特許第6066972号(P6066972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066972
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】火力調節装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 1/00 20060101AFI20170116BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   F23N1/00 102D
   F23K5/00 301D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-203004(P2014-203004)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-111029(P2015-111029A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2015年10月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-229977(P2013-229977)
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】林 雄一
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌生
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−179834(JP,A)
【文献】 特開2009−121745(JP,A)
【文献】 特開平03−230020(JP,A)
【文献】 実開平01−157949(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0094199(US,A1)
【文献】 特開2006−308228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F23N 1/00
F23N 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石で弁体を吸着して開弁保持する電磁安全弁を備え、点火時にこの電磁安全弁の弁体をロッドで押して弁体を電磁石に吸着させると共に、点火後に電磁安全弁を通過したガスの流量を増減して、ガスが供給されるガスバーナの火力を調節する火力調節部を有する火力調節装置において、点消火とガスの流量調節とを行う1個の操作つまみを有し、この操作つまみの後方に上記ロッドと電磁安全弁とを配設し、操作つまみに対する押し込み力によって電磁安全弁の弁体に連結された可動鉄片を電磁安全弁の電磁石の磁極に押接させると共に、点火完了によって操作つまみに対する押し込み力を解除することにより手前に突出した操作つまみを回転すると、その回転量を検知する回転センサを有し、この回転センサの検知信号に基づいて上記火力調節部を駆動する電動機構を設けると共に、上記ロッドの途中位置に元弁を設け、上記操作つまみが手前に突出した状態で元弁が開弁状態となるようにロッドの手前方向への戻りを規制する規制部材を設け、更に、上記操作つまみの前後方向の位置を、消火位置と、その消火位置より押し込まれた点火位置と、消火位置より手前の火力調節位置とに各々規定するプッシュプッシュ機構を備え、このプッシュプッシュ機構を、操作つまみと共に前後方向に移動するハートカムと、先端がこのハートカムのカム溝内に係合するバネ棒とで構成したことを特徴とする火力調節装置。
【請求項2】
上記規制部材の移動線上に進退する揺動自在のロック板を設けて、ロック板を上記プッシュプッシュ機構のバネ棒の先端で揺動させることによって上記規制部材の戻り方向への規制およびその規制の解除を行うことを特徴とする請求項1に記載の火力調節装置。
【請求項3】
