(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のウレタン(メタ)クリレートを含有する硬化性樹脂組成物であって、動的粘弾性測定で測定されるガラス転移温度が0℃以上30℃以下である硬化物を与えることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コーティング剤として適度な硬質性を求められる用途があるが、従来のコーティング剤では適度な硬質性と耐擦傷性及び復元性を達成するものは無かった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、適度な硬質性、耐擦傷性、および復元性を有する硬化物を得ることが出来るウレタン(メタ)アクリレート及びこれを含有する性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、(A)1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオールおよび/またはポリテトラメチレングリコールと(B)ヘキサメチレンジイソシアネートのア
ロファネート付加体
を反応させて得られるアロファネート付加体と、(C)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン1モル付加物、および2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物から選択された1種または2種以上を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレートであって、(A)と(B)を反応させてえられるア
ロファネート付加体の官能基数が4.5以上6.0以下であることを第一の要旨とする。
【0006】
また、本発明は、上記第一の要旨のウレタン(メタ)クリレートを含有する硬化性樹脂組成物であって、動的粘弾性測定で測定されるガラス転移温度が0℃以上30℃以下である硬化物を与える硬化性樹脂組成物を第二の要旨とする。
【0007】
すなわち、本発明者らは、適度な硬質性、耐擦傷性、および復元性を有する硬化物を得ることが出来るウレタン(メタ)アクリレートを得るために、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、(A)1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオールおよび/またはポリテトラメチレングリコールと(B)ヘキサメチレンジイソシアネートのア
ロファネート付加体
を反応させて得られるアロファネート付加体と、(C)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン1モル付加物、および2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物から選択された1種または2種以上を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレートであって、(A)と(B)を反応させてえられるア
ロファネート付加体の官能基数が4.5以上6.0以下であるウレタン(メタ)アクリレートにより、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、適度な硬質性、耐擦傷性、および復元性を有する硬化物を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、(A)1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオールおよび/またはポリテトラメチレングリコールと(B)ヘキサメチレンジイソシアネートのア
ロファネート付加体
を反応させて得られるアロファネート付加体と、(C)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン1モル付加物、および2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物から選択された1種または2種以上を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレートであって、(A)と(B)を反応させてえられるア
ロファネート付加体の官能基数が4.5以上6.0以下であるものである。
【0011】
上記(A)1分子中に2以上のヒドロキシル基を有するポリオールは特に限定されないが具体的には、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、脂肪族炭化水素系ポリオール、脂環族炭化水素系ポリオールを使用することができる。
【0012】
上記ポリオールの数平均分子量は特に限定されないが200以上3000以下が好ましい。200未満であれば硬化物が硬くなりすぎ復元性を持たせにくくなり、3000を超える場合は硬化物の硬度が低くなり硬質性を持たせにくくなる。上記ポリオールのヒドロキシル基数は特に限定されないが2以上4以下が好ましい。2未満の場合は硬化物架橋性が下がりすぎる恐れがあり、4超の場合は硬化物架橋性が上がりすぎ、復元性を持たせなくなる。
【0013】
上記(B)ポリイソシアネートは特に限定されないが具体的には、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。また、これらの有機ポリイソシアネートの2量体、3量体やビュレット化イソシアネート等の変性体を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
【0014】
上記(C)分子中に水酸基を有する(メタ)アクリレートは、特に限定されないが具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレグリコールモノアクリル酸エステル、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを単独使用または複数種併用することができる。中でも2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートを使用することができる。
【0015】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、公知の方法で合成することが可能である。例えば、所定量の(B)成分を大過剰量の(A)成分に投入し、90℃で所定の遊離イソシアネート量になるまで反応させ、この反応混合物を130℃×0.04kPaにて薄膜蒸留を行うことでポリウレタンを得て、更に70〜80℃でさらにハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤の存在下、(C)成分を一括で仕込み、70〜80℃で遊離イソシアネートが無くなるまで加温・攪拌することで合成可能である。この時、反応を促進させるために、ジブチルチンジラウレート等のスズ系触媒を添加することもできる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは(A)と(B)を反応させて得られるポリウレタンの官能基数が3.0以上、6.0以下である。官能基数が3.0未満の場合は硬化物の耐擦傷性を持たせにくくなり、6.0を超える場合は硬化物が硬くなりすぎ復元性を得にくくなる。また、上記(C)の割合は(b)-(a)に対し1.0〜2.0モル比であるが、1.0〜1.5モル比が好ましい。
