【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は
、請求項1に記載の特徴を持つ椅子により解決される。
【0008】
請求項1の椅子は、
シート
及びこれとは別体の背もた
れを有しており、
前記シートはベースサポートユニットの上に配置されている一方、
前記背もたれは、上端部が着座者の腰椎部に位置する背面下部域と、下端部が着座者の腰椎部に位置する肩部域とを有しており、前記肩部域は、前記ベースサポートユニットに後傾動自在に連結された背面サポートに連結されて
おり、
前記背面下部域と肩部域とは、側面視で相対回動するように
左右横長の腰椎軸の個所においてヒンジ連結されていると共に、それら背面下部域の上端部と肩部域の下端部
とにより、着座者の腰部を支持する腰椎部域が形成されており、
更に、前記肩部域は、当該肩部域の上端と下端との間の中途部において前記背面サポートに連結されており、このため、前記肩部域の上端は背面サポートの上端よりも上に位置して
いる構成であって、
前記背もたれを構成する背面下部域及び
肩部域は、それぞれ、中心部域とその左右両側に位置した側部域とを有していて、背面下部域及び肩部域の中心部域と側部域とは、それぞれ上下長手の垂直軸を中心にして相対回動するように連結されており、前記肩部域の中心部域が前記背面サポートに連結されて、前記背面下部域における中心部域の下端部が前記シートに回動可能に連結されており、
更に、前記背面下部域の中心部域と肩部域の中心部域、及び、前記背面下部域と肩部域との上下に隣り合った側部域は、それぞれ相対回動するように前記腰椎軸の個所においてヒンジ連結されており、このため、前記腰椎軸も中心部域と側部域とを有しており、
前記背面サポートが後傾すると、
前記背もたれの全体がシートに対して相対動すると共に、背もたれにおける上下に隣り合った部域及び左右に隣り合った部域の相対角度が変化するようになっている。
ベースサポートユニットは、好ましくは、シンクロ機構、ならびに、シートを形成するクッション入りシートサポートを支持(gelagert)する。肩部域と背面サポートの間に第1のヒンジ継手が形作られている。背面下部域と肩部域とのヒンジ連結は、背もたれの腰椎部域において行われる。それゆえ、肩部域と背面下部域とは、略横向きに走る軸(以下、腰椎軸と呼ぶ)を中心として、第2のヒンジ継手を介して互いに締結されている。最後に、背面下部域は、1つの椅子エレメント(好ましくは背面サポート又はシート)に沿って延びている(連結されている)。
【0009】
背面下部域が、肩部域の下端とヒンジ継手で結合されて、肩部域が肩軸を中心として旋回
(傾動)できることにより、肩部域による背面下部域の機械的な強制ガイドが達成される。つまり、肩部域が肩軸を中心として傾斜(傾動)すると、背面下部域と肩部域との相対的な角度が変えられ、例えば、肩部域が肩軸を中心として直立位置から後ろにもたれた位置へ傾斜するときに、背もたれの腰椎部域が前方に(つまりシートの方に)せりだす。
同時に、背面下部域の下端は、シート側ないしは背面サポート側のその下関節点(連結部)においてガイドされる。そのため、背面下部域がその下端において椅子エレメント
(シート)と関節結合していることは、背もたれが肩軸を中心として傾斜する時の長さの補正に役立つ。全体として、これらの強制ガイドにより、背もたれは、腰椎部域が前方にせり出すこと(及び後退すること)が可能となる。これにより、全体として椅子の快適性は高められる。
【0010】
請求項2では、請求項1において、
前記背面下部域及び肩部域における左右の側部域は、前記背面サポートの後傾前及び後傾後の両方において、前記中心部域の手前側において互いに向き合うように配置されており、かつ、前記背面下部域の垂直軸と肩部域の垂直軸とは、正面視で屈曲した姿勢を成すように逆向きに傾斜している。
例えば、肩部域が後方に傾斜するときに側部域が略前方に倒れ、これで、より効果的にサイドガイドの働きをするように変えられる。つまり、使用者の腰椎部分を支えるのと同時に、側部域が前方に案内されて使用者の身体を案内する(サポートする)ように、中心部域と側部域とに同期的な強制運動が行われるのである。
【0011】
側部域の前方への回動を可能にするために、この側部域は、目的に叶う仕方で
上下長手の垂直軸を中心として中心部域と向き合って旋回できる。そのため、背もたれ自体は、その側面に沿って、垂直方向
