(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記少なくとも1つのトリップ信号及びアラーム信号の何れか一方を、無線(50)又は電力線搬送(52)により送信する(38)ことを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
更に、前記少なくとも2つの異なるインピーダンスを、前記電源回路に対して、該電源回路の構成部品(66)に適用することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
更に、上流側の回路安全装置(48)を作動させるために、前記トリップ信号への応答性がよい別の異なるインピーダンス(46)を、前記電源回路に適用する(44)ことを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
更に、前記少なくとも2つの異なるインピーダンスとして、前記電源回路を流れる1電流単位、2電流単位、及び、4電流単位に応じた、3つの異なる抵抗値を採用することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
更に、ロードセンタ(59)、回路安全装置(48)、及び、前記ロードセンタの下流側に複数の出力部(60、62、64、66)を含む前記電源回路を採用することと、
前記少なくとも2つの異なるインピーダンスを、前記電源回路に対して、前記ロードセンタから最も離れた前記出力部の1つ(66)において適用し、前記電源回路内のグローイング接触を検出することと、
前記電源回路内にグローイング接触が検出されなくなるまで、前記少なくとも2つの異なるインピーダンスを、前記電源回路に対して、最も離れた前記出力部の1つよりも前記ロードセンタに近い、前記複数の出力部(64、62、60)において連続的に適用することとを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
当該装置(12)が、前記電源回路へ一時的に接続される(66)ように構成されている、或いは、当該装置(12)が、前記電源回路へ永続的に接続される(60、62、64、66)ように構成されていると共に、前記プロセッサが、前記グローイング接触に関して、前記電源回路を定期的に検査する(42)ように構成されていることを特徴とする請求項11記載の装置(12)。
前記プロセッサが、少なくとも10回のライン周期にわたって、前記電源回路を跨ぐ前記少なくとも2つの異なる抵抗値の各々を切り替えるように、前記複数のスイッチを制御する(32)ように構成されていることを特徴とする請求項11記載の装置(12)。
【背景技術】
【0003】
回路安全装置は、例えば、回路遮断器、コンセント、接触子、モータスタータ、モータコントローラ、及び、他の負荷コントローラを含むものである。
【0004】
グローイング接触は、高抵抗の電気接続であり、例示のためであり限定するものではないが、一例としてコンセントの、導体(例えば配線)の接続部、及び、ねじ込み端子(例えば、配線端子、ニュートラル端子)で発生する虞がある。更に、グローイング接触は、例示のためであり限定するものではないが、コンセントの出力部の3組の出力接触ブレードに、雄型の3極プラグが連結される、コンセントの出力部で発生することもある。コンセントにおけるグローイング接触は、コンセントを溶かして発火させる虞のある、相当な熱を生じることが知られている。銅線を利用したレセプタクル端子に、高抵抗又はグローイング接触を発生させることは容易である。銅、真鍮、鉄の組み合わせで作られる接触子の全てにおいて、グローイング接触に関する危険性が知られている。例えば、米国特許第6,948,846号明細書及び第6,707,652号明細書を参照のこと。
【0005】
UL1699(アーク故障回路安全装置)(適用範囲1.3)の規格によれば、アーク故障を検出するアーク故障回路安全装置(AFCIs)は、グローイング接続の検出を意図したものではなく、従って、AFCIsは、グローイング接触を防止するものではないと考えられている。
【0006】
過熱状態の電気接続は、配電盤、ロードセンタ、電気取出口、点火スイッチといった電気部品の、不安定な接続から発生する虞がある。これらの電気接続は、検出されないことが多く、電気部品を破損させる虞があり、多くの場合に発火する。