【0016】
本発明のウレタン(メタ)クリレートを含有する硬化性樹脂組成物は動的粘弾性測定で測定されるガラス転移温度が0℃以上30℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃未満の場合はタック性がでてくる恐れがあり、30℃を超える場合は常温での復元性を持たせにくくなる。ガラス転移温度はより好ましくは0℃以上28℃以下であり、更に好ましくは0℃以上25℃以下である。
【0017】
本発明のウレタン(メタ)クリレートを含有する硬化性樹脂組成物は、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶剤又はモノマー類を含有することができる。硬化性樹脂組成物における本発明のウレタン(メタ)アクリレートの含有率を50重量%以上にすることが好ましい。
【0018】
配合するモノマーは、公知慣用のものが使用可能であるが、そのうちでも代表的なものとして、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエトキシフェニル(メタ)アクリレート、ポリエトキシフェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、オルソフェニルフェノール(メタ)アクリレート、オルソフェニルフェノキシエトキシ(メタ)アクリレート、ポリエトキシオルソフェニルフェノキシエトキシ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール−ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオール−ジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド、以下同様)変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキサイド、以下同様)変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物には活性エネルギー線による重合開始剤を必要に応じ添加する。ここでいう活性エネルギー線による重合開始剤は、光重合開始剤と紫外線等の活性エネルギー線による重合開始剤との双方を含むものとする。
【0020】
光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アントラセン、α−クロロメチルナフタレン等の芳香族化合物、ジフェニルスルフィド、チオカーバメイト等のイオウ化合物を使用することができる。
【0021】
可視光以外の紫外線などの活性エネルギー線による重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキ
シベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチル
チオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0022】
活性エネルギー線による重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名:イルガキュア184,369,651,500,819,907,784,2959,1000,1300,1700,1800,1850、ダロキュア1116,1173、BASF社製 商品名:ルシリンTPO、UCB社製 商品名:ユベクリルP36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアーKIP150,KIP100F,KT37,KT55,KTO46,TZT,KIP75LT、日本化薬社製 商品名:カヤキュアDETX等を挙げることができる。
【0023】
また必要により、活性エネルギー線開始剤にラジカル重合開始剤を併用することもできる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等の有
機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物を使用することができる。
【0024】
これら重合開始剤の含有量はその種類等によって異なるが、目安としてはウレタンアクリレート100重量部に対して1〜8重量部である。含有量が少なすぎると活性エネルギー線感度が不十分となり、多すぎると塗膜深部まで活性エネルギー線が十分に届かず、塗膜深部の硬化性が低下する傾向がある。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させるエネルギー線源は特に限定されないが、例としては、高圧水銀灯、電子線、γ線、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が挙げられる。
【0025】
本発明の硬化性樹脂組成物には、前記有機溶剤又はモノマー類、各種開始剤以外に、塗料、コーティング剤等に通常含まれる各種添加剤を必要に応じて添加することができる。添加剤の例としては、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤等が挙げられる。
【0026】
本発明の硬化性樹脂組成物は動的粘弾性測定で測定されるガラス転移温度が0℃以上30℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃未満の場合はタック性があり、30℃を超える場合は常温での復元性をもたせにくくなる。ガラス転移温度はより好ましくは0℃以上28℃以下であり、更に好ましくは0℃以上25℃以下である。
【0027】
塗工方法は常法に従えば良いが、例えばエアスプレー法、静電塗装法、ロールコーター法、フローコーター法、スピンコート法等が挙げられる。塗工又はコーティングによって得られる被膜の厚さは1〜100μm 程度が好ましい。被膜の厚さが1μm未満では被膜としての機能を果たすことが難しく、100μmを越えると被膜の厚さが厚くなり過ぎて塗工対象物の物性が発揮されにくくなる。
【0028】
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗料、コーティング剤等として使用される。塗工又はコーティングの対象物(被塗物)には携帯電話、腕時計、コンパクトディスク、オーディオ機器、O A 機器等の電気・電子機器; タッチパネル、ブラウン管の反射防止板等の電子部品; 冷蔵庫、掃除機、電子レンジ等の家電製品; メーターパネル、ダッシュボード等の自動車の内装品; プレコートメタル鋼板; 自動車のボディ、バンパー、スポイラー、ドアノブ、ハンドル、ヘッドランプ、オートバイのガソリンタンク、メッキ・蒸着又はスパッタリングが施されたアルミホイール、ドアミラー等の自動車部品; カーポートの屋根、採光屋根; ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、A B S 樹脂等のプラスチック成形品、光ディスク記録媒体用の保護層、サングラスや矯正用メガネレンズといった各種光学レンズの保護層; 階段、床、机、椅子、タンス、その他の家具等の木工製品; 布、紙等が例示される。