上記ロッドと電磁安全弁とを、上記操作つまみに対して同軸線上に位置するように配設したことを特徴とする請求項1または請求項に記載の火力調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1個の操作つまみを押し込むとバーナに点火され、その操作つまみを回動すると火力が調節できる火力調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロでは点消火及び火力調節はガスコンロの前面パネルに設けられた点消火ボタンや火力調節つまみで行う。従来はこれら点消火ボタンと火力調節つまみとを別個に設けていたが、デザイン上の要請からこれら点消火ボタンと火力調節つまみとをまとめて1個の操作つまみとし、操作つまみを押すことにより点消火をおこない、かつ操作つまみを回動することによりガスバーナの火力を調節するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、火力調節装置本体とは別に操作つまみを設け、その操作つまみに対する押し操作及び回動操作をセンサで検知するように構成されている。一方、火力調節装置にはモータを設けておき、操作つまみに対して行われた操作に応じてモータを駆動して点消火及び火力調節をするように構成されている。
【0004】
さらに具体的には、ガスコンロの前面パネルと面一状態に埋没している操作つまみを押し込んで手を離すと、操作つまみが手前に突出すると共にモータによってカムが回動し、そのカムによってロッドが押され、ロッドの先端で電磁安全弁の弁体が強制的に開弁されて点火が行われる。点火後は操作つまみを回動することによってモータが駆動してガスの流量が調節される。そして、調理が終了すると操作つまみを押し込むことにより電磁安全弁の開弁保持用の電流供給が停止してガスの供給が遮断されることによりガスバーナが消火する。
【0005】
このように点火操作及び火力調節操作を1個のモータで行うものの他、点消火操作及び火力調節操作をモータを用いずに手動操作によって行うものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このものでは、操作つまみの奥側にニードル弁を配設して、操作つまみを回動するとニードル弁が進退してガスの流量を調節するように構成されている。そして、操作つまみの軸線に対して平行な軸線上に電磁安全弁、およびその電磁安全弁の弁体を強制的に押し、弁体に連結された可動鉄片を電磁安全弁の電磁石の磁極に押接させるためのロッドを配設し、操作つまみが押し込まれると操作つまみに押されて移動する間接部材を設け、その間接部材を介してロッドを電磁安全弁に向かって移動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−308228号公報(図3
【特許文献2】特開平3−230020号公報(第5−7頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の火力調節装置のうちの特許文献1に示すような、電磁安全弁の開弁をモータで行うものでは、電磁安全弁の開弁に大きなトルクを必要とするため、モータが大型化する。モータが大型化すると、モータのコストが高くなると共に、消費電力が増加するので、特に駆動用の電力を電池によって賄おうとすると、電池の寿命が短くなるという不具合が生じる。
【0009】
一方、上記特許文献2に示したような、点火操作を手動で行うものでは電源を必要としないが、操作つまみに作用させる押し込み力が直接ロッドに作用せず、間接部材を介してロッドに作用するため、操作つまみに作用させた押し込み力がすべてロッドに作用せず、そのため必要とされる押し込み力が大きくなり押し込みづらくなるばかりか、押し込み力がロッドの進退方向に対してずれた方向に作用するので、電磁安全弁の弁体に連結された可動鉄片を電磁石の磁極に確実に押接できないおそれが生じる。なお、弁体に連結されている可動鉄片を電磁石の磁極に確実に押接できないと、電磁石に保持用の電流を流して磁極を励磁しても可動鉄片を吸着保持できず、バーナに点火できない事態が発生する。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、点火操作を手動で行うが、その点火動作による点火を確実に行うことのでき、かつ消費電力が少ない火力調節装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明による火力調節装置は、電磁石で弁体を吸着して開弁保持する電磁安全弁を備え、点火時にこの電磁安全弁の弁体をロッドで押して弁体を電磁石に吸着させると共に、点火後に電磁安全弁を通過したガスの流量を増減して、ガスが供給されるガスバーナの火力を調節する火力調節部を有する火力調節装置において、点消火とガスの流量調節とを行う1個の操作つまみを有し、この操作つまみの後方に上記ロッドと電磁安全弁とを配設し、操作つまみに対する押し込み力によって電磁安全弁の弁体に連結された可動鉄片を電磁安全弁の電磁石の磁極に押接させると共に、点火完了によって操作つまみに対する押し込み力を解除することにより手前に突出した操作つまみを回転すると、その回転量を検知する