(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶液が、100mg/mlのレボフロキサシンおよび200mMの塩化マグネシウムを含み、pH6.0〜6.5および重量オスモル濃度350mOsmol/kg〜400mOsmol/kgを有する、請求項8に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、抗菌剤の分野に関する。具体的には、本発明は、肺利用率が改善されており、したがって、肺および上気道の細菌感染症の治療および管理のためのより良い殺菌活性を有する、二価または三価陽イオンと共に配合されたエアロゾル化フルオロキノロンの使用に関する。
【0016】
抗菌剤抵抗性病原体に関連する問題の多くは、感染の部位で抗菌剤の濃度を安全に増加させることができた場合に、改善され得る。例えば、肺感染症は、抗菌剤の全身濃度を大量にせずに、感染の部位に直接高濃度で抗菌剤を投与することにより治療することができる。したがって、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肺細菌感染症を治療するために薬物組成物を送達するための改善された方法である。より具体的には、本明細書に記載したのは、効果を増大させ、薬物抵抗性の出現を低減するために有益な、ヒトにおけるフルオロキノロンの所望の薬物動態学的プロファイルを達成する、二価または三価陽イオンを含むフルオロキノロン配合物である。
【0017】
したがって、本明細書に記載したいくつかの実施形態には、エアゾール後における肺組織または上気道からの体循環への吸収が遅延される、フルオロキノロンを含む方法および組成物が含まれる。いくつかのかかる実施形態では、フルオロキノロンは、これらの抗菌活性をそれほど減弱しない方式で二価陽イオンと結合させる。かかる複合体は、感染症の治療、維持または予防用となり得る。さらに、かかる複合体は、二価または三価陽イオンと組み合わせないフルオロキノロンに比べて、感染の部位(例えば、上部および/または下部呼吸器系)で薬物のより高い濃度、およびより高い効果を示し得る。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は、肺感染症を治療するための方法、および二価または三価陽イオンと共に配合されたレボフロキサシンまたはオフロキサシンの組成物に関する。本明細書に記載した特定の方法および組成物が、対象の肺におけるレボフロキサシンまたはオフロキサシンの利用率の改善を達成することが発見されている。抗菌剤の肺における利用率の増加は、肺感染症の治療に有用であり、例えば、慢性気管支炎、気管支拡張症、およびいくつかの喘息を含めて、嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺障害などの状態の治療に特に有利である。
【0019】
肺における利用率の改善は、肺における薬物の濃度の増加および/または肺において薬物が保持される時間の長さなどの因子に関連する様々な薬力学的-薬物動態パラメーターを用いて示すことができる。かかる因子は、肺痰曲線下面積(AUC)、および最大肺痰濃度(C
max)を含むことができる。
【0020】
通常、エアロゾル化した抗菌剤を肺に投与すると、全身濃度を高くせずに肺を高濃度にすることができる。しかし、本明細書で提供される方法および組成物は、肺における利用率の予想外の増加を達成する。
【0021】
一般に、本明細書で提供される組成物は、Mg
2+などの二価または三価陽イオンと共に配合されたレボフロキサシンまたはオフロキサシンの溶液を含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、乳糖などのある特定の添加剤が欠如し得る。組成物は、ネビュライザーまたは動物の気管に直接挿入されるマイクロスプレーエアゾールデバイスなどのデバイスを用いて投与することができ、広範囲の細菌を治療するために用いることができる。さらに、本明細書で提供される方法および組成物は、肺感染症、および慢性気管支炎およびいくつかの喘息を含めた、嚢胞性線維症、および慢性閉塞性肺疾患などの肺感染症に関連する障害の治療に有用な追加の有効な薬剤を含むことができる。
【0022】
定義
「投与」または「投与する」という用語は、抗菌性医薬組成物の用量を脊椎動物に与える方法を意味する。好ましい投与方法は、様々な因子、例えば、医薬組成物の構成物、潜在的なまたは実際の細菌感染症の部位、関与する微生物および実際の微生物感染の重症度に応じて変わり得る。
【0023】
「担体」または「添加剤」は、化合物の投与を容易にするために、例えば、化合物の溶解性を増大させるために用いられる化合物または材料である。固形担体には、例えば、デンプン、乳糖、リン酸二カルシウム、スクロース、およびカオリンが含まれる。液状担体には、例えば、滅菌水、食塩水、緩衝液、非イオン性界面活性剤、ならびに油、ラッカセイ油およびゴマ油などの食用油が含まれる。さらに、当技術分野で一般に用いられるなどの様々なアジュバントが含まれてよい。これらのおよび他のかかる化合物は、例えば、Merck Index、Merck & Company、Rahway、NJ中の文献に記載されている。医薬組成物中の様々な構成物を含めることについての考察は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Gilmanら(編者)(1990年);Goodman and Gilman's:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されている。
【0024】
本明細書で使用される場合、「診断」は、健康もしくは病態の同定および特徴付けで補助する化合物、方法、系、またはデバイスである。「診断」は、当技術分野で公知である標準的なアッセイに用いることができる。
【0025】
「哺乳動物」という用語は、その通常の生物学的な意味で用いられる。したがって、それには、具体的には、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコが含まれるが、多くの他の種をも含む。
【0026】
「微生物感染」という用語は、宿主生物中の病原微生物の望まれない増殖または侵入の存在を意味する。これには、哺乳動物もしくは他の生物の体内または体の表面上に普通なら存在する微生物の過剰な成長が含まれる。より一般的には、微生物感染は、1種の微生物集団の存在が宿主哺乳動物に損傷を与えている任意の状態であり得る。したがって、過剰な数の微生物集団が哺乳動物の体内もしくは体の表面上に存在するときまたは1種の微生物集団の存在の影響が哺乳動物の細胞または他の組織を損傷しているとき、微生物感染は存在する。
【0027】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される添加剤」という用語には、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性の物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が有効成分に適合しない場合を除いて、治療組成物におけるその使用が考えられる。補助的な有効成分も、組成物に組み入れることができる。
【0028】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にも他の点でも望ましくないものでない塩を意味する。多くの場合では、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれに類似の基の存在のため、酸および/または塩基との塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸で形成することができる。塩が由来し得る無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩が由来し得る有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、ナフトエ酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ(エンボ)酸、ステアリン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコヘプトン酸、グルクロン酸、乳酸、ラクトビオン酸、酒石酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基で形成することができる。塩が由来し得る無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが含まれ;特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩が由来し得る有機塩基には、例えば、第1級、第2級、および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環式アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれ、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、ベネタミン、N-メチル-グルカミン、およびエタノールアミンなどが含まれる。他の酸には、ドデシル硫酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、およびサッカリンが含まれる。
【0029】
「溶媒和物」は、溶媒およびフルオロキノロン抗菌剤、代謝産物、またはその塩の相互作用によって形成された化合物を意味する。適当な溶媒和物は、水和物を含めた薬学的に許容される溶媒和物である。
【0030】
細菌などの微生物の抗菌剤への応答と関連して、「感受性」という用語は、抗菌剤の存在のための微生物の感受性を意味する。そのため、感受性を高めることは、微生物が微生物細胞の周囲の媒体中でより低濃度の抗菌剤により阻害されることを意味する。これは、その微生物が抗菌剤に対してより感受性であると言うことに相当する。ほとんどの場合では、この抗菌剤の最小発育阻止濃度(MIC)は低減されている。MIC
90は、生物の90%において成長を阻害する濃度を含むことができる。
【0031】
「治療有効量」または「薬学的に有効な量」は、本発明のために開示される通り,治療効果を有するフルオロキノロン抗菌剤を意味する。治療に有用であるフルオロキノロン抗菌剤の用量は、治療有効量である。したがって、本明細書で使用される場合、治療有効量は、臨床試験結果および/またはモデル動物感染試験によって判断される通り所望の治療効果をもたらすフルオロキノロン抗菌剤のこれらの量を意味する。具体的な実施形態では、フルオロキノロン抗菌剤は、所定の用量で投与され、したがって、治療有効量は投与される用量の量となるはずである。この量およびフルオロキノロン抗菌剤の量は、当業者によって日常的に決定することができ、関与する特定の微生物株など、いくつかの因子に応じて変わる。この量は、患者の身長、体重、性別、年齢および病歴にさらに依存することができる。予防的治療の場合、治療有効量は、微生物感染を予防するのに有効となるはずである量である。
【0032】
「治療効果」は、感染症の症状の1種または複数をある程度軽減し、感染症を治癒することが含まれる。「治癒する」は、従来の測定による検出の閾値またはそれ以下の点まで感染に関与したものの生存可能な微生物の過剰なメンバーをすべてまたはほぼ除外することを含めて、活性の感染症の症状が除かれることを意味する。しかし、急性もしくは慢性感染症のいくつかの長期のまたは永続的な影響は、治癒が得られた後でも存在し得る(広範な組織損傷など)。本明細書で使用される場合、「治療効果」は、宿主中の細菌負荷量の統計的に有意な減少、抵抗性の出現、肺機能、またはヒトの臨床結果もしくは動物試験によって測定された感染症症状または機能状態の改善として定義される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」または「治療している」は、予防および/または治療の目的のために医薬組成物を投与することを意味する。「予防的治療」という用語は、まだ感染していないが、感染症の低減された発生があるような特定の感染症に感受性である、または他の点でそのリスクがある患者を治療することを意味する。「治療上の処置」という用語は、急性または慢性となり得る感染症にすでに罹患した患者に治療を施すことを意味する。治療は、病原体を除去することができる、または患者の症状または肺機能の測定により測定された改善をもたらす組織中の病原体負荷を低減することができる。したがって、好ましい実施形態において、治療することは、(治療または予防の目的のために)哺乳動物に治療有効量のフルオロキノロン抗菌剤を投与することである。
