカテーテル、接地パッチもしくは要素、またはそれらの組合せに操作可能に連結されている。足踏みペダルは、オペレーターの足によって容易にアクセス可能であるように位置される。
【0052】
本発明に従うカテーテルシステムは、オペレーターの手動による反応を高めて、カテーテルアブレーション中の治療の故意でないデリバリーおよび関連する合併症を防ぐまたは最小にするように設計される。心臓カテーテルアブレーションに関して、これらの合併症の幾つかは、伝導系への損傷(心臓ブロック)、心臓組織自体の穿孔、および/または隣接する構造、例えば、横隔膜の収縮に力を与えそして呼吸を助ける横隔神経、への損傷を包含する。
【0053】
本発明の別の実施態様では、終結スイッチが、24時間後に機能をなくす装置を含む。それは、上記スイッチを非機能性にし、それによってそれが使い捨てであることを確実にする。
【0054】
通常のカテーテル挿入または電気生理学のラボ操作では、アブレーション治療が、アブレーションカテーテルからいくらか離れた位置から開始され得る。これは、処置台の端であり得、あるいは、別の隣接するまたは離れた制御室ですらあり得る。そのような離れた位置は、発生器/コントロールコンソール、リモートコントロール、リモートコントローラー/コントローラーコンピューター端末などを包含し得る。終結スイッチは、アブレーション治療が活性化されているまたは可能にされているときに、係合されるに過ぎない。そうでないならば、それは操作できない。好ましくは、アブレーション治療が作動されており、そしてアブレーションカテーテルの遠位端に十分適合しているときに、終結スイッチボタンの上またはその周りに光またはLEDなどの警報機構があるであろう。1実施態様では、終結スイッチボタンを押し下げることが回路を開き(通常は閉じており、いったん押されると、回路は開いた終結スイッチである)、アブレーション治療を終結し、そして光を消すことができる。アブレーション治療は、専門技術者または看護士が無線周波数発生器またはレーザーを再開するときに(そのとき、終結スイッチまたは警報機構または両方がリセットされるであろう)、再開され得るにすぎない。あるいは、「通常の開いた終結スイッチ」はまた、ボタンを押すことにより終結スイッチが作動されるならば治療がデリバリーされ得るに過ぎず、そして次いで上記ボタンを開放することが治療を停止するように機能し得る。
【0055】
本発明の別の実施態様では、アブレーションカテーテルの遠位端が、圧力センサーおよび圧縮可能な衝撃吸収手段を含んで、穿孔または内部損傷の可能性を最小にする。衝撃吸収物質、例えば小さいバネ(または弾性の/可撓性のアブレーション接触器)が、遠位電極の近位に位置される。遠位電極の近位表面または端の上または付近に位置された圧力センサーが、アブレーションカテーテルの遠位部分によって心筋層に及ぼされる力を測定する。
【0056】
本発明の別の実施態様では、アブレーションカテーテルシステムが、少なくとも2の安全機構、例えばオペレーターによって操作される手動の終結スイッチおよび、患者への安全性を最適にするための圧力/力制御システム、を含むだろう。
【0057】
本発明の別の実施態様では、アブレーションシステムが、故意でない治療の少なくとも1の初期の徴候、例えば横隔神経障害、穿孔および/または心臓ブロック、を検出するための自動検出能力を、直ちに治療を停止するための能力とともに付与するであろう。
【0058】
アブレーション治療デリバリーシステムと協力して使用され得る種々の終結スイッチがある。本明細書に記載された発明は、機能するおよび/またはLED、電気連絡の流れ、可聴音などの情報を提供する表示器を有する無数のボタン、コントロールまたはスイッチを利用し得る。これらの多くは、電気工学の文献に十分記載されている。本発明はまた、圧力、温度または任意の他のパラメーターを感知するオン/オフおよび終結スイッチを包含する。
【0059】
通常の閉じた瞬時の終結スイッチは、スイッチ自体(典型的にはボタンの形態であるが、他の形態も存在し得る)を押し下げると直ちに電気回路が開き、回路のインピーダンスが無限大になり、そしてアブレーション治療デリバリーが直ちに終結するところのものである。スイッチが開放されると、すなわち押されていないと、回路は直ちに閉じ、そして、治療デリバリー先端(典型的には電極)からのペーシングおよび感知機能が回復されるであろう。しかし、アブレーション治療をデリバリーする能力は、発生器源自体で治療を作動させることなしには再係合させられ得ない。この種の機構は、アブレーション治療の故意でないデリバリーを防ぐために理想的であり、治療電極からのペーシング/感知機能は、終結スイッチ配備中に「一瞬」中断され、そして、スイッチの開放後直ちに回復される。上述したように、通常の開いた瞬時の終結スイッチがまた、治療のデリバリーが、係合されたスイッチによって生じ、治療の終結が上記スイッチの開放によって生じるやり方で機能し得る。
【0060】
本発明の好ましい実施態様では、終結スイッチが、通常は閉じた位置にあり、押し下げられると一時的に開いた状態でいるところの機械的終結スイッチである。上記終結スイッチは、典型的な250vacおよび3amp定格で100ワットおよび500kHzに耐えることができる。
【0061】
あるいは、多機能スイッチが、各々の押し下げまたは接触により終結スイッチの開閉を制御することができる。後者の構成の好ましくない点は、遠位治療の感知およびペーシング機能のより長い中断の可能性である。並列回路が、治療デリバリーの中断を、ペーシングおよび電極信号認識/感知から分離することができるであろう(すなわち、ペーシングまたは感知の中断を伴わない終結スイッチ機能)。実際、終結スイッチは、感知またはペーシングの影響を何ら伴うことなく、インピーダンスを変えそしてアブレーション治療デリバリーを終結するための信号を運ぶことができる。電極機能性(すなわち、ペーシングおよび電極信号の可視性または感知)の有意な影響を(全く)有することなく、終結スイッチの使用により、治療デリバリーに対する有効かつ即時のオペレーター制御を与える多数の方法があると想定され得る。さらに、終結スイッチは、有効な治療デリバリーおよび/または機能のために要求される幾つかの他の機能またはフィードバックを感知し得、この信号が終結スイッチによって中断されるならば、エラーが発生器で検出され、治療が停止され得るだろう。これは、Medtronic Cardiac CryoAblation System (ARCTIC FRONT(商品名))の場合に当てはまり、そこでは、液体窒素がバルーンまたはカテーテルに運ばれて組織を凍結する。電気コネクターおよびその機能のいくつかが無力にされる(すなわち開いた回路)ならば、上記CryoConsoleは直ちに停止する。これらの全ては、本明細書に記載される発明に包含される。
【0062】
本発明の別の実施態様では、治療を遠隔的に停止するために、終結スイッチがリモートコントロール上に位置され得るだろう。これは、独立型のリモートコントロールであり得、またはアブレーション処置の他の局面に対するコントロールを提供するためにリモートコントロールステーションまたはリモートコントローラーに組み込まれているものであり得る。このスイッチング機構のリモートコントロールをアブレーションカテーテルのリモートナビゲーションのためのコントローラーと一体化することがさらに可能である。終結スイッチは、カテーテルマニピュレーターより遠位のハンドルコントローラーまたはジョイスティックまたはコンピューターコントローラー上に位置され得る。あるいは、終結スイッチは、治療の任意のタイプのデリバリーを終結するために、治療デリバリーに重大な任意の信号の回路を開き、そして上記信号または治療発生器、コンソール、コンピューター(CPU)などにエラーメッセージを送ることができる。