【0007】
温度センサ(例えば、サーマルリレー、バイメタル)を利用して、温度を約200℃で検知し、コンセントのグローイング接触を防止する方法が知られている。
【0008】
米国特許第6,707,652号明細書は、配線回路が第1の温度であることを示す第1の信号を出力する第1の温度センサと、ニュートラル回路(neutral circuit)が第2の温度であることを示す第2の信号を出力する第2の温度センサと、第1の温度と第2の温度との差分に応じたグローイング接触のトリップ信号を提供する回路と、を含むコンセントを開示している。
【0009】
更に、過熱したプラスチックから発せられる煙やガスを検知することによって、増幅音響センサ(active acoustic sensing)を利用して電源回路の電気伝導故障を検知し、或いは、過熱状態を防止する他の手法によって、グローイング接触や、それによってもたらされる過熱状態を検出する方法が知られている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用される用語「数(number)」は、1又は1よりも大きい整数(すなわち複数)を意味するものとする。
【0019】
又、本明細書で使用される用語「プロセッサ(processor)」は、データを格納、検索、処理することができる、プログラム可能なアナログ及び/又はデジタルの装置を意味するものとし、これらの装置には、コンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、コントローラ、中央処理装置、メインフレームコンピュータ、ミニコンピュータ、サーバ、ネットワークプロセッサ、或いは、適合するあらゆる処理機器や処理装置が含まれる。
【0020】
又、本明細書で使用される用語「グローイング接触(glowing contact)」は、「グローイング接続(glowing connection)」と同じ意味を示すものとする。グローイング接触又はグローイング接続は、2つの導体の接触部で発生する高抵抗の電気接続であり、その接触部は、そこを通過して流れる電流により、加熱や過熱状態にさらされる。
【0021】
グローイング接触は、安定した電気接続と比較して、かなり大きな電圧降下を生じさせる。不安定な接続の影響を受けやすい電源回路中の電圧を、電源回路を流れる電流レベルを変化させて監視することにより、グローイング接触を検出することができ、そして、トリップ信号やアラーム信号を応答性よく発生させることができる。
【0022】
銅接点に関して、通常の負荷は、約1mΩ〜0.1mΩの範囲の標準的な接続抵抗を生じる、約10g〜10,000gの範囲の接続力(connection force)である。これは、20Aでは、安定した電気接続の約2mV
rms〜20mV
rmsの範囲を越えて、電圧降下を引き起こす虞がある。この電圧降下は、1V
rms以上のグローイング接続からの電圧降下より、かなり低いものである。実際に、
図1及び
図3に示すように、電流が小さいと、グローイング接続の電圧が大きくなる。更に、グローイング接続で消費される電力は、特に10A
rms以上の電流であると、電気接続部を過熱状態にさせ、発火する虞のあるレベルまで周囲を加熱するほど、十分に大きいものである。
【0023】
図1〜
図4に示すように、グローイング接続は、銅−銅、銅−ステンレス鋼、真鍮−鉄といった様々な材料の組み合わせに関して、比較的小さい電流(例えば、5A
rms以下)で、比較的大きな電圧降下を伴うものである。
【0024】
図4及び
図5に関連して、別の負荷電流を流さずに、グローイング接触が発生したか否かを検出する方法は、電源回路2に既知の抵抗(例えば、複数の抵抗R
2a、R
2b、R
2cの組み合わせによる)の負荷をかけて、検知電圧V
2の変化を比較することである。非線形の電圧変化は、問題があることを示している。グローイング接続が発生しない場合は、
図5に示されている電源回路2における電圧降下(これは、電源回路の電流Iに、電源回路の2本の配線の抵抗値2R
wireをかけたもの、すなわち、2IR
wireに等しい)が、線形になる。このため、電源回路2に2倍の電流2Iが印加された場合は、電圧降下(=2I×2R
wire=4IR
