特許第6067029号(P6067029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067029
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】飲料調製マシン
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/36 20060101AFI20170116BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20170116BHJP
   A47J 31/58 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   A47J31/36 122
   A47J31/06 320
   A47J31/58
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-550672(P2014-550672)
(86)(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公表番号】特表2015-503411(P2015-503411A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2012075967
(87)【国際公開番号】WO2013102557
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】12150225.6
(32)【優先日】2012年1月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】タロン, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ドーガン, ニーハン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアキム, アルフレッド
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0048650(US,A1)
【文献】 米国特許第05642656(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
A47J 31/06
A47J 31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)流体のためのリザーバ(2)と、
(ii)少なくとも1つの飲料調製原材料(104)を備える少なくとも1つの原材料カプセル(100)を受けるようになっている淹出ヘッド(3)と、
(iii)前記原材料カプセル(100)が前記淹出ヘッド(3)により受けられるときに、前記流体を前記飲料調製原材料(104)と加圧下で混合させて所定量の飲料を生成するために前記原材料カプセル(100)内へ注入できるように、所定量の前記流体を前記リザーバ(2)から前記淹出ヘッド(3)へ圧送するためのポンプ(6)と、
を備え、
前記リザーバ(2)、前記ポンプ(6)、および、使用時に挿入された前記原材料カプセル(100)が流体連通を成して流体システム(800)を形成する、飲料調製マシン(1)であって、該飲料調製マシン(1)が、
前記流体システム(800)内の流体の流量の測定値を使用して、前記淹出ヘッド(3)内に挿入された原材料カプセル(100)内の内圧(P)を測定するようになっているセンサと、
測定された前記内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超える場合に、挿入された前記原材料カプセル(100)の前記流体システム(800)からの取り外しを防止するようになっているロック機構(401)と、
を更に備えることを特徴とする飲料調製マシン(1)。
【請求項2】
前記ロック機構(401)は、測定された前記内圧(P)が前記所定の閾値圧力値(Pt)を超えるときに、受けられた前記原材料カプセル(100)への消費者のアクセスを防止する、または、挿入された前記原材料カプセル(100)を所定位置にロックするようになっている、請求項1に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項3】
前記内圧(P)を測定するための前記センサ流量センサである請求項1または2に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項4】