【0063】
本発明の別の実施態様では、終結スイッチが、例えばインピーダンスを変える、フィードバック連絡を中断するなどによって、治療を終結するエラー信号を作ることができる。あるいは、接地ケーブル上の終結スイッチが接地機能を遮断し、そして治療を中断するであろうエラーメッセージを送らせるであろう。
【0064】
本発明の別の実施態様では、オン/オフスイッチが、上記終結スイッチ構成と同様の様式および/または構成で、上記実施態様の各々において機能し得る。スイッチの「オン」部分は、係合される前にヒトの接触を感知し、それによって、下げられるまたは傾けられることにより故意でない治療を防ぐように構成され得る。コネクター−ケーブルにおけるまたはコネクター−スイッチとしての、上記終結スイッチと同様の、上記オン/オフスイッチの他の実施は、種々の異なるアブレーションシステムおよび製造者に対してカスタマイズされた類似のやり方でオペレーターに手動によるアクセスを付与し得る。
【0065】
A点からB点へ移動してアブレーション治療を付与する(無線周波数エネルギーの場合のように直接的に、または低温アブレーションバルーンにおけるバルーン圧力および温度の制御またはフィードバック信号モニターを行うように間接的に付与する)ために電気が必要である。終結スイッチなどのスイッチング機構がA点からB点までの電気回路間に置かれるならば、回路が、通常は閉じているように構成され得、そして、スイッチを一時的に手動で押し下げることが、回路を開き、それによって、電気が流れるのを妨げ、それによって治療を停止するであろう(通常は閉じた瞬時の終結スイッチ)。あるいは、終結スイッチが、通常は開いているように構成され得、そして、伝統的な手段によって開始されるアブレーション治療のデリバリーの前にスイッチを押し下げることが必要であろう(通常は開いた瞬時の終結スイッチ)。後者の構成において押し下げられた終結スイッチを開放することは、治療を終結するであろう。
【0066】
両方の例において、終結スイッチは、オン/オフスイッチと違って、治療自体をオンにすることができない。したがって、終結スイッチのカテーテルアブレーションへの独自の適用は、故意でない治療デリバリーを防ぐためのその能力である。終結スイッチを故意に踏んだり誤って押したりし、そしてアブレーション治療をオンにすることはできない。本明細書に記載された終結スイッチは、機械的な瞬時の終結スイッチである。上記瞬時の終結スイッチは、アブレーション治療を終結する用途に好ましくあり得るが、それは絶対必要というわけではない。終結スイッチは、押し下げられ得、そしてロックされ得る。試験されたカテーテルハンドルは、一度押し下げられると、閉じた位置を維持し、そして再び押し下げられると、回路を開いて治療を停止するようなスイッチを含んでいた。各押し下げは、それに応じて、回路を機械的にリセットした。
【0067】
他のタイプの構成は、横隔神経障害などの有害事象の早期検出のための感知されるアルゴリズムに基づいた、自動的に始動させられる終結スイッチを包含し得る。横隔神経が刺激され、そして、横隔神経伝導および/または横隔膜収縮が記録され得る。閾値での所定の最小の変化が、終結スイッチを始動させて、この場合の治療を自動的に終結し得る。同様に、穿孔の初期兆候および/または伝導の変化が終結スイッチを始動させて治療を終結し、それによって、重大な合併症の可能性を低減し得る。さらに、終結スイッチまたはオン/オフスイッチは、リモートコントローラー(赤外線または電波信号を使用するテレビのリモートコントロールなどの送信機/受信機構成を使用する)によって機能し得る。あるいは、これらのスイッチは、声または音による指令によって機能し得、そして幾つかの予めプログラムされたアクチュエーター、信号および音声プログラムを有し得る。
【0068】
スイッチング機構がオン/オフスイッチか終結スイッチかにかかわらず、多くの変形、例えば押しボタン、トグルスイッチ、温度もしくは赤外線センサー、またはスイッチボタン、が可能である。標準的な無線周波数に関して、スイッチング機構は典型的に、250vac/3amp定格に関して500kHzで少なくとも100ワットのために評価される必要がある。エラー信号および他の種類の感知信号は、適切に機能するための、種々のそしておそらくはより少ないエネルギー要件を有し得る。さらに、標準的な無線周波数アブレーションは典型的に、遠位のアブレーション電極から接地パッチ(grounding patch)へ治療をデリバリーする。単一のプル(pull)終結スイッチは、その電極へ延びるコンダクターまたはワイヤの間に置かれて効果的に操作し得る。しかし、より複雑な未来のアブレーションシステムは、1より多くの電極を通ってエネルギーを運び得、そして全ての治療を直ちに中断するために多重プル終結スイッチが必要であろう。同じことが、フィードバックおよび非無線周波数エネルギー(例えば低温アブレーション)の監視のために必要な重要なエラー信号に当てはまる。これらの信号は、治療を停止するために1より多くのプル(または1のオープンコンダクター)を必要とし得る。さらに、スイッチング機構自体がそれ自身のエラー信号を生じ、そしてコントローラー/発生器を中断し、同様に治療を停止することが考えられる。多数の種々のスイッチング機構および構成が、治療を迅速に停止しそして不要な合併症を回避する、より効率的な手段として意図されるこの新規な治療の目的を達成することができる。
【0069】
本発明の別の実施態様では、近位端および遠位端を有する縦方向に延びるカテーテル、上記カテーテルの近位端に取り付けられたハンドル、上記カテーテルの遠位端における、アブレーション治療を所望の場所、例えば組織、にデリバリーするための機構、ならびに上記ハンドル、上記ハンドルおよび上記カテーテルの遠位端、または上記ハンドル、上記カテーテルおよび上記カテーテルの遠位端と連絡している、アブレーション治療の発生器またはコントローラーを含む改善されたアブレーションカテーテルシステムにおいて、上記システムが、手動で、自動で、遠隔でまたは音声で作動させる操作によってアブレーション治療のデリバリーの突然の停止を引き起こすことができるスイッチング機構を含む。
【0070】
本発明の別の実施態様では、スイッチング機構が、アブレーションカテーテル遠位端とアブレーション治療の発生器またはコントローラーとの間(治療の発生器またはコントローラーの上または中を包含する)に置かれている。
【0071】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、終結スイッチが、アブレーションカテーテル内に、電気コネクターケーブル内に、カテーテルと治療発生器またはコントローラーとの間に連結された別個のデバイス内に、または治療の発生器またはコントローラー内に含まれる1以上の導線に介在されまたは上記導線と連絡している。
【0072】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、上記ハンドル上にまたは上記ハンドル内に含まれているオン/オフスイッチまたは終結スイッチであり、上記スイッチが、コネクターケーブル、カテーテルと治療の発生器もしくはコントローラーとの間に連結されている別個のデバイス、または上記発生器もしくはコントローラーの内にありもしくはそれと連絡している。