回転センサを有し、この回転センサの検知信号に基づいて上記火力調節部を駆動する電動機構を設けると共に、上記ロッドの途中位置に元弁を設け、上記操作つまみが手前に突出した状態で元弁が開弁状態となるようにロッドの手前方向への戻りを規制する規制部材を設け、更に、上記操作つまみの前後方向の位置を、消火位置と、その消火位置より押し込まれた点火位置と、消火位置より手前の火力調節位置とに各々規定するプッシュプッシュ機構を備え、このプッシュプッシュ機構を、操作つまみと共に前後方向に移動するハートカムと、先端がこのハートカムのカム溝内に係合するバネ棒とで構成したことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、操作つまみの後方に上記ロッドと電磁安全弁とを配設しているので、点火操作時に操作つまみを押し込むと、その押し込み力はロッドに対して作用する。すると、ロッドはロッドの軸線に沿って移動し、ロッドの先端が電磁安全弁の弁体を押して開弁させる。また、点火後の火力調節は回転センサの検知信号に基づいて電動機構によって火力調節部を駆動することによって行われる。
【0013】
なお、消火時には電磁安全弁によってガスを遮断するが、電磁安全弁に故障が生じることを考えると冗長性を高めることが望まれる。
【0014】
そこで、上記ロッドの途中位置に元弁を設け、上記操作つまみが手前に突出した状態で元弁が開弁状態となるようにロッドの手前方向への戻りを規制する規制部材を設け
【0015】
ところで、この規制部材として例えば従来のプッシュプッシュ機構を用いることも考えられるが、上記操作つまみの前後方向の位置を、消火位置と、その消火位置より押し込まれた点火位置と、消火位置より手前の火力調節位置とに各々規定するプッシュプッシュ機構を備え、このプッシュプッシュ機構を、操作つまみと共に前後方向に移動するハートカムと、先端がこのハートカムのカム溝内に係合するバネ棒とで構成した。なお、上記規制部材の移動線上に進退する揺動自在のロック板を設けて、ロック板をバネ棒の先端で揺動させることによって上記規制部材の戻り方向への規制およびその規制の解除を行うようにすれば、プッシュプッシュ機構を2個設ける場合に比べて全体の大きさを小さくすることができる。
【0016】
なお、上記ロッドと電磁安全弁とは上記操作つまみの後方に配設されていればよいが、特に、上記ロッドと電磁安全弁とを、上記操作つまみに対して同軸線上に位置するように配設すれば、操作つまみに対する押し込み力が効率よくロッドに伝達される。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ロッドの先端が電磁安全弁の弁体を押して開弁させる際に、弁体に斜め方向の力が作用しないので、電磁安全弁に弁体を吸着させる際に、確実に弁体を電磁石に吸着させることができ、点火の失敗を防止できる。また、電動機構は点火完了後の火力調節時のみ作動させるため、小型化することができ、かつ消費電力を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の火力調節装置が適用されるガスコンロの正面から見た斜視図
図2】ガスコンロ内の配管状態を示す図
図3】火力調節装置の斜視図
図4】火力調節装置の分解斜視図
図5】ハートカムのカム溝の形状を示す図
図6】ハートカムの位置とバネ棒の状態を示す図
図7】火力調節装置の断面図
図8】火力調節装置の他の形態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、1は本発明による火力調節装置が適用されるガスコンロである。このガスコンロ1の上面には天板11が設けられており、その天板11には3個のガスバーナ11a、11b、11cが設けられている。一方、このガスコンロ1の前面パネル12には各ガスバーナ11a、11b、11cの点消火操作及び火力調節操作を行うための火力調節装置13a、13b、13cが設けられている。また、前面パネル12の略中央にはグリル庫14が設けられており、グリル庫14内には上火バーナ14aと下火バーナ14bとが設置されている。そして、上火バーナ14aと下火バーナ14bの点消火及び火力調節は火力調節装置15によって行われる。
【0020】
図2を参照して、本実施の形態では、ガスの供給管路は4本に並設に分岐され、その分岐された供給管路の各々に火力調節装置13a、13b、13c,15が設けられている。火力調節装置13aを例に説明すると、火力調節装置13a内には点消火を行うための開閉弁部2と火力調節を行うための流量調節部3とを備えている。
【0021】