前記淹出ヘッド(3)が原材料カプセル(100)を受けるためのカプセルホルダ(8)を備え、前記センサは、前記カプセルホルダ(8)内に前記原材料カプセルが挿入されるときに原材料カプセルの壁に隣接する前記カプセルホルダ(8)の壁に埋め込まれ、前記センサは、前記カプセルホルダ(8)内に原材料カプセルが受けられるときに、原材料カプセル(100)の内圧により引き起こされて前記カプセルホルダ(8)の前記壁の少なくとも一部に及ぼされる圧力を測定するようになっている、請求項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項5】
前記センサは、流体注入針(102)がその長手方向軸線に沿って移動できるように、前記流体注入針(102)に接続されたばねまたは弾性部材を備え、前記ばねまたは弾性部材が、前記原材料カプセル内の前記内圧に応じて前記流体注入針(102)が移動される場合に、前記流体注入針(102)の移動に対応して圧縮されるようになっている、請求項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項6】
前記淹出ヘッド(3)が、流体注入針(102)に接続された表面(111)を備え、前記表面(111)は、前記飲料調製マシン(1)内に原材料カプセルが挿入されるときに、前記原材料カプセル(100)の上端膜(101)に隣接してこれと接続し、前記センサが、前記表面(111)に埋め込まれまたは接続されて、前記表面(111)の少なくとも一部に及ぼされる圧力を測定する、請求項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項7】
前記飲料調製マシン(1)は、調製される前記飲料を受けるための容器(12)の下側に配置された重量センサを備え、流体の前記流量が、前記容器(12)の重量の測定された経時的変化に基づいて測定される、請求項1または2に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項8】
前記所定の閾値圧力値(Pt)が約0.05バール〜約0.5バールの相対圧力である、請求項1または2に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項9】
前記飲料調製マシン(1)は、原材料カプセル(100)を受けるために消費者により操作可能なカプセルホルダ(8)を更に備え、前記ロック機構(401)が、測定された前記内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超えるときに、前記カプセルホルダ(8)をロックするようになっている、請求項1〜のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項10】
前記飲料調製マシン(1)が、流体注入針(102)に接続される表面(111)を備え、前記表面(111)は、原材料カプセル(100)の上端膜(101)に隣接してこれと接続し、前記ロック機構(401)は、測定された前記内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超えるときに、前記表面(111)の動きを防止するようになっている、請求項1〜のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製マシンに関し、特に、飲料調製原材料を備えるカプセルと共に用いるための飲料調製マシンであって、流体とカプセル内の原材料とを加圧下で混合させることによる飲料の調製のためにカプセルがマシン内に挿入されるようになっている、飲料調製マシンに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料調製マシンは、食品科学分野および消費者物品分野において良く知られている。そのようなマシンは、所定のタイプの飲料、例えば、エスプレッソまたは淹出様のカップコーヒーなどのコーヒーベースの飲料を消費者が自宅で調製できるようにする。
【0003】
今日、家庭内飲料調製用の殆どの飲料調製マシンは、飲料の調製のための小分けされた原材料を受け入れることができるマシンから形成されるシステムを備える。そのような小分けは、柔軟なポッドまたはパッド、あるいは、小袋であってもよいが、益々多くのシステムは、硬質のポッドまたはカプセルなどの半硬質または硬質の小分けを使用する。以下では、発明の飲料マシンが硬質または半硬質のカプセルと共に作用する飲料調製マシンであることが考慮される。
【0004】
