(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6067078
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】サーボプレス機械、及びそれに用いるモータ、及びモータ組み付け取り外し方法
(51)【国際特許分類】
B30B 1/26 20060101AFI20170116BHJP
B30B 15/00 20060101ALI20170116BHJP
H02K 7/06 20060101ALI20170116BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
B30B1/26 F
B30B1/26 A
B30B15/00 Z
H02K7/06 Z
H02K7/14 C
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-177735(P2015-177735)
(22)【出願日】2015年9月9日
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100861
【氏名又は名称】アイダエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】柴嵜 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】八原 昌尚
(72)【発明者】
【氏名】田島 文男
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−062596(JP,A)
【文献】
特開2011−254618(JP,A)
【文献】
特開2013−031242(JP,A)
【文献】
再公表特許第2012/007984(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/26
B30B 15/00
H02K 7/06
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータと、該サーボモータの駆動により回転させるクランクシャフトと、該クランクシャフトの偏心部に接続されたコネクティングロッドと、該コネクティングロッドに接続されたスライドを有するサーボプレス機械であって、
前記クランクシャフトに2つのコネクティングロッドが接続され、
前記サーボモータはアキシャルギャップモータであって、
前記2つのコネクティングロッド間の前記クランクシャフトに前記アキシャルギャップモータのロータを組み付け、前記アキシャルギャップモータのステータを前記クランクシャフトが格納されるクラウンに固定したことを特徴とするサーボプレス機械。
【請求項2】
請求項1に記載のサーボプレス機械であって、
前記アキシャルギャップモータは、前記ロータとステータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であることを特徴とするサーボプレス機械。
【請求項3】
請求項2に記載のサーボプレス機械であって、
前記ロータとステータは、分割したロータとステータをそれぞれ締結するための締結用孔を有することを特徴とするサーボプレス機械。
【請求項4】
請求項3に記載のサーボプレス機械であって、
前記分割したロータを前記締結用孔を介してボルトにより締結し、摩擦力にて前記クランクシャフトに組み付けることを特徴とするサーボプレス機械。
【請求項5】
請求項2に記載のサーボプレス機械であって、
前記ロータ及びステータの分割箇所の一部を互いに引っ掛けられる構造とし、分割したロータ及びステータを組み合わせることでロータ及びステータを構成することを特徴とするサーボプレス機械。
【請求項6】
請求項3に記載のサーボプレス機械であって、
前記ロータは、前記締結用孔を有するロータ保持部材を有し、
該ロータ保持部材は、前記分割したロータ及びステータを組み合わせたアキシャルギャップモータの軸方向側面からはみ出るように軸方向に延伸しており、はみ出た部分に前記締結用孔が配置されていることを特徴とするサーボプレス機械。
【請求項7】
サーボモータの駆動によりクランクシャフトを回転させ、クランクシャフトの偏心部を介して回転運動を往復運動に変換して、偏心部に接続されたコネクティングロッドを介してスライドを上下させプレス加工を行うサーボプレス機械用のサーボモータであって、
前記サーボモータはアキシャルギャップモータであって、
前記アキシャルギャップモータのロータとステータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であることを特徴とするサーボモータ。