【0034】
薬物動態(PK)は、体内の抗菌剤濃度の時間経過に関する。薬力学(PD)は、薬物動態およびin vivoにおける抗菌効果の関係に関する。PK/PDパラメーターは、抗菌剤の曝露を抗菌剤活性と相関する。抗菌剤によって死滅する率は、抗菌剤の作用機序に依存しており、死滅に必要な時間の長さ(時間依存性)または単独の濃度の増加の影響(濃度依存性)または濃度-時間曲線下面積(AUC)として経時的な積分によって決定される。多様な作用機序を有する抗菌剤の治療効果を予測するために、異なるPK/PDパラメーターは用いることができる。PK/PDパラメーターは、抗菌剤組成物の利用率、例えば、肺系における組成物中の抗菌剤の利用率、および/または血漿/血清における組成物中の抗菌剤のバイオアベイラビリティを決定するために用いることができる。
【0035】
「AUC/MIC比」は、PK/PDパラメーターの一例である。AUCは、(動物またはヒトの)in vivoにおける抗菌剤の血漿/血清もしくは感染部位濃度-時間曲線下面積として定義される。例えば、感染の部位および/または濃度が測定される部位は、気管支液および/または痰などの肺系の部分を含むことができる。したがって、AUCは、血清AUC、または血清および肺組織(痰、上皮被覆液、または全組織のホモジネート)中の濃度に基づいた肺AUCとなり得る。AUC
(0-t)は、時間0からある特定の時間「t」までの曲線下面積を含むことができる。AUC
(0-inf)は、時間0から無限大の曲線下面積を含むことができる。AUC/MIC比は、個別の抗菌剤の24時間-AUCをin vitroで決定された同一の抗菌剤のMICで割ることによって決定される。用量-依存性の死滅を有する抗菌剤(フルオロキノロンなど)の活性は、AUC/MIC比の大きさによって十分に予測される。AUC:MIC比はまた、薬物-抵抗性細菌の選択を防止することもできる。
【0036】
「C
max:MIC」比は、別のPK:PDパラメーターである。これは、MICに対して血漿または組織中の最大薬物濃度を記述している。C
max:MICがin vivoにおける細菌の死滅を予測することができ、抵抗性が抑制され得る場合に、フルオロキノロンおよびアミノ配糖体は例である。
【0037】
「MICを超える時間(Time above MIC)」(T>MIC)は、別のPK/PDパラメーターである。これは、血漿または感染部位レベルがMICを上回る用量間隔の百分率を表す。時間依存性の死滅を有する抗菌剤(β-ラクタムまたはモノバクタム抗生物質など)の活性は、T>MIC比の大きさによって十分に予測される。
【0038】
「投与間隔」という用語は、複数回投与レジメン中の医薬品の2つの逐次用量の投与間の時間を意味する。例えば、1日2回(従来のレジメン400mg b.i.d)投与されるシプロフロキサシン経口投与の場合および1日1回(500mgまたは750mg q.d.)投与されるレボフロキサシン経口投与の場合では、投与間隔はそれぞれ、12時間および24時間である。
【0039】
本明細書で使用される場合、医薬品のin vivo濃度の「ピーク期間」は、医薬品濃度がその最大血漿もしくは感染部位濃度の50%以上であるときの医薬品投与間隔の時間として定義される。いくつかの実施形態では、「ピーク期間」は、抗菌剤投与の間隔を記載するために用いられる。
【0040】
推定される「吸入可能な送達量」は、ネビュライザーまたは他のエアゾール送達デバイスを用いて患者の肺に送達される薬物の用量もしくは量である。RDDは、吸気対呼気比1:1で1分間に15回の呼吸の欧州標準パターンにプログラムされた呼吸シミュレーションデバイスの吸息相および約5ミクロン以下のサイズでネビュライザーから放射される粒子の測定により推定される。
【0041】
利用率の改善
抗生物質の死滅率は、抗生物質の作用機序に依存しており、死滅させるために抗生物質に必要な時間の長さ(時間依存性)または抗生物質濃度を増加させる効果(濃度依存性)によって決定される。フルオロキノロンは、治療効果が感染している病原体のMICを超える高い局所ピーク濃度を必要とする場合に濃度依存性の、時間-死滅活性によって特徴付けられる。
【0042】
感染症のヒト、動物およびin vitroモデルにおけるフルオロキノロン効果は、AUC:MIC比およびC
max:MIC比に関連づけられている。いくつかのin vitro試験が実施されて、標的組織中で(ラットおよびヒトのPKモデルから予測された通り)極めて短い半減期を有する高濃度のレボフロキサシンが、より長期の滞留時間を有する条件下で示されるものよりも優れている細菌死滅をもたらすかどうかを決定されている。これらの試験において、0.018倍〜1024倍のMICであったレボフロキサシン濃度は、標準死滅曲線およびin vitro中空糸アッセイにおいて評価された。これらのアッセイの両方において、高濃度のレボフロキサシンは、殺菌性が速やかであり、10〜20分でこれらの最大死滅レベルを達成にした。この死滅レベルは、レボフロキサシンがこのレベルで維持されたかまたは10分の半減期を得たかで持続された。さらに、抵抗性は観察されなかった。したがって、特に配合されたレボフロキサシンの高用量および速やかな送達は、感受性がある生物および抵抗性生物について殺菌性が速やかである。
【0043】
一実施形態では、感染の部位におけるレボフロキサシンの濃度は、吸入治療を用いてレボフロキサシンを二価または三価陽イオンと組み合わせて肺に直接送達することによって増加され、それによって、レボフロキサシンが「突然変異選択ウィンドウ」(MSW)の状態となる時間の長さを減少させる。このような治療法は、(レボフロキサシン抵抗性株を含めた)病原体のより幅広い適用範囲を達成し、さらなる抵抗性の発生を予防し、レボフロキサシン治療をより短いコースにする。
【0044】
いくつかの実施形態には、改善された肺利用率を有するレボフロキサシンまたはオフロキサシンの組成物が含まれ、肺AUCの増加は、レボフロキサシンまたはオフロキサシンの肺利用率の改善を示している。いくつかの実施形態において、この増加は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、150%、200%、250%、300%、および500%となり得る。増加は、例えば、二価または三価陽イオンを欠如する組成物、および/またはいくつかの添加剤(例えば、乳糖)を有する組成物、および/またはある一定の速度で肺に送達される組成物および/またはある一定の吸入可能な送達用量に対して相対的となり得る。いくつかの実施形態では、方法は、約400h.mg/L、約500h.mg/L、約600h.mg/L、約700h.mg/L、約800h.mg/L、約900h.mg/L、約1000h.mg/L、約1100h.mg/L、約1200h.mg/L、約1300h.mg/L、約1400h.mg/L、約1500h.mg/L、約1600h.mg/L、約1700h.mg/L、約1800h.mg/L、約1900h.mg/L、約2000h.mg/L、約2100h.mg/L、約2200h.mg/L、約2300h.mg/L、約2400h.mg/L、約2500h.mg/L、約2600h.mg/L、約2700h.mg/L、約2800h.mg/L、約2900h.mg/L、約3000h.mg/L、約3100h.mg/L、約3200h.mg/L、約3300h.mg/L、約3400h.mg/L、約3500h.mg/L、約3600h.mg/L、約3700h.mg/L、約3800h.mg/L、約3900h.mg/L、約4000h.mg/L、約4100h.mg/L、約4200h.mg/L、約4300h.mg/Lを超える肺AUCによって示される肺利用率の改善を達成することを含むものが提供される。この増加は、例えば、気管支液中、全肺組織のホモジネート中で、または痰中で測定することができる。
【0045】
より多くの実施形態では、肺C
maxの増加は、レボフロキサシンまたはオフロキサシンの配合物のための肺利用率の改善を示すことができる。いくつかのかかる実施形態では、この増加は、少なくとも約50%、75%、100%、および150%となり得る。増加は、例えば、二価または三価陽イオンを欠如する組成物、および/またはいくつかの添加剤(例えば、乳糖)を有する組成物、および/またはある一定の速度で肺に送達される組成物、および/またはある一定の吸入可能な送達用量に対して相対的となり得る。いくつかの実施形態では、方法は、約300mg/L、約400mg/L、約500mg/L、約600mg/L、約700mg/L、約800mg/L、約900mg/L、約1000mg/L、約1100mg/L、約1200mg/L、約1300mg/L、約1400mg/L、約1500mg/L、約1600mg/L、約1700mg/L、約1800mg/L、約1900mg/L、約2000mg/L、約2100mg/L、約2200mg/L、約2300mg/L、約2400mg/L、約2500mg/L、約2600mg/L、約2700mg/L、約2800mg/L、約2900mg/L、約3000mg/L、約3100mg/L、約3200mg/L、約3300mg/L、約3400mg/L、約3500mg/L、約3600mg/L、約3700mg/L、約3800mg/L、約3900mg/L、約4000mg/L、約4100mg/L、約4200mg/L、約4300mg/L、約4400mg/L、約4500mg/L、約4600mg/L、約4700mg/L、約4800mg/L、約4900mg/L、および5000mg/Lを超える肺C
maxによって示される肺利用率の改善を達成することを含むものが提供される。この増加は、例えば、気管支分泌物、上皮被覆液、肺ホモジネート中で、および痰中で測定することができる。
【0046】
さらなる実施形態において、血清AUCまたは血清C
maxの減少は、配合物を用いたレボフロキサシンまたはオフロキサシンの肺利用率の増加および長期の曝露を示すことができる。いくつかのかかる実施形態では、この減少は、少なくとも約1%、5%、10%、20%、または50%となり得る。減少は、例えば、二価または三価陽イオンを欠如する組成物、および/またはいくつかの添加剤(例えば、乳糖)を有する組成物、および/または溶液もしくは他の組成物としてある一定の速度で肺に送達される組成物に対して相対的となり得る。いくつかの実施形態では、レボフロキサシンの配合物は、約200、300、400、500、600、700、800、900、および1000を超えるAUC:MIC
90を特徴とすることができる。いくつかのかかる実施形態では、AUCは肺AUCとなり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、肺組織(痰、ELF、組織ホモジネート)中の濃度は、約20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、340、360、380、400、420、440、460、480、500、520、540、560、580、および600を超えるPK-PD指数であるCmax:MIC
90を特徴とすることができる。
【0048】
レボフロキサシンまたはオフロキサシンの配合物の利用率の改善を測定するパラメーターの増加または減少は、二価または三価陽イオンを欠如するレボフロキサシンまたはオフロキサシンの配合物に対して、乳糖を欠如するレボフロキサシンまたはオフロキサシンの配合物に対して、および/またはより低濃度のレボフロキサシンまたはオフロキサシンの配合物に対して相対的となり得る。
【0049】
治療または予防の方法