【0073】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、ワイヤ、コネクター、スイッチ、および滅菌医療現場での操作を可能にするための保護的囲いを含む。
【0074】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、カテーテル内におよび、カテーテルから治療の発生器またはコントローラーに通じるケーブル内に含まれる少なくとも1の導線上に置かれまたは上記導線と連絡しており、かつスイッチング機構の操作が、治療を可能にし、治療を停止し、または治療を可能にしそして停止する。
【0075】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、押し下げ可能なボタン、タッチセンサー式スイッチ、トグルスイッチ、圧力または温度知覚センサーなどを含む。
【0076】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、ハンドルおよび/またはカテーテル本体上の操縦レバーの間に置かれて、親指、それ以外の指、または親指およびそれ以外の指の人間工学的なアクセスを与える。
【0077】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、カテーテルのハンドル上に置かれるべきか、ハンドルまたはカテーテルのハンドルの硬質部分に挿入される遠位端を有するケーブル内に置かれるべきか、カテーテルのハンドルから延びるケーブルの近位端および治療の発生器またはコントローラーからのケーブルの近位端に取り付けられ得る短いケーブルセグメント内に置かれるべきか、またはカテーテルのハンドルから延びるケーブルの近位端および治療の発生器またはコントローラーからのケーブルの近位端に取り付けられ得る長いケーブルセグメント内に置かれるべきかの決定が、カテーテルの設計および構成、アブレーション治療およびアブレーションされるべき部位の位置などの因子に基づく。
【0078】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構の位置およびスイッチング機構のカテーテルアブレーションシステムへの組み入れの様式が、製造者の基本骨格(platform)への接近性、カテーテルの種類およびその設計および端部でのビルトインケーブルの有無、処置の種類、患者のカテーテルアクセス部位の位置、オペレーターの位置、および治療の患者への悪影響を直ちにモニターすることのオペレーターの必要性によって決定される。
【0079】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構の設計、構成および位置ならびにその適用が、処置の種類、カテーテルの種類およびその設計、カテーテルのアクセス点、患者の位置、オペレーターの位置、医療デバイス(すなわちカテーテル)の操作性、ならびにオペレーターが上記処置を行いながら故意でない治療をモニターする能力によって決定される。そのような設計は、オペレーターが鼠径部からの低温アブレーション処置を行い、そして横隔神経刺激中に横隔膜の収縮を手動で感じるためにスイッチへのアクセスを有し、同時に、横隔膜収縮(またはその代用)が減少するならば、永久の横隔神経損傷を回避するために治療を直ちに停止するための能力を用いた治療の手動コントロールを有することができるように、オペレーターのより近位に置かれたスイッチング機構を有するより長いケーブルを考慮し得る。より短いコネクタースイッチは、Boston Scientific BLAZER(商品名)無線周波数アブレーションカテーテルに直接付着し得る。なぜならば、上記デバイスは、手動操作を可能にする上記カテーテルの端部に約8インチのケーブルをすでに有するからである。他の無線周波数アブレーションカテーテル、例えばMedtronic RFアブレーションカテーテル、Johnson & Johnson Biosense Webster THERMOCOOL(商品名)アブレーションカテーテルおよびSt. Jude Medical SAFIRE TX(商品名)アブレーションカテーテルは、ちょうどコネクターで終わるハンドルを有する。これらのハンドルの各々は、ケーブルまたはデバイスからコネクターを受け入れるための一体プラグを有する。十分なケーブルを含むスイッチング機構デバイスは、それらのカテーテルが操作を不便にすることなく容易に回転され得るように助けるであろう。
【0080】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、カテーテルのハンドルから延びるケーブルの近位端および低温アブレーションのための治療の発生器またはコントローラーからのケーブルの近位端に取り付けられ得る長いケーブルセグメントに位置され、その結果、オペレーターは、スイッチング機構を操作することができ、そして患者の横隔膜収縮を感じて横隔神経麻痺を防ぐことができる。
【0081】
本発明に従うアブレーションカテーテルとともに有用な種々のコネクターおよびケーブルは、本発明を行う人が、使用されるアブレーションカテーテルのハンドルに適合するように適切なケーブル、デバイスおよび/またはコネクターを選択しなければならないであろうことを意味する。ビルトインケーブルを有しないで終わる上記アブレーションカテーテルは、カテーテルの操作を可能にするためにケーブル+スイッチング機構を必要とし得る。端部に約8インチのケーブルがビルトインされたBoston Scientificアブレーションカテーテルは、ケーブルを有するまたは有しないコネクタースイッチを利用することができる。オペレーターが、カテーテルに取り付けられたスイッチを同時に感じながら、横隔膜収縮力を感じるべきならば、鼠径部から行われる低温アブレーション処置のためにより長いケーブルが必要とされ得る。リモートコントロールは、スイッチング機構自体を始動させ得る。そのようなコントロールは、送信機/受信機の構成を有し、かつカテーテル、コネクター、ケーブル、発生器、コンピューターコントローラーまたはそれらの組合せにおけるスイッチング機構を操作することができる。
【0082】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、ハンドル上の他の指および補助の手がカテーテルの位置を安定化することができ、一方で、その手または補助の手の補足的な指がスイッチング機構を最も迅速にかつ効果的に押し下げることを可能にするようにスイッチング機構が位置されている。
【0083】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構の位置およびそのカテーテルアブレーションシステムへの組み入れ様式が、製造者の基本骨格(platform)への接近性、カテーテルの種類およびその設計および端部でのビルトインケーブルの有無、処置の種類、患者のカテーテルアクセス部位の位置、オペレーターの位置、および治療の患者への悪影響を直ちにモニターすることのオペレーターの必要性によって決定される。
【0084】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、低温アブレーション中に長いケーブルセグメントに置かれ、その結果、オペレーターは、スイッチング機構を手動で操作することができ、そして患者の横隔膜収縮を同時に感じて横隔神経麻痺を防ぐことができる。