【請求項8】
請求項7に記載のサーボモータであって、
前記ロータとステータは、分割したロータとステータをそれぞれ締結するための締結用孔を有することを特徴とするサーボモータ。
【請求項9】
請求項7に記載のサーボモータであって、
前記ロータ及びステータの分割箇所の一部を互いに引っ掛けられる構造とし、分割したロータ及びステータを組み合わせることでロータ及びステータを構成することを特徴とするサーボモータ。
【請求項10】
請求項8に記載のサーボモータであって、
前記ロータは、前記締結用孔を有するロータ保持部材を有し、
該ロータ保持部材は、前記分割したロータ及びステータを組み合わせたアキシャルギャップモータの軸方向側面からはみ出るように軸方向に延伸しており、はみ出た部分に前記締結用孔が配置されていることを特徴とするサーボモータ。
【請求項11】
サーボプレス機械に組み込まれたサーボモータの取り外し方法であって、
前記サーボモータはアキシャルギャップモータであって、該アキシャルギャップモータのステータとロータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であり、
前記ステータとロータの間にスペーサを配置し、
前記ステータおよびロータとスペーサを一体化し、
前記ステータとロータを分割し、分割したアキシャルギャップモータ単位で前記サーボプレス機械から取り外すことを特徴とするサーボモータの取り外し方法。
【請求項12】
サーボプレス機械にサーボモータを組み付けるサーボモータの組み付け方法であって、
前記サーボモータはアキシャルギャップモータであって、該アキシャルギャップモータのステータとロータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であり、
分割したステータと分割したロータの間にスペーサを配置し、
前記分割したステータおよびロータとスペーサを一体化し分割したアキシャルギャップモータとし、
前記分割したアキシャルギャップモータのそれぞれのステータを前記サーボプレス機械に固定し、
前記分割したアキシャルギャップモータの分割したロータ同士を締結し、
前記スペーサを取り外すことでサーボモータを組み付けることを特徴とするサーボモータの組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボプレス機械の小型化に係り、特に
それに用いるモータ、及びモータ組み付け取り外し方
法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーボプレス機械は、サーボモータを源動力としてプレス加工を行っている。すなわち、サーボモータの回転をギヤ付きのモータシャフトと減速機を介してクランクシャフトに伝え、クランクシャフトを介してスライドを上下させ、プレス加工を行う。そのため、プレス機械にサーボモータを取り付ける空間を別途用意する必要があり、小型化に対する1つの阻害要因となっていた。
【0003】
サーボプレス機械を小型化するための背景技術として、例えば、特開2001−62596号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、クランク軸にラジアルタイプの中空状のロータを有するサーボモータを直接組み付けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−62596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、クランク軸に直接サーボモータを取り付けているのでギヤや減速機が不要になり、サーボプレス機械の縦方向の小型化には有効であるが、クランク軸の偏心部の両側端にモータを取付けているので、偏心部に接続されたコネクティングロッドの外側のクランク部分を駆動するようにモータが配置されており、外側にモータ取付けのためのスペースが必要になり、サーボプレス機械の幅方向が大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的に、サーボプレス機械の小型化が可能な構成のサーボプレス機械、及び
それに用いるモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、その一例を挙げるならば、サーボモータと、サーボモータの駆動により回転させるクランクシャフトと、クランクシャフトの偏心部に接続されたコネクティングロッドと、コネクティングロッドに接続されたスライドを有するサーボプレス機械であって、クランクシャフトに2つのコネクティングロッドが接続され、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、2つのコネクティングロッド間のクランクシャフトにアキシャルギャップモータのロータを組み付け、アキシャルギャップモータのステータをクランクシャフトが格納されるクラウンに固定した構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化が可能な構成のサーボプレス機械、及び