いくつかの実施形態では、方法は、このような肺感染症に罹患した動物を二価または三価陽イオンと共に配合されたおよび肺利用率の改善を有するフルオロキノロン抗菌剤で治療することにより、具体的には哺乳動物を含めた動物において微生物感染を治療するために提供される。いくつかの実施形態では、フルオロキノロン抗菌剤は、エアゾール形成および吸入後に投与することができる。したがって、この治療の方法は、(望ましくない副作用を引き起こし得る)高用量レベルの必要性により、または任意の臨床的に有効な抗菌剤の欠如により、経口もしくは非経口で送達される抗菌剤を用いて治療することが難しい微生物株が関与する肺感染症の治療に特に適切である。かかる一実施形態では、この方法は、フルオロキノロン抗菌剤を感染部位に直接投与するために用いることができる。このような方法は、全身曝露を低減し、微生物感染部位への抗菌剤の量を最大限にすることができる。この方法はまた、抵抗性の微生物の選択の頻度を低減するやり方として、フルオロキノロン抗菌剤に感受性である微生物が関与する感染症を治療するために適切である。この方法はまた、微生物感染部位で抗菌剤の量を増加するやり方として、他の点でフルオロキノロン抗菌剤に抵抗性である微生物に関与する感染症を治療するために適切である。対象は、抵抗性株を有することが知られている細菌種による細菌感染症または抵抗性株を有することが知られている群のメンバーである細菌による細菌感染症に特徴的である症状を有するものとして対象を診断することにより、抵抗性を発生することのできる細菌による感染者として同定することができる。あるいは、細菌は、培養することができ、抵抗性株を有することが知られている種または抵抗性株を有することが知られている群のメンバーである細菌として同定することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、二価または三価陽イオンと共に配合されたエアゾールフルオロキノロン抗菌剤は、抵抗性が発生する機会を有さないように細菌における抵抗性の出現を克服するまたは死滅効率を増加させるのに十分なレベルで投与される。
【0051】
いくつかの実施形態では、エアゾールフルオロキノロン療法は、組み合わせてまたは他のエアゾール剤、経口もしくは非経口抗生物質による治療順序を交互にして治療または予防として施すことができる。限定しない例によって、これは、エアゾールトブラマイシンおよび/または他のアミノ配糖体、エアゾールアズトレオナムおよび/または他のβもしくはモノバクタム、エアゾールシプロフロキサシンおよび/または他のフルオロキノロン、エアゾールアジスロマイシンおよび/または他のマクロライドまたはケトライド、テトラサイクリンおよび/または他のテトラサイクリン、キヌプリスチンおよび/または他のストレプトグラミン、リネゾリドおよび/または他のオキサゾリジノン、バンコマイシンおよび/または他のグリコペプチド、およびクロラムフェニコールおよび/または他のフェニコール、ならびにコリシチン(colisitin)および/または他のポリミキシンを含むことができる。
【0052】
さらに、本明細書で提供される組成物および方法は、組み合わせてまたは追加の有効な薬剤による治療順序を交互にして治療または予防として施されるエアゾールフルオロキノロン療法を含むことができる。上記で論じる通り、いくつかのかかる追加の薬剤は、抗生物質を含むことができる。さらに追加の薬剤は、気管支拡張薬、抗コリン作用薬、糖質コルチコイド、エイコサノイド阻害薬、およびそれらの組み合わせを含むことができる。気管支拡張薬の例としては、サルブタモール、レボサルブテロール(levosalbuterol)、テルブタリン、フェノテロール、テルブトライン(terbutlaine)、ピルブテロール、プロカテロール、ビトルテロール、リミテロール、カルブテロール、ツロブテロール、レプロテロール、サルメテロール、ホルモテロール、アルホルモテロール(arformoterol)、バンブテロール、クレンブテロール、インダクテロール(indacterol)、テオフィリン、ロフルミラスト、シロミラストが含まれる。抗コリン作用薬の例には、イプラトロピウム、およびチオトロピウムが含まれる。糖質コルチコイドの例には、プレドニゾン、フルチカゾン、ブデソニド、モメタゾン、シクレソニド、およびベクロメタゾンが含まれる。エイコサノイドの例には、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、ジロートン、ラマトロバン、およびセラトロダストが含まれる。さらに追加の薬剤は、パルモザイム、高張食塩水、CF中の塩素イオンチャネル機能を回復する薬剤、吸入β-アゴニスト、吸入抗ムスカリン様作用剤、吸入コルチコステロイド、および吸入もしくは経口ホスホジエステラーゼ阻害薬を含むことができる。さらに追加の薬剤は、CFTRモジュレーター、例えば、VX-770、アトルレン(atluren)、VX-809を含むことができる。さらに追加の薬剤は、気道表面液を回復する薬剤、例えば、デヌホソル、マンニトール、GS-9411、およびSPI-8811を含むことができる。さらに追加の薬剤は、抗炎症薬、例えば、イブプロフェン、シルデナフィル、およびシマバスタチン(simavastatin)を含むことができる。
【0053】
医薬組成物
本明細書に記載した方法の目的のために、改善された肺利用率を有する二価または三価陽イオンと共に配合されたフルオロキノロン抗菌剤は、吸入器を用いて投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるフルオロキノロン抗菌剤は、エアゾール形成、味の良さ、貯蔵安定性、ならびに患者の安全性および忍容性に適当な医薬組成物として生成される。いくつかの実施形態では、製造されたフルオロキノロンのアイソフォーム含有量は、忍容性、抗菌活性および安定性のために最適化することができる。
【0054】
配合物は、二価または三価陽イオンを含むことができる。二価または三価陽イオンは、例えば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、アルミニウム、および鉄を含むことができる。いくつかの実施形態では、溶液は、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、または塩化銅を含む。いくつかの実施形態では、二価または三価陽イオン濃度は、約25mM〜約400mM、約50mM〜約400mM、約100mM〜約300mM、約100mM〜約250mM、約125mM〜約250mM、約150mM〜約250mM、約175mM〜約225mM、約180mM〜約220mM、および約190mM〜約210mMとなり得る。いくつかの実施形態では、濃度は約200mMである。いくつかの実施形態では、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、または塩化銅は、濃度約5%〜約25%、約10%〜約20%、および約15%〜約20%を有することができる。いくつかの実施形態では、フルオロキノロン対二価または三価陽イオンの比は、1:1〜2:1または1:1〜1:2となり得る。
【0055】
本明細書に記載した通りに使用するための限定しないフルオロキノロンは、レボフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、スパルフロキサシン、ガレノキサシン、シタフロキサシン、およびDX-619が含まれる。
【0056】
配合物は、フルオロキノロン濃度、例えば、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、および約200mg/mlを超えるレボフロキサシンまたはオフロキサシンを有することができる。いくつかの実施形態では、配合物は、フルオロキノロン濃度、例えば、レボフロキサシンまたはオフロキサシン、約50mg/ml〜約200mg/ml、約75mg/ml〜約150mg/ml、約80mg/ml〜約125mg/ml、約80mg/ml〜約120mg/ml、約90mg/ml〜約125mg/ml、約90mg/ml〜約120mg/ml、および約90mg/ml〜約110mg/mlを有することができる。いくつかの実施形態では、濃度は約100mg/mlである。
【0057】
配合物は、重量オスモル濃度約300mOsmol/kg〜約500mOsmol/kg、約325mOsmol/kg〜約450mOsmol/kg、約350mOsmol/kg〜約425mOsmol/kg、および約350mOsmol/kg〜約400mOsmol/kgを有することができる。いくつかの実施形態では、配合物の重量オスモル濃度は、約300mOsmol/kg、約325mOsmol/kg、約350mOsmol/kg、約375mOsmol/kg、約400mOsmol/kg、約425mOsmol/kg、約450mOsmol/kg、約475mOsmol/kg、および約500mOsmol/kgを超えるものである。
【0058】
配合物は、pH約4.5〜約8.5、約5.0〜約8.0、約5.0〜約7.0、約5.0〜約6.5、約5.5〜約6.5、および6.0〜約6.5を有することができる。
【0059】
配合物は、従来の医薬用担体、添加剤など(例えば、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど)、または湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)の補助的な物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、配合物は、従来の医薬用担体、添加剤などを欠如してもよい。いくつかの実施形態には、乳糖を欠如する配合物が含まれる。いくつかの実施形態は、約10%、5%、1%、または0.1%未満の濃度で乳糖を含む。いくつかの実施形態では、配合物は、本質的にレボフロキサシンまたはオフロキサシンおよび二価または三価陽イオンからなり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、配合物は、約75mg/ml〜約150mg/mlのレボフロキサシン濃度、約150mM〜約250mMの塩化マグネシウム濃度、約5〜約7のpH;および約300mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgの重量オスモル濃度を含むことができ、乳糖を欠如する。
【0061】
いくつかの実施形態では、配合物は、レボフロキサシン濃度約100mg/ml、塩化マグネシウム濃度約200mM、pH約6.2、重量オスモル濃度約383mOsmol/kgを含み、乳糖を欠如する。いくつかの実施形態では、配合物は、本質的にレボフロキサシン濃度約90mg/ml〜約110mg/ml、塩化マグネシウム濃度約180mM〜約220mM、pH約5〜約7、重量オスモル濃度約300mOsmol/kg〜500mOsmol/kgからなり、乳糖を欠如する。
【0062】
投与
二価または三価陽イオンと共に配合され、改善された肺利用率を有するフルオロキノロン抗菌剤は、治療上有効な用量、例えば、前述した病態に治療を提供するのに十分な用量で投与することができる。投与される活性化合物の量は、もちろん、治療される対象および病態、病気の重症度、投与の方式およびスケジュールおよび処方医の判断に依存し;例えば、レボフロキサシンのエアゾール投与のためのありそうな用量範囲は、1日約20〜300mgになるはずであり、有効な薬剤はそれぞれ、より長期のもしくはより短期の肺半減期のために選択される。いくつかの実施形態では、レボフロキサシンのエアゾール投与のためのありそうな用量範囲は、約20〜300mg BID(1日2回)となるはずである。
【0063】
本明細書に開示されるフルオロキノロン抗菌剤または薬学的に許容されるその塩の投与は、それだけには限らないが、エアゾール吸入を含めた類似の効用を与える薬剤のための認められた投与方法のいずれかによってとなり得る。送達のための方法、デバイスおよび組成物は、その全体を参照により組み込まれる米国特許出願公開第2006-0276483号に記載されている。
【0064】
薬学的に許容される組成物には、例えば、粉末、液体、懸濁液、複合体形成、リポソーム、微粒子物などの固体、半固形、液体およびエアゾール剤形が含まれる。好ましくは、組成物は、正確な用量の単回投与に適当な単位剤形として提供される。
【0065】