(上下長手の方向)を向いたヒンジ継手を介して前方に倒されるか少なくとも曲げられる部域を持つ。そのため、背もたれ自体には、肩部域と背面下部域の間の典型的な水平ヒンジ式継手のほかに、各中心部域と側部域の間に
、実質的に垂直な
(上下長手の)2つのヒンジ式継手が形作られている。これらのヒンジ式継手は、ここで、弾性(曲げ)部域によって形作られていても、ヒンジによって形作られていてもよい。
【0012】
目的に叶う更に進んだ形態として、請求項
3では、請求項
1又は2において、
前記シートは、前記背面サポートに連動して後傾動する構成であり、前記シートの後部に、前記背面下部域における中心部域の下端部がヒンジ連結されていることにより、
前記背面サポートの後傾動に伴って前記背面下部域と肩部域とが相対動すると、前記シートが前記背面下部域及び肩部域と相対動するように設定されている。
背もたれとシートとの直接的な連結により、シートと背もたれの間の過渡部域において、身体を傾斜位置全体にわたってより良くガイドすることができる。
【0013】
請求項
4では、請求項
3において、
前記シートは、前記背面サポートに連動して後傾する構成であると共に、シート前部にヒンジ締結されたシート後部を具備した構成であって、
前記背面下部域における中心部域の下端部が前記シート後部にヒンジ連結されていることにより、前記背面サポートの後傾動に伴って前記背面下部域と肩部域とが相対動すると、前記シートが、シート前部とシート後部とを相対動させつつ、前記背面下部域及び肩部域と相対動するように設定されている。
ここで、シート前部とシート後部とは
、1つの軸(以下、シート軸と呼ぶ)を中心として回動できるように、相応のヒンジ継手を介して互いに支持されている。
シート後部が、シート前部と背面下部域とにヒンジ式結合されていることにより、背もたれの肩部域が肩軸を中心として傾斜するときの長さの補正が、単純な仕方で(つまり、背面下部域が肩軸の方に上に引っ張られる仕方で)行われる。それゆえ、例えば、肩部域が後方に傾斜するとき、シート後部は背面下部域を介して上に引っ張られ、それで、シートと背もたれの間の過渡部域においても使用者の身体を支えることができる。
【0014】
シート後部が旋回自在に支持され
(回動自在に連結され)ていることは、同時に、背もたれ全体が
ロッキング軸を中心として傾斜するとき、つまり、背面サポートが
ベースサポートユニット側のロッキング軸を中心として後方に傾斜するときも、快適性を高める働きをする。この運動の時も、シート後部域の効果的な強制ガイドが行われる。ここで、両方のシート部分は
、通常、プレート又はシェル、つまり機械的剛性に優れたシートサポート
材から作られ、その上にシートクッションが載せられている。
【0015】
できる限り高い快適性に鑑み、
シート前部とシート後部とを連結するシート軸は、
ロッキング軸の後方、つまり背もたれの方に向けられている。更に、シート軸
及び/又はロッキング軸も、特に
、使用者の股関節により限定される身体回転軸の近くに配置されている。これにより、傾斜時
(ロッキング時の)における背もたれないしはシートと身体の間の相対的ずれが最小限に抑えられる。
【0016】
目的に叶う更に進んだ形態として、請求項
5では、請求項
1〜4のうちのいずれかにおいて、
前記背もたれは、前記肩部域の上に配置された背面上部域を有して
おり、前記背面上部域は、上下長手の垂直軸を中心にして相対回動するように連結された中心部域と左右の側部域とを有していて、前記背面上部域の中心部域と側部域とは、左右横長のヘッド軸の個所において、前記肩部域の中心部域と側部域とにヒンジ連結されており、
かつ、前記背面上部域の垂直軸と肩部域の垂直軸と背面下部域の垂直軸とは、正面視で姿勢を交互に変えてジグザグ状態になっている。
この請求項
5では、背面上部域が頭部を支えるのに役立つ。この背面上部域も肩部域と結合しており、目的に叶う形態では、これもヒンジ式である。ここで
、背面上部域も、中心部域と左右の側部域を持ち、これらは結合している。これにより、全体として強制ガイドが得られ、側部域が強制的に前方に倒されることになる。
【0017】
肩部域は、背面サポートにかかる復元力(ロッキングに対する抵抗)に抗して肩軸を中心として傾斜できるように配置されている。すなわち、肩部域は、背面サポートが後傾せずに使用者がもたれ掛かっていない原姿勢に戻るように配置されている。
この原姿勢への復帰は、ばねエレメントによって作られるか、または背面サポートと肩部域の間のヒンジ継手のばね弾性的な作りによっても実現できる。好ましい形態として、請求項