【0085】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が最も適切な場所に置かれて、オペレーターがアブレーション手法を手動で行いそして治療を手動で停止することを可能にする。
【0086】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、2つのコネクターと、ケーブルおよび囲い中のまたは単に囲い中のワイヤとの間に置かれる。ここで、ワイヤは全て、アブレーション治療を送りおよび/またはコントロールすることが意図される。
【0087】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、アブレーション治療が治療の発生器および/またはコンピューターコントローラーから開始された後にのみスイッチング機構が係合され得る。
【0088】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が警報機能を有する。
【0089】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、リモートコントローラーからの信号を受け取って治療を停止することができる。
【0090】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、音声で、接触でまたは音で作動させられ、そして、アブレーション治療デリバリーシステムに直接または遠隔的に結合される。
【0091】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、受信機が、オペレーターの音声、特定の指令またはそれらの組合せを認識するようにプログラムされている。
【0092】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、有線または無線で遠隔的にコントロールされて、即時のかつ遠隔的な治療停止を可能にする。
【0093】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、(1)通常は閉じた回路であり、スイッチが係合されたときに回路を開いて、アブレーションカテーテルシステムにその治療を終結させ、そして直ちに閉じ、それによって、治療デリバリーを再開することなく、システムの完全な機能を元に戻すところの終結スイッチ、または(2)通常は開いた回路であり、回路が閉じられることによって、アブレーション治療を送ることを可能にするようにスイッチが係合されることを必要とし、一方、上記スイッチの係合を解くことが治療を直ちに終結するところの終結スイッチである。
【0094】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、終結スイッチが、スイッチを係合することが、アブレーション治療デリバリーを可能にするために電気回路を閉じるなどの1機能を行い、上記スイッチを再係合することが電気回路を開き、それによって治療を終結するように固定されたスイッチとして作動し得、あるいは上記スイッチが手動で係合される限り、電気回路が開いているまたは閉じているのいずれかであるように瞬時の様式として作動し得る。
【0095】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、治療の発生器またはコントローラーを通って直接作動する。
【0096】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、一瞬開いてアブレーションカテーテルシステムにその治療を停止させ、次いで直ちに閉じて、それにより、治療デリバリーを再開することなく、上記システムの全機能を元に戻す終結スイッチである。
【0097】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構または終結スイッチが、上記システムの電気機能を何ら妨げることなくアブレーション治療デリバリーが直ちに中断されるところの並列回路を含む。
【0098】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、スイッチング機構が、押し下げ可能でありかつリセット可能である。
【0099】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、近位端および遠位端を有する、縦方向に延びるカテーテルと、上記カテーテルの近位端に取り付けられたハンドルと、上記カテーテルの遠位端における、アブレーション治療をデリバリーするための機構と、ならびに上記ハンドル、上記カテーテルおよび上記カテーテルの遠位端と連絡しているアブレーション治療源とを含む改善されたアブレーションカテーテルシステムにおいて、上記システムが、スイッチング機構および組織、特に心臓組織への故意でない損傷の危険を最小にするための1以上の追加の安全機能を有する。
【0100】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、接触力の吸収を助け、そして組織に加えられる圧力および故意でない損傷の危険を最小にするための衝撃吸収物質がカテーテルの遠位端とカテーテルとの間に置かれている。あるいは、上記先端が、接触の吸収を助けそして接触を和らげるために、弾性または可撓性の物質で作られ得る。
【0101】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、接触の度合いを測定するための1以上の接触センサーがアブレーション治療デリバリー先端と吸収物質との間に置かれている。
【0102】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、1以上の接触センサーが圧力、力、または圧力および力の両方を測定し、そしてオペレーターが、治療を停止するための直接の手動アクセスを有する。
【0103】
本発明のアブレーションカテーテルシステムの別の実施態様では、体内におけるアブレーションデリバリーシステムの先端に加えられている接触圧力の量に関してオペレーターにフィードバックを与えるための触覚機能がハンドルに結合されている。
【0104】
本発明の別の実施態様では、心臓組織への故意でない損傷を防ぐためのシステムが、即時にアクセス可能な終結スイッチおよび、心臓内におけるアブレーションカテーテルシステムの先端に加えられた過剰の力を検出しそして最小にするための機能を含む。
【0105】
本発明のアブレーションシステムの別の実施態様では、アブレーション治療のデリバリー中の心臓および/または循環系および/または心膜腔への故意でない損傷を防ぐシステムが、複数の安全機能を含み、上記安全機能が、(1)即時にアクセス可能なオン/オフスイッチまたは終結スイッチ、および(2)アブレーションカテーテルシステムの先端に加えられた過剰な力を検出しそして最小にするための1以上の力または圧力センサーを包含する。
【0106】
本発明のアブレーションシステムの別の実施態様では、上記システムが、(1)アブレーションシステムの1または複数の末端に加えられた力の量に対する、および(2)アブレーション治療を可能にすること、アブレーション治療を停止すること、またはアブレーション治療を可能にしそして停止することに対する即時の手動によるコントロールをオペレーターが有することを可能にする、オペレーターによりコントロールされるシステムである。
