【実施例】
【0019】
<実施例1>
本発明の実施例1について、先ず
図2、
図3を用いて説明する。
図2は実施例1においてプレキャストセグメントを示す斜視図である。
図3は
図2のA−A’線断面構造図である。プレキャストセグメント21は、第1表面21aと、第1表面21aに対向する第2表面21bと、複数の貫通孔211、及び複数の雌雄係合部212を有する。貫通孔211は、第1表面21aと第2表面21bが連通するように第1表面21aから第2表面21bまで貫通する。
【0020】
雌雄係合部212は係合孔214とホゾ217とを有する。係合孔214は雌係合部として第1表面21aに設けられている。ホゾ217は雄係合部として第2表面21bから突出するように第2表面21bに設けられている。この実施例で、プレキャストセグメント21は鉄筋コンクリート(RC)である。貫通孔211は、プレキャストセグメント21と一体化したホゾ217に対応している。貫通孔211は、力受け部材とプレストレス部材が貫設できるように、その一端はホゾ217を貫通し、他端は第1表面21aで係合孔214として形成される。ここで貫通孔211がホゾ217を貫通する部分を第一部A1とし、貫通孔211がセグメントを貫通している部分を第二部A2及び第三部A3とする。貫通孔211の第三部A3は係合孔214である。
図3に示すように、第一部A1と第二部A2の内径は第三部A3の内径より小さい。第三部A3は係合孔214であるため、第三部A3の内径はホゾ217の外径と一致する。第三部A3の深さH1はホゾ217の突出した高さH2とほぼ一致すること望ましい。また、係合孔214の深さH1はホゾ217の高さH2よりやや大きくてもいい。統一仕様のプレキャストセグメント同士はホゾ217と係合孔214との係合で結合し、振動による剪断応力に抵抗することができる。簡単に言うと、係合孔214とホゾ217は相補的な凹入と突出を有することが望ましい。係合孔214とホゾ217は緊密に係合し、振動による横方向の移動を制限することが可能になる。また、係合孔214とホゾ217の断面形状は円形に限らず、正方形、六角形などであってもよい。
【0021】
続いて、
図4〜
図6を用いて説明する。
図4は実施例1においてセグメント式の橋脚を示す斜視図である。
図5は
図4に対応した分解斜視図であり、
図6は
図4に対応した一部分解斜視図である。Z軸方向で第1セグメント層S1、第2セグメント層S2、第3セグメント層S3、第4セグメント層S4、第5セグメント層S5、及び第6セグメント層S6を基礎30の上で積み重ねる。力受け部材23とプレストレス部材25はZ軸方向で第1〜第6セグメント層S1〜S6に貫設され、構造全体が中実の柱状である減勢柱20となる。第6セグメント層S6の上に頂部セグメント22を設置し、本実施例のセグメント式の橋脚を完成させる。第1〜第6セグメント層S1〜S6は
図2、
図3に示されたプレキャストセグメント21からなり、頂部セグメント22の表面にもホゾ227がある。そのホゾ227の形状はプレキャストセグメントのホゾ217のと同じく、力受け部材23とプレストレス部材25が貫設できるように貫通孔(図示せず)が設けられている。この実施例に示した6層の構造はただ一例を示しただけであり、層の数は必要に応じて種々変更することができる。
【0022】
図4と
図5に示すように、基礎30は減勢柱20をサポートする土台であり、基礎30の断面面積は第1〜第6セグメント層S1〜S6の断面面積より大きい。基礎30は係合孔304を有し、係合孔304の形状はプレキャストセグメント21にあるホゾ217の形状に対応し、ホゾ217は係合孔304に係合される。それと同時に、
図5と
図6に示すように、第2〜第6セグメント層S2〜S6にあるプレキャストセグメント21のホゾ217は、それぞれ下のセグメント層にある2つのプレキャストセグメント21の係合孔214に係合される。頂部セグメント22のホゾ227は第6セグメント層S6にあるすべてのプレキャストセグメント21の係合孔214に係合されることによって、頂部セグメント22は安定的に減勢柱20の頂部に固定される。上のセグメント層にあるプレキャストセグメント21は、下のセグメント層にある2つのプレキャストセグメント21にまたがっているため、プレキャストセグメント21の横方向の移動を制限することができる。
【0023】
続いて、
図7と
図8を用いて説明する。
図7は実施例1において第1セグメント層S1、第3セグメント層S3、及び第5セグメント層S5にあるプレキャストセグメント21の配列方式を示す図である。
図8は実施例1において第2セグメント層S2、第4セグメント層S4、及び第6セグメント層S6にあるプレキャストセグメント21の配列方式を示す図である。「
」は貫通孔内に力受け部材23が設けられていることを示す符号である。「◎」は貫通孔内にプレストレス部材25が設けられていることを示す符号である。「○」は貫通孔内に力受け部材23とプレストレス部材25のいずれも設けられていないことを示す符号である。
図5〜
図8に示すように、本実施例において第1セグメント層S1〜第6セグメント層S6はそれぞれ8個のプレキャストセグメント21を有する。力受け部材23とプレストレス部材25はそれぞれ外周のプレキャストセグメント21の貫通孔211に貫設されている。即ち、力受け部材23とプレストレス部材25は、第1セグメント層S1〜第6セグメント層S6がZ軸方向で重なるように、基礎30の係合孔304と頂部セグメント22のホゾ227に貫設されている。力受け部材23は連続鉄筋であることが望ましい。コンクリートと鉄筋とが一体となった鉄筋コンクリートは、構造の強度と減勢性能に貢献できる。プレストレス部材25は小さなプレストレスが与えられたプレストレス鋼索であり、その一端はプレストレスアンカー(図示せず)で基礎30に固定される。柱体の頂部にあるプレストレス部材25の他端はプレストレスが与えられた後、
図4と
図5に示すように、アンカー26で固定される。コンクリートを注入しないことで、柱体が変形した後の復元力が得られる。この実施例において、
図2〜
図8に示したプレキャストセグメントのホゾと係合孔と貫通孔との数量と位置、セグメント層の数量、セグメント層にあるプレキャストセグメントの数量と配列方式、及び力受け部材とプレストレス部材の設置方法は、図面に示したものに限らず、必要に応じて種々変更することができる。
【0024】
<実施例2>
図9は実施例2においてプレキャストセグメントを示す斜視図である。
図9に示すように、プレキャストセグメント41は第1表面41aと、第1表面41aに対向する第2表面41bと、複数の貫通孔411、及び複数の雌雄係合部412を含む。雌雄係合部412は係合孔414とホゾ417とを有する。係合孔414は雌係合部として第1表面41aに設けられている。ホゾ417は雄係合部として第2表面41bから突出するように第2表面41bに設けられている。貫通孔411は、第1表面41aから第2表面41bまで貫通し、係合孔414とホゾ417とは別に設けられる(即ち、貫通孔411はホゾ417を貫通しない)。この実施例において、プレキャストセグメント41に雌雄係合部として非RCの係合孔414とホゾ417を設置する。なお、この実施例の変化例として、プレキャストセグメント41に鉄筋コンクリート(RC)形式の係合孔414とホゾ417を設置してもいい。つまり係合孔414とホゾ417はプレキャストセグメント41と一体化で成形される。以下は非RCの係合孔414とホゾ417を用いて説明する。
【0025】
図10は
図9のB−B’線断面構造図である。
図10に示すように、係合孔414は、第1表面41aに凹入部材413を設置することによって設けられている。凹入部材413は第1表面41aに開口部41cを有し、第1表面41aから第2表面41bに向かって深さH1まで延伸する。ホゾ417は第2表面41bからH2の高さで突出し、その一端はセグメントの本体に固定される。係合孔414の内径はホゾ417の外径と一致し、係合孔414の深さH1はホゾ417の突出部分の高さH2とほぼ一致する。あるいは、係合孔414の深さH1は突出部分の高さH2よりやや大きい。それによってホゾ417は相対する係合孔414に安定的に係合され、振動による剪断応力に抵抗することが可能になる。また、凹入部材413の開口部41cの周辺から延伸部415を設置する。延伸部415にシアコネクター416を設置することによって、凹入部材413をより安定的にセグメントに固定する。この実施例において、上述した凹入部材413、延伸部415、シアコネクター416、及びホゾ417は鋼製のものが望ましい。例えば、係合孔414は鋼製の凹入部材からなり、ホゾ417は鋼棒である。以上に挙げたものは一例に過ぎず、必要に応じて種々変更することができる。
【0026】
図9、
図10に示したプレキャストセグメント41で、複数のセグメント層を有する柱体を組み立てる。
図11と
図12は実施例2においてプレキャストセグメントの二種類の配列方式を示す図である。「
」は貫通孔内に力受け部材43が設けられていることを示す符号である。「◎」は貫通孔内にプレストレス部材45が設けられていることを示す符号である。「○」は貫通孔内に力受け部材とプレストレス部材のいずれも設けられていないことを示す符号である。「●」はホゾ417を示す符号である。奇数層のセグメント層(第1層、第3層、第5層、及び第7層等)は
図11に示したXY平面での配列方式であり、偶数層のセグメント層(第2層、第4層、及び第6層等)は
図12に示したXY平面での配列方式である。また、それとは逆の方式でも構わない。つまり、偶数層のセグメント層(第2層、第4層、及び第6層等)は
図11に示したXY平面での配列方式であり、奇数層のセグメント層(第1層、第3層、第5層、及び第7層等)は
図12に示したXY平面での配列方式であるという構成でも構わない。偶数層のセグメント層41にあるホゾ417は、下の奇数層のセグメント層41にある係合孔414に係合され、構造全体が中空の柱体となる。上下隣接したセグメント層のプレキャストセグメントは違った配列方向で重なるため、より強固な結合力が得られる。また、
図11、12に示すように、力受け部材43とプレストレス部材45は、すべてのセグメント層が重なるようにプレキャストセグメント41にある貫通孔411に貫設されている。力受け部材43は連続鉄筋であり、コンクリートと鉄筋とが一体となった鉄筋コンクリートは、構造の強度と減勢性能に貢献できる。柱体が変形した後の復元力を提供できるように、プレストレス部材25には小さなプレストレスを与え、コンクリートを注入しない。
図9〜12に示したプレキャストセグメントにあるホゾ、係合孔、及び貫通孔の数量と位置、セグメントの数量と配列方式、並びにプレストレス鋼索と連続鉄筋の設置方法は特に制限がなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0027】
<実施例3>
図13は実施例3においてプレキャストセグメントを示す斜視図である。
図14は
図13のC−C’線断面構造図である。この実施例において、プレキャストセグメント51は実施例2に示したプレキャストセグメント41とほぼ同じであるが、実施例3でホゾ517は組み立てる際に別の方式でプレキャストセグメント51の第2表面51bに固定される。ホゾ517は下にあるプレキャストセグメント(図示せず)の係合孔に係合される。
【0028】
詳しく説明すると、
図14に示すように、プレキャストセグメント51の第1表面51aと第2表面51bに凹入部材513が設けられている。プレキャストセグメント51を組み立てる際に、ホゾ517はねじ山で(図示せず)プレキャストセグメント51の第2表面51bにある凹入部材513に固定される。この実施例において、プレキャストセグメント51の第1表面51aにある凹入部材513は係合孔514となり、第2表面51bにある凹入部材513にはホゾ517が固定されている。実施例3のプレキャストセグメント51とその他の部分(即ち貫通孔511、延伸部515、及びシアコネクター516)は実施例2に示したものとほぼ同じであるため、それらについての説明は省略する。
【0029】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その他種々の変更が可能である。特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の実施の形態を含むことは言うまでもない。