マシンは、カプセルを受け入れるための容器と、流体、好ましくは水を加圧下でカプセル内へ注入するための流体注入システムとを備える。加圧下でカプセル内に注入される水は、本発明に係るコーヒー飲料の調製においては、好ましくは熱く、すなわち、70℃を上回る温度にある。しかしながら、幾つかの特定の場合には、水が常温であってもよい。カプセル内容物の抽出中および/または溶解中におけるカプセルチャンバ内の圧力は、一般に、製品の溶解の場合には約1〜約8バールであり、また、焙煎して挽いたコーヒーの抽出の場合には約2〜約12バールである。そのような調製プロセスは、淹出(brewing)が流体(例えば熱水)による原材料の長時間の煎じ出しを伴うのに対して、飲料調製プロセスが飲料、例えばコーヒーを消費者が数秒内で調製できるようにするという点において、−特に茶およびコーヒーのための−飲料調製のいわゆる“淹出”プロセスとは大きく異なる。
【0005】
閉じられたカプセルの内容物を加圧下で抽出するおよび/または溶解する原理は、知られており、また、一般に、マシンの容器内にカプセルを閉じ込め、一般的にはマシンに取り付けられる流体注入針などの穿刺注入要素を用いてカプセルの面を穿刺した後に、所定量の加圧水をカプセル内へ注入することにより、カプセルの内側に加圧環境を形成して物質を抽出しあるいは物質を溶解し、その後、抽出された物質または溶解された物質をカプセルを通じて解放することから成る。この原理の適用を可能にするカプセルは、例えば本出願人の欧州特許第1472156号明細書および欧州特許第1784344号明細書に既に記載されている。
【0006】
この原理の適用を可能にするマシンは、例えば中国特許第605293号明細書および欧州特許第242556号明細書に既に記載されている。これらの文献によれば、マシンは、カプセルのための容器と、1つ以上の液体注入オリフィスをその先端領域に備える中空針の形態を成して形成される穿孔・注入要素とを備える。針は、一方ではそれがカプセルの上端部を開放し且つ他方ではそれがカプセル内への水入口チャネルを形成するという点において、二重機能を有する。
【0007】
マシンは、カプセル内に収容される原材料を加圧下で溶解するおよび/または煎じるおよび/または抽出するために使用される流体を蓄えるための流体タンク−殆どの場合にはこの流体は水である−を更に備える。マシンは、内部で使用される水を作業温度(伝統的には最大で80〜90℃の温度)まで温めることができるボイラまたは熱交換器などの加熱要素を備える。最後に、マシンは、水をタンクから、随意的には加熱要素を経由して、カプセルへ流通させるためのポンプ要素を備える。マシン内で水が流通する態様は、例えば、本出願人の欧州特許出願公開第2162653号明細書に記載されるタイプの蠕動バルブなどの選択バルブ手段によって選択される。
【0008】
調製されるべき飲料がコーヒーである場合には、コーヒーを調製するための1つの興味深い方法は、内部に注入される熱水を用いて抽出されるようになっている焙煎して挽いたコーヒー粉末を収容するカプセルを消費者に提供することである。
【0009】
そのような用途においては、本出願人の欧州特許第1784344号明細書または欧州特許出願公開第2062831号明細書に記載されて特許請求の範囲に記載されるカプセルが開発されてきた。
【0010】
要するに、そのようなカプセルは、一般的に、
−中空体、および、液体および空気を透過させず且つ中空体に取り付けられてマシンの例えば注入針によって穿刺されるようになっている注入壁と、
−抽出されるべき焙煎して挽いたコーヒーの層を収容するチャンバと、
−カプセルの下端に配置されて、チャンバ内の内圧を保持するためにカプセルを閉じるアルミニウム膜であって、チャンバ内の内圧が特定の所定値に達するときにアルミニウム膜に注出穴を穿孔するための穿孔手段と関連付けられる、アルミニウム膜と、
−随意的に、カプセル内へ注入される流体の噴流の速度を低下させるために流体の噴流を破壊するとともに、流体を低下した速度で物質層を横切って分散させるように構成される手段と、
を備える。十分な飲料を調製するためには、マシンタンク内の水位が低すぎる時期を消費者が知ることがしばしば重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図1に示される従来技術のカプセル100は、例えば図8と関連して説明されるような流体システムの一部である飲料調製マシン(図示せず;例えば図3における1参照)の流体注入針102によって穿孔されるようになっている注入壁または膜101(上端膜と称される)を特徴とする。液体がカプセル区画室103内に注入されると、圧力が増大され、これは、前述したように、カプセル内に収容される原材料104を抽出するための抽出手段としての機能を果たす。