開閉弁部2内には手動操作により開弁される元弁21aと電磁安全弁の弁体22aとが直列に設けられている。一方、流量調節部3にはモータ31が連結されており、モータ31を駆動させることにより流量を増減するように構成されている。なお、火力調節装置13b、13cは共に火力調節装置13aと同じ構造であるが、火力調節装置15は開閉弁部2は同じ構造であるものの流量調節部3の構造が他のものと相違する。
【0022】
火力調節装置15の流量調節部3は並列な2系統に分岐され、その各々に電磁力によって開閉する開閉弁15a、15bが設けられ、かつ、両開閉弁15a、15bをバイパスするオリフィス16が設けられている。従って、例えば開閉弁15aが開弁すれば上火バーナ14aの火力は強火になり、開閉弁15aが閉弁すればオリフィス16を通るガスによって弱火になる。
【0023】
図3および図4を参照して、引き続き火力調節装置13aを例に、火力調節装置13aの構造を説明する。41は操作つまみで有り、点消火時に押し込まれ、また火力調節時には外周面をつままれて回動されるものである。この操作つまみ41の内側には操作つまみ41と一体となって進退し、かつ回動する内部材42が連結されており、この内部材42は回動部材44に対して前後方向に移動自在に係合している。そして、内部材42と回動部材44との間にはコイルバネ43が縮設されており、操作つまみ41は内部材42を介して常に前方に向かって付勢されている。
【0024】
回動部材44は板金製のブラケット47に係合するガイド軸48に遊嵌し、ガイド軸48を中心に回動することができる。なお、ガイド軸48には回動部材44が前方に移動しないように係合する係合爪が設けられており、またコイルバネ43の反作用により回動部材44はブラケット47に押し付けられるので、回動部材44は前後方向に移動することなく回動のみすることができる。回動部材44は内部材42に対して係合しているので、操作つまみ41を回動すると内部材42を介して回動部材44が回動することになる。
【0025】
回動部材44の後端部外周面にはギヤ44aが形成されており、このギヤ44aにはピニオン45が噛合する。このピニオン45は回転センサであるロータリーエンコーダ46の軸46aに嵌着している。従って、回動部材44が回動するとロータリーエンコーダ46の軸46aが回転する。このロータリーエンコーダ46内には電気的なスイッチが設けられており、軸46aが回転すると所定の角度毎にスイッチがオン・オフを繰り返すので、軸46aが所定角度回転する毎にパルス信号を出力するものである。そして、そのパルス信号に応じてモータ31が作動し、内蔵されたニードル弁(図示せず)が前後に移動し開度が増減し、ガス流量が調節される。
【0026】
ブラケット47の後方にはガイド部材5が取り付けられている。このガイド部材5は2個の部材であるスライダ62と規制部材8とを前後方向に移動自在にガイドする機能を有している。そして、正面から見て左側面には規制部材8の位置によってオンオフする2つの接点を内蔵したマイクロスイッチ51が取り付けられている。右側面には、規制部材8に形成した係合爪81が突出する窓穴52が形成されている。さらに同じく右側面にはロック板7が上下方向に揺動自在に取り付けられている。このロック板7にはロック部72が形成されており、ロック板7が上方に揺動して窓穴52に重なると、規制部材8の係合爪81がロック部72に当接して、規制部材8がそれ以上前方に移動できないように規制部材8の移動がロックされるように構成されている。
【0027】
上記スライダ62には前方に向かって突出するアーム61が設けられており、このアームは上記内部材42に回転自在に係合している。従って、操作つまみ41を押し込むとアーム61を介してスライダ62がガイド部材5内を奥側に移動する。また、上記コイルバネ43の付勢力により操作つまみ41が前方へと戻されると、アーム61を介してスライダ62も前方へと移動する。
【0028】
スライダ62にはハートカム6が一体に設けられており、そのハートカム6のカム溝内に先端部71aが挿入されるバネ棒71が、ガイド部材5に揺動自在に保持されている。なお、バネ棒71の先端部71aはロック板7の窓穴73に挿通されているので、先端部71aが揺動して上下方向の位置が変位すると、その変位に合わせてロック板7が上下方向に揺動する。
【0029】