【実施例】
【0029】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ウレタンアクリレートの合成
[合成例1]
フラスコに1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートジオールのヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート付加体(NCO含有量13.5%、平均4.5官能)1,400g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.4g、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン1モル付加物(分子量230)1265g(5.5モル)を仕込み、70〜80℃にて遊離イソシアネート量が0.1%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートAを得た。
[合成例2]
フラスコにポリテトラメチレングリコールのヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート付加体(NCO含有量16.5%、平均5.1官能)1,300g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.3g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)232g(2.0モル)と2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(分子量344)1,100g(3.2モル)、を仕込み、70〜80℃にて遊離イソシアネート量が0.1%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートBを得た。
[合成例3]
フラスコにトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のヘキサメチレンジイソシアネート付加体(NCO含有量9.4%、平均3官能)1,340g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)365g(3.15モル)を仕込み、70〜80℃にて遊離イソシアネート量が0.1%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートCを得た。
[合成例4]
フラスコにヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート体(NCO含有量25%、平均3官能)504g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(分子量344)1083.6g(3.15モル)を仕込み、70〜80℃にて遊離イソシアネート量が0.1%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートDを得た。
[合成例5]
フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(NCO含有量32%、平均2官能)262g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(分子量344)722.4g(2.1モル)を仕込み、70〜80℃にて遊離イソシアネート量が0.1%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートEを得た。
[合成例6]
フラスコにプロピレングリコールおよび1,4−ブタンジオールポリカーボネートジオールのジシクロヘキシルメタンジイソシアネート付加体(NCO含有量3.33%、平均2官能)2,524g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.4g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)243.6g(2.1モル)を仕込み、70〜80℃にて遊離イソシアネート量が0.1%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレートFを得た。
硬化性樹脂組成物の調製及び評価上記合成例で得られたウレタンアクリレートA〜F各100部に対して、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 イルガキュア184)を3部それぞれ配合し、溶解した。これをポリエチレンテレフタレート基材(東レ株式会社製PET、型番:#100 T60)上に膜厚が約20μmになるように塗布し、高圧水銀ランプ80W/cmを用いて、積算照度200mJ/cm2にて、窒素雰囲気下にて照射し硬化させた。得られた各硬化物につき、以下の方法でガラス転移温度、鉛筆硬度、復元性を調べた。結果を下記表1に示す。
【0030】
【表1】
〔ガラス転移温度〕
ガラス転移温度は動的粘弾性測定装置(株式会社 ユービーエム、型番:Rheogel−E4000)を用い、引っ張り正弦波、周波数1Hz、昇温測度3℃/分の条件下で測定した損失正接(tanδ)の極大値をガラス転移温度とした。
【0031】
〔鉛筆硬度〕
JIS K5400に準じ、鉛筆引っかき試験機で荷重750gかけて引っかき、傷の付かない最も硬い鉛筆の硬さとした。
〔復元性〕
上記で得られた硬化物フィルムを2kg荷重の真鍮ワイヤーブラシ(藤原産業株式会社製 No.9)にて5往復こすり、硬化フィルム上の傷のつき具合を目視にて観察した。評価は、室温23℃で行い、10秒以内で傷が復元しているものを○とし、10秒〜10分程度かかるものを△とし、1時間たっても復元しない場合は×とした。
表1より本発明のウレタン(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物は復元性を発揮しうる硬化物を形成することができた。比較例1よりポリオールを含まないウレタンメタアクリレートを使用した硬化物、及び比較例2及び3より官能基数が3未満のポリウレタンを使用したウレタン(メタ)アクリレートを使用した硬化物は復元性が劣ることが確認された。
【0032】
さらに、実施例1〜3に記載のポリオール以外のポリオール、イソシアネート、及び分子中に水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用したウレタン(メタ)アクリレートにおいても、ポリウレタンの官能基数が3.0以上、6.0以下の場合、実施例と同様の鉛筆高度及び復元性が得られることを確認している。