特許第6067170号(P6067170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6067170
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】検電器
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/145 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   G01R19/145
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-150210(P2016-150210)
(22)【出願日】2016年7月29日
【審査請求日】2016年8月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591147719
【氏名又は名称】中部精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000214560
【氏名又は名称】長谷川電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】恒見 光矢
(72)【発明者】
【氏名】河野 友和
(72)【発明者】
【氏名】下枝 哲次
(72)【発明者】
【氏名】曽田 周二
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−120079(JP,U)
【文献】 実開昭57−162568(JP,U)
【文献】 特開昭59−104083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/145
G01R 1/04
G01R 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者及び監視者に検電状態を知らせるための検電器であって、
検電対象に接触させる検知子、作業者に検電対象が充電状態であることを知らせる作業者用発光部、監視者に検電対象が充電状態であることを知らせる監視者用発光部並びに前記検知子を接触させた検電対象が充電状態であるか否かを判定し、充電状態である場合に前記作業者用発光部及び前記監視者用発光部を点灯又は点滅させる判定手段を有する本体装置を備え、
前記作業者用発光部は、前記本体装置の正面側に設置され、
前記監視者用発光部は、透明部材又は散光部材からなり前記本体装置に突出して設置されるカバー体と、該カバー体の内側に配置される発光体を有しているとともに、前記本体装置の背面側に設置されている
ことを特徴とする検電器。
【請求項2】
前記本体装置は、作業者及び監視者に検電対象が充電状態であることを知らせる発音部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の検電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者及び監視者に検電状態を知らせることのできる検電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力設備が充電状態であるか、停電状態であるかを確認するため、電力設備の所定の部位が帯電しているか否かを検知する検知子を有する検電器が用いられている。
そして、作業者が検知子を電力設備の所定の部位に接触させると、接触した対象の電圧に応じて検電器に備えられた発光体やスピーカーが光ったり音を発したりすることで、作業者が電力設備の状態を確認できるようになっている。
また、作業者が光や音に気づかない場合に備えて、監視者に発光体やスピーカーが作動していることを適宜の手段で知らせることにより、作業者の安全を図っている。
例えば、特許文献1(実公昭46−25435号公報)には、絶縁棒(1)の上端に自在関節(2)を介して絶縁桿(3)を取付け、その上端に取付けた金属製鉤(4)と下部金属体(5)とをネオンランプ(8)の両電極へ接続した高圧検電器であって、下面に開口部(6)を有するケース(7)にネオンランプ(8)を収めたものが記載されている。
しかし、この高圧検電器では、ネオンランプ(8)の光をケース(7)の下面側かつ開口部(6)の延長線上において確認する必要があり、作業者しか確認できなかった。
【0003】
そこで、特許文献2(特開2012−8627号公報)に記載されるように、検電器(10)からの警報音の発生を検知する受信センサ(28)及び作業用バケット(26)の下方から視認可能な箇所に取り付けた発光体(30)等を備え、検電器(10)から警報が継続的に発せられると、これに合わせて発光体(30)が断続的に発光することにより、下方で監視している作業監視者が、検電器(10)と充電部(A)との接近を容易に確認できるようにした警報装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭46−25435号公報
【特許文献2】特開2012−8627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に記載されている警報装置は、受信センサ(28)や発光体(30)等を作業用バケット(26)に設ける必要があるため、装置自体が大きい上に警報装置の近くで検電器(10)を利用しなければならないといった問題があった。
