(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記点灯電流は、所定の電子素子に内蔵された複数のトランジスタを通過した後、前記電子素子のグランド端子を経由して、前記グランドパターン面に至るよう構成されている請求項1に記載の遊技機。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数の表示図柄による一連の図柄変動態様を表示する図柄表示部と、開閉板が開閉される大入賞口などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると入賞状態となり、遊技球が賞球として払出された後、図柄表示部では表示図柄が所定時間変動される。その後、7−7−7などの所定の態様で図柄が停止すると大当り状態となり、大入賞口が繰返し開放されて、遊技者に有利な遊技状態を発生させている。
【0003】
この種の遊技機は、一般に、大当り状態を発生させるか否かの抽選処理を実行して遊技動作を中心統括的に制御する主制御基板と、主制御基板から受ける制御コマンドに基づいて、個別的な遊技動作を実行するサブ制御基板とに区分されて構成されている。サブ制御基板としては、例えば、ランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板や、液晶ディスプレイでの映像演出を実行する液晶表示基板や、賞球を払い出す払出制御基板などが存在する。
【0004】
主制御基板では、図柄始動口などに配置された多数の検出スイッチから検出信号を受けると共に、大入賞口や電動チューリップなどを開閉させるソレノイドを駆動している。また、遊技機の表面部の適所に配置された複数の発光体(例えば7セグメントLEDやLEDランプ)を使用して、大当り状態を発生させるか否かの抽選結果を、主制御基板において、適切なタイミングで確定的に報知したい要請もある。
【0005】
このように、主制御基板には、多数の重要な信号が入力されると共に、制御コマンドを含む多数の重要な信号が出力されている。しかも、サブ制御基板や遊技部品との信号入出力ラインは、ある程度長くならざるを得ないので、信号ラインに重畳するノイズ成分が主制御基板やサブ制御基板に搭載されたコンピュータ回路を誤動作させるおそれがある。
【0006】
ノイズとしては、例えば、遊技球に帯電した静電気の放電に伴う放電ノイズが考えられる。また、大入賞口や、電動チューリップを開閉させるソレノイドや、複数のランプには、比較的大電流が間欠的に流れるので、この間欠動作に伴う高周波ノイズが、他の信号ラインに重畳してしまうことにもなる。そして、主制御基板は、サブ制御基板の遊技動作を統括する非常に重要な役割を果たす以上、そのコンピュータ回路が誤動作してはならず、そのノイズ対策は非常に重要である。そこで、耐ノイズ性を高めるべく、例えば、主制御基板を多層基板(例えば四層基板)で構成し、その一層にグランドパターンを設け、他の一層に電源ラインパターンを設けることも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、サブ制御基板は別として、遊技動作を中心統括的に制御する主制御基板に多層基板を採用した場合には、違法改造が容易となり、しかも、その発見も外見上困難となるので妥当性に欠ける。そこで、主制御基板の外周部に配置される接続コネクタと、主制御基板の内部に配置されるコンピュータ回路とを、隔壁ラインによって電気的に隔離させることも考えられる。
【0009】
しかし、このような構成を採った場合には、接続コネクタに対するアース面積が不可避的に限定されるため、パターン構成によっては、接続コネクタのアース電位が少なからず変動したり、或いは、パルス信号の遷移時に大きなリンギングが生じることがあった。そのため、主制御基板やサブ制御基板のコンピュータ回路を誤動作させることがあり、典型的には、制御コマンドがビット化けしたり、サブ制御基板に、誤動作による割込み処理を起動させることがあった。
【0010】
また、主制御基板のコンピュータ回路に悪影響を与えることなく、且つ、基板構成や基板間の配線を複雑化することなく、主制御基板において、直接的に多数の発光体を点灯制御したい要請に応える基板構成も望まれる。なお、特許文献1や特許文献2の提案もあるが、本発明の目的を達成することはできない。
【0011】
本発明は、上記の要請に鑑みてなされたものであって、違法改造の可能性を抑えつつ、主制御基板などの誤動作を有効に回避でき、しかも、主制御基板の直接的な制御によって多数の発光体を駆動させることもできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明は、遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かの抽選処理を実行して、その抽選結果に基づいて遊技動作を中心統括的に制御する
