【実施例】
【0022】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0023】
例1
Al源としてθ−アルミナ粉末(比表面積72.9m
2/g、住友化学製)を用意した。θ−アルミナ粉末のSEM写真を
図1に示す。このθ−アルミナ粉末とZnO粉末(高純度化学研究所製、純度5N、比表面積3.9m
2/g)を、ZnOが98重量部及びθ−アルミナが2重量部の配合比率となるように秤量した。これらの粉末にボールミル処理を3時間施してスラリーを得た。このボールミル処理は、エタノールを溶媒とし、直径2mmのZrO
2製ボールを用いて行った。得られたスラリーをエバポレーターで乾燥し、#100のメッシュを通すことにより、ZnO及びθ−アルミナの混合粉末を得た。この混合粉末を金型を用いてプレス成型し、さらに2t/cm
2の圧力にて静水圧プレスを行って成形体を得た。この成型体を焼成炉中に配置し、N
2雰囲気にて、室温から1300℃まで200℃/hの昇温速度で昇温させた後、1300℃で5時間保持し、その後炉冷して焼結体を得た。得られた焼結体から3mm×4mm×40mmのサイズの試料を切り出し、アルキメデス法によって嵩密度を測定した。また、焼結体の抵抗率もAg線を電極とした四端子法により測定した。
【0024】
例2
アルミナ原料としてベーマイト(AlOOH)(比表面積137.4m
2/g、Sasol製)をアルミナ換算量で2重量部(ベーマイトで2.34重量部)用いたこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。ベーマイトのSEM写真を
図2に、評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0025】
例3
アルミナ原料としてγ−アルミナ(比表面積148.1m
2/g、住友化学製)を用いたこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。γ−アルミナのSEM写真を
図3に、評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0026】
例4
焼成時に1400℃まで昇温させて、1400℃で5時間保持したこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0027】
例5
アルミナ原料としてベーマイト(AlOOH)(比表面積137.4m
2/g、Sasol製)をアルミナ換算量で2重量部(ベーマイトで2.34重量部)用いたこと、及び焼成時に1400℃まで昇温させて、1400℃で5時間保持したこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0028】
例6
アルミナ原料としてγ−アルミナ(比表面積148.1m
2/g、住友化学製)を用いたこと、及び焼成時に1400℃まで昇温させて、1400℃で5時間保持したこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0029】
例7
昇温時に900℃で5時間保持して予備加熱を行った後、1400℃まで昇温して1400℃で5時間常圧焼成したこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0030】
例8
アルミナ原料としてベーマイト(AlOOH)(比表面積137.4m
2/g、Sasol製)をアルミナ換算量で2重量部(ベーマイトで2.34重量部)用いたこと、及び昇温時に900℃で5時間途中保持して予備加熱を行った後、1400℃まで昇温して1400℃で5時間常圧焼成したこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0031】
例9
アルミナ原料としてγ−アルミナ(比表面積148.1m
2/g、住友化学製)を用いたこと、及び昇温時に900℃で5時間途中保持して予備加熱を行った後、1400℃まで昇温して1400℃で5時間常圧焼成したこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0032】
例10
昇温時に、1100℃で5時間保持して予備焼成を行った後、1400℃まで昇温して1400℃で5時間常圧焼成したこと以外は、例1と同様にして焼結体の作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0033】
例11(比較)
アルミナ原料としてα−アルミナ(比表面積12.6m
2/g、大明化学工業製)を用いたこと以外は例1と同様にして、焼結体の作製及び評価を行った。α−アルミナのSEM写真を
図4に、評価結果を表1に示す。抵抗率は例1で得られた値との相対値として算出した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示されるように、比表面積が大きいアルミナ又はベーマイトをドーパント材料として用いた例1〜10においては、1300℃以上の高温で焼結を行った場合に、比表面積が小さいアルミナを用いた例11と比較して、高密度かつ低抵抗率のターゲットが得られた。