【0107】
本発明の別の実施態様では、第一のコネクターと、医療処置または治療をデリバリーするための医療デバイスに連結された接続ケーブルの接続可能な第二のコネクターとに固定された医療デバイスが、第一のコネクターと第二のコネクターとを容易に分離し、それによって処置または治療を中断するための機構を含む。
【0108】
本発明の医療デバイスの別の実施態様では、医療デバイスがまた、上記コネクターの容易な再接続を可能にする。
【0109】
本発明の別の実施態様では、雄型ケーブルコネクターおよび雌型ケーブルコネクターの即時の分離のための迅速なケーブル連結/分離デバイスが、両方のコネクターをつかみ、コネクターの互いの配置を維持し、存在し得る任意のロック機構を解錠し、そして上記コネクターを分離する要素を含み、かつ、整列された様式でケーブルコネクターを機械的に再連結または再結合して導通を元に戻すことができる。
【0110】
本発明の別の実施態様では迅速なケーブル分離がアブレーション治療の停止をもたらして故意でない治療デリバリーによる損傷を最小にし、そして迅速なケーブル再連結がアブレーションカテーテルシステムの全機能を元に戻すことができるように、デバイスがアブレーションカテーテルシステムと協力して使用され得る。
【0111】
本発明の別の実施態様では、アブレーションカテーテルシステムと共に使用されるスイッチング機構が、
アブレーションカテーテルハンドルに取り付けられ得るまたは上記ハンドルに隣接して置かれ得る、直接の手動による作動のための第一の有線または無線の要素、および
上記第一の要素によって発生されたスイッチング信号を受け取って、送って、または受け取りそして送って、アブレーション治療のデリバリーの直接的な手動によるコントロールを提供するための、上記第一要素に連結した第二の有線または無線の要素、
を含む。
【0112】
本発明の別の実施態様では、上記第一の要素が、スリーブ、伸縮性スリーブ、クリップ、コネクターまたは滅菌接着剤によってカテーテルハンドルに取り付けられ得る。
【0113】
本発明の別の実施態様では、終結スイッチを有する迅速なケーブル連結/分離デバイスが、雄型ケーブルコネクターと雌型ケーブルコネクターの即時の連結または分離を提供する。上記迅速なケーブル連結/分離デバイスは、コネクターの雌端および雄端をそれぞれ掴み、コネクターの互いの配置を維持し、任意的に存在し得るロック機構を解錠するところの雄型リセプターおよび雌型リセプターを有する要素を含む。上記迅速なケーブル連結/分離デバイスの雌型リセプターは、雄型コネクターを係合し、そして上記迅速なケーブル連結/分離デバイスの雄型リセプターは、雌型コネクターを係合し、その結果コネクターを分離し、また、上記迅速なケーブル連結/分離デバイスは、整列された様式でケーブルコネクターを機械的に再連結または再結合して導通を元に戻すことができる。
【0114】
本発明の別の実施態様では、迅速なケーブル分離がアブレーション治療の停止をもたらして故意でない治療デリバリーによる損傷を最小にし、かつ迅速なケーブル再連結がシステムの完全な機能を元に戻すことができるように、終結スイッチを有する迅速なケーブル連結/分離デバイスがアブレーションカテーテルシステムと協力して使用され得る。
【0115】
本発明の別の実施態様では、第一および第二のケーブルコネクターの即時の分離のためのデバイスが、第一のケーブルコネクターを取り巻きそしてつかむことができる第一の管状のまたは実質的に管状の部材、第二のケーブルコネクターを取り巻きそしてつかむことができる第二の管状のまたは実質的に管状の部材、および第一および第二の管状のまたは実質的に管状の部材を連結する橋部材を含み、橋部材の一部が下方に押されるとき、ラッチが解係合し、そして上記管状のまたは実質的に管状の部材が互いに離れそしてケーブルコネクターの係合を解かせまたはケーブルコネクターの接続を断たせる。
【0116】
本発明の別の実施態様では、上記デバイスが、第一および第二のケーブルコネクターの容易な再連結を助ける。
【0117】
本発明の別の実施態様では、オン/オフスイッチまたは終結スイッチが、1要素において2つのコネクターの間に位置されている。上記要素は、種々の長さの1または2のケーブルコネクターに基づいてアブレーションカテーテルハンドルに関して位置され得る。上記要素は、2つの可変長のケーブルコネクターに取り付けられ得、上記ケーブルコネクターの一方は、アブレーションカテーテルハンドルに直接取り付けられ、またはどのモデルのアブレーションカテーテルが使用されるかに依存して、上記要素は、アブレーションカテーテルのハンドルの近位端に直接取り付けられ得る。ケーブルコネクターの長さは、オペレーターが、上記要素(オン/オフスイッチまたは終結スイッチを有する)がアブレーションカテーテルハンドルに関して位置されることを望む場所に応じて変わり得る。アブレーションカテーテルハンドルとスイッチング要素との間にケーブルコネクターがあるならば、そのスイッチング要素は好ましくは使い捨て可能であり、そしてケーブルコネクターは各々、再使用可能/再滅菌可能であり得る。しかし、スイッチング要素およびケーブルが使い捨て可能でありまたは再使用可能/再滅菌可能であることが可能である。
【0118】
本発明の別の実施態様では、終結スイッチを含む要素が、二重用途のために、すなわち、手動から足による操作へ転換できるように構成される。特に、上記要素は、アブレーションカテーテルに機能的に連結され、そしてアブレーション機能を終結するためのオペレーターによる手動操作のために滅菌領域内に位置され得るように、そして二者択一的に足による操作のために位置され得るように構成される。例えば、上記要素は、滅菌領域で第一の操作モードで手動の終結スイッチ(手動操作のための要素の上部表面に終結スイッチを有する)として作動し得、かつ上記要素は、終結スイッチを始動させそして治療を終結させるために足が上記要素内のペダルをコントロールすることができるように、スイッチ要素が開放されそして床(非滅菌)に置かれ得るように、第二モードに置かれて作動し得る。
【0119】
本発明の別の実施態様では、オン/オフスイッチまたは終結スイッチが、適切な手段、例えば滅菌接着剤、クリップ、またはスリーブ(カテーテルハンドルの前部または後部にわたってスライドするであろう)を介してアブレーションカテーテルハンドル上に直接取り付けられ得る。スイッチが、アブレーション治療システムに、その中に含まれるまたはコネクターケーブル間に置かれた別個のデバイスとしてのコネクターケーブルを介して連結されるならば、上記スイッチは、カテーテルハンドルの方へ折り返すことができ、そして、スイッチ自体がハンドル上で機能するようにカテーテルハンドルへの多数の手段によってハンドルにクリップで留まり、ハンドル上をスライドし、またはハンドルに接着することができる。
【0120】