主コンピュータ回路を搭載した主制御基板と、前記主制御基板に直流電圧を供給する電源基板と、を有して構成された遊技機であって、前記主制御基板は、プリント基板の表裏両面にしか配線パターンが存在しない両面基板について、電子部品の配置スペースを除く実質的に全てのスペースが、基板上の信号パターンや電源パターンを除いて、隔壁ラインで仕切らないグランド電位に統一設定されたグランドパターン面とされ、前記主制御基板の基板外周部には、前記主制御基板から出力される制御コマンドに基づいて、抽選結果に対応した演出動作を実現する
演出コンピュータ回路を搭載した演出制御基板に制御コマンドを出力する制御コネクタ(CN4)と、遊技機に配置された発光部材を点灯駆動するべく、
主コンピュータ回路の電源電圧より高い直流電圧を出力し、発光部材を発光させた点灯電流が入力される点灯コネクタ(CN5)と、前記電源基板から流入する直流電流を前記電源パターンに供給する一方、前記グランドパターン面の全グランド電流を前記電源基板に流出させる電源コネクタ(CN2)と、を含んだ各種のコネクタが配置され、前記点灯コネクタ(CN5)は、前記電源コネクタ(CN2)との位置関係において、前記制御コネクタ(CN4)より遠位置に配置され、前記点灯コネクタ(CN5)に流入した点灯電流の全てが、前記グランドパターン面を通して、前記電源コネクタ(CN2)に至るよう構成されている。
【0013】
本発明では、ノイズ発生源となりやすい信号線に接続された遊技コネクタが電源コネクタに近接して配置される上に、広いグランド面が確保されるので、耐ノイズ性が高まる。また、両面基板を使用するので、違法改造も困難である。
【0014】
電圧変換回路は、好ましくは、ノイズフィルタを通して、電源コネクタから直流電圧を受けるべきである。このような構成を採ると、コンピュータ回路の電源電圧と、電磁部品や検出センサに供給される直流電圧とが分離されるので、耐ノイズ性が更に高まる。
【0015】
本発明では、広いグランド面が確保されるので、主制御基板の基板外周部には、適所に配置された発光体に点灯信号を出力する点灯コネクタを配置することができる。しかも、発光体を流れる点灯電流が、点灯コネクタから流出及び流入するよう構成することができ、基板構成や基板間の配線を複雑化することなく、主制御基板において、直接的に、多数の発光体を点灯制御することができる。なお、
図4(b)は、本発明の比較回路を図示したものである。
図4(b)の比較回路のように、遊技盤中継基板29に駆動用の回路を搭載した場合には、特に、+12Vの電源ラインの引き回しが複雑化する。一方、
図4(c)は、隔壁ラインISOを設けた比較回路を図示したものである。
図4(c)の比較回路によれば、基板構成や基板間の配線の複雑化は回避されるものの、多数の発光体を点灯制御することができず、もし大電流を断続的に流すと、狭いアース通路(グランド通路)による抵抗値やインダクタンス値の増加に起因して、主制御基板やサブ制御基板のコンピュータ回路を誤動作させる。
【0016】
前記点灯電流は、好ましくは、電源コネクタから供給された直流電圧によって生成され、点灯コネクタと電圧変換回路の間には、ノイズフィルタが配置されるべきである。この構成によれば、コンピュータ回路の耐ノイズ性が高まる。
【0017】
また、主制御基板のコンピュータ回路は、ワンチップマイコンと、制御コマンドを出力するドライバ回路と、制御コネクタとを具備して構成され、前記ワンチップマイコンは、電源コネクタに対して、ドライバ回路より遠い位置に配置されている。最適には、ワンチップマイコンは、グランド面に流れるグランド電流についての最上流位置に配置されるべきである。このような構成を採ると、ドライバ回路に近接して電磁ノイズが発生しても、ワンチップマイコンは、その影響を受けにくい。
【0018】
前記ワンチップマイコンは、好ましくは、乱数生成部を内蔵して構成され、前記乱数生成部は、専用の発振回路から受けるクロックパルスと、遊技コネクタから受けるスイッチ信号とに基づいて抽選処理用の乱数値を生成しているべきである。このような構成を採ると、違法改造を効果的に排除できる上に、別に乱数生成部を設ける必要がないので、空いたスペース分だけ、グランド面を広げると共に電源ラインを太くできるので、主制御基板の耐ノイズ性が高まる。
【発明の効果】
【0019】
上記した本発明によれば、違法改造の可能性を有効に抑えつつ、主制御基板における耐ノイズ性を高めることができる。また、コンピュータ回路の悪影響を与えることなく、主制御基板の直接的な制御によって多数の発光体を駆動させることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るパチンコ機GMを示す正面図である。図示のパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