6では、請求項1〜
5のうちのいずれかにおいて、前記背面サポートと肩部域
における中心部域との間に、前記肩部域を原姿勢に復帰させるばねエレメントを設けている。
ここで、このばねエレメントは、例えば背面サポートと背もたれの間に張着された弾性エレメント、(圧力)ばねとして形作られており、又は、ヒンジ継手の中に一体化した形に作られている。復元力は、目的に叶うように調整可能である。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
好ましい実施バリエーションによれば、背もたれは、互いに旋回自在に締結された複数の背面エレメント、すなわち、肩部域を限定する少なくとも1つの主背面エレメントと、この主背面エレメントの下端にヒンジ式に締結され、背面下部域を形成する下背面エレメントを具備する。個々の背面エレメントは、ここで、プレート形又はシェル形に作られているか、そのような形材を具備する。
それゆえ、この実施バリエーションでは、背もたれは、互いに連結された複数の板状背面エレメント
によってモザイク状に形作られている。サイド部域を形作るため、好ましくは、主背面エレメントと下背面エレメントに、それぞれサイドの側部エレメント(wangenelement)がヒンジ式に締結されている。これらもまた、プレート又はシェルにより作られているか、そのような形材を具備し、同じく互いにヒンジ式に配置されているので、傾斜するとき、サイドの側部エレメントが肩軸を中心として前方にせり出すように、強制ガイドと強制運動が行われる。
【0026】
好ましくは、補完的に頭部を支えるために中心部域に上背面エレメントが、また更に好ましくは、更なる側部エレメントが形作られており、これらが、上背面エレメントにヒンジ式に、また同時に、肩部域の側部エレメントにもヒンジ式に連結されている。
【0027】
望みの強制ガイドをできる限り単純な仕方で可能にするために、ここで、個々の背面エレメントはそれぞれ楔形又は台形に形作られており、ここで、隣り合う背面エレメントが有利な仕方でそれぞれ互いに支え合う形で配置されている。それゆえ、肩部域も背面下部域も
、それぞれ、好ましくは互いに支え合う形で台形に作られた3つのセパレートの背面エレメントにより作られている。
同時に、隣り合う台形エレメントも、肩部域と背面下部域の間で同じく互いに支えられているので、長手側と短手側がそれぞれ向き合った配置になっている。台形の作りは、ここで特に、側部エレメント間の中心部域が、腰椎の部域で細幅になるように選択されている。同時に、側部エレメントの方は同部域で広幅になっている。
【0028】
隣り合う背面エレメント
の間のエッジが、
隣り合う背面エレメントを連結するヒンジ継手を限定する。
背面エレメントが略台形又は楔
形であることから、垂直軸は、中央の背面エレメントと側部エレメントの間を正確に垂直
(鉛直)の方向に走っていない。それゆえ、ここで垂直軸と言う時、これは単に略垂直の方向
(上下方向)に長いだけで、正確な垂直の方向から、例えば±30%の偏りがあり得るものと理解されたい。これは、上に挙げた
請求項のバリエーションにも当てはまる。
【0029】
個々の背面エレメントは、目的に叶う仕方で、その互いに境を接する側又はエッジにおいて、それぞれフィルムヒンジ方式で互いにヒンジ式に連結されている。加えて、好ましい形態では、背面エレメントは、第1の実施バリエーションの通り、個別のセパレートのプレート又はシェルとして形作られている。これらが、それぞれ平面的な、例えば繊維布又はゴム弾性シートからなる弾性ヒンジストリップにより互いに連結されている
。あるいは代わりに、大面積の、特に背面エレメント
群全体を覆う弾性カバー(クッション付きカバー)が使われている。ここで、クッションカバーの場合は、ポケットが縫い込まれ、その中に個々の板状の背面エレメントが差し込まれていてもよい。
【0030】
あるいは代わりに
、背面エレメント
の群全体が、特に背もたれ全体が、ワンピース形のプラスチック部品(例えば射出成形品)によ
り作られている。個々の背面エレメントは、マテリアルブリッジを介して互いに連結されている。すなわち、ワンピース部品に付けられた切欠き又はマテリアルテーパにより
、隣り合った背面エレメントが互いに仕切られている。この切欠きが同時に、フィルムヒンジ方式で形作られたヒンジ継手を限定する。このワンピース形のプラスチック背もたれは、通常、更にクッションカバーで覆われている。
【0031】