【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]客室内にて向きを反転可能な横並びの座席(10)と、天井側に配されて各座席(10a,10b)それぞれに光照射可能な読書灯(60)と、自座席用の読書灯(60a,60b)を操作する各座席(10a,10b)それぞれに備えた操作部(18)とを有し、前記座席(10)の反転動作以前と以後とに係らず自座席(10a,10b)に備えられた前記操作部(18)で自座席用の読書灯(60a,60b)を操作するようにした読書灯装置(1)において、
前記座席(10)の反転動作を検出する反転検出部(62)と、前記操作部(18)の操作を受けての前記読書灯(60)の点灯および消灯ならびに前記反転検出部(62)が検出する反転動作にしたがって前記読書灯(60)の点灯状態を制御する制御部(61)とを備え、
前記制御部(61)は、
前記座席(10)が反転動作される以前に通常の点灯状態にある読書灯(60)に対して、前記座席(10)が反転動作中は、前記読書灯(60)を
前記通常の点灯状態とは異なる状態にし、前記座席(10)が反転動作を終了した後は、前記読書灯(60)を消灯することを特徴とする読書灯装置(1)。
【0008】
[2]前記制御部(61)は、
前記通常の点灯状態とは異なる状態にした前記読書灯(60)を
前記座席(10)の反転動作中から消灯することを特徴とする[1]に記載の読書灯装置(1)。
【0009】
[3]
前記通常の点灯状態とは異なる状態とは点滅状態であり、
前記制御部(61)は、前記座席(10)が反転動作中に、前記読書灯(60)を所定時間の点滅状態を経て消灯することを特徴とする[1]に記載の読書灯装置(1)。
【0010】
[4]前記制御部(61)は、前記座席(10)が反転動作を終了した後、前記読書灯(60)を所定時間の点滅状態または点灯状態を経て消灯することを特徴とする[1],[2]または[3]に記載の読書灯装置(1)。
【0011】
前記本発明は次のように作用する。
旅客列車の客室内に配設されている、向きを反転可能な横並びの座席(10)は、始発駅を出発前に進行方向を向いていない座席(10)を反転させて進行方向を向くように向きを揃えられる。このように向きを揃えられた座席(10)は、乗客が任意に反転させて対面着座できるようにすることができる。
【0012】
この反転可能な座席(10)に着座して読書等をする際には、座席(10a,10b)毎に光照射可能な読書灯を点灯させることができる。この読書灯(60)の点灯や消灯は、座席(10a,10b)それぞれに備えた操作部(18)の操作によって行うことができる。
【0013】
座席(10)の反転以前に自座席(10a,10b)を光照射していた読書灯(60a,60b)では反転後の自座席(10a,10b)に光照射することができないので、反転の以前と以後とでは自座席(10a,10b)に備えた操作部(18)によって点灯および消灯できる読書灯(60a,60b)が切り替えられる。
【0014】
すなわち、反転以前に窓側に有った座席(10a)は、自座席(10a)に備えた操作部(18)によって窓側座席用の読書灯(60a)の点灯および消灯操作が可能であり、通路側に自座席(10a)が移った反転後には、自座席(10a)に備えた操作部(18)によって、通路側の座席用の読書灯(60b)の点灯および消灯操作が可能に各操作部(18)と各読書灯(60a,60b)との接続関係が切り替えられる。
【0015】
前記[1]に記載の読書灯装置(1)によれば、座席(10)を反転させると、その反転動作を反転検出部(62)が検出する。座席(10)が反転動作中は、制御部(61)が点灯していた読書灯(60)を反転動作以前の通常の点灯状態とは異なる状態にする。そして、座席(10)が反転動作を終了した後は、通常の点灯状態とは異なる状態となっていた読書灯を消灯する。なお、反転動作以前の読書灯(60)の状態が点灯状態にないとき、即ち消灯している場合は、そのまま消灯の状態を継続させる。
【0016】
列車の進行方向に向けられた座席(10)を反転させると、最後列の座席(10)以外は反転した座席(10)と、当該座席(10)の一列後の座席(10)とが対座する。したがって、列車の進行方向に向けられた座席(10)に着座している状態から座席(10)を反転させる場合は、対座した座席(10)の乗客と会話等のコミュニケーションを取る場合がほとんどである。このため、座席(10)の反転以前に読書灯(60)を点灯させて読書等をしていた場合でも、座席(10)の反転以後は読書を継続しない場合がほとんどである。
【0017】
また、座席(10)の反転前後に乗客が自座席にそのまま着座する場合、例えば座席(10)の反転以前に窓側座席(10a)に着座していた乗客が座席(10)の反転後には通路側となった自座席(10a)にそのまま着座する場合、窓側座席用の読書灯(60a)は、新たに窓側の座席の着座者となった別の乗客を光照射することになる。この新たに窓側の座席の着座者となった別の乗客が座席(10)の反転後に読書を開始するという場合は多くはない。
【0018】
したがって、反転動作を終了した後は読書灯(60)を消灯することが、実際の使用状態に則したものとなる。さらに、座席(10)の反転動作を終了した後に読書灯(60)を消灯するので、反転動作後に読書をしない場合に読書灯(60)の消し忘れによって読書灯(60)が点灯し続けることによる無駄な電力消費を防止することができる。
【0019】
また、座席(10)の反転後に読書を継続したり、読書を開始したりする場合は皆無ではないので、座席(10)の反転動作の途中では読書灯(60)を座席(10)の反転動作以前の点灯状態とは異なる状態にすることによって乗客に読書灯(60)に対する注意を向け易くすることができる。これにより、乗客の利便性の向上を図ることができる。
【0020】
前記[2]に記載の読書灯装置(1)によれば、制御部(61)は、座席(10)が反転動作中から読書灯(60)を消灯する。したがって、反転動作が開始するとそれまで点灯していた読書灯(60)が直ぐに消灯され、反転動作の終了後もそのまま消灯状態が維持されるので、読書灯(60)を無駄に点灯させることがなく、よりいっそう無駄な電力消費を防止することができる。
【0021】
前記[3]に記載の読書灯装置(1)によれば、制御部(61)は、座席(10)が反転動作中に、読書灯(60)を所定時間の点滅状態を経て消灯する。これにより、乗客に読書灯(60)に対する注意を向け易くすることができる。
【0022】
前記[4]に記載の読書灯装置(1)によれば、制御部(61)は、さらに座席(10)が反転動作を終了した後、所定時間の点滅状態または点灯状態を経て消灯する。これにより、乗客は、読書灯(60)に対する注意がよりいっそう喚起させられることになり、座席(10)の反転直後から読書をするときに忘れずに読書灯(60)を点灯してより快適に読書をすることができ、以って乗客による読書灯(60)の使用状態に則した利便性が向上する。