それに用いるモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1におけるサーボプレス機械の構造模式図である。
【
図2】実施例2におけるアキシャルギャップモータの構造図である。
【
図3】実施例2におけるアキシャルギャップモータの他の構造図である。
【
図4】実施例3におけるアキシャルギャップモータの構造図である。
【
図5】実施例3におけるアキシャルギャップモータの他の構造図である。
【
図6】実施例4におけるモータのプレス機械からの取り外し方法を説明するための図である。
【
図7】実施例4におけるモータのプレス機械への組み付け方法を説明するための図である。
【
図8】一般的なサーボプレス機械の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例を図面を用いて説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
まず、本実施例の前提となる、一般的なサーボプレス機械の構成について説明する。
図8は、いわゆるストレートサイド形のサーボプレス機械1の構造模式図である。
【0012】
図8において、2はクラウンで、プレス機械の頭に相当する部分で、サーボモータ等の動力部品やその回転を減速する減速機等のギヤ類やクランクシャフト等の軸類からなる部品が格納されている。3はコラムで、クラウン2とベッド4との間にある柱状の部分である。4はベッドで、金型の下型12を取付けたボルスタ6を固定する部分である。7はタイロッドで、ベッド4、コラム3、クラウン2を貫通している補強のための棒である。この両端をナットで締めることで、プレスに荷重が加わったときのフレームの変形を小さくしている。8はクランクシャフトであり、偏心部5を有し、回転運動を往復運動に変換する機能を有している。9はコネクティングロッド(コンロッド)であり、クランクシャフト8とスライド10をつなぐ部分である。10はスライドであり、クランクシャフト8やコネクティングロッド9により昇降または往復運動し、ベッド4に対して圧力を加える部分である。11、12は、金型の上型と下型であり、上型はスライド10の下面に、下型はボルスタ6の上面に取り付けられる。上型と下型の間に材料を置き、上下の金型で挟むことによって材料を成形する。6はボルスタであり、金型の下型12を取付ける部分である。
【0013】
一般的なサーボプレス機械は、サーボモータの回転をギヤ付きのモータシャフトと減速機を介してクランクシャフト8に伝え、クランクシャフト8の偏心部5を介して、回転運動を往復運動に変換して、コネクティングロッド9を介してスライド10を上下させ、プレス加工を行う。そのため、サーボモータとギヤ付きのモータシャフトや減速機等を取り付ける空間として
図8に示す領域Aのスペースが必要であった。
【0014】
また、特許文献1は、クランク軸の偏心部の両側端にモータを取付けているので、偏心部5に接続されたコネクティングロッド9の外側のクランクシャフト部分を駆動するように、
図8に示す領域Bにモータが配置されており、例えば、1つのクランクシャフトに2つのコネクティングロッドを有するサーボプレス機械においては、2つのコネクティングロッドの距離はある程度距離を置く必要があるため、その距離を極端に狭めることはできず、よって、外側にモータ取付けのためのスペースが必要になり、サーボプレス機械の幅方向が大型化するという問題があった。
【0015】
そこで、本実施例は、上記課題を解決するために構成されるものであり、以下、図面を用いて説明する。
図1は本実施例におけるサーボプレス機械の構造模式図である。
図1において、
図8と同じ機能の構成要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0016】
図1において、15はアキシャルギャップモータであり、1つのクランクシャフトに2つのコネクティングロッドを有するサーボプレス機械において、2つのコネクティングロッド間のクランクシャフトにアキシャルギャップモータ15を組み付けた構造とする。
【0017】
すなわち、2つのコネクティングロッド間の距離は所定距離必要である点を考慮して、そのコネクティングロッド間のクランクシャフトに、モータの軸方向にその厚さを薄くできる構造であるアキシャルギャップモータを組み付けることで、追加スペースを必要とせずクランクシャフトを駆動するモータ等の駆動系を配置することができる。