wire)が2倍になると考えられる。このケースに該当しない場合は、グローイング接続が発生したときに、電圧降下が線形にならず、これによって問題があることが示される。
【0025】
電気接続の不良の影響を受けやすい実施例の電源回路2における、本発明に係るグローイング接触の検出方法は、少なくとも3つの異なるインピーダンス(抵抗値等)を、電源回路2に適用して、電源回路2の少なくとも3つの電圧(V
2)を、応答性よく検知することを含んでいる。それらの電圧の各々は、例示のためであり限定するものではないが、実施例では複数の抵抗R
2a、R
2b、R
2cの任意の適切な組み合わせによって構成される、異なる抵抗値の1つに対応するものである。そして、電源回路2におけるグローイング接触4を防止し、通知するために、異なる抵抗値への変更に対する検知電圧(V
2)の変化が、所定の範囲内において線形であるか否かを判定し、そうでなければ、少なくとも1つのトリップ信号及びアラーム信号を、応答性よく生成する。
【0026】
図5において、実施例の3つの抵抗R
2a、R
2b、R
2cを含む検出装置6は、電源回路2のコンセント(図示省略)に接続されている。検出装置6のプロセッサ(
図5での図示は省略しているが、
図6の実施例のコントローラ8を参照)は、電源回路2への3つの抵抗R
2a、R
2b、R
2cの組み合わせを切り替え、その結果として生じる負荷電圧V
2を計測する。そして、検知電圧の差分が線形であれば、電源回路2は良好であり、グローイング接触が発生していないことになる。又、検知電圧が非線形であれば、電源回路2の配線及び/又は電気接続に問題があることを示している。後述するように、この問題は、非線形の電圧が計測されなくなるまで、検出装置6を上流側へ(ロードセンタ或いは配電盤10へ向けて)移動することで、解決することができる。
【実施例1】
【0027】
下記の表1は、100フィート(30.48m)のAWG#12の銅製電源ケーブルを用いた、良好な電気接続状態にある分岐回路の、実施例では120Vacについての実例値を示している。この実施例において、R
loadは、
図5の実施例の複数の抵抗R
2a、R
2b、R
2cの適切な組み合わせにより構成される抵抗である。電流Iは、電源回路2を流れる電流である。V
dropは、電源回路の電流Iに、電源回路の2本の配線の抵抗値2R
wireをかけたもの、すなわち、2IR
wireに等しい、電圧降下値である。V
2は、異なる抵抗値120Ω、60Ω、30Ωに夫々が対応する、実施例では3つの検知電圧V
2a、V
2b、V
2cを示している。抵抗R
2a、R
2b、R
2cは、例示のためであり限定するものではないが、夫々、120Ω、60Ω、30Ωの値を有しており、これにより、スイッチSa、Sb、Scの各々を閉じたときに、R
loadが構成される。別の非線形の実施例として、R
2a、R
2b、R
2cは、夫々、120Ω、120Ω、30Ωの値を有しており、これにより、(a)スイッチSaを閉じたときはR
load=120Ω、(b)スイッチSa及びSbを閉じたときはR
load=60Ω、そして、(c)スイッチSa、Sb、Scを閉じたときはR
load=30ΩのR
loadが構成される。
【0028】
【表1】
【0029】
本実施例では、V
2a−V
2b=1/2(V
2b−V
2c)であるときに、電源回路2の電気接続状態が良好である。表1の実施例について、119.68−119.36=1/2(119.36−118.72)=0.32である。適切な所定の許容誤差範囲内(例えば、限定するものではないが、±10%)において、この等値性が当てはまらない場合は、電源回路2が符号4で示すようないくつかの電気接続の不良を抱えている。電源回路2が不良である場合は、これを適切に通知することができる(例えば、これらに限定するものではないが、警告灯(図示省略)を点灯する、警告ブザー(図示省略)を鳴らす、分岐給電装置(branch feeder)の回路遮断器(図示省略)を作動させるほど十分に大きい異常電流を発生させる適切な負荷を、スイッチ(図示省略)により有効にする(例えば、これらに限定するものではないが、サイリスタ(thryistor)、FET、又は、IGBTで0.5Ωの負荷を有効にする))。
【0030】