本発明の課題は、このような問題を解決し、特別な警報装置等を併用することなく、作業者及び監視者に電力設備の状態を確実に知らせることのできる検電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、作業者及び監視者に検電状態を知らせるための検電器であって、
検電対象に接触させる検知子、作業者に検電対象が充電状態であることを知らせる作業者用発光部、監視者に検電対象が充電状態であることを知らせる監視者用発光部並びに前記検知子を接触させた検電対象が充電状態であるか否かを判定し、充電状態である場合に前記作業者用発光部及び前記監視者用発光部を点灯又は点滅させる判定手段を有する本体装置を備え、
前記作業者用発光部は、前記本体装置の正面側に設置され、
前記監視者用発光部は、透明部材又は散光部材からなり前記本体装置に突出して設置されるカバー体と、該カバー体の内側に配置される発光体を有しているとともに、前記本体装置の背面側に設置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項に係る発明は、請求項1に記載の検電器において、前記本体装置は、作業者及び監視者に検電対象が充電状態であることを知らせる発音部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、作業者用発光部及び監視者用発光部を有し、作業者用発光部は本体装置の正面側に設置され、監視者用発光部は本体装置の背面側に設置されており、検電対象が充電状態である場合に作業者用発光部及び監視者用発光部を点灯又は点滅させるようになっているので、作業者は主に作業者用発光部の点灯又は点滅により検電対象が充電状態にあることを確認でき、監視者は検電器自体が有する監視者用発光部の点灯又は点滅により検電対象が充電状態にあることを確認できる。
さらに、監視者用発光部は、透明部材又は散光部材からなり本体装置に突出して設置されるカバー体と、カバー体の内側に配置される発光体を有しているので、発光体の点灯又は点滅を確認できる範囲が広くなるとともに、監視者用発光部が作業者によって遮られる範囲がなくなり、監視者用発光部の視認性を高めることができる。
【0011】
請求項に係る発明によれば、請求項1に係る発明による効果に加えて、検電対象が充電状態であることを知らせる発音部も有しているので、作業者及び監視者は、さらに確実に検電対象が充電状態にあることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】検電器の側面図。
図2】検電器の正面図。
図3】検電器を使用している状態の正面側斜視図。
図4】検電器を使用している状態の背面側斜視図。
図5】監視者用発光部が備える砲弾型白色LEDランプの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0014】
実施例の検電器の側面図と正面図を図1図2に、同検電器を使用している状態の正面側斜視図と背面側斜視図を図3図4に示す。
実施例の検電器は、図1、2に示す本体装置1を主要な構成とし、使用に当たっては、図3、4に示す様に本体装置1の下端部に設けてある操作棒取付部2に、使用状況に応じて適当な長さの操作棒3を取り付け、本体装置1の上端部に設けてある検知子4を検電対象(図3、4では電線)に接触させる。
【0015】
本体装置1は、側面が図1に示す形状、正面が図2に示す形状となっており、全体の長さは約37cm(長さ約6.5cmの操作棒取付部2及び長さ約14.1cmの検知子4を含む)、側面の最も広い箇所は約6.8cm、正面の中央部の幅は約5cmである。
そして、本体装置1は、その中央部の絶縁性樹脂等でなる筐体部分に、検電対象が充電状態であることを知らせる作業者用発光部5及び監視者用発光部6、検電対象が充電状態であることを知らせる発音部7、並びに作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7の作動をチェックするテスト釦8を備えている。
さらに、図示はしないが、筐体部分の内部には、検知子4を接触させた検電対象が充電状態であるか否かを判定し、充電状態である場合に作業者用発光部5及び監視者用発光部6を点灯又は点滅させるとともに発音部7から警告音を発生させる判定手段、並びに判定手段、作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7を動作させるための電源(交換式の乾電池又は充電式のバッテリー)が設けてある。
【0016】
検知子4は、良導体からなっており、根元部分は判定手段と電気的に接続され、先端付近は検電対象に引掛け易くするために鉤状となっている。
また、その先端部は検電対象との接触をスムーズにするため、外側へ円弧状に曲げてある。
【0017】
作業者用発光部5は、作業者及び監視者がその発光を確認し易くするため、本体装置1の正面側中央の斜面部に設けてある透孔の内側に、発光色が赤又は白のLEDを配置してある。
また、監視者用発光部6は、検電器の本体装置1から離れたところにいる監視者がその発光を確認し易くするため、本体装置1の背面側中央に突出して設置されているカバー体9の内側に9個の砲弾型白色LEDランプ10を図5のように配置してある。
【0018】
カバー体9は、透明部材又は散光部材(例えば、透明樹脂又は半透明白色樹脂)を半円筒状に成形したものであり、図5に示すように、砲弾型白色LEDランプ10の発光を広い範囲で視認できるようにするため、7個の砲弾型白色LEDランプ10を放射状に配置するとともに、2個の砲弾型白色LEDランプ10を下方に向けて配置してある。