【0018】
図1においては、アキシャルギャップモータ15として、1つのロータ16に対して2つのステータ17,18からなる構成のモータを示している。しかし、本実施例は、アキシャルギャップモータとして、この構成に限定するものではなく、例えば、ロータ2つに対してステータ1つの構成でも良い。また、プレス機械のトルク調整として、ロータやステータの枚数を増減しても良いし、それらの径を変更しても良い。また、
図1においては、1つのアキシャルギャップモータを組み付けているが、複数のアキシャルギャップモータを組み付けても良い。
【0019】
以上のように、本実施例は、サーボモータと、サーボモータの駆動により回転させるクランクシャフトと、クランクシャフトの偏心部に接続されたコネクティングロッドと、コネクティングロッドに接続されたスライドを有するサーボプレス機械であって、クランクシャフトに2つのコネクティングロッドが接続され、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、2つのコネクティングロッド間のクランクシャフトにアキシャルギャップモータのロータを組み付け、アキシャルギャップモータのステータをクランクシャフトが格納されるクラウンに固定した構成とする。
【0020】
これにより、小型化が可能な構成のサーボプレス機械を提供することができる。
【実施例2】
【0021】
本実施例は、小型化に加え、サーボモータの組み付け取り外しが容易な構成のサーボプレス機械、及び
それに用いるモータについて説明する。
【0022】
特許文献1では、プレス機械を組み立てる際に、予めクランクシャフトにモータを組み付け、その後スライド駆動用の付随する機器部品をクランクシャフトに組み付ける必要がある。また、モータのメンテナンスや修理交換のためや、プレス機械の能力を変更するためにモータの数を変更する場合などにおいては、この逆の手順でクランクシャフトとそれに付随する部品を分解して取り外す必要があり、これらの作業は、複雑であり作業に要する時間がかかるという課題がある。また、クランク軸に直接サーボモータを取り付ける直動サーボプレス機械に用いるラジアルギャプモータの場合にはモータ部分の軸受けが必要となるという課題がある。
【0023】
そこで、本実施例では、実施例1で説明したように、アキシャルギャップモータをクランクシャフトに組み付けることで小型化が可能なサーボプレス機械を実現すると同時に、さらに、ロータ及びステータが軸中心に分割可能なアキシャルギャップモータを用い、プレス機械へのモータの組み付けやモータの取り外しが容易となるようにした。
【0024】
図2は、本実施例におけるアキシャルギャップモータの構造図である。
図2において、(A)、(B)はロータ構造を示しており、20は分割型ロータ、21は永久磁石、22は引っ掛け箇所1、23は引っ掛け箇所2、24はロータ締結用孔、25がロータコアである。(B)に示す軸中心に2分割したロータコア25を2つ組み合わせて(A)に示すように分割型ロータ20を構成する。また、(C)、(D)はステータ構造を示しており、30は分割型ステータ、31はコイル、32は引っ掛け箇所1、33は引っ掛け箇所2、34はステータ締結用孔、35がステータコアである。(D)に示す軸中心に2分割した互いに引っ掛け箇所の凹凸を逆にしたステータ35を2つ組み合わせて(C)に示すように分割型ステータ30を構成する。
【0025】
このように、本実施例では、ロータ及びステータをそれぞれ2分割にし、ロータ及びステータの分割箇所の一部を互いに引っ掛けられる構造とし、ボルト締結によりロータ及びステータを構成する。2分割したロータ同士をクランクシャフトを挟んでボルト締結することにより、ロータ内径とクランクシャフト外径の接触面には面圧が発生する。この面圧による摩擦力によりトルク伝達がなされ、ロータとクランクシャフトは一体となって回転する。また、ステータ脚36を用いてプレス機械にステータを固定する構造とした。
【0026】
また、
図3に
図2の変形例を示す。
図3では、
図2におけるロータの22、23で示す引っ掛け箇所及び、ステータの32、33で示す引っ掛け箇所に代えて、斜めにした、ロータの27、28で示す引っ掛け箇所、及び、ステータの37、38で示す引っ掛け箇所とした。他の構成は同じである。これにより、2分割したロータ及びステータを嵌めやすくした。
【0027】
