特許第6067266号(P6067266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067266
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】座屈拘束ブレース
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   E04B1/58 D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-159230(P2012-159230)
(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公開番号】特開2014-20091(P2014-20091A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勇紀
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−173981(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0253057(US,A1)
【文献】 特開2006−249748(JP,A)
【文献】 特開2005−194794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58、1/18、1/24
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、この芯材の両面に沿って配置された拘束材とを有する座屈拘束ブレースにおいて、前記芯材が帯状の平板鋼板からなり、前記各拘束材が、それぞれ前記芯材の両面において芯材の長手方向に延び幅方向に並べられて互いに接合される複数の鋼材の組み合わせ体からなり、これら各鋼材は互いの接合部が、芯材表面に対して垂直な方向に幅広となる断面形状のリブであり、前記芯材の長手方向の一部分における幅方向の中央位置に長手方向に沿うスリットが1つ設けられ、前記芯材の幅方向における前記スリットが設けられていない部分の幅方向中央位置に、前記鋼材の組み合わせ体の前記接合部が位置する座屈拘束ブレース。
【請求項2】
請求項1において、前記鋼材の組み合わせ体を構成する隣り合う鋼材の間にプレート介在する座屈拘束ブレース。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記鋼材の組み合わせ体を構成する複数の前記鋼材が形鋼である座屈拘束ブレース。
【請求項4】
請求項において、前記形鋼が角形鋼管である座屈拘束ブレース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構造物の骨組みに組み込まれ、地震等の際に振動エネルギーを吸収して振動を減衰させる座屈拘束ブレースに関する。
【背景技術】
【0002】
座屈拘束ブレースとしては、従来より、芯材の周囲を鋼板のみで補剛したもの、RCで補剛したもの、鋼材とモルタルやコンクリートで被覆したもの等、様々な補剛形式が提案され、実用化されている。例えば、特許文献1に記載のものは、溝形鋼材内にコンクリートを充填してなる一対の拘束材で芯材を両側から挟み付けて、芯材を補剛している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3663491号公報
【特許文献2】特許第2996298号公報
【特許文献3】特許第4917177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座屈拘束ブレースの剛性を高めるためには、拘束材の補剛力を大きくする必要がある。しかし、例えば、特許文献1に記載のように、溝形鋼材内にコンクリートを充填して拘束材を構成した場合、拘束材の補剛力を大きくすることはできるが、座屈拘束ブレースが重くなるため、施工性が悪くコスト増にもなるという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、剛性を高めることができて、かつ軽量化も可能な座屈拘束ブレースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の座屈拘束ブレースは、芯材と、この芯材の両面に沿って配置された拘束材とを有する座屈拘束ブレースにおいて、前記芯材が帯状の平板鋼板からなり、前記各拘束材が、それぞれ前記芯材の両面において芯材の長手方向に延び幅方向に並べられて互いに接合される複数の鋼材の組み合わせ体からなり、これら各鋼材は互いの接合部が、芯材表面に対して垂直な方向に幅広となる断面形状のリブである。
【0007】