上記開閉弁部2からは前方に向かってロッド21が突出しており、開閉弁部2と規制部材8との間にはコイルバネ82が縮設されている。従って、規制部材8は常に前方に向かってコイルバネ82によって付勢されているが、操作つまみ41を押し込むことによってスライダ62が後方に移動する際、スライダ62によって規制部材8が押されると、規制部材8も後方へと移動してロッド21を後方に押すことになる。また、スライダ62が前方へ移動すると、コイルバネ82の付勢力によって規制部材8も前方へ移動するが、その際、上記ロック板7が上方に揺動してロック部72が窓穴52に重なっていると係合爪81がロック部72に当接して規制部材8の前方への移動が規制されることは上述の通りである。
【0030】
図5および図6を参照して、ハートカム6には略ハート形状のカム溝が形成されている。操作つまみ41が消火位置にある状態では、バネ棒71の先端部71aは図5に示すaの位置にある。その位置から点火の際に操作つまみ41が点火位置まで押し込まれると、ハートカム6は後方に移動し、その際に先端部71aはaからbに移動する。その移動時に、先端部71aは段部D1を乗り越えるので、点火完了後に操作つまみ41に対する押し込み力を解除してコイルバネ43の付勢力によってスライダ62と共にハートカム6が最前端である火力調節位置に移動する際、先端部71aはaには戻らずに段部D2を越えてcに移動する。
【0031】
消火の際には操作つまみ41を再度押し込むが、その際、先端部71aはcからdに移動する。なお、dに到達する直前に段部D3を乗り越える。その状態から操作つまみ41に対する押し込み力を解除すると、コイルバネ43の付勢力でスライダ62は前方へ戻り、先端部71aは段部D4を越えて再び消火位置に対応するaに戻る。
【0032】
図7を参照して、(a)に示す消火状態では、操作つまみ41は前面パネル12とほぼ面一状態になっている。このとき、スライダ62に対して後方から規制部材8が押接しており、また、規制部材8に対してロッド21の前端は離れている。そのため、ロッド21のほぼ中央に取り付けた元弁21aは閉弁しており、かつ、電磁安全弁22の弁体22aも閉弁している。このように開閉弁部2を構成する元弁21aと弁体22aとが共に閉弁しているので、ガスは流量調節部3には流れない。
【0033】
(b)に示すように操作つまみ41を点火位置まで押し込むと、スライダ62に押されて規制部材8も後方に移動する。その際ロッド21も合わせて後方に押すため、元弁21aが開弁すると同時に電磁安全弁の弁体22aがロッド21の後端によって押されて強制的に開弁される。その状態で電磁安全弁22内の図示しない電磁石に通電され、弁体22aに連結されている可動鉄片が電磁石に吸着される。
【0034】
その状態から操作つまみ41に対する押し込み力を解除すると、(c)に示すように、操作つまみ41は前方に突出する。その際スライダ62も合わせて前方に移動するが、上記ロック板7が上方に揺動して規制部材8の前方への移動を規制する。その状態では、ロッド21は規制部材8に当接しており、元弁21aは開弁したままの状態で保持される。また、ロッド21の後端は、電磁安全弁22の弁体22aが閉弁位置まで戻る際に邪魔しない位置まで退避している。従って、調理中に煮こぼれなどによってバーナが失火すると電磁安全弁22に通電している吸着保持用の電流を遮断することによって、弁体22aを閉弁させ、ガスバーナへのガスの供給を停止させることができる。
【0035】
上記構成では、特に(b)に示すように、操作つまみ41に対する押し込み力がそのまま弁体22aを押す力となって作用するので、弁体22aに連結されている可動鉄片を電磁安全弁22の磁極に正面から確実に押接させることができ、少ない保持電流であっても確実に可動鉄片を磁極に吸着保持させることができる。
【0036】
ところで、図7に示したように、ロッド21と電磁安全弁22とを操作つまみ41の後方に配設する際、ロッド21と電磁安全弁22とを操作つまみ41に対して同軸線上に位置するように配設したが、必ずしも同軸線上に配設する必要はない。例えば、図8に示すように、ロッド21と電磁安全弁22とを操作つまみ41の軸線に対して距離L偏位させて配設するようにしてもよい。
【0037】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0038】
1 ガスコンロ
2 開閉弁部
3 流量調節部
5 ガイド部材
6 ハートカム
7 ロック板
8 規制部材
12 前面パネル
13a 火力調節装置
13b 火力調節装置
13c 火力調節装置
14 グリル庫
15 火力調節装置
21 ロッド
21a 元弁
22 電磁安全弁
22a 弁体
31 モータ
41 操作つまみ
46 ロータリーエンコーダ
62 スライダ
71 バネ棒
72 ロック部
81 係合爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8