フルオロキノロン抗菌剤は、単独でまたは従来の医薬用担体、添加剤など(例えば、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど)と組み合わせて、いくつかの代替物で投与することができる。望むなら、医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)の微量の非毒性の補助的な物質を含むこともできる。一般に、所期の投与の方法に応じて、医薬製剤は、本発明の化合物の約0.005%〜95重量%、好ましくは約0.5%〜50重量%を含む。かかる剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知である、または明らかであり;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaを参照のこと。
【0066】
好ましい一実施形態では、組成物は、液体、懸濁される固体、乾燥粉末、凍結乾燥物(lyophilate)、または他の組成物を含むバイアルなどの単位剤形の形態になり、したがって組成物は、有効成分と共に、乳糖、スクロース、リン酸二カルシウムなどの賦形剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびデンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などの結合剤を含むことができる。
【0067】
液体の薬学的に投与可能な組成物は、例えば、上記で定義した活性化合物および担体(例えば、水、食塩水、水性ブドウ糖、グリセロール、グリコール、エタノールなど)中で場合による医薬アジュバントを溶解、分散などして溶液または懸濁液を形成することにより調製することができる。エアロゾル化される溶液は、従来の形態で、液状溶液または懸濁液として、乳剤として、またはエアゾール生成および吸入の前に液体中に溶解または懸濁するのに適当な固形の形態で調製することができる。かかるエアゾール組成物中に含まれる活性化合物の百分率は、その特異的な性質、ならびに化合物の活性および対象の必要性に大いに依存する。しかし、溶液中の0.01%〜90%の有効成分の百分率は、使用可能であり、組成物が固体であり、その後上記百分率まで希釈される場合、より高値である。いくつかの実施形態では、組成物は、溶液中有効な薬剤1.0%〜50.0%を含む。
【0068】
本明細書に記載した組成物は、1日約1、2、3、4回以上、週1、2、3、4、5、6、7回以上、月1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の頻度で投与することができる。具体的な実施形態では、組成物は、1日2回投与される。
【0069】
エアゾール送達
肺投与の場合、上気道は、中間および下気道のために避けられる。肺薬物送達は、口および咽頭によりエアゾールの吸入によって達成することができる。約5ミクロンを超える空気動力学的粒子中央径(MMAD)を有する粒子は、一般に、肺に到達せず;代わりに、これらは、咽頭の裏に影響する傾向があり、嚥下され、おそらく、経口的に吸収される。直径約2〜約5ミクロンを有する粒子は、(気道を導く)上部から中間部の肺領域に到達するほど小型であるが、肺胞に到達するには大きすぎる。より小型の粒子、すなわち約0.5〜約2ミクロンは、肺胞領域に到達することができる。約0.5ミクロンよりも小型の直径を有する粒子は、非常に小型の粒子は発散され得るが、沈降により肺胞領域中に堆積させることもできる。
【0070】
一実施形態では、ネビュライザーは、主として約2〜約5ミクロンのMMADを有する本明細書に開示されるフルオロキノロン抗菌剤のエアゾールの形成を可能にすることに基づいて選択される。一実施形態では、フルオロキノロン抗菌剤の送達量は、呼吸器感染症に治療効果をもたらす。ネビュライザーは、幾何標準偏差約2.5ミクロン以下を有する空気動力学的粒子中央径約2ミクロン〜約5ミクロン、幾何標準偏差約1.8ミクロン以下を有する空気動力学的粒子中央径約2.5ミクロン〜約4.5ミクロン、および幾何標準偏差約2ミクロン以下を有する空気動力学的粒子中央径約2.8ミクロン〜約4.3ミクロンを含むエアゾールを送達することができる。いくつかの実施形態では、エアゾールは、振動メッシュネビュライザーを用いて生成することができる。振動メッシュネビュライザーの例には、PARI E-FLOW(登録商標)ネビュライザーまたはPARI eFlow技術を用いたネビュライザーが含まれる。ネビュライザーのさらなる例は、米国特許第4,268,460号;第4,253,468号;第4,046,146号;第3,826,255号;第4,649,911号;第4,510,929号;第4,624,251号;第5,164,740号;第5,586,550号;第5,758,637号;第6,644,304号;第6,338,443号;第5,906,202号;第5,934,272号;第5,960,792号;第5,971,951号;第6,070,575号;第6,192,876号;第6,230,706号;第6,349,719号;第6,367,470号;第6,543,442号;第6,584,971号;第6,601,581号;第4,263,907号;第5,709,202号;第5,823,179号;第6,192,876号;第6,644,304号;第5,549,102号;第6,083,922号;第6,161,536号;第6,264,922号;第6,557,549号;および第6,612,303号において提供され、これらすべては、その全体を参照により本明細書に組み込む。本明細書に記載した配合物と共に使用することができるさらなるネビュライザーの市販品の例には、Aerogen社によって製造されるRespirgard II(登録商標)、Aeroneb(登録商標)、Aeroneb(登録商標)Pro、およびAeroneb(登録商標)Go;Aradigm社によって製造されるAERx(登録商標)およびAERx Essence(商標);Respironics、Inc.によって製造されるPorta-Neb(登録商標)、Freeway Freedom(商標)、Sidestream、VentstreamおよびI-neb;およびPARI、GmbHによって製造されるPAR ILC-Plus(登録商標)、PARI LC-Star(登録商標)が含まれる。さらなる限定しない例によって、米国特許第6,196,219号は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
吸入可能な薬物用量(RDD)などのエアゾール用量で肺に投与することができるレボフロキサシンまたはオフロキサシンの量は、少なくとも約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、および約800mgを含むことができる。いくつかの実施形態では、吸入可能な薬物用量(RDD)などのエアゾール用量で肺に投与することができるレボフロキサシンまたはオフロキサシンの量は、少なくとも約20mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、および1500mgを含むことができる。
【0072】
エアゾールは、約10分、約5分、約4分、約3分、約2分、および約1分未満で肺に投与することができる。
【0073】
指示
本明細書に記載した方法および組成物は、肺感染症および障害を治療するために用いることができる。かかる障害の例は、嚢胞性線維症、肺炎、および慢性気管支炎を含めた慢性閉塞性肺疾患、およびいくつかの喘息を含むことができる。いくつかの実施形態には、緑膿菌、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アシドボランス(Pseudomonas acidovorans)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、プチダ菌(Pseudomonas putida)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、エロモナス・ハイドロフイラ(Aeromonas hydrophilia)、大腸菌(Escherichia coli)、シトロバクター・フロインデイ(Citrobacter freundii)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、霊菌(Serratia marcescens)、モルガン菌(Morganella morganii)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・スチュアルティイ(Providencia stuartii)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、アシネトバクター・ヘモリティカス(Acinetobacter haemolyticus)、エンテロコリチカ菌(Yersinia enter ocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、エルシニア・インターメディア(Yersinia intermedia)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィラス・ヘモリティカス(Haemophilus haemolyticus)、ヘモフィラス・パラヘモリティカス(Haemophilus parahaemolyticus)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、ヘモリチカ菌(Pasteurella haemolytica)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、コレラ菌(Vibrio cholera)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、セパシア菌(Burkholderia cepacia)、野兎病菌(Francisella tularensis)、キンゲラ(Kingella)、およびモラクセラ(Moraxella)からなる群から選択される1種または複数の細菌を含む感染症を
治療することが含まれる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、グラム陰性嫌気性菌によって引き起こされる。さらなる実施形態では、肺感染症は、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス3452Aホモロジー群、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・オバータス(Bacteroides ovalus)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・エガーシイ(Bacteroides eggerthii)、およびバクテロイデス・スプランクニクス(Bacteroides splanchnicus)からなる群から選択される細菌の1種または複数を含む。いくつかの実施形態では、肺感染症は、グラム陽性菌によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ミレリ群(Streptococcus milleri);ストレプトコッカス(Streptococcus)(グループG);ストレプトコッカス(グループC/F);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・インターメディウス(Staphylococcus intermedius)、スタフィロコッカス・ヒカス亜種ヒカス(Staphylococcus hyicus subsp. hyicus)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、およびスタフィロコッカス・サッカロリティカス(Staphylococcus saccharolyticus)からなる群から選択される細菌の1種または複数を含む。いくつかの実施形態では、肺感染症は、グラム陽性嫌気性菌によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetini)、およびボツリヌス菌(Clostridium botulinum)からなる群から選択される1種または複数の細菌によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、抗酸菌によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、およびらい菌(Mycobacterium leprae)からなる群から選択される1種または複数の細菌によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、異型細菌によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、肺感染症は、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)および肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)からなる群から選択される1種または複数の細菌によって引き起こされる。