この構成によると、拘束材が、芯材の幅方向に並べて互いに接合される複数の鋼材の組み合わせ体によって構成され、その各鋼材同士の接合部が、芯材表面に対して垂直な方向に幅広となる断面形状のリブとされているため、座屈拘束のために必要な拘束材表面に垂直な方向の拘束材の剛性が前記リブによって高められる。そのため、拘束材を厚肉としたり、コンクリートやモルタル等を併用することなく、必要な座屈拘束性が確保される。したがって、座屈拘束性を確保しながら、拘束材の軽量化ひいては座屈拘束ブレースの軽量化が可能となる。これにより、構造物の骨組みへ座屈拘束ブレースを組み込む際の施工性が向上すると共に、座屈拘束ブレースの低コスト化も可能となる。特に、前記拘束材を構成する各鋼材は、相互の接合部をリブとしているため、鋼材相互の間の接合面積が充分に確保できて、堅固な接合が行えるうえ、そのリブを、拘束材の剛性増大に利用できる。このため、前記鋼材を、効率的に利用できる断面形状とできて、材料の無駄なく効果的に座屈拘束に利用でき、前記座屈拘束ブレースの低コスト化が図り易い。
【0008】
前記構成において、前記芯材の長手方向の一部分における幅方向の中央位置に長手方向に沿うスリット1つ設けられている。
この構成の場合、芯材のスリットが形成されている長さ範囲の部分が、他の部分よりも断面二次モーメントの小さいエネルギー吸収部となり、座屈拘束ブレースに制振部材として必要なエネルギー吸収性能を持たせることができる。
【0009】
この場合に、前記芯材の幅方向における前記スリットが設けられていない部分の幅方向中央位置に、すなわちスリットと芯材の縁部との間の中央位置に、前記鋼材の組み合わせ体の前記接合部位置する
このように構成した場合、拘束材の隣り合う鋼材同士の接合部、つまり拘束材のリブが、芯材の幅方向におけるスリットが設けられていない部分の幅方向中央位置に位置することになるので、芯材の全体座屈と芯材の補剛力に対する剛性を効率良く確保することができる。
【0011】
この発明において、前記鋼材の組み合わせ体を構成する複数の鋼材を溶接により接合しても良い。この構成の場合、鋼材の溶接による接合部がリブとなる。
【0012】
この発明において、前記鋼材の組み合わせ体を構成する隣り合う鋼材の間にプレートを介在させても良い。特に、前記複数の鋼材を互いに溶接により接合する場合に、前記プレートを介在させることが良い。
鋼材の組み合わせ体を構成する複数の鋼材を溶接で直接に接合する場合、拘束材の芯材に対向する側では接触面の平坦性を確保するために溶接を避けることが考えられる。しかし、それでは、芯材に対向する側で溶接歪みにより隣り合う鋼材間に開きが生じてしまう恐れがある。これに対し、隣り合う鋼材の間にプレートを介在させた場合、プレートの介在で生じた隙間を溶接で埋めることができるので、拘束材の芯材に背を向く側だけでなく対向する側でも隣り合う鋼材同士を溶接により接合でき、前記溶接歪みによる開きを緩和することができる。また、隣り合う鋼材間にプレートを介在させるので、拘束材のリブとなる鋼材同士の接合部の強度が向上し、局部変形に対してより強い拘束材とすることができる。
【0013】
前記鋼材の組み合わせ体を構成する複数の鋼材は、前記のように溶接で接合する他に、これら複数の鋼材を貫通するボルトで締め付けて接合しても良い。
前記鋼材の組み合わせ体を構成する複数の鋼材を溶接で接合した場合、溶接歪みにより、拘束材の芯材との接触面の平坦性が損なわれる恐れがあるが、鋼材の組み合わせ体を構成する複数の鋼材を、これらを貫通するボルトで締め付けて接合した場合、芯材との接触面の平坦性を確保することができる。
【0014】
この発明において、前記鋼材の組み合わせ体を構成する複数の鋼材が形鋼であっても良い。この形鋼として角形鋼管を用いても良い。前記各鋼材は、芯材に沿う部分と前記リブとなる部分とを有する断面形状であるが、形鋼を用いると、鋼材メーカーの規格品を必要長さに切断するだけで用いることができ、生産性に優れると共に、低コスト化が図れる。角形鋼管とした場合は、優れた剛性が得られるうえ、鋼材相互の接合も行い易い。
【発明の効果】
【0015】
この発明の座屈拘束ブレースは、芯材と、この芯材の両面に沿って配置された拘束材とを有する座屈拘束ブレースにおいて、前記芯材が帯状の平板鋼板からなり、前記各拘束材が、それぞれ前記芯材の両面において芯材の長手方向に延び幅方向に並べられて互いに接合される複数の鋼材の組み合わせ体からなり、これら各鋼材は互いの接合部が、芯材表面に対して垂直な方向に幅広となる断面形状のリブで前記芯材の長手方向の一部分における幅方向の中央位置に長手方向に沿うスリットが1つ設けられ、前記芯材の幅方向における前記スリットが設けられていない部分の幅方向中央位置に、前記鋼材の組み合わせ体の前記接合部が位置するため、剛性を高めることができて、かつ軽量化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の一実施形態にかかる座屈拘束ブレースの分解斜視図である。
図2】(A)は同座屈拘束ブレースの平面図、(B)は同側面図である。
図3】(A)は図2(A)におけるIIIa− IIIa 矢視断面図、(B)は図2(A)におけるIIIb− IIIb 矢視断面図である。
図4】この発明の他の実施形態にかかる座屈拘束ブレースの断面図である。
図5】この発明のさらに他の実施形態にかかる座屈拘束ブレースの断面図である。
図6】この発明のさらに他の実施形態にかかる座屈拘束ブレースの断面図である。