本発明の別の実施態様では、コネクターケーブルが、ワイヤの全てがコネクターケーブル内に含まれ、かつ治療を停止するために必要なワイヤが、オン/オフスイッチまたは終結スイッチ機構に連結するために別個に分岐するように構成され得る。そのスイッチング機構は、多数の異なる方法で、例えば接着剤、スリーブ、またはクリップによって、アブレーションカテーテルハンドルに取り付けられ得る。スイッチング機構の入力および出力ワイヤは、カテーテル操作を可能にし、かつアブレーションカテーテルハンドル自体の上にスイッチング機構を有するために、アブレーションカテーテルハンドルに到達できそしてアブレーションカテーテルハンドルに接着できるより細いスリーブ内に含まれ得る。コネクターケーブルは、発生器またはコントロールコンソールに連結する、その近位端でのより太くかつより硬質のケーブルと、アブレーションカテーテルハンドル上に置かれ得るスイッチング機構へのより細く、より可撓性の配線(wiring)を含む遠位部材からなるであろう。別個のスイッチング機構は本質的に、コネクターケーブルの端からカテーテルの近位まで伸び、そして操作中にもつれることなくアブレーションカテーテルハンドルに容易に付着し、そしてアブレーションカテーテルハンドル上のスイッチへの容易なアクセスを可能にして治療を手動で停止することができる細いワイヤであり得る。
【0121】
本発明の別の実施態様では、コネクターケーブルが、通常のケーブルのように見え、コネクターケーブルに付着できるより細いスイッチング機構のための別個の末端を有する。この機構は、係合されないならば、コネクターケーブルが通常のコネクターケーブルのように作動することを可能にするが、上記スイッチング機構が取り付けられるならば、治療を停止する機能を有する。スイッチング機構はハンドルから離れて作動することができ、またはアブレーションカテーテルハンドルに直接付着し得る。
【0122】
本発明の別の実施態様では、スイッチング機構がアブレーションカテーテルハンドル上に直接付着している。スイッチング機構は、図1Aと同様であるように、アブレーションカテーテルハンドル上の容易にアクセス可能な位置に置かれてスイッチング機構への容易な人間工学的アクセスを与えて、治療を容易に停止することができる。スイッチング機構自体は、無線であり得る(すなわち、スイッチから直接アブレーションカテーテまたはそのコネクターケーブルで終わる直接のワイヤがない)。しかし、スイッチング機構は、多数の方法、例えば接着剤、クリップ、または可撓性の伸縮性スリーブによってアブレーションカテーテルに付着することができ、そして、コネクターケーブル、別個のデバイス、発生器、コンソールまたはコンピューターコントローラーに組み入れられた受信機スイッチング機構へ信号を送ることにより治療を停止することができる。あるいは、スイッチング機構が、エラー信号を作り出すことにより治療を中断し得る信号を作り出すことができる。例えば、ハンドルの近位端上をスライドされる伸縮性スリーブは、電気コイルの多くの巻き(turn)を含み得る。スリーブが押し下げられると(係合されると)、それは、コイル全体にわたって電流を送って、ハンドルに含まれるアブレーションワイヤを通る電流をインダクタンスによって作り出して、エラーが発生器またはコントローラーコンソールによって検出され得るのに十分に信号を変え、そして治療を停止することができる。他の種類のエラーおよび/または妨害信号も治療を停止することができる。本質的に、上記方法は、アブレーションカテーテルハンドルに接着または付着できる、無線機構を伴うオン/オフスイッチまたは終結スイッチを達成するための独立した滅菌方法を提供する。
【0123】
本発明の別の実施態様では、シールされた再使用可能なコネクターケーブルが、より標準的なケーブル(しかし、別個の終結スイッチング機構のための膨らみを有し得る)のように見えるそしてそのように感じる終結スイッチを含み得る。このスイッチ/ケーブルは、再使用可能であり再滅菌可能であり得る(また、使い捨て可能である)。ケーブル内に含まれるこのスイッチング機構は、受信機機能を有する。ハンドルに留められ、弾性のまたは伸縮性のスリーブとして前後にわたってスライドし、または何らかの他の接着機構によってハンドルに付着することができ、そして送信機スイッチとして作用し得る別個の滅菌使い捨てスイッチは、作動されると(すなわち、例えば押し下げられると)、信号を送信機に送り、そして治療を停止するであろう。さらに、終結スイッチ受信機は、アブレーション発生器、コンソール、またはコンピューターコントローラー内に含まれ得る。
【0124】
本発明の別の実施態様では、オン/オフスイッチまたは終結スイッチが、ケーブルを有しないでコネクターのみで終わるアブレーションカテーテルハンドルの近位端に付着し、または上記近位端上にはみ出るデバイスに組み込まれ得る。そのようなカテーテルの例は、Medtronic’s RFカテーテル、St.Jude Medical’s SAFIREカテーテル、およびBiosense Webster’s THERMOCOOLカテーテル を包含する。上記デバイスは、(1)一体スイッチング機構を有し、(2)アブレーションカテーテルハンドルの近位端に接続し、および(3)ケーブルからコネクターを受け入れるための雄型または雌型レセプタクルを有する、別個の要素を含み得る。あるいは、上記デバイスが、(1)アブレーションカテーテルハンドルに付着するための一体スイッチング機構を有し、および(2)アブレーションカテーテルハンドルの近位端に接続する、ケーブルの遠位端を含み得る。本質的に、このデバイスは、スイッチング機構が、アブレーションカテーテルハンドル自体の一部であるように見えることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0125】
図1A図1Aは、アブレーションカテーテルのハンドルの斜投影図であり、上記ハンドルは、本発明の1実施態様を表わす。
図1B図1Bは、図1Aに示されるハンドルの側面図である。
図2図2は、本発明の1実施態様の概略図であり、アブレーションエネルギーを供給するケーブルとアブレーションカテーテルとの間に置かれ得る部材に終結スイッチが置かれている。
図3図3は、本発明の1実施態様の概略図であり、アブレーションエネルギーを供給するケーブルに終結スイッチが置かれている。
図4図4は、終結スイッチとして作用し得る足踏みペダルの概略図である。
図5図5は、本発明に従うアブレーションカテーテルの遠位端の概略図である。
図6図6は、本発明に従うアブレーションカテーテルの遠位端の概略図である。
図7図7は、アブレーションカテーテルおよび/またはシステムを遠隔操縦することができるリモートハンドルコントローラー上の終結スイッチの図である。
図8図8は、明確かつ習熟した口頭指令により終結スイッチを遠隔的に作動させるための音声指令作動式終結スイッチング機構の概略ダイアグラムを示す。
図9図9は、本発明に従って有用な無線周波数ケーブルのためのプラグの末端の図である。
図10A図10Aは、本発明に従う単純な機構の分離器の概略図である。
図10B図10Bは、本発明に従う単純な機構の分離器の概略図である。
図11図11は、終結スイッチがカテーテルハンドルおよびケーブルの上に置かれ得、かつそれらと連絡し得る様式の変形の概略図である。
図12A図12Aは、カテーテルハンドル上に置かれ得る可撓性スリーブの概略図である。
図12B図12Bは、カテーテルハンドル上に置かれ得る可撓性スリーブの概略図である。
図13図13は、終結スイッチがカテーテルハンドルおよびケーブルの上に置かれ得、かつそれらと連絡し得る本発明の別の実施態様の概略図である。
図14図14は、カテーテルハンドル上に置かれ得るオン/オフスイッチまたは終結スイッチの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0126】