更に、本実施例では、電源回路2の構成要素(図示省略)において、電源回路2に適用される3つの異なる抵抗値が存在する。この構成要素は、例示のためであり限定するものではないが、電気コンセントである。3つの異なる抵抗の組み合わせにより構成する、3つの異なる抵抗値を開示しているが、2つの異なる抵抗を用いて3つの異なる抵抗値を与えてもよく、或いは、4つ以上の異なる抵抗値を用いてもよい。本実施例では、3つの異なる抵抗値が、電源回路2を流れる、約1電流単位(about one unit of current)、約2電流単位、及び、約4電流単位に対応する。開示している方法及び検出装置6は、電源回路2を流れる約1電流単位の変化に応じた、検知電圧の第1の変化を測定し、電源回路2を流れる約2電流単位の変化に応じた、検知電圧の第2の変化を測定し、更に、第2の変化が第1の変化の約2倍でありかつ所定の範囲内にあるか否かを判定し、そうでなければ、少なくとも1つのトリップ信号及びアラーム信号を、応答性よく生成するものである。
【実施例2】
【0031】
検出装置6は、異なる電源回路の抜き取り検査に利用することができ、或いは、コンセントに接続されたままで、ある電源回路の専用機器として使用することができる。専用の検出装置6は、電源回路2を定期的(例えば、これに限定するものではないが、
図6の検出装置12で示しているようなタイマー42を利用して、30分毎)に検査するように設計されていてもよい。電圧の計測中に別の負荷電流が流れる場合は、電圧計測の分解能を上げる必要がある。検出装置6は、電源回路2を流れる別の負荷電流がない場合に、最も正確になる。
【0032】
検出装置6は、電源回路2のコンセント(例えば、
図6のコンセント60、62、64参照)やソケットと係合する、一般的な雄型プラグ(図示省略)を含んでいてもよい。複数のスイッチSa、Sb、Scは、電源回路2のコンセントやソケットで電源回路2を跨ぐ、複数の抵抗R
2a、R
2b、R
2cを切り替えるように構成されている。検出装置6は、一回の検査サイクルのために一時的に電源回路2に接続してもよく、或いは、符号4で示すようなグローイング接触に関して、電源回路2を定期的に検査するように構成されているプロセッサ(図示省略)と共に、永続的に接続してもよい。
【実施例3】
【0033】
図6は、不安定な接続/グローイング接続を検出する別の装置12を示している。実施例の検出装置12は、電気接続不良の影響を受けやすい電源回路16のグローイング接触14を検出する。検出装置12は、複数の抵抗18、20、22と、電源回路16を跨ぐ複数の抵抗18、20、22を切り替えるように構成された、複数のスイッチ24、26、28(例えば、機械式、半導体製)と、電源回路16を跨いで切り替えられる複数の抵抗18、20、22の電圧(V
2)を検知するように構成された、電圧センサ(VS)30と、実施例のコントローラ8のようなプロセッサとを含んでいる。コントローラ8は、電源回路16を跨ぐ少なくとも3つの異なる抵抗値を切り替えるように複数のスイッチ24、26、28を、出力32を介して制御するように、又、少なくとも3つの異なる抵抗値の各々に応じた検知電圧が入力されるように、更に、少なくとも3つの異なる抵抗値への変更に対する検知電圧の変化が、所定の範囲内で線形であるか否かを判定し、そうでない場合に、電源回路16におけるグローイング接触14の検出に応じて、少なくとも1つのトリップ信号34及びアラーム信号36を応答性よく生成するように、構成されている。コントローラ8は、少なくとも1つのトリップ信号34及びアラーム信号36の出力部38を含んでいる。ローカル指示部40は、アラーム信号36を通知するために利用することもできる。
【0034】
実施例のコントローラ8は、これに限定されるものでないが、タイマー42により順に時間計測されるような、少なくとも約10回のライン周期(line cycles)にわたって、電源回路16を跨ぐ少なくとも3つの異なる抵抗値の各々を切り替えるように、複数のスイッチ24、26、28を制御するものである。これにより、負荷電圧V
2が安定すると共に電圧センサ30により検知されるような、適切な時間が提供される。
【0035】
コントローラの指示部は、例示のためであり限定するものではないが、視認可能な指示を出す指示部40、聞こえる指示を出す指示部40、或いは、電源回路16に実働的に実装された上流側の回路安全装置(CB)48を作動させるのに十分な、電源回路16を流れる異常電流を発生させる、適切な負荷46(R