【0012】
従来技術のカプセルでは、飲料が調製されて注出された後に針102がカプセル100から除去されると、カプセルの上端膜101が穿孔され、図2に示されるように穴105が残存する。しかしながら、そのような場合、内圧または抽出流体圧“P”がカプセル区画室103内に少なくとも部分的に残る。
【0013】
抽出すべき可溶性原材料をカプセル100が収容する場合、カプセル区画室103は一般に1つの単一の部分を備え、また、残留流体圧力が区画室容積全体に分散される。
【0014】
例えば図1および図2に示されるようにカプセル区画室が幾つかの部分に分割される場合、残留圧力“P”は、図1に示されるように流体注入針102を挿入時に受け入れるカプセル区画室103の上端部分106に位置する。この場合、抽出されるべき原材料104、一般的には焙煎して挽いたコーヒー“RG”は、カプセルの中央部分107に収容される。この場合、上端部分106は中央部分107よりも上側に配置される。また、他の部分108は、中央部分107よりも下側に配置されるとともに、カプセルを閉じる他の膜109(下端膜と称される)を備え、この膜を通じて、図2に矢印により示されるように抽出物質または溶解物質が解放される。
【0015】
特定の場合には、カプセルが使用された後にカプセル区画室内に残存する残留内圧Pに起因して、消費者がマシンの淹出ヘッドを開放する際に、液体しぶき−しばしば生成物の“ホエール効果”または逆流と称される−が、カプセル上端膜101から、針102により穿孔された穴105を通じて噴出し得る。そのような逆流は、非常に早期に、すなわち、カプセル内の液体が十分に流出する前に、したがって、カプセル内の残留圧力が十分に減少する前に、消費者がマシンの淹出ヘッドを開放するときに生じる。幾つかの例外的なケースでは、“ホエール効果”と名付けられる液体の噴流がカプセルから飛散するので、カプセル内の非常に高い残留内圧に起因する逆流が非常に重要である。そのような“ホエール効果”が図2に表される。そのような現象は無秩序に稀に生じるが、熱い液体のしぶきが飛散するため望ましくない。また、液体が原材料と混合される水である場合には、カプセル上端膜からの液体のそのような漏れも、清潔の観点において望ましくなく、使用後にマシンおよびその周囲を洗浄する時間を消費者に費やさせる。
【0016】
したがって、本発明の目的は、前述したいわゆる“ホエール効果”を防止しあるいは少なくとも減少させる飲料調製システムおよびマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した目的は、
(i)流体のためのリザーバと、
(ii)少なくとも1つの飲料調製原材料を備える少なくとも1つの原材料カプセルを受けるようになっている淹出ヘッドと、
(iii)原材料カプセルが淹出ヘッドにより受けられるときに、流体を飲料調製原材料と加圧下で混合させて所定量の飲料を生成するために原材料カプセル内へ注入できるように、所定量の流体をリザーバから淹出ヘッドへ圧送するためのポンプと、
を備え、リザーバ、ポンプ、および、使用時に挿入された原材料カプセルが流体連通を成して流体システムを形成する、飲料調製マシンであって、該飲料調製マシンは、
−淹出ヘッド内に挿入された原材料カプセル内の内圧(P)を測定するようになっている圧力センサと、
−測定された内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超える場合に、挿入された原材料カプセルの流体システムからの取り外しを防止するようになっているロック機構と、
を更に備えることを特徴とする飲料調製マシンを用いて果たされる。
【0018】
このようにすると、内圧“P”が“ホエール効果”を回避するあるいは減少させる閾値を下回るまでカプセルを取り外すあるいは解放することができないため、“ホエール効果”を効果的且つ簡単な方法で回避するあるいは減少させるべく制御が行われる。
【0019】
本明細書の全体にわたって、内圧“P”の測定は、カプセル内の内圧の直接的な測定と、間接的な、例えば推定の測定との両方として理解されるべきである。
【0020】
1つの実施形態において、ロック機構は、測定された内圧値(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超えるときに、受けられた原材料カプセルへの消費者のアクセスを防止する、または、挿入された原材料カプセルを所定位置にロックするようになっている。