本発明は恐らく、図面に示された本発明の実施態様により一層理解され得る。図1Aおよび1Bでは、操縦可能なアブレーションカテーテルハンドル2が、近位部分4および遠位部分6を有する。遠位部分6は、遠位方向に延びるアブレーションカテーテル10を係合し、旋回レバー機構12がアブレーションカテーテル10を操縦する。赤色の押し下げ可能なボタン14が、ハンドル2の上面18に置かれている。アブレーションエネルギーが近位コードまたはケーブル20からハンドル2に入ると、ボタン14が点灯する。
【0127】
図2に示された本発明の実施態様では、アブレーション治療供給(図示せず)からのケーブル32に取り付けられたコネクター30が、ボタン43を有する瞬時の機械的またはデジタルの終結スイッチ42を有する部材40の第一の雄型コネクター38に連結され得る。部材40の第二の雌型コネクター44は、アブレーションカテーテル(図示せず)のケーブル50に取り付けられたコネクター46に連結され得、またはその近位端にコネクター44のためのレセプタクルを含むBiosense Webster THERMOCOOLカテーテルなどのカテーテル(図示せず)に連結され得る。
【0128】
終結スイッチ42に関して、終結スイッチ42が休止位置または閉じた位置にあるとき、すなわち、ボタン43が表面から離れて延びているとき、ケーブル32とケーブル50との間の回路は閉じている。ボタン43を押すと、スイッチ42がケーブル32とケーブル50との間の回路を開き、治療を中断させる。スイッチ42は、例えば250vacおよび3ampで定格され得る。ケーブル32および50の長さは、部材40の所望の位置、使用されるカテーテル、または他の装置の位置などの要素に応じて変わり得る。
【0129】
部材40は、密封されかつ水耐性である二枚貝の殻様の外側ケースを含み得る。あるいは、ケースは、射出成形され得る。好ましくは、部材40が、コネクター38、スイッチ42およびコネクター44を連結する絶縁された銅線48(点線)を有する。コネクター44は、例えば、Redell 10ピンコネクターであり得る。このコネクターは、Boston Scientific BLAZERカテーテルと適合するであろう。他のカテーテル、例えばBiosense Webster(Johnson & Johnson)、MdetronicおよびSt. Jude Medicalから入手できるものと適合する他のピンコネクターが選択され得る。
【0130】
図3は、アブレーション治療源(図示せず)からのケーブル52が、終結スイッチ56を有する部分54を含むところの別の実施態様を表わす。ケーブル52に取り付けられたコネクター60は、アブレーションカテーテル(図示せず)に取り付けられたケーブル64のコネクター62に連結することができる。アブレーションカテーテルの一部として延びるケーブルを有しないSt. Jude Medicalカテーテル、Mdetronic RFアブレーションカテーテル、およびBiosense Websterカテーテルなどのカテーテルは、より長く堅いハンドルよりもむしろカテーテル操縦性を付与するために、一直線のコネクター−終結スイッチ−コネクターの構成よりもむしろコネクター−終結スイッチ−ケーブル−コネクターの構成から利益を得る可能性がある。顧客は、彼の要求を最もよく満たす、ケーブルの特定の長さ、位置および/または構成を選択することができる。肺静脈を右側で凍結させるためのMedtronic Cardiac CryoAblationカテーテル(ARCTIC FRONT)は、オペレーターが、横隔神経刺激中に横隔膜収縮に達しそしてそれを感じることができ、同時に横隔神経への何らかの不利な影響を直ちに検知しそして直ちに治療を終結するために他方の手を終結スイッチに置くことができるように、より長いケーブル−終結スイッチ−ケーブルシステムに連結され得る。
【0131】
図4に示される本発明の実施態様では、足踏みペダル70が、コネクター76で連結されたケーブル72によってアブレーション治療源78に操作可能に連結されている。足踏みペダル70を踏むことは、治療源78に治療のデリバリーを直ちに停止させるであろう。
【0132】
図5および6は各々、アブレーションカテーテルの遠位部分の概略図である。図5では、遠位電極80が、標準電極82より遠位に置かれている。圧力センサー86が、遠位電極80の近位表面88上に置かれ、単一の衝撃吸収器90が、遠位電極80より近位に置かれている。図6では、遠位電極92が、標準電極94より遠位に置かれている。圧力センサー96が、遠位電極92の近位表面98上に置かれ、幾つかの衝撃吸収器100が、遠位電極92より近位に置かれている。オペレーターが、治療を手動で停止することおよび心臓に加えられる力および/または圧力を安全に制御することを即時に行うことができるように、同一のカテーテルに2以上の安全機能が組み入れられ得ることが考えられる。検知された圧力が所定のレベルまたは値を超える場合には、オペレーターは、そのレベルまたは値を超えたことが分かり、そして終結スイッチを作動させるであろう。あるいは、コントローラーが、所定のレベルまたは値を超えたことを感知し、そして治療を停止させるであろうエラーメッセージまたは信号を自動的に発生させる。
【0133】
図7では、手動リモート110が終結スイッチ112を含む。リモート110は、アブレーション治療デリバリーシステムに機能的に連結された受信機(図示せず)と有線または無線で電気的に連結されている。終結スイッチ112の作動は、アブレーション治療デリバリーシステムによる治療デリバリーの終結を結果する。別の実施態様では、終結スイッチが、カテーテルと治療デリバリー発生器および/またはコンソールとの間に連結され、そしてリモートコントロールデバイスを介して作動され得る。
【0134】
図8は、アブレーション治療デリバリーシステムのための音声作動式終結スイッチの概略図である。受信機116が、オペレーターからの音声指令を受信する。ここで、受信機は好ましくは、オペレーターの音声、特定の1または複数の指令、またはそれらの組合せを認識するようにプログラムされている。受信機116は、終結スイッチ118に機能的に連結されており、終結スイッチ118は、治療発生器120とアブレーションカテーテル122との間に置かれている。任意的に終結スイッチ118は、治療発生器120またはアブレーションカテーテル122に直接、機能的に連結され得る。
【0135】
また、終結スイッチのための上記構成は、その代わりに、カテーテルハンドル内に直接含まれた、または製造者/カテーテルおよびオペレーターに最適な機能性を提供するために種々のコネクターおよびケーブルに適合された、オン/オフスイッチであり得ることが考えられる。
【0136】
図9は、ケーブルプラグまたはコネクター130の端部の図であり、硬質または半硬質の円柱面132がピン134を囲んでいる。ピン134はさらに、「1」から「10」として識別され、下記の機能を有する。
ピン番号 機能
1 アブレーション電極#1
2 使用されず
3 熱電対(コンスタンタン)
4 熱電対(銅)
5 帯状電極#2
6 帯状電極#3
7 帯状電極#4
8 連結チェック
9 連結チェック
10 使用されず
【0137】
スイッチング機構がケーブル機能を全て停止するのではなく、選択されたもののみを停止し、その結果、他の機能が継続できることは、本発明の範囲内である。ここで、例えばピン1と関連する信号を中断することは、アブレーション機能を停止するだろう。
【0138】