short)を有効にするように構成されたスイッチ44である場合がある。例えば、検出装置12は、例示のためであり限定するものではないが、上流側の分岐回路安全装置48を瞬時に磁気的に作動させるために、トリップ信号34への応答性がよい、別の異なる抵抗値(一例として、これに限定するものではないが、0,5Ω)を電源回路16に適用することも可能である。
【実施例4】
【0036】
表2は、
図4における120Vacでの1A
rms、2A
rms、4A
rmsからの、グローイング接触の電圧値の例を示している。
【表2】
【0037】
下記の表3は、50フィート(15.24m)長のAWG#12の、配線毎に1.588mΩ/ft(5.210mΩ/m)である、すなわち、
図5のR
wire=0.001588Ω/ft(0.005210Ω/m)であるケーブルを備えた、電源回路に基づくものである。無負荷電圧V
OCは120V
rms、3つの試験電流は1A
rms(I
A)、2A
rms(I
B)、4A
rms(I
C)、そして、3つの有効な抵抗は120Ω、60Ω、30Ωであり、これらの各々が複数の抵抗R
2a、R
2b、R
2cの組み合わせで構成されている。V
dropは、2R
wireでの電圧降下と、グローイング接触の電圧降下とを合わせたものである。電圧V
2は、3つの試験電流で計測され、符号V
2A、V
2B、V
2Cで示されており、同時に、符号V
dropA、V
dropB、V
dropCは、夫々、V
dropの値に対応している。R
1は、R
1=(1/(I
A−I
B))(V
2A−V
2B)=(V
2A−V
2B)から算出される、電流が1A
rms変化する間の抵抗の有効な変化である。同様に、R
2は、R
2=(1/(I
B−I
C))(V
2B−V
2C)=(1/2)(V
2B−V
2C)から算出される、電流が2A
rms変化する間の抵抗の有効な変化である。試験のΔ=R
1−R
2は、表1について先に述べた試験に対応するものである。ここで、試験では、−0.1|(R
1又はR
2の何れか大きい方)|<Δ<0.1|(R
1又はR
2の何れか大きい方)|であれば、グローイング接触がないことになる。そうではない場合は、グローイング接触、或いは、別の望ましくない異常が発生していることになる。更に、R
1又はR
2が負の値であれば、それはグローイング接触を直接示している。表3では、3つ全ての材料について、R
1又はR
2の各々がグローイング接触を示している。同様に、−0.1|(R
1又はR
2の何れか大きい方)|<Δ<0.1|(R
1又はR
2の何れか大きい方)|の試験について、銅−銅及び銅−ステンレス鋼の双方の実施例が、クローイング接触を示している。グローイング接触の電圧が最も低い真鍮−鉄については、R
1(及びR
2)が正の値でなければならないため、この試験は適合しない。その代わりに、負の値のR
1(及びはR
2)が、グローイング接触を直接示している。
【0038】
表3では、電流をA
rms、電圧をV
rms、抵抗をΩで示している。
【表3】
【0039】
表3では「3つの電流」の試験を開示しているが、4つ以上の電流を利用して応答の線形性を検査することによって、より精度を上げることができる。全ての条件を適切に検出するために、これに限定するものではないが、抵抗には少なくとも約0.1%の許容誤差、電圧測定には約1mVの分解能を適用してもよい。
【0040】
少なくとも3つの異なる抵抗値と、少なくとも3つの検知電圧とを含み、少なくとも3つの電流を伴う試験について開示しているが、特に、グローイング接触の電圧が比較的高い、銅−銅といったグローイング材料については、1つ又は2つの電流を伴う試験も可能である。
【0041】
表4は、表3に基づく、2つの試験電流1A
rms及び2A
rmsを利用する「2つの電流」の試験と、0A
rmsでの無負荷電圧V
OC及び1つの試験電流1A
rmsを利用する「1つの電流」の試験との、双方についての結果を示している。「2つの電流」の試験では、負の値のV
2A−V
2Bがグローイング接触を示すのに対し、「1つの電流」の試験では、相対的に大きい値(例えば、これに限定するものではないが、100フィートのAWG#12のケーブルを用いた電源回路については、1A
rmsで0.4V
rms以上)が、問題があることを示している。「1つの電流」の試験は、約1A
rms〜5A
rmsの範囲の比較的小さい電流において、最良に機能する。