【0022】
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
【0023】
上皿8のほぼ中央には、ランプを内蔵する楕円形のプッシュボタン11が設けられている。プッシュボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくプッシュボタン11を操作できる。このプッシュボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態が例えば「ボタンチャンス状態」となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。
【0024】
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する残額表示部12aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ12bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ12cとが設けられている。
【0025】
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置され、その上部には、7セグメントLEDによる抽選結果表示部14と、2個のLEDランプ19が配置されている。
【0026】
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特別図柄と直接関連する演出図柄(例えば、3桁の演出図柄「7・7・7」)を変動表示する演出図柄表示部として機能する部分であり、背景画像や各種のキャラクタなども併せてアニメーション的に表示する。一方、抽選結果表示部14は、特別図柄表示部として機能する部分であり、液晶ディスプレイDISPの変動表示動作に同期して点滅動作などをした後、液晶ディスプレイDISPの停止動作に合わせて抽選処理の当否結果を確定的に表示する。
【0027】
この実施形態では大当り状態は、確変大当りと、ノーマル大当りとに区分されているが、液晶ディスプレイDISPは、確変大当りか、ノーマル大当りか、ハズレかを、停止状態の演出図柄の配列によって報知するのに対して、抽選結果表示部14では、これを所定の停止模様によって報知している。具体的には、液晶ディスプレイDISPは、確変大当りか、ノーマル大当りか、ハズレかに応じて、それぞれ「7・7・7」、「6・6・6」、「2・5・2」などの演出図柄を停止表示するのに合わせて、抽選結果表示部14では、例えば2個の7セグメントLEDを設けた場合は、「77」「66」「−−」の停止図柄を表示する。なお、確変大当りとは、ノーマル大当りの場合と同様の特別遊技状態が終了した後、大当りの当選確率が増加した遊技(確変状態の遊技)が開始される大当り状態を意味する。
【0028】
一方、2個のLEDランプ19は、普通図柄表示部として機能する部分であり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示内容が所定時間だけ変動し、その後、遊技球のゲート18の通過時点において抽選された抽選用乱数値に基づいて決定される当否状態を表示するようになっている。この実施例では、2つのLEDランプが共に点灯状態で停止すると当り状態となり、何れか一方、又は2つのLEDランプが消灯状態で停止するとハズレ状態となる。
【0029】
図2に示すように、遊技盤5の遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、4つの普通入賞口17、左右の通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜17及びゲート18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
【0030】
本実施形態では、図柄始動口15は、一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで拡大縮小され、普通図柄表示部たるLEDランプ19の変動後の停止状態で当り表示をした場合には、開閉爪が所定時間だけ拡大されるようになっている。そして、この図柄始動口15に遊技球が入賞すると、演出図柄表示部たる液晶ディスプレイDISPと、特別図柄表示部たる抽選結果表示部14の表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。