【0074】
(実施例)
(比較例1)
ラット薬物動態モデルにおけるフルオロキノロンの投与
この実施例は、食塩水中フルオロキノロンのエアゾールおよび静脈内投与に関する。ラット薬物動態モデルを用いてフルオロキノロンの静脈内投与および肺投与を比較した。スプラーグドーリー系雄ラット(Charles Rivers)に、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、またはゲミフロキサシン10mg/kg用量を投与した。用量を、外側尾静脈によって、または気管分岐部より上の肺にマイクロスプレーエアゾールデバイス(Penn Century、Philadelphia、PA)を用いて投与した。レボフロキサシンを無菌の0.9%食塩水中で5mg/ml(IV)および60mg/ml(エアゾール)の濃度に調製した。
【0075】
およそ0.3ml血液サンプルを、2〜6匹ラットから留置の頚静脈カニューレによって各時点で採取し、リチウムヘパリン管に収集した。気管支肺胞洗浄(BAL)および肺組織を安楽死後に収集した。血漿、肺組織およびBAL中のレボフロキサシン濃度をHPLCアッセイを用いて決定し、データを、WinNonlin(Pharsight Corporation、v5.0)を用いて分析した。サンプル濃度を標準曲線に対して決定した。
【0076】
血清AUC
(0-inf)(時間0から無限大までの濃度時間曲線下面積)、血清MRT(平均保持時間)、血清t
1/2(半減期)、BAL AUC、MAT(平均吸収時間)、およびF(バイオアベイラビリティ)を決定し、Table 1(表1)に示す。
【0078】
シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、またはゲミフロキサシンのエアゾール投与は、静脈内投与に比べてBAL AUCの有意な増加をもたらした。レボフロキサシンのエアゾール投与は、静脈内投与に比べてBAL AUCのこのような有意な増加を示さなかった。さらに、レボフロキサシンは、肺から血清への急速な吸収を示した。したがって、食塩水中のレボフロキサシンのエアゾール投与は、薬物の肺への利用率の有意な増加をもたらさなかった。
【0079】
(比較例2)
ラットにおける二価陽イオンを有するレボフロキサシンのエアゾール投与
この実施例は、二価陽イオンおよび乳糖を有するレボフロキサシンのエアゾール投与および食塩水中のレボフロキサシンのIVもしくはエアゾール投与を含む一連の研究に関する。ラットに食塩水中の10mg/kgレボフロキサシン(LVX)またはCaCl
2、MgCl
2、もしくはZn
+2と共に配合されたLVXを投与した。Table 2(表2)は、これらの試験に使用されるレボフロキサシンの配合物を示す。
【0081】
一試験において、C
max(最大血清濃度)、CL/F(全身クリアランス/バイオアベイラビリティ)を含めた薬物動態パラメーターを測定し、Table 3(表3)に示す。レボフロキサシンをエアゾールによって、静脈内注射によって、またはMgCl
2を有するエアゾールによって投与した場合、経時的なレボフロキサシンの血漿濃度のグラフを
図1に示す。
【0083】
2コンパートメント薬物動態モデルは、静脈内およびエアゾール投与のための経時的な血漿レボフロキサシンのグラフにおける相違を記載するために用いることができる。静脈内投与後の血漿AUCは、Mg
+2を有するエアゾールによる投与後の血漿AUCに類似した(それぞれ3.79時間.mg/L対3.72時間.mg/L)。これは、肺からの二価錯体抗生物質の100%近いバイオアベイラビリティを示唆している。レボフロキサシンの平均滞留時間(MRT)は、エアゾール投与後の方が静脈内投与後に比べて長かった(0.88時間対0.70時間)。吸収におけるこの遅れは、BALにおけるBALレボフロキサシンAUC
(0-6h)の増加(静脈内投与対エアゾール投与がそれぞれ1.6時間.mg/L対8.3時間.mg/L)、および平均吸収時間(MAT)の18倍の増加と関連した。
【0084】
別の研究では、食塩水、Zn
2+、Ca
+2またはMg
+2を含む配合物のためのエアゾール投与後のレボフロキサシンレベルを測定し、薬物動態パラメーターを決定した。Table 4(表4)および
図2は、結果をまとめて示している。
【0086】
Ca
+2およびMg
+2と結合させたレボフロキサシンのエアゾール投与は、食塩水中に配合されたレボフロキサシンに比べて、より長期の血漿半減期およびより長期のMATになり、血漿へのよりゆっくりとした肺クリアランスを示した(Table 4(表4))。Ca
+2またはMg
+2と共に配合されたレボフロキサシンは、食塩水中で配合された静脈内レボフロキサシンまたはエアロゾル化したレボフロキサシンに比べて2倍から5倍高いレボフロキサシンC
maxおよびBALおよび肺組織中のAUCを生成した(Table 4(表4)、
図2)。これらのデータによれば、二価陽イオンと結合させたエアゾールレボフロキサシンは、肺感染症の治療においてより高い効果をもたらすことが示唆されている。
【0087】
(実施例3)
薬物動態モデリングおよびデコンボリューション分析
この実施例は、肺における薬物濃度をモデル化することに関する。薬物動態学的デコンボリューション法は、投与後に肺に残存する薬物の量を決定するのに有用である。かかる方法は、直接測定が難しいおよび/または例えば、痰サンプルを用いて肺の薬物濃度を測定し可変の結果を出す場合、特に有用である。
【0088】
血清および泌尿器の薬物動態パラメーターは、非コンパートメントおよびコンパートメント法を用いて決定することができ、経時的な肺の薬物濃度は、デコンボリューションを用いて算出することができる。この手法は、トブラマイシンのエアゾール送達について報告されており、5.6mg/kgの用量は、経験に基づき導き出されたデータと整合する約9%のバイオアベイラビリティおよび3時間にわたる吸収を示した(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Cooney G.F.ら、「Absolute bioavailability and absorption characteristics of aerosolized tobramycin in adults with cystic fibrosis.」J.Clinical Pharmacol.(1994年)、34巻、255〜259頁)。
【0089】
一例としてのデコンボリューション法を
図3にまとめて示す。この分析は、エアゾールおよび静脈内用量の後に薬物の出現および排出を比較して肺に残存する薬物の量(吸収コンパートメント)を経時的に決定する。肺における薬物の濃度を推定するために、量を、各対象の上皮肺液(ELF)の体積(25ml)の推定値で割った。続いて、非コンパートメント薬物動態学的分析を肺中の薬物のこれらの投影された濃度に適用してAUCを決定した。
【0090】
デコンボリューション方法論の適用は、ネビュライザーまたは他の呼吸器送達デバイスにおいて送達される、食塩水中のもしくはMg
+2と結合させたレボフロキサシンの吸入可能な薬物用量50mgのヒトまたは動物のエアゾール投与によって達成することができ、
図4ならびTable 5(表5)およびTable 6(表6)に例示される通り、血漿薬物濃度プロファイルを得、薬物動態パラメーターを算出した。1名の健常ボランティアへのレボフロキサシンの5分のIV注入後の血清レボフロキサシン濃度をWinNonlinを用いて分析し、薬物動態パラメーターをTable 5(表5)に示した。別々の場合に、このボランティアは、PARI eFlow振動メッシュネビュライザーによりレボフロキサシンの単回エアゾール用量(RDD=50mg)を受けた。
図4は、IVもしくはエアゾール用量の後の血清レボフロキサシン濃度の比較を示す。
図3に示したPKモデルを用いて、エアゾール用量後の血清中で測定されたレボフロキサシンの血清濃度を、レボフロキサシンのIV用量についての血清PKデータ(Table 5(表5)に示されるPKパラメーター)を用いてデコンボリューションした。結果をTable 6(表6)に示し、経時的に肺に残存するレボフロキサシンの推定量を(mgで)示す。
【0093】
これらのデータを用いて、時間の関数として肺に残存するレボフロキサシンの量を(mgで)算出することができる。
図5およびTable 6(表6)は、経時的に肺に残存する薬物の推定量についての例を示し、5分間にわたって投与された吸入可能な薬物用量50mgの10%が、1.2時間後に肺に残存するにすぎない。この実験は、デコンボリューション法の効用を実証している。
【0094】
(比較例4)
食塩水を含むレボフロキサシンのエアゾールおよび全身投与
この実施例は、レボフロキサシンの推定される吸入可能な薬物用量20mgまたは40mg(ネビュライザーに添加される用量がそれぞれ43.3mgおよび86.6mg)を用いて食塩水中に配合されたレボフロキサシンのエアゾールおよび全身投与に関する。(IV配合物Levaquin(登録商標)を用いて)レボフロキサシンの2つの用量レベルの単回エアゾール用量を、正常な健常ボランティアおよび安定性CF対象に、PARI eFlow高効率ネビュライザーを用いて投与した。
【0095】
安全性、忍容性、および薬物動態学的(血清、痰、および尿中排泄)データを各用量の後に収集した。ネビュライザーに、食塩水中で等張に希釈したLevaquin(登録商標)溶液3.6mlを、20mg吸入可能な薬物用量群が11.9mg/mlの濃度で、および40mg吸入可能な薬物用量群が23.8mg/mlの濃度で添加した。これらの体積は、20mgRDDおよび40mgRDDがそれぞれ、43.3mgおよび86.6mgレボフロキサシンの「添加」用量に対応する。Table 7(表7)は、食塩水中に配合されたレボフロキサシンの対応する推定されるRDDを有するネビュライザーに添加される用量をまとめて示している。
【0097】
Novaluzid(登録商標)(AstraZeneca)を、吸入中嚥下された任意のレボフロキサシンの経口吸収を最小限にするために同時投与した。各対象は、エアゾールレボフロキサシン用量との比較のための薬物動態学的データを生成するためにおよびeFlowデバイスを用いて送達される溶液の忍容性を評価するために、初診時にレボフロキサシンの静脈内用量およびエアゾール食塩水用量を受けた。
【0098】
血清および尿レボフロキサシン濃度を、Anapharm(Quebec City、Canada)により検証済みのHPLCアッセイを用いて分析した。痰レボフロキサシンアッセイを、血清アッセイを用いて開発し交差検証した。
【0099】
血清データ:静脈内注入後の血清レボフロキサシン濃度を、反復重み付き最小二乗回帰(WinNonlin)を用いて2コンパートメントオープン薬物動態モデルに適合した。観察された1/yの重みを、回帰に適用した。適合度を、最小化した客観的関数および重み付き残差プロットの調査により評価した。エアゾール投与から得られた血清レボフロキサシン濃度を、肺中のエアゾール用量の滞留時間を推定するために、デコンボリューション法を用いて分析した(その全体が参照により本明細書に組み込まれるGibaldi M. and Perrier D. Pharmacokinetics、第2版 Marcel Dekker:New York、1982年)。デコンボリューション分析のために用いた薬物動態モデルおよび手法を、実施例3に記載している。簡単にいうと、この分析は、肺に残存する薬物の量(吸収コンパートメント)を経時的に決定するためにエアゾールおよび静脈内用量の後の薬物の出現および排出を比較する。肺における薬物の濃度を推定するために、量を、各対象の上皮肺液(ELF)体積(25ml)の推定値で割った。続いて、非コンパートメント薬物動態学的分析を、肺におけるこれらの投影される薬物の濃度に適用してAUCの値を決定した。