図7参考提案例にかかる座屈拘束ブレースの断面図である。
図8】この発明のさらに他の実施形態にかかる座屈拘束ブレースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1はこの座屈拘束ブレースの分解斜視図、図2(A),(B)はその平面図および側面図である。この座屈拘束ブレース1は、芯材2と、この芯材2の両面に沿って配置した一対の拘束材3とを有する。
【0018】
芯材2は、SN材(建築構造用圧延鋼材)やLY材(低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鉄鋼材料の平板鋼板からなり、拘束材3との並び方向の厚みよりも並び方向と直交する方向の幅が広い細長い帯板状とされる。芯材2の両端部2aは、柱や梁等の鉄骨材との継手となる部分であり、その両面の幅方向中央位置からそれぞれ垂直に突出するリブ5を有する断面十字状とされている。芯材2の両端部2aには、複数のボルト孔6が穿孔されている。
【0019】
図1に示すように、芯材2は、その長手方向の一部分における幅方向の中央位置に、長手方向に沿う一本のスリット8が設けられている。前記スリット8は、いわば、構造スリである。スリット8により隔てられた2つの芯材分割部分9,10の幅寸法は互いに同一とされている。図例のスリット8は、一定の隙間幅の溝状で、両端は円弧状に形成されている。スリット8内にはスペーサ11が配置される。
【0020】
図2(A)のIIIa−IIIa矢視断面図(芯材2のスリット8を横切る部分の断面図)を図3(A)に示す。同図のように、前記各拘束材3は、それぞれ芯材2の両面において芯材2の長手方向に延び幅方向に並べられて互いに接合される複数の鋼材の組み合わせ体からなる。その組み合わせ体を構成する鋼材として、ここでは3つの角形鋼管4A,4B,4Aが用いられ、これらの角形鋼管4A,4Bは互いに溶接により接合される。この溶接は、例えば、互いの接触面の両縁部に沿って溶ビードを形成する溶接であっても、また接触面における抵抗溶接等であっても良い。これら角形鋼管4A,4Bの芯材2からの高さ寸法は互いに同一とされる。そのうち、左右の角形鋼管4Aは互いに幅寸法が同一とされ、かつ中央の角形鋼管4Bの幅寸法よりも狭くされている。これにより、芯材2の幅方向におけるスリット8が設けられていない各芯材分割部分9,10における幅方向の中央位置に、すなわちスリット8と芯材2の側縁との間の中央位置に、隣り合う角形鋼管4A,4Bの接合部が位置している。拘束材3を構成する鋼材が同図の例のように角形鋼管4A,4Bである場合、各角形鋼管4A,4Bの四周の側板部分のうち、角形鋼管4A,4B同士が互いに隣り合う側板部分が、芯材2の表面に対して垂直方向に幅広となるリブ4aとなり、このリブ4aが前記接合部となる。前記両拘束材3の両側部には、鋼材からなるプレート12が跨がって配置されて溶接されており、これにより両拘束材3が一体に連結されている。これら両プレート12と芯材2の両側端との間には、芯材2の長手方向に延びるスペーサ13が配置される。なお、図3(B)は、図2(A)のIIIb−IIIb矢視断面図、すなわち芯材2のスリット8を横切らない部分の断面図を示す。
【0021】
この構成の座屈拘束ブレース1によると、芯材2を帯状の平板鋼板で構成すると共に、その両面に配置される一対の拘束材3を、芯材2の長手方向に延び幅方向に並べられて互いに接合される複数の鋼材である角形鋼管4A,4Bの組み合わせ体によって構成しているので、拘束材3の軽量化ひいては座屈拘束ブレース1の軽量化が可能となる。また、拘束材3における各角形鋼管4A,4Bは溶接により接合され、それらの接合部が拘束材3のリブとされるので、拘束材3の剛性を十分に高めることができる。すなわち、剛性を高めることができて、かつ軽量化も可能な座屈拘束ブレース1とすることができる。これにより、構造物の骨組みへ座屈拘束ブレース1を組み込む際の施工性が向上すると共に、座屈拘束ブレース1の低コスト化も可能となる。特に、拘束材3を構成する各鋼材は、角形鋼管4A,4Bを用いていて、相互の接合部がリブ4aとして機能するため、鋼材相互の間の接合面積が充分に確保できて、堅固な接合が行えるうえ、そのリブ4aを、拘束材の剛性増大に利用できる。
【0022】
また、この実施形態では、芯材2の長手方向の一部分における幅方向の中央位置に、長手方向に沿うスリット8を設けているので、芯材2のスリット8が形成されている長さ範囲の部分が、他よりも断面二次モーメントの小さいエネルギー吸収部となり、座屈拘束ブレース1に制振部材として必要なエネルギー吸収性能を持たせることができる。また、芯材2の幅方向におけるスリット8が設けられていない各芯材分割部分9,10における幅方向の中央位置に、隣り合う角形鋼管4A,4Bの接合部、つまり拘束材3のリブが位置しているので、芯材2の全体座屈と芯材2の補剛力に対する剛性を効率良く確保することができる。
【0023】