なお、砲弾型白色LEDランプ10の光量は、62,000ルクスの条件下で本体装置1から30m離れた箇所において、直接発光が見えるように選択されている。
【0019】
発音部7は、作業者及び監視者がその警告音を聞き取り易くするため、本体装置1の背面側中央に設けてある透孔の内側に設けてある。
発音部7を本体装置1の背面側に設けた理由は、作業者の反対側に向けて放音した方が、遠くに位置している監視者に警告音が届き易いからである。
また、発音部用の透孔には、筐体内部に異物等が入りにくくするため、図4に示すように網状のネットを装着してある。
なお、発音部7の音量は、周囲騒音が75dbの条件下で本体装置1から30m離れた箇所において、直接警告音が聞こえるように選択されている。
【0020】
検電対象が充電状態であるか否かを確認するに際して、実施例の検電器を使用する手順は次のとおりである。
(1)作業者は検電器の本体装置1の正面側にあるテスト釦8を押す。
すると、テスト釦8を押している間、作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7が作動する。
なお、テスト釦8を押しても作業者用発光部5等が作動しない時は、電源が消耗しているか故障しているので、電池の交換若しくは充電又は検電器の修理を行う。
(2)作業者は本体装置1の筐体部分又は操作棒取付部2に取り付けた操作棒3を持ち、検知子4を検電対象の適宜の箇所に接触させる。
そして、検知子4を接触させた検電対象が充電状態であれば、作業者用発光部5及び監視者用発光部6が点灯又は点滅するとともに発音部7から警告音が発生する。
また、検知子4を接触させた検電対象が充電状態でなければ、作業者用発光部5等は作動しない。
(3)検電対象が充電状態であるか否かの確認が終了したら、検知子4を検電対象から外し、必要ならば他の検電対象が充電状態であるか否かの確認を行う。
【0021】
実施例の変形例を列記する。
(1)実施例においては、作業者用発光部5を本体装置1の正面側中央の斜面部に設置し、監視者用発光部6を本体装置1の背面側中央に設置したが、設置位置はこれらの位置に限定されない。
要するに、作業者用発光部5は作業者から見え易い位置(通常は本体装置1の正面側)に配置し、監視者用発光部6は監視者から見え易い位置(通常は本体装置1の背面又は両側面側)に配置すれば良い。
(2)実施例においては、作業者用発光部5に発光色が赤又は白のLEDを用い、監視者用発光部6に晴天時において最も見え易い砲弾型白色LEDランプ10を用いたが、LEDに限らず発光体であれば何でも良く、発光色も視認性の良いものであれば特に限定されない。
また、実施例においては、砲弾型白色LEDランプ10を放射状に配置したが、その理由は砲弾型白色LEDランプが指向性の強い光源であることによるから、光を放射状に出射できる発光体であればカバー体9のほぼ中央に配置すれば良く、面状発光体であればカバー体の内面に沿って配置すれば良い。
【0022】
(3)実施例においては、本体装置1に作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7が設けてあるが、発音部7は設けなくても良い。
また、本体装置1に無線音声信号送信器を設け、送信された無線音声信号を受信器で受信して適宜の場所において警告音を聞くことができるようにしても良い。
この変形例は、作業する場所の周囲騒音が大きい場合、特に有効である。
(4)実施例においては、検知子4の先端付近は鉤状とし、さらに先端部は円弧状に曲げてあるが、検知子4の形状は単純な棒状、L字状、U字状等どのような形状でも良い。
【0023】
(5)実施例においては、電源スイッチを設けず、常時検電できるようにしているが、電源の消耗を避けるために、テスト釦8を作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7の作動をチェックするだけでなく、電源スイッチとしても機能するものとしても良い。
そうした場合、例えば、テスト釦8を押してから数秒間、作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7を作動させた後に検電器を使用可能状態とし、使用後は数分間放置することで電源オフとなるようにすれば良い。
また、テスト釦8とは別に電源スイッチを設けても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 本体装置 2 操作棒取付部 3 操作棒 4 検知子
5 作業者用発光部 6 監視者用発光部 7 発音部
8 テスト釦 9 カバー体 10 砲弾型白色LEDランプ
【要約】
【課題】 特別な警報装置等を併用することなく、作業者及び作業確認者に電力設備の状態を確実に知らせることのできる検電器を提供すること。
【解決手段】 上端部に検知子4、下端部に操作棒取付部2を有する本体装置1を備え、本体装置1は、その中央部の筐体部分に検電対象が充電状態であることを知らせる作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7、作業者用発光部5、監視者用発光部6及び発音部7の作動をチェックするテスト釦8を備え、監視者用発光部6は、本体装置1の背面側中央に突出して設置されているカバー体9の内側に9個の砲弾型白色LEDランプが放射状に配置してある検電器。
【選択図】 図1
図5
図1
図2
図3
図4