以上のように、本実施例は、サーボモータと、サーボモータの駆動により回転させるクランクシャフトと、クランクシャフトの偏心部に接続されたコネクティングロッドと、コネクティングロッドに接続されたスライドを有するサーボプレス機械であって、クランクシャフトに2つのコネクティングロッドが接続され、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、2つのコネクティングロッド間のクランクシャフトにアキシャルギャップモータのロータを組み付け、アキシャルギャップモータのステータをクランクシャフトが格納されるクラウンに固定し、さらに、アキシャルギャップモータは、ロータとステータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であるように構成する。
【0028】
また、サーボモータの駆動によりクランクシャフトを回転させ、クランクシャフトの偏心部を介して回転運動を往復運動に変換して、偏心部に接続されたコネクティングロッドを介してスライドを上下させプレス加工を行うサーボプレス機械用のサーボモータであって、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、アキシャルギャップモータのロータとステータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であるように構成する。
これによりモータのプレス機械への組み付けやモータの取り外しが容易となる。
【0029】
また、分割型のラジアルギャップモータを用いてクランクシャフトに直接組み付ける方法では、組み付ける時、ロータとステータ間のギャップが円筒状になるのでセンター出しを行う必要があり、ギャップの調整が難しくプレス機械への組み付けが容易ではないという課題があるのに対して、アキシャルギャップモータはギャップが平面となるので、例えばスペーサを挟み、組み付け後それを取り外すだけで良いので調整が簡単となるという効果がある。
【0030】
また、ステータをプレス機械に固定し、クランクシャフトとステータに隙間を空けることでモータ部分の軸受けを不要とできるという効果もある。
【実施例3】
【0031】
本実施例は、実施例2とは異なる構造のモータについて説明する。
【0032】
図4は、本実施例におけるアキシャルギャップモータの構造図である。
図4は、ロータ1つに対してステータ2つからなるアキシャルギャップモータの構成例である。
【0033】
図4において、(A)は分割したステータ40の構造を示しており、41はコイル、42はコイル取り付け面である。また、(B)は軸中心に2分割したロータ50の構造を示しており、51は磁石、52は磁石取付け面、53はロータ締結用孔54を有するロータ保持部材である。(C)はスペーサを示している。このスペーサは、ロータとステータ間に挟むことでロータとステータ間のギャップ調整を行う。(D)は、ロータとステータを合わせたときの分割構成図であり、45はクレーンで吊るための突起部分を示している。(E)はロータとステータを組み合わせたときの全体構造図を示しており、46はステータをクラウンに固定する為の通し孔(例えば分割ステータ1つ当たり3箇所)、47はロータ、スペーサ、ステータにボルトを通し3つの部材を締結する為の通し孔である。
【0034】
図4において、特徴的な構成は、ロータ保持部材53が、(D)、(E)に示すように、分割したロータ及びステータを組み合わせたアキシャルギャップモータの軸方向側面であるステータ40の外側にはみ出るように軸方向に延伸している点であり、この構成により、ロータ保持部材53の両端部に有するロータ締結用孔54がステータ40の外側に位置するので、ロータ締結用孔54を通してボルト締結によりロータを合わせる時にボルトの締め付け作業が容易にできるという利点がある。また、ロータ保持部材53が軸方向に延伸しているので、ボルト締結による摩擦力によってクランクシャフトに組み付ける際に、その接触面積を大きく取ることができ、摩擦力を得やすいという効果がある。
【0035】
また、
図5に
図4の変形例を示す。
図5では、ロータ2つに対してステータ1つからなるアキシャルギャップモータの構成例である。
【0036】
図5において、(A)は分割したステータ80の構造を示しており、81はコイル、82はコイル取り付け面であり、両面にコイルを取付ける。また、(B)は軸中心に2分割したロータ90の構造を示しており、91は磁石、92は磁石取付け面、93はロータ締結用孔94を有するロータ保持部材である。(C)はスペーサを示しており、
図4と同様に、ロータとステータ間のギャップ調整のために使用する。(D)は、ロータとステータを合わせたときの分割構成図であり、ステータをロータがはさむ構造となっている。(E)はロータとステータを組み合わせたときの全体構造図を示しており、85はクレーンで吊るための突起部分、86はステータをクラウンに固定する為の通し孔(例えば分割ステータ1つ当たり4箇所)、87はロータ、スペーサ、ステータにボルトを通し3つの部材を締結する為の通し孔である。