図4は、この発明の他の実施形態を示す。この座屈拘束ブレース1では、図1図3に示した実施形態において、拘束材3を構成する3つの角形鋼管4A,4B,4Aとして、芯材2からの高さ寸法が異なるものを用いている。すなわち、左右の角形鋼管4Aに対して中央の角形鋼管4Bの高さ寸法が高くなっている。この構成の場合、幅方向の両端の角形鋼管4A,4Aに断面形状が正方形のものを用いることができ、正方形の角形鋼管であれば、特注形状ではなく規格品の角形鋼管を用いることができて、より一層低コストで座屈拘束ブレース1を製造することができる。その他の構成および作用効果は、図1図3に示した実施形態の場合と同様である。
【0024】
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この座屈拘束ブレース1では、図1図3に示した実施形態において、拘束材3を構成する複数の鋼材である3つの角形鋼管4A,4B,4Aを溶接で接合するのに代えて、これら角形鋼管4A,4B,4Aを貫通するボルト14で締め付けて互いに接合している。具体的には、ボルト14に両端に雄ねじ部を有するものを用い、各雄ねじ部に螺合させたナット14a,14a間で角形鋼管4A,4B,4Aを締め付けている。その他の構成は、図1図3に示した実施形態の場合と同様である。
【0025】
3つの角形鋼管4A,4B,4Aを溶接で接合した図1図3の実施形態の場合、溶接歪みにより、拘束材3の芯材2との接触面の平坦性が損なわれる恐れがあるが、ボルト14で角形鋼管4A,4B,4Aを締め付けて互いに接合するこの実施形態の場合、芯材2との接触面の平坦性を確保することができる。その他の作用効果は、図1図3に示した実施形態の場合と同様である。
【0026】
図6は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この座屈拘束ブレース1では、図1図3に示した実施形態において、拘束材3を構成する複数の鋼材である3つの角形鋼管4A,4B,4Aを直接溶接で接合するのに代えて、隣り合う角形鋼管4A,4B,4Aの間に鋼材からなるプレート15を介在させ、プレート15の介在で生じた隙間を溶接で埋めることで3つの角形鋼管4A,4B,4Aを接合している。その他の構成は、図1図3に示した実施形態の場合と同様である。
【0027】
3つの角形鋼管4A,4B,4Aを溶接で直接に接合した図1図3の実施形態の場合、拘束材3の芯材2に対向する側では接触面の平坦性を確保するために溶接を避けることが考えられる。しかし、それでは、芯材2に対向する側で溶接歪みにより隣り合う角形鋼管4A,4B,4Aの間に開きが生じてしまう恐れがある。図6の実施形態の場合は、プレート15の介在で生じた隙間を溶接で埋めるので、拘束材2の芯材2に背を向く側だけでなく対向する側でも隣り合う角形鋼管4A,4B,4A同士を溶接により接合でき、前記溶接歪みによる開きを緩和することができる。また、隣り合う角形鋼管4A,4B,4Aの間にプレート15を介在させるので、拘束材3のリブとなる角形鋼管4A,4B,4A同士の接合部の強度が向上し、局部変形に対してより強い拘束材3とすることができる。
【0028】
図7は、参考提案例を示す。この座屈拘束ブレース1では、図1図3に示した実施形態において、芯材2に設けたスリット8を省略すると共に、各拘束材3を、芯材2の幅方向に並ぶ互いに同サイズの2つの角形鋼管4D,4Dを溶接により接合して構成している。2つの角形鋼管4D,4Dは幅寸法が同じため、それらの接合部つまり拘束材3のリブは、芯材2の幅方向の中央に位置させたことになる。これにより、拘束材3を同一規格の角形鋼管を用いて構成でき、所要材料の種類を少なくすることができる。その他の構成および作用効果は、図1図3に示した実施形態の場合と同様である。
【0029】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この座屈拘束ブレース1では、図1図3に示した実施形態において、各拘束材3を構成する鋼材として、幅寸法が異なる3つの溝形鋼材7A,7B,7Aを用い、これらを互いに溶接で接合している。各拘束材3を構成する鋼材が溝形鋼材7A,7B,7Aである場合、これら溝形鋼材7A,7B,7Aの隣合うフランジ部がリブ7aとなり、拘束材3の隣り合う溝形鋼材7A,7B,7Aを接合する接合部を構成する。この実施形態において、芯材2の幅方向におけるスリット8が設けられていない各芯材分割部分9,10における幅方向の中央位置に位置していることや、その他の構成、および作用効果は、図1図3に示した実施形態の場合と同様である。
【0030】
なお、前記各実施形態では、拘束材3を構成する鋼材が角形鋼管であるかまたは溝形鋼である場合につき説明したが、前記鋼材は、相互の接合部がリブとなるものであれば、他の断面形状の形鋼やさらに他の鋼材を用いても良い。例えば、L形鋼を用いても良い。
【符号の説明】
【0031】
1…座屈拘束ブレース
2…芯材
3…拘束材
4A,4B,4D…角形鋼管
4a…リブ
7A,7B…溝形鋼材
7a…リブ
8…スリット
9,10…芯材分割部分
14…ボルト
15…プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8