特許第6067261号(P6067261)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067261
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】ターボ機械
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/16 20060101AFI20170116BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20170116BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20170116BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   F01D25/16 B
   F16C32/04 A
   F02B39/00 J
   F01D25/00 F
   F01D25/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-150126(P2012-150126)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2013-24238(P2013-24238A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】10 2011 051 885.1
(32)【優先日】2011年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512068581
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・エネルガス・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー・コヘトフ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ヴィーベ
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−175293(JP,A)
【文献】 実開昭63−92821(JP,U)
【文献】 特開2008−82425(JP,A)
【文献】 米国特許第5310311(US,A)
【文献】 米国特許第5640472(US,A)
【文献】 米国特許第5469007(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/00 − 25/16
F02B 39/00
F16C 32/00 − 32/04
F04D 25/04 − 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械ハウジング(1)と、少なくとも1つのインペラ(3)を支持するロータシャフト(2)と、少なくとも1つの能動型磁気軸受(5A,5B)を備える軸受装置と、少なくとも1つのギャップセンサ(6A,6B)と、このギャップセンサ(6A,6B)に接続された、能動型磁気軸受(5A,5B)を制御するための制御機器(8)とを有するターボ機械であって、ギャップセンサ(6A,6B)によって位置決定をするために、ロータシャフト(2)に、ギャップセンサ(6A,6B)と協働するターゲット面(7A,7B)が配設されている形式のものにおいて、
ターゲット面(7A,7B)として、ロータシャフト(2)のベース材料上に形成されたリング状の銅層が設けられていること、及び、半径方向の位置決定をするためのギャップセンサ(6A)が設けられており、銅層が、ロータシャフト(2)の外径の溝(9A)内に配設されていることを特徴とするターボ機械。
【請求項2】
銅層が、同じ高さでロータシャフト(2)の表面に統合されていることを特徴とする請求項に記載のターボ機械。
【請求項3】
付加的に、軸方向の位置決定をするためのギャップセンサ(6B)設けられており、銅層が、ロータシャフト(2)の端面の溝(9B)内に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボ機械。
【請求項4】
銅層と協働する複数のギャップセンサ(6A,6B)が、周方向に分配配設されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のターボ機械。
【請求項5】
軸受装置が、少なくとも1つの軸方向用の能動型磁気軸受(5B)と少なくとも1つの半径方向用の能動型磁気軸受(5A)を備え、両磁気軸受(5A,5B)の制御をするために、それぞれ、少なくとも1つのギャップセンサ(6A,6B)と、1つの、ロータシャフト(2)上の銅層から成るターゲット面(7A,7B)が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械ハウジングと、少なくとも1つのインペラを支持するロータシャフトと、少なくとも1つの能動型磁気軸受を備える、機械ハウジング内にロータシャフトを軸受けするための軸受装置と、少なくとも1つのギャップセンサと、このギャップセンサに接続された、能動型磁気軸受を制御するための制御機器とを有するターボ機械に関する。ギャップセンサによって正確な位置決定を可能にするために、ロータシャフトに、ギャップセンサと協働するターゲット面が設けられている。
【背景技術】
【0002】
磁気軸受は、非接触の、これにより摩耗のない軸受けを可能にし、従って、ターボ機械のような高速回転する装置のために特に適している。磁気軸受のロータ側の部分とステータ側の部分の間には、できるだけ一定に保つべきギャップが残っている。特に、傾倒モーメント、衝撃等に基づいた直接的な接触は、回避しなければならない。従って、能動型磁気軸受では、ロータ位置が、ギャップセンサによって絶えず決定され、磁気軸受を相応に制御することによって、ロータ、即ちロータシャフトを基準位置に戻す復元力が提供される。
【0003】
絶え間ない位置決定を少なくとも1つのギャップセンサによって可能にするために、ロータシャフトに、少なくとも1つのギャップセンサと協働するターゲット面が配設されており、このターゲット面は、ロータシャフトの製造時に既に設けられなければならない。
【0004】
ターゲット面として、ターボ機械では、実際には、通常は、ロータシャフトの製造時に取り付けられる微小なディスクパックが使用される。このため、ディスクパックは、予組立され、予加工され、ロータシャフトに焼嵌めされ、次に、ロータシャフトの外径に沿って微小加工される。ディスクパックとギャップセンサの協働により、間隔に依存した信号が、これによりシャフトの正確な位置が決定される。この措置は、実際に実績がある。しかしながら、製造費用は、これにより製造コストは高く、ロータシャフトの外径は、ディスクパックを配設することによって大きくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを背景にして、本発明の根底にある課題は、冒頭で述べた特徴を有するターボ機械において、機能性を損なうことなく製造費用を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