【0100】
痰データ:痰濃度データを、非コンパートメント薬物動態学的方法を用いて分析した(その全体が参照により本明細書に組み込まれるGibaldi M. and Perrier D.Pharmacokinetics、第2版 Marcel Dekker:New York、1982年)。痰濃度下面積対時間曲線を線形台形公式を用いて推定した。痰は0.5〜8時間まで収集したにすぎないため、終末相および初期相から前方および後方外挿を行って第2の薬物動態パラメーター(C
max、AUC)の推定値を生成した。
【0101】
AUC:MIC、およびC
max:MICなどのPK-PDパラメーターを、血清レボフロキサシン濃度データのデコンボリューションから推定した肺曝露について生成した。パラメーターの例を、CF対象において1日2回投与される20〜120mgのレボフロキサシンの推定された吸入可能な用量で、緑膿菌用のレボフロキサシンMICの異なる値で算出した。レボフロキサシンMIC分布(MIC
50、MIC
90、およびMIC方法)を、CF分離株から得られた臨床分離株について測定した(Traczewski MMおよびBrown SD。嚢胞性線維症および非嚢胞性線維症患者から得られた緑膿菌およびセパシア菌分離株に対するドリペネムのin vitro活性。その全体が参照により本明細書に組み込まれるAntimicrob Agents Chemother 2006年;50巻:819〜21頁)。
【0102】
投与サマリー:合計7名の正常な健常ボランティア(NHV)および9名のCFを伴う対象を本試験に登録した。全対象はプロトコールの全相を完了し;用量サマリーをTable 8(表8)に示す。9名の嚢胞性線維症対象のうち7名は、20mgおよび40mg吸入可能な薬物用量レベルの両方を受け、2名の対象をサルブタモールの前処置をして20mg用量レベルで再投与した。1秒間の強制呼気量(FEVi)。
【0104】
血清中のレボフロキサシン薬物動態:
図6は、IVおよびエアゾール用量の後の正常な対象およびCF対象における平均血清レボフロキサシン濃度を示す。総レボフロキサシンクリアランスは、NHVおよびCF対象でそれぞれ、17.2L/時間および14.1L/時間であった。エアゾール投与後の血清レボフロキサシン濃度は、一般に、特に、投与の1時間後、静脈内用量で観察されたものと並行した。モデルに依存しない分析を用いてIVまたはエアゾール投与から得られたレボフロキサシンAUCの比較により、50mg IV用量に対してエアゾール用量から得られたレボフロキサシン曝露は、低用量および高用量のエアゾール用量では正常なボランティアがそれぞれ(平均+/-SD)35.6+/-9.4%および59.4+/-16.6%であり、CF対象が27.9+/-3.3%および51.1+/-11.2%であったことが示された。
【0105】
血清デコンボリューション分析:エアゾール投与後の血清レボフロキサシン濃度を、全ての対象においてうまくデコンボリューションし、経時的に吸収(肺)コンパートメントにおける薬物の量を推定することが可能になった
図7)。肺から血清への吸収は、健常な正常なボランティアにおいてよりもCF対象においてかなりゆっくりと起こり;肺用量の50%は、用量の後に少なくとも0.5時間肺に残存すると思われた。肺上皮被覆液(ELF)体積25mlを推定するための文献の値を用いて、単回エアゾール用量後のCF患者のELFにおけるレボフロキサシンの推定された濃度を、
図8Aおよび
図8Bに示す(その全体が参照により本明細書に組み込まれるRennard、S、G.ら、Estimation of volume of epithelial lining fluid recovered by lavage using urea as a marker of dilution. J.Appl.Physio.60巻:532〜8頁)。低用量および高用量の終わりに当たりCF患者のELFにおける平均投影C
max濃度は、それぞれ500μg/mlおよび1000μg/mlを超えた。経時的に積分したとき、肺液の投影平均+/-SDレボフロキサシンAUCは、健常な対象における低用量および高用量では365+/-338および710+/-471であり、CF患者における低用量および高用量では354+/-274および1,199+/-1,147であった。
【0106】
痰中のレボフロキサシン薬物動態:
図9は、CF対象における低および高エアゾール用量の投与後の痰中のレボフロキサシン濃度を示す。2つのエアゾール用量レベルの後の痰レボフロキサシン濃度は、50mg IV用量で得られたものよりもエアゾールレボフロキサシンによる方が用量後少なくとも1時間著しく高値であった。濃度は、肺からの薬物吸収と整合する、投与の最初の2時間に急速に下降する傾向であった。痰レボフロキサシン濃度は、患者内および患者間で変わりやすかったが、一般に、86.6mg添加された用量は、観察期間中より高い濃度になった。
【0107】
エアゾール投与後のCF対象から得られた痰中のレボフロキサシン濃度を平均し、他の投与経路により得られた濃度と比較した。
図10は、2つのエアゾール用量レベル、5分にわたり注入された同じ対象への50mg IV用量、および750mg経口用量についてのCF対象におけるモデル化した痰濃度を示し(別の試験は本明細書に記載しない);Table 9(表9)は、測定された痰レボフロキサシン濃度のC
max、AUC、および半減期の値を示す。
【0109】
750mg経口レボフロキサシン用量は、痰中でより長期の薬物濃度をもたらし、一方20mgという低いエアゾール用量は、10倍高いピーク濃度を生じる。
【0110】
図6は、正常な健常ボランティアおよびCF患者への食塩水中に配合されたレボフロキサシン20mgもしくは40mgの単回RDDおよびレバクイン(Levaquin)のIV用量の後の血清レボフロキサシン濃度を示す。これらのデータを用いて前述のように薬物動態学的デコンボリューションを行った。
図7はデコンボリューションの結果を示し、経時的に肺に残存するレボフロキサシンの推定量を示す。レボフロキサシンは、正常な健常ボランティアに比べてCF患者においてより長期間肺に残存した(
図7)。特に、痰中で観察されたレボフロキサシン濃度は、デコンボリューション分析から投影されたELF濃度と整合する(
図8Aおよび
図8B対
図9およびTable 9(表9))。
【0111】
PK-PD分析:緑膿菌の感受性データによる薬物動態の積分により、in vivoで予想した薬力学的効果が評価可能になる。フルオロキノロンのPK-PDパラメーターには、24時間AUC:MICおよびC
max:MIC比が含まれる。非常に高値のC
max:MIC比は、急速な細菌死滅および薬物抵抗性の抑制に有意であるようである。
【0112】
緑膿菌のMICデータと共にレボフロキサシン1日2回投与についてのデコンボリューション分析から得られた(ELF体積で割った肺中のレボフロキサシンの量から生成された)模擬ELF PKデータによるPK-PD分析の結果は、緑膿菌のレボフロキサシンPK-PD指数を算出するために用いることができる。Table 10(表10)は、レボフロキサシンの具体的な用量レジメンの予測したPK-PD指数(C
max:MIC;24時間AUC:MIC)を示す。
【0114】
例えば、20mg BIDレボフロキサシンの1日量、C
max:MIC=248;24時間AUC:MIC=350;およびレボフロキサシンMIC=2mg/L。これらのシミュレーションによって、C
max:MIC>20の第1の標的値は緑膿菌のCF分離株の90%超についてのすべてのレジメンにより得られることが示される。さらに、24時間AUC:MIC>300の第2のPK-PD標的値は、より低用量で大部分の細胞株で得られるが、次回の臨床試験で評価されるために投影されたより高用量で分離株の90%超を包含することもできる。
【0115】
(比較例5)
MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの30mg/mlおよび50mg/ml溶液のエアゾール投与
この実施例は、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの30mg/mlおよび50mg/ml溶液のCF患者へのエアゾール投与に関する。Table 11(表11)は、MgCl
2および乳糖を有するレボフロキサシンの配合物を示す。
【0117】
8名の安定性CF患者は、eFlow高効率ネビュライザー(PARI Pharma、Munich、Germany)を用いてMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの添加された用量78mg、175mg、および260mg(それぞれRDD40mg、80mg、および120mgに対応する)を受けた。漸増した用量を1週間あけて投与した。別々の群の7名のCF患者に、750mg経口レボフロキサシンの単回用量を1週間間隔で連続4週間投与した。血清および痰サンプルを、HPLCによりレボフロキサシンについてアッセイした。血清および痰レボフロキサシン濃度データを、非コンパートメント薬物動態法を用いて分析した。平均薬物動態パラメーターをTable 12(表12)で示す。
【0119】
PK-PDデータによれば、フルオロキノロンの場合、C
max:MIC比は、最適な細菌死滅および抵抗性の防止に関連するPK-PDパラメーターであることが前もって示されている。MgCl
2を有するレボフロキサシンのエアゾール投与は、緑膿菌>40のC
max:MIC比を達成する痰中の濃度を実現する。対照的に、経口レボフロキサシン用量750mgは、1.1の比になる。これらのデータにより、MgCl
2を有するレボフロキサシンのエアロゾル化した用量は、経口レボフロキサシンで達成可能なものを超える痰中の高い曝露をもたらすことが示される。
【0120】
(比較例6)
CF患者における食塩水またはMgCl
2中で配合されるレボフロキサシンの40mgRDDのエアゾール投与の比較
この実施例は、40mgレボフロキサシンの推定される吸入可能な薬物用量(RDD)を用いたMgCl
2を有するまたは食塩水中のレボフロキサシンのエアゾール投与に関する。食塩水中のレボフロキサシンの濃度は、MgCl
2/乳糖を含む配合物中で23.8mg/mlおよび30mg/mlである(Table 11(表11)を参照のこと)。CF患者は、エアゾール送達によるレボフロキサシンの40mg吸入可能な薬物用量を受けた。すなわち、7名の患者は、食塩水中で配合されたレボフロキサシンを受け;10名の患者は、同様の推定されるRDDを受け、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンを受けた。痰サンプルを、24時間までの様々な時間で採取し、レボフロキサシン濃度は、HPLC/蛍光法を用いて決定した。経時的に痰中で測定された平均レボフロキサシン濃度を
図11に示す。MgCl
2により送達されるレボフロキサシンは、食塩水中で送達されるレボフロキサシンの同様の用量よりも長期間および高濃度で痰中で保持される。
【0121】
食塩水中のレボフロキサシンのエアゾール投与のためのCF痰中のPKパラメーターのさらなる比較(実施例4-Table 8(表8))により、有意により高い痰C
maxおよびAUCは共に、マグネシウムとの複合体形成により達成されることが示されている(例えば、Cmaxはレボフロキサシン211.5mg/L対レボフロキサシン:Mgで388mg/Lであり、AUCは、40mg吸入可能な用量の場合、レボフロキサシン/食塩水171.4時間.mg/L対レボフロキサシン:Mg 851時間.mg/Lである)。
【0122】
(実施例7)
14日までの間の乳糖を加えたMgCl
2を含む配合物のエアゾール投与後のCF患者におけるレボフロキサシンの薬物動態