【0042】
【表4】
【実施例5】
【0043】
以下のような複数の異なる試験を採用してもよい。(1)少なくとも3つの異なる電流を利用して、応答の線形性(例えば、これに限定するものではないが、実施例1のV
2a−V
2b=1/2(V
2b−V
2c))について検査し、そうでなければ、グローイング接触が発生している。(2)2つの異なる電流(例えば、これに限定するものではないが、1A
rms及び2A
rms、2A
rms及び4A
rms)を利用して、電圧(V
2)が線形に低下しているか否かを検査し、そうでなければ、グローイング接触が発生している。(3)2つの異なる電流を利用して、電圧(V
2)が線形に低下しているか否かを検査すると共に、少なくとも3つの異なる電流を利用して、応答の線形性について検査し、そうでなければ、グローイング接触が発生している(例えば、これは第1の試験と第2の試験との組み合わせである)。(4)1つの電流及び無負荷電圧(或いは、一方が開回路の抵抗値「無限」に対応して0である、2つの電流)を利用して、電圧(V
2)が極端に低下しているか否かを検査し、そうであれば、グローイング接触が発生している。
【0044】
第1の試験では、実施例の等式(equation)が、実施例の特定の電流1A
rms、2A
rms、及び4A
rmsのみについてのものである。より一般的な等式は、表3に関連して先に述べている。従って、値Δを明らかにし、この値が所定の許容誤差(例えば、これに限定するものではないが、10%)以下であるか否かの確認の検査をすることは好ましく、線形性を検査する、より一般的な方法である。或いは、第2及び第3の試験の2つの電流を用いて、所与の電流について予想される電圧降下に基づいて、線形性を判定する。可能な範囲において、任意の適切な3つの値の電流を利用してもよい。例えば、電流が小さ過ぎる場合(例えば、1A
rms以下)は、グローイング接触が起こるとは限らず、又、電流が大き過ぎる場合(例えば、これらに限定するものではないが、15A
rms以上、又は20A
rms以上)は、回路遮断器が作動して、電流が大き過ぎるときの問題の検出が、より困難になってしまう。例示のためであり限定するものではないが、好ましい電流の範囲は、約1A
rms〜10A
rmsである。
【0045】
2つの電流を利用する第2の試験は、3つの電流を利用する第1の試験と同様に、線形性を検査する。既知の電流(例えば、これに限定するものではないが、1A
rms)の利用によって、V
wire=2IR
wire=2R
wireとなるコンセント(すなわち、V
2A=V
OC−V
wire)において利用可能な電圧を低下させることとなる、電圧降下を生じさせる。この際、電圧降下は、DeltaA=V
OC−V
2A=V
OC−(V
OC−2R
wire)=2R
wireとして定義される。例示のためであり限定するものではないが、回路に負荷として2A
rmsが印加された場合は、配線の2倍の電圧降下が予想され、従って、V
2B=V
OC−4R
wireとなる。そして、回路が線形であるため、DeltaB=V
OC−V
2B=4R
wire=2DeltaAとなる。
【0046】
しかしながら、2つの例示の電流レベルでグローイング接触が発生した場合は、グローイング電圧は電流の関数であるため(例えば、1A
rmsでV
2A=V
OC−2R
wire−V
growA、2A
rmsでV
2B=V
OC−4R
wire−V
growB)、DeltaA=V
OC−V
2A=V
OC−(V
OC−2R
wire−V
growA)、及び、DeltaB=V
OC−V
2B=V
OC−(V
OC−4R
wire−V
growB)となる。しかし、ここで、DeltaA及びDeltaBは、グローイング接触の電圧の関数であり、非線形である(例えば、電流を2倍にしてもグローイング接触の電圧は2倍にならず、実際は減少する)。
【0047】
第3の試験は、第1の試験と類似している。純粋に電気抵抗を示す回路の応答は線形になるはずであるため、2つの電流を利用して線形性について検査する。非線形であれば、潜在的な問題を示している。
【0048】