冒頭で述べた特徴を有するターボ機械から出発して、課題は、ターゲット面として、ロータシャフトのベース材料上に形成された銅層が設けられていることによって解決される。銅から成る層は、良好な導電性によって際立っているので、ディスクを形成することなく、ギャップセンサによって確実に、ギャップセンサとロータシャフト間の現在の間隔を決定可能な信号を決定することができる。
【0007】
ディスクパックの配設と比べ、製造は、著しく簡素化される。更に、銅層のための場所の必要量は、ディスクパックを配設するためのものよりも明らかに少ない。特に、銅層は、ロータシャフトの溝内に配設することができるので、その場合、銅層によって構成されるターゲット面は、同じ高さでロータシャフトの表面に統合することができるか、僅かにしか突出しない。
【0008】
少ない製造コスト及び組立コスト以外に、小さい直径によって、ロータの動的特性も改善することができる。
【0009】
本発明の範囲内で、ギャップセンサは、半径方向の位置決定をするために設けることができ、その場合、銅層は、ロータシャフトの外径に配設されている。このようなセンサの配設は、能動型磁気軸受を制御するために行なわれる。
【0010】
本発明の選択的な形成によれば、ギャップセンサは、軸方向の位置決定をするために設けられており、その場合、銅層は、ロータシャフトの端面に配設されている。端面とは、本発明の範囲内では、回転軸に対して垂直に配設された、ロータシャフトの面を意味する。この場合、ロータシャフトの端部のことではなく、段差部、拡幅部等のことである。
【0011】
最後に、軸受装置は、本発明の範囲内で、少なくとも1つの軸方向用の能動型磁気軸受と少なくとも1つの半径方向用の能動型磁気軸受を備えることもでき、両磁気軸受の制御をするために、それぞれ、少なくとも1つのギャップセンサと、1つの、ロータシャフト上の銅層から成るターゲット面が設けられている。前記のように、一方の銅層は、合目的に、ロータシャフトの外径に延在し、他方の銅層は、回転軸に対して垂直に端面に配設されている。
【0012】
連続的な位置決定を可能にするため、ターゲット面は、銅コーティングの形態で、端面に配設されているか外径に配設されているかに依存せずに、通常はリング状に形成されている。
【0013】
位置決定の精度を高めるため、通常リング状に形成されたターゲット面に対して、周方向に分配配設された複数のギャップセンサを設けることができる。その場合、センサ信号の差を求めることもしくは比較をすることによって何らかの障害を導き出すとの可能性もあり、1つのセンサが故障した場合でも、ある程度の冗長性が可能である。最後に、センサの1つから歪曲された信号が供給された場合も、特定することができる。
【0014】
ターボ機械の別の形成は、本発明の範囲内では、限定されていない。特に、ターボ機械は、コンプレッサ、エキスパンダ、又は少なくとも1つのコンプレッサ段と1つのエキスパンジョン段とを有するコンパンダとすることもできる。
【0015】
本発明を、以下で、ただ1つの実施例を図示した図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるターボ機械を示す。
図2】半径方向の位置決定をするためのセンサの領域内のターボ機械のロータシャフトの詳細図を示す。
図3】軸方向の位置決定をするためのギャップセンサの領域内のロータシャフトの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一般的な構造に従って機械ハウジング1とこの機械ハウジング1内に支承されたロータシャフト2とを備えるターボ機械を示す。図示した実施例では、ロータシャフト2は、その端部に可動に配設された2つのインペラ3を支持し、これらインペラは、作動媒体を圧縮又は膨張させるために設けられている。更に、ターボ機械の運転に応じてジェネレータ又はモータとして形成される電気機械4が図示されている。
【0018】
ターボ機械は、この実施例では2つの半径方向用の能動型磁気軸受5Aと2つの軸方向用の能動型磁気軸受5Bとを備える軸受装置を備える。磁気軸受5A,5Bにおいて基準位置からの偏差を確定し、補正することができるように、ロータシャフト2上のターゲット面7A,7Bと協働するギャップセンサ6A,6Bが設けられており、センサ信号から、ギャップセンサ6A,6Bと対応するターゲット面7A,7B間の間隔を導き出すことができる。このため、ギャップセンサ6A,6Bは、制御機器8に接続されており、この制御機器が、基準位置からロータシャフト2が偏れた場合に半径方向もしくは軸方向の復元力を発生させるために、センサ信号に依存して磁気軸受5A,5Bを通る電流を制御する。
【0019】
図2及び3は、模範的に、半径方向もしくは軸方向の位置決定をするためのギャップセンサ6Aもしくは6Bの領域を概略化して示す。
【0020】
図2によれば、ターゲット面7Aとして、ロータシャフト2のベース材料上に形成された銅層が設けられており、この銅層は、ロータシャフト2の外径に沿ってリング状に延在する。銅層は、ロータシャフト2の外周を周回する溝9A内に配設されているので、銅層は、同じ高さでロータシャフト2の表面に統合されている。これにより、対応するギャップセンサ6Aは、ロータシャフト2に対して僅かな間隔を置いて配設することができる。
【0021】
図2には、更に、測定精度の向上及び/又は測定の信頼性の改善をするため、半径方向の位置決定をするために複数のギャップセンサ6Aを設け得ることが図示されている。
【0022】
図3によれば、軸方向の位置を決定するために同様の形成が行なわれ、相応のセンサ6Bと協働する銅層が、ターゲット面7Bとして、ロータシャフト2の回転軸Dに対して垂直に整向された、ロータシャフト2の端面に配設されている。この銅層も、端面の溝9B内に配設されており、ターゲット面7Bは、ロータシャフト2の周囲をリング状に周回する。軸方向の決定のためにも、複数のセンサ6Bを設けることができる。
【0023】
ターゲット面7A,7Bである銅層は、ロータシャフト2の製造時に直接配設される。従来技術から公知のディスクパックの配設とは違って、著しい簡素化が、これにより製造コストの低減が得られる。
【符号の説明】
【0024】
1 機械ハウジング
2 ロータシャフト
3 インペラ
4 電気機械
5A 半径方向用の能動型磁気軸受
5B 軸方向用の能動型磁気軸受
6A ギャップセンサ
6B ギャップセンサ
7A ターゲット面
7B ターゲット面
8 制御機器
9A 溝
9B 溝
D 回転軸
図1
図2
図3