【0021】
1つの実施形態では、圧力センサが淹出ヘッドに配置される。
【0022】
1つの実施形態では、圧力センサが流体システム内に配置される。
【0023】
1つの実施形態において、圧力センサは、流体注入針の入口とポンプとの間の流体接続部に配置され、または、流体接続部に接続する。
【0024】
1つの実施形態において、圧力センサは、流体注入針の入口の近傍または該入口に隣接して配置される。
【0025】
1つの実施形態では、淹出ヘッドが原材料カプセルを受けるためのカプセルホルダを備え、圧力センサは、カプセルホルダ内に原材料カプセルが挿入されるときに原材料カプセルの壁に隣接するカプセルホルダの壁に埋め込まれ、また、圧力センサは、カプセルホルダ内に原材料カプセルが受けられるときに、原材料カプセルの内圧により引き起こされてカプセルホルダの壁の少なくとも一部に及ぼされる圧力を測定するようになっている。
【0026】
1つの実施形態において、圧力センサは、流体注入針がその長手方向軸線に沿って移動できるように、流体注入針に接続されたばねまたは弾性部材を備え、ばねまたは弾性部材は、原材料カプセル内の内圧に応じて流体注入針が移動される場合に、流体注入針の移動に対応して圧縮されるようになっている。
【0027】
1つの実施形態では、淹出ヘッドが、流体注入針に接続された表面を備え、表面は、飲料調製マシン内に原材料カプセルが挿入されるときに、原材料カプセルの上端膜に隣接してこれと接続し、圧力センサは、表面に埋め込まれまたは接続されて、表面の少なくとも一部に及ぼされる圧力を測定する。
【0028】
1つの実施形態において、内圧(P)は、流体システム内の流体の流量の測定値を使用して測定される。
【0029】
1つの実施形態において、飲料調製マシンは、調製される飲料を受けるための容器の下側に配置された重量センサを備え、流体の流量は、容器の重量の測定された経時的変化に基づいて測定される。
【0030】
1つの実施形態において、内圧(P)は、流体システム内の流体の流量の測定値と挿入された原材料カプセルの所定の流れ抵抗とを使用して測定される。
【0031】
1つの実施形態では、所定の閾値圧力値(Pt)が約0.05バール〜約0.5バールの相対圧力である。
【0032】
1つの実施形態において、飲料調製マシンは、原材料カプセルを受けるために消費者により操作可能なカプセルホルダを更に備え、ロック機構は、測定された内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超えるときに、カプセルホルダをロックするようになっている。
【0033】
1つの実施形態では、飲料調製マシンが、流体注入針に接続される表面を備え、表面は、原材料カプセルの上端膜に隣接してこれと接続し、ロック機構は、測定された内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超えるときに、表面の動きを防止するようになっている。
【0034】
本発明の更なる特徴および利点は、図面に関連して以下に記される現在好ましい実施形態の説明において記載され、また、この説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】内部への液体注入開始時の従来技術のカプセルの概略切断面図である。
図2】注入針が上端膜から除去された後の加圧液体の逆流を示す、図1と同様の図である。
図3】飲料調製マシンの概略図である。
図4】1つの態様に係る淹出ユニットの概略断面図である。
図5】別の態様に係る淹出ユニットの概略断面図である。
図6】更なる別の態様に係る淹出ユニットの概略断面図である。
図7】更なる他の別の態様に係る淹出ユニットの概略断面図である。
図8】飲料調製マシンにおける流体システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図3は飲料調製マシンの概略図である。流体(好ましくは、水)のためのリザーバ2と、少なくとも1つの飲料調製原材料(図示せず;例えば図1および図2における104参照)を備える少なくとも1つの原材料カプセル(図示せず;例えば図1および図2における100参照)を受けるようになっている淹出ヘッド3と、圧力ポンプまたは対応するユニットのようなポンプ(図示せず;例えば図8における6参照)とを備える飲料調製マシン1が示されており、ポンプは、流体を加圧下で原材料と混合させることにより、その後に、例えばトレイまたは同様の物4の上に配置される例えばカップまたは他の容器(図示せず)内に注出される所定量の飲料を生成するべくカプセル内へ注入できるように、所定量の流体をリザーバ2から淹出ヘッド3へ圧送する。