【0031】
大入賞口16は、前方に開放可能な開閉板16aで開閉されるが、演出図柄表示部DISPの変動停止後の図柄が「6・6・6」「7・7・7」などの整列した演出図柄のとき(抽選結果表示部14では、「66」又は「77」を表示)、「大当り」と称される特別遊技状態が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
【0032】
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような開閉動作が、例えば最大16回まで、大当たりラウンドとして継続され、遊技者に有利な状態に制御される。
【0033】
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
【0034】
但し、この実施形態では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。
【0035】
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
【0036】
ところで、このパチンコ機GMは、
図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
【0037】
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、液晶ディスプレイDISPやその他の回路基板と共に固定されている。
【0038】
そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタT1〜T4によって電気的に接続されている。接続コネクタT1〜T4は、この実施形態では、遊技盤5の背面視左下に集中配置されている。そして、ガラス扉6を開放した状態で、前枠3の表側から、遊技盤5の左端を前枠3に係止して回転支点を確保し、確保した回転支点を中心に遊技盤5を回転させることで、前枠3の内側に遊技盤5を嵌合させる。なお、遊技盤5を嵌合させると、全ての接続コネクタT1〜T4が接続状態となり、それだけで枠側部材GM1と盤側部材GM2の接続が完了し、パチンコ機GMが動作可能な状態となる。
【0039】
図3に示す通り、電源基板20は、接続コネクタT2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタT3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号CLR、電圧降下信号ABN、バックアップ電源BU、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。なお、演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
【0040】
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号CLR、電圧降下信号ABN、バックアップ電源BUを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
【0041】
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0042】
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号ABNは、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号ABNを受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BUは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部25は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
【0043】
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、先に説明した通り、演出制御部22と液晶制御部23には、電源中継基板30と演出インタフェイス基板27を経由して、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
【0044】
図示の通り、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部25に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
【0045】
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、図柄表示基板33にも接続されて発光体たるLED群を点灯駆動している。
【0046】
主制御部21において点灯駆動されるLED群には、抽選結果表示部14を構成する7セグメントLEDと、普通図柄表示部19を構成する2個のLEDランプとが含まれている。なお、抽選結果表示部14での表示態様を豊富化できる上に、図柄始動口を2個設けた遊技機にも対応できるので、この実施形態では、7セグメントLEDを2個配置している。また、ゲート18や、図柄始動口15に、連続して遊技球が通過した場合に待機状態となる抽選保留数や、大当たりラウンド数などを表示するLEDについても、主制御部21によって直接的に点灯制御されている。
【0047】
図4(a)は、主制御基板21の回路構成を概略的に図示したものである。この主制御基板21は、プリント基板の表裏両面にしか配線パターンが存在しない両面基板で構成されている。そして、主制御基板21の表裏とも、電子部品の配置スペースを除く実質的に全てのスペースがベタアース面となっている。ここで、ベタアース面とは、回路基板上の信号パターンや電源パターンを除いた全ての部分を、グランド電位に設定したグランド面を意味する。
【0048】
図示の通り、主制御基板21には、ワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40のシステムクロックを生成する第1発振部41と、ワンチップマイコン40による抽選処理に使用される乱数生成用の第2発振部42と、ワンチップマイコン40の入出力データが通過するIOポート回路43と、演出制御部22への制御コマンドCMDをコネクタCN4に出力する出力ドライバ44と、コネクタCN3から検出スイッチSW1〜SWnのスイッチ信号を受ける入力バッファ45と、払出制御部24とのインタフェイス回路46とが配置されている。
【0049】
このワンチップマイコン40には、ROM、RAM、カウンタ回路、タイマ回路、ウォッチドッグタイマ、パラレル入力ポート、及びシリアル通信回路の他に、特に、乱数生成回路が内蔵されている。そして、この乱数生成回路は、第2発振部42の出力クロックによって更新される乱数カウンタと、図柄始動口15に配置された検出スイッチSWのスイッチ信号に基づいて乱数カウンタの出力値を保持するラッチ回路とを有して構成されている。したがって、内蔵された乱数生成回路によって生成される乱数値は、システムクロックに同期するおそれがなく、且つ、ソフトウェア処理で更新されるものでも、回路が外部に露出するものでもないので、プログラムやハードウェア上の不正改造による違法遊技のおそれもない。
【0050】
しかも、本実施形態では、主制御基板21に専用の乱数生成回路を設ける必要がなく、単に、第2発振部42を設けるだけで高セキュリティを実現できるので、主制御基板21に余分なスペースを確保することができる。そこで、本実施形態では、余裕のできたスペースを太い電源ラインとベタアース面に振り当てている。すなわち、主制御基板21の各電子回路には、
図4(a)に太線で示す電源ラインVccによって電源電圧+5Vが供給されている。
【0051】
そして、この実施形態の場合、電源入力部INPからワンチップマイコン40に至る電源ラインVccは、IOポート回路43などの回路には接続されていない。つまり、ワンチップマイコン40に、ほぼ専用の電源ラインが設けることで、ワンチップマイコン40の耐ノイズ性を高めている。
【0052】
次に、主制御基板21に搭載された他の電子素子について説明する。出力ドライバ44としては、例えば、2バイト長の制御コマンドCMDについて、1バイト毎に1ビット長のストローブ信号と共に出力するシュミットトリガバッファ(例えば、SN74LV8151)が使用される。インタフェイス回路46にも、制御コマンドCMD”を出力する同様のシュミットトリガバッファが配置されている。
【0053】
これらのシュミットトリガバッファは、ストローブ信号を含め合計9ビットのデジタルデータを出力するが、Hレベルの出力端子からは、10mA程度の電流が流出し、Lレベルの出力端子には、10mA程度の電流が流入する。
【0054】
一方、入力バッファ45としては、主制御基板側が電源電圧5Vで機能し、遊技盤側が電源電圧12Vで機能する専用のインタフェイスIC(例えば、2STB155PP)が使用される。
【0055】
また、主制御基板21の外周部には、払出制御基板24と各種信号を送受信する第一制御コネクタCN1と、電源基板20から直流電圧や制御信号SYS,CLR,ABNを受ける電源コネクタCN2と、遊技盤上の遊技部品とスイッチ信号や駆動信号を送受信する遊技コネクタCN3と、演出インタフェイス基板27に制御コマンドCMDを送信する第二制御コネクタCN4と、LEDランプ群に点灯制御信号を出力する点灯コネクタCN5とが、基板外周に沿って列状に配置されている。
【0056】
但し、コネクタCN1,CN2は、実際には、
図3に示す通り、主基板中継基板28を経由して、電源基板20や払出制御基板24に接続されている。同様に、コネクタCN3は、遊技盤中継基板29を経由して、また、コネクタCN5は、遊技盤中継基板29及び図柄表示基板33を経由して、遊技部品の電磁ソレノイドや検出スイッチ、或いは、LEDランプ群に接続されている。コネクタCN4は、コマンド中継基板26を経由して、演出インタフェイス基板27に接続されている。
【0057】
電源コネクタCN2は、電源基板20と、主制御部21の電源入力部INPとを接続する機能を果たしており、
図5は、電源コネクタCN2と電源入力部INPとの接続関係を示している。
【0058】
図5に示す通り、電源入力部INPは、2つのコイルとコンデンサとがT型接続されてなるノイズフィルタたるEMC(Electro-Magnetic Compatibility)フィルタFi1と、直流12Vを受ける平滑コンデンサCinと、抵抗とコンデンサが並列接続された平滑フィルタFi2と、制御信号SYS,CLR,ABNを受けるプルアップ回路Rupと、抵抗とコンデンサによるRCフィルタFi3とで構成されている。
【0059】
電源基板20から受けるバックアップ電源BUは、EMCフィルタFi1を通してワンチップマイコン40に供給される。また、平滑コンデンサCinを経由した直流12Vは、トランジスタアレイTA1とバッファ45に供給されると共に、EMCフィルタFi1を通して三端子レギュレータRGに供給される。三端子レギュレータRGでは、電源基板20から受けた直流12Vが直流5Vに降圧されて、ワンチップマイコン40を含む各デジタルICの電源電圧となる。図示の通り、三端子レギュレータRGの上流側にはEMCフィルタFi1が配置されているので、直流12Vの電源ラインに重畳されたノイズが主制御基板21内部に侵入することが有効に防止される。また、三端子レギュレータRGの下流側には大容量の平滑コンデンサCoutが配置されている。
【0060】
平滑フィルタFi2を経由した直流32Vは、遊技コネクタCN3に接続されている。一方、プルアップ回路Rup及びRCフィルタFi3を経由した制御信号SYS,CLR,ABNは、インバータ回路GTを通してワンチップマイコンに供給される。
【0061】
図6は、遊技コネクタCN3と、遊技盤中継基板29と、遊技部品の電磁ソレノイドL1,L2や検出スイッチSW1〜SWnとの関係を示す回路図である。図示の通り、電磁ソレノイドL1,L2には、電源基板20から受けた直流電圧32Vが、電源入力部INPの平滑フィルタFi2を経由して供給されている。一方、ドライバDRVは、ワンチップマイコン40から受けた駆動データDR1,DR2に基づいてON動作をすることで、電磁ソレノイドL1,L2を通電させている。
【0062】
電磁ソレノイドL1,L2に流れる駆動電流は、比較的大電流である上に、それが断続的に流れるので、ワンチップマイコン40などに悪影響を与える可能性がある。しかし、本実施形態では、電磁ソレノイドL1,L2からドライバDRVへの帰還電流は、隣接する電源コネクタCN2のグランド端子GNDに直ちに流入するので、ベタアース面の最上流に位置するワンチップマイコン40などに悪影響を与えることはない。
【0063】
検出スイッチSW1〜SWnは、高周波発振回路を内蔵して構成され、高周波発振回路を構成する検出コイルの中を遊技球が通過すると、ON動作して入力インピーダンスを降下させる機能を有している。図示の通り、このような機能を有する検出スイッチSW1〜SWnには、プルアップ抵抗Rを通して直流12Vが供給されているので、検出スイッチがON動作すると、バッファ45からLレベルの検出信号SG1〜SGnが得られる。そして、バッファ45から検出スイッチSWiに対して、パルス状のON電流が流出するが、このON電流は、遊技コネクタCN3のグランド端子を経由して、電源コネクタCN2のグランド端子GNDに流入するので、ワンチップマイコンなどに悪影響を与えない。
【0064】
図7は、点灯コネクタCN5に関連する回路を図示した回路図である。
図7には、ワンチップマイコン40からコモンデータCOMiを受けて直流12Vを出力するトランジスタアレイTA1と、ワンチップマイコン40から点灯制御データDiを受けてON動作するトランジスタアレイTA2と、遊技機の表面側の適所に配置されたLEDランプ群と、各LEDランプの電流を制限する抵抗アレイRAとが示されている。LEDランプ群は、例えば、8×8個のLEDランプで構成されており、8ビットのコモンデータCOM0〜COM7と、8ビットの点灯制御データD0〜D7とで選択されたLEDランプが点灯状態となる。
【0065】
トランジスタアレイTA1は、D型フリップフロップと、電流出力部とを内蔵して構成されている。そして、コモンデータCOMiは、トランジスタアレイTA1への書込み動作に対応して、D型フリップフロップにラッチされ、HレベルのコモンデータCOMiに対応する出力端子には+12Vが出力される。
【0066】
一方、トランジスタアレイTA2は、オープントランジスタ型の電流入力部を内蔵して構成されている。したがって、Hレベルの点灯制御データDiを受けた電流入力部には、電源入力部INPの+12V→LEDランプ→電流制限抵抗を経た、各々10mA程度の点灯電流が流れ込み、該当するLEDランプが点灯状態となる。
【0067】
したがって、例えば、全てのLEDランプ(例えば8×8個)が点灯したときには、トランジスタアレイTA2に流れ込む全点灯電流は、相当なレベルとなる(例えば640mA))。しかし、本実施形態では、主制御基板21の全体にベタアース面が形成されるので、全点灯電流は、トランジスタアレイのグランド端子から、最低のインピーダンス経路を通って電源コネクタCN2のグランド端子に流入することになり、何らトラブルが生じない。
【0068】
これに対して、例えば、コネクタCN1〜CN5に近接して、内部回路との絶縁を図る隔壁ラインISOを設ける構成を採ると、主制御基板の回路構成を充実させたような場合に、制御コネクタCN4のグランド端子が変動したり、制御コネクタCN4の出力端子にリンギングが生じるおそれがある。
【0069】
図4(c)は、この点を説明するための図面であり、ここでは、コネクタCN1〜CN5に近接して隔壁ラインISOが設けられた比較回路を示しており、網掛け模様で図示した部分が、隔壁ラインISOの外側に隔離されたベタアース面ER2となる。主制御基板21の回路構成を充実させるほど、隔壁ラインISOの外側が狭面積とならざるを得ないが、
図4(c)の比較回路でも、遊技コネクタCN3と第二制御コネクタCN4や遊技コネクタCN3の部分が、やや狭くなっており、その分だけアースラインの抵抗値も増加する。
【0070】
このような場合、LEDランプ群を発光させた点灯電流(最大時640mA)は、全て、隔壁ラインISOの外側のアースラインER2を流れるので、点灯電流の変動に応じて、制御コネクタCN4のグランド端子の電位が、少なからず変動する。これに対して、本実施形態では、
図4(a)の回路構成を採るので、LEDランプ群を発光させた点灯電流は、十分な面積が確保されたベタアース面を通って電源コネクタCN2のグランド端子に戻るので、制御コネクタCN4などのグランド端子の電位を変動させることがない。
【0071】
続いて、制御コネクタCN1,CN4に関連して、本実施形態のベタアース面の利点を更に説明する。本実施形態の場合、制御コマンドCMD,CMD”を出力するドライバ44やインタフェイス部46は、各々の制御コネクタCN4,CN1に近接して配置され、互いのグランド端子は、ベタアースを通して最短状態で接続されている。そのため、制御コマンドCMD,CMD”の伝送経路のインピーダンス(インダクタンスを含む)が限界まで低く設定されることになり、リンギングなどによる制御コマンドのビット化けや、誤動作による受信割込み処理が有効に防止される。
【0072】
この点を
図4(c)の比較回路に基づいて説明する。比較回路においては、ベタアース面が、隔壁ラインISOにおいて内側アースER1と外側アースER2に区分され、内側と外側のアースER1,ER2は、例えば、電源コネクタCN2付近で接続合流されていることにする。このような場合、ドライバ44のグランド端子は、内側アースER1に接続される一方、制御コネクタCN4のグランド端子は、外側アースER2に接続されることになる。
【0073】
そのため、制御コネクタCN4における、Hレベルの出力端子から流出した電流のうち、サブ制御基板から制御コネクタCN4のグランド端子に戻る電流は、狭い外側アースER2を通って三端子レギュレータRGのアース点に戻ると思われる(
図8(a)参照)。したがって、外側アースの通路が狭い場合には、出力レベルの変動に応じて、制御コネクタCN4のグランド端子の電位が少なからず変動する。
【0074】
更に、制御コネクタCN4における、Lレベルの出力端子に流入した電流については、内側アースER1から外側アースER2を遠回りして、サブ制御基板に戻る電流経路が考えられる(
図8(b)参照)。そのため、伝送経路のインダクタンスや抵抗値の増加によって、誤動作のおそれがある。
【0075】
これに対して、本実施形態では、隔壁ラインISOが存在せず、十分な面積のベタアース面によって最短通路が確保されるので、コンピュータ回路の誤動作の可能性が有効に低減される。