第4の試験は、電圧降下が予想の総量を超えるか否かを検査するのみである(例えば、これらに限定するものではないが、AWG#12(0.001588×配線の推定長さ×2×電流)について、或いは、AWG#14(0.002525×配線の推定長さ×2×電流)について)。この数値より、電圧降下が50%〜500%大きい場合は、問題がある虞がある。この試験は、他の試験と同程度に信頼できるものではないが、比較的迅速に初期検査を行うことができるものである。
【0049】
これらの試験は、異なる抵抗値への幾度かの変更に関する、検知電圧のいくつかの変化が、所定の範囲内で線形であるか否か、或いは、2つの検知電圧における変化が、2つの異なる抵抗値の低下に伴って、増加しないか否かを測定するものである。
【実施例6】
【0050】
図7A及び
図7Bは、夫々、
図6のプロセッサの出力部38が、アラーム信号36及び/又はトリップ信号34を無線で送信する無線送信器50であってもよく、或いは、アラーム信号36及び/又はトリップ信号34を電源回路16を通して出力する、電力線搬送通信機(power line carrier output)52であってもよいことを示している。
【実施例7】
【0051】
更に、実施例6において、トリップ信号34を、例えば、電源回路16に実働的に接続された上流側の分岐回路遮断器48といった、回路安全装置を作動させるように用いてもよい。プロセッサの出力部38は、トリップ信号34を送信して、トリップ信号34の受信に応じて作動する(例えば、シャントトリップ入力54を介して)回路安全装置48を作動させる。
【実施例8】
【0052】
更に、実施例6において、アラーム信号36を、遠隔的にアラーム状態を通知するように用いてもよい。例えば、
図7Aに示すように、プロセッサの出力部50は、アラーム信号36を無線で送信して、グローイング接触14を遠隔的に通知する。無線信号55は、離れた位置において、無線受信器56により受信され、表示器58により出力される。
【実施例9】
【0053】
図6に示すように、検出装置12は、理想的には、電源回路16(power circuit 12、例えば、分岐回路)の端部にあり、ロードセンタや配電盤59から離れており、別の負荷が与えられることはない。分岐回路の何処かで負荷がかけられた場合、分岐回路端部の検知電圧V
2は、負荷の位置までの配線降下分のIRと、残りの配線から検出装置12までの降下分のIRと、もし存在すれば、分岐負荷の上流側にあるか若しくは下流側にあるかということに、その値が依存する、グローイング接触の電圧との、合計になる。実施例の検出装置12が、電流を実施例の1Aから2A、4Aへ変化させるときに、測定では非線形がまだ現れることとなるが、実施例の±10%の許容誤差は、このケースが識別できるほどに、余りにも大きいものである。配線長が長いほど、検出が困難になる。
【実施例10】
【0054】
開示した検出装置12及び検出方法は、実施例での電源回路16における、実施例でのグローイング接触14の位置を判定するように利用することができる。例えば、電源回路16が、回路安全装置48と、ロードセンタ59及び回路安全装置48の下流側に、複数の出力部60、62、64、66とを有するロードセンタ59を含む場合は、少なくとも3つの異なる抵抗値を、まず、ロードセンタ59から最も遠い出力部66において、電源回路16に適用する。これで、電源回路16のグローイング接触14を検出する。そして、異なる抵抗値を、出力部66よりもロードセンタ59に近い符号64、62、60等で示す複数の出力部へ、電源回路16に対して連続して適用することで、電源回路16でグローイング接触14が検出されなくなるまで続けることができる。本実施例では、出力部60と回路安全装置48との間である出力部60の上流側では、グローイング接触が発生しないため、上記内容を出力部60まで続ける。結果として、グローイング接触14が、図示のように電源回路16の2つの出力部60、62の間で、或いは、ロードセンタ59と最も近い出力部60との間(実施例のグローイング接触14では図示していない)で発生することを、測定することが可能となる。
【0055】
本発明の概念の具体的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者は、本明細書の全ての教示に照らして、それらの細部に対して様々な変更や代替が展開できることを認識するであろう。従って、開示した個々の形態は、単に説明のためのものであり、添付のクレームの全範囲と、それらの任意及び全ての同等のものとが与えられる、本発明の概念の範囲を限定するものではない。