【0037】
リザーバ2、ポンプ、および、使用時に挿入される原材料カプセルは流体連通状態にあり、また、これらが流体システムを形成する(図示せず;例えば図8における800参照)。
【0038】
飲料調製マシン1は、リザーバ2から圧送される流体を該流体がカプセルに入る前に随意的に且つ選択的に加熱するための加熱要素(図示せず;例えば図8における11参照)と、消費者が操作する制御パネルまたは同様の物5から入力を受けることができるとともに、ポンプ、加熱要素、制御パネル、および/または、淹出ヘッド3等のような飲料調製マシン1の様々な構成要素の動作を行わせることができる電子制御システム(図示せず)とを更に備えてもよい。制御パネルまたは同様の物5は、例えば、物理的なボタンおよび/または画面上のボタン11のような1つ以上の消費者選択要素、および/または、文章および/またはグラフィック情報7を消費者に対して示すためのディスプレイ9を備えてもよい。
【0039】
飲料調製マシン1は、1つ以上のカプセルを飲料調製マシン内へ取り込むとともに取り込まれたカプセルを飲料調製マシン1による使用のために淹出ヘッド3内へ配置するために使用されるカプセルホルダ8を更に備えてもよい。あるいは、カプセルをマシン内へ挿入するあるいはカプセルをマシンから除去するためにマシンのいかなる部分も移動されない場合には、飲料調製マシン1がカプセルホルダを備えず、代わりに、カプセルまたは同様の物が淹出ヘッド3内に直接に配置されてもよい。
【0040】
また、飲料調製マシンは、淹出ヘッド3内に挿入されるカプセル100内の内圧“P”を測定するようになっている圧力センサ(図示せず;例えば図4図7における301,302,303,304参照)、および、測定された内圧(P)が所定の閾値圧力値(Pt)を超える場合に、挿入された原材料カプセルの流体システムからの取り外しを防止するようになっているロック機構401も備える。このようにすると、内圧“P”が“ホエール効果”を回避するあるいは減少させる閾値を下回るまでカプセルを取り外すあるいは解放することができないため、“ホエール効果”を効果的且つ簡単な方法で回避するあるいは減少させるべく制御が行われる。
【0041】
挿入された原材料カプセルが流体システムから取り外されることを防止する1つの方法は、挿入された原材料カプセルへの消費者によるアクセスを制御することである。
【0042】
1つの実施形態において、ロック機構401は、“ホエール効果”が起こる危険が回避されあるいは少なくとも減少されるように選択される所定の閾値圧力値(Pt)よりも測定内圧“P”が大きいときに消費者がカプセルホルダ8を開放できないあるいは消費者がカプセルホルダ8にアクセスできないようにカプセルホルダ8をロックする。
【0043】
幾つかの実施形態では、所定の閾値圧力値(Pt)が約0.05バール〜約0.5バールの相対圧である。すなわち、絶対圧力値に達するために周囲圧力または大気圧が加えられる。所定の閾値圧力値(Pt)は、実施選択に応じて他の圧力値であってもよい。
【0044】
カプセルのロックは、例えば、飲料調製マシン内で飲料調製が開始されるとき、または、原材料カプセルが飲料調製マシン内に適切に挿入されるときに生じてもよい。
【0045】
ロック機構401は、例えば、マシンがカプセルホルダを備える場合にカプセルホルダ8をロックし且つロック解除するようになっている電気的な、磁気的な、または、機械的なロック要素、および/または、同様の物を備えるタイプの物であってもよい。ロック機構は、例えば、単に、通常は針部分またはプレート(例えば図4図7における111)の動作を行わせる淹出ヘッド上のレバーまたはハンドル(例えば図4図7における201)のブロック動作であってもよいが、任意の適したタイプの物であってもよい。
【0046】
他の代替案は、例えばカプセルをマシン内へ挿入するあるいはカプセルをマシンから除去するためにマシンのいかなる部分も移動されないマシンにおいては、例えば電気的な、磁気的な、および/または、機械的なロック要素を使用して、例えば針部品またはプレート(例えば図4図7における111)または同様の物をロックすることによって、挿入されるカプセル自体をロックすることである。重要なことは、挿入される原材料カプセルの流体システムからの取り外しをロック機構401が選択的に防止できることである。
【0047】
図4図8に関連してセンサの異なる実施形態について更に詳しく説明する。
【0048】
図4は、1つの態様に係る淹出ユニットの概略断面図である。カプセルホルダ8内に挿入される原材料カプセル100を備える飲料調製マシンの淹出ヘッドの淹出ユニット200が示される。また、先に説明されたような流体注入針102、および、例えば図8と関連して示される流体システムのような流体システムの一部としての例えばチューブまたは同様の物を介して流体注入針102をポンプ(図示せず)と接続するためのこの例では2つの流体コネクタ110を有する流体接続部分も示される。針102は、この典型的な実施形態では、カプセル挿入時にカプセルの上端膜を押圧する表面または針プレート111に接続される。また、淹出ユニット200は、カプセルの挿入/除去およびロックをそれぞれ可能にする針プレートの動作を行わせる淹出ヘッド上のレバーまたはハンドルも備える。
【0049】
また、圧力センサ301も示され、該圧力センサ301は、この特定の実施形態では、流体注入針102の入口と2つの流体コネクタ110との間の流体システムの部分に配置される。少なくとも幾つかの実施形態では、精度を向上させるために圧力センサ301が流体注入針102の入口の近傍にあるいは該入口に隣接して配置されることが好ましいが、原理上、圧力センサは流体システムにおける任意の場所に配置されてもよい。圧力センサ301は、その場所の圧力を測定するとともに、カプセルの内圧“P”を測定する。ここで、圧力は、ポンプが停止される時点の原材料カプセル100の内側の圧力にほぼ等しい。測定される内圧値“P”が例えば更なる処理のために制御ユニットへ伝達されてもよく、それにより、更なる処理はロック機構(図示せず;例えば図3における401参照)に信号を送る。
【0050】
前述したように、圧力センサ301は、流体注入針102の入口と2つの流体コネクタ110との間のチューブ内に配置されてもよく、あるいは、これらの接続部において流体の一部を迂回させる更なるパイプ部分内に配置されてもよい。
【0051】
なお、センサ301は、流体システム内の他の位置に、例えば2つの流体コネクタ110と関連する他の場所に、または、図8と関連して更に詳しく説明されるような他の場所に配置されてもよい。
【0052】
圧力センサ301は、圧力の関数である膜の移動の度合いが測定される場合には、例えば流体の一部を迂回させる部分に配置される例えば膜センサであってもよく、あるいは、圧力センサは、圧力の関数であるチューブの変形度合いを測定するチューブの側面に配置される圧力センサ、例えば圧電センサであってもよい。
【0053】
図5は、別の態様に係る淹出ユニットの概略断面図を示す。以下に言及される点を除いて図4に示される淹出ユニットに対応する、カプセルホルダ8内に挿入される原材料カプセル100を備える飲料調製マシンの淹出ヘッドの淹出ユニット200が示される。
【0054】
図5には、図4に示されるセンサとは異なって配置される圧力センサ302が示される。センサ302は、カプセルホルダ8の壁に埋め込まれて、所定の領域に印加される圧力を測定する。典型的な原材料カプセル100の壁は、薄くて変形可能であり、したがって、カプセルホルダ内に挿入されるときにカプセルホルダ8の形状を成す。そのため、原材料カプセル内の内圧“P”に起因して原材料カプセル100の壁の内側に印加される圧力をその壁の外側で検出できる。所定の測定圧力は所定の内圧に関連し、それにより、センサ302は、受けられた原材料カプセル内の内圧を測定できる。測定された内圧値が例えば更なる処理のために制御ユニットへ伝達されてもよく、それにより、更なる処理はロック機構(図示せず;例えば図3における401参照)に信号を送る。圧力センサは、例えば、容量センサ、圧電センサ、膜センサ、または、任意の他の適したタイプであってもよい。
【0055】
言うまでもなく、センサ302の位置が図示の位置と異なってもよい。
【0056】
図6は、更なる別の態様に係る淹出ユニットの概略断面図を示す。以下に言及される点を除いて図4に示される淹出ユニットに対応する、カプセルホルダ8内に挿入される原材料カプセル100を備える飲料調製マシンの淹出ヘッドの淹出ユニット200が示される。
【0057】
図6には、図4に示されるセンサとは異なって配置される圧力センサ303が示される。センサ303は流体注入針102の近傍に配置され、また、針は、該針がその長手方向軸線に沿って移動できるとともにカプセルの内側の圧力に応じてカプセルから押し離されるように、ばねあるいは他の弾性部材機構と関連付けられる軸線上に取り付けられる。センサ303は、原材料カプセル内の内圧“P”の関数である流体注入針の移動量を測定する。測定された内圧値が例えば更なる処理のために制御ユニットへ伝達されてもよく、それにより、更なる処理はロック機構(図示せず;例えば図3における401参照)に信号を送る。
