特許第6067223号(P6067223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6067223-自己換気主電動機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067223
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】自己換気主電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20170116BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H02K5/20
   H02K9/06 C
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-527274(P2011-527274)
(86)(22)【出願日】2009年8月13日
(65)【公表番号】特表2012-503461(P2012-503461A)
(43)【公表日】2012年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2009060513
(87)【国際公開番号】WO2010031649
(87)【国際公開日】20100325
【審査請求日】2012年7月18日
【審判番号】不服2015-4196(P2015-4196/J1)
【審判請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】08164663.0
(32)【優先日】2008年9月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505403360
【氏名又は名称】アーベーベー・テヒノロギー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】イスベルグ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リンドベルグ、ペル−オロフ
【合議体】
【審判長】 堀川 一郎
【審判官】 藤井 昇
【審判官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−21158(JP,U)
【文献】 実開平2−94944(JP,U)
【文献】 特開平8−280167(JP,A)
【文献】 特開2006−50809(JP,A)
【文献】 特開平9−261923(JP,A)
【文献】 特開2007−82362(JP,A)
【文献】 実開昭55−98166(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00- 5/26
H02K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機ハウジング(1),電動機端部シールド(5),そしてその周囲に沿って配置された半径方向の空気出口開口(4)を有している延長リング(3)を有しており、当該延長リング(3)が、電動機駆動シャフトの上に固定されているファン・ホイール(2)の周りを取り囲んでいて、
当該延長リング(3)は、別個の機械部品であり、前記電動機ハウジング(1)の非駆動端部と前記電動機端部シールド(5)との間に、ボルトで固定して配置されている、ことを特徴とする自己換気主電動機。
【請求項2】
前記空気出口開口(4)は、カバープレートにより選択的に覆うことが可能であり、このカバープレートは、前記主電動機からの空気出口を調整し、また、前記主電動機の内側を水又は泥から保護する、ことを特徴とする請求項1に記載の自己換気主電動機。
【請求項3】
当該延長リング(3)は、前記ファン・ホイール(2)の軸方向内側に配置される半径方向の内側に突出しているリング形状のリップ(6)を有していて、このリップ(6)は前記ファン・ホイール(2)と前記軸方向に重複している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自己換気主電動機。
【請求項4】
前記電動機ハウジングは、正方形、五角形、六角形又はそれ以上の多角形の形状、又は不規則な形状を有している、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自己換気主電動機。
【請求項5】
前記電動機ハウジング(1)の外側表面上に配置された鋳物製ボックス(8)を有し、この鋳物製ボックスは、空気、電力ケーブル及び/又は信号ワイヤを当該主電動機の中に導入する為の機械加工による貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自己換気主電動機。
【請求項6】
前記鋳物製ボックス(8)は、前記電動機ハウジング(1)の上部に配置されている、ことを特徴とする請求項5に記載の自己換気主電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己換気主電動機(self ventilated traction motors)に係り、特に、空気出口開口を備えた電動機ハウジングまたは端部シールドを鋳造することなく、あるいは、鋳造工程の後で、ハウジングまたはシールドの中にそのようなものを機械加工することなく、換気をもたらす手段に係る。
【背景技術】
【0002】
自己換気主電動機のための、電動機ハウジング及び端部シールドは、通常、一体物として鋳造される。これは、ハウジングの内側のステータ及びロータを通る空気流れのための換気開口が、同時に鋳造され、あるいは、その後で、鋳物製ハウジングまたは端部シールドに機械加工されなければならないと言うことを意味している。更に、自己換気主電動機のための特別なより長いハウジングまたはより深い端部シールドは、ファン・ホイールの幅を考慮に入れて、鋳造されなければならない。
【0003】
本発明は、電動機ハウジングを様々な電動機タイプ及び形態にフレキシブルに適合させるやり方を提供すること、及び、端部シールド並びに電動機ハウジングのデザインの標準化を可能にすることを目指している。
【0004】
US 7,091,635 は、延長リング及び電動機端部シールドを有するフライホイール装置を開示していて、このフライホイール装置は、電動機ハウジングに対して回転可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第 US 7,091,635 号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つのアスペクトによれば、自己換気主電動機が、電動機ハウジング,電動機端部シールド,そしてその周囲に沿って配置された半径方向の空気出口開口を有している延長リングを有しており、当該延長リングが、電動機駆動シャフトの上に固定されているファン・ホイールの周りを取り囲んでいて、当該延長リングが、前記電動機ハウジングの非駆動端部と前記電動機端部シールドとの間に固定して配置されている
【0007】
本発明の更なる実施形態によれば、空気出口開口は、カバー・プレートにより選択的に覆うことが可能であって、それにより、前記主電動機からの空気出口を調整し、また、前記主電動機のファン及び内側を、鉄道線路からの水しぶきから保護する。
【0008】
本発明の更に他の実施形態によれば、延長リングは、ファン・ホイールの軸方向内側に配置され、半径方向内側に突出しているリング形状のリップを有していて、このリップはファン・ホイールと前記軸方向重複している
【0010】
本発明の更に他の実施形態によれば、前記ハウジングは、正方形、五角形、六角形またはそれ以上の多角形の形状または不規則な形状を有している。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、ハウジングは、ハウジングの外側表面の上に配置された鋳物製ボックスを有していて、この鋳物製ボックスは、空気、電力ケーブルおよび/または信号ワイヤを前記主電動機の中に導入するための貫通孔を機械加工するための領域をもたらす。
【0012】
本発明の更なる実施形態によれば、前記鋳物製ボックスは、ハウジングの上部の上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に基づく延長リングが設けられた、自己換気タイプの主電動機の斜視図を示す。
図2図2は、本発明に基づく延長リングを備えた、図1の中の主電動機の端部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の特徴及び優位性が、例示目的のみで、本発明の実施形態の以下の図面を参照しながら、好ましい実施形態の以下の説明の中で、更に説明される。
【0015】
本発明の実施形態が、最初に図1を参照しながら、以下において説明される。この図には円筒の電動機ハウジング1を有する自己換気主電動機が、示されている。電動機ハウジング1のボディが、ロータ及びステータ(図示されていない)を包み込んでいる。ここで留意すべきことは、本発明は、円筒以外のハウジング形状をも含んでいて、そのようなハウジング形状は、正方形、五角形、六角形または他の形状、更にまた不規則な形状であっても良いと言うことである。
【0016】
ロータは、ハウジング1を通って伸びる突出するロータ・シャフト(図示されていない)上に、同心状に配置されていて、このロータ・シャフトに対して、ギア・ボックス(図示されていない)に接続されたカップリングが、取り付けられることがあり、最終的に、車両の駆動ホイールを駆動する。電動機の反対側の非駆動端部で、このシャフトにファン2が設けられ、このファンは、電動機の内側を通って、電動機の駆動側から、空気を吸い込み、それを、更に、出口開口4を通って、周囲に送り出す。出口開口4は、延長リング3の周囲に沿って配置された半径開口であって、この延長リングは、ハウジング1の上述の端部に固定された延長部として設けられ、このようにしてファン・ホイール2の周りを取り囲んでいる。
【0017】
延長リング3の反対側の端部には、電動機ハウジング・シールド5が取り付けられていて、この電動機ハウジング・シールドもまた、他の冷却装置のために使用される軸方向の出口開口7を有している。このようにして、延長リング3は、任意のハウジング長さで使用されても良く、そのような開口を備えたハウジングを鋳造する必要無しに、または、そのような開口をもたらすためにハウジングを更に機械加工する必要無しに、電動機の換気のための出口開口4をもたらす。
【0018】
延長リングは、更に、図2にも描かれている。この図2は、前記延長リング3の一部、ファン・ホイール2及び端部シールド5の断面図を示している。ファン・ホイール2により吸い込まれた空気は、このようにして、ハウジングの内側から来る。空気の流れを通過させて、ステータ巻線のコイルの端部を冷却する為に、延長リング3は、ファン・ホイール2の軸方向内側に配置された、半径方向に内側に突出したリング形状のリップ6を有している。このリップ6は、ファン・ホイール2と、方向に重複していて、それにより、空気の流れを、延長リング3の外側の縁からガイドして、コイルの端部を冷却する
【0019】
電動機ハウジング1の外周面上には、鋳物製ボックス8もまた、配置されている。それらの目的は、ケーブルをステータに接続するために、ハウジングの内側への、空気吸入部または電力ケーブルまたは信号ワイヤの入口を配置する可能性をもたらすことにある。異なる位置で表面上に、数個のボックス8を配置することにより、ハウジング1を、ボックス8の数個の異なる電動機タイプの機械加工による貫通孔(特定の選択された条件に適している)に適合させることが可能になる。ハウジングの上部に、そのようなボックスを配置することにより、レールからの水及び泥の跳ね上がりを避けることが可能である。
【0020】
電動機ハウジング1の反対側の駆動側端部は、ハウジング1に固定され中央貫通孔を有する第二の端部シールド9により覆われ、この中央貫通孔を通って、駆動電動機シャフトが配置されている。この第二の端部シールドにもまた、空気入口孔が設けられても良く、これらの空気入口孔は、空気吸入の流れが変えられることが必要な場合に、選択的に、カバー・プレートにより覆われ、即ち、図1に示されたシールドと等しい軸方向の孔が設けられる。
【0021】
ファンを収容する電動機のスペースを延長するために、このようなやり方で、延長リング3を使用することにより、標準的な電動機ハウジングが、開放型自己換気電動機(延長リング及びファンを備えている)、及び開放型強制換気電動機(延長リング及びファンを備えていない)の両方ために使用されても良い。強制換気デザインにおいて、空気は、外部のファンまたは列車の速度により生ずる空気圧力により、エア・ダクト・チャネルを通って、ハウジングまたは端部シールドを介して、電動機の中に送り込まれるので、電動機の中に、ファンを設ける必要が無い。後者の場合には、電動機の非駆動端部上の端部シールドは、電動機ハウジングの端部に直接取り付けられる。
【0022】
電動機ハウジングの長さはまた、同一の直径で増減されることが可能であり、異なる電力容量の電動機をもたらすことになる。この場合には、ファンを備えた同一の延長リング3が使用されても良く、この延長リングは、この構造のフレキシビリティを更に高めることになる、
延長リング3を使用するときに、なされなければならない調整は、端部シールド5をハウジング1に固定するより長いシャフト、より長いボルトを備えることであって、それらのボルトを、延長リング3の中の孔に通すことである。
【0023】
開口4,7によって、延長リングは、端部シールドと共に、空気の流れ適合させる多くの可能性をもたらす。幾つかの開口は、流れを所望の方向に向けるカバー・プレートにより覆われていても良い。一般的に、端部シールドまたは延長リングの底部に、開口を設けることは、特に実用的ではない。その理由は、電動機のこの部分が鉄道線路に近く、線路上に存在する水及び泥が、跳ね上げられあるいは電動機の内側に吸い込まれる可能性があるからである。
【0024】
当業者にとって、説明された実施形態の更なる変更及び変形が可能である。
図1
図2