図10Aおよび10Bは、アブレーション治療安全デバイスの上部および側面の概略図であり、安全部材140が、ケーブル148およびケーブル150のそれぞれ雌端142および雄端146に隣接して置かれている。安全部材140は、それぞれの端142、146と係合するスリーブまたは支持部材154を含む。押し点(pressure point)またはボタン156が、支持部材154に連結した橋部材158上に置かれている。ボタン156が下方に、すなわち橋部材154の方に押されると、雌端142上のラッチが係合/ロック解除され、そして支持部材154がケーブル端142および146を押してそれらを所定の距離だけ離れさせ、したがって、ケーブル148および150を通る治療の流れを遮断する。端142および146が互いに押し戻されると、アブレーション治療の発生器または源(図示せず)がいったん再作動されるとアブレーション治療がケーブル148および150を通って流れ得る。
【0139】
図11は、カテーテルハンドル178に入れられかつカテーテルハンドル178におけるレセプタクル176と係合する成形されたケーブルコネクター172を有するケーブル170の上面図を表わす。ケーブルコネクター172は、カテーテルハンドル178の近位端180と係合し、またはその上でわずかに延長して、例えば、ケーブルコネクター172および/またはケーブル170に機能的に連結された終結スイッチボタン182のための支持を提供する。
【0140】
図12Aおよび12Bは、カテーテルハンドル184の外側表面を取り囲む可撓性のグリッパースリーブ(gripper sleeve)を有するカテーテルハンドル184の概略図である。図12Aでは、カテーテルハンドル184の長さの約半分の長さを有するグリッパースリーブ186が、カテーテルハンドル184にわたって滑らされ、そしてカテーテルハンドル184の適所に位置している。スリーブ186は、カテーテルハンドル184、ケーブル189、またはアブレーション治療のデリバリーに影響を及ぼすまたは上記デリバリーを停止する何らかの他の要素と有線または無線で連絡するオン/オフスイッチまたは終結スイッチ188を有する。図12Bに示されるグリッパースリーブ190は、カテーテルハンドル184の長さと実質的に同じ長さを有し、カテーテルハンドル184にわたって滑らされ、そしてカテーテルハンドル184上の適所に位置している。偏向器197の周りに適合する開口部196がある。スリーブ190は、カテーテルハンドル184、ケーブル189、またはアブレーション治療のデリバリーに影響を及ぼすまたは上記デリバリーを停止する何らかの他の要素と有線または無線で連絡するオン/オフスイッチまたは終結スイッチ194を有する。
【0141】
スリーブ186および190は、医学的に許容され得る、織られたまたは織られていない可撓性の物質、例えばカテーテルハンドルにわたっておよびカテーテルハンドル上に適合し得る可撓性かつ滅菌可能なポリマー部材を含み得る。有利には、スリーブ物質が、オペレーターの手または指のための快適さおよび高められた握り表面、すなわち握り性を付与するであろう。
【0142】
図13は、カテーテルハンドル196であって、その近位端200にケーブル204のケーブルコネクター202を受け入れるためのレセプタクル198を有する上記ハンドルの上面図を表わす。ケーブル204におけるワイヤと連絡する1以上のワイヤ206が、ケーブルコネクター202またはケーブル204から、終結スイッチ210を支持するための支持部材208へ延びている。支持部材208は、カテーテルハンドル196上の例えば近位端200に置かれまたは固定され得る可撓性の基体である。例えば、可撓性部材208は、カテーテルハンドル196に、適する滅菌接着剤で接着され、または結びつけられ、または巻かれ得る。
【0143】
図14は、カテーテルハンドルまたは他の箇所に置かれ得るオン/オフスイッチまたは終結スイッチの1実施態様である。スイッチング機構214は、可撓性または半可撓性の基体220上に置かれたボタンまたはスイッチ216を含む。上記基体は、カテーテルハンドル(図示せず)の近位端または他の構造もしくは位置、例えばキャビネット、テーブルまたはさらにはオペレーターの身体、例えば手首に、結びつけられ、巻かれ、付着され、または他のやり方で固定され得る。基体220は、電源および電子機器を含んで、信号、例えばインピーダンスを作り出すであろうまたはアブレーションカテーテルシステムにおいてアブレーション治療を停止するであろう誘導信号(inductive signal)または他の信号を発生する。あるいは、スイッチング機構214は、アブレーション治療を送るケーブルにまたは上記ケーブル中に連結された要素に信号を送り得る。上記要素は、上記信号を受け取るための受信機およびアブレーション治療を停止するための機械的または電気的スイッチを有する。
【実施例】
【0144】
標準的アブレーションカテーテルおよび下押しされる赤色の終結スイッチが、遠位アブレーション電極に通じる主要コンダクターにつながれた。上記スイッチは、即時の親指コントロールのためにアブレーションハンドル上に置かれ、操縦可能な要素の全てが設計仕様にしたがって機能するように組み立て直された。次いで、システムが、生の鶏肉および標準の認可されたRFアブレーションシステムを使用してインビトロで試験された。
【0145】
図1Aおよび1Bは、標準ハンドル上の終結スイッチを使用する無線周波数アブレーションカテーテルシステムを表わし、ここで、標準アブレーションカテーテルが、赤色ボタンを終結スイッチとして含むように変えられた。システムが多重に試験され、そして正確な手動コントロールによってインビトロで一貫してアブレーション損傷を作った。終結スイッチを下に押すと、治療デリバリーが直ちに終結し、それによって、故意でない無線周波数デリバリーを防いだ。
【0146】
結果:標準アブレーションカテーテルハンドル上の親指の位置に置かれた人間工学的終結スイッチは、故意でないアブレーション治療の迅速な終結のための新しい簡単な安全機構を提供する。この研究は、通常の伝導系の近位でのアブレーション処置の間の有用性を特に有する(それによって、故意でない心臓ブロックの危険を最小にする)この新しいシステムの操作の容易性を実証した。
【0147】
本発明の特定の実施態様が例示されそして記載されているが、本発明がこれらの実施態様のみに限定されないことは明らかであろう。多くの修飾、変更、バリエーション、置換および同等物は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0148】
2 カテーテルハンドル
4 近位部分
6 遠位部分
10 アブレーションカテーテル
12 旋回レバー機構
14 ボタン
20 ケーブル
30、46 コネクター
32、50 ケーブル
38 雄型コネクター
42 終結スイッチ
43 ボタン
44 雌型コネクター
70 足踏みペダル
72 ケーブル
76 コネクター
78 アブレーション治療源
80、92 遠位電極
86 圧力センサー
90、100 衝撃吸収材
112 終結スイッチ
134 ピン
140 安全部材
142 雌端
146 雄端
148、150 ケーブル
154 支持部材
156 ボタン
158 橋部材
160 ラッチ
178、184、196 カテーテルハンドル
176、198 レセプタクル
172、202 ケーブルコネクター
186 スリーブ
204 ケーブル
206 ワイヤ
208 支持部材
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14