CF患者は、1日目に治療当たりおよそ40mg、80mg、または120mgの吸入可能な送達量(治療当たり添加された用量78mg、175mg、または260mg)を受け、その後1日2回投与を14日間受けた。Table 11(表11)に示される配合物を用いた。標準的な非コンパートメントおよびコンパートメントPK法を用いて血清、痰、および泌尿器のPKパラメーターを生成した(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gibaldi M、Perrier B. Pharmacokinetics.第2版 New York:Marcel-Dekker;1982年)。PKパラメーターを血清および痰について決定し、それぞれTable 13(表13)およびTable 14(表14)に示す。食塩水中のレボフロキサシンの投与との比較(実施例4)により、有意により高い痰CmaxおよびAUCが共にマグネシウムとの複合体形成によって達成されることが示される(例えば、Cmaxはレボフロキサシン211.5mg/L対レボフロキサシン:Mgで448.97mg/Lであり、AUCは、40mg吸入可能な用量の場合、レボフロキサシン171.4時間.mg/L対レボフロキサシン:Mg(1日目)420.54時間.mg/Lである)。
【0125】
(実施例8)
MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの50mg/mlおよび100mg/ml溶液のエアゾール投与
この実施例は、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの50mg/mlおよび100mg/ml溶液を180mgおよび240mgの用量でCF患者にエアゾール投与することに関する。Table 15(表15)は、MgCl
2を有するレボフロキサシンの配合物を示す。
【0127】
MgCl
2を有するレボフロキサシンを、35Lヘッド構造を有する振動メッシュ技術を用いたPARI eFlowネビュライザーを用いた吸入によって投与した。対象は、ランダム化スケジュールによって指定された順序で、試験の期間1においてある特定の配合物(50mg/mlまたは100mg/ml)の単回180mg用量を受け、その後、期間2において7日間の休薬期間および他の配合物(50mg/mlまたは100mg/ml)の単回180mg用量を受けた。これに続いて、期間3の間1日1回240mg用量を連続7日間受けた。レボフロキサシンの血清および痰濃度をHPLC/蛍光法を用いて測定した。
【0128】
レボフロキサシンの血清濃度に関して、100mg/ml配合物を有する180mgの投与後のレボフロキサシンの算術平均血清濃度は、50mg/ml配合物を有する投与後よりもわずかに高かった
図12)。Table 16(表16)は、CF患者への1日1回7日間、吸入用の50mg/mlもしくは100mg/ml溶液として単回180mg用量の投与後および吸入用の100mg/ml溶液として240mgの投与後のレボフロキサシンについての薬物動態パラメーターをまとめて示す。100mg/ml配合物の平均C
maxおよびAUC
(inf)は、50mg/ml配合物に対応する値よりも35%および22%高かった。
【0130】
100mg/ml配合物を有する180mgの投与後の平均t
1/26.78時間に基づいて、1日1回投与による蓄積は約9%となるべきである。100mg/ml配合物を有する240mgの投与後、平均C
maxが1.33倍増加し、用量のレベルの増加と類似した。240mg QD×7日の投与後、7日目のAUC
(0-t)は、AUC
(0-24)、または投与間隔にわたるAUCであり、これは単回用量の後のAUC
(inf)に相当するべきである。240mg用量レベルの平均AUC
(0-t)14,771時間.ng/mlを180mg用量レベルに補正すると、同様の配合物の単回180mg用量の投与後観察されるAUC
(inf)9,848±3,813時間.ng/mlに匹敵する、推定値11,078時間.ng/mlになる。これは、100mg/ml配合物を有するレボフロキサシンの単回および複数回エアゾール用量の後のレボフロキサシンの薬物動態の直線性を実証している。算術平均t
1/2は、3つ全ての治療について同様であり、6.40時間から7.49時間の範囲であった。
【0131】
レボフロキサシンの痰濃度に関して、算術痰濃度、C
max、およびAUCの平均値は、50mg/mlまたは100mg/ml配合物を有する180mgの投与後に類似した
図13)。Table 17(表17)は、CF患者への1日1回7日間、吸入用の50mg/mlまたは100mg/ml溶液として単回180mg用量の投与後、および吸入用の100mg/ml溶液として240mgの投与後のレボフロキサシンについての痰薬物動態パラメーターをまとめて示す。
【0133】
100mg/ml配合物の180mgおよび240mg用量間のC
maxは、2,932,121ng/ml〜4,690,808ng/mlで、1.6倍増加した(Table 17(表17))。少数の患者および対象間の可変性を考慮して、この増加は、約1.33倍の予測された増加と無理なく整合する。対照的に、AUCは、1,960,771時間.ng/ml[AUC
(inf)]〜4,507,180時間.ng/ml[AUC
(0-24)]で、2.3倍増加した。算術平均t
1/2は、3つの全ての治療について同様であり、3.55時間から4.58時間の範囲であった(Table 16(表16))。
【0134】
これらの結果により、痰中のレボフロキサシン曝露は、血清中の曝露よりも高い大きさの順序であったことが示されている(Table 16(表16)およびTable 17(表17))。しかし、痰中のレボフロキサシン曝露対血清中のレボフロキサシン曝露の比は、配合物および用量とは比較的無関係であり、平均してC
maxがおよそ260,000%、AUCが25,000%であった(Table 18(表18))。
【0136】
痰曝露は、両方の配合物で類似する。240mg QD×7日レジメンからの潜在的な蓄積を考慮して、100mg/ml配合物として180mgおよび240mgの投与後の全身および痰曝露は、用量に比例し、単回用量と複数回用量との間で整合するようである。
【0137】
Table 19(表19)は、試験されるそれぞれの配合物について、生の結果またはRDDもしくはネビュライザーに添加された用量に標準化された結果として、実施例4および8に示した配合物の噴霧後のレボフロキサシンAUCおよびC
max結果を比較する。
【0139】
用量標準化AUCおよびC
maxPKパラメーターは、Mg
2+を欠如する実施例4の配合物に対してMg
2+と共に配合されたレボフロキサシンを含む実施例8の配合物を用いた痰中のレボフロキサシンの曝露の有意な増加を示す。実施例4と実施例8配合物との間のレボフロキサシンの痰濃度の相違をさらに
図14で示す。
【0140】
(実施例9)
マウス肺感染症モデル
マウス肺感染症モデルを用いて静脈内投与の効力をフルオロキノロンの肺投与と比較した。1群当たり8匹のマウスを、気管内滴下注入によって肺炎桿菌ATCC 43816に感染させた。感染後24時間、マウスに、マイクロスプレーエアゾール生成デバイス(PennCentury、Philadelphia、PA)を用いてエアゾール用量10または20mg/kgを1日2回(BID)投与した。治療開始後24時間、動物を屠殺し肺を除去し、ホモジナイズし、蒔いてコロニー数を決定した。Table 20(表20)は、この試験に用いた配合物を示す。
【0142】
MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンは、試験された各用量で食塩水中に配合されたレボフロキサシンよりも1log大きい細菌死滅をもたらした(
図15)。この結果は、実施例2においてラットで決定された肺濃度の増加と整合する。
【0143】
(実施例10)
マウス肺感染症モデルにおけるMgCl
2と共に配合されたエアゾールレボフロキサシンの効果
この実施例は、MgCl
2を有するレボフロキサシンのエアゾール投与および食塩水中のレボフロキサシンの腹腔内投与に関する。以下の試験の目的は、緑膿菌による急性および慢性肺感染症モデルにおけるこれらの療法の効果を決定することであった。
【0144】
抗菌剤:レボフロキサシン((LKT Laboratories、St.Paul、MN)、トブラマイシン(Sicor pharmaceuticals、Irvine、CA)、およびアズトレオナム(MP Biomedicals、Solon、OH)を独立した製造業者から購入した。各実験の開始前に、各抗生物質の新鮮な原液を調製した。MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンを水に希釈し;レボフロキサシンおよびトブラマイシンを0.9%食塩水に希釈し、アズトレオナムを水中の7%炭酸水素ナトリウムに希釈した。Table 21(表21)は、本試験に用いた配合物を示す。
【0146】
細菌株MIC試験:緑膿菌ATCC27853およびNH57388Aをこれらの試験に用いた。MICを、CLSI参照方法(好気的に成長する細菌についての抗菌感受性テストの希釈方法。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、第7版:Clinical and Laboratory Standards Institute (2006)M&-A7)に従ってブイヨン微量希釈アッセイにより決定した。アッセイを最終体積100μl中で行った。細菌懸濁液を調整して細胞密度5×10
5CFU/mlを得た。抗生物質を培養培地中の所望の最高の最終濃度の2倍に相当する濃度で調製し、次いで、96穴マイクロタイタープレートに直接希釈した。マイクロタイタープレートを24時間35℃でインキュベートし、600nmでマイクロタイタープレートリーダー(分子デバイス)を用いることによってならびにマイクロタイタープレート読み取り鏡を用いることによる目視観察によって読み取った。MICを、生物の可視の成長が完全に阻害される抗生物質の最低濃度として定義した。
【0147】
マウス:雌のスイスマウス(5〜6週齢)をHarlan West Coast(Germantown、CA)から得た。全ての試験を研究機関による動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により承認されたプロトコール下で行った。
【0148】
シュードモナスアルギナートの調製:緑膿菌NH57388Aを、50mlミュラー-ヒントンブイヨン(MHB)中で24〜28時間37℃で振り混ぜながら(170rpm)培養した。細菌細胞を、遠心(23,000×g、30分、4℃で)により回収し、MHB3〜6mlに再懸濁させた。上澄みを収集し、80℃の水浴に30分間入れた。上澄みを氷冷99%エタノール150mlに加えることによりアルギナートを沈殿させた。沈殿させたアルギナートを、無菌の細菌ループで収集し、無菌の食塩水中で数回洗浄した。次いで、精製したアルギナートを、無菌の食塩水10mlに再懸濁させ、強く撹拌して均質な懸濁液を形成した。アルギナート濃度を測定し、2〜3mg/mlの濃度に調整した。
【0149】
抗生物質のエアゾール投与:抗生物質を、FMJ-250 High-Pressure Syringe(PennCentury、Philadelphia、PA)に結合したマイクロスプレーエアゾールデバイス(MicroSprayer Model IA-C、PennCentury、Philadelphia、PA)を用いてエアロゾル化した。このデバイスは、16〜22μM質量中央径スプレーを生成する。投与のために、各マウスに麻酔し(4L/分の流動酸素中の5%イソフルラン)、上歯により45〜50°の角度で安全に配置し、マイクロスプレーエアゾールチップを分岐に挿入し、50μl体積を投与した。
【0150】