【0037】
図5において、特徴的な構成は、ロータ保持部材93が、(D)、(E)に示すように、分割したロータ及びステータを組み合わせたアキシャルギャップモータの軸方向側面であるロータ90の側面より外側にはみ出るように軸方向に延伸している点であり、この構成により、ロータ保持部材93の両端部に有するロータ締結用孔94を通してボルト締結によりロータを合わせる時にボルトの締め付け作業が容易にできるという利点がある。また、ロータ保持部材93が軸方向に延伸しているので、ボルト締結による摩擦力によってクランクシャフトに組み付ける際に、その接触面積を大きく取ることができ、摩擦力を得やすいという効果がある。
【0038】
以上のように、本実施例は、サーボモータと、サーボモータの駆動により回転させるクランクシャフトと、クランクシャフトの偏心部に接続されたコネクティングロッドと、コネクティングロッドに接続されたスライドを有するサーボプレス機械であって、クランクシャフトに2つのコネクティングロッドが接続され、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、2つのコネクティングロッド間のクランクシャフトにアキシャルギャップモータのロータを組み付け、アキシャルギャップモータのステータをクランクシャフトが格納されるクラウンに固定し、さらに、ロータは、締結用孔を有するロータ保持部材を有し、ロータ保持部材は、分割したロータ及びステータを組み合わせたアキシャルギャップモータの軸方向側面からはみ出るように軸方向に延伸しており、はみ出た部分に締結用孔が配置されるように構成する。
【0039】
また、サーボモータの駆動によりクランクシャフトを回転させ、クランクシャフトの偏心部を介して回転運動を往復運動に変換して、偏心部に接続されたコネクティングロッドを介してスライドを上下させプレス加工を行うサーボプレス機械用のサーボモータであって、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、アキシャルギャップモータのロータとステータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であり、さらに、ロータは、締結用孔を有するロータ保持部材を有し、ロータ保持部材は、分割したロータ及びステータを組み合わせたアキシャルギャップモータの軸方向側面からはみ出るように軸方向に延伸しており、はみ出た部分に締結用孔が配置されているように構成する。
【0040】
これによりモータのプレス機械への組み付けやモータの取り外しがより容易となる。
【実施例4】
【0041】
本実施例は、モータのプレス機械への組み付けやモータの取り外し方法について説明する。
図6は、本実施例におけるモータのプレス機械からの取り外し方法を説明するための図である。ここで、モータは、
図4で示したロータ1つに対してステータ2つからなるアキシャルギャップモータの場合について説明する。
【0042】
図6において、(A)は取り外し前の分割型アキシャルギャップモータを示している。(A)において、まず、ギャップ調整用のスペーサをステータとロータの間に配置する。次に、通し孔47により、ステータおよびロータとスペーサにボルトを通し、ナット等で締めることでステータおよびロータとスペーサを一体化する。これを分割右側および左側について行う。そして、クランクシャフトに取り付けるためのロータ締結部のボルトをロータ締結用孔54から外し、モータを左右に分割する。その結果を(B)に示す。分割したアキシャルギャップモータ75は、通し孔47に挿入したボルトにより、ステータ40およびロータ50とスペーサ60が一体化している。次に、ステータとクラウンを固定しているボルトを通し孔46から外す。
【0043】
そして、(C)に示すように、ステータ上面にあるクレーンで吊るための突起部分45にシャックル等を取り付け、分割したアキシャルギャップモータ75をクレーンで吊る。そして、吊っているモータ75が上昇してもクランクシャフト8に接触しない所までモータを左(もしくは右)方向にずらす(図中矢印方向)。そして、(D)に示すように、モータ75をクレーンで上昇させ、クラウン2から取り出し、任意の地点にモータを置く。その後、ステータおよびロータとスペーサを一体化したボルトを抜き、ステータからロータおよびスペーサを取り外す。以上を、もう一方の分割した状態のモータに対して行うことで、クランクシャフトからモータを取り外すことができる。
【0044】
図7は、本実施例におけるモータのプレス機械への組み付け方法を説明するための図である。
図6と同様に、モータは、
図4で示したロータ1つに対してステータ2つからなるアキシャルギャップモータの場合について説明する。特に、プレス機械組み立て完了後に新たにモータを取り付ける方法について説明する。
【0045】
(A)は取り付け前の分割型アキシャルギャップモータのステータとロータを示している。(A)において、まず、ロータとギャップ調整用のスペーサをステータの間に配置する。そして、通し孔47から、右(もしくは左)側のステータおよびロータとスペーサにボルトを通し、ナット等で締めることでステータおよびロータとスペーサを一体化する。この状態を、(B)に示す。(B)に示す分割したアキシャルギャップモータ75は、(C)に示すように、ステータ上面にあるクレーンで吊るための突起部分45にシャックル等を取り付け、分割したアキシャルギャップモータ75をクレーンで吊る。そして、モータ75をクラウン2内のモータ75とクランクシャフト8が接触しない所に置く。配置後、(D)に示すように、クレーンで吊りながらモータ75とクランクシャフト8を合わせ、ステータとクラウン2を通し孔46を介してボルトで固定する。以上を、もう一方の分割した状態のモータ75に対しても行う。
【0046】
次に、左右のロータをボルトにてロータ締結用孔54を介して締結し、クランクシャフト8に取り付ける。その後、ステータおよびロータとスペーサを一体化したボルトを通し孔47から抜き、ステータおよびロータからスペーサを取り外す。以上を、もう一方の分割した状態のモータに対して行うことで、(E)に示すように、分割型アキシャルギャップモータの取り付けが完了となる。
【0047】
以上のように、本実施例は、サーボプレス機械に組み込まれたサーボモータの取り外し方法であって、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、該アキシャルギャップモータのステータとロータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であり、ステータとロータの間にスペーサを配置し、ステータおよびロータとスペーサを一体化し、ステータとロータを分割し、分割したアキシャルギャップモータ単位でサーボプレス機械から取り外すように構成する。
【0048】
また、サーボプレス機械にサーボモータを組み付けるサーボモータの組み付け方法であって、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、アキシャルギャップモータのステータとロータがそれぞれ軸中心に分割可能な構造であり、分割したステータと分割したロータの間にスペーサを配置し、分割したステータおよびロータとスペーサを一体化し分割したアキシャルギャップモータとし、分割したアキシャルギャップモータのそれぞれのステータをサーボプレス機械に固定し、分割したアキシャルギャップモータの分割したロータ同士を締結し、スペーサを取り外すことでサーボモータを組み付けるように構成する。
【0049】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…サーボプレス機械、2…クラウン、5…偏心部、8…クランクシャフト、9…コネクティングロッド(コンロッド)、10…スライド、15…アキシャルギャップモータ、16…ロータ、17,18…ステータ、20…分割型ロータ、21…永久磁石、22、23…ロータの引っ掛け箇所1,2、24…ロータ締結用孔、25…ロータコア、30…分割型ステータ、31…コイル、32,33…ステータの引っ掛け箇所1,2、34…ステータ締結用孔、35…ステータコア、36…ステータ脚、27、28…ロータの引っ掛け箇所1、2、37,38…ステータの引っ掛け箇所1,2、40…ステータ、45…クレーンで吊るための突起部分、46…通し孔、47…通し孔、50…ロータ、53…ロータ保持部材、54…ロータ締結用孔、60…スペーサ、75…分割したアキシャルギャップモータ、80…ステータ、85…クレーンで吊るための突起部分、86…通し孔、87…通し孔、90…ロータ、93…ロータ保持部材、94…ロータ締結用孔
【要約】
【課題】サーボプレス機械の小型化が可能な構成のサーボプレス機械、及びそれを用いるモータを提供する。
【解決手段】
サーボモータと、サーボモータの駆動により回転させるクランクシャフトと、クランクシャフトの偏心部に接続されたコネクティングロッドと、コネクティングロッドに接続されたスライドを有するサーボプレス機械であって、クランクシャフトに2つのコネクティングロッドが接続され、サーボモータはアキシャルギャップモータであって、2つのコネクティングロッド間のクランクシャフトにアキシャルギャップモータのロータを組み付け、アキシャルギャップモータのステータをクランクシャフトが格納されるクラウンに固定した構成とする。
【選択図】
図1