【0058】
図7は、更なる別の態様に係る淹出ユニットの概略断面図を示す。以下に言及される点を除いて図4に示される淹出ユニットに対応する、カプセルホルダ8内に挿入される原材料カプセル100を備える飲料調製マシンの淹出ヘッドの淹出ユニット200が示される。
【0059】
図7には、カプセルが挿入されるときにカプセルの上端膜101を押圧する針プレート111または同様の物に埋め込まれる圧力センサ304が示される。上端膜101は、カプセルの内圧“P”に応じて移動される。所定の測定圧力は所定の内圧に関連し、それにより、センサ304は、受けられた原材料カプセル内の内圧を測定できる。
【0060】
測定された内圧値が例えば更なる処理のために制御ユニットへ伝達されてもよく、それにより、更なる処理はロック機構(図示せず;例えば図3における401参照)に信号を送る。
【0061】
圧力センサは、例えば、圧電センサ、または、任意の他の適したタイプであってもよい。
【0062】
言うまでもなく、センサ304の位置が図示の位置と異なってもよい。
【0063】
図8は、飲料調製マシンにおける流体システムの概略図である。この典型的な実施形態では、流体のためのリザーバ2と、ポンプ6と、加熱要素11と、カプセル100とを備える流体システム800が示され、この場合、リザーバ2がポンプ6と流体接続状態にあり、ポンプ6が加熱要素11と接続状態にあり、最終的に、加熱要素11がカプセルと接続状態にある。また、調製後に飲料を受けるためのカップまたは同様の物のような容器12が示される。圧力センサが、先に説明したように流体システムにおける様々な位置に、例えば淹出ヘッドの内側のカプセルにあるいはその近傍に、または、淹出ヘッドよりも上流側(淹出ヘッドの外側であって、カプセルと加熱要素との間、または、加熱要素とポンプとの間、または、ポンプとリザーバとの間)に備えられてもよい。また、圧力センサが、先に説明したように、流体システムの外側でカプセルにあるいはその近傍に配置されてもよい。
【0064】
更なる実施形態として、内圧“P”は、流体の流量の測定値を使用して測定されてもよい。内圧“P”は、流量とカプセルの流れ抵抗または他の場所での流体の流れ抵抗とを乗じた物に比例する。様々なカプセルの流れ抵抗は、容易に決定され得るとともに、飲料調製マシンに記憶され得る。流量は、流量センサを使用して測定されてもよく、あるいは、例えば飲料調製中に容器12を支持するためのトレイまたは同様の物に配置される例えば重量センサまたはスケールを使用して得られてもよく、したがって、センサまたはスケールは、容器の下側に配置され、それにより、容器の重量を計測する。流体が経時的に容器内に受けられることによる重量の経時的な増大は、流量を与える。これは、経時的な重量が経時的な(流量の質量を知る)流体の量を示すからである。
【0065】
図4図8と関連して図示して説明される代替案に代わる他の特定の代替案として、センサは、例えば、針、例えば一方が他方を取り囲む2つの流体通路を有する針(例えば、針の内側に針がある)に接続される圧力センサであってもよく、その場合、一方の通路、例えば内側通路は、流体の大部分を与えるための物であり、一方、他方の通路、例えば外側通路は、圧力測定のための物である。言うまでもなく、圧力センサの特定の形態および/または位置が異なってもよい。重要なことは、飲料調製マシン内に受けられる原材料カプセル内の内圧を圧力センサが測定できることである。
【0066】
この説明の全体にわたって、用語“上端膜”は、カプセルの反対側に配置される膜として理解されるべき“下端膜”とは対照的に、マシンの流体注入針によって穿刺される膜として理解されるべきである。この定義は、カプセルおよびマシンの両方が機能的態様で係合されるときにカプセルがマシン内のどんな位置にあろうとも“上端”膜および“下端”膜が規定されるようになっている。
【0067】
言うまでもなく、本明細書中に記載される現在好ましい実施形態に対する様々な変更および改良は当業者に明らかである。そのような変更および改良は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、また、本発明の付随する利点を損なうことなく、行うことができる。したがって、そのような変更および改良が添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8