薬物動態:マウス(n=3/時点)に、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシン単回60mg/kgエアゾール用量またはレボフロキサシン20mg/kg IP用量を投与した。マウスを投与後0.08、0.16、0.25、0.5、0.75、1.0、2.0、3.0および4.0時間で屠殺し、これらの肺を収集した。レボフロキサシンまたはMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンとして投与されたレボフロキサシン肺ホモジネート濃度を、HPLC法を用いて測定した。分析標準(0.05〜100mg/L)を、未治療の動物から収集した新鮮なマウス肺ホモジネート中で調製した。肺ホモジネートまたは2つの化合物のための標準を、4%トリクロロ酢酸の2倍の体積で混合し、ボルテックスし、次いで、12,000rpmで10分間冷却Eppendorf 5415c遠心セットを用いて4〜10℃で遠心した。上澄みのアリコート(25μl)を、温度調節自動注入装置セットを用いて10℃でHPLC上に直接注射した。標準曲線をピーク領域対標準濃度について描き、データを重み付き線形回帰(Microsoft Excel、Seattle、WA)を用いて適合した。肺ホモジネート中のレボフロキサシンの濃度をこれらの標準曲線から算出した。肺薬物動態パラメーターを、WinNonlin(Pharsight、Mountain View、CA)を用いて決定した。
【0151】
急性マウス肺感染症モデル:緑膿菌ATCC27853を、MHB中で35℃で終夜成長させた。細菌懸濁液を、所定のプレート数で600nmで吸収度の相関によっておよそ1〜6×10
5CFU/mlに調整した。雌のスイスマウスを、1日目および3日目に150mg/kgシクロホスファミド(Baxter、Deerfield)の腹腔内(IP)注射によって好中球を減少させた。4日目に、マウスを、1ml注射器に結合した曲線状の強制経口チップを用いて接種材料の0.05mlの気管内(IT)滴下注入により感染させた。抗生物質治療を感染後24時間で開始し、1日1回もしくは2回24時間または48時間投与した。抗生物質をマイクロスプレーエアゾールデバイスを用いてエアロゾル化した。すべての感染およびエアゾール治療を、イソフルラン麻酔(4L/分の流動酸素中の5%イソフルラン)下で行った。マウスの未治療群(n=8)を、治療の開始前に屠殺してベースライン細菌数を決定した。治療される動物(n=8)を最後の抗生物質用量の後12〜16時間で二酸化炭素窒息により屠殺した。肺を、無菌的に除去し、無菌の食塩水1ml中でホモジナイズした(Pro200 homogenizer、Pro Scientific、Monroe、CT)。ホモジナイズした肺の段階的な10倍希釈をミュラー‐ヒントン寒天(MHA)に入れ、コロニーをカウントした。生存試験の場合、マウス(n=10)を、治療を終了してから7日間または感染後合計9日間観察した。
【0152】
慢性マウス肺感染症モデル:緑膿菌NH57388Aを、50ml MHB中で24〜28時間37℃で振り混ぜながら(170rpm)培養した。細菌細胞を、遠心(23,000×g、30分、4℃で)により回収し、MHB3〜6mlに再懸濁させた(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hoffmann.N.T.B.ら.2005年.Novel mouse model of chronic Pseudomonas aeruginosa lung infection mimicking cystic fibrosis.Infect Immun 73巻:2504〜14頁)。細菌懸濁液をアルギナート懸濁液中で希釈して(1:10)約10
8CFU/mlを得た。感染の初期設定を、シクロホスファミドの単回150mg/kg IP用量を用いて感染前の4日間一過性の好中球減少により達成した。4日目に、マウスを、イソフルラン麻酔下で1ml注射器に結合した曲線状のビーズ付き強制経口を用いて感染させた。抗生物質治療を感染後24時間で開始し、IP経路によりまたはマイクロスプレーデバイスを用いたエアゾールにより抗生物質の様々な濃度で1日2回連続3日間投与した。最後の治療後12〜16時間、マウスを屠殺し、肺中のコロニー数を本明細書に記載した通り決定した。
【0153】
統計分析:生存および肺細菌数を、それぞれlog順位およびマンホイットニーU検定(GraphPad Prism version of 4.03)によって分析した。<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。
【0154】
抗生物質の最小生育阻止濃度
動物試験に用いた緑膿菌株の最小生育阻止濃度(MIC)をTable 22(表22)に示す。トブラマイシンは、<1μg/mlのMICを有するin vitroで最も強力な抗生物質であり、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンおよびレボフロキサシンは、1および2μg/mlのMICを有し、アズトレオナムは、両方の株に対して4μg/mlのMICを有した。
【0156】
マウスの薬物動態
MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンおよびレボフロキサシンの標準化された肺薬物動態パラメーターをTable 23(表23)に示す。60mg/kgのMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンをエアゾール投与すると、レボフロキサシンの用量を標準化した腹腔内投与で達成されたものよりも9倍および30倍高かったレボフロキサシンAUCおよびC
maxの値を生成した。
【0158】
急性および慢性肺感染症モデルにおけるMgCl
2と共に配合されたエアゾールレボフロキサシン対全身的レボフロキサシン
急性肺感染症モデルにおいて、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシン125mg/kg、62.5mg/kg、および32mg/kgによるエアゾール治療はそれぞれ、肺細菌数の5.9log CFU、4.3log CFU、および2.3log CFUの減少をもたらした(
図16)。レボフロキサシン125mg/kg、62.5mg/kg、および32mg/kgによる全身治療はそれぞれ、3.5log CFU、2.7log CFU、および0.65 log CFUの減少をもたらした。MgCl
2と共に配合されたエアゾールレボフロキサシンによる細菌数の減少は、用量当たりでIPレボフロキサシンで観察されたものより大きかった(p<0.05)。
【0159】
慢性肺感染症モデルにおいて、食塩水中のレボフロキサシン60mg/kg、30mg/kg、および15mg/kgによる腹腔内治療はそれぞれ、細菌数の0.15log、0.32log、および0.83logの増加をもたらした(
図17)。対照的に、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシン60mg/kg、30mg/kg、および15mg/kgによるエアゾール投与はそれぞれ、細菌数の1.26log、0.62log、および0.07logの減少をもたらした。全体的に、肺中の細菌負荷量は、両方の感染症モデルにおいて、投与当たりの用量ベースで、全身的なレボフロキサシンに比べてMgCl
2と共に配合されたエアロゾル化したレボフロキサシンによって治療したマウスで有意に低かった(MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシン対全身的なレボフロキサシンの場合、p<0.05)。
【0160】
急性致死性肺感染症モデルにおけるエアゾールレボフロキサシン、トブラマイシンおよびアズトレオナム
急性肺感染症モデルにおけるMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシン、トブラマイシンおよびアズトレオナムの効果を比較するために、マウスを、緑膿菌ATCC27853に感染させ、エアゾール経路により1日2回連続2日間治療した。毒性により、トブラマイシンを60mg/kgの最大用量に制限し、アズトレオナムを400mg/kgの最大用量に制限した。さらに、治療用の麻酔を必要とするため、最大1日量の数値を2に制限した。
【0161】
図18に示した通り、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシン、トブラマイシン、およびアズトレオナムによるエアゾール投与はそれぞれ、肺当たり4.10log CFU、2.70log CFU、および0.24log CFUの平均の減少をもたらした(MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンのアズトレオナムとの比較の場合、p<0.05)。特に、単回用量または1日2回用量と同じMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの1日の総投与量を投与すると、肺中で緑膿菌数が同様に減少した。
【0162】
生存を9日にわたってモニターした。
図19に示す通り、すべての未治療マウスは3日後に感染症に屈した。800mg/kg/日(400mg/kg BID)のエアロゾル化したアズトレオナムによる治療は、本試験で用いた抗生物質の間で最も低い生存率を有し(20%)、未治療マウスと有意差はなかった(p>0.05)。120mg/kg/日(60mg/kg BID)のトブラマイシンによる治療は、60%の生存率をもたらし、対照と統計的に差があった(p<0.05)。120mg/kg QDまたは60mg/kg BIDとして120mg/kg/日のMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンによる治療は、100%の生存をもたらし、未治療対照またはアズトレオナムと有意差はあったが(p<0.05)、トブラマイシンと有意差はなかった(p=0.056)。
【0163】
慢性肺感染症モデルにおけるエアゾールレボフロキサシン、トブラマイシン、およびアズトレオナム
MgCl
2と共に配合されたエアロゾル化したレボフロキサシン、トブラマイシンおよびアズトレオナムはそれぞれ、3.3、2.9、および1.25の平均log CFUの減少をもたらした(
図20)。トブラマイシンまたはMgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンのエアロゾル化した用量は、アズトレオナム,または未治療対照群に比べて有意に低い細菌数をもたらした(p<0.05)。
【0164】
これらのin vivo試験によって、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンのエアゾール投与は、急性および慢性緑膿菌肺感染症モデルにおける全身投与よりも大きな、抗菌による死滅をもたらすことが示される。特に、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンによる1日2回投与は、エアロゾル化したトブラマイシンおよびアズトレオナムで観察されたものと類似のまたはそれを超える程度まで肺細菌負荷量を減少させた(
図18)。肺における細菌負荷量のこのような減少は、生存の改善と解釈した(
図19)。
【0165】
さらに、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンの単回対1日2回投与を比較すると、同様の細菌死滅および生存を示し、MgCl
2と共に配合されたレボフロキサシンによる1日1回の治療は、患者において可能性が有り得ることを示唆している。医薬品の1日1回投与は、複数回投与が患者に不便であり治療の順守が乏しくなり得る場合に、複数回投与に対して特に有利である。
【0166】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され記載されており、かかる実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者に明らかである。多数の変形形態、変更形態、および置換形態は、本発明から逸脱することなく当業者に行われる。本明細書に記載した本発明の実施形態への様々な代替は、本発明を実施するのに使用することができるということを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにこれらの相当物がそれによって包含されるものとする。
【0167】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されたような場合と同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれる。